JPH0612749Y2 - 縫合粘着シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 本考案は縫合粘着シート、すなわち皮膚が切られてでき
た切傷部を縫合する為に使用する粘着シートに関するも
のである。

従来、切り傷、創傷、手術等によつて切り開いたりした
切傷部は、糸によつて縫合することが多いが、粘着シー
トによつて開いた切傷部を両側から閉じるようにして、
糸で縫うことなく、又は糸で縫うことゝ併用して縫合を
するものが知られている。しかしながら、こうした切傷
部からは血液や粘性体液が滲み出して来て固化し、これ
によつて粘着シートが切傷部に付着し、傷の治療及び回
復に支障を来たすことが多く、未だ満足の行くものが少
い。

〔考案の構成〕 本考案は、切傷部の両側の皮膚に貼付される基部と、そ
の両基部をつなぎ切傷部をまたぐ頸部をもつており、こ
の頸部の切傷部側には多数の空隙を備えている嵩高のネ
ツト体を取付けるようにしたもので、切傷部の縫合固定
を確実に行い、切傷部から滲み出る血液や粘性体液等に
よつてもこの縫合シートが切傷部に付着するようなこと
もなく、縫合治療を的確、迅速に行うことができるよう
にするものである。

以下実施例について述べれば、布製の基材(1)の両側部
分には基部(2)があり、この両基部を細い頸部(3)で連結
していて、該基材の一面には粘着剤層(4)を形成してい
る。上記基材は、布の他、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのプラスチツク
フイルム、不織布、紙その他のシート類を使用すること
ができ、プラスチツクフイルム等では適宜孔を設けて通
気性にすることもある。

上記頸部の粘着剤層の上にはネツト体を付着、固定して
いるが、この粘着剤によらず適宜方法で固定することも
できる。このネツト体は、多数の空隙を持つ嵩高なもの
が好適に使用できポリアミド（ナイロン）繊維製のネツ
ト等がある。このナイロン製のネツト(5)は、例えば５
〜１００デニール、特に好ましくは１０〜５０デニール
のナイロン糸を使用したトリコツトハーフで、織方向の
打込密度（ゲージ）を約１０〜２５本／in程度、特に好
ましくは１５〜２０本／inとし、横方向の打込密度を１
５〜４０本／in程度、特に好ましくは２２〜３２本／in
としたものがよく、その仕上がり厚さは約0.08〜0.22mm
程度、特に好ましくは0.1〜0.18mmで、その重さは約１
３〜２４ｇ／m²、特に好ましくは１５〜２０ｇ／m²とし
たものがある。

また、このネツト体の他の例としては第４図に示すよう
に、吸液保持性がよく適度の柔軟性を有する不織布(6)
の下に、木綿わた、レーヨンその他の再生繊維綿等の吸
液保持性がよく、適度の弾性、柔軟性、緩衝性のよい材
料を用いたマツト(7)を置き、その下方にエチレン−酢
酸ビニル共重合体、ポリエチレンその他の合成樹脂で、
細孔等によつて通気性を備えたプラスチツク層(8)を位
置させ、要すればこれらをミシンで粗く縫製してパツド
(9)とする。これを上記ナイロンネツトやポリアクリロ
ニトリル、アセテート、ポリアミドその他の合成樹脂ま
たはレーヨンなどのフイラメントで網目や粗い織目に形
成した網類、編物、織布などの覆布(10)で包んだもの(1
1)などがある。上記不織布、マツト、プラスチツク層の
１つ又は２つは必要に応じてこれを省くこともできる。
また、上記ナイロンネツトや覆布は、これを編んだり織
つたりする前か後に、フツ素樹脂やシリコン樹脂で処理
することもあり、又、キチンやキトサンの糸などを使用
して作ることもでき、このネツト体に適宜消毒剤などの
薬剤などを担持させることもある。そして、この基布の
貼着剤側には、剥離性フイルム(12)を貼付けて上記ネツ
ト体を覆うようにしている。

〔考案の作用効果〕

本品を使用する場合、剥離フイルムを剥して基部の一方
を切傷部の隣接位置に貼り、頸部が切傷部の上を横断す
るようにして、他方の基部を対向する皮膚に貼付すれ
ば、切傷部は閉じられるから、傷の大きさ、長さに応じ
て順次これを並べて貼つて行けば確実に保定、縫合でき
る。この縫合シートは、頸部のネツト体が傷部にやわら
かく接し、並べて貼つて行つても、ところどころで傷に
接して通気をよくするのでむれたりしないし、通常の綿
布、圧縮綿、織布、編物などの当て材のようにほどけた
り、ほつれたりしたものが傷に付着したりすることもな
い。これを貼付している間に、傷部から滲み出してくる
血液や粘性体液も、次々とネツト体に吸収され、このネ
ツト体の繊維が閉じられた傷部に断続的に接しているか
ら、この体液等が固まることがあつてもネツト体を傷部
に付着させて固化することがなく、粘着シートを剥すと
きに縫合している傷部を傷めることもない。これによつ
て、確実、安全かつ容易に縫合治療ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は斜面図、第２図
は断面図、第３図はネツト体の拡大斜面図、第４図は他
例の拡大断面図である。 (1)は基材、(2)は基部、(3)は頸部、(4)は粘着剤層、
(5)はネツト、(6)は不織布、(7)はマツト、(9)はパツ
ド、(10)は覆布、(12)は剥離性フイルム

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】切傷部を挾んだ両側位置の皮膚に応当する
   基部と該基部の間をつなぎ切傷部に応当する頸部を有す
   る基材を備え、該基材の一面に粘着剤層を形成し、上記
   頸部の粘着剤層側に多数の空隙を有するネツト体を位置
   固定した縫合粘着シート。
2. 【請求項２】上記ネツト体は、ポリアミド繊維糸を使用
   し編成若しくは織成したネツトである請求項１に記載の
   縫合粘着シート。
3. 【請求項３】上記ネツト体は、吸液性を有するパツドを
   編成若しくは織成したネツトで包んだものである請求項
   １に記載の縫合粘着シート。
4. 【請求項４】上記ネツト体のパツドの粘着剤層側には通
   気性のプラスチツク層が介在している請求項３に記載の
   縫合粘着シート。