JPH06127240A - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JPH06127240A
JPH06127240A JP28140892A JP28140892A JPH06127240A JP H06127240 A JPH06127240 A JP H06127240A JP 28140892 A JP28140892 A JP 28140892A JP 28140892 A JP28140892 A JP 28140892A JP H06127240 A JPH06127240 A JP H06127240A
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damping
control
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control signal
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Fumiyuki Yamaoka
史之 山岡
Mitsuo Sasaki
光雄 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小ストローク時には「スカイフック理論」に
よる制振性と乗り心地との両立を図りながら、大ストロ
ーク時に、オーバーストロークを防止して、異音の発生
および乗り心地の悪化を防止すること。 【構成】 車両のばね上−ばね下間に介在され、減衰特
性変更手段aにより減衰特性を変更可能なサスペンショ
ンユニットbと、少なくとも、ばね上の上下方向の挙動
を検出する上下方向挙動検出手段c、および、ばね上・
ばね下の間の相対変位を検出する相対変位検出手段dを
有した入力手段eと、上下方向挙動検出手段cからの信
号に比例した成分の項と相対変位検出手段dからの信号
のn乗に比例した成分の項とを有した制御式から求めた
制御信号に基づき各輪のサスペンションユニットbの減
衰特性をコントロールする減衰特性制御手段fと設け
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サスペンションユニッ
トで発生する減衰力の特性(ハードあるいはソフトな
ど)を最適制御する車両懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、サスペンションユニットで発生す
る減衰力の特性を制御する車両懸架装置としては、例え
ば、特開昭61−163011号公報に記載されたもの
が知られている。
【0003】この従来の車両懸架装置は、ばね上上下速
度およびばね上・ばね下間の相対速度を検出し、両者が
同符号の時には、減衰力特性をハード特性とし、両者が
異符号の時には減衰力特性をソフト特性にするといった
「スカイフック理論」に基づく減衰力特性制御を、4輪
独立に行うものであった。そして、これにより、車体に
伝達される加振エネルギに対して、制振エネルギを大き
くすることができ、車体の振動を抑制して、優れた乗り
心地を得ることができるとともに、スカット・ダイブな
どを抑制して操縦安定性も向上させることができるもの
であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来装置にあっては、以下に述べる問題点があった。
【0005】すなわち、上記制御の基本となる「スカイ
フック理論」は、サスペンションのストロークを無限大
として成り立っている。それに対し、実際には減衰力を
発生するショックアブソーバなどにはストロークに限り
があるし、かつ、従来では、サスペンションがストロー
クする際に、大ストローク時も小ストローク時も、減衰
特性の切換の判別条件は同一であったため、特に、大ス
トローク時には、制御力が不足しがちであった。したが
って、制御力が不足した場合には、サスペンションが伸
び切ったり底付きしたりするといったオーバーストロー
クしてしまうおそれがあり、このような場合には、リバ
ウンドストッパやバウンドストッパの衝突により、異音
が発生したり、また、突き上げなどが生じて乗り心地を
大きく損なうことがあった。
【0006】しかし、ただ単に大ストローク時に十分な
制御力が得られるようにショックアブソーバなどの減衰
係数を高めただけでは、逆に、小ストローク時の制御力
が過多となり、やはり、乗り心地の悪化を招く。
【0007】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、小ストローク時には「スカイフック理
論」による制振性と乗り心地との両立を図りながら、大
ストローク時に、オーバーストロークを防止して、異音
の発生および乗り心地の悪化を防止することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、相
対変位検出手段からの信号のn乗に比例した成分の項を
有した制御式により減衰特性を制御するための制御信号
を形成するようにして上述の目的を達成することとし
た。
【0009】すなわち、本発明の車両懸架装置は、図1
のクレーム対応図に示すように、車両のばね上−ばね下
間に介在され、減衰特性変更手段aにより減衰特性を変
更可能なサスペンションユニットbと、少なくとも、ば
ね上の上下方向の挙動を検出する上下方向挙動検出手段
c、および、ばね上・ばね下の間の相対変位を検出する
相対変位検出手段dを有した入力手段eと、上下方向挙
動検出手段cからの信号に比例した成分の項と相対変位
検出手段dからの信号のn乗に比例した成分の項とを有
した制御式から求めた制御信号に基づき各輪のサスペン
ションユニットbの減衰特性をコントロールする減衰特
性制御手段fと設けた。
【0010】前記減衰特性制御手段fで用いる制御式
を、上下方向挙動検出手段cからの信号に比例した成分
の項と相対変位検出手段dからの信号に比例した成分の
項と相対変位検出手段dからの信号のn乗に比例した成
分の項とを有した制御式としてもよい。
【0011】また、サスペンションユニットbを、伸側
減衰係数を高減衰係数側に可変で圧側が低減衰係数に固
定の伸側可変領域と、伸側・圧側共に低減衰係数のソフ
ト固定のソフト領域と、圧側減衰係数を高減衰係数側に
可変で伸側が低減衰係数に固定の圧側可変領域との3つ
の領域を有する構造とし、さらに、減衰特性制御手段f
は、制御信号が正のしきい値を越えたとき、サスペンシ
ョンユニットbを伸側可変領域に制御し、制御信号が正
負のしきい値内のとき、ソフト領域に制御し、制御信号
が負のしきい値よりも小さいとき、圧側可変領域に制御
する構成としてもよい。
【0012】なお、「n乗」のnは、1よりも大きな数
である。また、「比例」とは、正比例・反比例のいずれ
をも含むものである。
【0013】
【作用】走行時には、減衰特性制御手段では、少なくと
も、上下方向挙動検出手段および相対変位検出手段から
得られる信号を基に制御信号を形成し、この制御信号に
基づいてサスペンションユニットに作動信号を出力す
る。
【0014】この制御信号を求めるにあたり、請求項1
記載の装置では、上下方向挙動検出手段からの信号に比
例した成分の項と、相対変位検出手段からの信号をn乗
した成分の項とを有した制御式を用いて求める。
【0015】したがって、小ストローク時には、相対変
位をn乗した成分の項の値が極めて小さく、制御信号は
小さくなる。よって、減衰特性制御手段は、サスペンシ
ョンユニットの減衰特性を、低減衰側にコントロールし
良好な乗り心地が得られる。また、この時、制御信号
は、上下方向挙動検出手段からの信号に比例しているか
ら、車体に入力される加振エネルギに対する制振力は大
きく、「スカイフック理論」に基づいて車体姿勢をフラ
ットに保って良好な乗り心地および操縦安定性が得られ
る。
【0016】それに対して、大ストローク時には、ばね
上・ばね下間の相対変位が大きくなるから、それをn乗
した成分の項の値は相対変位の増加分以上に大きくな
り、制御信号が大きくなる。よって、減衰特性制御手段
は、サスペンションユニットの減衰特性を高減衰側に大
きくコントロールし、制振力を高めてサスペンションユ
ニットのオーバーストロークを防止して、リバウンドス
トッパやバウンドストッパへの衝突による異音の発生や
乗り心地の悪化を防止する。
【0017】次に、請求項2記載の装置では、請求項1
と同様に、小ストローク時には制御信号が小さく、大ス
トロークになるほどn乗で相対変位の成分の項の値が増
えるが、さらに、制御信号を求める制御式には、相対速
度に比例した項が加えられていることで、この項の分だ
け、制御信号の位相が進むことになる。この位相の進み
により、ばね常数を低減させる方向に制御力が発生し、
小ストローク時の乗り心地の向上を図ることができる。
【0018】大ストローク時には、請求項1の装置と同
様に、制御式の相対変位のn乗の項の値が極めて大きく
なって、制振力を高めてオーバーストロークを防止して
異音の発生や乗り心地の悪化を防止する。
【0019】請求項3記載の装置では、伸側可変領域あ
るいは圧側可変領域としている場合には、サスペンショ
ンユニットは、相対変位の方向がばね上上下挙動の方向
と一致して、発生減衰力が制振方向に作用している状況
では、ばね上上下挙動方向と同じ行程方向が高減衰力特
性となっていて制振を行い、両方向が不一致で、発生減
衰力が加振方向に作用している状況では、ばね上上下挙
動方向とは逆の行程方向が低減衰力特性となっていて、
加振力が弱まる。そして、このような状況が、減衰特性
の切換を行うことなく得られるから、応答性が高いし、
切り換え頻度が少なくて耐久性が向上する。
【0020】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 (第1実施例)まず、構成について説明する。
【0021】図2は、請求項1,3に記載の発明の実施
例である車両懸架装置を示す構成説明図であって、車体
と4つの車輪との間に介在されて、4つのショックアブ
ソーバ(サスペンションユニット)SAが設けられてい
る。そして、各ショックアブソーバSAの近傍位置の車
体には、上下方向挙動検出手段として上下方向の加速度
を検出するばね上上下加速度センサ(以後、上下Gセン
サという)1が設けられ、さらに、相対変位検出手段と
してばね上側とばね下側との相対変位を検出するための
車高センサ6が設けられている。また、運転席の近傍位
置には、各上下Gセンサ1および車高センサ6からの信
号を入力して、各ショックアブソーバSAのパルスモー
タ3に駆動制御信号を出力するコントロールユニット4
が設けられている。
【0022】図3は、上記構成を示すシステムブロック
図であって、コントロールユニット4は、インタフェー
ス回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前記イ
ンタフェース回路4aには、上述の各上下Gセンサ1お
よび車高センサ6からの信号が入力される。なお、前記
インタフェース回路4a内には、図14に示すフィルタ
回路群が各上下Gセンサ1ごとに設けられている。すな
わち、上下Gセンサ1から送られる信号は、30HzL.
P.Fと0.1Hz L.P.FとAMPと1.0Hz H.P.F
と1.5Hz L.P.Fによりばね上上下速度v(以後、上
下速度vという)に処理される。
【0023】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図で、このショックアブソーバSAは、
シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部室Bと
に画成したピストン31と、シリンダ30の外周にリザ
ーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリザーバ
室32とを画成したベース34と、ピストン31に連結
されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイド部材
35と、外筒33と車体との間に介在されたサスペンシ
ョンスプリング36と、バンパラバー37とを備えてい
る。また、ピストンロッド7には、前記パルスモータ3
により回動されるコントロールロッド70が貫通して設
けられている。
【0024】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する伸側減
衰バルブ12および圧側減衰バルブ20とが設けられて
いる。また、ピストンロッド7の先端には、バウンドス
トッパ41とスタッド38とが直列に螺合されている。
前記スタッド38は、ピストン31を貫通しており、さ
らに、このスタッド38には、貫通孔31a,31bを
バイパスして上部室Aと下部室Bとを連通する流路(後
述の伸側第2流路E,伸側第3流路F,バイパス流路
G,圧側第2流路J)を形成するための連通孔39が形
成されていて、この連通孔39内には前記流路の流路断
面積を変更するための調整子40が回動自在に設けられ
ている。また、スタッド38の外周部には、流体の流通
の方向に応じて前記連通孔39で形成される流路側の流
通を許容・遮断する伸側チェックバルブ17と圧側チェ
ックバルブ22とが設けられている。なお、この調整子
40には、前記コントロールロッド70が連結されてい
る。また、スタッド38には、上から順に第1ポート2
1,第2ポート13,第3ポート18,第4ポート1
4,第5ポート16が形成されている。
【0025】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れていると共に、内外を連通する第1横孔24および第
2横孔25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形
成されている。
【0026】したがって、前記上部室Aと下部室Bとの
間には、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔
31bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部
室Bに至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝2
3,第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外
周側を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2
ポート13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側
チェックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3
流路Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19
を経由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路
がある。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、
貫通孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側
第1流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート
21を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室
Aに至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔2
5,第3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス
流路Gとの3つの流路がある。
【0027】すなわち、ショックアブソーバSAは、調
整子40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれ
とも低減衰力(ソフト)特性から高減衰力(ハード)特
性に特性変更可能であり、本実施例では、この特性変化
が図6に示すように比例的に多段階に変更可能に構成さ
れていることから、この特性を減衰係数という言葉で表
す。
【0028】また、本実施例にあっては、図7に示すよ
うに、伸側・圧側のいずれもソフトとした状態(請求項
3のソフト領域SS)から調整子40を反時計方向に回
動させると、伸側のみ減衰係数を多段階に変更可能で、
圧側が低減衰係数に固定の特性(請求項3の伸側可変領
域に相当し、以後、伸側ハード領域HSという)とな
り、ソフト領域SSから逆に調整子40を時計方向に回
動させると、圧側のみ減衰係数を多段階に変更可能で、
伸側が低減衰係数に固定の領域(請求項3の圧側可変領
域に相当し、以後、圧側ハード領域SHという)となる
構造に構成されている。
【0029】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5のK−K
断面,L−L断面およびM−M断面,N−N断面を、そ
れぞれ図8,図9,図10に示し、また、各ポジション
の減衰力特性を図11,12,13に示している。
【0030】次に、パルスモータ3の駆動を制御するコ
ントロールユニット4の作動について、図15のフロー
チャートに基づき説明する。なお、この制御は、各ショ
ックアブソーバSA毎に別個に行う。
【0031】ステップ101は、各上下Gセンサ1から
の信号を処理して得られるばね上の上下速度v,を読み
込むとともに、各車高センサ6から得られるばね上とば
ね下との相対変位Hを読み込むステップである。
【0032】ステップ102は、下記の制御式に基づい
て制御信号Vを演算するステップである。(α,βは比
例定数) (制御式) V=α・v+β・H2 (ただし、H≧0) V=α・v−β・H2 (ただし、H<0) ちなみに、上下速度vと相対変位Hとの関係を図16に
示す。この特性図に表される線を本明細書では切換線と
称する。
【0033】ステップ103は、制御信号Vの値が、所
定のしきい値δ以上であるか否かを判定するステップ
で、YESでステップ105に進み、NOでステップ1
04に進む。ちなみに、制御信号Vは、正が伸側を負が
圧側を示している。
【0034】ステップ104は、制御信号Vが所定のし
きい値−δとしきい値δとの範囲内であるか否かを判定
するステップで、YESでステップ106に進み、NO
でステップ107に進む。
【0035】ステップ105は、ショックアブソーバS
Aを伸側ハード領域HSに制御するようパルスモータ3
に作動信号を出力するステップである。なお、この時の
伸側減衰係数CTEN は制御信号Vに比例していてCTEN
=kT ・Vで表され、一方、圧側の減衰係数CCOMPは、
COMP=Min で一定である。(kT は比例定数)ステッ
プ106は、ショックアブソーバSAをソフト領域SS
に制御するようパルスモータ3に作動信号を出力するス
テップである。
【0036】ステップ107は、ショックアブソーバS
Aを圧側ハード領域SHに制御するようパルスモータ3
に作動信号を出力するステップである。なお、この時の
圧側減衰係数CCOMPは制御信号Vに比例していてCCOMP
=kC ・Vで表され、一方、伸側の減衰係数CTEN は、
TEN =Min で一定である。(kC は比例定数)次に、
実施例装置の作動を説明する。
【0037】a)小ストローク時 ショックアブソーバSAのストローク量が小さな時に
は、制御式の相対変位の項であるβ・H2 の値が極めて
小さく、制御信号Vの値は、ばね上の上下速度vに比例
することになる。したがって、図17のタイムチャート
において実線で示しているように、制御信号Vは、ばね
上の上下速度vとほぼ同位相で変化する。そして、この
場合、制御信号Vは、ばね上の上下速度が小さいことか
ら図示のように小さな値を示し、コントロールユニット
4は、ショックアブソーバ3の減衰係数を低く制御して
良好な乗り心地が得られる。また、この時、制御信号V
は、上下速度vに比例しているから、車体に入力される
加振エネルギに対する制振力は大きく、「スカイフック
理論」に基づいて車体姿勢をフラットに保って良好な乗
り心地および操縦安定性が得られる。
【0038】ちなみに、この場合の減衰力リサージュ波
形は、図18に示すようになる。
【0039】b)大ストローク時 ショックアブソーバSAのストローク量が大きい時に
は、ばね上・ばね下間の相対変位Hが大きくなるから、
それを2乗した成分の項(β・H2 )の値は相対変位H
の増加分以上に大きくなり、制御信号Vが大きくなる
(図17参照)。よって、コントロールユニット4は、
相対変位Hの符号に応じてショックアブソーバSAを、
伸側ハード領域HSあるいは、圧側ハード領域SHに制
御して、減衰力(制振力)を高めて、ショックアブソー
バSAの伸び切りやボトミングなどのオーバーストロー
クを防止して、バンパラバー37やバウンドストッパ4
1への衝突による異音の発生や乗り心地の悪化を防止す
る。
【0040】そして、このような大ストロークの場合、
上述のように減衰係数が大きくなることで、制御力がば
ね常数を上昇させる方向に作用し、フルバウンド,フル
リバウンド手前で大きな制御力が発生する。したがっ
て、大ストローク時の減衰力リサージュ波形は、図19
に示すように、フルバウンド,フルリバウンド手前でば
ね定数が急増する。
【0041】なお、図20は、コントロールユニット4
によるショックアブソーバSAの減衰特性切換制御の一
例を示すタイムチャートである。このタイムチャートに
示すように、本実施例では、ショックアブソーバSA
を、伸側ハード領域HS,圧側ハード領域SH,ソフト
領域SSを有した減衰特性に構成したため、相対変位H
の方向がばね上の上下速度vの方向と一致して、発生減
衰力が制振方向に作用している状況では、上下速度vの
方向と同じ行程方向が高減衰係数となっていて制振を行
い、両方向が不一致で、発生減衰力が加振方向に作用し
ている状況では、上下速度vの方向とは逆の行程方向が
低減衰係数となっていて、加振力が弱まるもので、この
特性の切換が、各領域HS,SHでは、切換制御を行う
ことなく得られるから、応答性が高いし、切り換え頻度
が少なくて耐久性が向上する。
【0042】以上説明したように、第1実施例では、小
ストローク時には「スカイフック理論」による制振性と
乗り心地との両立を図りながら、大ストローク時に、伸
び切りや底付きといったオーバーストロークを防止し
て、異音の発生および乗り心地の悪化を防止することが
できるという特徴を有している。
【0043】さらに、ショックアブソーバSAを、伸側
が高減衰係数に可変で圧側が低減衰係数に固定の伸側ハ
ード領域HSと、圧側が高減衰係数に可変で伸側が低減
衰係数に固定の圧側ハード領域SHとを有した構成とし
たため、応答性および耐久性の向上を図ることができ
る。
【0044】(第2実施例)次に、請求項2,3に記載
の発明に対応した第2実施例について説明するが、第1
実施例と同じ構成および同じ作用については説明を省略
する。
【0045】この第2実施例における第1実施例との相
違点は、制御信号Vを演算するのに用いる制御式が異な
っている点である。すなわち、本第2実施例では、フロ
ーチャートのステップ102で、下記の制御式を用い
る。(α,β,γは比例定数) (制御式) V=α・v−β・H+γ・H2 (ただし、H≧0) V=α・v−β・H−γ・H2 (ただし、H<0) したがって、本第2実施例では、切換線は、図21に示
す通り、相対変位Hに比例した項(β・Hの項)を設け
た分だけ傾きが生じる。
【0046】そして、小ストローク時には、相対変位H
の2乗の項(γ・H2 の項)が極めて小さくなって制御
信号Vの値が小さくなる点は第1実施例と同様である
が、本第2実施例では、図22のタイムチャートにおい
て実線で示すように、相対変位Hに比例した項(β・H
の項)によって、ばね上の上下速度vに対して制御信号
Vの位相が進む(図17と比較するとよくわかるが)。
そして、これにより図23の減衰力のリサージュ波形に
示すように、ばね常数を低減させる方向に制御力が発生
することになって、小ストローク時の乗り心地がいっそ
う向上する。
【0047】また、大ストローク時には、第1実施例と
同様に、相対変位Hの2乗の項(γ・H2 の項)によ
り、上下速度vに対して位相が遅れた制御信号Vを形成
し、ばね常数が上昇する方向に制御力を発生して、オー
バーストロークを防止して、異音の発生および乗り心地
の悪化を防止する。
【0048】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0049】例えば、制御式のばね上の上下速度vに、
ピッチレート成分やロールレート成分を加えた信号(下
記制御式参照)に置き換えてもよい、この場合は、ピッ
チ,ロール方向の制振性が向上する。(a,bは比例定
数) (制御式) v+a・vp +b・vr なお、vp :ピッチレート vr :ロールレート また、実施例では、伸側ハード領域HS,圧側ハード特
製SH,ソフト領域SSを形成可能なサスペンションユ
ニットを用いた例を示したが、従来技術で示したよう
に、伸側・圧側が同時にハードからソフトに変化するよ
うなサスペンションユニットを用いてもよい。
【0050】また、実施例では、サスペンションユニッ
トが減衰係数を変化させて減衰力特性を変更する構造を
示し、このような構造の方が、制御上有利ではあるが、
高減衰力特性と低減衰力特性とで、ピストンスピードに
対して発生する減衰力の特性が、例えば、2乗特性と1
/2乗特性のように全く異なる特性に変化するような構
造でもよい。また、制御式内の比例定数α,β,γ及び
a,bは車速等に応じて任意に変化させるようにしても
よい。
【0051】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1記載
の車両懸架装置は、少なくとも、ばね上上下方向挙動お
よびばね上・ばね下間の相対変位を検出し、減衰特性制
御手段により、上下方向挙動検出手段からの信号に比例
した成分の項と相対変位検出手段からの信号のn乗に比
例した成分の項との和から求めた制御信号に基づき各輪
のサスペンションユニットの減衰特性をコントロールす
るようにしたため、小ストローク時には、「スカイフッ
ク理論」に基づいて車体姿勢をフラットに保って良好な
乗り心地および操縦安定性が得られるようにしながら、
大ストローク時には、十分に大きな制振力を得てサスペ
ンションユニットのオーバーストロークを防止して、リ
バウンドストッパやバウンドストッパへの衝突による異
音の発生や乗り心地の悪化を防止することができるとい
う効果が得られる。
【0052】請求項2記載の装置では、上下方向挙動検
出手段からの信号に比例した成分の項と、相対変位検出
手段からの信号のn乗に比例した項に、さらに、相対変
位検出手段からの信号に比例した項を加え、これらの項
の和から制御信号を求めるようにしているため、この追
加した項の分だけ制御信号の位相が進むことになり、こ
の位相の進みにより、ばね常数を低減させる方向に制御
力が発生して、小ストローク時の乗り心地の向上を図る
ことができるという効果が得られる。
【0053】請求項3記載の装置では、サスペンション
ユニットを、伸側減衰係数を高減衰係数側に可変で圧側
が低減衰係数に固定の伸側可変領域と、伸側・圧側共に
低減衰係数のソフト固定のソフト領域と、圧側減衰係数
を高減衰係数側に可変で伸側が低減衰係数に固定の圧側
可変領域との3つの領域を有する構造としたため、伸側
可変領域あるいは圧側可変領域としている場合には、発
生減衰力が制振方向に作用している状況では、ばね上上
下挙動の方向と同じ行程方向が高減衰力特性となってい
て制振を行い、発生減衰力が加振方向に作用している状
況では、ばね上上下挙動方向とは逆の行程方向が低減衰
力特性となっていて、加振力が弱まるもので、このよう
な状況が、減衰特性の切換を行うことなく得られるか
ら、応答性が高いし、切り換え頻度が少なくて耐久性が
向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム概念図で
ある。
【図2】本発明第1実施例の車両懸架装置を示す構成説
明図である。
【図3】第1実施例の車両懸架装置を示すシステムブロ
ック図である。
【図4】第1実施例装置に適用したショックアブソーバ
(サスペンションユニット)を示す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面およびM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】実施例のコントロールユニットの要部を示す
ブロック図である。
【図15】第1実施例装置のコントロールユニットの制
御作動を示すフローチャートである。
【図16】第1実施例装置の切換線を示す特性図であ
る。
【図17】第1実施例装置のストロークと制御信号の関
係を示すタイムチャートである。
【図18】第1実施例装置の小ストローク時の減衰力リ
サージュ波形図である。
【図19】第1実施例装置の大ストローク時の減衰力リ
サージュ波形図である。
【図20】第1実施例装置の作動状態を示すタイムチャ
ートである。
【図21】本発明第2実施例の車両懸架装置の切換線を
示す特性図である。
【図22】第2実施例装置のストロークと制御信号の関
係を示すタイムチャートである。
【図23】第2実施例装置の小ストローク時の減衰力リ
サージュ波形図である。
【図24】第2実施例装置の大ストローク時の減衰力リ
サージュ波形図である。
【符号の説明】
a 減衰特性変更手段 b サスペンションユニット c 上下方向挙動検出手段 d 相対変位検出手段 e 入力手段 f 減衰特性制御手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のばね上−ばね下間に介在され、減
    衰特性変更手段により減衰特性を変更可能なサスペンシ
    ョンユニットと、 少なくとも、ばね上の上下方向の挙動を検出する上下方
    向挙動検出手段、および、ばね上・ばね下の間の相対変
    位を検出する相対変位検出手段を有した入力手段と、 上下方向挙動検出手段からの信号に比例した成分の項と
    相対変位検出手段からの信号のn乗に比例した成分の項
    とを有した制御式から求めた制御信号に基づき各輪のサ
    スペンションユニットの減衰特性をコントロールする減
    衰特性制御手段と、を備えていることを特徴とする車両
    懸架装置。
  2. 【請求項2】 前記減衰特性制御手段が、上下方向挙動
    検出手段からの信号に比例した成分の項と相対変位検出
    手段からの信号に比例した成分の項と相対変位検出手段
    からの信号のn乗に比例した成分の項とを有した制御式
    から求めた制御信号に基づき各輪のサスペンションユニ
    ットの減衰特性をコントロールするよう構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の車両懸架装置。
  3. 【請求項3】 各サスペンションユニットを、伸側減衰
    係数を高減衰係数側に可変で圧側が低減衰係数に固定の
    伸側可変領域と、伸側・圧側共に低減衰係数のソフト固
    定のソフト領域と、圧側減衰係数を高減衰係数側に可変
    で伸側が低減衰係数に固定の圧側可変領域との3つの領
    域を有する構造とし、 前記減衰特性制御手段は、制御信号が正のしきい値を越
    えたとき、サスペンションユニットを伸側可変領域に制
    御し、制御信号が正負のしきい値内のとき、ソフト領域
    に制御し、制御信号が負のしきい値よりも小さいとき、
    圧側可変領域に制御する構成としたことを特徴とする請
    求項1または請求項2記載の車両懸架装置。
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