JPH0612715A - 光磁気記録媒体とそれを用いた記録再生または消去方法および装置 - Google Patents

光磁気記録媒体とそれを用いた記録再生または消去方法および装置

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JPH0612715A
JPH0612715A JP4170393A JP17039392A JPH0612715A JP H0612715 A JPH0612715 A JP H0612715A JP 4170393 A JP4170393 A JP 4170393A JP 17039392 A JP17039392 A JP 17039392A JP H0612715 A JPH0612715 A JP H0612715A
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film
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JP4170393A
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Inventor
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Takeshi Maeda
武志 前田
Takeshi Toda
戸田  剛
Hiroshi Ide
井手  浩
Hiroyuki Tsuchinaga
浩之 土永
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】光磁気記録膜に与える熱の流れを制御すること
により超高密度光記録を実現する。 【構成】光磁気記録媒体としては、熱流を制御するため
の熱流制御層および熱拡散層を有し、これらの層により
記録膜に与える熱流のバランスを取ることにより所望形
状または所望サイズの記録磁区を高精度に形成させる。
また、光磁気ディスク記録、再生または消去装置とし
て、波形形状を制御しパルスを分割して短いパルスで高
いパワーを照射することができる記録回路を設ける。 【効果】任意の磁区形状および微小磁区が得られるの
で、超高密度光磁気記録を実現できる。さらに、磁区幅
を記録のデータパターンに依存しないで、一定幅の記録
磁区が形成でき、しかもエッジ部分の形状も磁区長に依
存せず同一形状にすることができるので、高密度記録の
手法の一つであるピットエッジ記録を実現するのに特に
有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくともレーザ光と
外部印加磁界とを用いて記録、再生もしくは消去を行う
光磁気記録に係り、特に、超高密度光記録に有効な光磁
気記録媒体およびその記録、再生もしくは消去方法なら
びにそれを実施する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展に伴い、高
密度で大容量のファイルメモリーへのニーズが高まって
いる。これに応えるものとして、最近では光磁気記録が
実用化されている。これに引き続き、光磁気記録のいっ
そうの高性能化を目指して多くの研究機関で研究開発が
活発に進められている。光磁気記録の高性能化のターゲ
ットの一つとして、記録容量の増大が挙げられる。その
ための手法として、光磁気記録媒体のトラックピッチを
詰めること、ピットエッジ記録方式を用いること、微小
の記録磁区を形成してビットピッチを詰めること、など
の方法や方式が提案されている。その代表的な公知例と
して、特開昭60−25032号公報、特開昭61−2
16126号公報等が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光磁気記録において、
記録密度を向上させるために上記従来技術において開示
されているいずれの手法を用いても、最終的には光磁気
記録媒体上に、微小な記録磁区を高密度に形成させるこ
とになる。この場合、光磁気記録のように、記録や消去
時に記録膜に与える熱を精密に制御する必要がある。す
なわち、記録膜に与える熱流を制御しないと、記録磁区
の形成時にトラック上においてピット間干渉が生じた
り、またトラック間でも干渉が生じるという問題があっ
た。上述の公知例においては、記録膜に与える熱流を制
御する点については、全くその手法が開示されておら
ず、高密度記録を達成するうえで大きな障害となってい
た。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における問
題点を解消するものであって、記録用または消去用レー
ザ光により光磁気記録媒体の記録膜に与える熱の流れを
精密に制御することによって超高密度光記録を実現する
ことができる光磁気記録媒体およびそれを用いた記録、
再生もしくは消去方法ならびにそれを実施する光磁気記
録、再生または消去装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的である
超高密度光記録を実現するためには、光磁気記録媒体の
記録膜に微小磁区を形成させて情報を記録し、記録した
情報を消去したりする場合に、特に重要なことは、レー
ザ光などにより記録膜に与える熱の流れを制御すること
である。最終的には、記録膜の温度分布を制御すること
であり、その結果として形成される記録磁区の形状やサ
イズの精密な制御が可能となる。そのために、光磁気記
録再生装置からのレーザ光による熱の与え方を工夫した
り、また光磁気記録媒体の構成を工夫し、熱の流れが制
御できる構造にすれば良いことになる。
【0006】まず、光磁気記録再生装置からのアクセス
として、記録媒体に与える熱流を制御するためには、記
録用レーザ光のパルス波形を制御することである。これ
は、所定の長さの磁区を形成する場合に、記録媒体への
レーザパルスの与え方は、方形のパルスを照射する方法
が一般的であるが、これではパルスの後半へ向かうほ
ど、先にレーザ光を照射した部分からの熱の影響を受け
て、磁化反転領域が広くなり、いわゆる“涙型の磁区”
が形成される。特に、ピットエッジ記録を行う場合には
上記の“涙型の磁区”が形成されると、磁区長の検出精
度が低下するために再生エラーの発生原因となり易い。
この現象を抑制するために、光磁気ディスク等の光磁気
記録媒体に照射するレーザ光の熱源を、間歇的(あるい
は不連続)に照射する、いわゆるパルス分割法が特に有
効であり、これにより記録膜の最高到達温度が、上記の
方形波のパルスに比べて約50℃以上低下する。したが
って、非晶質の光磁気記録膜を用いている材料系に対し
ては構造緩和が抑制できるので、書換え回数のいっそう
の増大を図ることができる。特に、ピットエッジ記録を
実現するためには、記録磁区の長さと幅を精密に制御す
る必要がある。この課題に対して、本発明の光磁気記録
媒体中での熱の流れを制御することは極めて有効であ
り、再生エラーの発生となる割合を著しく低下させるこ
とが可能となり、信頼性の向上の点で大きな効果が生じ
る。なお、上記の効果は、再生時における信号検出方式
に依らない。パルス波形形状による記録制御法の一例と
して、パルス分割法がある。これは、所望する長さの磁
区を形成させるために、短いパルスを一定の間隔ごとに
記録媒体に照射する。これにより、レーザ光から与えら
れる熱が周囲に拡散するのを抑制することができる。す
なわち、パルス幅を短くし、高パワーのレーザパルスを
与えることにより、レーザ光が照射された領域の内、狭
い領域を磁化反転温度以上に上昇させることができ、さ
らにその領域が短時間に冷却されることから微小磁区が
形成できると共に、磁区形状も対称的となる。その上、
エッジ部分の形状はシャープとなり、エッジシフトの抑
圧にも有効である。このように、記録用のレーザパルス
の形状を制御することにより、磁区の形状を任意の形状
またはサイズに制御することができるので、超高密度光
記録を達成することが可能となる。また、本発明の情報
の記録または消去に用いるパルス波形形状による記録制
御法は、短いパルスを一定の間隔ごとに記録媒体に照射
するパルス分割法であるため、従来のパルス間隔が一定
でない方式に比べ、パルスの発生方法が容易であり、パ
ルスの発生装置が安価となる効果がある。
【0007】次に、光磁気記録媒体側における対応につ
いて説明する。記録磁区の制御は最終的には光磁気記録
膜上の温度分布(特に磁化反転温度以上の領域と温度勾
配)を制御すればよい。この場合、具体的には光磁気記
録媒体中に流れる熱流を3次元的に制御し記録膜に接す
るように光磁気記録媒体の構造を制御するか、あるいは
熱流を制御する熱流制御層を介して、熱を拡散させる熱
拡散層を設ければよい。そして、熱流を制御するために
熱拡散層の熱伝導率を制御しても良く、また、熱流制御
層の膜厚もしくは熱伝導率を制御してもよい。なお、熱
流制御層は熱流の抵抗層としての作用を有するものであ
る。さらに、上記の熱拡散層に光反射膜としての作用を
持たせるか、また熱流制御層の膜厚あるいは屈折率を制
御することによって、熱流制御層に光の多重干渉作用を
合わせ持たせて光多重干渉膜とすることにより、光磁気
記録媒体の再生特性のいっそうの向上を図ることもでき
る。本発明の光磁気記録媒体において、光磁気記録膜と
しては、稀土類金属(Gd、Tb、Dy、Ho等)と3
d遷移金属(Fe、Co、Ni等)とのアモルファス合
金系の薄膜、またはPt−Co系の超格子構造膜などが
好適に用いられる。そして、レーザ光を記録膜に透過さ
せる構造の記録媒体においては、記録膜の膜厚は10な
いし50nmの範囲が好ましく、50nmを超えると、
光が吸収され光量が減るので再生出力信号が減少するの
で好ましくなく、また10nm未満では均一な記録膜の
形成ができなくなるので好ましくない。そして、レーザ
光を記録膜に透過させない構造の記録媒体においては、
記録膜の膜厚は80ないし150nmの範囲が好まし
く、150nmを超えると記録膜にストレスが生じ易く
なり、またレーザパワーが増加するので好ましくなく、
80nm未満では、光が吸収され反射光が少なくなるの
で好ましくない。本発明の光磁気記録媒体に設ける熱流
制御層は、化学的安定性が良く、記録膜と反応しないも
のが望ましく、レーザ光を記録膜に透過させる構造の記
録媒体においては光を吸収しないものであればよい。例
えば、誘電体材料であるSiOXで表わされる酸化ケイ
素膜、SiNXで表わされる窒化ケイ素膜などを好適に
用いることができる。そして、これらの誘電体材料の熱
伝導率は、窒化ケイ素が最も大きく、SiOが中程度
で、SiO2が最も小い。したがつて、これらの中から
適当な熱伝導率のものを選択するか、あるいは混合させ
ることによって所望する熱伝導率に調整することができ
る。そして、熱流制御層の膜厚は、5ないし50nmの
範囲が好ましく、50nmを超えると熱が遮断されるの
で好ましくなく、5nm未満では熱量のコントロールが
できなくなるので好ましくない。ここで、熱伝導率を制
御するのに、SiOXにおいてはSiとOの比を制御し
てもよく、SiNXにおいてはSiとNの比を制御すれ
ばよい。プロセス的にこれを実現するためには、雰囲気
ガス組成をコントロールすればよい。すなわち、SiO
XにおいてはAr/O2のO2濃度を、SiNXにおいては
2濃度を、それぞれコントロールすればよい。本発明
の光磁気記録媒体に設ける熱拡散層は、Au、Agまた
はCuの金属、もしくはこれらの金属を主成分とし、T
i、Ta、Nb、Cr、Alのうちから選ばれる少なく
とも1種の元素を添加した合金薄膜、またはAlにT
i、Ta、Nb、Crのうちから選ばれる少なくとも1
種の元素を添加した合金薄膜、もしくはニッケルまたは
ステンレス鋼からなる合金薄膜のうちから選択される少
なくとも1種の薄膜を用いることが好ましい。これらの
合金薄膜の熱伝導率は、Au、AgまたはCuの金属、
またはこれらの金属を主成分とする合金が最も大きく、
AlにTi等の金属を添加した合金は中程度で、ニッケ
ルまたはステンレス鋼からなる合金薄膜は、最も熱伝導
率が小さい。したがって、これらの合金薄膜の中から適
当な熱伝導率を持つ熱拡散層を選択するか、あるいは添
加金属の量を調整して熱伝導率を微小制御することがで
きる。また、耐食性を向上させるためにAlにおいて
は、Ti、Ta、Nb、Cr等の耐食性向上元素の添加
量を調整すればよい。そして、熱拡散層の膜厚は、レー
ザ光を記録膜に透過させる構造の記録媒体においては、
30ないし70nmの範囲が好ましく、また、レーザ光
を記録膜に透過させない構造の記録媒体においては、2
0ないし70nmの範囲が好ましい。上記の範囲未満で
は光が透過し再生出力が劣化したり、熱の拡散性能が低
下するので好ましくなく、また、上記の範囲を超えると
熱が遮断され易くなるので好ましくない。本発明の光磁
気記録媒体おいて、具体的な光磁気ディスク構造の一例
としては、凹凸の案内溝もしくは案内ピットを形成した
ガラスもしくはプラスチックからなる基板上に、無機質
の誘電体材料からなる無機誘電体層を形成し、次に光磁
気記録膜層を形成した後に、再び、熱流制御層として作
用する無機誘電体層を形成し、そして最後に、熱拡散層
として金属層を積層した4層構造とする。さらに、その
上に熱流の微調整を行う熱流微調整層として、無機誘電
体材料や樹脂材料からなる薄膜層を設けてもよい。この
ような記録媒体を用いて、上記の制御された記録波形を
用いて記録、再生あるいは消去を行うことにより、記録
媒体上に形成される磁区形状およびサイズを制御するこ
とができる。そして、上記の構造の記録媒体と制御され
た記録波形の両方を同時に用いてもよく、また、いずれ
か一方を用いてもよい。
【0008】本発明は、上記構成の光磁気記録媒体を用
い、少なくとも外部印加磁界とレーザ光を用いて情報の
記録、再生もしくは消去を行う方法において、情報の記
録もしくは消去時に、光磁気記録媒体中に流れる熱流を
調整して記録膜上の温度分布を制御することにより記録
磁区の形状もしくはサイズの制御を行う光磁気記録媒体
の記録もしくは消去方法である。そして、具体的には、
記録膜上に形成する磁化反転温度以上の領域と温度勾配
の制御を行うことにより記録磁区の形状もしくはサイズ
を制御する方法である。また、本発明の光磁気記録媒体
の記録もしくは消去方法において、情報の記録もしくは
消去時に用いるレーザパルスの波形を制御することによ
り、記録媒体中に流れる熱流の拡散を3次元的に抑制し
て記録磁区の形状もしくはサイズの制御を行う光磁気記
録媒体の記録もしくは消去方法であり、情報の記録もし
くは消去時に照射するレーザ光を間歇的ないしは不連続
となし、レーザパルスの波形形状を分割制御することに
より記録磁区の形状もしくはサイズの制御を行うもので
ある。本発明の光磁気記録媒体の記録もしくは消去方法
において、情報の記録もしくは消去時に照射するレーザ
光のパルス幅を短くして高パワーのレーザパルスを与え
ることにより、微小領域を磁化反転温度以上に加熱して
短時間に冷却を行うことにより、微小な磁区で形状が対
称的であり、かつエッジ形状がシャープな記録磁区を形
成することができる。さらに、形成される記録磁区の最
も短いピットと、最も長いピットの幅がほぼ等しくなる
ように記録磁区の幅をほぼ一定に制御することができ
る。また、情報の記録時もしくは消去時に光磁気記録媒
体中に流れる熱流を調整して記録膜上の温度分布を制御
することにより、記録磁区のエッジ部分の形状を制御
し、エッジ部分に情報を持たせたピットエッジ記録を行
うこともできる。さらに本発明は、上記構成の光磁気記
録媒体をドライブに装着し、上記した光磁気記録媒体の
記録もしくは消去方法を用いて、情報の記録、再生もし
くは消去を行う手段を少なくとも備えた超高密度記録を
実現することができる光磁気記録再生装置である。
【0009】
【作用】光磁気記録媒体に熱流制御層と熱拡散層を設
け、あるいは記録時の波形を制御して記録を行うことに
より、記録媒体上の温度分布を任意に変えることができ
る。すなわち、磁化反転領域を任意に選択することがで
きることになる。これにより、形成される記録磁区の形
状またはサイズを任意に制御できる。特に、本発明の光
磁気記録媒体を用いて、記録時のパルス波形形状を制御
することにより、微小な磁区の形成も可能となり、高密
度光記録を達成することができる。さらに、記録磁区の
エッジ部分に情報を持たせたピットエッジ記録方式を用
いる場合に、最短ピットと最長ピットの磁区幅をほぼ同
一に形成させることができるので、情報の再生時にエラ
ーを発生することなく信頼性をいっそう向上させること
ができる。
【0010】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。 〈実施例1〉本実施例において作製した光磁気ディスク
の断面構造を摸式的に図1に示す。ディスクの作製は、
すべてスパッタ法を用いて行い、途中で真空を破ること
なく連続的に、それぞれの薄膜の形成を行い積層した。
まず、凹凸の案内溝もしくは案内ピットを形成したガラ
スもしくはプラスチックからなる基板1上に、無機誘電
体層2として、窒化シリコン層を60nmの膜厚に形成
した。次に、光磁気記録膜層3として、TbFeCoT
a膜を25nmの膜厚に形成した。その後に、熱流制御
層4として無機誘電体材料である酸化シリコン層を40
nmの膜厚に形成した。そして最後に、熱拡散層5とし
て、AuTi膜を30nmの膜厚に形成し、4層構造と
した。その後、紫外線硬化型樹脂を用いて記録媒体全体
をコートし光磁気ディスクとした。なお、形成した紫外
線硬化型樹脂層の膜厚は、約30μmであった。上記の
光磁気ディスクを用いて、記録−再生特性の測定を行っ
た。用いた記録波形の一例を図2に示す。この波形は、
記録部6、プリヒート部7、そして熱遮断部8の三つの
部分よりなる。プリヒート部7、および熱遮断部8の二
つは記録ピット間の干渉を抑制するための部分である。
また、プリヒート部7は環境温度変化を抑制するための
役割を持つている。記録部6は、所望の磁区幅を得るた
めに、そのパルス形状を選択すればよい。この記録波形
を用いて記録したときに形成される磁区形状9および得
られた再生時の原波形信号10を図3に示す。なお、記
録磁区の観察には偏光顕微鏡を用いた。ここでは、
(1,7)RLL変調方式を用いて最長磁区と最短磁区
とを繰返したときの信号波形である。ここで、磁区幅w
は0.7μm、磁区長lは、最短ピット12が0.75
μm、そして、最長ピット11が3μmであった。図3
に示すように、この手法を用いればビット長に依存せず
に、波形のセンタで容易にスライスできるので、原波形
検出方式を用いて再生することができる。その時のエッ
ジシフトを、タイムインターバルアナライザにより測定
したところ、±1ns以下(長さで±0.01μm以
下)という優れた値が得られた。ここで比較のために、
第2図に示す記録波形を用い従来構造の光磁気ディスク
に形成された記録磁区のエッジシフトは±3〜5nmを
示した。また、第2図に示す記録波形を用いずに、通常
の矩形波形を用いて記録を行ったところ涙型の記録磁区
が形成され、エッジの形状もパターンに応じて変化する
ので大きなエッジシフトが生じた。そして、エッジシフ
トをタイムインターバルアナライザにより測定した結
果、±20nsと著しく大きい値を示した。しかも、パ
ターン間の干渉が一定ではなく、前後エッジ独立再生方
式を用いてもエッジシフトを吸収することができなかっ
た。さらに、本実施例においては、形成された記録磁区
の磁区幅が一定であり、最長ピット3μmにおいても一
定の磁区幅が得られ、超高密度光記録が可能であった。
【0011】なお、環境温度の変化や記録条件の変化に
対して強くするためには、熱拡散層5の熱伝導率を小さ
くするか、あるいは熱拡散層5の膜厚を薄くしてもよ
い。また、熱流制御層4の熱伝導率を変化させても同じ
効果が得られる。これらの効果は、いずれも記録膜から
見て熱が逃げ難くなる方向である。
【0012】〈実施例2〉本実施例において作製した光
磁気ディスクの断面構造を摸式的に図4に示す。ディス
クの作製は、すべてスパッタ法を用いて行い、途中で真
空を破ることなく連続積層して行った。まず、凹凸の案
内溝もしくは案内ピットを形成したガラスもしくはプラ
スチックからなる基板1上に、無機誘電体材料からなる
無機誘電体層2として、窒化シリコン層を60nmの膜
厚に形成した。光磁気記録膜は3層の積層膜からなり、
第1層目の光磁気記録層3−1として、TbFeCoT
a膜を20nmの膜厚に形成した。次に、第2層目の光
磁気記録層3−2として、PtCo層を10nmの膜厚
に形成した。そして、第3層目の光磁気記録層3−3と
して、DyFeCo膜を50nmの膜厚に形成した。そ
の後に、熱流制御層4として、無機誘電体材料である酸
化シリコン層を40nmの膜厚に形成した。そして最後
に、熱拡散層5として、AuTi膜を30nmの膜厚に
形成して4層の積層構造とした。そして、紫外線硬化型
樹脂を用いて記録媒体全体をコートした。この紫外線硬
化型樹脂層の膜厚は約30μmであった。上記の手順で
作製した光磁気ディスクを用いて、記録−再生特性の測
定を行った。なお、本実施例で作製した光磁気ディスク
は、オーバーライト可能なタイプの光磁気ディスクであ
る。用いた記録波形の一例を図5に示す。この波形は、
記録部13、消去部兼プリヒート部14、そして熱遮断
部15の三つの部分よりなる。この記録波形を用いて、
記録したときに形成される記録磁区16の形状および得
られた再生時の原波形信号17を図6に示す。記録磁区
の観察には、偏光顕微鏡を用いた。ここでは、(1,
7)RLL変調方式を用いて最長磁区と最短磁区とを繰
返したときの信号波形である。図に示すごとく、磁区幅
wは0.55μm、磁区長lは、最短ピットが0.75
μm、そして、最長ピットが3μmである。本実施例の
手法を用いれば、ビット長に依存せずに波形のセンタで
容易にスライスできるので、原波形検出方式を用いて再
生することができる。その時のエッジシフトを、タイム
インターバルアナライザーにより測定したところ、±1
ns以下(長さで±0.01μm以下)と著しく小さ
く、実施例1と同様に優れた記録磁区の形状およびサイ
ズが得られ超高密度光記録が可能であった。
【0013】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の光
磁気記録媒体およびそれを用いた記録、再生または消去
によれば、記録膜に与える熱の流れを精密に制御するこ
とができ、所望する任意の磁区形状および微小磁区を高
精度に形成させることができるので、超高密度光磁気記
録を実現することができる。また、磁区幅を記録のデー
タパターンに依存しないで一定幅の記録磁区を形成させ
ることができ、しかもエッジ部分の形状も磁区長に依存
せずほぼ同一形状を有しているので、高密度記録の手法
の一つであるピットエッジ記録に特に有効である。さら
に、光磁気記録再生装置において、パルス波形形状を制
御しパルスを分割して短いパルスで高いパワーを照射す
ることができる記録回路を有するので超高密度光記録が
達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で作製した光磁気ディスクの
断面構造を示す模式図。
【図2】本発明の実施例1で用いた記録波形の一例を示
す説明図。
【図3】本発明の実施例1の光磁気ディスクの再生時の
原波形信号および形成された記録磁区の形状を示す説明
図。
【図4】本発明の実施例2で作製した光磁気ディスクの
断面構造を示す模式図。
【図5】本発明の実施例2で用いた記録波形の一例を示
す説明図。
【図6】本発明の実施例2の光磁気ディスクの再生時の
原波形信号および形成された記録磁区の形状を示す摸式
図。
【符号の説明】
1…基板 2…無機誘電体層(窒化シリコン層) 3…光磁気記録層(TbFeCoTa層) 3−1…光磁気記録層(TbFeCoTa層) 3−2…光磁気記録層(PtCo層) 3−3…光磁気記録層(DyFeCo層) 4…熱流制御層(酸化シリコン層) 5…熱拡散層(AuTi層) 6…記録部 7…プリヒート部 8…熱遮断部 9…形成された記録磁区 10…再生時の原波形信号 11…最長ピット 12…最短ピット 13…記録部 14…消去部兼プリヒート部 15…熱遮断部 16…形成された記録磁区 17…再生時の原波形信号 18…最長ピット 19…最短ピット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井手 浩 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 土永 浩之 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも外部印加磁界とレーザ光を用い
    て情報の記録、再生もしくは消去を行う光磁気記録媒体
    であって、上記光磁気記録媒体は、光磁気記録材料から
    なる記録膜に接して、レーザ光によって与えられる熱流
    を制御する熱流制御層および上記熱流を拡散する熱拡散
    層のうちの少なくとも1層を積層して設け、情報の記録
    時または消去時において、光磁気記録媒体中に流れる熱
    流を調整して記録膜の温度分布を制御することにより記
    録磁区の形状もしくはサイズを制御する構造としたこと
    を特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    記録膜の温度分布の制御は、記録膜上の磁化反転温度以
    上の領域と温度勾配を制御することにより記録磁区の形
    状もしくはサイズを制御する構造としたことを特徴とす
    る光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    熱流制御層は、熱伝導率または膜厚、もしくはその両方
    を調整した無機誘電体材料薄膜からなり、熱拡散層は、
    熱伝導率または膜厚、もしくはその両方を調整した金属
    もしくは合金薄膜からなることを特徴とする光磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    熱流制御層は、膜厚または熱伝導率、もしくはその両方
    を調整して熱流の抵抗作用を示す熱流抵抗層としたこと
    を特徴とする光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    熱流制御層は、膜厚または屈折率、もしくはその両方を
    調整して光の多重干渉膜となし、熱拡散層は、光の反射
    率を調整して光反射膜としたことを特徴とする光磁気記
    録媒体。
  6. 【請求項6】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    光磁気記録材料からなる記録膜の膜厚は、レーザ光を記
    録膜に透過させる記録媒体においては10〜50nmの
    範囲となし、レーザ光を記録膜に透過させない記録媒体
    においては80〜150nmの範囲とすることを特徴と
    する光磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    熱流制御層の膜厚は5〜50nmの範囲とすることを特
    徴とする光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    熱拡散層は、レーザ光を記録膜に透過させる記録媒体に
    おいては30〜70nmの範囲となし、レーザ光を記録
    膜に透過させない記録媒体においては20〜70nmの
    範囲とすることを特徴とする光磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】請求項1記載の光磁気記録媒体において、
    光磁気記録材料からなる記録膜は、稀土類金属と3d遷
    移金属とのアモルファス合金系の薄膜またはPt−Co
    系超格子構造膜のうちから選ばれる少なくとも1種の薄
    膜からなることを特徴とする光磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】請求項1記載の光磁気記録媒体におい
    て、熱流制御層は、窒化ケイ素、酸化ケイ素のうちから
    選ばれる少なくとも1種の無機化合物を主体とする薄膜
    からなることを特徴とする光磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】請求項1記載の光磁気記録媒体におい
    て、熱拡散層は、Au、AgまたはCuの金属、もしく
    はこれらの金属を主成分とし、Ti、Ta、Nb、C
    r、Alのうちから選ばれる少なくとも1種の元素を添
    加した合金薄膜、またはAlにTi、Ta、Nb、Cr
    のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を添加した合
    金薄膜、もしくはニッケルまたはステンレス鋼からなる
    合金薄膜のうちから選択される少なくとも1種の薄膜に
    よって構成されることを特徴とする光磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】少なくとも外部印加磁界とレーザ光を用
    いて情報の記録、再生もしくは消去を行う方法におい
    て、請求項1ないし請求項11のいずれか1項記載の光
    磁気記録媒体を用い、情報の記録もしくは消去時に、光
    磁気記録媒体中に流れる熱流を調整して記録膜上の温度
    分布を制御することにより記録磁区の形状もしくはサイ
    ズの制御を行うことを特徴とする光磁気記録媒体の記録
    もしくは消去方法。
  13. 【請求項13】請求項12記載の光磁気記録媒体の記録
    もしくは消去方法において、光磁気記録媒体の記録膜上
    の温度分布の制御は、記録膜上に形成する磁化反転温度
    以上の領域と温度勾配の制御を行うことにより記録磁区
    の形状もしくはサイズを制御する方法であることを特徴
    とする光磁気記録媒体の記録もしくは消去方法。
  14. 【請求項14】請求項12または請求項13記載の光磁
    気記録媒体の記録もしくは消去方法において、情報の記
    録もしくは消去時に用いるレーザパルスの波形を制御す
    ることにより、記録媒体中に流れる熱流の拡散を3次元
    的に抑制して記録磁区の形状もしくはサイズの制御を行
    うことを特徴とする光磁気記録媒体の記録もしくは消去
    方法。
  15. 【請求項15】請求項12または請求項13記載の光磁
    気記録媒体の記録もしくは消去方法において、情報の記
    録もしくは消去時に照射するレーザ光を間歇的または不
    連続となし、レーザパルスの波形形状を分割制御するこ
    とにより記録磁区の形状もしくはサイズの制御を行うこ
    とを特徴とする光磁気記録媒体の記録もしくは消去方
    法。
  16. 【請求項16】請求項12または請求項13記載の光磁
    気記録媒体の記録もしくは消去方法において、情報の記
    録もしくは消去時に照射するレーザ光のパルス幅を短く
    して高パワーのレーザパルスを与えることにより、微小
    領域を磁化反転温度以上に加熱した後、短時間に冷却さ
    せることにより、微小磁区で、形状が対称的であり、か
    つエッジ形状がシャープな記録磁区を形成することを特
    徴とする光磁気記録媒体の記録もしくは消去方法。
  17. 【請求項17】請求項12または請求項13記載の光磁
    気記録媒体の記録もしくは消去方法において、情報の記
    録時もしくは消去時に光磁気記録媒体中に流れる熱流を
    調整して記録膜上の温度分布を制御することにより、形
    成される記録磁区の最も短いピットと、最も長いピット
    の幅がほぼ等しくなるように記録磁区の幅をほぼ一定に
    制御することを特徴とする光磁気記録媒体の記録もしく
    は消去方法。
  18. 【請求項18】請求項12または請求項13記載の光磁
    気記録媒体の記録もしくは消去方法において、情報の記
    録時もしくは消去時に光磁気記録媒体中に流れる熱流を
    調整して記録膜上の温度分布を制御することにより、記
    録磁区のエッジ部分の形状の制御を行うことを特徴とす
    る光磁気記録媒体の記録もしくは消去方法。
  19. 【請求項19】少なくとも外部印加磁界とレーザ光を用
    いて情報の記録、再生もしくは消去を行う光磁気記録再
    生装置において、請求項1ないし請求項11のいずれか
    1項記載の光磁気記録媒体を装着し、請求項12ないし
    請求項18のいずれか1項記載の光磁気記録媒体の記録
    もしくは消去方法を用いて、情報の記録、再生もしくは
    消去を行う手段を少なくとも備えたことを特徴とする光
    磁気記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6802073B1 (en) * 1999-06-11 2004-10-05 Tosoh Corporation Magneto-optical recording medium

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