JPH06123323A - エネルギー吸収部材 - Google Patents

エネルギー吸収部材

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JPH06123323A
JPH06123323A JP27199692A JP27199692A JPH06123323A JP H06123323 A JPH06123323 A JP H06123323A JP 27199692 A JP27199692 A JP 27199692A JP 27199692 A JP27199692 A JP 27199692A JP H06123323 A JPH06123323 A JP H06123323A
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energy
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Akiji Anahara
明司 穴原
Yasumi Miyashita
康己 宮下
Yoshiharu Yasui
義治 安居
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Toyota Industries Corp
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Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衝突変形時に突発的な荷重を発生せず、少な
くとも2水準の衝突速度に対応するエネルギーを吸収す
ることによりエアバッグの作動センサーのチューナーと
しても機能でき、しかも部材重量当たりのエネルギー吸
収効率が良いエネルギー吸収部材を提供する。 【構成】 エネルギー吸収部材1は、短繊維が混入され
た繊維強化樹脂により断面円形の筒状部2と底部3とか
らなる有底筒状に形成されている。筒状部2は肉厚が異
なる第1段目2a及び第2段目2bからなり、先端側の
第1段目2aの方が肉薄に形成されている。第1段目2
aの先端は先細のテーパ状でその外径が先端側ほど徐々
に小さくなるように形成されている。第2段目2bと底
部3との連続部の内面、すなわち筒状部2の内面と底部
3の内面とは円弧面により接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエネルギー吸収部材に係
り、詳しくは自動車に装備されるバンパの支持部材やヘ
リコプターの床下部等への使用、あるいは自動車の搭乗
者保護のために採用されているいわゆるエアバッグの作
動センサのチューナーとしての使用に好適なエネルギー
吸収部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車には衝突時における車体及び搭乗
者の保護のため、一般に車体の前後に衝突時の衝撃エネ
ルギーを吸収するバンパが取り付けられている。バンパ
は自動車が障害物と衝突した際に加わる大きな負荷に対
して非可逆的にエネルギーを吸収する必要がある。そし
て、吸収エネルギーを大きくするため、従来からバンパ
本体を支持する支持部材の材質や構造の改良が種々なさ
れている。
【0003】又、ヘリコプターの座席床下部にも不慮の
故障で機体が着地する際の衝撃を少しでも和らげ、特に
搭乗者への影響を軽減するために、軽量でエネルギー吸
収機能の高い部材が求められている。
【0004】例えば、1988年2月18日公開のドイ
ツ特許(3626150)には、繊維強化プラスチック
から成る弾性変形可能な減衰成形体を介してバンパを車
体のステイに取り付けたものが開示されている。減衰成
形体は実質的にリング状に形成され、減衰成形体を形成
する繊維強化プラスチックの強化繊維は周方向に配列さ
れている。そして、減衰成形体はその側面から衝撃力が
加わる状態、すなわち衝撃力が加わる方向に対して減衰
成形体の軸が直交する状態で使用される。
【0005】又、特開昭57−124142号公報には
バンパに使用する衝撃保護用構造材として、図9に示す
ように繊維複合材料(例えばエポキシ樹脂含浸ガラス繊
維)製の条帯21からなる網状組織で円筒状に形成され
た構造体22が提案されている。構造体22は筒の軸方
向に圧縮負荷が加わる状態で使用され、構造体22に軸
方向の荷重が作用すると網状組織の対向する結節点23
において層間剥離を起こし、剪断降伏が繊維とマトリッ
クスとの界面で生ずることによりエネルギーを段階的に
吸収するようになっている。条帯21は構造体22の長
手方向軸線に対して30〜60度の傾斜角をもって傾斜
されている。又、各結節点23は約10層の繊維複合材
料製の条帯21で形成されている。
【0006】又、USP3143321号等には図10
に示すように、円筒体24と、円筒体24の内面に食い
込む凸部25aを備えた固定部材25とからなるエネル
ギー吸収部材が提案されている。このエネルギー吸収部
材も筒の軸方向に圧縮負荷が加わる状態で使用される。
そして、円筒体24が軸圧縮を受けると、凸部25aが
円筒体24を外方に拡張するように作用して、円筒体2
4は継続的に破壊される。
【0007】又、近年、自動車の搭乗者保護のためにい
わゆるエアバッグが採用されている。エアバッグは次の
各部材によって構成されている。衝突を検知するセン
サー、検知した信号をチェックする診断回路、バッ
グ展開用のガスを発生するガス発生装置、乗員の衝突
エネルギーを吸収するバッグ、バッグ、インフレータ
ー等を収納するケース、上記〜を連結固定する金
具。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記ドイツ
特許に開示されたような実質的にリング状の繊維強化プ
ラスチックに、その側面から外力を加えて破壊すると、
変形部位は荷重と同方向の部位のみで破壊され、外力に
対して直角方向の部位は実質的に元のままの形状を残し
破壊されない。従って、部材に荷重を加えた際の圧縮変
形過程で発生する応力と変形量の積(具体的には圧縮荷
重−変位量曲線と変位量を表す軸との間の面積)で表さ
れるエネルギー吸収量が極めて小さく、部材重量当たり
の効率が悪いという問題がある。
【0009】一方、特開昭57−124142号公報に
開示された筒状の衝撃保護用構造材は、筒の軸方向から
圧縮荷重が加わるようにバンパを支持した状態で使用さ
れる。従って、圧縮荷重を加えて破壊を行った場合は全
ての部位が破壊されるため、側方から圧縮荷重が加わっ
た場合に比較して部材重量当たりのエネルギー吸収効率
を高めることができる。しかし、条帯21の交差角が3
0〜60度の網目組織で構成されているため、軸方向の
圧縮荷重が作用すると網目組織の変形により筒状体が小
荷重で容易に圧縮変形するという問題がある。又、バン
パ支持部材のように人体への衝撃を小さくするという条
件がある場合には、荷重の最大値を人体への影響の低い
レベルに抑える必要があり、荷重変動の激しい場合には
全体としてのエネルギー吸収量が小さくなる。従って、
人体への衝撃を小さく、しかも変形時のエネルギー吸収
量を大きくするという要求を満たすためには、突発的な
荷重の発生を防止し、圧縮荷重−変位量曲線をできるだ
け荷重変動の少ない平坦なレベルに保つことが重要とな
る。しかし、この衝撃保護用構造材は変位量の増加に伴
って荷重が逐次低下していくため、エネルギー吸収量が
大きくなり難いという問題がある。
【0010】又、USP3143321号等に開示され
たエネルギー吸収部材では、筒状体の他に筒状体を破壊
するための凸部を有する固定部材を必要とし、凸部と筒
状体との嵌合状態が破壊挙動に大きく影響を与える。そ
して、筒状体と固定部材とが別々に製作されるため、両
者の製作誤差により破壊挙動が不安定になる虞がある。
更に荷重が斜め方向から加えられると円筒体が固定部材
との嵌合部付近から折損し、充分なエネルギー吸収機能
を発揮できない虞もある。
【0011】又、エアバッグが搭乗者に悪影響のないよ
うな低速度の衝突でも誤って作動すると却って危険であ
るため、過剰な作動を防止する必要がある。従って、エ
アバッグの作動センサーは低速衝突に対しては検知信号
を出力せず、エアバッグを作動させるべき限界の衝突速
度で検知信号を出力するようになっている。従って、バ
ンパー及びバンパーレインフォースメントなどの低速度
で衝突した場合の他のエネルギー吸収機能が十分でない
場合は、エアバッグの作動センサーのチューナーとして
は1個のエネルギー吸収部材で2水準の衝突速度に対応
するエネルギーを吸収できるエネルギー吸収部材が必要
となる。しかし、従来はエネルギー吸収部材に、2種以
上の衝突速度に対応して2段階の荷重変化を起こさせ
て、エアバッグの作動センサーのチューナーとして機能
させることは何ら提案されていない。
【0012】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は自動車の衝突時やヘリコプター
のローター故障による着地時の衝撃を和らげ、搭乗者へ
の影響を軽減するため、衝突変形時に突発的な荷重を発
生せず、少なくとも2水準の衝突速度に対応するエネル
ギーを吸収することによりエアバッグの作動センサーの
チューナーとして機能でき、しかも部材重量当たりのエ
ネルギー吸収効率が良いエネルギー吸収部材を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明においては、短繊維が混入され
た繊維強化樹脂で有底筒状に成形し、筒状部内面と底部
内面とを円弧面により接続し、筒状部の肉厚は軸方向に
沿って少なくとも2段階に逐次増加しかつ底部側が厚く
なるとともに、少なくとも筒状部の先端側から途中まで
はその断面積が先端側ほど小さくなるようにかつ軸方向
に連続的に変化するように形成した。
【0014】又、請求項2に記載の発明においては、短
繊維が混入された繊維強化樹脂で有底筒状に成形し、筒
状部内面と底部内面とを円弧面により接続し、筒状部の
肉厚は軸方向に沿って少なくとも2段階に逐次増加しか
つ底部側が厚くなるとともに、筒状部の先端側から底部
との接続部まで全長にわたってその断面積が先端側ほど
小さくなるようにかつ軸方向に連続的に変化するように
形成した。
【0015】
【作用】本発明のエネルギー吸収部材は筒状部の軸方向
から圧縮荷重を受けるように取り付けられる。エネルギ
ー吸収部材の軸方向に荷重がかかると、断面積の小さな
筒状部の先端部から徐々に破壊が始まり、逐次底部側へ
破壊部位が伝播する。そして、複数のレベルの圧縮荷重
に対応して肉厚の異なる部分の筒状部が圧縮破壊され
る。従って、圧縮破壊の際に肉厚に対応したほぼ一定の
荷重レベルを保った状態で段階的に荷重レベルが増加す
る。筒状部内面と底部内面とが円弧面で接続されている
ため、接続部に応力集中による破断が発生せず、継続的
な安定した破壊が持続して大きなエネルギーが吸収され
る。又、筒状部の全周にわたって全ての部位で座屈破壊
を起こしてエネルギーが吸収され、部材重量当たりのエ
ネルギー吸収効率が良くなる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明を具体化した第1実施例を図
1〜図4に従って説明する。図1及び図2に示すよう
に、エネルギー吸収部材1は、断面円形の筒状部2と底
部3とからなる有底筒状に形成されている。筒状部2は
肉厚が異なる第1段目2a及び第2段目2bからなり、
先端側の第1段目2aの方が肉薄に形成されている。す
なわち、筒状部2の肉厚は軸方向に沿って2段階に逐次
増加し、かつ底部3側が厚くなるように形成されてい
る。第1段目2a及び第2段目2bは外径が同じで内径
が異なっている。第1段目2aの先端は先細のテーパ状
でその外径が先端側ほど徐々に小さくなるように形成さ
れている。第1段目2aと第2段目2bとはその連続部
がテーパ状に形成されている。第2段目2bと底部3と
の連続部の内面、すなわち筒状部2の内面と底部3の内
面とは円弧面により接続されている。底部3は自動車フ
レーム等への取付けに使用されるが、破壊されずエネル
ギー吸収に寄与しないので、あまり厚くして大きな重量
を持たせることは、軽量化に反し好ましくない。従っ
て、底部3は筒状部2が破壊される荷重に耐えられる厚
さがあればよい。
【0017】エネルギー吸収部材1の素材には短繊維が
混入された樹脂すなわち繊維強化樹脂(FRP)が使用
されている。樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂
のいずれであってもよいが、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹
脂に比較して成形硬化に時間を要し、コスト高となるた
め一般的に熱可塑性樹脂の方が好適である。混入される
短繊維の長さ、含有率などは自由に選択できるが、繊維
長さの長い方が、又、繊維含有率の多い方が、いずれも
大きな破壊荷重を発生し、大きなエネルギー吸収効果を
有するので好ましい。又、成形は主に射出成形で行われ
る。但し、先端のテーパ部は切削加工で形成する場合も
ある。
【0018】このエネルギー吸収部材1は軸方向から圧
縮荷重を受ける状態で、バンパの支持部材としてあるい
は、直接荷重が作用する衝撃保護部材として使用され
る。そして、自動車フレーム等への取付けは、底部3に
小径の孔を設けてボルト締め等の手段により行われる。
エネルギー吸収部材1が軸方向の圧縮荷重を受けると、
筒状部2の先端部がテーパ状に形成されて先端程肉薄に
なっているため、小さな荷重で容易に破壊される。従っ
て、遅い衝突速度でも破壊し、突発荷重が発生せず搭乗
者に衝撃を与えない。筒状部2の先端のテーパは筒状部
2の外面側に設ける方が、破壊の伝播が継続的に円滑に
起きる傾向があるので、外面側に設ける方が好ましい。
エネルギー吸収部材1の先端面の面積及びテーパ角度θ
は、圧縮変形時に許容される最大荷重と荷重速度によっ
て決定される。発生する最大荷重を小さくするためには
先端面の面積を小さくする。又、荷重速度が大きい場合
には傾斜角度を大きくとる方が好ましい。テーパの角度
θは、先端の鋭い方が破壊が滑らかに開始、継続される
が、エネルギー吸収量が減るので30〜60度が好適で
ある。
【0019】筒状部2の先端で発生した破壊は隣接部に
波及し、次々と連続的に破壊が進展して大きなエネルギ
ーを吸収する。圧縮破壊すると、筒状体は筒状体の全周
にわたって全ての部位で座屈破壊を起こしてエネルギー
を吸収する。従って、筒状部2を構成する材料の重量が
小さいにも拘らず、大きなエネルギーを吸収し、極めて
効率のよい優れたエネルギー吸収部材となる。もし筒状
部2全体が対等の強度を持った部位で構成されている
と、圧縮荷重により筒状部全体の中の最も弱い部分で破
壊(座屈)が発生して筒状の形態を保持できなくなる。
その結果、残された部位には荷重が伝播されず、継続的
な破壊が行われないため、最終的な全体の吸収エネルギ
ーは極めて小さなレベルになる。
【0020】筒状部2に圧縮荷重が加えられると、先端
部の破壊が次第に伝播して底部3側へ移動してくる。筒
状部2と底部3との接続部が円弧面ではなく角状である
と、前記の過程で接続部に応力集中が起こり、破壊が到
達する前に亀裂を生じて破壊し易くなる。しかし、筒状
部2と底部3との接続部が円弧面で接続されているため
接続部に応力集中が発生せず、筒状部2は確実に先端部
から底部3に向かって逐次破壊され、大きなエネルギー
を吸収する。
【0021】筒状体が破壊される場合、その荷重(エネ
ルギー)は筒状体の肉厚にほぼ比例する。この実施例の
エネルギー吸収部材1は筒状部2の肉厚が2段階に変化
しているため、第1段目2aの破壊が終了するまでは、
第1のレベルに荷重が保持され、その後、肉厚部1bの
破壊が起こり第2のレベルに荷重が上昇する。すなわ
ち、遅い衝突速度に対しては第1段目2aのみが破壊さ
れ、更に速い衝突速度に対しては次第に第2段目2bの
部分までもが破壊される。従って、1個の部材で2種の
レベルの異なる衝突速度に対応可能である。又、どの程
度の衝突速度までを対象とするかによって筒状部2の肉
厚が設定される。
【0022】強化用の短繊維として長さの異なるガラス
繊維を含有率30%で混入したポリプロピレンを使用し
て射出成形により製造したエネルギー吸収部材1に対し
て、軸方向からの圧縮荷重を加えた場合の圧縮荷重と変
位量との関係を測定した結果を図3,4に示す。但し、
図3はガラス繊維の長さが3mm、図4はガラス繊維の
長さが12mmの場合を示す。なお、エネルギー吸収部
材1の各部の寸法は次の通りである。
【0023】第1段目の肉厚t1 :4mm、第2段目の
肉厚t2 :7mm、筒状部外径φ:60mm、第1段目
の長さL1 :30mm、第2段目の長さL2 :50m
m、底部肉厚t3 :10mm、筒状部と底部との接続部
の曲率半径R:5mm、先端部テーパ角度θ:60度、
最先端の肉厚t0 :1.5mm。
【0024】ガラス繊維の長さが3mm及び12mmの
いずれの場合も、圧縮初期に大きな荷重が発生せず2段
階に荷重が変動している。そして、第1段の荷重から第
2段の荷重への上昇は、変位量が30mmの時点で起こ
っている。すなわち、エネルギー吸収部材1の肉厚の2
段階の変化に対応して、エネルギー吸収レベルが2段階
に変化している。ガラス繊維の長さが長い方が、荷重の
変動が幾分少ないようであるが、両者に本質的な差異は
認められない。
【0025】この実施例のようにエネルギー吸収部材1
の肉厚が2段に変化し、エネルギー吸収レベルが2段階
に変化するエネルギー吸収部材1は、自動車の搭乗者保
護のために用いられるエアバッグの作動センサーのチュ
ーナーとして好適に用いられる。
【0026】(実施例2)次に第2実施例を図5〜図7
に従って説明する。この実施例では筒状部2の第1段目
2a及び第2段目2bの形状が前記実施例のものと異な
っている。すなわち、前記実施例では第1段目2a及び
第2段目2bともそれぞれ肉厚が一定であったのに対し
て、この実施例では図7に示すように、第1段目2a及
び第2段目2bとも底部3に向かって肉厚となる僅かな
テーパ状に形成されている。このテーパの角度は筒状部
2の先端に設けられた大きな角度(ほぼ30〜60度)
とは全く異なる極めて小さな角度(通常3度以下程度)
である。このように僅かなテーパを設けることにより、
底部3に近い部位程大きな荷重で破壊する形を確実にと
り、先端からの継続的な破壊が助長される。
【0027】前記実施例と同様に製造したエネルギー吸
収部材1に対して、軸方向からの圧縮荷重を加えた場合
の圧縮荷重と変位量との関係を測定した結果を図5及び
図6に示す。但し、図5はガラス繊維の長さが3mm、
図6はガラス繊維の長さが12mmの場合を示す。な
お、エネルギー吸収部材1の各部の寸法は次の通りであ
る。
【0028】第1段目の先端テーパ基端の肉厚t1 :4
mm、第2段目に移る前の肉厚t4:5mm、第2段目
に移った後の肉厚t5 :7mm、第2段目の底部に近い
部位の肉厚t6 :8mm、筒状部外径φ:60mm、第
1段目の長さL1 :30mm、第2段目の長さL2 :5
0mm、底部肉厚t3 :10mm、筒状部と底部との接
続部の曲率半径R:5mm、先端部テーパ角度θ:60
度、最先端の肉厚t0:1.5mm。
【0029】ガラス繊維の長さが3mm及び12mmの
いずれの場合も、前記実施例に比較して第2段目2bの
破壊の際の荷重が若干増大傾向にあるが、破壊荷重の変
動が安定的に持続して、大きなエネルギーを吸収してい
る。又、第1段の荷重から第2段の荷重への上昇は、前
記実施例の場合と同様に明瞭に肉厚の2段階の変化に対
応して起こっている。
【0030】なお、本発明は前記両実施例に限定される
ものではなく、例えば、筒状部2の肉厚の変化を3段階
以上となるようにしてもよい。この場合は肉厚が必ず一
方向に向かって逐次厚くなっていることが必要である。
その理由はエネルギー吸収部材の破壊が連続的に円滑に
進み、筒状部の一端から全壁面が無駄なく破壊するの
は、断面積の最も小さな筒状部の先端で発生した破壊が
隣接部位に伝播して連続的に破壊が進展することによる
からである。もし肉厚すなわち断面積の順序がランダム
であれば、荷重の増加により筒状部の破壊もランダムな
位置で進行し、取り残された肉厚部は、それを支持する
部位の崩壊により所定の姿勢を維持できず、その機能を
発揮できない虞が大きい。
【0031】又、筒状部2の先端をテーパ状に形成する
代わりに、図8(a)に示すように筒状部2の先端すな
わち第1段目2aの先端部を軸に対して30度以下の角
度で斜めに切り取った形状に形成してもよい。切り取り
箇所は1か所でも複数箇所でもよい。この形状でも第1
段目2aの先端部はその断面積が先端側ほど徐々に小さ
くなるようにかつ軸方向に連続的に変化するようになっ
ている。従って、このような形状のエネルギー吸収部材
1の場合も、筒状部2の先端面に軸と直交する平板状の
部材を介して圧縮荷重が加われば、断面積の最も小さな
筒状部2の先端から破壊が連続的に底部3側へと進展す
る。又、第1段目2aの先端部を斜めに切り取った形状
にするとともにテーパ状に形成してもよい。
【0032】又、前記両実施例では筒状部2の内面側に
張り出すようにして階段状の厚さ変化が形成されていた
が、図8(b)に示すように外面側に張り出すようにし
てもよい。しかし、前者の形状の方が射出成形の際の型
抜きがし易い点で好適である。又、肉厚の異なる各段部
を全て底部側が厚くなる緩いテーパ状に形成する代わり
に、少なくとも初期段階で破壊する肉薄側の1段目をテ
ーパ状に形成してもよい。
【0033】又、前記エネルギー吸収部材1でバンパ
(図示せず)を支持する場合、バンパの支持を容易にす
るために図8(b)に鎖線で示すように、筒状部2の先
端に蓋体4を取付け、蓋体4を介してバンパを支持して
もよい。又、筒状部2の形状は製作容易性の点からは円
筒状が好ましいが、角筒状でもよい。しかし、角筒状と
する場合には、各面の接合部が角状となって異常な応力
集中が生じるのを防止するため、接合部を曲面とするの
が好ましい。又、素材のFRPを構成する強化繊維とし
てガラス繊維に代えてカーボン繊維、アラミド繊維等の
高強度の物性をもった各種の機能繊維を使用してもよ
い。又、エネルギー吸収部材をバンパの支持部材やエア
バッグの作動センサーのチューナーとして使用する他
に、直接衝撃荷重を受ける衝撃吸収部材あるいはヘリコ
プターの座席床下部等に適用してもよい。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように本発明のエネルギー
吸収部材は、破壊される際に筒状体の面積の小さな側の
端部から徐々に破壊が始まり、次に面積の大きな底面に
近い部位が継続的に破壊し、それぞれにほぼ一定の荷重
レベルを保って少なくとも2段階に変化し、しかもエネ
ルギー吸収部材の底面を除く全ての部位で座屈破壊を起
こしてエネルギーを吸収するので、エネルギー吸収量が
大きくなるとともに部材重量当たりのエネルギー吸収効
率が良くなる。又、少なくとも2水準の衝突速度に対応
するエネルギーを吸収できるため、エアバッグの作動セ
ンサーのチューナーとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例のエネルギー吸
収部材の断面図である。
【図2】同じくエネルギー吸収部材の概略斜視図であ
る。
【図3】第1実施例のエネルギー吸収部材(ガラス繊維
長さ3mm)に軸方向荷重を加えた場合の圧縮荷重−変
位量の関係を示すグラフである。
【図4】第1実施例のエネルギー吸収部材(ガラス繊維
長さ12mm)に軸方向荷重を加えた場合の圧縮荷重−
変位量の関係を示すグラフである。
【図5】第2実施例のエネルギー吸収部材(ガラス繊維
長さ3mm)に軸方向荷重を加えた場合の圧縮荷重−変
位量の関係を示すグラフである。
【図6】第2実施例のエネルギー吸収部材(ガラス繊維
長さ12mm)に軸方向荷重を加えた場合の圧縮荷重−
変位量の関係を示すグラフである。
【図7】第2実施例のエネルギー吸収部材の断面図であ
る。
【図8】(a)は変更例のエネルギー吸収部材の概略斜
視図、(b)は別の変更例のエネルギー吸収部材の断面
図である。
【図9】従来の衝撃保護用構造材を示す概略斜視図であ
る。
【図10】従来のエネルギー吸収部材を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1…エネルギー吸収部材、2…筒状部、2a…第1段
目、2b…第2段目、3…底部。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短繊維が混入された繊維強化樹脂で有底
    筒状に成形し、筒状部内面と底部内面とを円弧面により
    接続し、筒状部の肉厚は軸方向に沿って少なくとも2段
    階に逐次増加しかつ底部側が厚くなるとともに、少なく
    とも筒状部の先端側から途中まではその断面積が先端側
    ほど小さくなるようにかつ軸方向に連続的に変化するよ
    うに形成したエネルギー吸収部材。
  2. 【請求項2】 短繊維が混入された繊維強化樹脂で有底
    筒状に成形し、筒状部内面と底部内面とを円弧面により
    接続し、筒状部の肉厚は軸方向に沿って少なくとも2段
    階に逐次増加しかつ底部側が厚くなるとともに、筒状部
    の先端側から底部との接続部まで全長にわたってその断
    面積が先端側ほど小さくなるようにかつ軸方向に連続的
    に変化するように形成したエネルギー吸収部材。
JP27199692A 1992-10-09 1992-10-09 エネルギー吸収部材 Expired - Lifetime JP3141570B2 (ja)

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