JPH0611909U - 主軸貫通孔仕様ドリルユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 中心に貫通孔を設けたドリル（オイルホ−ル
ドリル）を使用してドリル先端に冷却液や切削液を供給
する孔明け方法を採用できるコンパクトな構造のドリル
ユニットを提供する。 【構成】 主軸を回転可能に支持する円柱部材（クイ
ル）を本体に設けた１個の摺動面により、面方向に拘束
して軸方向に移動可能にする。主軸を円柱部材に対して
回転駆動するモ−タおよび動力伝達機構が円柱部材に固
定され、主軸の軸方向送りに伴って一緒に移動する。本
体に対して円柱部材を軸方向に駆動するボ−ルネジ等の
第２駆動手段は、モ−タよりも工具側に配置され、主軸
はクイルおよび動力伝達機構を貫通して工具の反対側で
液体供給手段に接続される。主軸の中心には貫通孔が設
けられ、液体供給手段から供給された液体は主軸の全長
を貫通して工具側に供給される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主軸の中心に設けた貫通孔を通じて工具先端に冷却液や切削液を供 給可能な主軸貫通孔仕様ドリルユニットに関する。

【０００２】

【従来の技術】

マシニングセンタや高自由度ロボットア−ムに装着されるクイル式ドリルユニ ットは、シリンダ内を往復するプランジャ（クイル）内に加工主軸を保持させて 軸方向に案内するもので、通常、クイル内に加工主軸の軸方向の駆動機構等も組 み込まれ、１個のシリンダ面によって主軸が軸方向に垂直な面内で剛性高く保持 されるため、平面状あるいは軌道状の２つの案内面で主軸を保持して軸方向に案 内する従来方式に比較して、ドリルユニットの機械的剛性を維持したまま全体構 造を大幅に小型化できる。

【０００３】 従来の一般的なクイル式ドリルユニットは、円筒シリンダ面状の摺動面を設け た本体と、この摺動面に摺動して軸方向移動可能なクイルと、クイル内に同軸に 保持されてクイルに対して回転可能な主軸と、本体に固定されて主軸を駆動して クイルに対して回転駆動するモ−タと、クイルに内蔵されて本体に対してクイル を軸方向に駆動する駆動手段とを有する。ここで、モ−タは、主軸の軸方向で動 力伝達部分を移動可能な特別な動力伝達機構を介して主軸に連絡され、モ−タの 後方（工具の反対側）でクイルに連結される駆動手段には、クイル自体を被圧プ ランジャとして用いる油圧または空気圧機構、クイルの外側に設けたモ−タで送 りねじを駆動する機構等が採用される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

直径に比較して著しく深い孔の加工、難切削材の加工、工具の超高速回転によ る加工、特殊な重切削等においては、中心に貫通孔を設けたドリルを使用してド リル先端に冷却液や切削液を供給する方法が選択されるが、従来のクイル式ドリ ルユニットでは、この方法の利用が困難である。すなわち、従来のクイル式ドリ ルユニットは、主軸まわりの構造が複雑で、クイルの外側および背後に主軸の案 内構造と駆動機構が配置されるから、冷却液や切削液の供給機構をクイルに追加 して組み込むのは困難で、クイルよりも工具側で主軸にド−ナツ状の輸液機構を 設けて側方から供給するほかなく、輸液機構が工具側におけるドリルユニットの 干渉を増し、主軸に横孔が形成されると主軸の剛性が減少する。また、クイルの 背後に圧力シリンダを配置した場合、クイルを本体から軸方向に繰り出したとき に主軸支持が片持ち状に近くなり、クイルの支持剛性が不足して加工精度が劣化 する。

【０００５】 本考案は、従来のクイル式ドリルユニットの利点を損なうことなく、簡単な機 構の追加によって中心に貫通孔を設けたドリルを使用してドリル先端に冷却液や 切削液を供給できるようにし、クイルの支持剛性も十分に確保した主軸貫通孔仕 様ドリルユニットを提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

請求項１の主軸貫通孔仕様ドリルユニットは、円筒シリンダ面状の摺動面を設 けた本体と、該摺動面に摺動して軸方向移動可能な円柱部材と、該円柱部材内に 同軸に保持されて該円柱部材に対して回転可能な主軸と、該主軸を駆動して前記 円柱部材に対して回転させる第１駆動手段と、前記円柱部材を駆動して前記本体 に対する前記軸方向移動を行なわせる第２駆動手段と、を有するドリルユニット において、前記主軸の中心に貫通孔を設け、前記主軸に対する第１駆動手段の動 力伝達機構よりも外側の末端位置で前記主軸に液体供給手段を接続したものであ る。

【０００７】 請求項２の主軸貫通孔仕様ドリルユニットは、請求項１の主軸貫通孔仕様ドリ ルユニットにおいて、前記円柱部材、前記主軸、および第１駆動手段の位置関係 が前記軸方向に関して固定され、前記軸方向移動に伴って第１駆動手段が前記本 体に対して軸方向移動するものである。

【０００８】 請求項３の主軸貫通孔仕様ドリルユニットは、請求項１〜２いずれかの主軸貫 通孔仕様ドリルユニットにおいて、前記円柱部材に固定してその直径方向に突出 させた案内部に前記軸方向移動に平行な貫通孔を設け、該貫通孔に摺動して前記 軸方向移動を前記円柱部材の外側で案内する補助案内軸を、前記本体に両端支持 で固定して設けたものである。

【０００９】

【作用】

請求項１の主軸貫通孔仕様ドリルユニットでは、従来のクイル式ドリルユニッ トと同様に、本体の１個の摺動面が円柱部材を面方向に拘束して、孔明けに必要 な加工剛性を主軸に付与し、主軸は、摺動面における円柱部材の摺動に伴って孔 明け方向に案内される。また、第１駆動手段は、円柱部材に対して主軸を回転駆 動して孔明けに必要な動力を主軸に供給し、第２駆動手段は、本体に対して円柱 部材を軸方向駆動して孔明けに必要な抗力を主軸に供給する。

【００１０】 しかし、主軸の中心に貫通孔を設け、工具と反対側の主軸末端に液体供給手段 を接続しているから、主軸末端では貫通孔内に液体供給手段から冷却液や切削液 等の液体が軸方向に流入し、液体は、そのまま貫通孔を軸方向に流れて工具側に まで供給される。また、主軸は、第１駆動手段の動力伝達機構を貫通してその外 側にまで達し、液体供給手段は、主軸のストロ−ク範囲において動力伝達機構に 干渉しない動力伝達機構の外側の位置に配置されるから、回転シ−ル機構を含む その設計構造の選択の自由度が高く、工具側におけるドリルユニットの干渉も小 さいままである。

【００１１】 請求項２の主軸貫通孔仕様ドリルユニットでは、主軸と第１駆動手段の位置関 係が軸方向に関して固定されて、第１駆動手段が円柱部材と一緒に軸方向移動す るから、動力伝達機構は主軸の一定位置に動力を伝達するものでよく、主軸の軸 方向で動力伝達部分を移動可能な特別な機構、換言すれば主軸のストロ−クを吸 収する機構は不要である。

【００１２】 請求項３の主軸貫通孔仕様ドリルユニットでは、補助案内軸が両端支持によっ て本体に剛性高く固定され、補助案内軸が案内部を介して円柱部材を外側から面 方向に拘束して主軸の支持剛性を追加するから、本体から円柱部材を引き出した 状態でも孔明けに必要な加工剛性を確保できる。

【００１３】

【実施例】

本考案の実施例を図面を参照して説明する。

【００１４】 図１は実施例の主軸貫通孔仕様ドリルユニットの模式図である。ここでは、主 軸の中心に貫通孔を設けて主軸末端に液体供給手段を接続し、第１駆動手段が円 柱部材と一緒に軸方向移動し、両端支持された補助案内軸が円柱部材を外側から 面方向に追加的に拘束する形式の主軸貫通孔仕様ドリルユニットが示され、図中 (a) は側面図、(b) は下から見た平面図である。

【００１５】 図１において、本体ボディＤには１個の円筒面からなる摺動部Ｄ１、Ｄ２が形 成され、摺動部Ｄ１、Ｄ２の表面にはオイルシ−ルを含む図示しないスライドベ アリング構造が設けられる。摺動部Ｄ１、Ｄ２内には円柱状のクイルＫが挿入さ れて、軸方向に垂直な面方向に拘束され、クイルＫは、摺動部Ｄ１、Ｄ２に摺動 して軸方向に移動可能である。

【００１６】 クイルＫ内に設けた図示しないボ−ルベアリングによってクイルＫ内に同軸に 保持された主軸Ｓは、クイルＫに対して回転可能であり、プ−リハウジングＨ１ を介してクイルＫに固定されたモ−タＭ１は、回転数を調整可能な可変速モ−タ （例えば、インバ−タ式交流電源で駆動される誘導モ−タやＡＣまたはＤＣサ− ボモ−タ）であって、プ−リハウジングＨ１内に収納されたベルト機構Ｂ１を介 して主軸ＳをクイルＫに対して回転駆動する。プ−リハウジングＨ２を介して本 体ボディＤに固定されたモ−タＭ２は、回転数を調整可能な可変速モ−タ（例え ば、作動油の流量調整によって自在な回転数を設定可能な油圧モ−タやＡＣまた はＤＣサ−ボモ−タ）である。本体ボディＤに対して回転可能に両持ち支持され たボ−ルネジＮは、プ−リハウジングＨ２内に収納されたベルト機構Ｂ２を介し てモ−タＭ２により回転駆動されて、クイルＫに一端を固定してボ−ルネジＮに 組み合わせた図示しない駆動部（案内部Ｋ１の背後）を軸方向に移動させる。本 体ボディＤに対して両持ち固定されたガイドバ−Ｇは、クイルＫに一端を固定し た案内部Ｋ１を軸方向に案内する。

【００１７】 主軸Ｓの中心には貫通孔Ｓ１が形成され、貫通孔Ｓ１は、プ−リハウジングＨ １の外側位置で主軸Ｓの端部に取り付けた回転継手Ｃを主軸Ｓの先端に取り付け たツ−ルホルダ−Ｔに連通させて、配管Ｃ１から供給される冷却液をドリルにま で至らせる。

【００１８】 このように構成された実施例の主軸貫通孔仕様ドリルユニットでは、可変速の モ−タＭ２の回転数を制御して、本体ボディＤに対するクイルＫの移動速度を調 整することによって、主軸Ｓに自在な加工送り速度を設定できる。また、可変速 のモ−タＭ１によって、主軸Ｓに自在な回転数が設定される。さらに、本体ボデ ィＤに対するクイルＫの移動に伴って、主軸Ｓとともにプ−リハウジングＨ１お よびモ−タＭ１が一緒に本体ボディＤ内で矢印のように移動する。また、配管Ｃ １から供給された冷却液がツ−ルホルダ−Ｔに供給される一方で、主軸Ｓの回転 が回転継手Ｃによって吸収される。

【００１９】 そして、実施例の主軸貫通孔仕様ドリルユニットでは、モ−タＭ１を背負った ままクイルＫが移動する構造としたので、ベルト機構Ｂ１がモ−タＭ１および主 軸Ｓに対して軸方向に固定された簡単なものになり、一方、クイルＫは、摺動部 Ｄ１、Ｄ２のスパンで両持ち支持されると同時にガイドバ−Ｇによって外側から も支持されるから、主軸Ｓを最大限に繰り出した状態でもドリルユニットの加工 剛性が大きく、クイルＫとガイドバ−Ｇとボ−ルネジＮが本体ボディＤ側の１つ の部品で案内するから、精度を要する加工がこの１つの部品上に集約されて組み 立てが容易であり、クイルＫは太径で統一されるから、クイルＫ自体の剛性が高 まるとともに摺動部Ｄ１、Ｄ２の支持スパンを大きくして支持剛性も高まり、ク イルＫの直進性も改善された。

【００２０】 また、冷却液は回転継手Ｃから主軸Ｓの軸方向に供給されるため、主軸Ｓに高 回転数を設定しても遠心力が冷却液の供給を妨げることがなく、回転継手Ｃは単 に回転を吸収するだけでよいから、市販の基準品の中から耐圧１００kgf/cm² 最 高回転数１００００rpm 程度のものを選択してそのまま利用できた。実施例の主 軸貫通孔仕様ドリルユニットは、全体がコンパクトに構成されてツ−ルホルダ− Ｔ側での干渉も小さく、縦、横、斜め、上向き、下向きと取り付け方向の制限が ない。

【００２１】

【考案の効果】

請求項１の主軸貫通孔仕様ドリルユニットによれば、主軸の貫通孔を通じて工 具側に冷却液や切削液を供給できるので、中心に貫通孔を設けたドリル（オイル ホ−ルドリル）を使用してドリル先端に冷却液や切削液を供給する孔明け方法を 採用できるから、直径に比較して著しく深い孔の加工、難切削材の加工、工具の 超高速回転による加工、特殊な重切削等の用途が追加される。また、主軸の貫通 孔内に液体は液体供給手段から軸方向に流入するから、主軸に直径方向の孔を設 ける必要がなく、従って、主軸の剛性が損なわれず、主軸の回転による遠心力が の流入を妨げることもない。さらに、液体供給手段に対する設計構造の選択の自 由度が高いから制作容易であり、工具側におけるドリルユニットの干渉が小さい から挟所での孔明け作業や多関節ロボットア−ム等によるドリルユニットの遠隔 操作も容易である。

【００２２】 請求項２の主軸貫通孔仕様ドリルユニットによれば、動力伝達機構が主軸の一 定位置に動力を伝達する簡単なものでよく、ドリルユニットの部品点数が削減さ れて全体構造と組み立て作業も簡単になり、故障等の可能性も減少してドリルユ ニットの信頼性が向上する。

【００２３】 請求項３の主軸貫通孔仕様ドリルユニットによれば、補助案内軸によって主軸 の剛性が高まる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の主軸貫通孔仕様ドリルユニットの模式
図である。

【符号の説明】

Ｃ 回転継手 Ｄ 本体ボディ Ｇ ガイドバ− Ｋ クイル Ｎ ボ−ルねじ Ｓ 主軸 Ｂ１ ベルト機構 Ｂ２ ベルト機構 Ｃ１ 配管 Ｄ１ 摺動部 Ｄ２ 摺動部 Ｈ１ プ−リハウジング Ｈ２ プ−リハウジング Ｋ１ 案内部 Ｍ１ モ−タ（可変速） Ｍ２ モ−タ（可変速）

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒シリンダ面状の摺動面を設けた本体
   と、該摺動面に摺動して軸方向移動可能な円柱部材と、
   該円柱部材内に同軸に保持されて該円柱部材に対して回
   転可能な主軸と、該主軸を駆動して前記円柱部材に対し
   て回転させる第１駆動手段と、前記円柱部材を駆動して
   前記本体に対する前記軸方向移動を行なわせる第２駆動
   手段と、を有するドリルユニットにおいて、前記主軸の
   中心に貫通孔を設け、前記主軸に対する第１駆動手段の
   動力伝達機構よりも外側の末端位置で前記主軸に液体供
   給手段を接続したことを特徴とする主軸貫通孔仕様ドリ
   ルユニット。
2. 【請求項２】 請求項１の主軸貫通孔仕様ドリルユニッ
   トにおいて、前記円柱部材、前記主軸、および第１駆動
   手段の位置関係が前記軸方向に関して固定され、前記軸
   方向移動に伴って第１駆動手段が前記本体に対して軸方
   向移動することを特徴とする主軸貫通孔仕様ドリルユニ
   ット。
3. 【請求項３】 請求項１〜２いずれかの主軸貫通孔仕様
   ドリルユニットにおいて、前記円柱部材に固定してその
   直径方向に突出させた案内部に前記軸方向移動に平行な
   貫通孔を設け、該貫通孔に摺動して前記軸方向移動を前
   記円柱部材の外側で案内する補助案内軸を、前記本体に
   両端支持で固定して設けたことを特徴とする主軸貫通孔
   仕様ドリルユニット。