JPH0611470A - 低分子量有機液体検知センサおよびこれを用いた検知装置 - Google Patents

低分子量有機液体検知センサおよびこれを用いた検知装置

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JPH0611470A
JPH0611470A JP4282993A JP4282993A JPH0611470A JP H0611470 A JPH0611470 A JP H0611470A JP 4282993 A JP4282993 A JP 4282993A JP 4282993 A JP4282993 A JP 4282993A JP H0611470 A JPH0611470 A JP H0611470A
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organic liquid
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low molecular
conductive layer
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JP4282993A
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Inventor
Toshio Kudo
敏夫 工藤
Masaaki Nagai
正章 永井
Yasuo Shiraiwa
康雄 白岩
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Tatsuno Corp
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Tatsuno Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 センサSは、低分子量有機液体と接触するこ
とにより電気抵抗が変化する、熱可塑性エラストマと導
電性カーボンとを主体とし、且つショアA硬度が70以
下で実質的に未架橋の材料からなる導電層を芯材上に被
覆してなる線状体であって、検知装置Xは、上記センサ
Sと、望ましくはこのセンサSを収納しかつ保護する多
孔体と、このセンサSと電気的に接続される電気抵抗変
化検出手段Tと、この電気抵抗変化を警報信号として発
信する手段Kとで構成される。 【効果】 線状体であるので、長手方向において低分子
量有機液体を高感度のセンシングが可能となり、狭い管
路内やパイプに沿う広範囲の布設が容易になる。また、
地下水レベルの変動にも追随して低分子量有機液体の検
知が可能であり、既設の漏液検知孔がそのまま利用でき
て設置コストが低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガソリンや軽油などの
低分子量有機液体の存在を検知するのに好適な低分子量
有機液体検知センサおよびこれを用いた検知装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ガソリン等の低分子量有機液体を検知す
るセンサの一つとして、吸液膨潤性のゴム等に導電性カ
ーボンを分散させた導電シートに常時通電しておき、ガ
ソリン等が前記導電シートに付着した時の膨潤によるカ
ーボン粒子間の拡開によって電気抵抗が増大する現象を
利用したものがある。例えば本出願人は特開平3−96
846号公報において、従来品に比べセンシング対象の
液体やその蒸気と接触したときの膨潤性に優れた、高感
度シート状液体検知センサを提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなシート状
センサは、例えば漏液センサとして使用した場合、液体
の漏洩が予め予測されているような場所に設置すると
き、すなわちポイント型センサとして使用するときは有
用であるが、液体漏洩箇所が予測し難く、広範囲にわた
ってセンサを設置する必要がある場合、すなわちエリア
型センシングが必要な場合は、前記のようなシート状セ
ンサを全域に敷設したのではコストアップが甚だしく、
工業的に実用のレベルの検知システムが構築できないと
いう問題がある。
【0004】また液体検知のための導電層は、高感度と
するためには薄層化することが望ましいが、上記シート
状センサを薄層化した場合、機械的強度を確保するため
に補強シートを片面に貼付する必要があり、この場合補
強シート側の面の検知感度が低下するという不都合があ
る。
【0005】さらに、実公昭54−15672号公報に
は、石油漏れ検知のためにエポキシ樹脂等に導電性粉末
を分散させた抵抗体をセンシング素子として使用するこ
とが記載されているが、かかる材料からなる抵抗体は押
出等の加工性が悪く、所望形状への二次加工が困難であ
るという欠点がある。
【0006】ガソリンスタンド等においては、地下タン
クの周辺に設けた直径30mm程度の漏液検知孔に週1回
程度棒を挿入し、該棒への油の付着の有無から漏液の有
無を目視で確認する方法、または30Kl程度の大型タン
クでは二重タンク構造とし、タンク間にエチレングリコ
ールを充填し、その液面変化をメスシリンダーでレベル
チェックして液漏れを検知する方法などをとっている。
しかしこれらの方法では、漏れが速やかに検知できな
い、タンクが高価になるなどの問題点があった。
【0007】本発明の目的は、エリア型センシングに好
適で、かつ高感度であり、しかも製造が容易な線状低分
子量有機液体検知センサ、特にガソリン、軽油等の検出
に好適なセンサを提供することにある。本発明の他の目
的は、上記線状低分子量有機液体に加え、水の存在をも
高感度に検知できるセンサを提供することにある。本発
明のその他の目的は、上記線状センサを用いた低分子量
有機液体検知装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の低分子量有機液
体検知センサは、低分子量有機液体と接触することによ
り電気抵抗が変化する導電層を芯材上に被覆してなる線
状体であって、該導電層が熱可塑性エラストマと導電性
カーボンとを主体とし、且つショアA硬度が70以下で
実質的に未架橋の材料からなることを特徴とする。ま
た、本発明の低分子量有機液体検知装置は、上記線状低
分子量有機液体検知センサと、このセンサに電気的に接
続され電気抵抗変化を検出する手段およびこの検出され
た電気抵抗変化を警報信号として発信する手段とで構成
され、望ましくは上記センサを電気絶縁性多孔体に収納
してなるものである。
【0009】以下、本発明を図面に基づき詳細に説明す
る。図1は本発明の低分子量有機液体検知センサの基本
構成を示す側面図である。同図において、Sは低分子量
有機液体検知センサで、芯材1に熱可塑性エラストマと
導電性カーボンとを主体とし、且つショアA硬度が70
以下で実質的に未架橋の材料からなる導電層2を被覆し
てなる線状体である。このセンサSは、通電機能および
電気抵抗測定機能を有する計測器Rから延出された一対
の端子を、上記導電層2の両端部に接続させておくこと
によって、ガソリン等の液体またはその蒸気が導電層2
に付着したときの電気抵抗変化から、その液体の存在の
有無を検知できるものである。
【0010】上記導電層2に使用される熱可塑性エラス
トマには特に限定はなく、熱可塑性エラストマとして
は、例えばスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン
共重合体(SEBS)、スチレン・ブタジエン・スチレ
ン共重合体(SBS)、ポリブタジエン系エラストマ、
オレフィン系エラストマ等が例示される。また導電性カ
ーボンも限定されるものではないが、特にDBP吸油量
250ml/100g以上、表面積500m2 /g以上の
導電性カーボンブラック(例えばライオン社のケッチェ
ンブラック)、ファーネスブラック(例えば米国cabot
社のvulcan XC-72)、アセチレンブラック(例えば電気
化学工業社の電化アセチレンブラック)等が好ましい。
【0011】上記熱可塑性エラストマと導電性カーボン
との配合割合は、エラストマが100重量%に対してカ
ーボンが10〜100重量%、好ましくは12〜90重
量%、特に好ましくは15〜80重量%である。かかる
熱可塑性エラストマと導電性カーボンとの配合物から調
製される導電層は、実質的に未架橋で、かつショアA硬
度(ゴムの硬さ)が70以下、好ましくは65以下、特
に好ましくは50程度であることが、吸液膨潤性及び加
工性の点で望ましい。上記導電層のショアA硬度が70
を越えると、低分子量有機液体と接触しても吸液膨潤性
を示すことが少なく、導電層の電気抵抗変化を明確にと
らえることが困難でセンサ機能に劣り、また、膜が硬い
ので加工性にも劣り好ましくない。
【0012】なお、本発明では、上記導電層が実質的に
未架橋とは、用いる上記熱可塑性エラストマが実質的に
未架橋であることを示し、上記熱可塑性エラストマが熱
可塑性を有する程度に部分的に架橋されたものを包含す
る概念を示す。即ち、本発明において、未架橋熱可塑性
エラストマは、導電層を形成後の架橋を施さないポリマ
ーで完全に未架橋であるポリマーは勿論のこと、加工前
に部分的に架橋されているポリマーをも包含するもので
ある。ポリマーが部分的に架橋されている場合の架橋度
は、JISC3005に準拠し、キシレンに対して50
℃の抽出温度で測定されるゲル分率が3〜50%、好ま
しくは4〜40%、さらに好ましくは5〜30%であ
る。
【0013】また、本発明では上記導電層に使用される
材料に、膨潤性を向上させるために吸油性膨潤剤を適量
配合することが望ましい。吸油性膨潤剤を配合すると、
被検知液体との接触による導電層の膨潤度合が大きくな
り、僅かな液体の存在や蒸気の存在によっても電気抵抗
の変化が大きくなって高感度化が図れる。
【0014】上記芯材1は、主に導電層2の機械的補強
体としての役割を担う。すなわち、導電層は薄層化した
ほうが高感度化が図れるので、機械的補強のための芯材
が必要となる。芯材としては特にその材質に制限はない
が、導電層の抵抗変化を検知し易くするために絶縁性の
ゴム・プラスチック棒等が好適である。これ以外に、金
属棒に絶縁被覆を施したもの、或いは後述する導体上に
ゴム・プラスチックを被覆した導体コア等も好適に使用
できる。
【0015】なお芯材上に導電層を形成する手段として
は、例えば縦添えや横巻き等のテーピングによる等の方
法があるが、溶融させた導電層材料を芯材上に押出被覆
する方法が最も簡便で望ましい。本発明にかかる導電層
材料は、このような押出被覆等の加工性も良好であると
いう利点がある。
【0016】本発明のセンサの検知対象となる低分子量
有機液体は、好ましくは分子量が300以下、特に15
0以下の有機液体であり、例えばアルコール類、潤滑
油、ケトン類、軽油、灯油、ガソリン、ナフサ、リグロ
イン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が例示される。
これらの低分子量有機液体は、通常室温にて液体の状態
を呈するものである。
【0017】上記構成のセンサによると、ガソリン等の
低分子量有機液体またはその蒸気が導電層に極微量でも
接触すると、導電層が膨潤して電気抵抗が素早く変化す
る。この電気抵抗の変化は計測器で検出できるので、低
分子量有機液体の存在が高感度に検知できる。また、線
状のセンサであるので、長手方向へのセンシングが可能
となる。
【0018】本発明の線状低分子量有機液体センサを実
際に使用する場合は、線状センサの両端部に電気抵抗測
定用の電極を取着することが望ましい。該電極として
は、例えばアルミや銅等のリング状電極が使用され、こ
れをカシメ固着するなどして取着できる。図2で示す例
では、導電層2の両端部に電極3,3’を取着し、計測
器Rから延出されるリード線31,32を接合させてい
る。なお、計測器Rには、防爆処理を施すことが望まし
い。
【0019】上記構成において、電極3,3’間の電気
抵抗は、低分子量有機液体と接触する前、すなわち初期
電気抵抗が500kΩ以下、好ましくは100kΩ以下
に設定しておくことが望ましい。この初期電気抵抗が5
00kΩを越えるような高インピーダンスになると、外
来誘導ノイズを受けやすくなり、低分子量有機液体と接
触した時に、電気抵抗の変化を正確に検知できない場合
が生じるので好ましくない。
【0020】この電極間抵抗を調整する方法としては、
線状センサの長さ、すなわち導電層の長さを所定抵抗値
以下となるよう選定するか、電極間隔を調整するか或い
は導電層のカーボン配合量や層厚を変化させることによ
ってなされる。
【0021】上記芯材1として、導体上に絶縁被覆を施
した導体コアを使用することは、本発明の好ましい実施
態様の一つである。図3はかかる例を示すもので、セン
サSの一端部で導体11と電極3とをリード線33で接
続し、他端部の電極3’と導体11とを計測器Rにリー
ド線34,35で接続してなる構成である。上記のよう
に導体コアを使用すると、導体の一端を電極のリード線
の代わりに利用でき、センサの一端部を測定端とするこ
とができる。このように、センサの電気抵抗測定用端子
部が近接するので、測定器との接続が容易となり、ま
た、センサを縦方向に吊り下げたり、長尺の線状センサ
とすることが可能になる。
【0022】図4は本発明のセンサのより具体的な実施
態様を示す一部破断図である。同図において、Sはセン
サで、線状導体11上に絶縁被覆12を施した導体コア
10上に導電層2を被覆して形成したものである。この
センサSの一端部では、導体コア10から延出する導体
122をリング状電極3bで導電層2の上面に圧着して
接続させている。また、センサSの他端部では、リード
線36の導体360をリング状電極3aで導電層2の上
面に圧着して接続し、導体コアの導体121と上記リー
ド線の導体361とを電気抵抗測定用の端子としてい
る。なお、上記導体コアの絶縁被覆は、導電層の膨潤変
形に悪影響を与えないように、低分子量有機液体と接触
しても膨潤しないエチレンテトラフルオロエチレン(E
TFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等
のフッ素樹脂等の材料を用いることが望ましい。
【0023】また、上記リング状電極3a,3bの電気
的接続部分に、エポキシ樹脂,防水性収縮チューブ等で
水密性絶縁被覆41,42を設けると、リング状電極3
a,3b部分の電食が防止でき、さらにセンサSが水中
に浸漬されても、そのセンサ機能が損なわれないので好
ましい。
【0024】上記構成のセンサSによると、電気的接続
部を水密性絶縁被覆しているので、センサが水中に浸漬
してもそのセンサ機能が損なわれず、例えば地下水レベ
ルに追随できてその上面に薄層として存在する微量の低
分子量有機液体も十分に検知できるようになる。
【0025】上記センサSはそのまま使用することがで
きるが、その移送時や布設時などにおいて外力がセンサ
Sに加わると、初期抵抗値が変化する恐れがあるため、
これを電気絶縁性多孔体に収納することが望ましい。上
記多孔体は、硬質ポリ塩化ビニル,ナイロン,ポリプロ
ピレン、ポリエステル,フッ素樹脂等の材料を用いて、
前記線状センサの表面に密接させて、または間隔をあけ
て収納できるよう、成形、ラミネート、編組等の方法に
よって例えば筒形に形成される。本発明では、上記電気
絶縁性多孔体として、センサの最外層に繊維糸よりなる
筒状編組体を設ける構成とすることが好ましく、例えば
200デニール程度のポリエステルやフッ素樹脂繊維を
使用して形成する。上記筒状編組体は、タイトな被覆で
あっても、ルーズな被覆であってもよいが、導電層が膨
潤変形する点を考慮すると、ルーズな被覆として設ける
方が好ましい。
【0026】また、上記の編組体に水分検知機能を具備
させることは好ましい態様の一つである。図5に示すよ
うに、この編組体50は、導電層2の上に編組する横糸
群と縦糸群のうちそれぞれ少なくとも1本を、例えば水
溶性ポリマー、吸水性ポリマー、水膨潤性ポリマーなど
で被覆した銅線からなる水分検知線51とすることによ
って作製され、両検知線51,51間の導通状態を計測
器で監視しておく。上記編組体に水分が付着すると、水
分検知線の上記ワニス層が溶け、したがって検知線の交
差部52において短絡あるいは絶縁低下が生じて、計測
器で確認できるようになる。また、図6に示すように、
センサSと編組体50との間に水分検知線の対撚線53
を介在させる構成であってもよい。
【0027】上記の水分検知機能を付加したセンサS
は、図7に示すような二重壁構造の油タンクNにおい
て、内側タンクN1と外側タンクN2との隙間52に布
設するセンサとして好適である。即ち、内側タンクN1
の損傷によって漏れる有機液体Oを検知できるのは勿論
のこと、外側タンクN2の損傷によって浸入してくる地
下水Mも検知することができ、内側タンクN1と外側タ
ンクN2のいずれの損傷も一つのセンサで知見すること
ができる。
【0028】図8は、上記構成の線状低分子量有機液体
検知センサを用いて作製した検知装置の一実施例および
その応用例を示す部分断面図である。同図において、X
は検知装置で、地下ガソリンタンク周辺に設けられた漏
液検知孔9に取り付けられる。検知装置Xは、線状低分
子量有機液体検知センサSと、このセンサを収納する電
気絶縁性多孔体Pと、上記センサSに電気的に接続され
電気抵抗変化を検出する手段Tと、この検出された電気
抵抗変化を警報信号として発信する手段Kと、上記多孔
体Pの上部に取り付ける蓋体Fとで構成される。この例
では、蓋体Fには電気的に接続された警報信号発信手段
Kおよび電気抵抗変化検出手段Tが内蔵された構成とな
っている。
【0029】上記センサSとしては、前記図4で示した
ものを使用している。上記電気抵抗変化検出手段Tは、
センサSの端子と接続され、この回路に微小電流を流し
ておき、センサSの導電層の抵抗増加による電流変化を
検出するものである。また、警報信号発信手段Kとして
は、上記電気抵抗検出手段Tに電気的に接続され、この
手段Tで検出された電気抵抗変化を光、音、無線信号な
ど何らかの警報信号に変換できるものであればよく、L
EDによる発光装置、警報音装置、微弱電波を利用した
無線信号発信装置などが例示される。
【0030】上記構成の検知装置は、線状のセンサを用
いるので、長手方向へのセンシングが可能なエリア型セ
ンサに好適であり、既設の漏液検知孔への挿入が容易で
ある。また、水中に浸漬してもそのセンサ機能が損なわ
れないので、地下水レベルが上昇してもその変化に追従
して低分子量有機液体の検出ができる。したがって、既
存の漏液検知孔が地下水の存在の有無にかかわらずその
まま利用でき、この漏液検知孔に地下水が侵入していて
も、確実に低分子量有機液体が検知できる。また、セン
サ本体を多孔体に収納しているので、センサが保護され
て外圧によって導電層の初期電気抵抗が変化することが
防止され、正確な検知が可能である。さらに、センサが
低分子量有機液体を検知すると警報信号が発信されるの
で、低分子量有機液体の存在が容易に確認できる。
【0031】次に、図8に示す応用例における上記検知
装置の動作を説明する。地下タンクからガソリン、軽油
などの低分子量有機液体の漏洩が生ずると、これが漏液
検知孔内に侵入して、底部に溜まり蒸気を発生する。こ
のとき、上記検知孔内へ地下水が浸入していると、低分
子量有機液体は水よりも比重が軽いので水面上に薄層を
形成する。
【0032】図8は上記地下水Mが浸入している状態を
示すもので、このとき低分子量有機液体Yの薄層がセン
サSの導電層2と接触すると、速やかに導電層2の電気
抵抗が変化し、この変化が電気抵抗変化検出器Tで検出
され、これに接続される警報発信手段Kにより上記電気
抵抗変化が警報信号に変換され警報を発するようにな
る。
【0033】
【作用】以上説明したように、上記構成の低分子量有機
液体検知センサは、線状芯材に導電層を設けたので、長
手方向においてセンシングが可能となり、狭い管路内や
広範囲への設置が容易になる。また、特定の導電層を設
けるので、微量の低分子量有機液体の存在を検知でき、
高感度化を図るべく導電層を薄層化しても機械的強度を
確保できる。また、電気接続部に水密被覆を形成してい
るので、水の存在する場所であってもセンシングが可能
である。また、最外層に電気絶縁性の多孔体を設るよう
にすると、センサに機械的強度が付与でき、センサが保
護されて外圧を受けても導電層の初期電気抵抗が変化す
ることが防止できる。
【0034】また、低分子量有機液体検知装置は、上記
線状センサを用いるので、地下水レベルの変動にも追随
でき、従来ガソリンスタンド等で常備されている漏液検
知孔がそのまま利用でき、その取り付けも容易である。
また、センサ本体を多孔体に収納しているので、センサ
が保護されて外圧によって導電層の初期電気抵抗が変化
することが防止され、正確な検知が可能である。水分検
知部を併設できるので、低分子量有機液体と水の検知が
同時にできるようになる。さらに、センサが低分子量有
機液体を検知すると警報信号が発信されるので、低分子
量有機液体の存在が容易に確認できる。したがって、ガ
ソリンスタンド等の地下貯蔵タンクあるいは石油パイプ
ライン等の輸送管からのガソリン、軽油等の低分子量有
機液体の漏液を広範囲に検知する箇所に使用する装置と
して好適である。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し具体的に説明す
る。図4に示すように、軟銅線11上にエチレンテトラ
フルオロエチレン被覆12を施した外径0.6mmの導体
コア10上に、厚さ250μmの導電層2を被覆して、
長さ2mの線状センサSを作製した。該導電層2は、熱
可塑性エラストマとしてSEBS100重量部に、導電
性カーボンとしてケッチェンブラック(ライオン(株)
社)25重量部を配合した材料(ショアA硬度52)を
使用した。
【0036】ついで、センサSの一端部において、リー
ド線36の導体360をリング状電極3aで導電層2の
上面に圧着し、この部分にエポキシ樹脂で水密性絶縁被
覆41を設けている。一方、センサSの他端側において
は、導体コア10より延出する導体122を導電層2の
上面に折り返し、リング状電極3bで導体端部122を
導電層2の上面に圧着し、この部分に上記と同様に水密
性絶縁被覆42を設けている。そして前記リード線36
から延出する端部導体361と導体コア110から延出
する導体121とを電気抵抗測定用の端子としたもので
ある。この端子361,121をテスター(図示せず)
に接続して、上記センサSの初期電気抵抗を測定したと
ころ、80kΩであった。
【0037】上記で作成した線状センサSの動作確認を
すべく、水が入ったビーカー中に厚さ約1mmのガソリン
薄層を形成させ、その中に上記センサSの下部50cmを
浸漬した。そして該センサの端子361,121をテス
ターRの電極に接続させ、電気抵抗の変化を測定した。
この線状センサSは、上記水密性絶縁被覆41,42を
設けてあるので、センサSを水中に浸漬してもそのセン
サ機能に影響を受けず、電気抵抗の変化が測定できた。
その結果、センサSを浸漬して30秒経過後から電気抵
抗が上昇し始め、1分後には電気抵抗は120kΩに、
2分後には400kΩに、3分後には2.4MΩまで上
昇し、優れたガソリン検知能力があることが確認され
た。
【0038】上記のガソリンに代えて、厚さ約1mmの軽
油の薄層を形成させた水入りビーカー中に、上記と同じ
センサSの下部50cmを浸漬し、同様にしてテスターR
にて電気抵抗の変化を測定した。その結果、浸漬して5
分後に電気抵抗は90kΩに、10分後には110kΩ
に、15分後には560kΩに、20分後には1MΩま
で上昇し、ガソリンの場合に比べ即応性の点で少々劣る
ものの、実用的に十分な能力があることが確認された。
【0039】上記実施例のセンサSを用いて、図8に示
す検知装置を作製した。同図において、Xは検知装置
で、線状センサSの端子361および121を蓋体Fに
内蔵される電気抵抗変化検出器Tに接続し、この検出器
TをLEDランプKに接続している。上記線状センサS
は、円筒状で側面に多数の細孔7を有するポリ塩化ビニ
ル製の多孔パイプPの内部に収納されている。この多孔
パイプPの上部には、透明樹脂製の蓋体Fが取り付けら
れた構成とした。
【0040】上記構成の検知装置Xを、ガソリンスタン
ドの地下タンクの周辺に常設される直径約30mm、深さ
約2.5mの漏液検知孔9に挿入して収蔵した。なお、
この漏液検知孔9の内周には、あらかじめ円筒状で側面
に多数の細孔を有する内径約26mm、長さ約2.5mの
ポリ塩化ビニル製の多孔パイプ8を挿入しておいた。
【0041】この状態で地下タンク(図示せず)からガ
ソリンYが漏れて、上記多孔パイプ8の細孔を通過して
漏液検知孔9内に浸入した。このとき上記漏液検知孔9
内に地下水Mが浸入していると、ガソリンYはこの地下
水Mの液面上に薄膜を形成する。この状態で上記ガソリ
ンYがセンサSの導電層2と接触して導電層2の電気抵
抗が変化し、この電気抵抗変化を上記検出器Tが検知
し、この検知信号をLEDランプKに伝達してLEDラ
ンプKが点灯して、ガソリンの漏れの警報信号が発せら
れた。
【0042】このように、本発明の検知装置は、線状セ
ンサを多孔パイプ内に取り付けた構成であるので、かか
る細孔への挿入が容易であり、しかもガソリン等と接触
すると直ちに検知可能である。また、漏液検知孔に地下
水が侵入していても、その上面に存在するガソリン等と
接触すると直ちに検知可能である。したがって、従来ガ
ソリンなどの地下タンク周辺に常備され、地下水が浸入
するおそれのある漏液検知孔がそのまま利用できる。
【0043】なお、上記実施例では、ガソリンの地下タ
ンクについて説明したが、本発明の検知装置は、石油パ
イプライン等の金属輸送管からの漏液検知にも有用であ
る。この場合、金属管に本発明センサを長手方向に添設
するか、あるいは巻回する等の形態で使用できる。かか
る使用形態においては、当該金属管と本センサの導電層
とが短絡状態となり、正確な抵抗の変化の検知が阻害さ
れることがあるので、導電層上に絶縁性の編組被覆や多
孔被覆を設けたり、あるいは絶縁リングを間隔を置いて
設けるなど、短絡防止のためのスペーサ層を設けること
が望ましい。このスペーサ材としては、水等の皮膜がそ
の表面上に形成されて被検知液体との接触が妨げられな
いよう撥水性材料を使用することが望ましい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明の低分子量有
機液体検知センサは、線状体形状とし、しかも特定の材
料からなる導電層を設けたので、長手方向においてセン
シングが可能となり、狭い管路内や広範囲への設置が容
易になる。したがって、エリア型センサとして極めて好
適なものである。
【0045】また、特定の導電層を設けたので、微量の
低分子量有機液体の存在を検知でき、高感度化を図るべ
く導電層を薄層化しても機械的強度を確保できる。ま
た、電気接続部に水密被覆を形成しているので、水の存
在する場所であってもセンシングが可能である。また、
最外層に電気絶縁性の多孔体を設るようにすると、セン
サに機械的強度が付与でき、センサが保護されて外圧を
受けても導電層の初期電気抵抗が変化することが防止で
きる。したがって、正確なセンサ機能を発揮できる。
【0046】また、本発明の低分子量有機液体検知装置
は、上記線状センサを用いるので、水の存在にかかわら
ず低分子量有機液体を検知でき、地下水レベルの変動に
も追随できるので、従来ガソリンスタンド等で常備され
ている漏液検知孔がそのまま利用でき、その取り付けも
容易であるので、その設置コストも低減できる。また、
水分検知部を併設できるので、低分子量有機液体と水の
検知が同時にできるようになる。さらに、センサが低分
子量有機液体を検知すると警報信号が発信されるので、
低分子量有機液体の存在が容易に確認できる。したがっ
て、ガソリンスタンド等の地下貯蔵タンクあるいは石油
パイプライン等の輸送管からのガソリン、軽油等の低分
子量有機液体の漏液を広範囲に検知する箇所に使用する
装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低分子量有機液体検知センサの基本構
成を示す側面図である。
【図2】低分子量有機液体検知センサに電気抵抗計測器
を接続した構成を示す側面図である。
【図3】導体上に電気絶縁皮膜で被覆した導体コアを使
用した低分子量有機液体検知センサの構成を示す側面図
である。
【図4】本発明の低分子量有機液体検知センサの一実施
例を示す一部破断側面図である。
【図5】センサに水分検知機能を併設した構成を示す斜
視図である。
【図6】センサに水分検知機能を併設する他の構成を示
す斜視図である。
【図7】水分検知機能を併設したセンサの応用例を示す
側面図である。
【図8】本発明の低分子量有機液体検知装置の一実施例
を示す側面図である。
【符号の説明】
2 導電層 10 芯材 K 警報信号発生手段 P 多孔体 S 低分子量有機液体検知センサ T 電気抵抗変化検出手段 X 低分子量有機液体検知装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 正章 兵庫県尼崎市東向島西之町8番地 三菱電 線工業株式会社内 (72)発明者 白岩 康雄 神奈川県横浜市栄区飯島町200番地 株式 会社タツノ・メカトロニクス横浜工場内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低分子量有機液体と接触することにより
    電気抵抗が変化する導電層を芯材上に被覆してなる線状
    体であって、該導電層が熱可塑性エラストマと導電性カ
    ーボンとを主体とし、且つショアA硬度が70以下で実
    質的に未架橋の材料からなることを特徴とする低分子量
    有機液体検知センサ。
  2. 【請求項2】 芯材が、線状導体上に電気絶縁被覆を施
    したものであることを特徴とする請求項1記載の低分子
    量有機液体検知センサ。
  3. 【請求項3】 線状体の導電層両端部に、電気抵抗測定
    用の電極を取り付けてなる請求項1記載の低分子量有機
    液体検知センサ。
  4. 【請求項4】 線状導体の一端部と導電層の一端部とを
    接続し、線状導体の他端部と導電層の他端部とを電気抵
    抗測定用端子とすることを特徴とする請求項2記載の低
    分子量有機液体検知センサ。
  5. 【請求項5】 電気的接続部が水密性絶縁被覆されてい
    ることを特徴とする請求項4記載の低分子量有機液体検
    知センサ。
  6. 【請求項6】 電気絶縁性多孔体に収納されてなる請求
    項1記載の低分子量有機液体検知センサ。
  7. 【請求項7】 導電層の初期電気抵抗を500kΩ以下
    に設定したことを特徴とする請求項1記載の低分子量有
    機液体検知センサ。
  8. 【請求項8】 熱可塑性エラストマと導電性カーボンと
    を主体とし、且つショアA硬度が70以下で実質的に未
    架橋の材料で形成される導電層を芯材上に被覆してなる
    線状低分子量有機液体検知センサと、このセンサに電気
    的に接続され電気抵抗変化を検出する手段およびこの検
    出された電気抵抗変化を警報信号として発信する手段と
    で構成される低分子量有機液体検知装置。
  9. 【請求項9】 電気的接続部が水密性絶縁被覆されてい
    ることを特徴とする請求項8記載の低分子量有機液体検
    知装置。
  10. 【請求項10】 線状低分子量有機液体検知センサが電
    気絶縁性多孔体に収納されてなる請求項8記載の低分子
    量有機液体検知装置。
  11. 【請求項11】 水分検知部を有する請求項8記載の低
    分子量有機液体検知装置。
  12. 【請求項12】 水分検知部が、電気絶縁性多孔体に組
    み込まれてなる請求項11記載の低分子量有機液体検知
    装置。
  13. 【請求項13】 電気絶縁性多孔体が編組体であり、水
    分検知部が、当該編組体に編組されている請求項12記
    載の低分子量有機液体検知装置。
  14. 【請求項14】 線状低分子量有機液体検知センサの初
    期電気抵抗が、500kΩ以下に設定されたものである
    請求項8記載の低分子量有機液体検知装置。
JP4282993A 1992-03-05 1993-03-03 低分子量有機液体検知センサおよびこれを用いた検知装置 Pending JPH0611470A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005201847A (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Mitsubishi Cable Ind Ltd 低分子量有機液体検知センサ

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