JPH06113899A - 酪酸菌の簡易同定方法及び同定キット - Google Patents

酪酸菌の簡易同定方法及び同定キット

Info

Publication number
JPH06113899A
JPH06113899A JP4285525A JP28552592A JPH06113899A JP H06113899 A JPH06113899 A JP H06113899A JP 4285525 A JP4285525 A JP 4285525A JP 28552592 A JP28552592 A JP 28552592A JP H06113899 A JPH06113899 A JP H06113899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
butyric acid
clostridium
rdna
acid bacterium
bacterium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4285525A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Ishii
哲 石井
Setsu Sakaguchi
摂 坂口
Tomoko Kasagawa
朋子 笠川
Yutaka Suzuki
豊 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority to JP4285525A priority Critical patent/JPH06113899A/ja
Publication of JPH06113899A publication Critical patent/JPH06113899A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 酪酸菌から染色体DNAを抽出し、次いでr
RNA遺伝子(rDNA)を特異的プライマーを用いる
PCR法により増幅させ、増幅したrDNAを特定の制
限酵素で切断し、得られたrDNA断片の長さを電気泳
動により解析、比較することからなる酪酸菌の簡易同定
方法。菌体からDNAを抽出する試薬、rDNA特異的
プライマー、増幅したrDNAを切断するための制限酵
素、クロストリジウム・チロブチリカム(Clostoridium
tyrobutyricum)、クロストリジウム・ブチリカム(Clost
oridium butyricum)及びクロストリジウム・スポロゲネ
ス(Clostoridium sporogenes)のrDNAの制限酵素切
断情報を含む酪酸菌の同定キット。 【効果】 チーズ膨張の原因菌であるクロストリジウム
属に属する細菌の同定を、簡便にしかも正確に行うこと
ができる。また、同定に複雑な装置、技術等が不要であ
るので、安価にしかも短時間で同定を行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酪酸菌の簡易同定方法
及び酪酸菌の同定キットに関する。更に詳しく言うと、
本発明は、PCR法を利用したクロストリジウム属細菌
の簡易同定方法及びその方法を行うための同定キットに
関する。
【0002】
【従来の技術】ナチュラルチーズには、乳牛やその飼料
及び製造工程から混入する、好気性及び嫌気性の胞子形
成菌、酵母、カビ等の多種多様の微生物が含まれてい
る。これらの微生物により、ナチュラルチーズは、その
製造工程中または熟成中において、ガス発酵を起こすこ
とがある。ガス発酵を起こしたチーズは、内部にガスホ
ールや亀裂が生じて、組織が軟化し、変色したり、不快
臭を発生する等により、商品価値が低下する。特に、酪
酸発酵を行う酪酸菌は、チーズのガス膨張の原因となる
ことが広く知られ、搾乳管理の重要性が指摘されてい
る。このようなチーズ膨張菌の中でもクロストリジウム
に属する細菌は、最も多発する熟成中期以後のガス発酵
(Late gas-blowing)の主な原因菌とされており、原料
乳およびチーズ中でのこれらの菌の存在を明確にし、対
策を講じることはチーズ製造上の重要な技術的課題であ
る。
【0003】クロストリジウム属に属する細菌の同定
は、一般に、蛋白質の分解性や糖の資化性などの生理学
的性状を調べることにより行われているが、これらの性
状試験は迅速性や客観性に欠け、恣意的な判断に基づく
分類・同定に陥りやすいという欠点がある。また,被検
菌の酵素活性、インドール酸性、糖発酵及び硝酸塩還元
等の試験を組み合わせて行うための簡易同定キットも市
販されているが、上記方法と同様、客観性に欠けるとい
う問題は、やはり解決されていない(「新しい分類学に
伴走する細菌同定法」、日本細菌学会教育委員会編、菜
根出版、(1987)) 。
【0004】一方、近年、分子生物学の発展に伴い、細
菌の分類同定のためにDNA/DNAホモロジー手法の
導入による新しい分類体系が確立され、その手法を用い
ると、従来の性状試験では正確に同定できなかった場合
でも、正確に同定できるようになってきた。しかし、こ
の手法には操作が煩雑であること等、いくつかの問題が
指摘されており、これらの点を解決するための方法とし
て、特異プローブを用いたハイブリダイゼーション法
(特開昭61-44000号公報及び特開昭60-110299号公報)
や、マイクロプレートを用いて染色体DNAの相同性を
簡便に測定して同定する方法(特開平1-196300号公報)
等が提案されている。前者の特異プローブは、特定菌群
の検出には有用ではあるが、日常の同定作業に用いるた
めには、多数の特異プローブを準備して、それぞれとハ
イブリダイゼーションさせる必要があるため、利便性に
乏しいという欠点がある。また、後者のマイクロプレー
トを用いた方法は、一度、同定用のマイクロプレートを
準備すれば、簡便に同定を行うことができるが,そのた
めには該当菌種すべての染色体DNAを準備しなければ
ならないという困難がある。
【0005】さらに、微生物の分類指標として、リボソ
ームRNA(rRNA)及びその遺伝子(rDNA)を
用いる方法が、利用されつつある(Nucleic Acid Techn
iques in Bacterial Systematics, John Wiley & Sons,
England, (1991))。この方法は、16SrRNA遺伝子
が細菌に普遍的に存在し、かつ指標となり得るだけの多
様性を有していることによるものである。この方法は、
一般的には、rRNAまたはrDNAの塩基配列を決定
してこれを対照の微生物のものと比較したり、ある分類
群に特異的な配列をDNAプローブとして用いることか
らなる。また、rDNAの制限酵素による切断後の電気
泳動パターンを同定に利用しようとする研究が行われて
おり(Ann. Inst. Pasteru Microbiol. 137B: 165-17
5)、いくつかの分類群についてはその有用性が認めら
れている。また、特表昭58-501496号公報には、rDN
Aを用いて、ハイブリダイゼーションプローブとの選択
的な結合を利用し、真核生物に共生する原核生物の検出
を行う方法が開示されている。
【0006】このような、制限酵素切断rDNAの電気
泳動パターンによる同定法は、簡便性および同定精度等
の点で、他の方法と比べて優れているが、クロストリジ
ウム属に属する細菌の同定法としては、未だ検討されて
いない。特に分類に使用する制限酵素の種類や、DNA
の増幅に用いるプライマーの塩基配列、あるいは測定の
条件などはクロストリジウムに関しては一切不明であっ
た。
【0007】尚、クロストリジウム属の中でも、ガス発
酵の原因としてクロストリジウム・チロブチリカム(Cl
ostoridium tyrobutyricum)、クロストリジウム・ブチ
リカム(Clostoridium butyricum)、クロストリジウム
・スポロゲネス(Clostoridium sporogenes)の3種が
確認されているが、これらを迅速に同定する方法は未だ
知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、上
記の従来技術の問題点を解決した、酪酸菌、特にクロス
トリジウム属に属する細菌の同定を、特に、制限酵素切
断rDNAの電気泳動パターンによって正確、迅速に行
う新規な方法、及びその方法を利用する同定キットを提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
酪酸菌から染色体DNAを抽出し、次いでrRNA遺伝
子(rDNA)を特異的プライマーを用いるPCR法に
より増幅させ、増幅したrDNAを特定の制限酵素で切
断し、得られたrDNA断片の長さを電気泳動により解
析、比較することからなる酪酸菌の簡易同定方法によっ
て達成される。
【0010】以下、本発明の酪酸菌の同定方法を詳しく
説明する。最初に、酪酸菌から染色体DNAを抽出す
る。酪酸菌とは、酪酸発酵を行う細菌であり、これに限
定されるものではないが、クロストリジウム属に属する
細菌の多くは、酪酸菌である。また、本発明はこれらに
限定されるものではないが、クロストリジウム・チロブ
チリカム(Clostoridium tyrobutyricum)、クロストリ
ジウム・ブチリカム(Clostoridium butyricum)及びク
ロストリジウム・スポロゲネス(Clostoridium sporoge
nes)の3種及びその類縁菌種は、酪酸菌の代表例であ
る。
【0011】従って、上記3種の細菌及びその類縁菌種
の細菌であると判断される被検菌から、染色体DNAを
抽出する。この抽出は、公知のいずれの染色体DNA抽
出法を使用しても行うことができるが、例えば、菌体を
緩衝液に懸濁し、リゾチームなどの溶菌酵素を作用させ
て溶菌し、フェノール処理、エタノール沈澱を繰り返
し、得られる沈澱を緩衝液に溶解する方法によって、染
色体DNA溶液を得ることができる。抽出された染色体
DNAから酵素的遺伝子増幅法(PCR法)によって、
rRNA遺伝子、即ち、rDNAを特異的に増幅する。
【0012】このようなPCR法による増幅には、クロ
ストリジウム属細菌のrDNAを特異的に増幅させるプ
ライマーが必要である。本発明においては、2種類のプ
ライマー、5’−GATCCTGGCTCAG−3’
(配列番号1)及び5’−GACGGGCGGTGTG
TACAA−3’(配列番号2)を用いて行うことが好
ましいことが確認されている。しかしながら、これ以外
の塩基配列を有する合成プライマーであっても、クロス
トリジウム属細菌のrDNAを特異的に増幅させるため
に必要な塩基配列を有するものであれば使用することが
できる。
【0013】次に、増幅されたrDNAを特定の制限酵
素で切断する。ここでの特定の制限酵素は、酪酸菌のr
DNAを特異的に切断し、電気泳動に付した場合に、菌
種特有のパターンを呈するものであれば、いずれの種類
のものであってもよいが、Hha I、Rsa I及びSau3A Iの
組み合わせは、特に好ましい。
【0014】次に、切断されたrDNA断片を解析、比
較する。解析の方法としては、アガロース電気泳動を用
いることが好ましい。本発明の上記の方法により得られ
る切断rDNA断片の長さを標準株のものと比較し, 標
準株と一致する泳動パターンを示す被検菌が、標準株と
同一菌種に含まれるものであるとすることによって同定
することができる。従来の生化学的同定方法によれば、
酪酸菌の同定に約2ケ月要していたのに比べ、本発明に
よる酪酸菌の同定に必要な時間は、微生物の分離からわ
ずか約24時間である。
【0015】本発明の方法は、菌体からDNAを抽出す
る試薬、rDNA特異的プライマー、増幅したrDNA
を切断するための制限酵素、クロストリジウム・チロブ
チリカム(Clostoridium tyrobutyricum)、クロストリジ
ウム・ブチリカム(Clostoridium butyricum)及びクロス
トリジウム・スポロゲネス(Clostoridium sporogenes)
のrDNAの制限酵素切断情報を含むキットを使用すれ
ば、当業者が容易にその実施をすることができる。従っ
て、本発明は、上記の同定キットをも提供するものであ
る。
【0016】本発明は、従来の酪酸菌の各種同定方法に
比べて、下記のような長所を有している。即ち; (1) 同定のための指標として、DNA断片の長さと
いう絶対値を用いているため、他の同定方法では必要と
される標準サンプルを必要とせず、被験菌のみを用い
て、確実に、しかも客観的に酪酸菌を同定することがで
きる。 (2) 高度な設備や、技術、訓練を必要としないた
め、安価にしかも簡便に同定することができる。また、
同定に要する時間も著しく短くてすむ。 (3) 1種の被験菌について実施する場合と、複数種
の被験菌について実施する場合とで、要する労力、時間
に大差がなく、多数の被験菌の同定を行うことができ
る。
【0017】本発明によれば、チーズ膨張菌の原因であ
るクロストリジウム属に属する微生物の同定が容易に実
施できる。また、当該微生物の存在を早期に確認するこ
とができるので、ガス膨張チーズの発生対策が可能とな
る。例えば、チーズの原料乳について酪酸菌が存在する
ことが確認されれば、酪酸菌の増殖を抑制させるような
pHにおいてチーズ製造を行う等、膨張チーズの発生を予
防することが可能となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を下記の実施例により、詳しく
説明する。 実施例1 本実施例では、標準菌株のrDNAの制限酵素による切
断後の電気泳動による菌種の確認例を示す。 (実験方法)本実施例において使用したクロストリジウ
ム・チロブチリカム(Clostoridiumtyrobutyricum)、
クロストリジウム・ブチリカム(Clostoridium butyric
um)及びクロストリジウム・スポロゲネス(Clostoridi
um sporogenes)の4菌株を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】これらの菌株を、400mlのGAMブイヨン(日
水製薬製)にて、37℃で16時間嫌気培養した。得ら
れた菌体をTE緩衝液(10mM Tris-HCl、1mM EDTA、
pH8.0)により洗浄した後、5mg/mlのリゾチームと250
mM EDTAとを含むトリス緩衝液(pH8.0)36ml中に懸濁
させて、37℃で30分間反応させた。これに20%S
DS1mlと2mg/mlプロテイナーゼK2mlを加え、37
℃で2時間反応させた。さらに、20%SDS3mlを加
えて、60℃で2時間反応させた。フェノール/クロロ
フォルム処理を2回行った後、2倍容のエタノールを加
え、染色体DNAをガラス棒に巻き取り、回収した。染
色体DNAは、70%エタノールですすいだ後、10μ
g/mlのRNaseを含むTE緩衝液(10mM Tris-HCl、1
mM EDTA、pH8.0)5ml中に溶解した。溶解後、一晩、T
E緩衝液(10mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0)で透
析を行ったものを染色体DNA溶液とした。
【0021】調製した染色体DNAを鋳型とし、二種類
のプライマー、5’−GATCCTGGCTCAG−
3’(配列番号1)及び 5’−GACGGGCGGT
GTGTACAA−3’(配列番号2)を用いてPCR
(Polymerase Chain Reaction)反応を行った。反応
は、2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(「Ampli
Taq DNA Polymerase」としてパーキンエルマーシータス
(PERKIN ELMER CETUS)社から販売)、50mM塩化カリ
ウム、10mM Tris-HCl(pH8.3)、1.5mM塩化マグネ
シウム、それぞれ0.5μM の上記プライマー、200μMd
ATP、200μMdCTP、200μMdGTP及び200μMdTTPを含む全
量100μlの反応液で、94℃−1分間、50℃−2分
間、72℃−3分間、40サイクルの条件で行い、16S
rDNA遺伝子内の約1.2Kbp 断片を増幅した。
【0022】得られたDNA溶液をクロロホルムで処理
し、エタノールにより沈澱させた。これらのDNA約2
μgを制限酵素Hha I、Rsa I及びSau3A I等とともに、そ
れぞれの至適pHおよび塩濃度において37℃で1時間反
応させた。これらの反応液を4%のシーカム3:1アガ
ロースゲル(FMCバイオプロダクツ(Bioproducts)社
製)電気泳動に供した。DNAの染色は1μg/mlのエチ
ジウムブロマイド溶液により行った。
【0023】(実験結果)上記の手順を経て得られた結
果を図1並びに表2、3及び4に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】図1の電気泳動パターンにより、クロスト
リジウム・チロブチリカム(Clostoridium tyrobutyric
um)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostoridium b
utyricum)及びクロストリジウム・スポロゲネス(Clos
toridium sporogenes)を同定することができた。
【0028】参考例1 制限酵素Sal I、Puv II、Sph I、Hae III、EcoRI、EcoR
V、HindIII、Alu I、Msp Iを用いること以外は、実施例
1と同様に、操作を行った。その結果、クロストリジウ
ム・チロブチリカム(Clostoridium tyrobutyricum)、
クロストリジウム・ブチリカム(Clostoridium butyric
um)及びクロストリジウム・スポロゲネス(Clostoridi
um sporogenes)の3菌種のいずれも切断しない酵素、
3菌種とも切断して同一のパターンを示す酵素、一部の
菌種のみを切断する酵素、さらに、3菌種とも切断する
が一部の菌種のみに特異的パターンが現れる酵素に分か
れた。これらの結果を表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】これらの結果より、本発明の方法において
使用される制限酵素としては、HhaI、Rsa I及びSau3A I
の3種類が適当であることが明らかとなった。 実施例2 本実施例では、ガス膨張したチーズからクロストリジウ
ム属菌を分離し、従来技術による方法と本発明の方法と
により、それらの同定を行い、比較した例を示す。表
6,7,8,9,10,11にゼラチン液化陰性18株
とゼラチン液化陽性15株の性状を整理した。ゼラチン
液化陰性18株は、すべてクロストリジウム・チロブチ
リカムと従来法で同定した。また、ゼラチン液化陽性1
5株中No.13がクロストリジウム・オセアニカム(Cl.
oceanicum)とNo.14がクロトリジウム・プトリフィ
カム(Cl. putrificum)、No.15がクロトリジウム・
リタセバレンス(Cl.liturseburense)であり、その他の1
2株はクロストリジウム・スポロゲネスと同定した。
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
【表10】
【0036】
【表11】
【0037】これらの33株を用い、実施例1と同様に
操作を行い、rDNAの制限酵素切断断片を調製し、ア
ガロース電気泳動をおこなった。泳動パターンから、ゼ
ラチン液化陰性18株は、すべてクロストリジウム・チ
ロブチリカムと同定された。また、ゼラチン液化陽性1
5株は、No.13、14、15を含めてすべてクロスト
リジウム・スポロゲネスと同定された。No.13、1
4、15は、標準株と一部性状が異なるクロストリジウ
ム・スポロゲネスの変異株と考えられる。これらの結果
から試料として用いたチーズの膨張は、クロストリジウ
ム・チロブチリカムとクロストリジウム・スポロゲネス
が原因であることが明らかになった。
【0038】実施例3 本実施例では、クロストリジウム属菌からの染色体の抽
出及びrDNAの増幅、制限酵素切断断片の調製をより
多数の試料から短時間に行う方法を示す。 (実験方法)実施例1と同じ培養物1.5mlから菌体を遠
心分離により回収し、TE緩衝液(10mM Tris-HCl、
1mM EDTA、pH8.0)565μl中に懸濁した。そこに、10
%SDS30μlと20mg/mプロテイナーゼK5μlを添
加し、37℃で1時間反応させた。さらに、5MのNaCl
を100μl、 CTAB/NaClを800μl加え、65℃で10分間加熱
した。クロロホルム−イソアミルアルコール(24:1)処
理後, 0.6容のイソプロパノールを加え、遠心分離に
より染色体DNA を回収した。次いで、70%のエタノー
ルですすいで乾燥させ、100μlの蒸留水中に溶解した
ものを染色体DNAとした。この方法で調製した染色体
DNAを用いることにより、実施例1と同様の手順でよ
りrDNAの増幅、制限酵素切断断片を調製することが
できた。
【0039】実施例4 チーズ膨張菌同定キットを、下記の成分から構成した
(10検体分)。 菌体からDNAを抽出する試薬 TE緩衝液(10mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0) 40ml 10%SDS 300μl 酵素溶液(20mg/mlプロテイナーゼK) 200μl 5MのNaCl 5ml CTAB/NaCl 100μl クロロホルム−イソアミルアルコール(24:1) 10ml イソプロパノール 10ml 70%エタノール 5ml 16SrDNAを特異的に増幅するための試薬 プライマー1(配列番号1) 5'-GATCCTGGCTCAG-3' 100pmole プライマー2(配列番号2) 5'-GACGGGCGGTGTGTACAA-3' 100pmole
【0040】 増幅16SrDNAを切断するための試薬 制限酵素Hha I (5U/ml) 10μl 制限酵素Rsa I (5U/ml) 10μl 制限酵素Sau3A I (5U/ml) 10μl 標準サンプル Clostoridium tyrobutyricum ATCC25755のDNA(1mg/ml) 20μl Clostoridium butyricum ATCC19398のDNA(1mg/ml) 20μl Clostoridium sporogenes ATCC3584のDNA(1mg/ml) 20μl 尚、DNAは実施例1の方法により抽出した。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、DNAのPCR法を利
用することにより、チーズ膨張の原因菌であるクロスト
リジウムに属する細菌の同定を、簡便にしかも正確に行
うことができる。また、同定に要する費用も時間も少な
くてすむ。
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:13 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: GATCCTGGCT CAG 13 配列番号:2 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: GACGGGCGGT GTGTACAA 18
【図面の簡単な説明】
【図1】標準株の各切断酵素による電気泳動パターンを
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12Q 1/04 C12R 1:145) (72)発明者 鈴木 豊 札幌市東区北26条東8丁目2−1サンシャ イン85 307号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酪酸菌から染色体DNAを抽出し、次い
    でrRNA遺伝子(rDNA)を特異的プライマーを用
    いるPCR法により増幅させ、増幅したrDNAを特定
    の制限酵素で切断し、得られたrDNA断片の長さを電
    気泳動により解析、比較することからなる酪酸菌の簡易
    同定方法。
  2. 【請求項2】 酪酸菌が、クロストリジウム属に属する
    細菌である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 酪酸菌が、クロストリジウム・チロブチ
    リカム(Clostoridium tyrobutyricum)、クロストリジウ
    ム・ブチリカム(Clostoridium butyricum)、クロストリ
    ジウム・スポロゲネス(Clostoridium sporogenes) 及び
    その類縁菌種からなる群から選択される細菌であり、特
    定の制限酵素が、制限酵素Hha I、RsaI及びSau3A Iであ
    る請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 菌体からDNAを抽出する試薬、rDN
    A特異的プライマー、増幅したrDNAを切断するため
    の制限酵素、クロストリジウム・チロブチリカム(Clost
    oridium tyrobutyricum)、クロストリジウム・ブチリカ
    ム(Clostoridium butyricum)及びクロストリジウム・ス
    ポロゲネス(Clostoridium sporogenes) のrDNAの制
    限酵素切断情報を含む酪酸菌の同定キット。
JP4285525A 1992-09-30 1992-09-30 酪酸菌の簡易同定方法及び同定キット Pending JPH06113899A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4285525A JPH06113899A (ja) 1992-09-30 1992-09-30 酪酸菌の簡易同定方法及び同定キット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4285525A JPH06113899A (ja) 1992-09-30 1992-09-30 酪酸菌の簡易同定方法及び同定キット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06113899A true JPH06113899A (ja) 1994-04-26

Family

ID=17692663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4285525A Pending JPH06113899A (ja) 1992-09-30 1992-09-30 酪酸菌の簡易同定方法及び同定キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06113899A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114486799A (zh) * 2022-04-15 2022-05-13 广东省农业科学院动物科学研究所 一种家禽肠道丁酸梭菌检测方法及系统

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114486799A (zh) * 2022-04-15 2022-05-13 广东省农业科学院动物科学研究所 一种家禽肠道丁酸梭菌检测方法及系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE69534516T2 (de) Gleichzeitiger nachweis, identifizierung und differenzierung von eubakterien unter verwendung eines hybridisierungs-assays
US5574145A (en) Isolated nucleic acid molecules targeted to the region intermidiate to the 16S and 23S rRNA genes useful as probes for determining bacteria
Cai et al. Development of a real-time PCR for detection of Mycoplasma bovis in bovine milk and lung samples
EP0581171B1 (en) Species-specific oligonucleotides for bifidobacteria and a method of detection using the same
EP2256218B1 (en) Primers for tubercle bacillus detection, and method of detecting human tubercle bacillus therewith
CA2246259C (en) Genetic markers and methods for the detection of escherichia coli serotype-0157:h7
Harvey et al. Random amplified ribosomal DNA restriction analysis for rapid identification of thermophilic actinomycete-like bacteria involved in hypersensitivity pneumonitis
JPH09506002A (ja) PCRを用いたサルモネラ(Salmonella)の検出のための、特異的マーカーの使用
US20090136930A1 (en) Method for the identification of microorganisms by means of in situ hybridization and flow cytometry
JP3525259B2 (ja) ペクチネータス属菌の検出
JPH06113899A (ja) 酪酸菌の簡易同定方法及び同定キット
Barrett et al. Diversity within reference strains of Corynebacterium matruchotii includes Corynebacterium durum and a novel organism
CN108330185A (zh) 双重pcr技术检测蜡样芽孢杆菌的引物对和方法
AU779813B2 (en) Detection and quantification of micro-organisms using amplification and restriction enzyme analysis
KR20010072357A (ko) 세균 검출용 유전자 및 이를 이용한 세균의 검출방법
JPH1118780A (ja) 乳酸菌検出用オリゴヌクレオチド及びそれを用いた判定法
JPH10210980A (ja) 乳酸菌検出用オリゴヌクレオチド及び該菌の検出方法
Larrasa et al. Evaluation of randomly amplified polymorphic DNA and pulsed field gel electrophoresis techniques for molecular typing of Dermatophilus congolensis
US6558909B2 (en) Haemobartonella PCR methods and materials
JP2654890B2 (ja) 乳酸菌の簡易同定方法およびこの同定方法に使用する同定キット
EP0339783B1 (en) Detection of yersinia enterocolitica using nucleic acid probes
US20020086313A1 (en) Application of bioinformatics for direct study of unculturable microorganisms
AU2003226729A1 (en) Method for the identification of microorganisms by means of in situ hybridization and flow cytometry
KR100380626B1 (ko) Dna 자이레이즈 서브유닛 a 유전자 절편의 염기서열및 이를 이용한 바실러스 서브틸리스 및 관련 종의 동정방법
Bridge Biochemical and molecular techniques.