JPH06112601A - 光学素子用回路基板 - Google Patents

光学素子用回路基板

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JPH06112601A
JPH06112601A JP4760293A JP4760293A JPH06112601A JP H06112601 A JPH06112601 A JP H06112601A JP 4760293 A JP4760293 A JP 4760293A JP 4760293 A JP4760293 A JP 4760293A JP H06112601 A JPH06112601 A JP H06112601A
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JP
Japan
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light
layer
main surface
circuit board
transparent substrate
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Pending
Application number
JP4760293A
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English (en)
Inventor
Mitsuo Takase
三男 高瀬
Nobuhiro Fukuda
信弘 福田
Hisahiro Momo
寿浩 百々
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP4760293A priority Critical patent/JPH06112601A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 透明基板の第1の主面に採光窓を画定する
金属電極と遮光層を形成し、該透明基板の第2の主面に
採光窓を画定する遮光性および導電性を有した帯電防止
層を有した光学素子用回路基板。 【効果】 本発明の構成の光学素子用回路基板は、帯
電防止、光源以外からの光の侵入および原稿と透明基板
との多重反射の防止を可能にし、その結果レンズ不要の
完全密着型の各種光学装置用の基板の提供が可能となっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的読み取り装置や
光学的書き込み装置、特に光プリンターなどに用いられ
る光学素子用回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクス化は、事務機器
から家庭用品、玩具等に至まで幅広い分野に及んでい
る。そのため、各分野で機器の小型軽量化、高速処理
化、高精度化等が進んでいる。特に最近では、高速ファ
クシミリ、小型スキャナー、ホワイトボード型コピー機
をはじめとする各種画像入力端末機器および電子写真等
に代表されるコピー機等において、高品質、高階調、高
解像度でシンプル、コンパクトかつ低コストの必要性が
高まって来ている。また、原稿の読み取り時の、光源の
低出力化などを計るために、読み取り用の半導体素子と
原稿とを出来るかぎり接近させることも本発明者らによ
って検討された。
【0003】すなわち、半導体素子(外部回路基板と接
続するための端子として、金製やアルミニウム製などか
らなるパッドを有するもの、あるいはベアチップ型のも
の)をマウントできる透明な回路基板の基材として0.
1mm以下の極薄のガラス基板の他、プラスチックフィ
ルムについても検討しはじめている。今後さらにエレク
トロニクス機器の高集積化、小型軽量化がすすむことが
予想され、現在でも特に極端な曲げ部分や軽量化が望ま
れる部分には、プラスチックフィルムまたはシートを基
材とした回路基板が広く使用されている。プラスチック
は、可撓性があり、プラスチック上への電極形成も、ス
パッタリング法や、真空蒸着法などにより容易に低温で
行うことが出来、生産性にも優れている。しかしなが
ら、これらの基材は、絶縁体であり、帯電しやすいの
で、摩擦などにより静電気が発生し、これが基板表面に
帯電し、半導体素子に影響を与え、出力信号に誤差が生
じたり、乱れが生じることを見出し、その結果、各種信
号にノイズが加わったり、誤動作を誘起することを見出
した。また、光学的読み取り装置においては、フィルム
状の透明な回路基板の下を移動する原稿に、光源からの
回路基板を通して光を照射し原稿を読み取るが、光源か
らの光は原稿と回路基板との間で多重反射する。本発明
者らは、読み取り用の受光素子が、この多重反射した光
を受光するので、受光素子の出力信号に乱れが生じ、正
しい読み取りが行われないことも見出した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、フィルム状の透明基板と原稿との擦れから発生した
静電気の帯電防止であり、なおかつ原稿と回路基板との
間の光源からの光の多重反射を軽減し、半導体素子を透
明基板表面に近接してマウント可能な光学素子用回路基
板を提供するものである。本発明の第2の目的は、光源
からの光の通過路である前記光学素子用回路基板の採光
窓に、不要な光が入射するのを低減することである。本
発明の第3の目的は、前記半導体素子のマウントが容易
にできるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、光
学的読み取り装置内を移動する原稿に対面するように光
学的読み取り装置内に配置され、原稿読み取りのための
原稿からの光を採光窓を通して原稿に照射させるために
用いられる光学素子用回路基板であって、フィルム状の
透明基板の光源側に位置する第1の主面に、原稿の移動
方向に対して直角方向に配置した採光窓ならびに該採光
窓に沿って形成した複数の金属電極と、該透明基板の第
2の主面に採光窓を画定する導電性および遮光性を有す
る帯電防止層を設けたことを特徴とする光学素子用回路
基板、であり、または、光学的読み取り装置内を移動す
る原稿に対面するように光学的読み取り装置内に配置さ
れ、原稿読み取りのための原稿からの光を採光窓を通し
て原稿に照射させるために用いられる光学素子用回路基
板であって、フィルム状の透明基板の光源側に位置する
第1の主面に、原稿の移動方向に対して直角方向に配置
した採光窓ならびに該採光窓に沿って形成した複数の金
属電極と、該採光窓に沿って採光窓以外に形成した遮光
層と、該透明基板の第2の主面に採光窓を画定する導電
性および遮光性を有する帯電防止層を設けたことを特徴
とする光学素子用回路基板、であり、または、光学的書
き込み装置内を移動する感光体の感光面に対面するよう
に光学的書き込み装置内に配置され、画像形成のための
光源からの光を採光窓を通して感光面に照射させるため
に用いられる光学素子用回路基板であって、 フィルム
状の透明基板の光源側に位置する第1の主面に、画像形
成のための光を通過させるために、感光面移動方向に対
し直角に延びるように画定した採光窓ならびに該採光窓
に沿って形成した複数の金属電極と、該採光窓に沿って
採光窓以外に形成した遮光層と、該透明基板の第2の主
面に採光窓を画定する導電性および遮光性を有する帯電
防止層を設けたことを特徴とする光学素子用回路基板、
である。
【0006】そして好ましくは、これら光学素子用回路
基板において、帯電防止層を、採光窓の周囲を取り囲む
ように形成したものであり、また、帯電防止層を、採光
窓を挟んで、原稿の移動方向に対して直角に延びるよう
に2本形成したものであり、また、透明基板の第1の主
面に形成した金属電極が、Au、Ag、Cu、Ni、C
r、Wのうちいずれか1つからなり、第2の主面に形成
した帯電防止層が、カーボンブラックまたは金属微粒子
を分散した樹脂からなるものであり、また、金属電極
が、透明基板上に形成した第1の金属層および第1の金
属層上に形成した第2の金属層とからなるものであり、
また、前記第1の金属層が、Au、Ag、Cu、Ni、
Cr、Wのうちいずれか1つからなり、前記第2の金属
層が、その上に電気部品を圧着または熱融着可能にされ
ているものであり、また、前記第2の金属層を、金めっ
きにより形成したものであり、また、前記第2の金属層
を、はんだをめっきにより形成したものであり、また、
前記第2の金属層を、はんだを印刷によりに形成したも
のであり、また、金属電極上および金属電極の間に形成
される遮光層が非導電性であるものである。
【0007】まず、添付図面について簡単に説明する
と、図1は、本発明の光学素子用回路基板の構成の1例
を示す図であり、(A)は斜視図、(B)および(C)
は帯電防止層の形態を示す図である。図2〜図6は、後
記実施例、比較例に対応する図であって、図2は、本発
明の光学素子用回路基板の実施例1、2および3の構成
を示す断面図である。図3は、本発明の実施例4、5、
7、8および9を示す断面図である。図4は、本発明の
実施例6の構成を示す断面図である。図5は、本発明の
実施例10の構成を示す断面図である。図6は、比較例
1の構成を示す断面図である。
【0008】以下、適宜図面を参照しながら、本発明を
詳細に説明する。本発明は、基本的に、フィルム状の透
明基板の第1の主面に、原稿の移動方向に対して直角方
向に配置した採光窓ならびに該採光窓に沿って形成した
複数の金属電極と、該採光窓に沿って採光窓以外に形成
した遮光層と、該透明基板の第2の主面に採光窓を画定
する導電性および遮光層性を有する帯電防止層を設けた
光学素子用回路基板である。
【0009】本発明の光学素子用回路基板は、光学的読
み取り装置を移動する原稿に対面するように光学的読み
取り装置内に配置され、原稿読み取りのための光源から
の光を採光窓を通して原稿に照射させるために用いられ
るものである。本光学素子用回路基板の基材は、フィル
ム状の透明基板からなり、光源からの光の入射面である
透明基板の第1の主面には、通常スリット状である採光
窓の光の通過を妨害しないように、採光窓に沿って金属
電極が形成されている。原稿と対面することになる透明
基板の第2の主面には、採光窓を画定するように導電性
および遮光性を有する帯電防止層が形成されている。前
記光学素子用回路基板の場合、採光窓側になる金属電極
の端末は覆わぬように、採光窓に沿って金属電極間に電
気的絶縁性を有する遮光層を形成することが好ましい。
また、前記光学素子用回路基板は、光学的読み取り装置
と同様に光学的書き込み装置に用いることも出来る。こ
の場合には、帯電防止層を感光体の感光面に対面するよ
うに配置すればよい。
【0010】さらに、本発明の光学素子用回路基板を分
かり易く示したのが図1である。すなわち、フィルム状
の透明基板1の第1の主面である上面(図1(A)にお
いて)には、スリット状の採光窓5となる領域外に、採
光窓5に沿って遮光層4と、複数の金属電極2が形成さ
れ、採光窓を画定している。透明基板1の第2の主面で
ある下面には、図1(C)で示されるように採光窓5で
ある領域以外を挟むように、採光窓5に沿って2本の帯
電防止層3が形成されている。本発明の場合には、採光
窓5を画定しているのは2本の帯電防止層3であり、金
属電極2および遮光層4は採光窓5の外縁の位置に形成
されている。勿論、金属電極2および遮光層4の採光窓
側の側面が、採光窓5の外縁にぴったり合うように配置
されていてもよいし、採光窓5を通過する原稿読み取り
用の光に妨害を与えない限り、若干採光窓側に入り込ん
でいても許容される。
【0011】図1の発明の変形例として、遮光が帯電防
止層3のみで充分であれば、遮光層4は省略してもかま
わない。金属電極2が採光窓5に沿って複数設けられて
いることは、発光素子あるいは受光素子のアレイなどの
長手の受光素子をマウントするのに支持点が多く好適で
ある。場合によっては、2つの金属電極間に光学素子を
マウントしてもよい。また、帯電防止層3は、図1
(B)のように採光窓の周囲を囲むように形成してもよ
い。
【0012】さらに本発明の各構成要件について詳細に
説明する。本発明の光学素子用回路基板に用いられる透
明基板としては、光源である発光素子の光に対する透過
性が高いことが好ましく、少なくとも70%以上、より
好ましくは80%以上であることが望ましい。
【0013】透明基板としての基材の取扱い性、可撓
性、連続生産性、光源からの透過距離を小さく出来るこ
となどの利点からプラスチックフィルムを用いることが
望ましい。好ましい基材を例示するならば、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレー
ト(PEN)等のポリエステル、ポリアミド、ポリエー
テル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン(PE
S)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
ポリイミドなどのホモポリマーまたはコポリマーからな
るプラスチックフィルムが挙げられる。また、プラスチ
ックフィルムの厚みは、通常5〜500μm、好ましく
は10〜100μmが適当である。
【0014】本発明に用いられる金属電極の材料として
は、Au、Ag、Ni、Cr、Cu、W等の通常の電極
材料として用いられる金属が好ましいが、電気特性から
Cuが特に好ましい。その形成方法としては次のような
ものがある。 (1) 真空処理法等により透明基板上に銅等の金属薄膜を
形成した後、電解メッキ等により厚膜化する。 (2) 無電解メッキにより直接金属層を透明基板上に形成
する。 (3) 導電性インクを直接透明基板上に塗布し電極を形成
する。 (4) 接着剤により銅等の金属箔を透明基板に接着し形成
する。 (5) 銅等の金属箔に透明性を有する樹脂をキャストして
形成する。 また、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、イオンクラスタービーム法、イオン化蒸着
法、イオンアシスト蒸着法等の真空処理法により金属電
極を形成する場合には、透明基板と金属電極との密着性
を高めるために、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法、イオンクラスタービーム法、イオン化蒸着法、
イオンアシスト蒸着法等のイオンを用いた形成法が好ま
しい。また、金属電極と透明基板の間に、Ni、Crを
含む金属を中間層として形成しても良い。
【0015】本発明の金属電極は、透明基板の第1の主
面にマスク等を用いて所定の大きさに金属電極を形成す
るか、または透明基板の第1の主面全面に金属膜を形成
した後、エッチングにより所定の大きさのパターンにな
るように形成しても良い。金属電極のパターンを加工形
成する方法を具体的に説明すると、次のような方法があ
る。 (1) 透明基板の主面にレジストやマスクなどを用いて、
金属電極以外の部分を被覆し、所定の回路パターンを有
した金属電極を直接形成し、レジスト等はパターン形成
後に除去する。 (2) 透明基板の第1の主面の全面に形成した金属膜上に
レジストを用いて所定の金属電極のパターンを形成、被
覆し、不要部分をエッチング加工し、更にレジストを除
去して形成する。 (3) 透明基板の第1の主面の全面に形成した銅等の金属
膜上に、所定のパターンの金属電極以外の部分にレジス
ト等のマスクを形成した後、電解メッキにより金属を厚
膜化し、所望のパターンの金属電極を形成する。その後
レジストを除去し、更にフラッシュエッチングを行い、
金属電極部分のみ残し、不要な金属膜を除去し形成す
る。
【0016】本発明の金属電極上への金めっき層の形成
方法には、次のようなものがある。 (1) シアンアルカリ浴で電解めっきを行う。 (2) 中性浴および弱アルカリ浴で電解めっきを行う。 (3) 有機酸を用いた弱酸性浴等一般の金めっき法によっ
て作製される。 本発明に用いられる金めっき厚みは、通常0.05μm
〜50μm、好ましくは0.1μm〜5μmが適当であ
る。
【0017】本発明の金属電極上へのはんだ層の形成に
は、次のようなものがある。 (1) ほうふっ酸浴、フェノールスルホン酸浴、アルカノ
ールスルホン酸浴などで電解を用いたはんだめっきによ
り形成する。 (2) 置換型めっきや還元析出などの無電解めっきにより
形成する。 (3) クリームはんだ等のはんだペーストをスクリーン印
刷法等により印刷する。 本発明に用いられるはんだ層の厚みは、通常0.5μm
〜50μm、好ましくは2μm〜10μmが適当であ
る。ここではんだとは、材料間の接合に用いる低融点の
金属や合金であり、特に絶対温度で723Kより低いも
のであり、In、Sn、Pb、Zn等の金属または合金
が挙げられる。一般的なものとしては、共晶はんだなど
をつくるSn−Pb合金がある。特に合金名だけに特定
化されるものではないが、例えばホムベルグ合金、メロ
ッテ合金、ニュートンメタル、ダルスメタル、リヒテン
ベルグ合金、クローズ合金、ローズメタル、ウッドメタ
ル、リボウィッチメタル、低融点はんだ、耐アルカリ性
はんだ、共晶はんだ、JISはんだ、熱起電力小はん
だ、アルミはんだ等が挙げられる。高温の溶融はんだ浴
を用いず、めっき法または印刷によりはんだ層が形成さ
れた回路基板の提供は耐熱性の高い基板はもとより、や
や耐熱性の低いプラスチックフィルムを用いた回路基板
でも、信頼性の高いはんだによる半導体素子との電気的
接合の利用を可能にするものである。
【0018】本発明に用いられる遮光層の読み取り用の
光源からの光に対し望まれる光線透過率が50%以下、
好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であ
る。また、遮光層の形成方法としては、次のようなもの
がある。 (1) 黒色クロムメッキの金属層で金属微粒子を接続など
の金属層を形成する。 (2) カーボンブラックまたは/おび白金黒などの金属微
粒などの導電性フィラーを樹脂マトリックス中に分散し
たもので遮光層を形成する。 (3) 顔料/染料などを樹脂中に分散したもので遮光層を
形成する。 (4) ポリチオフェン等、樹脂自身に光吸収性がある樹脂
を透明基板上に積層して遮光層を形成する。 本発明の遮光層の望ましい厚みは、通常0.05μm〜
50μm、好ましくは1μm〜10μm、さらに好まし
くは2μm〜5μmである。
【0019】本発明において、半導体素子(特には、半
導体光学素子)を接続あるいは配線するためのパタ−ン
として形成された金属電極の間に、さらに遮光層を形成
することにより、遮光効果がさらに高まる。すなわち、
遮光層は、第2の主面に形成された帯電防止層と対面す
るように第1の主面側に形成されるので、遮光層は、帯
電防止層と共同して、採光窓から光源以外の光が侵入す
るのをより効果的に防止する。この場合は、遮光層は原
稿の読み取り時に発生する電気信号にたいして影響を及
ぼさない事が必要であり、導電性の小さな顔料/染料を
含む樹脂で形成することが望ましい。この場合、金属電
極が形成された第1の主面上の遮光層と、第2の主面上
に形成された帯電防止層とは、原稿読み取り用の光源か
らの光を通過させるための採光窓を画定することが必要
である。採光窓は、通常まっすぐなスリット状に画定さ
れていて、その幅は、通常0.1mm〜50mm幅、好
ましくは0.3mm〜2mm幅が望ましい。
【0020】本発明に用いられる帯電防止層は、遮光層
と同様に光源および受光素子の動作波長において遮光性
を有することを特徴とするものであり、光源からの光透
過率が50%以下、好ましくは10%以下、さらに好ま
しくは5%以下が望ましい。帯電防止層の第2の主面上
への形成方法については次に述べるようなものがある。 (1) 黒色クロムメッキ、黒色クロメ−ト処理などのメッ
キ加工により帯電防止層を形成する。 (2) カ−ボンブラックまたは/および金属微粒子(例え
ば、白金黒)などの導電性フィラ−を樹脂マトリックス
中に分散させたものを印刷後、硬化させることにより帯
電防止層を形成する。 本発明の帯電防止層は、光源からの光を原稿に入射し、
かつ原稿からの反射光を透過させるための採光窓を画定
するのが望ましい。採光窓は、通常まっすぐなスリット
状に画定されていて、その幅は、通常0.1mm〜50
mm幅、好ましくは0.3mm〜2mm幅が望ましい。
【0021】採光窓の位置は、透明基板の第1の主面に
形成された金属電極並びに遮光層との間に位置するよう
に第2の主面上に配置するのがよい。また、採光窓につ
いては帯電防止層および遮光層とが共同して画定するよ
うにしてもよい。本発明における帯電防止層の幅につい
ては、採光窓の幅と同等またはそれ以上であるのが適当
である。すなわち、帯電防止層の幅は、好ましくは採光
窓の幅の2倍、さらに好ましくは5倍程度である。ま
た、帯電防止層は受光素子側の幅が同じか、受光素子側
の幅が大きいことが好ましい。具体的なサイズで言う
と、帯電防止層の幅は2mm〜100mm、好ましくは
3mm〜10mmである。
【0022】本発明の帯電防止層は、透明基板の耐熱性
が高い場合には、メッキ、蒸着、溶射、塗布加熱等の一
般的な方法によって形成することが出来る。PET、ポ
リカーボネート、PES等の透明基板の耐熱性が乏しい
場合には、帯電防止層形成時の熱による透明基板の変形
を避けるために、150℃以下、好ましくは120℃以
下、さらに好ましくは100℃以下の低温で形成するこ
とが望ましい。その形成方法としては、次に述べるよう
なものがある。 (1) 所定の温度でマイクロカプセルが分解し、マイクロ
カプセル内の触媒が主剤と反応して硬化する一液型のエ
ポキシ樹脂中に予めカーボンブラック等の導電性フィラ
ーを分散し、これを採光窓を有するように印刷後、所定
の温度に加熱し、硬化反応させて形成する。 (2) 主剤中に分散した硬化剤が所定の温度で分解し、主
剤と反応し硬化する樹脂中にカーボンブラック等の導電
性フィラーを分散し、この樹脂を採光窓を有するように
印刷後、所定の温度に加熱し、硬化反応させて形成す
る。また、帯電防止効果を高める為に、帯電防止層にア
ース電極を設けてアースに接続することも可能である。
【0023】本発明の透明性のある光学素子用回路基板
は、これまで説明してきた構成でも機能は十分に発揮さ
れるが、本発明の光学素子用回路基板を用いた製品の寿
命を延長するために、帯電防止層の上に耐摩擦性などの
向上のために、ガラス板を接着したり、UV硬化型アク
リル樹脂、シリコーンハードコート剤、シリカゾル剤等
を塗布して保護層として設けることが望ましく、特に帯
電防止層を完全に覆うように設ける事が望ましい。保護
層の厚みは、1μm〜200μm、好ましくは2μm〜
100μm、さらに好ましくは5μm〜20μmが望ま
しい。また、光学読み取り素子と光学素子用回路基板と
の電気的接合の耐久性を高めるために硬化型樹脂により
素子全体を覆っても良い。ここで用いられる硬化型樹脂
とは、アクリル系UV硬化型樹脂に代表されるUV硬化
型樹脂、熱硬化型樹脂、エポキシ系などの常温硬化型等
が用いることができる。以下、実施例により本発明の実
施の態様の一例を説明する。
【0024】
【実施例】実施例1 図2を参照にして実施例1について説明する。50μm
のPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面にD
Cマグネトロンスパッタ法により0.5μmの銅薄膜を
形成し、次に所定のパターンにレジストインキを印刷し
た後、電解メッキにより銅層を5μm形成して第1の金
属電極2aを形成した。次にアルカノールスルホン酸浴
中で約5μm厚みのSn−Pb合金からなるはんだ層2
bを電解メッキにより形成した。レジストを除去後、フ
ラッシュエッチングにより不要な銅薄膜を除去し、所定
のパターンを有する金属電極2を形成した。金属電極2
を形成した第1の主面と、第2の主面とにカーボンブラ
ック粒子を含む熱硬化型樹脂の混合液を、光源からの光
が透過できるような採光窓5a、5bを有するように、
スクリーン印刷で塗布し、その後熱硬化させて遮光層4
および帯電防止層3を形成した。本実施例の場合、遮光
層4は金属電極2上には形成されないので、第1の主面
の遮光層4は導電性を有していても良い。本実施例にお
ける帯電防止層の表面抵抗は、103 Ω/□であった。
採光窓以外の遮光層および帯電防止層の光線透過率は、
1%以下であった。また、この光学素子用回路基板の金
属電極2のはんだ層2b上に、接続用のバンプを有する
光学的読み取り素子(受光素子)を180℃において5
分間でボンディングした。接合部での剥がれや割れはな
く、光源8からの光を採光窓5a、5bを通して、第2
の主面の下を通過する原稿に照射させ、採光窓5a、5
bを通して反射光を素子9で受光し、読み取り装置で読
み取りを行った結果、読み取りは正常に行われた。
【0025】実施例2 図2を参照にして実施例2について説明する。25μm
厚みの一軸延伸PEEKフィルムからなる透明基板1の
第1の主面にDCマグネトロンスパッタにより3μmの
銅膜を形成し、銅膜上に所定のパタンにレジストインキ
を印刷し、エッチングにより不要な銅を除去した。次に
約1μm厚みのSn−Pb合金からなるはんだ層2bを
置換はんだメッキにより形成し、金属電極2を作製し
た。実施例1と同様に遮光層4および帯電防止層3を形
成した後、読み取り用素子とのボンディングを行った。
接合部での剥がれや割れは無く、読み取り装置は正常に
作動することを確認した。
【0026】実施例3 実施例1で作製した光学素子用回路基板と、光学的読み
取り用素子とのボンディングを行う際、150℃に加熱
しつつ、素子の1バンプ当たり2kg/cm2の圧力を
5分間加えた(圧着)。この結果、接合部での剥がれや
割れは発生せず読み取り装置は正常に作動した。
【0027】実施例4 図3を参照にして実施例4を説明する。実施例1で形成
した光学素子用回路基板の第2の主面に、保護層6を形
成した。保護層6は、UV硬化型ウレタンアクリル系樹
脂からなり、厚さ10μmを有する。本実施例の光学素
子用回路基板への読み取り用素子9のボンディングは、
熱風循環加熱法(140℃)により行った。接合部での
剥がれや割れは無く、読み取り装置は正常に作動した。
【0028】実施例5 図3を参照にして実施例4を説明する。25μm厚みの
カプトンVフィルムの第1の主面にDCマグネトロンス
パッタ法により1μmの銅薄膜を形成した。次に硫酸銅
浴中で電解メッキにより10μmの銅膜を形成した。次
にレジストインキを所定のパタンに印刷し、塩化第2鉄
溶液にて銅のエッチングを行った後、レジストインキを
除去した。さらに2μm厚みのNiをめっきにより形成
後、0.2μm厚みの金めっき層2bを形成し、金属電
極2を作製した。第1の主面に黒色顔料を含んだ樹脂を
採光窓5aにかからぬように塗布し、第2の主面にカー
ボンブラック粒子を含んだストラクトボンド920(三
井東圧化学株式会社製)を採光窓5bを画定するように
塗布し、熱硬化して電気的絶縁性のある遮光層4および
導電性のある帯電防止層3を形成した。次に帯電防止層
3および採光窓5bを覆うように、実施例4と同様の保
護層6を透明基板1の第2の主面に平行に形成した。保
護層6は、第2の主面の直下を移動する原稿10等によ
る摩擦から帯電防止層3および採光窓5bを保護する。
本実施例の光学素子用回路基板とアルミニウム製のパッ
トを有した読み取り用素子9とを200℃、30秒間圧
着し接合した。その後、素子9を圧着したままで、透明
なポリエステル系熱硬化樹脂が、透明基板1と素子9と
の間に斑なく充填されるように塗布した。その後、この
樹脂を20分間、140℃で加熱硬化し、素子9と金属
電極2との接合を補強した。接合部での剥がれは無く、
正常に作動することを確認した。
【0029】実施例6 図4を参照して実施例6について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面に
エポキシ系接着剤を用いて、Ni−Cu合金層を有した
18μmの銅箔を積層した。次にレジストインキにて所
定の回路パターンおよび遮光層4を形成するよう塗布
し、塩化第2鉄溶液にて銅箔をエッチングした後、レジ
ストインキを除去し金属電極層2aおよび遮光層4を形
成した。金属電極2a上に実施例1と同様のはんだ層2
bを設け、電気的接合層とし金属電極2を形成した。さ
らに金属電極2上にUV硬化型有色樹脂レイキュア42
00(十条化工社製)を印刷し、絶縁性のある遮光層4
を形成した。次に第2の主面に第1の主面に形成した採
光窓5aに相対するようにカーボンブラック粒子を含ん
だストラクトボンド920(三井東圧化学株式会社製)
を塗布し、帯電防止層3を形成し、更に帯電防止層3を
覆うように実施例5と同様な保護層6を形成した。本実
施例の光学素子用回路基板と接続用のバンプを有する読
み取り素子9とを実施例1と同様に接合した。接合部で
の剥がれや割れはなく、読み取りは正常に行われた。
【0030】実施例7 図3を参照して実施例7について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面に
DCマグネトロンスパッタにより0.5μmの銅薄膜を
形成し、所定のパターンにレジストインキを印刷した
後、電解めっきにより約5μmの銅膜を形成した。更に
電解めっきにより約5μmのスズ層2bを形成した。レ
ジストを除去した後、フラッシュエッチングにより、不
要な銅薄膜を除去し、所定の回路パターンを有する金属
電極2を形成した。第1の主面に採光窓5aにかからぬ
ように、黒色顔料を含んだ樹脂を印刷し遮光層4を形成
し、第2の主面にカーボンブラック粒子を含んだストラ
クトボンド920(三井東圧化学株式会社製)を採光窓
5bを画定するように塗布し、その後、熱硬化させて電
気的絶縁性を有する遮光層および導電性の帯電防止層を
形成し、帯電防止層3を覆うように実施例5と同様の保
護層6を形成した。本実施例の光学素子用回路基板の金
属電極2と、Au製のパッドを有した読み取り用素子と
を200℃、30秒間圧着し接合した。その後実施例5
と同様のポリエステル系熱硬化樹脂を塗布硬化して、素
子9と金属電極2との接合を補強した。接合部での剥が
れは無く、正常に作動することを確認した。
【0031】実施例8 図3を参照して実施例8について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面
に、DCマグネトロンスパッタにより0.5μmの銅薄
膜を形成し、所定のパターンを形成するようにレジスト
インキを印刷した後、電解めっきにより約5μmの銅膜
を形成し、さらに約0.2μm厚みの金めっき膜を形成
した。レジストを除去した後、フラッシュエッチングに
より、不要な銅膜を除去し、所定のパターンを有する金
属電極2を形成した。第1の主面に黒色顔料を含む樹脂
を採光窓5aにかからぬように印刷し、絶縁性の遮光層
4を形成した。さらに第2の主面にカーボンブラック粒
子を含んだストラクトボンド920(三井東圧化学株式
会社製)を採光窓5bを画定するように塗布し、熱硬化
して遮光層および帯電防止層を形成した。この時の帯電
防止層の表面抵抗は、103 Ω/□であった。本実施例
の光学素子用回路基板の金属電極2と、読み取り用素子
9とのボンディングは、素子の1パッド当たり6kg/
cm2 程度の圧力で180℃、30秒間で圧着した。圧
力を保持したままで温度を130℃に冷却し、熱硬化型
樹脂を塗布し、150℃で10分間保持して硬化させ
た。接合部での割れは無く、正常に作動することを確認
した。
【0032】実施例9 図3を参照して実施例9について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面
に、DCマグネトロンスパッタにより、0.5μmの銅
薄膜を形成し、金属電極となる所定のパターンを形成す
るようにレジストインキを印刷した後、電解めっきによ
り約5μmの銅膜を形成した。更にアルカノールスルフ
ォン酸浴中ではんだめっきにより約5μmのSn−Pb
(60Sn/40Pb)合金からなるはんだ層2bを形
成した。レジストを除去後、フラッシュエッチングによ
り、不要な銅薄膜を除去し、所定の回路パターンを有す
る金属電極2を形成した。第1の主面に黒色顔料を含む
樹脂を採光窓5aにかからぬように印刷し、絶縁性の遮
光層4を形成した。第2の主面にカーボンブラック粒子
を含んだストラクトボンド920(三井東圧化学製)を
採光窓5bを画定するように塗布後、熱硬化させ帯電防
止層3を形成した。この場合の帯電防止層3の表面抵抗
は103 Ω/□であった。次に透明なUV硬化型ウレタ
ンアクリル系樹脂を保護層6として帯電防止層3および
採光窓5b上に10μm形成した。作製した光学素子用
回路基板の金属電極2の上に、バンプを具備する読み取
り素子9を押し当てながら190℃で4分間保持し、素
子9のボンディングを行った。保護層6を設けたことに
より原稿用紙との耐摩耗性が向上し、読み取り装置の寿
命を大幅に伸ばすことが出来ることを確認した。
【0033】実施例10 図5を参照して実施例10について説明する。50μm
厚みのポリアリレートフィルムからなる透明基板1の第
1の主面に、DCマグネトロンスパッタにより、0.5
μmの銅薄膜を形成し、金属電極となる所定のパターン
を除いてレジストインキを印刷した後、電解めっきによ
り約5μmの銅膜を形成した。更にアルルカノールスル
フォン酸浴中ではんだめっきにより約5μmのSn−P
b(60Sn/40Pb)合金からなるはんだ層2bを
形成した。レジストを除去後、フラッシュエッチングに
より、不要な銅薄膜を除去し、金属電極2を形成した。
透明基板1の第1の主面に黒色顔料を含む樹脂を採光窓
5aにかからぬように印刷し、絶縁性の遮光層4を形成
した。さらに透明基板1の第2の主面にカーボンブラッ
ク粒子を含んだストラクトボンド920(三井東圧化学
製)を採光窓5bを画定するように塗布した後、熱硬化
させ帯電防止層3を形成した。この時の帯電防止層3の
表面抵抗は103 Ω/□であった。帯電防止層3および
採光窓5bを覆うように、透明なUV硬化型ウレタンア
クリル系樹脂からなる保護層6を10μmの厚みで形成
した。作製した光学素子用回路基板の金属電極2上にL
EDアレイを6kg/cm2程度の圧力で押圧し、14
0℃に加熱して4分間保持しボンディングを行った。結
合部での剥がれや割れは無く、光プリンターに用いた場
合、正常に作動することを確認した。
【0034】比較例1 図6を参照して比較例1について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面
に、エポキシ系接着剤を用いて、Ni−Cu合金層を有
する厚さ18μmの銅箔を積層した。次にレジストイン
キを、金属電極となる所定のパターンおよび遮光層4に
相当する部分に塗布し、塩化第2鉄溶液にて銅箔をエッ
チングした後、レジストインキを除去し金属電極2aお
よび遮光層4を形成した。金属電極層2a上に実施例1
と同様のはんだ層2bを設け、電気的接合層とした。こ
のように作製された光学素子用回路基板に、読み取り用
素子9を実施例1と同様にボンディングした。接合部で
の割れは無かったが、原稿読み取りの際に、透明基板1
と原稿の擦れにより静電気が発生し、読み取り信号にノ
イズが発生していた。また光源8以外からの光の流入
や、光源8からの光の原稿10と回路基板との間の多重
反射に起因すると思われる黒出力が高くなり、読み取り
感度が低く成っていることも認められた。
【0035】比較例2 50μm厚みのPESフィルムからなる透明基板1の第
1の主面にDCマグネトロンスパッタにより、0.5μ
mの銅薄膜を形成し、所定のパターンにレジストインキ
を印刷した後、電解めっきにより約5μmの銅膜を形成
し、これを240℃の溶融はんだ浴に浸してはんだ層の
形成を試みた。しかし、フィルムが収縮し、光学素子回
路基板として活用出来るものは得られなかった。
【0036】
【発明の効果】以上の実施例、比較例からも明らかなよ
うに、本発明の構成の光学素子用回路基板は、耐熱性の
高い基材はもとより耐熱性のやや低いプラスチックフィ
ルム基材を透明基板として用いた場合でもはんだ層等に
よる信頼性の高い電気的接合が可能であり、帯電の防止
も可能である。また光源以外の光の流入および原稿から
の光の多重反射の防止が可能であり、その結果、レンズ
不要の完全密着型の各種光学装置用の基板、ホワイトボ
ード型コピー機等の読み取り装置用基板、ならびに電子
写真などの画像形成装置としての光プリンターの基板を
提供することが可能となる。ひいては、半導体応用産業
分野において有意義な貢献をすることができるものと確
信する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子用回路基板の構成の1例を示
す図。
【図2】本発明の光学素子用回路基板の実施例1、2お
よび3の構成を示す断面図。
【図3】本発明の実施例4、5、7、8および9の構成
を示す断面図。
【図4】本発明の実施例6の構成を示す断面図。
【図5】本発明の実施例10の構成を示す断面図。
【図6】比較例1の構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 透明基板 2 金属電極 2a 第1の金属層 2b 第2の金属層 3 帯電防止層 4 遮光層 5a 採光窓 5b 採光窓 6 保護層 7 接着剤 8 光源 9 読み取り用素子 10 原稿 11 感光体
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的読み取り装置や
光学的書き込み装置、特に光プリンターなどに用いられ
る光学素子用回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクス化は、事務機器
から家庭用品、玩具等に至まで幅広い分野に及んでい
る。そのため、各分野で機器の小型軽量化、高速処理
化、高精度化等が進んでいる。特に最近では、高速ファ
クシミリ、小型スキャナー、ホワイトボード型コピー機
をはじめとする各種画像入力端末機器および電子写真等
に代表されるコピー機等において、高品質、高階調、高
解像度でシンプル、コンパクトかつ低コストの必要性が
高まって来ている。また、原稿の読み取り時の、光源の
低出力化などを計るために、読み取り用の半導体素子と
原稿とを出来るかぎり接近させることも本発明者らによ
って検討された。
【0003】すなわち、半導体素子(外部回路基板と接
続するための端子として、金製やアルミニウム製などか
らなるパッドを有するもの、あるいはベアチップ型のも
の)をマウントできる透明な回路基板の基材として0.
1mm以下の極薄のガラス基板の他、プラスチックフィ
ルムについても検討しはじめている。今後さらにエレク
トロニクス機器の高集積化、小型軽量化がすすむことが
予想され、現在でも特に極端な曲げ部分や軽量化が望ま
れる部分には、プラスチックフィルムまたはシートを基
材とした回路基板が広く使用されている。プラスチック
は、可撓性があり、プラスチック上への電極形成も、ス
パッタリング法や、真空蒸着法などにより容易に低温で
行うことが出来、生産性にも優れている。しかしなが
ら、これらの基材は、絶縁体であり、帯電しやすいの
で、摩擦などにより静電気が発生し、これが基板表面に
帯電し、半導体素子に影響を与え、出力信号に誤差が生
じたり、乱れが生じることを見出し、その結果、各種信
号にノイズが加わったり、誤動作を誘起することを見出
した。また、光学的読み取り装置においては、フィルム
状の透明な回路基板の下を移動する原稿に、光源からの
回路基板を通して光を照射し原稿を読み取るが、光源か
らの光は原稿と回路基板との間で多重反射する。本発明
者らは、読み取り用の受光素子が、この多重反射した光
を受光するので、受光素子の出力信号に乱れが生じ、正
しい読み取りが行われないことも見出した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、フィルム状の透明基板と原稿との擦れから発生した
静電気の帯電防止であり、なおかつ原稿と回路基板との
間の光源からの光の多重反射を軽減し、半導体素子を透
明基板表面に近接してマウント可能な光学素子用回路基
板を提供するものである。本発明の第2の目的は、光源
からの光の通過路である前記光学素子用回路基板の採光
窓に、不要な光が入射するのを低減することである。本
発明の第3の目的は、前記半導体素子のマウントが容易
にできるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、光
学的読み取り装置内を移動する原稿に対面するように光
学的読み取り装置内に配置され、原稿読み取りのための
原稿からの光を採光窓を通して原稿に照射させるために
用いられる光学素子用回路基板であって、フィルム状の
透明基板の光源側に位置する第1の主面に、原稿の移動
方向に対して直角方向に配置した採光窓ならびに該採光
窓に沿って形成した複数の金属電極と、該透明基板の第
2の主面に採光窓を画定する導電性および遮光性を有す
る帯電防止層を設けたことを特徴とする光学素子用回路
基板、であり、または、光学的読み取り装置内を移動す
る原稿に対面するように光学的読み取り装置内に配置さ
れ、原稿読み取りのための原稿からの光を採光窓を通し
て原稿に照射させるために用いられる光学素子用回路基
板であって、
【0006】フィルム状の透明基板の光源側に位置する
第1の主面に、原稿の移動方向に対して直角方向に配置
した採光窓ならびに該採光窓に沿って形成した複数の金
属電極と、該採光窓に沿って採光窓以外に形成した遮光
層と、該透明基板の第2の主面に採光窓を画定する導電
性および遮光性を有する帯電防止層を設けたことを特徴
とする光学素子用回路基板、であり、または、光学的書
き込み装置内を移動する感光体の感光面に対面するよう
に光学的書き込み装置内に配置され、画像形成のための
光源からの光を採光窓を通して感光面に照射させるため
に用いられる光学素子用回路基板であって、 フィルム
状の透明基板の光源側に位置する第1の主面に、画像形
成のための光を通過させるために、感光面移動方向に対
し直角に延びるように画定した採光窓ならびに該採光窓
に沿って形成した複数の金属電極と、該採光窓に沿って
採光窓以外に形成した遮光層と、該透明基板の第2の主
面に採光窓を画定する導電性および遮光性を有する帯電
防止層を設けたことを特徴とする光学素子用回路基板、
である。そして好ましくは、これら光学素子用回路基板
において、帯電防止層を、採光窓の周囲を取り囲むよう
に形成したものであり、また、帯電防止層を、採光窓を
挟んで、原稿の移動方向に対して直角に延びるように2
本形成したものであり、また、透明基板の第1の主面に
形成した金属電極が、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、
Wのうちいずれか1つからなり、第2の主面に形成した
帯電防止層が、カーボンブラックまたは金属微粒子を分
散した樹脂からなるものであり、また、金属電極が、透
明基板上に形成した第1の金属層および第1の金属層上
に形成した第2の金属層とからなるものであり、また、
前記第1の金属層が、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、
Wのうちいずれか1つからなり、前記第2の金属層が、
その上に電気部品を圧着または熱融着可能にされている
ものであり、また、前記第2の金属層を、金めっきによ
り形成したものであり、また、前記第2の金属層を、は
んだをめっきにより形成したものであり、また、前記第
2の金属層を、はんだを印刷によりに形成したものであ
り、また、金属電極上および金属電極の間に形成される
遮光層が非導電性であるものである。
【0007】まず、添付図面について簡単に説明する
と、図1は、本発明の光学素子用回路基板の構成の1例
を示す図であり、(A)は斜視図、(B)および(C)
は帯電防止層の形態を示す図である。図2〜図6は、後
記実施例、比較例に対応する図であって、図2は、本発
明の光学素子用回路基板の実施例1、2および3の構成
を示す断面図である。図3は、本発明の実施例4、5、
7、8および9を示す断面図である。図4は、本発明の
実施例6の構成を示す断面図である。図5は、本発明の
実施例10の構成を示す断面図である。図6は、比較例
1の構成を示す断面図である。
【0008】以下、適宜図面を参照しながら、本発明を
詳細に説明する。本発明は、基本的に、フィルム状の透
明基板の第1の主面に、原稿の移動方向に対して直角方
向に配置した採光窓ならびに該採光窓に沿って形成した
複数の金属電極と、該採光窓に沿って採光窓以外に形成
した遮光層と、該透明基板の第2の主面に採光窓を画定
する導電性および遮光層性を有する帯電防止層を設けた
光学素子用回路基板である。
【0009】本発明の光学素子用回路基板は、光学的読
み取り装置を移動する原稿に対面するように光学的読み
取り装置内に配置され、原稿読み取りのための光源から
の光を採光窓を通して原稿に照射させるために用いられ
るものである。本光学素子用回路基板の基材は、フィル
ム状の透明基板からなり、光源からの光の入射面である
透明基板の第1の主面には、通常スリット状である採光
窓の光の通過を妨害しないように、採光窓に沿って金属
電極が形成されている。原稿と対面することになる透明
基板の第2の主面には、採光窓を画定するように導電性
および遮光性を有する帯電防止層が形成されている。前
記光学素子用回路基板の場合、採光窓側になる金属電極
の端末は覆わぬように、採光窓に沿って金属電極間に電
気的絶縁性を有する遮光層を形成することが好ましい。
また、前記光学素子用回路基板は、光学的読み取り装置
と同様に光学的書き込み装置に用いることも出来る。こ
の場合には、帯電防止層を感光体の感光面に対面するよ
うに配置すればよい。
【0010】さらに、本発明の光学素子用回路基板を分
かり易く示したのが図1である。すなわち、フィルム状
の透明基板1の第1の主面である上面(図1(A)にお
いて)には、スリット状の採光窓5となる領域外に、採
光窓5に沿って遮光層4と、複数の金属電極2が形成さ
れ、採光窓を画定している。透明基板1の第2の主面で
ある下面には、図1(C)で示されるように採光窓5で
ある領域以外を挟むように、採光窓5に沿って2本の帯
電防止層3が形成されている。本発明の場合には、採光
窓5を画定しているのは2本の帯電防止層3であり、金
属電極2および遮光層4は採光窓5の外縁の位置に形成
されている。勿論、金属電極2および遮光層4の採光窓
側の側面が、採光窓5の外縁にぴったり合うように配置
されていてもよいし、採光窓5を通過する原稿読み取り
用の光に妨害を与えない限り、若干採光窓側に入り込ん
でいても許容される。
【0011】図1の発明の変形例として、遮光が帯電防
止層3のみで充分であれば、遮光層4は省略してもかま
わない。金属電極2が採光窓5に沿って複数設けられて
いることは、発光素子あるいは受光素子のアレイなどの
長手の受光素子をマウントするのに支持点が多く好適で
ある。場合によっては、2つの金属電極間に光学素子を
マウントしてもよい。また、帯電防止層3は、図1
(B)のように採光窓の周囲を囲むように形成してもよ
い。さらに本発明の各構成要件について詳細に説明す
る。本発明の光学素子用回路基板に用いられる透明基板
としては、光源である発光素子の光に対する透過性が高
いことが好ましく、少なくとも70%以上、より好まし
くは80%以上であることが望ましい。
【0012】透明基板としての基材の取扱い性、可撓
性、連続生産性、光源からの透過距離を小さく出来るこ
となどの利点からプラスチックフィルムを用いることが
望ましい。好ましい基材を例示するならば、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレー
ト(PEN)等のポリエステル、ポリアミド、ポリエー
テル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン(PE
S)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
ポリイミドなどのホモポリマーまたはコポリマーからな
るプラスチックフィルムが挙げられる。また、プラスチ
ックフィルムの厚みは、通常5〜500μm、好ましく
は10〜100μmが適当である。
【0013】金属電極としては、好ましくは第1の金属
層の部分と第2の金属層の部分よりなる。第1の部分は
電極そのものであり、第2の部分は、その上に電気部品
を圧着または熱融着可能にするためのものである。第1
の金属層の材料としては、Au、Ag、Ni、Cr、C
u、W等の通常の電極材料として用いられる金属が好ま
しいが、電気特性からCuが特に好ましい。その形成方
法としては次のようなものがある。 (1) スパッタ等真空処理法等により透明基板上に銅等の
金属薄膜を形成する。なお、更に電気めっき又は無電解
めっき等により厚膜化や異性金属を積層してもよい。 (2) 無電解めっきにより直接金属層を透明基板上に形成
する。 (3) 導電性インクを直接透明基板上に塗布し電極を形成
する。 (4) 接着剤により銅等の金属箔を透明基板に接着し形成
する。 (5) 銅等の金属箔に透明性を有する樹脂をキャストして
形成する。 また、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、イオンクラスタービーム法、イオン化蒸着
法、イオンアシスト蒸着法等の真空処理法により金属電
極を形成する場合には、透明基板と金属電極との密着性
を高めるために、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法、イオンクラスタービーム法、イオン化蒸着法、
イオンアシスト蒸着法等のイオンを用いた形成法が好ま
しい。また、金属電極と透明基板の間に、Ni、Crを
含む金属を中間層として形成しても良い。
【0014】本発明の金属電極は、透明基板の第1の主
面にマスク等を用いて所定の大きさに金属電極を形成す
るか、または透明基板の第1の主面全面に金属膜を形成
した後、エッチングにより所定の大きさのパターンにな
るように形成しても良い。金属電極のパターンを加工形
成する方法を具体的に説明すると、次のような方法があ
る。 (1) 透明基板の主面にレジストやマスクなどを用いて、
金属電極以外の部分を被覆し、所定の回路パターンを有
した金属電極を直接形成し、レジスト等はパターン形成
後に除去する。 (2) 透明基板の第1の主面の全面に形成した第1の金属
上にレジストを用いて所定の金属電極のパターンを形
成、被覆し、不要部分をエッチング加工し、更にレジス
トを除去して形成する。なお、その上に第2の金属層を
形成してもよいのである。 (3) 透明基板の第1の主面の全面に形成した銅等の第1
の金属層上に、所定のパターンの金属電極以外の部分に
レジスト等のマスクを形成した後、電気めっき又は無電
解めっきにより金属を厚膜化又は異種金属を積層化し
所望の金属電極パターンを形成する。その後レジストを
除去し、更にフラッシュエッチングを行い、金属電極部
分のみ残し、不要な金属膜を除去し形成する。場合によ
っては、その上に第2の金属層を形成後、レジストを除
去し、更にフラッシュエッチングを行い、金属電極部分
のみ残し、不要な金属膜を除去し第2の金属層を有する
金属電極のパターンを形成してもよい。 (4) 透明基板の第1の主面の全面に形成した銅等の第1
の金属層上に、所定のパターンの金属電極以外の部分に
レジスト等のマスクを形成した後、第2の金属層を形成
し、レジストを除去し、更にフラッシュエッチングを行
い、金属電極部分のみ残し、不要な金属膜を除去し、金
属電極のパターンを形成してもよい。 第2の金属層は、その上に電気部品を圧着または熱融着
可能にする金属層であって、好ましくは、金めっき、は
んだめっき、印刷によるめっきにより形成されるものが
好ましい。特に 金めっき層の形成方法には、次のような
ものがある。 (1) シアンアルカリ浴で電気めっきを行う。 (2) 中性浴および弱アルカリ浴で電気めっきを行う。 (3) 有機酸を用いた弱酸性浴等一般の金めっき法によっ
て作製される。 本発明に用いられる金めっき厚みは、通常0.05μm
〜50μm、好ましくは0.1μm〜5μmが適当であ
る。
【0015】本発明の金属電極上への第2の金属層たる
はんだ層の形成には、次のようなものがある。 (1) ほうふっ酸浴、フェノールスルホン酸浴、アルカノ
ールスルホン酸浴などで電解を用いたはんだめっきによ
り形成する。 (2) 置換型めっきや還元析出などの無電解めっきにより
形成する。 (3) クリームはんだ等のはんだペーストをスクリーン印
刷法等により印刷する。 本発明に用いられるはんだ層
の厚みは、通常0.5μm〜50μm、好ましくは2μ
m〜10μmが適当である。ここではんだとは、材料間
の接合に用いる低融点の金属や合金であり、特に絶対温
度で723Kより低いものであり、In、Sn、Pb、
Zn等の金属または合金が挙げられる。一般的なものと
しては、共晶はんだなどをつくるSn−Pb合金があ
る。特に合金名だけに特定化されるものではないが、例
えばホムベルグ合金、メロッテ合金、ニュートンメタ
ル、ダルスメタル、リヒテンベルグ合金、クローズ合
金、ローズメタル、ウッドメタル、リボウィッチメタ
ル、低融点はんだ、耐アルカリ性はんだ、共晶はんだ、
JISはんだ、熱起電力小はんだ、アルミはんだ等が挙
げられる。高温の溶融はんだ浴を用いず、めっき法また
は印刷によりはんだ層が形成された回路基板の提供は耐
熱性の高い基板はもとより、やや耐熱性の低いプラスチ
ックフィルムを用いた回路基板でも、信頼性の高いはん
だによる半導体素子との電気的接合の利用を可能にする
ものである。
【0016】本発明に用いられる遮光層の読み取り用の
光源からの光に対し望まれる光線透過率が50%以下、
好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下であ
る。また、遮光層の形成方法としては、次のようなもの
がある。 (1) 黒色クロムめっきの金属層で金属微粒子を接続など
の金属層を形成する。 (2) カーボンブラックまたは/おび白金黒などの金属微
粒などの導電性フィラーを樹脂マトリックス中に分散し
たもので遮光層を形成する。 (3) 顔料/染料などを樹脂中に分散したもので遮光層を
形成する。 (4) ポリチオフェン等、樹脂自身に光吸収性がある樹脂
を透明基板上に積層して遮光層を形成する。 本発明の遮光層の望ましい厚みは、通常0.05μm〜
50μm、好ましくは1μm〜10μm、さらに好まし
くは2μm〜5μmである。
【0017】本発明において、半導体素子(特には、半
導体光学素子)を接続あるいは配線するためのパタ−ン
として形成された金属電極の間に、さらに遮光層を形成
することにより、遮光効果がさらに高まる。すなわち、
遮光層は、第2の主面に形成された帯電防止層と対面す
るように第1の主面側に形成されるので、遮光層は、帯
電防止層と共同して、採光窓から光源以外の光が侵入す
るのをより効果的に防止する。この場合は、遮光層は原
稿の読み取り時に発生する電気信号にたいして影響を及
ぼさない事が必要であり、導電性の小さな顔料/染料を
含む樹脂で形成することが望ましい。この場合、金属電
極が形成された第1の主面上の遮光層と、第2の主面上
に形成された帯電防止層とは、原稿読み取り用の光源か
らの光を通過させるための採光窓を画定することが必要
である。採光窓は、通常まっすぐなスリット状に画定さ
れていて、その幅は、通常0.1mm〜50mm幅、好
ましくは0.3mm〜2mm幅が望ましい。
【0018】本発明に用いられる帯電防止層は、遮光層
と同様に光源および受光素子の動作波長において遮光性
を有することを特徴とするものであり、光源からの光透
過率が50%以下、好ましくは10%以下、さらに好ま
しくは5%以下が望ましい。帯電防止層の第2の主面上
への形成方法については次に述べるようなものがある。 (1) 黒色クロムめっき、黒色クロメ−ト処理などのめっ
き加工により帯電防止層を形成する。 (2) カ−ボンブラックまたは/および金属微粒子(例え
ば、白金黒)などの導電性フィラ−を樹脂マトリックス
中に分散させたものを印刷後、硬化させることにより帯
電防止層を形成する。 本発明の帯電防止層は、光源からの光を原稿に入射し、
かつ原稿からの反射光を透過させるための採光窓を画定
するのが望ましい。採光窓は、通常まっすぐなスリット
状に画定されていて、その幅は、通常0.1mm〜50
mm幅、好ましくは0.3mm〜2mm幅が望ましい。
採光窓の位置は、透明基板の第1の主面に形成された金
属電極並びに遮光層との間に位置するように第2の主面
上に配置するのがよい。また、採光窓については帯電防
止層および遮光層とが共同して画定するようにしてもよ
い。本発明における帯電防止層の幅については、採光窓
の幅と同等またはそれ以上であるのが適当である。すな
わち、帯電防止層の幅は、好ましくは採光窓の幅の2
倍、さらに好ましくは5倍程度である。また、帯電防止
層は受光素子側の幅が同じか、受光素子側の幅が大きい
ことが好ましい。具体的なサイズで言うと、帯電防止層
の幅は2mm〜100mm、好ましくは3mm〜10m
mである。
【0019】本発明の帯電防止層は、透明基板の耐熱性
が高い場合には、めっき、蒸着、溶射、塗布加熱等の一
般的な方法によって形成することが出来る。PET、ポ
リカーボネート、PES等の透明基板の耐熱性が乏しい
場合には、帯電防止層形成時の熱による透明基板の変形
を避けるために、150℃以下、好ましくは120℃以
下、さらに好ましくは100℃以下の低温で形成するこ
とが望ましい。その形成方法としては、次に述べるよう
なものがある。 (1) 所定の温度でマイクロカプセルが分解し、マイクロ
カプセル内の触媒が主剤と反応して硬化する一液型のエ
ポキシ樹脂中に予めカーボンブラック等の導電性フィラ
ーを分散し、これを採光窓を有するように印刷後、所定
の温度に加熱し、硬化反応させて形成する。 (2) 主剤中に分散した硬化剤が所定の温度で分解し、主
剤と反応し硬化する樹脂中にカーボンブラック等の導電
性フィラーを分散し、この樹脂を採光窓を有するように
印刷後、所定の温度に加熱し、硬化反応させて形成す
る。また、帯電防止効果を高める為に、帯電防止層にア
ース電極を設けてアースに接続することも可能である。
【0020】本発明の透明性のある光学素子用回路基板
は、これまで説明してきた構成でも機能は十分に発揮さ
れるが、本発明の光学素子用回路基板を用いた製品の寿
命を延長するために、帯電防止層の上に耐摩擦性などの
向上のために、ガラス板を接着したり、UV硬化型アク
リル樹脂、シリコーンハードコート剤、シリカゾル剤等
を塗布して保護層として設けることが望ましく、特に帯
電防止層を完全に覆うように設ける事が望ましい。保護
層の厚みは、1μm〜200μm、好ましくは2μm〜
100μm、さらに好ましくは5μm〜20μmが望ま
しい。また、光学読み取り素子と光学素子用回路基板と
の電気的接合の耐久性を高めるために硬化型樹脂により
素子全体を覆っても良い。ここで用いられる硬化型樹脂
とは、アクリル系UV硬化型樹脂に代表されるUV硬化
型樹脂、熱硬化型樹脂、エポキシ系などの常温硬化型等
が用いることができる。以下、実施例により本発明の実
施の態様の一例を説明する。
【0021】
【実施例】実施例1 図2を参照して実施例1について説明する。50μmの
PESフィルムからなる透明基板1の第1の主面にDC
マグネトロンスパッタ法により0.5μmの銅薄膜を形
成し、次に所定のパターンにレジストインキを印刷した
後、電気めっきにより銅層を5μm形成して第1の金属
電極2aを形成した。次にアルカノールスルホン酸浴中
で約5μm厚みのSn−Pb合金からなるはんだ層2b
電気めっきにより形成した。レジストを除去後、フラ
ッシュエッチングにより不要な銅薄膜を除去し、所定の
パターンを有する金属電極2を形成した。金属電極2を
形成した第1の主面と、第2の主面とにカーボンブラッ
ク粒子を含む熱硬化型樹脂の混合液を、光源からの光が
透過できるような採光窓5a、5bを有するように、ス
クリーン印刷で塗布し、その後熱硬化させて遮光層4お
よび帯電防止層3を形成した。本実施例の場合、遮光層
4は金属電極2上には形成されないので、第1の主面の
遮光層4は導電性を有していても良い。
【0022】本実施例における帯電防止層の表面抵抗
は、103 Ω/□であった。採光窓以外の遮光層および
帯電防止層の光線透過率は、1%以下であった。また、
この光学素子用回路基板の金属電極2のはんだ層2b上
に、接続用のバンプを有する光学的読み取り素子(受光
素子)を180℃において5分間でボンディングした。
接合部での剥がれや割れはなく、光源8からの光を採光
窓5a、5bを通して、第2の主面の下を通過する原稿
に照射させ、採光窓5a、5bを通して反射光を素子9
で受光し、読み取り装置で読み取りを行った結果、読み
取りは正常に行われた。
【0023】実施例2 図2を参照して実施例2について説明する。25μm厚
みの一軸延伸PEEKフィルムからなる透明基板1の第
1の主面にDCマグネトロンスパッタにより3μmの銅
膜を形成し、銅膜上に所定のパタンにレジストインキを
印刷し、エッチングにより不要な銅を除去した。次に約
1μm厚みのSn−Pb合金からなるはんだ層2bを置
換はんだめっきにより形成し、金属電極2を作製した。
実施例1と同様に遮光層4および帯電防止層3を形成し
た後、読み取り用素子とのボンディングを行った。接合
部での剥がれや割れは無く、読み取り装置は正常に作動
することを確認した。
【0024】実施例3 実施例1で作製した光学素子用回路基板と、光学的読み
取り用素子とのボンディングを行う際、150℃に加熱
しつつ、素子の1バンプ当たり2kg/cm2の圧力を
5分間加えた(圧着)。この結果、接合部での剥がれや
割れは発生せず読み取り装置は正常に作動した。
【0025】実施例4 図3を参照して実施例4を説明する。実施例1で形成し
た光学素子用回路基板の第2の主面に、保護層6を形成
した。保護層6は、UV硬化型ウレタンアクリル系樹脂
からなり、厚さ10μmを有する。本実施例の光学素子
用回路基板への読み取り用素子9のボンディングは、熱
風循環加熱法(140℃)により行った。接合部での剥
がれや割れは無く、読み取り装置は正常に作動した。
【0026】実施例5 図3を参照して実施例4を説明する。25μm厚みのカ
プトンVフィルムの第1の主面にDCマグネトロンスパ
ッタ法により1μmの銅薄膜を形成した。次に硫酸銅浴
中で電解めっきにより10μmの銅膜を形成した。次に
レジストインキを所定のパタンに印刷し、塩化第2鉄溶
液にて銅のエッチングを行った後、レジストインキを除
去した。さらに2μm厚みのNiをめっきにより形成
後、0.2μm厚みの金めっき層2bを形成し、金属電
極2を作製した。第1の主面に黒色顔料を含んだ樹脂を
採光窓5aにかからぬように塗布し、第2の主面にカー
ボンブラック粒子を含んだストラクトボンド920(三
井東圧化学株式会社製)を採光窓5bを画定するように
塗布し、熱硬化して電気的絶縁性<のある遮光層4およ
び導電性のある帯電防止層3を形成した。次に帯電防止
層3および採光窓5bを覆うように、実施例4と同様の
保護層6を透明基板1の第2の主面に平行に形成した。
保護層6は、第2の主面の直下を移動する原稿10等に
よる摩擦から帯電防止層3および採光窓5bを保護す
る。
【0027】本実施例の光学素子用回路基板とアルミニ
ウム製のパットを有した読み取り用素子9とを200
℃、30秒間圧着し接合した。その後、素子9を圧着し
たままで、透明なポリエステル系熱硬化樹脂が、透明基
板1と素子9との間に斑なく充填されるように塗布し
た。その後、この樹脂を20分間、140℃で加熱硬化
し、素子9と金属電極2との接合を補強した。接合部で
の剥がれは無く、正常に作動することを確認した。
【0028】実施例6 図4を参照して実施例6について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面に
エポキシ系接着剤を用いて、Ni−Cu合金層を有した
18μmの銅箔を積層した。次にレジストインキにて所
定の回路パターンおよび遮光層4を形成するよう塗布
し、塩化第2鉄溶液にて銅箔をエッチングした後、レジ
ストインキを除去し金属電極層2aおよび遮光層4を形
成した。金属電極2a上に実施例1と同様のはんだ層2
bを設け、電気的接合層とし金属電極2を形成した。さ
らに金属電極2上にUV硬化型有色樹脂レイキュア42
00(十条化工社製)を印刷し、絶縁性のある遮光層4
を形成した。次に第2の主面に第1の主面に形成した採
光窓5aに相対するようにカーボンブラック粒子を含ん
だストラクトボンド920(三井東圧化学株式会社製)
を塗布し、帯電防止層3を形成し、更に帯電防止層3を
覆うように実施例5と同様な保護層6を形成した。本実
施例の光学素子用回路基板と接続用のバンプを有する読
み取り素子9とを実施例1と同様に接合した。接合部で
の剥がれや割れはなく、読み取りは正常に行われた。
【0029】実施例7 図3を参照して実施例7について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面に
DCマグネトロンスパッタにより0.5μmの銅薄膜を
形成し、所定のパターンにレジストインキを印刷した
後、電気めっきにより約5μmの銅膜を形成した。更に
電気めっきにより約5μmのスズ層2bを形成した。レ
ジストを除去した後、フラッシュエッチングにより、不
要な銅薄膜を除去し、所定の回路パターンを有する金属
電極2を形成した。第1の主面に採光窓5aにかからぬ
ように、黒色顔料を含んだ樹脂を印刷し遮光層4を形成
し、第2の主面にカーボンブラック粒子を含んだストラ
クトボンド920(三井東圧化学株式会社製)を採光窓
5bを画定するように塗布し、その後、熱硬化させて電
気的絶縁性を有する遮光層および導電性の帯電防止層を
形成し、帯電防止層3を覆うように実施例5と同様の保
護層6を形成した。本実施例の光学素子用回路基板の金
属電極2と、Au製のパッドを有した読み取り用素子と
を200℃、30秒間圧着し接合した。その後実施例5
と同様のポリエステル系熱硬化樹脂を塗布硬化して、素
子9と金属電極2との接合を補強した。接合部での剥が
れは無く、正常に作動することを確認した。
【0030】実施例8 図3を参照して実施例8について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面
に、DCマグネトロンスパッタにより0.5μmの銅薄
膜を形成し、所定のパターンを形成するようにレジスト
インキを印刷した後、電気めっきにより約5μmの銅膜
を形成し、さらに約0.2μm厚みの金めっき膜を形成
した。レジストを除去した後、フラッシュエッチングに
より、不要な銅膜を除去し、所定のパターンを有する金
属電極2を形成した。第1の主面に黒色顔料を含む樹脂
を採光窓5aにかからぬように印刷し、絶縁性の遮光層
4を形成した。さらに第2の主面にカーボンブラック粒
子を含んだストラクトボンド920(三井東圧化学株式
会社製)を採光窓5bを画定するように塗布し、熱硬化
して遮光層および帯電防止層を形成した。この時の帯電
防止層の表面抵抗は、103 Ω/□であった。
【0031】本実施例の光学素子用回路基板の金属電極
2と、読み取り用素子9とのボンディングは、素子の1
パッド当たり6kg/cm2 程度の圧力で180℃、3
0秒間で圧着した。圧力を保持したままで温度を130
℃に冷却し、熱硬化型樹脂を塗布し、150℃で10分
間保持して硬化させた。接合部での割れは無く、正常に
作動することを確認した。
【0032】実施例9 図3を参照して実施例9について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面
に、DCマグネトロンスパッタにより、0.5μmの銅
薄膜を形成し、金属電極となる所定のパターンを形成す
るようにレジストインキを印刷した後、電気めっきによ
り約5μmの銅膜を形成した。更にアルカノールスルフ
ォン酸浴中ではんだめっきにより約5μmのSn−Pb
(60Sn/40Pb)合金からなるはんだ層2bを形
成した。レジストを除去後、フラッシュエッチングによ
り、不要な銅薄膜を除去し、所定の回路パターンを有す
る金属電極2を形成した。第1の主面に黒色顔料を含む
樹脂を採光窓5aにかからぬように印刷し、絶縁性の遮
光層4を形成した。第2の主面にカーボンブラック粒子
を含んだストラクトボンド920(三井東圧化学製)を
採光窓5bを画定するように塗布後、熱硬化させ帯電防
止層3を形成した。この場合の帯電防止層3の表面抵抗
は103 Ω/□であった。
【0033】次に透明なUV硬化型ウレタンアクリル系
樹脂を保護層6として帯電防止層3および採光窓5b上
に10μm形成した。作製した光学素子用回路基板の金
属電極2の上に、バンプを具備する読み取り素子9を押
し当てながら190℃で4分間保持し、素子9のボンデ
ィングを行った。保護層6を設けたことにより原稿用紙
との耐摩耗性が向上し、読み取り装置の寿命を大幅に伸
ばすことが出来ることを確認した。
【0034】実施例10図2を参照して実施例10について説明する。50μm
のPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面にD
Cマグネトロンスパッタ法により0.3μmの銅薄膜を
形成し、次に所定のパターンにレジストインキを印刷し
た後、アルカノールスルホン酸浴中で約5μm厚みのS
n−Pb合金からなるはんだ層2bを電気めっきにより
形成した。レジストを除去後、フラッシュエッチングに
より不要な銅薄膜を除去し、スパッタした銅薄膜からな
る第1の金属電極2aおよび所定のパターンを有する金
属電極2を形成した。
【0035】金属電極2を形成した第1の主面と、第2
の主面とにカーボンブラック粒子を含む熱硬化型樹脂の
混合液を、光源からの光が透過できるような採光窓5
a、5bを有するように、スクリーン印刷で塗布し、そ
の後熱硬化させて遮光層4および帯電防止層3を形成し
た。本実施例の場合、遮光層4は金属電極2上には形成
されないので、第1の主面の遮光層4は導電性を有して
いても良い。本実施例における帯電防止層の表面抵抗
は、103 Ω/□であった。採光窓以外の遮光層および
帯電防止層の光線透過率は、1%以下であった。また、
この光学素子用回路基板の金属電極2のはんだ層2b上
に、接続用のバンプを有する光学的読み取り素子(受光
素子)を150℃において5分間でボンディングした。
接合部での剥がれや割れはなく、光源8からの光を採光
窓5a、5bを通して、第2の主面の下を通過する原稿
に照射させ、採光窓5a、5bを通して反射光を素子9
で受光し、読み取り装置で読み取りを行った結果、読み
取りは正常に行われた。
【0036】実施例11 実施例10で作製した光学素子用回路基板と、光学的読
み取り用素子とのボンディングを行う際、130℃に加
熱しつつ、素子当たり1kg/cm2 の圧力を5分間加
えた(圧着)。この結果、接合部での剥がれや割れは発
生せず読み取り装置は正常に作動した。
【0037】実施例12 図3を参照して実施例12を説明する。実施例10で形
成した光学素子用回路基板の第2の主面に、保護層6を
形成した。保護層6は、UV硬化型ウレタンアクリル系
樹脂からなり、厚さ10μmを有する。本実施例の光学
素子用回路基板への読み取り用素子9のボンディング
は、素子当たり1.5kg/cm2 の圧力を加え、熱風
循環加熱法(140℃×3分間)で行った。接合部での
剥がれや割れは無く、読み取り装置は正常に作動した。
【0038】実施例13 50μm PESフィルムの片面をアランダムの300メ
ッシュの研磨材を用いて表面粗化を行った後、脱脂処理
(50℃×10分)、水洗(10分)、ペーハー調整
(250℃×5分浸漬)し、次に低塩酸濃度のPdCl2
SnCl2 を含む触媒液に30℃で5分間浸漬してPESフ
ィルムに触媒を付与し、5分間水洗した。次に135℃
で15分間の加熱処理をし、次いで湯洗を40℃で5分
間行う。そのPESフィルムを無電解ニッケルめっき液
に浸漬し、厚さ2μm の無電解ニッケルめっきを行い、
次に5分間の水洗を行った。次いで、140℃で30分
間熱処理を行い、その後10%塩酸で1分間活性化を行
う。さらに、感光性ドライフィルムをめっきレジストと
して、非回路部をマスクした。次いで電気銅めっきで約
3μm の電気銅めっきの導体を形成する。水洗後その上
に、アルカノールスルホン酸浴中で約3μm の厚みのS
n−Pb合金からなるはんだ層を形成した。レジストを
剥離し、フラッシュエッチングにより不要部を除去し
た。
【0039】以上のごとくして図2に示すような、ニッ
ケル及び銅からなる第1の金属電極2a、はんだ層2b
からなる所定のパターンを有する金属電極2を形成し
た。金属電極2を形成した第1の主面と、第2の主面と
にカーボンブラック粒子を含む熱硬化型樹脂の混合液
を、光源からの光が透過できるような採光窓5a、5b
を有するように、スクリーン印刷で塗布し、その後熱硬
化させて遮光層4および帯電防止層3を形成した。本実
施例の場合、遮光層4は金属電極2上には形成されない
ので、第1の主面の遮光層4は導電性を有していても良
い。本実施例における帯電防止層の表面抵抗は、103
Ω/□であった。採光窓以外の遮光層および帯電防止層
の光線透過率は、1%以下であった。また、この光学素
子用回路基板の金属電極2のはんだ層2b上に、接続用
のバンプを有する光学的読み取り素子(受光素子)を1
50℃において5分間でボンディングした。接合部での
剥がれや割れはなく、光源8からの光を採光窓5a、5
bを通して、第2の主面の下を通過する原稿に照射さ
せ、採光窓5a、5bを通して反射光を素子9で受光
し、読み取り装置で読み取りを行った結果、読み取りは
正常に行われた。
【0040】実施例14 図5を参照して実施例14について説明する。50μm
厚みのポリアリレートフィルムからなる透明基板1の第
1の主面に、DCマグネトロンスパッタにより、0.5
μmの銅薄膜を形成し、金属電極となる所定のパターン
を除いてレジストインキを印刷した後、電気めっきによ
り約5μmの銅膜を形成した。更にアルルカノールスル
フォン酸浴中ではんだめっきにより約5μmのSn−P
b(60Sn/40Pb)合金からなるはんだ層2bを
形成した。レジストを除去後、フラッシュエッチングに
より、不要な銅薄膜を除去し、金属電極2を形成した。
【0041】透明基板1の第1の主面に黒色顔料を含む
樹脂を採光窓5aにかからぬように印刷し、絶縁性の遮
光層4を形成した。さらに透明基板1の第2の主面にカ
ーボンブラック粒子を含んだストラクトボンド920
(三井東圧化学製)を採光窓5bを画定するように塗布
した後、熱硬化させ帯電防止層3を形成した。この時の
帯電防止層3の表面抵抗は103 Ω/□であった。帯電
防止層3および採光窓5bを覆うように、透明なUV硬
化型ウレタンアクリル系樹脂からなる保護層6を10μ
mの厚みで形成した。作製した光学素子用回路基板の金
属電極2上にLEDアレイを6kg/cm2程度の圧力
で押圧し、140℃に加熱して4分間保持しボンディン
グを行った。結合部での剥がれや割れは無く、光プリン
ターに用いた場合、正常に作動することを確認した。
【0042】比較例1 図6を参照して比較例1について説明する。50μm厚
みのPESフィルムからなる透明基板1の第1の主面
に、エポキシ系接着剤を用いて、Ni−Cu合金層を有
する厚さ18μmの銅箔を積層した。次にレジストイン
キを、金属電極となる所定のパターンおよび遮光層4に
相当する部分に塗布し、塩化第2鉄溶液にて銅箔をエッ
チングした後、レジストインキを除去し金属電極2aお
よび遮光層4を形成した。金属電極層2a上に実施例1
と同様のはんだ層2bを設け、電気的接合層とした。こ
のように作製された光学素子用回路基板に、読み取り用
素子9を実施例1と同様にボンディングした。接合部で
の割れは無かったが、原稿読み取りの際に、透明基板1
と原稿の擦れにより静電気が発生し、読み取り信号にノ
イズが発生していた。また光源8以外からの光の流入
や、光源8からの光の原稿10と回路基板との間の多重
反射に起因すると思われる黒出力が高くなり、読み取り
感度が低く成っていることも認められた。
【0043】比較例2 50μm厚みのPESフィルムからなる透明基板1の第
1の主面にDCマグネトロンスパッタにより、0.5μ
mの銅薄膜を形成し、所定のパターンにレジストインキ
を印刷した後、電解めっきにより約5μmの銅膜を形成
し、これを240℃の溶融はんだ浴に浸してはんだ層の
形成を試みた。しかし、フィルムが収縮し、光学素子回
路基板として活用出来るものは得られなかった。
【0044】
【発明の効果】以上の実施例、比較例からも明らかなよ
うに、本発明の構成の光学素子用基板は、耐熱性の高い
基材はもとより耐熱性のやや低いプラスチックフィルム
基材を透明基板として用いた場合でもはんだ層等による
信頼性の高い電気的接合が可能であり、帯電の防止も可
能である。また光源以外の光の流入および原稿からの光
の多重反射の防止が可能であり、その結果、レンズ不要
の完全密着型の各種光学装置用の基板、ホワイトボード
型コピー機等の読み取り装置用基板、ならびに電子写真
などの画像形成装置としての光プリンターの基板を提供
することが可能となる。ひいては、半導体応用産業分野
において有意義な貢献をすることができるものと確信す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−208839 (32)優先日 平4(1992)8月5日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的読み取り装置内を移動する原稿に
    対面するように光学的読み取り装置内に配置され、原稿
    読み取りのための原稿からの光を採光窓を通して原稿に
    照射させるために用いられる光学素子用回路基板であっ
    て、 フィルム状の透明基板の光源側に位置する第1の主面
    に、原稿の移動方向に対して直角方向に配置した採光窓
    ならびに該採光窓に沿って形成した複数の金属電極と、
    該透明基板の第2の主面に採光窓を画定する導電性およ
    び遮光性を有する帯電防止層を設けたことを特徴とする
    光学素子用回路基板。
  2. 【請求項2】 光学的読み取り装置内を移動する原稿に
    対面するように光学的読み取り装置内に配置され、原稿
    読み取りのための原稿からの光を採光窓を通して原稿に
    照射させるために用いられる光学素子用回路基板であっ
    て、 フィルム状の透明基板の光源側に位置する第1の主面
    に、原稿の移動方向に対して直角方向に配置した採光窓
    ならびに該採光窓に沿って形成した複数の金属電極と、
    該採光窓に沿って採光窓以外に形成した遮光層と、該透
    明基板の第2の主面に採光窓を画定する導電性および遮
    光性を有する帯電防止層を設けたことを特徴とする光学
    素子用回路基板。
  3. 【請求項3】 光学的書き込み装置内を移動する感光体
    の感光面に対面するように光学的書き込み装置内に配置
    され、画像形成のための光源からの光を採光窓を通して
    感光面に照射させるために用いられる光学素子用回路基
    板であって、 フィルム状の透明基板の光源側に位置する第1の主面
    に、画像形成のための光を通過させるために、感光面移
    動方向に対し直角に延びるように画定した採光窓ならび
    に該採光窓に沿って形成した複数の金属電極と、該採光
    窓に沿って採光窓以外に形成した遮光層と、該透明基板
    の第2の主面に採光窓を画定する導電性および遮光性を
    有する帯電防止層を設けたことを特徴とする光学素子用
    回路基板。
  4. 【請求項4】 帯電防止層を、採光窓の周囲を取り囲む
    ように形成した請求項1ないし3のいずれかに記載の光
    学素子用回路基板。
  5. 【請求項5】 帯電防止層を、採光窓を挟んで、原稿の
    移動方向に対して直角に延びるように2本形成した請求
    項1ないし3のいずれかに記載の光学素子用回路基板。
  6. 【請求項6】 透明基板の第1の主面に形成した金属電
    極が、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Wのうちいずれ
    か1つからなり、第2の主面に形成した帯電防止層が、
    カーボンブラックまたは金属微粒子を分散した樹脂から
    なる請求項1ないし3のいずれかに記載の光学素子用回
    路基板。
  7. 【請求項7】 金属電極が、透明基板上に形成した第1
    の金属層および第1の金属層上に形成した第2の金属層
    とからなる請求項1ないし3のいずれかに記載の光学素
    子用回路基板。
  8. 【請求項8】 前記第1の金属層を、Au、Ag、C
    u、Ni、Cr、Wのうちいずれか1つからなり、前記
    第2の金属層は、その上に電気部品を圧着または熱融着
    可能にされている請求項7記載の光学素子用回路基板。
  9. 【請求項9】 前記第2の金属層を、金めっきにより形
    成した請求項8記載の光学素子用回路基板。
  10. 【請求項10】 前記第2の金属層を、はんだをめっき
    により形成した請求項8記載の光学素子用回路基板。
  11. 【請求項11】 前記第2の金属層を、はんだを印刷に
    よりに形成した請求項8記載の光学素子用回路基板。
  12. 【請求項12】 金属電極上および金属電極の間に形成
    される遮光層が非導電性である請求項2または3記載の
    光学素子用回路基板。
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JP4-178279 1992-08-05
JP4-51277 1992-08-05
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