JPH06108751A - 可動ガラリの複層パネル板保持具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】可動ガラリの組付け時における作業性の向上と
共に、金属性のクリップを単層パネル及び複層パネルの
双方に兼用できるようにした複層パネル板保持具を提供
する。 【構成】両端に止片３ｄを有し、前面に２枚のパネル板
２の端部をそれぞれ嵌合する嵌合空間を有する断面コ字
状の第１及び第２保持部３ａ，３ｂを備え、同第１及び
第２保持部３ａ，３ｂが所定の長さ長手方向にずれ且つ
所定の間隔を隔てた平行状態で、その開口側縁同士が適
宜連結片３ｃにより連結一体化された複層パネル板保持
部材３と、一端に止片４ｄを有し、前記保持部材３の第
１又は第２保持部３ａ，３ｂの一方に側方から外嵌する
嵌合空間を有する断面コ字状の本体と、同本体の背面の
延長平面上に突出する回動腕４ｂとを備えた金属製のク
リップ材４との組合せで構成され、前記保持部材３と前
記クリップ材４とは係着手段３ｆ，４ｃを介して係脱可
能とされている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は可動ガラリのパネル板保
持具に関し、単層パネル板と複層パネル板との共用クリ
ップ部材が使用できると共に、特に複層パネル板の保持
に好適な複層パネル板の保持具に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、可動ガラリの断熱基準が強化さ
れ、２枚のパネル板を平行に配設する、いわゆる複層パ
ネル板の多用されるようになってきている。このような
状況下にあって、単層パネル板を保持するための保持具
に代わり、例えば実公平１−３９２８８号公報、実開平
１−１３４１８９号公報等に開示されているように複層
パネル板の保持具に関する幾つかの提案がなされてい
る。

【０００３】その構成を簡単に説明すると、上記実公平
１−３９２８８号公報に開示された可動ガラリの複層パ
ネル板保持具は、２枚のパネル板を所定の間隔を隔てて
平行に且つ長手方向に所定の寸法ずらした状態で、各パ
ネル板の端部を嵌着保持するための一対のパネル板保持
部がガラリ枠への軸着部を有する連結片を介して一体に
成型されると共に、一方のパネル板保持部からは連動杆
への軸着部を有する回動腕が突設されてなる単一の金属
板材から構成されている。

【０００４】また、上記実開平１−１３４１８９号公報
に開示された複層パネル板保持具は、周縁の所要部分に
立上り片と弾性押圧片とを有する大小２枚の金属板材を
積層状態に組付け一体化し、両板材の立上り片間に平行
に且つ長さ方向に所定の寸法ずらして形成されるパネル
板嵌合空間に、２枚のパネル板のそれぞれ端部を嵌合さ
せて前記弾性押圧片により弾接状態で嵌着保持するもの
で、保持具中央にガラリ枠への軸着部を有し、外側に配
される金属板材からは連動杆への軸着部をもつ回動腕が
突出している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかして、上記両公報
に開示された金属板製のパネル板保持具は双方共に直接
パネル板を嵌着保持するため精度の高い加工が要求され
るばかりでなく、該保持具のパネル板保持空間にパネル
板を嵌着させるにあたっては、コ字状断面を有する保持
具の長手方向端部に形成された止片兼弾性押圧片を弾力
に抗して外側に押し開きながら、パネル板の一隅部を保
持具の一端部空間に差し入れて幅方向に押込んで嵌着さ
せるものである。ところで、一般にパネル板は脆性の大
きなガラス板やプラスチック板からなっているため、パ
ネル板を前述のようにして保持具に嵌着させるときは、
特に亀裂や欠けが入らないように細心の注意を払う必要
があり、作業能率の低下を招いていた。

【０００６】パネル板の保持部の構造に限ってみると、
従来の単層パネル板の保持具にあっても同様の構造であ
るため、前述の不具合は単層パネル板についても言える
ことであった。この単層パネル板の不具合を排除するた
め、従来、例えば実公昭６３−２２３０４号公報に開示
されているような提案がある。即ち、脆性の高い材質か
らなるパネル板の端部を金属製の保持具で直接保持せ
ず、断面コ字状の合成樹脂製保持体を介して従来と同様
の構成をもつ金属製クリップによりパネル板端部を保持
しようとするものである。前述のようにパネル板と金属
製クリップの中間に合成樹脂製の保持体を介在させるこ
とにより、パネル板はがたつきなく確実に保持される。

【０００７】従って、複層パネル板の保持具にあって
も、前述の構成を採用すれば２枚のパネル板をがたつき
なく確実に保持することが可能となるであろうことは容
易に考えられることである。例えば、上記実公平１−３
９２８８号公報に開示された金属製のパネル板保持具に
前述の合成樹脂製保持体を適用した組合せ保持具構造と
することも可能である。この場合、同公報に開示されて
いるものと同等の構造を有する２個のパネル板保持部を
平行にもつ金属製クリップに前述の実公昭６３−２２３
０４号公報に開示された合成樹脂製保持体を嵌合係着さ
せて複合パネル板の組合せ保持具とすることが最も容易
に考えられることである。

【０００８】しかしながら、こうして得られる複合パネ
ル板の組合せ保持具の構造では、相変わらず保持具の一
端部から弾性押圧片を押し開きながら各パネル板をその
幅方向に差し入れるものであるため、パネル板に亀裂や
欠けが入らないように注意しなければならない点では従
来と変わるところがなく、作業性の面では相変わらず改
善されることにはならない。しかも、金属製クリップは
複層パネル専用クリップとなる。

【０００９】本発明の目的は、可動ガラリの組付け時に
おける作業性の向上と同時に金属性のクリップを単層パ
ネル及び複層パネルの双方に兼用できるようにした複層
パネル板保持具を提供し、上述の不具合を解消すること
にある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前述の目的を達成すべ
く、本発明は２枚のパネル板の両端部において同パネル
板の端部位置を幅方向に所定の寸法ずらした状態で且つ
所定の間隔をおいて平行に保持する可動ガラリの複層パ
ネル板保持具であって、複層パネル板の端部を嵌着保持
する保持部材と、回動腕を有し前記保持部材に嵌合係着
するクリップ材とからなり、前記保持部材は両端に止片
を有し、前記パネル板の端部を嵌合する嵌合空間を有す
る断面コ字状の第１及び第２保持部を備え、同第１及び
第２保持部が所定の長さ長手方向にずれ且つ所定の間隔
を隔てた平行状態で、その開口側縁同士が適宜連結片に
より連結一体化され、前記クリップ材は一端に止片を有
し、前記保持部材の第１又は第２保持部の一方に側方か
ら外嵌する嵌合空間を有する断面コ字状の本体と、同本
体の背面の延長平面上に突出する回動腕とを備えてお
り、前記保持部材と前記クリップ材とは係着手段を介し
て脱着可能とされてなることを主要な構成としている。

【００１１】

【作用】本発明の複層パネル板保持具により２枚のパネ
ル板を保持するには、まずパネル板保持部材の上下パネ
ル板保持部の枠状空間部に、その前面からパネル板の端
部を嵌め込む。このとき、各パネル板は前記枠状空間部
内で弾性的に押圧状態に嵌合している。こうしてパネル
板保持部材に２枚のパネル板が保持された状態で、パネ
ル板保持部材の上下パネル板保持部のうちの一方の保持
部が単層パネル板のクリップ剤と同一構造を有するクリ
ップ材に長手方向の開放端から挿入され、パネル板保持
部材の挿入端がクリップ材の前記開放端とは反対側の止
片に当接されると、同時に前記パネル板保持部材の係着
部がクリップ材に形成された係着部に係着し、両者が一
体化される。

【００１２】なお、可動ガラリを組立てるときは、金属
製のクリップ材を予め窓枠及び連動杆の所定位置に取り
付けておき、パネル板が保持されたパネル板保持部材を
前記クリップ材に挿入係着させるようにする。

【００１３】また前記クリップ材は、上述のごとく単層
パネル板用に併用できる寸法とされているため、上記複
層パネル板の保持部材専用ではなく、単層パネル板及び
複層パネル板の双方に兼用することができ、製造する部
品点数の減少を可能にすると共に、部品管理等の容易性
を確保する。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。図１は本発明の複層パネル板保持具によ
り２枚のパネル板を保持した状態を示す部分斜視図であ
り、図２は２枚のパネル板の端部を保持した状態にある
単一のパネル板保持部材をクリップ材に嵌合係着させる
時点での部分斜視図、図３は前記保持部材をパネル板嵌
着側からみた全体斜視図、図４は同保持部材を背面側か
らみた全体斜視図、図５は図４における矢印で示す背面
図である。

【００１５】これらの図から明らかなごとく本発明に係
る複層パネル板保持具１は、２枚のパネル板２，２の一
端部をそれぞれ幅方向に位置をずらした状態で平行に直
接嵌着保持する合成樹脂製のパネル板保持部材３と、該
保持部材３の一方のパネル板保持部３ａに外部側方から
嵌合係着する金属製クリップ材４とを主要な構成部材と
している。

【００１６】前記パネル板保持部材３は、長さ方向に所
定の寸法だけ位置をずらし且つ所定の間隔をおいて平行
に配置された上下一対のパネル板保持部３ａ，３ｂを有
しており、該パネル板保持部３ａ，３ｂ同士はその開放
面（以下、前面という。）を同一方向に向けて連結片３
ｃにより連結一体化されている。前記一対のパネル板保
持部３ａ，３ｂは断面形状が略コ字状をなしたパネル板
２の嵌合空間を有すると共に、パネル板２の幅寸法に略
等しい長さを有し、その両端にはパネル板２の側端面位
置を規制する止片３ｄ，３ｄを有している。また、前記
連結片３ｃによる各パネル板保持部３ａ，３ｂの連結位
置は、同パネル板保持部３ａ，３ｂの重なり部分の前面
で対向する側縁同士であり、同時に前記各止片３ｄのう
ちの一つが相手方のパネル板保持部、例えばパネル板保
持部３ａの止片３ｄを相手方のパネル板保持部３ｂまで
延在させて両パネル板保持部３ａ，３ｂの連結を強固な
ものにしている。

【００１７】更に、図１及び図２に示すように前記パネ
ル板保持部材３の上下パネル板保持部３ａ，３ｂには、
可動ガラリを閉じたとき上下の室内側及び室外側のパネ
ル板２のそれぞれ端部同士が密接すべく、その対応部分
をパネル板２と面一になるように切欠させており、また
各パネル板保持部３ａ，３ｂのパネル板挿入突当り面に
は、例えばスポンジゴム等からなる帯状の気密材５を接
着剤等により固着している。

【００１８】そして、図示実施例では図４及び図５に示
すように、上記金属製クリップ材４を嵌合させたときの
上部パネル板保持部３ａの嵌合突当り部分には前記金属
製クリップ材４の厚みに略等しい高さの立上り縁部３ｅ
が形成されており、また金属製クリップ材４を係着させ
るために同パネル板保持部３ａの底面には外側に向けて
弾性係着片３ｆが突設され、更にはパネル板２を弾性的
に保持すべく同底面に内側に向かう弾性押圧片３ｇが形
成されている。同弾性押圧片３ｇは図示を省略している
が、前面がテーパ状に形成されており、パネル板２を各
パネル板保持部３ａ，３ｂにスムースに挿入できるよう
にしている。

【００１９】本発明における一方の構成部材である金属
製クリップ材４は、図２に示すように例えば一枚の金属
板からなり、プレス加工などによる打ち抜き、折り曲げ
により得られるものである。その基本構造は上述の実公
昭６３−２２３０４号公報に開示された単層のクリップ
構造と同じであるが、本発明においては同クリップ構造
のうち長さ方向の一端部に形成されたＬ字状の弾性片を
排除して、同端部を開放端４ａとすると共に、回動腕４
ｂの突出側クリップ片の一部に上記上部パネル板保持部
３ａの弾性係着片３ｆが係着する係合孔４ｃが形成され
ている点で異なっており、この点が本発明における金属
製クリップ材４の構造上の特徴部をなしている。

【００２０】さて、本発明に係る複層パネル板保持具１
は以上の構成を備えており、かかる構成をもつ左右対称
に製作された一組のパネル板保持部材３及びクリップ材
４の組合せからなり、同複層パネル板保持具１によりパ
ネル板２を保持するには、まず図２に示すごとく前記パ
ネル板保持部材３の上下パネル板保持部３ａ，３ｂの枠
状空間部にパネル板２の端部を弾性押圧片３ｇの弾力に
抗して挿入する。このときの状態が図２に示してある。
こうしてパネル板保持部材３にパネル板２が保持された
状態で、図２に矢印で示すごとくパネル板保持部材３の
部分がクリップ材４の長手方向の開放端から挿入され、
パネル板保持部材３の挿入端がクリップ材４の前記開放
端とは反対側の止片４ｄに当接すると、同時に前記パネ
ル板保持部材３の弾性係着片３ｆがクリップ材４に形成
された係合孔４ｃに係着し、両者が一体化されて図１に
示す状態となる。

【００２１】なお、可動ガラリを組立てるときは、金属
製のクリップ材４を予め図示せぬ窓枠及び連動杆の所定
位置に取り付けておき、パネル板２が保持状態にあるパ
ネル板保持部材３を前記クリップ材４に挿入係着させる
ようにする。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
の複層パネル板保持具は、好ましくは合成樹脂成形品か
らなる長さ方向に位置がずらされ平行に並列するパネル
板保持部をもつパネル板保持部材と、同保持部材の一方
の保持部に側方から単に外嵌係着することができる構造
の可動腕をもつ金属製のクリップ材との組合せであるた
め、複層パネル板ががたつきなく確実に保持されること
は当然であり、しかも各パネル板をパネル板保持部に保
持させる作業は、単に各パネル板の端部を前記保持部材
の保持部に形成された嵌合空間に前面から挿入するだけ
簡単な操作で足りるため、パネル板の亀裂や欠けの心配
をする必要のない極めて作業性の高いものとなる。

【００２３】更に、本発明に使用されるクリップ材は、
そのまま単層パネルにも使用することができるため、製
造コストの低減が図れるだけでなく、在庫管理等の製品
管理が容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の複層パネル板保持具により２枚のパネ
ル板を保持した状態を示す部分斜視図である。

【図２】２枚のパネル板の端部を保持した状態にある本
発明の単一パネル板保持部材をクリップ材に嵌合係着さ
せる状態を示す部分斜視図である。

【図３】同保持部材をパネル板嵌着側からみた全体斜視
図である。

【図４】同保持部材を背面側からみた全体斜視図であ
る。

【図５】図４における矢印方向からみた背面図である。

【符号の説明】

１ 複層パネル板保持具 ２ パネル板 ３ パネル板保持部材 ３ａ，３ｂ パネル板保持部 ３ｃ 連結片 ３ｄ 止片 ３ｅ 立上り縁部 ３ｆ 弾性係着片 ３ｇ 弾性押圧片 ４ 金属製クリップ材 ４ａ 開放端 ４ｂ 回動腕 ４ｃ 係合孔 ４ｄ 止片 ５ 気密材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚のパネル板の両端部において同パネ
   ル板の端部位置を幅方向に所定の寸法ずらした状態で且
   つ所定の間隔をおいて平行に保持する可動ガラリの複層
   パネル板保持具であって、 複層パネル板(2,2) の端部を嵌着保持する保持部材(3)
   と、回動腕(4b)を有し前記保持部材(3) に嵌合係着する
   クリップ材(4) とからなり、 前記保持部材(3) は、両端に止片(3d)を有し、前記パネ
   ル板(2) の端部を嵌合する嵌合空間を有する断面コ字状
   の第１及び第２保持部(3a,3b) を備え、同第１及び第２
   保持部(3a,3b) が所定の長さ長手方向にずれ且つ所定の
   間隔を隔てた平行状態で、その開口側縁同士が適宜連結
   片(3c)により連結一体化され、 前記クリップ材(4) は、一端に止片を有し、前記保持部
   材の第１又は第２保持部(3a,3b) の一方に側方から外嵌
   する嵌合空間を有する断面コ字状の本体と、同本体の背
   面の延長平面上に突出する回動腕(4b)とを備えており、 前記保持部材(3) と前記クリップ材(4) とは係着手段(3
   f,4c) を介して係脱可能とされてなることを特徴とする
   可動ガラリの複層パネル板保持具。