JPH06108663A - コンクリート斫り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 台車２に搭載したバキューム式のサンドブラ
スト装置３、同じく台車２に搭載し、サンドブラスト装
置３のノズル１９を操作するためのマニプレータ５、さ
らに前記サンドブラスト装置に圧縮空気を供給するコン
プレッサ４によりコンクリート斫り装置を構成した。 【効果】 コンクリート斫り作業を専門の斫り工でなく
とも一人で短時間に、しかも正確に行なうことができ
る。また、従来のように電動ブレーカを使用しないの
で、うるさい打撃音および粉塵を生ずることもない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコンクリート斫り装置に
係わり、特に、サンドブラストによりコンクリートを斫
るようにしたコンクリート斫り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】建物のドアを取り付ける際、床面にはド
ア枠の一部である沓ずりが設けられる。この沓ずりを設
けるにあたり、床面がコンクリートである場合には、そ
の沓ずりを設けるべき部分のコンクリートを斫り、溝を
つくる必要がある。

【０００３】従来、上記の斫り作業を行なうには、ま
ず、斫り工１名が電動カッターで斫り範囲をカットす
る。その際、もう１名の助手が、カット作業に伴って発
生する粉塵を掃除機等で集塵する。上記カット作業の
後、今度は電動ブレーカを用いてカット範囲を斫る。そ
の後、斫りガラの掃除をして斫り作業が完了する。その
後は、沓ずり（ドア枠）を取り付け、さらに床モルタル
塗り仕上げをしてドア枠の取り付け作業が完了する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
斫り作業においては、１箇所の施工に付いて、おおよそ
上記電動カッターによるカット作業に２名で３０分、斫
り作業に３０分（１名）、清掃作業に１０分（１名）
と、合計１００分人の工数を必要としていた。このた
め、特に施工対象がマンション等の集合住宅あるいはホ
テル等であった場合には、取り付けるドア数も多いため
多大な工数がかかるものとなる。また、特に電動ブレー
カによる斫り作業は大きな打撃音および粉塵を伴うため
周辺環境に悪影響を与えるといった不都合があった。

【０００５】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、上記の如き斫り作業を一人で短時間で行なうことが
でき、また、打撃音等の特に気に触る騒音も発生するこ
となく施工することのできるコンクリート斫り装置を提
供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に係るコンクリ
ート斫り装置は、台車と、該台車上に搭載されたバキュ
ーム式のサンドブラスト装置と、前記台車に搭載され、
前記サンドブラスト装置のノズル部を所要動作に制御す
るマニプレータと、前記サンドブラスト装置に圧縮空気
を供給するコンプレッサと、を備えて成るものである。

【０００７】請求項２に係るコンクリート斫り装置は、
請求項１記載のコンクリート斫り装置において、前記コ
ンプレッサが前記台車に搭載されて成るものである。

【０００８】

【作用】本発明に係るコンクリート斫り装置では、ブラ
ストノズルの動きをマニプレータが所定の動きに制御
し、これにより、コンクリート斫り作業の自動化が実現
される。斫りをサンドブラストにて行なうため、電動ブ
レーカ等の打撃音および粉塵を生ずることもない。サン
ドプラスト装置に圧縮空気を供給するためのコンプレッ
サも台車上に搭載した場合には、台車のみを搬送すれば
よく、取り扱いがより容易となる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明に係るコンクリート斫り装置の
実施例を図面を参照しながら説明する。図１は、本発明
の一実施例によるコンクリート斫り装置を示した側面図
で、本発明に係るコンクリート斫り装置を、沓ずり設置
のための斫り作業に用いて好適なものとして構成した例
を示すものである。このコンクリート斫り装置１におい
て符号２は台車である。この台車２上には、サンドブラ
スト装置３，コンプレッサ４，多関節マニプレータ５，
サイクロンセパレータ６，バッテリ７等が搭載されてい
る。

【００１０】前記サンドブラスト装置３は後に詳述する
が、いわゆるバキューム式のものである。前記サンドブ
ラスト装置３において符号１０はブラスト装置本体部で
ある。このブラスト装置本体部１０の構造を図２に示
す。最下部に、ブラスト砂Ｓを貯留したブラストタンク
１１、その上に、回収した粉塵等のろ過を行なうクリー
ナータンク１２、さらにその上に、吸引用ファン１４お
よびそれを駆動するモータ１５等を収納したモーターヘ
ッド部１３が構成されている。

【００１１】前記クリーナータンク１２の内部には一次
フィルター１６が設けられている。この一次フィルター
１６はこの場合円筒状のもので、クリーナータンク１２
の略中央部に鉛直方向に設けられたものとなっている。
また、一次フィルター１６の上端は前記モーターヘッド
部１３内に開口している。これにより、クリーナータン
ク１２内空間とモーターヘッド部１３内空間は前記一次
フィルター１６を介して連通し、クリーナータンク１２
内の空気等が前記吸引用ファン１４により一次フィルタ
ー１６を介して吸引される構成となっている。モーター
ヘッド部１３の上部は吸引空気の排出部となっており、
ここには二次フィルター１７が設けられている。

【００１２】前記ブラストタンク１１からはブラストホ
ース１８が延びており、このブラストホース１８の先端
にブラストノズル１９が設けられている。このブラスト
タンク１１には、前記コンプレッサ４から延びた第１の
圧縮空気供給ホース２０の一端が接続されている。ま
た、前記コンプレッサ４からは第２の圧縮空気供給ホー
ス２１が延びており、この第２の圧縮空気供給ホース２
１は前記ブラストノズル１９に接続されている。図中、
符号２８はメインバルブ、２９はブラスト砂Ｓの噴出量
を調整するため調整バルブである。

【００１３】前記ブラストノズル１９は、図１に示す如
く、このブラストノズル１９を囲むように設けられた吸
引カップ２２内に設けられている。さらにこの場合、こ
の吸引カップ２２の外側に、この吸引カップ２２を囲む
飛散防止カバー２３が吸引カップ２２の基端部に固定さ
れて設けられている。さらに、これら吸引カップ２２お
よび飛散防止カバー２３の先端部には共にナイロンブラ
シ２４が取り付けられている。また、この場合、前記飛
散防止カバー２３の取付け部はバネあるいは蛇腹により
伸縮を許容する構造となっている。

【００１４】前記吸引カップ２２にはバキュームホース
２５の先端が接続されている。バキュームホース２５の
基端は前記ブラスト装置本体部１０のクリーナタンク１
２に接続されている。また、前記バキュームホース２５
の途中には前記サイクロンセパレータ６が介在されてい
る。このサイクロンセパレータ６の下部には、該サイク
ロンセパレータ６により分離された斫りガラを貯めるた
めの斫りガラ回収タンク２６が設けられている。なお、
この斫りガラ回収タンク２６はサイクロンセパレータ６
に対して着脱式のものであり、底部には開閉ゲート２７
が設けられている。

【００１５】前記多関節マニプレータ５は、図１に示す
ように、前記台車２に鉛直に設けられたガイドロッド３
０、該ガイドロッド３０に沿って上下動自在に設けられ
た摺動子３１、該摺動子３１に設けられた第１垂直軸３
２、該第１垂直軸３２に回動自在に設けられた第１水平
アーム３３、該第１水平アーム３３の先端に設けられた
第２垂直軸３４、該第２垂直軸３４に回動自在に設けら
れた第２水平アーム３５、該第２水平アーム３５の先端
に自身の軸心回りに回動自在に設けられた第３垂直軸３
６を備えて成る。そして、前記ブラストノズル１９は、
前記第３垂直軸３６の先端に固定されたものとなってい
る。

【００１６】前記多関節マニプレータ５はさらに、図示
は省略してあるが、前記摺動子３１，第１水平アーム３
３，第２水平アーム３５をそれぞれ駆動するための駆動
機構と、それら各駆動機構のうち少なくとも第１水平ア
ーム３３のための駆動機構および第２水平アーム３５の
ための駆動機構を所要の動作に制御するための制御手段
４０と、を備えたものとなっている。

【００１７】なお、本実施例において、前記サンドブラ
スト装置３，コンプレッサ４等は２００Ｖ電源により作
動するものとなっている。

【００１８】次に、上記構成となるコンクリート斫り装
置１の作用について説明する。上記コンクリート斫り装
置１では、予め前記制御手段４０に、前記多関節マニプ
レータ５の前記第１水平アーム３３および第２水平アー
ム３５が所要の動作を行なうように制御プログラムを入
力しておく。図４は、その制御プラグラムにより作動す
る前記第３垂直軸３６の先端に設けられたブラストノズ
ル１９の動きの一例を平面的に示したものである。

【００１９】制御手段４０への動作入力が終了したら、
前記ブラストノズル１９を斫りを行なうべきコンクリー
ト床５０に対する動作開始部に位置させる。次いで、前
記摺動子３１をガイドロッド３０に沿って上下させ、ブ
ラストノズル１９の高さを調整する。ブラストノズル１
９の高さの調整は、前記吸引カップ２２および飛散防止
カバー２３の先端に設けられたナイロンブラシ２４が床
面５０ａに軽く押し当てられる程度とするのがよい。

【００２０】上記状態となったならば前記コンプレッサ
４を作動させ、かつ前記ブラスト装置本体部１０の吸引
用ファン１４を作動させる。そして、コンプレッサ４の
所定圧力が得られたら、前記バルブ２８，２９を適宜開
とすると同時に、前記マニプレータ５の駆動スイッチを
入れる。

【００２１】上記操作により、ブラストノズル１９から
は前記ブラストタンク１１内のブラスト砂Ｓが圧縮空気
と共に噴出される。これにより、図５に示すようにコン
クリート床５０の床面５０ａが斫られる。

【００２２】それに伴い、斫り箇所からは、斫り部に衝
突して跳ね返ったブラスト砂Ｓや斫りガラが粉塵状に発
生するが、それらは前記飛散防止カバー２３によって周
囲への飛散を阻止される。かつ、前記吸引カップ２２が
周囲の空気を勢いよく吸引するため、それらブラスト砂
Ｓおよび斫りガラ等の粉砕片あるいは粉塵はこの吸引カ
ップ２２よりバキュームホース２５内に吸い込まれる。

【００２３】バキュームホース２５内に吸い込まれたこ
れら粉砕片等は前記サイクロンセパレータ６内に入り、
ここで、粒度の大きい粉砕片等と粒度の小さい粉塵等に
分けられる。すなわち、粒度の大きい粉砕片等は前記斫
りガラ回収タンク２６内に取り入れられる。一方、粒度
の小さい粉塵等は再びバキュームホース２５に戻って前
記クリーナータンク１２内に取り入れられる。クリーナ
ータンク１２内の空気は前記一次フィルター１６を介し
て前記吸引用ファン１４により引かれているので、この
クリーナータンク１２内に取り入れられた粉塵等は前記
一次フィルター１６によりろ過される。粉塵等のろ過さ
れた空気は前記二次フィルター１７を介して外部に放出
される。

【００２４】さて、上記の動作とともに、前記ブラスト
ノズル１９は前記多関節マニプレータ５によって、図６
に示す如く所定の動作に自動的に動かされる。これによ
り、床面５０ａが所要の形状に斫られる。そして、マニ
プレータ５が所要の動作を完了した時点で斫り作業が終
了する。前記マニプレータ５の動きすなわちブラストノ
ズル１９の動きは、制御手段４０の動作プログラムを変
更しない限り次の施工箇所においても上記の場合と全く
同一の動作を行なうから、特にマンションやホテル等施
工箇所が多数におよぶ場合でも同一品質の施工を同一時
間で行なうことができ、極めて能率的である。

【００２５】また、前記飛散防止カバー２３は上述した
ように、伸縮機構を介して前記吸引カップ２２に取り付
けられているので、例えば図７に示すように凹凸面に対
しても先端のナイロンブラシ２４が床面５０ａより離れ
ないよう良好に追従することができる。従って、このよ
うな場合にも粉塵等の周囲への飛散を確実に防止するこ
とができる。

【００２６】このように、上記コンクリート斫り装置１
によれば、コンクリート床面５０ａの斫り作業を自動的
に行なうことができる。しかも、一人の操作員がいれば
実施することができ、斫り工などの専門職も必要とせ
ず、かつ作業工数も一箇所について約２０分人と、従来
の方法によるものに比して数分の一で足りるものとな
る。また、斫り動作中は、発生する斫りガラ等が常にバ
キュームホース２５によって回収されるため、斫り完了
部に斫りガラ等が残存することはなく、従って、斫りガ
ラ清掃作業を行なう必要はない。さらに、斫り作業中
は、コンプレッサ４，吸引用ファン１４の作動音、およ
びブラスト音は生ずるものの、電動カッター，電動ブレ
ーカを使用する従来の斫り作業のように大音量でかつ神
経に触る打撃音を生ずることはなく、周囲への騒音公害
も極力防止することができる。

【００２７】なお、上記実施例では、本発明に係るコン
クリート斫り装置１を沓ずりを設けるための斫り作業に
用いるものとして説明したが、このコンクリート斫り装
置１はその他の目的のためのコンクリート斫り作業に用
いても勿論よい。また、前記コンプレッサ４については
前記台車２上に搭載せず台車２とは別体のものとしても
よいが、上記実施例の如く台車２上に搭載すれば運搬、
取り扱いが極めて便利である。

【００２８】また、このコンクリート斫り装置１を構成
する前記サンドブラスト装置３および前記マニプレータ
５の構成についても上記実施例のものに限定されるもの
ではない。すなわち、サンドブラスト装置３としてはバ
キューム式のもので所要の加工能力があるものであれば
如何なるものであってよい。ただし、台車２に搭載して
建物内の廊下等を移動させる必要があるから、できるだ
け小型であることが望ましい。また、マニプレータ５に
ついても、上記のように垂直軸と水平軸との組み合わせ
からなる多関節マニプレータに限定されない。また、ブ
ラストノズル１９の動きは制御手段４０への入力プログ
ラムの変更により自由に設定可能であることは言うまで
もない。さらに、台車２を、例えば該台車２の搭載する
前記バッテリ７を電源として自走するような構成として
もよい。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係るコン
クリート斫り装置によれば、コンクリート床面の斫り作
業を自動的に行なうことができる。しかも、一人の操作
員がいれば斫り作業を実施することができ、斫り工など
の専門職も必要とせず、かつ作業工数も従来に比して大
幅に減少させることができる。また、斫り動作中発生す
る斫りガラ等が常に回収されるため、斫り完了部に斫り
ガラ等が残存することはなく、従って斫りガラ清掃作業
を行なう必要はない。さらに、斫り作業中、従来の電動
カッター，電動ブレーカのように大音量でかつ非常にう
るさい打撃音を生ずることがなく、周囲への騒音公害も
極力防止することができる、等の優れた効果を奏する。
また、コンプレッサをブラスト装置とともに台車上に搭
載すれば、該装置の運搬、取り扱いをより容易なものと
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるコンクリート斫り装置
を示す全体側面図である。

【図２】当実施例による斫り装置のブラスト装置本体部
を示す立面図である。

【図３】当実施例による斫り装置のサイクロンセパレー
タを示す立面図である。

【図４】当実施例による斫り装置に係る制御手段による
ブラストノズルの制御動作パターンを示す平面図であ
る。

【図５】当実施例による斫り装置の作用を説明するもの
で、ブラストノズル周辺部をコンクリート床面と共に示
す一部断面側面図である。

【図６】当実施例による斫り装置の作用を説明するもの
で、マニプレータの動作状況を示す平面図である。

【図７】当実施例による斫り装置に係る飛散防止カバー
の作用を説明するもので、飛散防止カバー周辺部をコン
クリート床面と共に示す一部断面側面図である。

【符号の説明】

１ コンクリート斫り装置 ２ 台車 ３ サンドブラスト装置 ４ コンプレッサ ５ 多関節マニプレータ（マニプレータ） １９ ブラストノズル（ノズル部）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森谷 幸雄 神奈川県川崎市川崎区中瀬３−20−１ 株 式会社小松製作所川崎工場内 (72)発明者 小森谷 洋一 神奈川県川崎市川崎区中瀬３−20−１ 株 式会社小松製作所川崎工場内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 台車と、該台車上に搭載されたバキュー
   ム式のサンドブラスト装置と、前記台車に搭載され、前
   記サンドブラスト装置のノズル部を所要動作に制御する
   マニプレータと、前記サンドブラスト装置に圧縮空気を
   供給するコンプレッサと、を備えて成るコンクリート斫
   り装置。
2. 【請求項２】 前記コンプレッサが前記台車に搭載され
   て成る請求項１記載のコンクリート斫り装置。