JPH0610206A - 改善された絹紡原料及び絹紡糸等の有機溶剤精練方法 - Google Patents

改善された絹紡原料及び絹紡糸等の有機溶剤精練方法

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JPH0610206A
JPH0610206A JP18988192A JP18988192A JPH0610206A JP H0610206 A JPH0610206 A JP H0610206A JP 18988192 A JP18988192 A JP 18988192A JP 18988192 A JP18988192 A JP 18988192A JP H0610206 A JPH0610206 A JP H0610206A
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solvent
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KANEBO KENSHI KYOBIJIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絹紡原料や絹紡糸等が保有する、蛹体構成油
分や絹糸構成ワックス等の有機溶剤可溶分(合せていわ
ゆる蛹油)の除去を目的とする溶剤精練に於て、均一な
処理のために必要な液比でこれを実施し、しかも過度の
脱脂にならず、適正量の蛹油及び油脂分を綿に残留させ
る工業的容易且つ安価な方法を提供するにある。さらに
本発明は絹紡原料及び絹紡糸等に夾雑するポリオレフィ
ンの除去を目的とする溶剤精練に於て、均一な処理のた
めに必要な充分な液比でこれを実施し、しかも過度の脱
脂にならず、適正量の蛹油及び油脂分を綿に残留させる
工業的容易且つ安価な方法を採ることで、後処理として
水系の油剤処理工程を省く方法を提供するにある。 【構成】 絹紡原料及び絹紡糸等を化学精練した後、残
留する有機溶剤可溶分を除去することを目的とした有機
溶剤精練に於て、有機溶剤に残留油脂分調整剤として油
脂又は油脂と界面活性剤の混合物を添加することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は絹紡原料及び絹紡糸等の
精練、特に残留する有機溶剤可溶分を除去する有機溶剤
精練に関するものである。
【0002】
【従来の技術】絹は繊維の女王と称せられ、その優雅な
風合いや光沢、なめらかなドレープ性、あざやかな染色
性等、他の繊維の追随を許さない高貴な品格を持つ。絹
繊維は、当然のことながら繭糸であって、天然繊維唯一
の長繊維である。これがいわゆる生糸であって、これは
温水で煮熟して膨潤した繭から繭糸を解舒巻取って(繰
糸)製造する。家蚕繭糸は二層構造を持っていて、中心
に繭糸の本体であるフィブロイン層があり、その外側を
セリシン層が覆っている。セリシンは硬蛋白質に属し、
一般に絹糸の光沢や風合の品位や染色性を低めるため糸
又は織編物の段階で精練加工を実施しほぼ完全に除去す
る。精練加工前の絹繊維は約75%がフィブロイン層、
25%がセリシン層である。
【0003】一方、繭糸を短繊維にカットし、これを紡
績したものが、絹紡糸であって、一般に生糸を製造する
際の屑物(副蚕糸)を原料とし、これを精練後製綿,製
糸工程を経て所定の太さに紡績し製造する。
【0004】絹紡糸製造工程の特徴は脱セリシンを目的
とする精練処理が、かなり重要な前工程として必要なこ
とである。即ちセリシンが生糸と同程度の割合で残存し
たままの副蚕糸そのままでは繊維が著しく粗硬で、その
ため製綿することすら困難であり、ましてや製条,紡績
は不可能である。従って、絹紡糸製造では、まず原料の
副蚕糸のセリシンの大部分を除去することが必要である
(セリシン分5%以下)。
【0005】絹紡原料の精練方法としては、大別して腐
化精練と化学精練(含酵素精練)とに分類される。この
内腐化精練は自然界のバクテリアの働きで、セリシンや
油脂、その他蛹体構成成分を醗酵分解するものである
が、斯かる方法は、醗酵に伴う悪臭の発生、長時間の醗
酵工程(2〜3日)による生産性の低さ等の問題点があ
り、最近は主として化学精練が種々検討されている。
【0006】ところで、化学精練の場合、腐化精練と違
って、前述の蛹体構成成分である油分や、絹糸本体が含
有するワックス類(通常絹糸紡績業ではまとめて蛹油と
称している)の除去を、セリシン除去を目的とした精練
工程で同時に実施するのは困難で別工程で実施される。
【0007】又絹紡糸等(含織編物)の精練は、紡績工
程の歩留や操業性、それに絹紡糸の品質確保のために原
料精練では若干残留させたセリシンや蛹油分さらには付
与した界面活性剤、又生産工程での汚れを除去する目的
で実施される。
【0008】蛹油分の除去方法としては、1)界面活性
剤洗滌 2)脂肪分解酵素での分解除去 3)有機溶剤
での抽出除去が従来実施されている。この内1),2)
の方法は長時間(8〜10時間)の処理時間を要し、
又、酵素や界面活性剤等の使用量が多いため薬品コスト
が高く、経済的でない等の理由で、現在は3)の有機溶
剤での抽出が蛹油分除去方法の主流になりつつある(参
考資料、特公昭53−43211号公報)。
【0009】絹紡原料の有機溶剤処理は、セリシンの除
去を目的とした化学精練工程を経た乾燥綿(精干綿)又
はまれには精練工程前の原料を常温〜加温した有機溶剤
に浸漬し、数分〜十数分攪拌した後、脱液、乾燥するも
のであるが、この単純な処理で綿の蛹油分は浴比に関係
するが、実質的にほぼ完全に除去される非常に効率的な
方法である。
【0010】さらに、絹紡原料及びそれを原料とした絹
紡糸の品質対策として必要に応じて夾雑ポリオレフィン
の除去工程が採られるが、この手法としては一般に溶剤
精練が有効である。即ち、原料に混入したポリオレフィ
ン及びそれを原料としたために発生した絹紡糸中のポリ
オレフィン繊維は、ポリオレフィンが熱有機溶媒に速や
かに溶解するため、加温した溶剤精練で容易に除去する
ことができる。
【0011】ところで一般に紡績糸の製造に於ては、製
綿や紡績工程の操業性や品質さらには歩留の点から、必
ず紡績用界面活性剤(通称:油剤)の綿への付与が要求
される。通常紡績油剤はアニオン界面活性剤又はノニオ
ン界面活性剤が使用されるが、これを綿に付与しない場
合、静電気の発生や平滑性の不良のため製綿・紡績工程
の歩留や品質が顕著に低下し、極端な場合操業不能に陥
ることもある。
【0012】絹糸紡績に於ては、この紡績油剤として前
述の蛹油の適量の残留が結果として非常に好適な挙動を
示す。即ち、精干綿の残留蛹油類を完全に除去した場合
には、紡績油剤無しでの製綿、紡績であり、操業不能に
なることは論を待たないが、これに後処理としてスプレ
ー法なり浸漬法なりで、残留油脂量として適量とされる
量の通常の紡績油剤(主として界面活性剤)を付与して
も、操業は可能になるが、生産された綿や紡績糸の品質
や歩留は、蛹油類の除去条件を調整して適量残留させ、
これに補助的に通常の紡績油剤を付与した場合に比べて
格段に劣る。この課題に対しては、これまで数多くの研
究者が油剤の種類や付与方法について種々挑戦してきた
が、未だ蛹油類を適量残留させた場合と同程度の品質や
歩留が得られていない。又、生産された絹紡糸について
も、なお適量の蛹油が残留していることはその後の織編
工程の操業上必須の条件であって、過度に脱脂した場
合、糸切れ多発でチーズやボビン類への巻上すら不能に
なることがある。
【0013】扨て、溶剤精練は前述のように綿や糸の蛹
油分を実質的にほぼ完全に除去する。正確には綿や糸と
溶剤の浴比が10で、脱液後の綿や糸による溶剤のピッ
クアップ量が100%の場合、残留蛹油分は1/10に
なる。即ち、溶剤精練の場合、界面活性剤精練や酵素精
練と異なり繊維内部の蛹油分まで容易に抽出され、数分
〜十数分の溶剤処理で繊維内部と浴中の蛹油は同濃度に
なる。従って、絹繊維の蛹油分は浴比の倍率に希釈さ
れ、溶剤を好適に脱液した場合のピックアップ量が大体
約100%であるため、結果として溶剤精練に於ては絹
繊維の保有する蛹油分は浴比の倍率に希釈された量が乾
燥した絹綿や絹紡糸等に残留する。この意味では残脂の
調整が容易な精練法と云える。
【0014】ところが、一般に溶剤処理の液比は液攪拌
の規制から大体20〜30で実施され、一方処理前の絹
綿のいわゆる蛹油量は多いもので5〜6%、少ないもの
で1%程度であるため、溶剤処理後の精干綿の蛹油分は
高々0.25〜0.3%、低いものは0.03〜0.0
5%になる。絹糸紡績の場合、紡績蛹油の適正量は1%
内外であるため、このままでは溶剤処理綿は製綿、紡績
工程に掛けられない。界面活性剤や酵素による精練の場
合、長時間を要し、薬品コストが高いという問題がある
が、作用が急激でないためかえって残留蛹油分は0.5
〜1.0%に調整できるため、これ等を調合し若干の紡
績油剤を付与すれば良質の紡績糸が好歩留で得られる。
【0015】一方、溶剤精練の場合、いわゆる蛹油類の
除去があまりに完全なため、後工程で紡績油剤を付与し
ても界面活性剤や酵素での脱脂精練の場合程の品質、歩
留が得られない。溶剤精練の様な完全脱脂された絹綿へ
の油剤付与について、その種類や方法について種々検討
されて来て、未だ満足な結果が得られていないことは前
記した。その理由の詳細は不明であるが、溶剤によって
繊維の内部の蛹油分まで抽出されるが、後工程のスプレ
ーや浸漬法での紡績油剤付与では、繊維内部まで油剤が
浸透せず、単なる表面付着に留まり、後工程の製綿工程
で油剤が脱落しやすいためと推定される。単繊維が細く
て長い絹糸紡績の場合、太くて短い綿糸紡績や毛紡績の
場合と比べて、かなり挙動が異なり、非常にデリケート
なものである。
【0016】ポリオレフィン繊維を除去するため絹紡糸
等を溶剤精練した場合も結果は同様で、風合は過度の脱
脂で粗硬なものとなり、又後工程のために再度油剤処理
が必要で、これは浸漬や乾燥等の工程増につながる。
又、溶剤精練で過度の脱脂により繊維の風合が粗硬なも
のとなることは絹織編物の場合もその危険性が有り、こ
の場合も再度の油剤処理が必要である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、絹紡原
料及び絹紡糸等の溶剤精練方法や残留蛹油類及び付与油
脂量の調整方法について、鋭意研究した結果本発明を完
成したものである。本発明の目的は、絹紡原料や絹紡糸
等が保有する、蛹体構成油分や絹糸構成ワックス等の有
機溶剤可溶分(合せていわゆる蛹油)の除去を目的とす
る溶剤精練に於て、均一な処理のために必要な液比でこ
れを実施し、しかも過度の脱脂にならず、適正量の蛹油
及び油脂分を綿に残留させる工業的容易且つ安価な方法
を提供するにある。さらに本発明は絹紡原料及び絹紡糸
等に夾雑するポリオレフィンの除去を目的とする溶剤精
練に於て、均一な処理のために必要な充分な液比でこれ
を実施し、しかも過度の脱脂にならず、適正量の蛹油及
び油脂分を綿に残留させる工業的容易且つ安価な方法を
採ることで、後処理として水系の油剤処理工程を省く方
法を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は絹紡原料及び絹
紡糸等を化学精練した後、残留する有機溶剤可溶分を除
去することを目的とした有機溶剤精練に於て、有機溶剤
に残留油脂分調整剤として油脂又は油脂と界面活性剤の
混合物を添加することを特徴とする。
【0019】本発明の絹紡原料は、特に制限されるもの
ではなく、通常の副蚕糸が全て該当するが脂肪含量大な
る屑繭,ビス,ザキ等を原料とすると本発明の特徴が格
別に発揮され、従来法に比し一層優れた著大な効果を奏
するものである。
【0020】本発明の絹紡糸等は100%絹繊維よりな
る純絹紡糸はもちろん、毛,木綿,麻等の天然繊維やポ
リエステル,ナイロン等の合成繊維との混紡糸及びこれ
等による織編物が適用される。
【0021】本発明に使用される有機溶剤としては、n
−ヘキサン,ベンゼン,工業用ガソリン等の炭化水素
類、トリクロルエチレン,パークロルエチレン,トリク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられるが、
就中、n−ヘキサン,工業用ガソリン,ベンゼンは風合
の点から、トリクロルエチレン,パークロルエチレン,
トリクロロエタン等は歩留の点から好ましい。
【0022】本発明に適用する油脂としては動植物油,
ロウ類,高級脂肪族炭化水素,高級脂肪酸,高級アルコ
ール,シリコン油あるいはそれ等の組合せであって、例
えばオリーブ油,ヒマシ油,蛹油等の動植物油、セレシ
ン等のロウ類、流動パラフィン,スクアラン等の高級脂
肪族炭化水素、リノレン酸,ミリスチン酸等の高級脂肪
酸、オレイルアルコール等の高級アルコール、アミノ変
性シリコンオイル等のシリコンオイルであるが、これに
制限されるものではなく、炭化水素系やハロゲン化炭化
水素系の溶媒に溶存可能な全ての油脂剤が適用できる。
【0023】本発明の界面活性剤(通称:油剤)として
は、アニオン界面活性剤、又はノニオン界面活性剤を本
質とするものが有効であるが、好ましくはアニオン界面
活性剤の場合、高級アルコール硫酸エステル塩(例、商
品名モノゲン、第一工業製薬社製),液体脂肪油硫酸エ
ステル塩(例、商品名ロート油、第一工業製薬社製
他),高級アルコール燐酸エステル塩(例、商品名エレ
ノン、第一工業製薬社製),アルキルアリルスルホン酸
塩(例、商品名ライポン、ライオン油脂社製)、特に好
ましくは高級アルコール加工乳化油(例、商品名パンソ
フター、第一工業製薬社製、高級アルコール硫酸エステ
ルと油脂の乳化物)である。ノニオン界面活性剤の場合
ほとんどの種類が適用できるが、好ましくはポリオキシ
エチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキ
ルフェノールエーテル,ポリオキシエチレンアルキルエ
ステル,ポリオキシエチレンポリプロピレングリコール
エーテル,グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪
酸エステル等であり、特に好ましくはポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル類,ポリオキシエチレンアルキルフ
ェノール類,ポリオキシエチレンアルキルエステル類等
である。具体的にはポリオキシエチレンのオレイルエー
テル,ラウリルエーテル,ノニルフェニルエーテル,オ
クチルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンのオ
レイン酸エステル,ステアリン酸エステル等である。
【0024】本発明方法は油脂又は油脂の混合物或いは
油脂と界面活性剤の混合物を、前記した有機溶媒に溶解
又は乳化溶解し、これに化学精練(含酵素精練)でセリ
シンを所定量まで除去した絹紡原料又は絹紡糸等を浸漬
し、攪拌して有機溶剤可溶分を除去した後、脱液し乾燥
する方法で実施できる。
【0025】本発明方法に於る油脂の溶液濃度は0.1
〜3.0%(重量)、好ましくは0.2〜2.0%(重
量)である。0.1%未満の場合、油脂混合の後工程へ
の効果は軽微であるし、3.0%を越えると、溶剤の脱
液、乾燥後、繊維に残留付着した油脂の粘着性のため
に、後工程で繊維が機械に巻きついたり、絹紡糸等の場
合風合が悪くなる。
【0026】本発明方法に於る界面活性剤の溶液濃度は
油脂と同様の理由で0.1〜3.0%(重量)、好まし
くは0.2〜2.0%(重量)である。又、油脂と界面
活性剤を混合して用いる場合も、同じ理由でその合計濃
度は0.1〜3.0%(重量)、好ましくは0.2〜
2.0%(重量)である。
【0027】絹紡原料や絹紡糸等に対する有機溶剤の割
合(液比又は浴比)は攪拌のために少なくとも10は必
要で、20〜30が好適である。50以上の液比は過大
で経済的でない。
【0028】本発明の溶剤精練温度は常温〜有機溶剤の
沸点未満の高温で実施される。温度が高い程処理時間は
短くなるが、作業環境対策等で管理は難しくなる。又、
夾雑するポリオレフィンの除去を目的とする場合は60
℃〜80℃以上の高温での処理を必要とする(参考資
料、1)化学便覧応用編、p708、昭和43年8月2
0日発行第2版、2)繊維要論(共立出版)、p17
8、昭和45年7月10日発行)。
【0029】本発明を実施する処理設備は有機溶剤を扱
う関係で密閉容器で行う。又、高温での溶剤精練を行う
場合は溶剤の加温設備を必要とする。具体的には加温設
備付のドライクリーリング機や耐溶剤型のチーズ染色機
が適用できる。その他、通常の糸や布加工機を有機溶剤
仕様に変更することで容易に実施できる。
【0030】溶剤精練した絹紡原料や絹紡糸類は、溶剤
のピックアップ量が100%程度になるように脱液し、
その後熱風等で乾燥する。
【0031】
【実施例】以下実施例にて具体的に本発明を説明する。
【0032】実施例1 原料として国内産ビス200部を用い、これを水4,0
00部にソーダ灰10部、マルセル石鹸20部を混合溶
解させた処理液に浸漬し90℃で1時間攪拌精練した。
これを2回繰返し、次いで水洗乾燥した。得られた精干
綿の残留セリシンは1.3%、残脂は6.0%であっ
た。次に該精干綿30部を、トリクロルエチレン600
部に家蚕の蛹を搾油して得た蛹油を6.0部混合攪拌し
た液で、ドライクリーニング機を用い、処理時間5分間
溶剤精練した(処理温度室温)。次いで遠心脱水機でト
リクロルエチレンのピックアップ量を約100%に搾液
した。続いてこれを熱風乾燥し、脱脂精干綿を得た。脱
脂精干綿を常法に従って開繭機、切綿機に掛け、円型梳
綿機で絹綿にした。以上の製綿工程で得られた絹綿の歩
留(対脱脂精干綿)は42%で、ビス原料としては非常
に高収量であり、綿の品位も優れており、操業性も良好
であった。又、綿の残留セリシンは1.2%、残脂は
1.2%であった。
【0033】比較例1 実施例1で得た精干綿を用い、蛹油を溶剤に混合しない
こと以外は実施例1に準じて溶剤精練し製綿した。得ら
れた絹綿の歩留(対脱脂精干綿)は21%で非常に低い
ものであった。綿の品位は粗硬で繊維の平行性も乱れて
おり、又、操業性は激しい静電気発生と綿の平滑性不良
のためほとんど操業不能に近いものであった。綿の残留
セリシンは1.2%、残脂は0.2%であった。
【0034】比較例2 比較例1と同じ処理条件で溶剤精練し、得られた脱脂精
干綿をパンソフターSGの1%乳化水溶液(液温40
℃)に浸漬し、1時間静かに液を循環させた後、遠心脱
水機で搾液し界面活性剤水溶液を約100%ピックアッ
プさせた。これを熱風乾燥後、実施例1に準じて製綿工
程に掛けた。得られた絹綿の歩留(対脱脂精干綿)は3
0%で、繊維の平行性はやや乱れていた。綿の品位はや
や粗硬であったが、工程の操業性は比較例1に比べれば
良好であったが、若干の静電気の発生と平滑性の不足で
実施例1に比べれば不良であった。綿の残留セリシンは
1.1%、残脂は1.2%であった。
【0035】実施例1、比較例1,2より溶剤精練時蛹
油を混合しない場合は製綿成績は著しく低く、又脱脂精
干綿を水系で界面活性剤処理した場合も、溶剤精練時に
溶剤に蛹油を混合した場合に比べて、製綿成績はかなり
低いことが分かる。
【0036】以上のように、本発明の溶剤精練時に有機
溶剤に残留油脂分調整剤として油脂を混合する効果は顕
著なものがある。
【0037】実施例2 常法に従って化学精練して残留セリシンを0.5%にし
た絹紡糸(EC 140/2)の65g綛の10ケ所に
約5mgの糸状の着色ポリプロピレン延伸テープを撚り
込み、これを2000mlのテトラクロロエチレンに流動
パラフィン(70秒)10g及びHLB12のポリエチ
レングリコールオレイルエーテル(商品名ノイゲンET
120、第一工業製薬社製)10gを溶解した液に浸漬
し昇温した。液をゆるやかに攪拌しながら110℃で1
0分間溶剤精練し、これを冷却しないでピックアップ約
100%に脱液し熱風乾燥した。乾燥上りの絹紡糸には
撚り込んだポリプロピレンは全く認められず、これ等が
熱テトラクロロエチレンに完全に溶解することが確認で
きた。
【0038】以上の手法の溶剤精練で夾雑ポリプロピレ
ンを除去した絹紡糸の風合は、いわゆるシルクタッチ調
の上品で柔らかいものであった。又、綛からコーンへの
巻上げはスムーズで糸切れは全く起こらなかった。残脂
は1.2%であった。
【0039】比較例3 流動パラフィン及びノニオン界面活性剤を溶解しない以
外は実施例2に準じて絹紡糸を溶剤精練した。
【0040】この場合も、ポリプロピレンは完全に溶解
したが、得られた絹紡糸の風合は粗硬で糸同志の滑りが
悪く綛からコーンへの巻上げは不可能であった。残脂は
0.2%であった。
【0041】比較例4 比較例3と同じ処理条件で溶剤精練した。得られた絹紡
糸をノイゲンET120を20g溶解した温水(50
℃)2000mlに浸漬し、液をゆるやかに攪拌して1時
間処理した。これをピックアップ量約100%に脱液し
熱風乾燥した。得られた絹紡糸の風合は、やはりやや粗
硬で、この場合も綛からコーンへの巻上げは糸切れが頻
発し困難であった。
【0042】以上のように、絹紡糸のポリプロピレン夾
雑対策としての溶剤精練の場合も、溶剤中に油脂及び界
面活性剤を溶解させる効果は顕著なものがある。
【0043】実施例3 実施例1、比較例2に準じ、溶剤はベンゼンを使用し絹
紡原料がキキ(器生)の場合のA・溶剤精練時及びB・
後工程の水系処理で各種油脂を添加する効果を比較検討
した。その結果を油脂濃度と製綿歩留(対脱脂精干綿)
の関係で表1に示す。
【0044】この場合A,Bの処理とも界面活性剤とし
てHLB6のポリエチレングリコールノニルフェニルエ
ーテルを0.1%濃度で混合し、水系処理の場合乳化状
態の浴で処理した。
【0045】
【表1】
【0046】以上のように溶剤精練時に油脂を混合する
ことは、後工程として脱脂精干綿に水系で油脂を付与す
る場合と比較してその効果は顕著である。又後加工とし
て水系で油脂を付与する場合、いずれも製綿操業性は付
与の少ない場合は静電気発生や平滑性不良、付与の多い
場合は綿の機械への絡み着きで良好ではなかった。溶剤
精練時に油脂を混合する場合、油脂濃度0.1〜3.0
%(重量)、特に0.2〜2.0%(重量)の範囲で全
ての点で満足すべきものであった。
【0047】実施例4 実施例1、比較例2に準じて、溶剤はテトラクロルエチ
レン、原料はビスを使用して、ヒマシ油と各種ノニオン
界面活性剤の添加効果を製綿歩留で比較検討した。ヒマ
シ油及び各種ノニオン界面活性剤はそれぞれ0.5%
(重量)混合した。その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】以上のように、溶剤精練時に油脂及びノニ
オン界面活性剤を混合した効果は製綿歩留に顕著であ
る。又、製綿の操業性も後加工の水系で油脂及び界面活
性剤を付与した場合に比べて制電性、平滑性の面ではる
かに良好であった。
【0050】実施例5 実施例4に準じて流動パラフィンと各種アニオン界面活
性剤をそれぞれ0.5%(重量)混合した。その結果を
表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】以上のように溶剤精練時に油脂及びアニオ
ン界面活性剤を混合した効果は顕著である。
【0053】実施例6 溶剤を1,1,1−トリクロロエタン、処理温度は10
0℃(加圧状態)で実施した以外は実施例2に準じて絹
紡糸中の夾雑ポリプロピレンを溶剤精練で除去した。こ
の場合、界面活性剤は混合しなかった。乾燥上りの絹紡
糸には撚り込んだポリプロピレンは全く認められず、糸
の風合はシルクタッチ調の上品で柔らかいものであっ
た。又、綛からコーンへの巻上げはスムーズで糸切れは
全く起こらなかった。
【0054】以上のように絹紡糸のポリプロピレン夾雑
対策としてトリクロロエタンを用いる溶剤精練の場合
も、溶剤中に油脂を溶解させる効果は顕著である。
【0055】
【発明の効果】以上のように、本発明は絹紡原料や絹紡
糸等が保有する蛹油類や絹糸構成ワックス等の有機溶剤
可溶分の除去を目的とする溶剤精練に於て、これに油脂
又は油脂と界面活性剤の混合物を添加することで、均一
な処理のために必要な充分な液比でこれを実施しても過
度の脱脂にならず、適正量の蛹油及び付与した油脂分を
繊維に残留させることを可能ならしめるもので、これに
よって絹紡原料の場合は後続工程の製綿、紡績に於て高
品質の綿や絹紡糸を歩留良く好操業性で生産でき、絹紡
糸の場合後続の織編工程を高能率で実施できる。溶剤精
練時に油脂又は油脂と界面活性剤の混合物を添加せずに
完全脱脂し、後工程に於て水系の処理で見掛上同量の油
脂及び界面活性剤を付与して、同程度の機能を得ようと
しても不可能である。水系の処理の場合、単なる油脂及
び界面活性剤の表面付着に留まるためと思われる。
【0056】この事は絹紡原料や絹紡糸類に夾雑するポ
リオレフィン類を除去することを目的に実施される溶剤
精練の場合も同様で、例えばトリクロロエチレンやテト
ラクロロエチレンで夾雑ポリプロピレンを溶解除去する
場合、系中に油脂又は油脂と界面活性剤の混合物を添加
溶解することは必須の条件である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絹紡原料及び絹紡糸等を化学精練した
    後、残留する有機溶剤可溶分を除去することを目的とし
    た有機溶剤精練に於て、有機溶剤に残留油脂分調整剤と
    して油脂又は油脂と界面活性剤の混合物を添加すること
    を特徴とする絹紡原料及び絹紡糸等の有機溶剤精練方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210017675A1 (en) * 2017-12-18 2021-01-21 Association Pour Le Développement De L'enseignement Et Des Recherches Auprés Des Universités, Des Method for producing a carbon fibre from recycled cotton and use of the fibre obtained in this way for forming an article made from composite material

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