JPH06101807A - 固形燃料燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】燃焼温度の調節、燃焼ムラおよび燃料のムダを
防止する。 【構成】上方から追加補給して炉床１上に堆積し燃焼さ
せる固形燃料Ｆを積層する燃料ガイド３を適宜数燃焼室
内に設け、最下層の固形燃料Ｆにのみ着火し、これが燃
え尽きて燃焼殻になったときこの燃焼殻のみを炉床１下
に落下させ排出する燃焼殻除去機構４を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種ボイラの燃焼部等
として構成され、固形状の燃料(以下「固形燃料」または
単に「燃料」)を燃焼させる燃焼装置の燃料補給構造に
係る改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、固形燃料を燃焼させる燃焼装置と
しては、例えば、固形燃料を堆積させ燃焼させる炉床の
上方の側壁等に燃料を供給する燃料供給口を開口し、炉
床上で燃焼する燃料に対して上方の燃料供給口から追加
の燃料を補給するようにしたものが知られている。

【０００３】このような従来装置では炉内の燃焼温度を
精確に調節することができず、例えば陶磁器等の被加熱
体の種類によっては問題が大きい。

【０００４】またこのような従来の燃焼装置では、炉床
上に堆積され燃焼する燃料に対して上方の一定位置から
追加の燃料を補給するものであるが、炉床面における燃
料の堆積状態を均一に維持することができず、燃料の一
部が不完全燃焼して燃焼ムラを発生させてしまうという
問題がある。

【０００５】なお、炉床面における燃料の堆積状態を均
一に維持する手段として、炉床上に燃料を攪拌混合する
攪拌機構を具備したものがあるが、燃焼中の燃料が炉床
下に落下してしまう等、燃費面で不具合である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の問題点
を考慮してなされたもので、燃焼温度を自在に調節し、
個々の燃料の燃焼ムラおよびムダが少ない燃焼装置を提
供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明に係る固形燃料燃焼装置は、炉床上に堆積し
て燃焼させる固形燃料に対して上方から追加の固形燃料
を補給するようにした燃焼装置において、炉床上に固形
燃料をほぼ垂直に揃えて積層させる燃料ガイドを設け、
炉床には上記積層した固形燃料の最下層の燃焼殻のみを
炉床下に落下させる燃焼殻除去機構を設けたことを特徴
とする手段を採用する。

【０００８】

【作用】前述の手段によると、燃料ガイドによって固形
燃料が炉床上に積層堆積され、最下層の固形燃料のみを
着火し、これが燃え尽きて燃焼殻になる頃にはこれに接
続する上層の固形燃料に転火している。そして燃焼殻除
去機構によって最下層の燃焼殻のみが炉床下に落下させ
られると、その上層に接続の未燃焼固形燃料が燃料ガイ
ド内をスライド降下して補給されることになり、炉床面
における燃料の堆積状態を均一に維持することができ、
燃料の一部が不完全燃焼するのを防止することができ
る。こうして燃焼室内の温度は常に一定に維持される。
強い火力が必要なときは燃料ガイドの本数を増加すれば
よい。こうして燃焼ムラを防止した燃焼装置を提供する
という課題も解決される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明に係る固形燃料燃焼装置の実施
例を図面に基いて説明する。

【００１０】この実施例では、図１〜図３に示すよう
に、下方から燃焼空気が供給される水平な炉床１の直上
方に燃焼室２が区画形成された通常の竪型燃焼装置から
なるものを示してある。

【００１１】炉床１上の燃焼室２内には、金網等のメッ
シュ材で円筒形に形成した燃料ガイド３（図５(A)参
照）を多数本垂直に立設してある。この各燃料ガイド３
は、内部にペレット、すなわち円柱形の固形燃料Ｆを挿
入し、燃料Ｆを軸線が垂直になるようにして上下方向へ
積層することができるようになっている。もっとも固形
燃料Ｆとしてはこのようなペレット体でなく、例えば球
体、正方体、等、いずれであっても幅と高さ寸法が統一
されている限りどのような形状であってもよい。なお、
この燃料ガイド３に積層された固形燃料Ｆは夫々下方へ
スライド降下可能であるが、最下層の固形燃料Ｆの下端
面が炉床１に当接して固形燃料Ｆ全体の降下を阻止して
いる。

【００１２】このような燃料ガイド３は、図５に示すよ
うな断面正円形の固形燃料を１列づつ個別に積層するも
のの外に、図６に示すように大径の外筒３１，小径の内
筒３２を同心円に重ねてなる断面ドーナツ形として、こ
れら外筒３１、内筒３２間に複数本並べて集約させ、こ
れら複数本の燃料ガイド３内に積層することでもよい。

【００１３】さらに、この燃料ガイド３は、図７に示す
ように積層させた固形燃料Ｆの側面を線支持して隣接し
て積層された燃料Ｆとの間隔を保持する断面Ｙ形の仕切
片構造としたり、あるいは図８に示すように積層される
燃料Ｆの側面を線支持して側面の一部を囲撓して隣接積
層された燃料Ｆとの間隔を保持する断面凹凸形の仕切板
構造とすることもできる。なお、本発明の対象となる固
形燃料Ｆは前記したように円柱形に限るものではなく、
またその寸法も様々に構成され得るから、燃料ガイド３
は燃料Ｆの形状、太さ等に対応して適宜変更が可能であ
る。

【００１４】このような積層された固形燃料Ｆは、炉床
１上で最下層から順次燃焼していき燃焼殻Ｆ’となる。
なお、燃焼殻Ｆ’は、固形状に成形されていることによ
り、通常燃焼前の固形燃料Ｐと略同一の外形形状が保持
される。

【００１５】炉床１は、炉床１の上段１１，下段１２の
２段構造と燃焼殻落込部４とからなり、積層された固形
燃料Ｆの最下層の燃焼殻Ｆ’のみを炉床１下に落下させ
る燃焼殻除去機構Ａが設けられている。

【００１６】この炉床１の上段１１は、燃焼殻Ｆ’の径
と同一か僅かに大きな径のスリット１１’を有してお
り、この上段１１を水平方向にスライドすることによ
り、燃焼殻Ｆ’の下方を開放して降下可能にしまた閉鎖
して降下阻止するようになっている。また、炉床１の下
段１２は、上段１１の下方に燃焼殻Ｆ’の軸長（縦長）
よりも僅かに短い間隔（上段１１の厚さ相当分短い）を
介して固定的に設けられ、燃焼殻Ｆ’の径よりも小さな
径のスリット１２’を有して燃焼殻Ｆ’の下方を閉鎖し
て降下阻止するようになっている。

【００１７】燃焼殻落込部４は、炉床１の上段１１，下
段１２の間を水平移動可能な落込板４１と、落込板４１
に接続固定され燃焼室２外へ突出する操作棒４２とを備
え、操作棒４２の押込みにより炉床１の上段１１、下段
１２の間に降下した燃焼殻Ｆ'を落込板４１で押し出し
落し込むことができるようになっている。なお、燃焼殻
Ｆ'は粉砕されて下段１２のスリット１２'から落下する
ようになっている。

【００１８】このような実施例によると、炉床１周りを
改造し、燃料ガイド３を付設することにより既存品を簡
単に改造し使用することが可能である。

【００１９】また、このような実施例では、図１に示す
ような状態で燃料ガイド３に積層され最下層の燃料Ｆが
完全に燃焼して燃焼殻Ｆ’が形成された場合には、次の
ような燃焼殻Ｆ’の除去操作が行なわれることになる。

【００２０】即ち、まず、図２に示すように、燃焼殻除
去機構Ａである炉床１の上段１１をスライドさせる。こ
の炉床１の上段１１のスライドにより、燃焼殻Ｆ’は、
燃料ガイド３から上段１１のスリット１１’から下方へ
降下するが下段１２でそれ以下への降下が阻止される。
また、降下した燃焼殻Ｆ’の上端（燃焼殻Ｆ’の直上層
の燃料Ｆの下端）は、炉床１の上段１１，下段１２の間
隔が燃焼殻Ｆ’の軸長よりも僅かに短くなっていること
から、炉床１の上段１１の上面と略一致することにな
る。なお、燃焼殻Ｆ’の降下に伴なって、さらにその上
層の各燃料Ｆが続いて燃料ガイド３内をスライド降下
し、炉床１面において均等に燃料補給が行なわれること
になる。

【００２１】次に、図３に示すように、炉床１の上段１
１を先とは逆方向へスライドさせる。この炉床１の上段
１１の逆方向へのスライドにより、燃焼殻Ｆ’は、その
上端部が上段１１のスリット１１により研削，押圧され
粉砕されて燃焼灰Ｆ”となり下段１２のスリット１２’
から落下する。そして、炉床１の上段１１に新に燃焼殻
Ｆ’の直上層の燃料Ｆの下端面が当接することになる。

【００２２】而後、燃焼殻落込部４の操作棒４２を押込
む。燃焼殻落込部４の操作棒４２の押し出しにより、炉
床１の上段１１，下段１２の間に降下し先に除去された
上端部を除いて未だ残留している燃焼殻Ｆ’の本体が落
込板４１で押圧落し込まれ、燃焼灰Ｆ”となって下段１
２のスリット１２’から落下する。

【００２３】このような燃焼殻Ｆ’の除去操作によっ
て、燃焼殻Ｆ’は完全に除去され、燃焼空気の流通が阻
害されることなく燃料Ｆの燃焼が行なわれることにな
る。なお、この固形燃料Ｆの燃焼では、炉床１面におい
て均等に行なわれ燃焼室２内の熱分布均等になるため、
熱効率が良好となる。

【００２４】なお、図４には、燃焼殻除去機構Ａの変形
例が示されている。この変形例は、炉床１を前記上段１
１と同様の構造で前記２段構造を形成可能するスライ
ド，降下可能な移動段１３，１４を２個組みした構造と
し、各移動段１３，１４を図４(Ａ)〜図４(Ｄ)に示すよ
うにに交互にスライド，降下させ、上下となった移動段
１３，１４の間で燃焼殻Ｆを倒壊させて一部を落し込ん
で燃焼灰”とし残部を塊状のまま落下させるようにして
いる。この変形例によると、移動段１３，１４を回動さ
せる構造で駆動することができるため、製造が容易で自
動化への対応が容易となる利点がある。

【００２５】以上、図示した実施例の外に、固形燃料Ｆ
が断面ドーナツ形に形成されるならば、燃料ガイド３を
垂直に立設し固形燃料Ｆが嵌合挿通される単なる棒形と
する実施例も可能である。

【００２６】

【発明の効果】以上のように本発明に係る固形燃料燃焼
装置は、燃焼殻の落下により順次未燃焼の固形燃料がス
ライド降下して補給されることから、炉床面における燃
料の堆積状態を均一に維持することができる。こうして
燃料の一部が不完全燃焼するのを防止することができる
ため、燃焼ムラが防止される効果がある。また、この効
果により、燃焼室の温度分布が均等化化されるため、熱
効率が良好となる効果が生ずる。

【００２７】さらに、炉床周りの一部だけの改造と燃料
ガイドの付設という簡単な作業で既存品を改造実施する
ことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る固形燃料燃焼装置の実施例を示す
正面断面図である。

【図２】図１の要部（燃焼殻除去機構）の動作状態を示
す断面図である。

【図３】同要部の図２に続く動作状態を示す断面図であ
る。

【図４】同要部の変形例を示すもので、(A)〜(D)の順に
動作順を示すものである。

【図５】図１の他の要部（燃料ガイド）を示す平面断面
図である。

【図６】図５の変形例を示す平面断面図である。

【図７】図５のさらに別の変形例を示す平面断面図であ
る。

【図８】図５のさらに別の変形例を示す平面断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 炉床 ３ 燃料ガイド Ａ 燃焼殻除去機構 Ｆ 固形燃料

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉床上に堆積して燃焼させる固形燃料に
   対して上方から追加の固形燃料を補給するようにした燃
   焼装置において、炉床上に固形燃料をほぼ垂直に揃えて
   積層させる燃料ガイドを設け、炉床には上記積層された
   固形燃料の最下層の燃焼殻のみを炉床下に落下させる燃
   焼殻除去機構を設けたことを特徴とする固形燃料燃焼装
   置。