JPH06100322B2 - 燃焼器具用灯芯の製造法 - Google Patents

燃焼器具用灯芯の製造法

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JPH06100322B2
JPH06100322B2 JP61057672A JP5767286A JPH06100322B2 JP H06100322 B2 JPH06100322 B2 JP H06100322B2 JP 61057672 A JP61057672 A JP 61057672A JP 5767286 A JP5767286 A JP 5767286A JP H06100322 B2 JPH06100322 B2 JP H06100322B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は灯油等を燃料とする石油ストーブおよび石油コ
ンロのような液体燃料燃焼器具に用いる灯芯の製造法に
関するものである。
〔従来技術とその問題点〕
液体燃料燃焼器具用灯芯としては、木綿,レーヨンスフ
または合成繊維等の織物または編物のような燃料吸上性
能の比較的良好な材料を燃料吸上部とし、その上部にガ
ラス繊維,耐炎繊維またはセラミック繊維等の耐熱性の
すぐれた織物,編物または板紙状の材料からなる耐熱燃
焼部を接続して一体化した平板状または円筒状のものが
一般的に用いられている。
また改良された燃料吸上部として、上下方向に多数の長
繊維をほぼ平行に引揃え、その外面または中間に短繊維
ウェブを配して剥離しないよう一体化した構造のものが
知られている(実開昭56−183973号)。
ところで、木綿,レーヨンスフまたは合成繊維等の織物
または編物を材料とした燃料吸上部は、生産能率が低く
量産しにくかったり、またはコスト高になる等の欠点が
あった。また近年燃焼器具分野においても時代の趨勢に
従い、発熱量を維持しつつ、より小さくより軽いコンパ
クトな商品が要求されるようになり、灯芯に対してもよ
り小さな円筒口径でより大きな発熱量が得られる製品が
要請されるようになっている。このことは当然の帰結と
して灯芯の燃料吸上部の要求特性として、燃料吸上性能
の大巾な向上要求につながるものであるが、木綿,レー
ヨンスフまたは合成繊維等の織物または編物のような従
来の構成材料では燃料吸上能力の改良に限界を有してい
たのである。
更に上下方向に多数の長繊維をほぼ平行に引揃え、その
外面にまたは中間に短繊維ウェブを配して剥離しないよ
う一体化した不織布は、長繊維層がすぐれた毛細管構造
を形成しているため従来の織物または編物にくらべて燃
料吸上性能は著しく向上したのであるが、この不織布に
ついて種々検討を進めたところ、灯芯の先端から油面ま
での距離(以下油面距離という)が200mm程度までなら
燃料の吸上性能は極めて良好であり、例えば灯芯の円筒
口径が65mmφのような小さなものでも燃焼発熱量が2500
Kcal/Hの高い出力が得られている。しかしながらこの不
織布を採用した灯芯でも油面距離が約200mmを越える
と、燃料吸上能力の点においては期待されたほど良くな
いことがわかった。またこの不織布は燃料に水が混入さ
れた場合には、灯芯に水が吸上げられて燃焼が妨げられ
るという問題もあった。
なお燃料の水混入対策として、従来の木綿,レーヨンス
フまたは合成繊維等の織物または編物においては、クロ
ーム系またはシリコン系等の撥水剤で撥水加工を施した
り(例えば特公昭45−36463号,実公昭46−11940号)、
本来疎水性であるポリプロピレン繊維等では水や溶剤で
洗浄処理を行って、繊維加工工程中に付与された親水性
の付着物を除去して撥水性を回復する方法(特開昭54−
5229号)等が知られている。
しかし上記撥水加工剤を用いる方法は、撥水加工剤が公
害を惹きおこす恐れのある薬剤であったり、加工液浸漬
後の乾燥に多大の熱エネルギーを要するのであり、洗浄
処理で親水性の付着物を除去する方法は、多量の洗浄用
薬剤や水の他、乾燥に大きな熱エネルギーを要する等の
問題があった。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、燃料の吸上能力を向上させることによ
り油面から灯芯先端の燃焼部までの距離を従来より可及
的に大ならしめ、かつ充分な発熱量を得るようになすと
共に、撥水加工剤を使用したり、経済的に効率の悪い洗
浄処理を行うことなく撥水性を向上せしめて長時間安定
した燃焼をはからしめ、しかも形体ならびに寸法安定性
に秀れた燃焼器具用灯芯を製造することができるように
することにある。
〔発明の構成〕
即ち、本発明にかかる燃焼器具用灯芯の製造法は、上下
方向に多数のポリエステル長繊維をほぼ平行に引揃え、
その外面または中間にポリエステル短繊維ウェブを配し
てヒードルパンチで剥離しないよう一体化した不織布か
らなる燃料吸上部と、その上部に接続された耐熱燃焼部
とを有し、これらを平板状または円筒状に形成した芯体
からなる燃焼器具用灯芯の製造工程において、上記不織
布形成後の任意の段階で該不織布に洗浄を行うことな
く、前記ポリエステル長繊維の繊維方向及びこれと直角
な両方向への収縮率を何れも10%以内の寸法変化許容下
で、熱処理を行うことを特徴とするものである。
本発明のポリエステル長繊維およびポリエステル短繊維
とは、芳香族二塩基性酸と脂肪族二価アルコールとを重
合させて得られる綿状ポリエステルポリマーからなる長
繊維および短繊維を意味する。このようなポリエステル
としては、例えばポリエチレンテレフタレート,ポリブ
チレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート−
イソフタレート等があるが、ポリエチレンテレフタレー
トが最も一般的に生産されている。
本発明の不織布は、例えば無撚のポリエステル長繊維ト
ウを多数並べ、機械的な振動を与えながら徐々に拡げて
均一な厚さの長繊維布帛とし、これを所望の枚数になる
よう積層し、両面からポリエステル短繊維ウェブを積層
してニードルパンチで剥離しないように一体化して形成
することができる。なお上記短繊維ウェブは、長繊維層
を複層としてその中間にも介在しうるのでありまたポリ
エステル長繊維は無捲縮であっても、捲縮を施してあっ
てもよい。然して、捲縮はポリエステル長繊維層の毛細
管間隙を拡げる作用があるので、不織布の燃料吸上能力
を調節するのに有用である。またポリエステル短繊維ウ
ェブはカード機またはガーネット機等で形成することが
できる。
耐熱燃焼部はガラス繊維,耐炎繊維またはセラミック繊
維等の耐熱性繊維からなる織物,編物または紙状の材料
から形成することができる。
本発明において、前記不織布は不織布に形成された状
態、燃料吸上部とするべく所望の寸法に裁断された状
態、さらには耐熱燃焼部と接続されて一体化した状態の
いずれの段階においても、洗浄を行うことなく平面方向
に対するわずかな寸法変化許容下で熱処理を行うことが
できるのである。
この不織布に洗浄を行うとした場合、油剤,界面活性剤
等の付着物を除去するのに60℃以上、好ましくは80℃以
上の高温浴が必要とされるが、洗浄工程では巾および長
さを固定できないから、この不織布は平面方向に熱収縮
を起こし、かつ厚さを増す上、ポリエステル長繊維層の
毛細管間隙が開きすぎるため、燃料吸上性能は低下し、
燃料吸上部として好ましくない結果を招くのである。ま
た洗浄は経済的見地からも、洗浄後の残留水を除去する
のに、多量の熱エネルギーを消費するから好ましくない
のである。この不織布は限らず、燃焼器具用灯芯の燃料
吸上部は一般に1.0〜4.0mmの厚さを有するため、あたか
も断熱材の如く作用するから内部まで加熱するのが困難
であり、いったん含まれた水分を乾燥除去するのには、
多大の熱エネルギーを必要とするのである。因みにこの
不織布を洗浄後マングルで絞ったところ不織布重量の約
100%の水分が残留し、この水分を除去するのに200℃で
10分間の乾燥時間を必要とした例がある。
本発明の熱処理を不織布の反物の状態で行う場合は、ピ
ンテンター等を用いて経(長繊維の繊維方向をいう、以
下同じ),緯(経の直角方向をいう、以下同じ)の寸法
変化がわずかしか起こらないようにして行うのがよい。
さらに不織布を燃料吸上部とするべく所望の寸法に裁断
された状態で熱処理を行う場合は、熱収縮によって寸法
がほとんど変化しないよう周囲をクリップ等で固定して
行うのがよい。また不織布を燃料吸上部として耐熱燃焼
部と接続して一体化した状態で熱処理を行う場合は、そ
れが平板状であれば上記のように裁断された状態の場合
と同じように行えばよく、それが円筒状であれば熱収縮
がわずかしか起こらないよう金属製の円筒体に嵌合して
行うのがよい。
次に本発明者が得たこの不織布の熱処理温度と撥水性お
よび燃料吸上性能の関係について説明する。先ず、単繊
維が1.5デニールのポリエチレンテレフタレート長繊維
からなる目付280g/m2の平板で均一な厚さをもつ長繊維
層と、その両面に3デニール×51mmのポリエチレンテレ
フタレート短繊維からなる目付220g/m2のウェブを配し
てニードルパンチで剥離しないよう一体化して厚さ3mm
の不織布を作成した。
この不織布を、120,140,160,180,200および220℃の各温
度でそれぞれ3分間収縮等の寸法変化を起さないように
固定して熱処理を行った。次いでそれぞれの熱処理品か
ら採取したテストピースを、ポリエステル長繊維の方向
が上下方向になるように下端を約10mm常温の水中に浸漬
し、水が所定の高さに上昇するのに要する時間を測定し
た。また上記と同様に採取したテストピースを、やはり
ポリエステル長繊維の方向が上下方向になるように下端
を常温の灯油(JIS K 2203に規定の1号灯油)に浸漬
し、灯油が所定の高さに上昇するのに要する時間を測定
した。第1表は熱処理温度と水および灯油の所定の高さ
への上昇時間との関係を示したものである。
熱処理品は未処理品にくらべて水の上昇時間は明らかに
長くなっており、撥水性が向上したことが認められる。
特に熱処理温度が160℃以上の場合に撥水性の改良効果
は顕著である。また熱処理品は未処理品と比較して灯油
の上昇時間は短縮されており、灯油の吸上能力が改良さ
れたことが明らかである。熱処理温度が160℃以上で
は、灯油の吸上能力の改良は特に顕著である。
即ち熱処理温度が160℃以上になると200mm以上の高さの
吸上能力も、未処理品にくらべて顕著に向上しており、
従来の不織布における燃料吸上部としての問題点が解決
されたのである。
また熱処理品を120〜160℃の温度に晒した時の熱収縮率
は熱処理温度が高くなるほど低い値を示しており、燃焼
器具用灯芯の材料として使用範囲が広くなる利点が生じ
た。すなわち従来の不織布は比較的低温でも熱収縮を起
こすので、燃焼器具の種類によっては燃料吸上部の上部
が高温になるものがあり、使用できない場合が生じるか
らである。
ところで本発明によってこの不織布の撥水性が改良され
るのは熱処理によってポリエステル繊維上の油剤または
界面活性剤のような親水性付着物が蒸発するのか、また
はサーモゾル染色のような作用によってポリエステル繊
維内に浸透するのか等の理由が考えられる。また本発明
によってこの不織布の燃料吸上性能が向上するのは、熱
処理による平面方向の寸法変化をわずかしか起こさない
ようにしているためニードルパンチ工程でニードルによ
って不織布の厚さ方向に刺し込まれたウェブの多数のポ
リエステル短繊維が熱処理によって不織布の厚さ方向に
収縮を起こして不織布を締めつけるように作用し、この
結果不織布全体の締結力が均らされ且つ厚さが減り、ポ
リエステル長繊維層の層厚も減少して毛細管間隙がせば
まると同時に均整化されることにより200mm以上の高さ
でも灯油の吸上能力が向上したものと考えられる。
このように本発明においては、不織布に対して平面方向
にわずかな寸法変化許容下で熱処理を施すことが肝要で
あり、仮に大きな寸法変化許容下、例えば経・緯10%程
度を超える収縮を起こすと、前記の洗浄の場合と同様、
不織布は逆に厚さを増し、ポリエステル長繊維層の毛細
管間隙が開きすぎるため、燃料吸上性能はかえって低下
する結果を招くのである。また逆に経,緯10%程度を超
える引き伸ばしは、不織布の厚さを著しく減少し、かつ
寸法安定性を損ね、さらには著しい風合硬化を招く等好
ましくないのである。
なおポリエステル繊維以外の繊維で形成された不織布
は、本発明のような効果は発現していない。例えばレー
ヨンは本来親水性が強く、熱収縮性もほとんど無いので
本発明のような撥水性の改良効果も、燃料吸上性能の向
上効果も無いのである。またアセテート繊維、ポリプロ
ピレン繊維、ポリエチレン繊維および塩化ビニール繊維
等は耐熱性が低いため、本発明の熱処理を行うことがで
きない。さらにナイロン繊維およびアクリル繊維等は本
来の疎水性がポリエステル繊維にくらべて劣るため、熱
処理による撥水性の向上はほとんど認められない。
〔実施例〕
(1)単繊維が1.5デニールであるポリエチレンテレフ
タレート長繊維からなる全繊度300,000デニールのトウ
を多数平行に引揃え、機械的な振動を加えながら徐々に
単繊維が均一な厚さでほぼ平行になるよう操作し、アク
リル酸エステル系の接着剤を少量付与して、目付が40g/
m2である布帛を得た。この長繊維布帛を繊維方向が同一
になるように8枚積層し、その両面にポリエチレンテレ
フタレート短繊維3デニール×51mmからなる目付160g/m
2のウェブを重ね、ニードルパンチをかけて剥離しない
よう一体化して厚さ3.1mmの不織布を得た。
次いでこの不織布を経5%、緯1%の収縮許容下でピン
テンターで200℃、3分間の熱処理を行った。熱処理後
の不織布の厚さは2.7mmであった。この不織布を燃料吸
上部とし、ガラス繊維編物を耐熱燃焼部として寸法が口
径75mmφ、全高200mmである灯芯を作成した。この灯芯
を、油面距離が満タン時に100mmであり、零タン時に160
mmである複筒式対流型の石油ストーブに装着し、灯油3l
と水1を油タンク内に注入して燃焼を行った(これを
初期燃焼という)。次に油タンク中の灯油を燃やし切っ
て空焼きした後(この状態では油タンク内に水だけ残る
ので、水が灯芯を上昇する機会がある)油タンクに灯油
を注入し再度燃焼を行った(これを空焼き後燃焼とい
う)。同様の試験を未処理の不織布で作成した灯芯につ
いても行った。
この試験結果を第2表に示した。
燃料消費量は初期燃焼では、未処理品と熱処理品は同程
度であるが、空焼き後の燃焼では明らかに熱処理品が高
い値を示し、水に妨げられにくいことが認められる。な
お燃焼試験終了後に石油ストーブを分解して灯芯を取り
出し、灯芯に含まれる水の量を測定した結果では、熱処
理品の方が未処理品より水の量が少なく撥水性効果のあ
ることが認められた。
(2)実施例(1)と同様の方法で作成したポリエステ
ル長繊維布帛を繊維方向が同一になるように5枚積層
し、その両面にポリエチレンテレフタレート短繊維3デ
ニール×51mmからなる目付200g/m2のウェブを重ね、ニ
ードルパンチ加工を行い剥離しないよう一体化して厚さ
3.2mmの不織布を得た。
次いでこの不織布を裁断して燃料吸上部とし、ガラス繊
維編物からなる耐熱燃焼部と縫合して、寸法が口径65mm
φ、全高168mmである灯芯を作成した。この灯芯を外径6
5mmφの金属製円筒に嵌め込み、180℃に保った熱処理機
中に入れて5分間熱処理を行った。この時の熱収縮は円
周方向0%、高さ方向5%であった。熱処理機から取り
出した芯は、金属円筒が冷却してから取りはずした。熱
処理した灯芯の燃料吸上部の厚さは2.5mmであった。こ
れを油面距離が満タン時に120mmとなるカートリッジタ
ンク式の反射型石油ストーブに装着した後、給油し約3
時間燃焼を行った(初期燃焼という)。次にカートリッ
ジタンクを抜き取って燃焼タンクに水100ccを注入し、
燃焼タンク内の灯油を燃やし切って空焼きになってか
ら、再びカートリッジタンクを挿入して燃焼を行った
(空焼き後燃焼という)。同様の試験を未処理の灯芯に
ついても実施した。この試験結果は第3表に示す通りで
ある。
初期燃焼では未処理品と熱処理品の間の燃料消費量の差
は少ないが、空焼き後の燃焼で未処理品は燃料消費量が
大巾に低下しているのに対して、熱処理品はわずかな低
下にとどまり、撥水性のあるとが認められる。また実施
例(1)と同じように測定した燃焼試験後の灯芯に含ま
れる水の量は、熱処理品の方がはるかに少なく、撥水性
のあることが認められる。
(3)実施例(1)と同様の方法でポリエステル長繊維
布帛を作成し、これを繊維方向が同一になるように12枚
積層し、その両面にポリエチレンテレフタレート短繊維
3デニール×51mmからなる目付120g/m2のウェブを重
ね、ニードルパンチをかけて剥離しないよう一体化して
厚さ3.0mmの不織布を得た。
次いでこの不織布に実施例(1)と同じようにピンテン
ターで経6%、緯3%の収縮許容下で160℃、4分間の
熱処理を行った。熱処理後の不織布の厚さは2.6mmであ
った。この不織布から長繊維の長さ方向に250mm、巾方
向に30mmの大きさのテストピースを裁断して燃料吸上部
とし片方に巾方向30mm、長さ方向に35mmのガラス繊維織
物からなる耐熱燃焼部と縫合してモデル芯を作成した。
このモデル芯の耐熱燃焼部の先端部を5mmだけ露出させ
て巾100mmのアルミ箔で包んだ。モデル芯の燃料吸上部
の下部を灯油に浸漬して、油面距離が160mm、190mmおよ
び220mmの3つの条件で燃焼を行った。同様の試験は未
処理の不織布を用いて作成したモデル芯についても実施
した。この試験結果を第4表に示す。
これによると燃料消費量は油面距離が160mmのときは未
処理品の方が多いが、190mmおよび220mmのときは逆に熱
処理品の方が多く、高い油面距離に対して熱処理による
燃料吸上能力の改良効果が認められる。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によるときは、従来達し得なかった
約200mm以上の高い油面距離でも秀れた燃料吸上能力を
発揮する燃焼器具用灯芯を提供しうるのである。この結
果、従来より小さい円筒口径で高い発熱量が得られるこ
とになって、性能を損なうことなく燃焼器具の小形化を
はかりうるのは勿論、底部に油タンクを備えた形式の石
油ストーブにおいて油タンクの容量を増す場合、従来の
灯芯では吸上性能の制約により深さをある程度以上に増
すことができないため横方向に拡大させて石油ストーブ
の底部占有面積を増大させることになるのに対し、本発
明の灯芯は燃料吸上能力が高いことにより油タンクを垂
直方向に深くすることができるので、前記のように底部
面積を増大させることなく油タンクの容量アップをはか
りうるのであり、しかも水平方向に大きな油タンクを製
作する場合に比して使用材料を少なくしうるのである。
また本発明では、撥水加工剤を用いることなく撥水性を
向上させうるので、前記公害問題をなくしうると共に撥
水加工剤が燃料に溶出することで燃料の吸上により灯芯
の先端部まで上昇してタール状物質を形成させる懸念を
なくし、加えて撥水加工液に浸漬した後これを乾燥させ
る熱エネルギーを不要ならしめる経済上の効果を有する
のである。
さらに疎水性繊維からなる灯芯を、洗浄処理することに
よって親水性の付着物を除去する従来技術に比べて、本
発明では洗浄処理が不要であるから工程を省略でき且つ
これの乾燥工程を不要ならしめる等、経済効果がきわめ
て大きいのである。
また本発明の灯芯は、ヒートセット効果(寸法安定効
果)が同時に得られることで、高温時における熱収縮等
の不安定要素を減少させうるのである。即ち従来の不織
布では、燃焼器具の種類により耐熱燃焼部に接する燃料
吸上部の上方部分が高温にさらされることで収縮して、
内径の縮小による灯芯の上下操作を不能ならしめる等の
問題を有していたが、本発明では熱収縮の弊害をなくし
得たことで多くの種類の燃焼器具に使用することが可能
となり、さらに燃料吸上部の上方部分の温度がそれほど
高くない機種においては、本発明は燃料吸上部の耐熱性
が向上したことにより耐熱燃焼部の高さ寸法を従来より
短くできてコストダウンをはかりうるのである。
さらに本発明の灯芯は、熱処理により形体安定効果が同
時に得られるので外力によって形状が変形した際、この
外力が除かれると再び当初の状態に速やかに回復するの
である。即ち通常この種の灯芯は使用しないとき器具内
を下降させるようにしているのであるが、この下降時に
燃料吸上部の下端が油タンクの底部につかえることにな
って屈曲変形が生じるのであり、従って使用時にはもと
の形状となるよう回復することが必要であるが、本発明
の灯芯によるときは変形からの回復性が改良されている
特質により形体の回復が速やかに且つ良好に行われるこ
とになるのである。
以上のように本発明は従来技術では期待できなかった諸
種の効果を奏するのである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下方向に多数のポリエステル長繊維をほ
    ぼ平行に引揃え、その外面または中間にポリエステル短
    繊維ウェブを配してニードルパンチで剥離しないよう一
    体化した不織布からなる燃料吸上部と、その上部に接続
    された耐熱燃焼部とを有し、これらを平板状または円筒
    状に形成した芯体からなる燃焼器具用灯芯の製造工程に
    おいて、上記不織布形成後の任意の段階で該不織布に洗
    浄を行うことなく、前記ポリエステル長繊維の繊維方向
    及びこれと直角な両方向への収縮率を何れも10%以内の
    寸法変化許容下で、熱処理を行うことを特徴とする燃焼
    器具用灯心の製造法。
JP61057672A 1986-03-15 1986-03-15 燃焼器具用灯芯の製造法 Expired - Lifetime JPH06100322B2 (ja)

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DE10145549B4 (de) * 2000-09-17 2004-08-26 Gerhard Popp Docht für Feuerjonglierkeulen oder Feuerdevilsticks, Feuerpois oder sonstige Fackeln für die Feuerjonglage

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