JP4406159B2 - 伸縮性開孔不織布及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は伸縮性開孔不織布及びその製造方法に関する。特には、ギプス材、固定材、サポーター、包帯などの、身体の表面につける用途に適した伸縮性開孔不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、開孔不織布として様々なものが提案されて実用に供されている。例えば、特開平2−216252号公報には植針ロールで開孔させる不織布が、特公平7−91762公報や特公平7−84697号公報ではエンボスロールで開孔させる不織布が記載されている。しかしながら、かかる不織布は伸縮性に欠けるため、身体にフィットさせて使用する用途には向いていない。
【0003】
また、伸縮性を改善した不織布として、特開平8−269855号公報において、潜在捲縮性繊維を使用した伸縮性の開孔不織布が開示されているが、該潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させる際に、不織布の収縮により開孔部の面積が縮小したり、貫通している開孔部が消滅して凹み状になってしまい、1つ1つの開孔部の面積が著しく低下する。このような伸縮性の開孔不織布に液体または、ゲル状の薬剤や樹脂などを含浸した場合、縮小した開孔部がそれらの物質で閉塞してさらに縮小したり、完全に塞がれてしまうため、開孔による効果は著しく減少し、身体に使用したときに肌にムレを生じやすかった。ギプス材として使用する基材には、ポリウレタンプレポリマーなどの粘性の高い硬化性液状樹脂を含浸して、固定する患部に3層から6層巻きつけて使用するため、前述のような伸縮性の開孔不織布を用いた場合、縮小した開孔部はほとんど塞がって肌にムレを生じるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、使用時に開孔部が維持され、かつ、伸縮性を有する伸縮性開孔不織布及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1にかかる伸縮性開孔不織布は、繊維の全量が捲縮の発現した潜在捲縮性繊維であり、流体流の作用により交絡および開孔され、該開孔部の開孔率が10〜80%であり、かつ最大開孔面積が2mm2以上の伸縮性開孔不織布である。潜在捲縮性繊維の捲縮発現によって伸縮性を有しながら、捲縮を発現させた後でも開孔率が10〜80%で、最大開孔面積が2mm2以上の開孔を維持しているので、液体または、ゲル状の薬剤や樹脂などを含浸した場合にも、不織布を貫通している開孔部が閉塞せずに、肌につけたときにムレを生じないという効果を有する。
【0006】
請求項2にかかる発明は、該伸縮性開孔不織布の少なくとも一方向の伸度が130%以上の伸縮性開孔不織布である。130%以上の伸度を有することで、伸縮性開孔不織布の自由度は高く、身体に使用したときにフィット性に優れる。
【0007】
請求項3にかかる発明は、アクリル系バインダーを乾燥後50g/m 2 になるように含浸・乾燥して、JIS L1096 6.27.1 A法に順じてフラジール形試験機で測定した際の、含浸時通気度が170cm3/cm2・sec以上である請求項1または請求項2に記載の伸縮性開孔不織布である。含浸時通気度とは、詳細については後述するが、液体またはゲル状の薬剤や樹脂などを含浸した場合を想定してアクリルバインダーを含浸し乾燥した状態において通気度を測定した値で、本発明の伸縮性開孔不織布は貫通している開孔部が閉塞しにくいため、含浸時においても高い通気度を有する。
【0008】
請求項4にかかる発明は、本発明の伸縮性開孔不織布の製造方法で、
繊維の全量が潜在捲縮性繊維であるウエブに、流体流の作用により交絡および開孔を行って交絡開孔ウエブを作製し、捲縮を発現させる熱処理手段として熱風貫通型乾燥機を用いる際に該交絡開孔ウエブを、タテ方向においては、交絡開孔ウエブの供給速度を乾燥機の出口における移動速度よりも速くすることで、ヨコ方向においては熱風貫通型乾燥機の入口側と出口側の巾を調節することで、タテ、ヨコの収縮率を10%〜30%の範囲でコントロールして、開孔部の開孔率が10〜80%であり、かつ最大開孔面積が2mm2以上となるようにした伸縮性開孔不織布の製造方法である。交絡開孔ウエブを自由に収縮させるのではなく、収縮率を10%〜30%の範囲でコントロールすることで、捲縮発現後も開孔が維持され、本願の伸縮性開孔不織布を得ることができる。
【0009】
請求項5にかかる発明は、請求項4の伸縮性開孔不織布の製造方法において、捲縮を発現させる熱処理の前に開孔部を拡大しておく工程を追加したもので、潜在捲縮性繊維を配合したウエブに、流体流の作用により交絡および開孔を行い、張力により該開孔部を拡大してから、捲縮を発現させる熱処理を行う製造方法である。あらかじめ張力により開孔部を拡げておくことで、捲縮発現後も開孔部の面積がより大きい伸縮性開孔不織布を得ることが出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の伸縮性開孔不織布について製造方法をもとに説明する。
まず、本発明に使用する繊維は繊度1〜6dtex、繊維長20〜70mmで、より好ましくは繊度1.5〜2.5dtex、繊維長38〜60mmのものが好ましい。また、本発明ではウエブの繊維配合中潜在捲縮性繊維が主体となっているが、該潜在捲縮性繊維は80重量%以上であることが好ましく、全量が該潜在捲縮性繊維であればなお好適である。
【0011】
本発明に使用する潜在捲縮性繊維とは、温度特性の異なる複数の樹脂成分から成る芯鞘型もしくはサイドバイサイド型といった複合構造を有する繊維で、樹脂成分中の1成分と他の樹脂成分との間で熱収縮率が異なる組合せとなっており、1つの樹脂成分が軟化して収縮し、他の樹脂成分と相対的に収縮差が起こる温度で熱処理を施すことによって個々の繊維がコイル状(またはスパイラル状)の捲縮をもつようになる繊維である。例えば、共重合ポリエステル/ポリエステル、共重合ポリプロピレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエステル、ポリエチレン/ポリエステルなどの樹脂の組合せからなるものがある。
本発明ではこれらの潜在捲縮性繊維を単独で、あるいは混合して使用できる。なかでも、共重合ポリエステル/ポリエステル、または共重合ポリプロピレン/ポリプロピレンの組合せからなるサイドバイサイド型の複合繊維が高捲縮性を発現し、本発明の伸縮性開孔不織布に好適である。
【0012】
この潜在捲縮性繊維以外に配合する繊維は特に限定されず、伸縮性開孔不織布の用途に応じて適宜選択すれば良い。例えばレーヨンなどの再生繊維、綿、羊毛などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエチレン繊維など合成繊維の中から任意に選択して使用する。
【0013】
このような繊維および潜在捲縮性繊維を用いて繊維ウエブを形成する。繊維ウエブの形成方法としては、カード法やエアレイ法などの乾式法、湿式法のいずれの方法でも良いが、カード法によるクロスレイドウエブ又はクリスクロスウエブ、ランダムウエブが伸縮性開孔不織布の縦方向と横方向の引張強度のバランスが良くなるため好ましい。
【0014】
該繊維ウエブを、流体流により絡合および開孔する。流体としては具体的には水流などを用い、径0.10〜0.30mm、ピッチ0.2〜3mmのノズルプレートを使用すればよい。
【0015】
まず、該繊維ウエブを第一の支持体に載置する。第一支持体には60メッシュよりも目の細かいものを使用し、噴出圧力は4MPa以上の水流を作用させて絡合する。この絡合処理は必要に応じて2回以上行っても良い。
【0016】
次いで、流体流により主として開孔を行う。開孔工程では支持体を後述する第二支持体に替えて、噴出圧力6MPa以上の水流を作用させて開孔部を形成する。第二支持体はコンベアまたはドラムなどを用いる。コンベアには平織り、綾織りなどがあるが、本発明の伸縮性開孔不織布では平織りで60メッシュよりも目が粗く、より好ましくは15メッシュよりも目の粗いもので、後述する横ナックルが表面に形成されているものが特に好適である。
【0017】
第二支持体に適する平織りコンベアについて、図1を参照して説明する。平織りコンベアは、張力の強い線材1に対し張力の弱い線材2が浮き沈みを繰り返しており、線材2が浮いている部分はコンベア表面にナックル3と称する細長い突起を形成している。平織りコンベアの線材2の方向を、ウエブの流れ方向(タテ方向)に平行に用いればナックルの長辺が縦に並んでいる縦ナックル、ウエブの流れに直交した方向(ヨコ方向)に用いれば長辺が横に並ぶ横ナックルとして使用できる。本発明の第二支持体は横ナックルのコンベアを使用することが好適で、該支持体上でウエブに流体流を作用させることによって、ウエブの構成繊維は該横ナックル部周辺に再配列するため、横長の開口部が形成される。
【0018】
ドラムを用いる場合は、ドラム表面にナックル状に突起が形成されているものを用い、特に横ナックルの形状に似せて、流れ方向(縦)よりも巾方向(横)の突起の寸法が広くなるように横長突起が設計されているものが好適である。
【0019】
なお、第二支持体上での開孔工程は、第一支持体上における絡合工程の処理面の反対面に流体流を作用させることが好ましく、噴出圧力6MPa以上の水流を2回以上作用させるほうが開孔部の貫通がより確実になって望ましい。
【0020】
この段階ではウエブは第二支持体に張り付いた状態になっている。張力による開孔部の拡大を行う場合は、この工程までのウエブ速度に対して、5%以上速度を増して、第二支持体からウエブを引き剥がしていくと、ウエブのタテ方向に張力がかかるため、開孔部は縦に引き伸ばされて拡大する。第二支持体に横ナックルのコンベアまたは横長突起を有するドラムを使用していた場合は、横長の貫通孔となっていた開孔部が縦に引き伸ばされるので開孔部の形状が縦横比1対1に近似するようになる。
【0021】
引き剥がした交絡開孔ウエブは、潜在捲縮性繊維の低融点成分の融点未満の温度、好ましくは10度以上低い温度で熱処理を行い、乾燥と同時に捲縮発現させるか、あらかじめ潜在捲縮性繊維の捲縮が発生しない程度の低温で乾燥を行った後、前述の温度で熱処理を行い捲縮発現させる。本発明で利用しうる熱処理手段とは、例えば熱風ドライヤー、赤外線ランプを利用した加熱装置など従来知られている装置を利用することができるが、交絡開孔ウエブの乾湿状態に関わらず、筐体内を所定の温度環境に制御し、この筐体内を交絡開孔ウエブが通過することによって安定した熱処理を行いうる熱風貫通型乾燥機が好ましい。このような熱風貫通型乾燥機を用いて連続的に加熱処理を施す場合は、縦方向の収縮分を見込んで、交絡開孔ウエブの供給速度を乾燥機の出口における移動速度よりも速くする必要があり、通常これはオーバーフィード率=(入口速度−出口速度)/入口速度*100で表され、すなわち交絡開孔ウエブのタテの収縮率となる。本発明では、交絡開孔ウエブのタテの収縮率を10%〜30%の範囲、好ましくは10%〜20%の範囲でコントロールする。ヨコ方向についても同様に熱風貫通型乾燥機の入口側と出口側の巾を調節することでヨコの収縮率(=(入口のウエブ巾−出口のウエブ巾)/入口のウエブ巾*100)を規制することができる。本発明では、ウエブのヨコの収縮率を10%〜30%の範囲、好ましくは10%〜20%の範囲でコントロールする。
縦横の収縮率を適宜設定して組合せ、捲縮が発現しつつも開孔部を維持して開孔率が10〜80%になるように調節し、かつ最大開孔面積が2mm2以上になるように調節する。
【0022】
開孔率および最大開孔面積は後述する画像処理方式による測定で得られる値をいう。開孔率が15%以下では肉眼では貫通した開孔部がほとんど見られず、開孔による通気性が低く、肌がムレるなどの問題が発生する恐れがある。例えばギプス材として使用する場合には、硬化性液状樹脂を含浸するので開孔部はほとんど塞がってしまううえ、患部に3層から6層巻き重なるため、肌にムレを生じる。開孔率が80%以上では開孔度合いが大きすぎるため、強度が極端に低下して使用に耐えない。ギプス材として使用した場合には必要な剛性を維持できない。特に開孔率は20〜60%程度が好ましく、30〜40%が最も好適である。
【0023】
本発明の伸縮性開孔不織布は、最大開孔面積が2mm2以上、好ましくは3mm2以上である。捲縮を発現させた後の開孔部の面積が、2mm2以上に維持されていることで、液体または、ゲル状の薬剤や樹脂などを含浸した場合にも、不織布の厚み方向に貫通している開孔部が閉塞せずに、肌につけたときに通気性が良好でムレを生じない。
【0024】
本発明の伸縮性開孔不織布の開孔率と最大開孔面積を測定する画像処理方式について具体的に説明する。まず伸縮性開孔不織布にテンションをかけない状態で、一般に使用されるスキャナーを用いてスキャンして2次元の画像データに変換する。次に、CADソフト(オートディスク(株)製 オートCAD)を用いて、画像データ中の任意の20mm四方の範囲を3カ所選択し、それぞれの範囲内の開孔部すべての面積を計測する。開孔率は、範囲内の開孔部面積の和/範囲面積*100で算出し、3カ所の平均をとる。また開孔部1カ所あたりの面積が大きい順に3点の開口部を選択し、その開孔部面積の平均を最大開孔面積とする。
【0025】
本発明の伸縮性開孔不織布は、少なくとも一方向の伸度が130%以上の伸縮性開孔不織布であり、人体に用いたときに自由度が高くフィット性に優れる。この伸度は、JIS L1096(一般織物試験方法)に準じて測定する。具体的には、巾50mm、つかみ間隔200mmに設定した定速引張試験機で引張速度500mm/分で伸長させ、試料が破断した時の伸度(最大伸度)を測定する。
【0026】
本発明の伸縮性開孔不織布の含浸時通気度は、液体を含浸した状態を想定して試料にアクリル系バインダー(日本ゼオン(株)製 ニポールLX−887)を乾燥後50g/m2になるように含浸・乾燥して、JIS L1096 6.27.1 A法に順じてフラジール形試験機で測定する。
【0027】
なお、本発明の伸縮性開孔不織布を、織物、編物、ネットなどと組み合わせても良いし、バインダーなどを含浸・塗布しても良いが、伸縮性を損なわないように注意する必要がある。
【0028】
このように、本発明の伸縮性開孔不織布は優れた伸縮性と通気性を兼ね備えているため、ギプス材、固定材、サポーター、包帯、カバー材、外用薬の基材、簡易衣料などに好適に使用できる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の伸縮性開孔不織布についての実施例及び比較例について説明するが、以下の説明はこの発明が理解できる程度に特定の条件を例示して説明するものであって、本発明は以下の条件に限定されるものではない。
実施例1
まず、潜在捲縮ポリエステル繊維 繊度2.2dtex、繊維長51mm、共重合ポリエステル(融点230℃)/ポリエステル(融点250℃)のサイドバイサイド型複合繊維)100重量%のクリスクロスウエブを80メッシュの第一支持体に載置し、速度30m/minで、径0.13mm、孔間隔1.2mmのノズルプレートから噴出圧力4MPaの水流を噴出して絡合を2回行った。次にウエブを反転させて10メッシュの平織横ナックルタイプの第二支持体に載置し、8MPaの水流を噴出して開孔を2回行ったあと、開孔ウエブの速度を前の工程よりも5%上げて31.5m/minで第二支持体から引き剥がすことでタテ方向に張力をかけ開孔部を拡大した後、温度100℃のドライヤーを通過して乾燥した。その後、温度150℃の熱風貫通型乾燥機でタテの収縮率20%、ヨコの収縮率20%にコントロールして捲縮を発現させ、伸縮性開孔不織布を得た。比較例1
第二支持体に15メッシュの縦ナックルタイプのコンベアを使用したほかは、実施例1と同じ条件で伸縮性不織布を得た。。
比較例2
第二支持体に25メッシュの縦ナックルタイプのコンベアを使用したほかは、実施例1と同じ条件で伸縮性不織布を得た。
比較例3
まず、レーヨン繊維(繊度1.7dtex、繊維長40mm)100重量%のクリスクロスウエブを80メッシュの第一支持体に載置し、速度30m/minで、径0.13mm、孔間隔1.2mmのノズルプレートから噴出圧力4MPaの水流を噴出して絡合を2回行った。次にウエブを反転させて10メッシュの平織横ナックルタイプの第二支持体に載置し、8MPaの水流を噴出して開孔を2回行い、温度120℃のドライヤーを通過して乾燥し開孔不織布を得た。
【0030】
(引張強度)
得られた不織布を250mm×50mmの大きさにカットしたものを試料として準備した。定速引張試験機(テンシロンUCT−500、オリエンテックコーポレーション製)を用いて、巾50mm、つかみ間隔200mm、引張速度500mm/分で伸長させ、試料が破断するまでに最も大きい荷重を測定した。縦方向及び横方向について、それぞれ3点の試料を測定し、平均値を引張強度とした。結果を表1および表2に示した。
【0031】
(最大伸度)
得られた不織布を250mm×50mmの大きさにカットしたものを試料として準備した。定速引張試験機(テンシロンUCT−500、オリエンテックコーポレーション製)を用いて、巾50mm、つかみ間隔200mm、引張速度500mm/分で伸長させ、試料が破断した時の伸度を測定した。縦方向及び横方向について、それぞれ3点の試料を測定し、平均値を最大伸度とした。結果を表1および表2に示した。
【0032】
(開孔率)
得られた不織布にテンションを掛けない状態で、一般に使用されるスキャナーを用いてスキャンして2次元の画像データとし、CADソフト(オートディスク(株)製 オートCAD)を用いて、画像データ中の任意の20mm四方の範囲を3カ所選択し、それぞれの範囲内の開孔部すべての面積を計測した。範囲内の開孔部面積の和/範囲面積*100を開孔率として算出し、3カ所の平均をとった。結果を表1に示した。
【0033】
(最大開孔面積)
得られた不織布にテンションを掛けない状態で、一般に使用されるスキャナーを用いてスキャンして2次元の画像データとし、CADソフト(オートディスク(株)製 オートCAD)を用いて、画像データ中の任意の20mm四方の範囲を3カ所選択し、それぞれの範囲内の開孔部すべての面積を計測した。範囲内の開孔部で、一点当たりの面積が大きいものから順に3点ずつを選択し、全部で9点の開孔部面積を平均して最大開孔面積とした。結果を表1に示した。
【0034】
(含浸時通気度)
得られた不織布を250mm×250mmの大きさにカットしたものを試料とし、それぞれ3点準備した。液体を含浸した状態を想定して、まず、それぞれの試料にアクリル系バインダー(日本ゼオン(株)製 ニポールLX−887)を含浸し、乾燥後にバインダー量が50g/m2となるようにした。その後、JISL1096 6.27.1 A法 フラジール形試験機をもちいて通気度を測定した。結果を表1に示した。
【表1】
表1の結果から、本発明の伸縮性開孔不織布は、開孔率が高く、最大開孔面積が大きいので、液体などの含浸時でも通気度が高いことが示された。また、第二支持体に横ナックルのコンベアを用いて、開孔部を拡大してから収縮させると、最大開孔面積が著しく大きくなる効果があり、ムレの防止により好適なものが容易に製造できることがわかった。
【表2】
表2の結果から、潜在捲縮性繊維を用いた本発明の伸縮性開孔不織布は伸度が高く、身体等に使用したときにフィット性に優れるものであった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の伸縮性開孔不織布は、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維が主体として配合され、流体流の作用により交絡および開孔され、該開孔部の開孔率が10〜80%であり、かつ最大開孔面積が2mm2以上の伸縮性開孔不織布である。潜在捲縮性繊維の捲縮発現によって伸縮性を有しながら、捲縮を発現させた後でも開孔部が維持されているので、液体または、ゲル状の薬剤や樹脂などを含浸した場合にも、不織布を貫通している開孔部が閉塞せず、通気性が優れている。また、少なくとも一方向の伸度が130%以上であれば、人体に用いたときの自由度がより高くフィット性に優れる。含浸時通気度が170cm3/cm2・sec以上であれば、肌につけたときにムレにくいという効果がより高い。
【0036】
本発明の伸縮性開孔不織布の製造方法は、潜在捲縮性繊維を主体として配合したウエブに、流体流の作用により交絡および開孔を行って交絡開孔ウエブを作製し、捲縮を発現させる熱処理の際に該交絡開孔ウエブのタテ、ヨコの収縮率を10%〜30%の範囲でコントロールして、開孔部の開孔率が10〜80%であり、かつ最大開孔面積が2mm2以上となるようにした方法であり、伸長性が高くフィット性に優れ、ゲル状の薬剤や樹脂などを含浸した場合にも開孔部が閉塞しない通気性に優れた伸縮性開孔不織布を容易に得ることが出来る。また、熱処理の前にあらかじめウエブに張力をかけて開孔部を拡大しておくことで、開孔率と最大開孔面積を容易に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平織りコンベアを巾方向で切断したときの断面模式図である。
【図2】平織りコンベア上に形成されるナックルの説明図である。
【符号の説明】
1:張力の強い線材
2:張力の弱い線材
3:ナックル
Claims (5)
- 繊維の全量が捲縮の発現した潜在捲縮性繊維であり、流体流の作用により交絡および開孔され、該開孔部の開孔率が10〜80%であり、かつ最大開孔面積が2mm2以上の伸縮性開孔不織布。
- 少なくとも一方向の伸度が130%以上の請求項1に記載の伸縮性開孔不織布。
- アクリル系バインダーを乾燥後50g/m 2 になるように含浸・乾燥して、JIS L1096 6.27.1 A法に順じてフラジール形試験機で測定した際の、含浸時通気度が170cm3/cm2・sec以上である請求項1または請求項2に記載の伸縮性開孔不織布。
- 繊維の全量が潜在捲縮性繊維であるウエブに、流体流の作用により交絡および開孔を行って交絡開孔ウエブを作製し、捲縮を発現させる熱処理手段として熱風貫通型乾燥機を用いる際に該交絡開孔ウエブを、タテ方向においては、交絡開孔ウエブの供給速度を乾燥機の出口における移動速度よりも速くすることで、ヨコ方向においては熱風貫通型乾燥機の入口側と出口側の巾を調節することで、タテ、ヨコの収縮率を10%〜30%の範囲でコントロールして、開孔部の開孔率が10〜80%であり、かつ最大開孔面積が2mm2以上となるようにした潜在捲縮性繊維である伸縮性開孔不織布の製造方法。
- 潜在捲縮性繊維を主体として配合したウエブに、流体流の作用により交絡および開孔を行って交絡開孔ウエブを作製し、張力により開孔部を拡大してから、捲縮を発現させる熱処理を行う請求項4に記載の伸縮性開孔不織布の製造方法。
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JP2002105825A (ja) | 2002-04-10 |
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