JPH0598349A - 高強度高延性ビードワイヤの製造方法 - Google Patents
高強度高延性ビードワイヤの製造方法Info
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- JPH0598349A JPH0598349A JP28412491A JP28412491A JPH0598349A JP H0598349 A JPH0598349 A JP H0598349A JP 28412491 A JP28412491 A JP 28412491A JP 28412491 A JP28412491 A JP 28412491A JP H0598349 A JPH0598349 A JP H0598349A
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Abstract
成を完全に阻止することにより、高減面率の伸線加工を
可能とし、C含有率を高めた効果を十分生かしたビード
ワイヤ用高強度鋼線の製造方法を提供する。 【構成】 C:0.90〜1.25%、Si:0.15〜1.5%、M
n:0.3 〜1.0 %、Cr:0.1 〜1.0 %を含む鋼線を加
熱してオーステナイト化したのち、(1)式数1で規定
される範囲の冷却速度で400 〜650 ℃に保持された冷媒
中に焼き入れ、引き続き該冷媒中で恒温変態を完了させ
ることにより初析セメンタイトを含まない微細パーライ
ト組織とする。加工度86.0〜94.0%で伸線加工を施し、
伸線加工後の鋼線を350 〜450 ℃でブルーイングし、さ
らにこれに矯正加工を付与する。 【数1】Y≦0.16logX+0.82
(1) ただし、Yは鋼のC含有率(%)、Xは冷却速度(℃/
sec)を示す。
Description
高延性ビードワイヤ、さらに詳しくは、引張強さ250
kgf/mm2 以上の高強度高延性ビードワイヤの製造
方法に関する。
げる方策として、C含有率を上げることは、安価で高い
効果が得られるため工業的には最も望ましい方法であ
る。しかし、過共析領域、すなわち通常Cが0.9%を
越える領域では、パテンティング時に旧オーステナイト
粒界に沿って脆い初析セメンタイトがネットワーク状に
生成する。このため、伸線加工時、初析セメンタイトに
沿った粒界われが発生しやすくなり、高減面率の伸線加
工は不可能となる。
方法として、熱処理ないしは合金元素の添加により初析
セメンタイトの生成を抑制する方法、あるいは伸線方法
を工夫することにより初析セメンタイト起因の延性劣化
を防止する方法が開発されている。
は、熱処理により組織を粒状セメンタイトが分散したパ
ーライト組織に変える方法が開示されている。これは、
過共析鋼線をオーステナイト化し、油焼き入れ処理して
マルテンサイト組織とした後、770〜930℃の温度
域に急速加熱して粒状セメンタイトを析出させ、目標加
熱温度に到達後直ちに535〜660℃の温度でパテン
ティング処理する方法である。この方法は、伸線加工限
界を高める方法としてはすぐれているが、粒状化したセ
メンタイトは層状に発達したセメンタイトと異なり、強
化への寄与が小さい(パテンティング後の強度が低く、
伸線時の加工硬化も小さい)ため、C含有率を高めた効
果を生かすことができない。
加効果を利用して初析セメンタイトの発生を抑制する方
法を研究し、特願平1−281825号および特願平1
−76825号として出願している。これらはいずれも
0.1〜0.3%のCrを添加することを特徴としてい
るが、これらによっても小量の初析セメンタイトの生成
は防止できない。
は、5〜50ppmのREM、およびCa、Mg、B
a、Srのうちの1種類以上を合計で5〜50ppm添
加する方法が開示されている。これらの元素はいずれも
硫化物と酸化物を同時に生成させる元素である。これら
の添加により生成したREM、Ca、Mg、Ba、Sr
を含む微細な硫化物、酸化物を核としてパーライト変態
を促進させ、マルテンサイトや初析セメンタイトの生成
を抑制しようとする方法である。しかし、この方法はこ
れらの微量元素の添加のみならず、微細な硫化物、酸化
物を出現させるためS、O、Alの含有率も制御せねば
ならず、製造管理はきわめて複雑なものとなる。
加工性が低下せぬように、塑性加工面からの改善を行っ
た例としては、伸線前にローラーダイス加工ないしは冷
間圧延を行う方法が特開昭63−4016号公報に、ま
た、ダイスのアプローチ角を10度前後に下げて伸線す
る方法が前記特願平1−281825号に記載されてい
る。これらはいずれも伸線加工時に鋼線中心部にかかる
引張り応力を軽減させることにより、初析セメンタイト
起因の内部クラックの発生を抑制しようとしたものであ
る。しかし、この方法が効果を有するのは、生成した初
析セメンタイトの量が少なく、かつ粒界に薄く存在して
いる場合、すなわちCが1%以下の場合や小量のCr添
加により初析セメンタイトの生成が抑制されている場合
に限られる。一方、これらの方法は伸線機とは別に新た
にローラーダイスや圧延機を装備せねばならないこと、
またダイスの管理を厳しくせねばならないことなど製造
上の問題も少なくない。
来技術では過共析鋼における粒界初析セメンタイトの発
生を完全に阻止することはできない。本発明の目的は、
過共析鋼における粒界初析セメンタイトの生成を完全に
阻止することにより、高減面率の伸線加工を可能とし、
C含有率を高めた効果を十分生かした高強度高延性ビー
ドワイヤの製造方法を提供することにある。
量比でC:0.90〜1.25%、Si:0.15〜
1.5%、Mn:0.3〜1.0%、Cr:0.1〜
1.0%、残余Feおよび不可避的不純物からなる鋼線
を加熱してオーステナイト化したのち、(1)式数2で
規定される範囲の冷却速度で400〜650℃に保持さ
れた冷媒中に焼き入れ、引き続き該冷媒中で恒温変態を
完了させることにより初析セメンタイトを含まない微細
パーライト組織としたのち加工度86.0〜94.0%
で伸線加工を施し、伸線加工後の鋼線を350〜450
℃でブルーイングし、さらにこれに矯正加工を付与する
ことを特徴とする高強度高延性ビードワイヤの製造方法
である。
sec)を示す。
すべく多くの実験を行い、以下に示すように、オーステ
ナイト化温度からの冷却条件を選ぶことにより、初析セ
メンタイトの生成を阻止できるという新たな知見を得
た。
熱間圧延した線材より直径3mm、高さ10mmの円柱
状試料を製作し、これをArガス中で950〜1000
℃に誘導加熱してオーステナイト化したのち、種々の冷
却速度で連続冷却した。冷却後の試料を研磨し、JIS
G0551に規定された方法でエッチングしたのち光
学顕微鏡により初析セメンタイトの生成状況を調べた。
また、粒界の薄いフィルム状セメンタイトの生成状況
は、研磨後の試料をピクラールでエッチングしたのち走
査型電子顕微鏡を用いて観察した。図1に、初析セメン
タイトの発生限界とC含有率ならびに冷却速度の関係を
示す。このように、初析セメンタイトの生成はC含有率
以外に冷却速度にも依存し、同一C含有率でも冷却速度
を上げることによりその生成を防ぐことができる。図1
より、初析セメンタイトの発生しない条件を鋼のC含有
率とオーステナイト域からの冷却速度で表すと、(1)
式数3のようになる。
sec)を示す。
ては、連続冷却ではパーライト変態時間が不足するた
め、鉛パテンティングないしは流動層パテンティング処
理を行い、微細パーライトに恒温変態させる必要があ
る。その際、冷媒である溶融鉛や流動層の温度を制御し
て、鋼線の冷却速度を(1)式を満足する範囲に選択す
れば、初析セメンタイトの発生を完全に防止することが
可能である。しかし、冷媒温度が400℃未満では鋼線
表層にベイナイトが生成し、伸線可能限界が低下する。
また、650℃を超えるとパーライトの層状構造が崩
れ、このため強度、伸線加工限界ともに低下する。した
がって、冷媒温度は400〜650℃とする。なお、冷
却槽内の温度は均一である必要はない。すなわち、
(1)式の冷却速度を得るために、赤熱した鋼線が進入
する側の冷媒温度は低く設定し、その他の部分の温度
は、鋼組成に応じて微細な層状パーライトが得られる温
度に保持すべきである。このような目的のためには、冷
却槽は傾斜加熱できるような構造が望ましく、さらに
は、複数の冷却帯に分割された冷却槽を採用すればなお
良い。
する。
元素であり、最も重要な元素の一つである。C含有率を
上げるに伴い、パテンティング後の強度ならびに伸線時
の加工硬化量が増大する。したがって、伸線加工により
高強度鋼線を得るためにはC含有量は高い方が有利であ
り、本発明では0.90%以上とする。一方、C含有率
が1.25%を超した場合、(1)式が示すように初析
セメンタイトの発生を防止するために必要な冷却速度は
480℃/secを超えるため、工業的に実現が困難と
なる。したがって、C含有率の上限は1.25%とす
る。
る。一方、Siは合金元素としてフェライトに固溶して
顕著な固溶強化作用を示す。また、フェライト中のSi
は伸線後の溶融亜鉛めっきやブルーイング時の強度低下
を低減させる効果を有するため、高強度鋼線の製造には
不可欠な元素である。しかし、1.5%を超えると伸線
後の鋼線の延性が低下するため、1.5%を上限とす
る。
る。また、Mnは焼入れ性向上効果が大きいため、線径
が大きい場合には、Mn含有率を上げることにより断面
内の均一性を高めることが可能であり、伸線後の鋼線の
延性向上に有効である。しかし、1.0%を超えると中
心偏析部にマルテンサイトが生成し伸線加工性が劣化す
るため、1.0%を上限とする。
し、鋼線の強度と伸線加工性を向上させるため、0.1
%以上添加する。0.1%未満ではその効果が十分でな
く、一方、1.0%を超えると変態に要する時間が長く
なり、生産性が著しく低下するため、1.0%を上限と
する。
について説明する。
線に、断面減少率86.0〜94.0%の伸線加工を施
す。86.0%未満では加工硬化量が不足し、目標とす
る強度が得られないため、86.0%を下限とする。一
方、94.0%を超えると延性が低下し、ブルーイング
後の鋼線(ビードワイヤ)の伸びが不足するため、9
4.0%を上限とする。
ルーイングの目的は、鋼線に必要な伸びを付与すること
であり、通常、鋼線を溶融鉛ないしは流動層中を連続的
に通過させる方法で行われる。ブルーイング温度は、3
50℃未満では必要な伸びが得られず、一方、450℃
を超えると強度が低下するのみならず、捻回値も低下す
る。このため、ブルーイング温度の下限および上限はそ
れぞれ350℃および450℃とする。
が、さらに高い伸びを得るためブルーイング後矯正加工
を施す。矯正はローラー型矯正機あるいは回転こま式矯
正機を使用して行う。矯正加工を施すことにより、鋼線
長手方向の可動転位密度の分布がより均一となるため、
均一伸びが増加する。矯正加工は局部伸びには影響しな
いため、均一伸びの増加分だけ全伸びも増加することと
なる。
以上の引張強さを有する高強度高延性ビードワイヤの製
造結果について説明する。なお、ビードワイヤの目標と
する延性は、伸びが8%以上、捻回値が35回以上であ
る。
20mmの鋼線を鉛パテンティング後、伸線加工により
直径1.00mmの細線を製造した。次に、これらを3
40〜460℃に保持した鉛浴中で15sブルーイング
し、その後、20段ローラー矯正機を用いて矯正加工を
行い、最後に置換めっき法によりブロンズめっきを施し
て高強度ビードワイヤを製造した。表2、表3には、鋼
の化学成分、パテンティング条件、パテンティング後の
組織、伸線加工度、ブルーイング温度、およびビードワ
イヤの機械的性質を示す。
れC、Si、Mn、Cr含有率の影響を示したものであ
る。
度が得られず、一方、1.35%のA−8では冷却速度
不足のため初析セメンタイトが生成し、伸線できなかっ
た。同様に、C含有率が1.20%のA−5でも、冷却
速度が20℃/secと(1)式を満足しない場合は初
析セメンタイトが生成し、製品の伸びおよび捻回値が低
下したため、目標とするビードワイヤの製造はできなか
った。
が、1.63%のB−5では延性不足となり、めっき鋼
線の伸びおよび捻回が低下した。
偏析部に生成したマルテンサイトによりめっき鋼線の伸
びおよび捻回値が著しく低下した。
効果が小さく、目標強度が得られなかった。一方、1.
20%のD−8では、変態時間不足のためパテンティン
グ組織にマルテンサイトが発生したため断線が頻発し、
伸び、捻回値も著しく劣化した。
号公報に開示された方法であり、ローラーダイス伸線
後、通常の伸線を行ったものである。また、従来法2の
F−1は特開昭63−186852号公報に開示された
方法で、表2の化学成分以外にREMを0.0012
%、Caを0.0008%含有する。いずれも目標強度
に到達しないのみならず、初析セメンタイトを内蔵して
いるため伸び、絞り値もともに低かった。
また、D−3は650℃を超える場合であり、それぞれ
マルテンサイトおよび初析セメンタイトが発生したた
め、ビードワイヤの延性が低下した。
合、またD−4は伸線加工度が94.0%を超える場合
であり、前者は強度、後者は伸びおよび絞り値が目標値
を下まわった。
の場合、またD−6はブルーイング温度が450℃を超
える場合であり、前者は伸びが不足し、後者は伸びおよ
び捻回値が目標値を下まわった。
れも250kgf/mm2 以上の強度を有し、従来法で
製造されたものに比べて強度が高く、延性(伸びおよび
捻回値)に優れていた。
ば、従来より強度が高く、かつ、伸びおよび捻回特性に
優れたビードワイヤを製造することが可能である。
に冷却速度の関係を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量比で C :0.90〜1.25%、 Si:0.15〜1.5 %、 Mn:0.3 〜1.0 %、 Cr:0.1 〜1.0 %、 残余Feおよび不可避的不純物からなる鋼線を加熱して
オーステナイト化したのち、(1)式数1で規定される
範囲の冷却速度で400〜650℃に保持された冷媒中
に焼き入れ、引き続き該冷媒中で恒温変態を完了させる
ことにより初析セメンタイトを含まない微細パーライト
組織としたのち加工度86.0〜94.0%で伸線加工
を施し、伸線加工後の鋼線を350〜450℃でブルー
イングし、さらにこれに矯正加工を付与することを特徴
とする高強度高延性ビードワイヤの製造方法。 【数1】 Y≦0.16logX+0.82 (1) ただし、Yは鋼のC含有率(%)、Xは冷却速度(℃/
sec)を示す。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP28412491A JP3327567B2 (ja) | 1991-10-04 | 1991-10-04 | 高強度高延性ビードワイヤの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0598349A true JPH0598349A (ja) | 1993-04-20 |
JP3327567B2 JP3327567B2 (ja) | 2002-09-24 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100957989B1 (ko) * | 2007-12-21 | 2010-05-17 | 주식회사 포스코 | 세멘타이트 분해를 이용한 고강도 선재 |
KR20180110002A (ko) * | 2016-03-28 | 2018-10-08 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 내지연 파괴 특성이 뛰어난 강선 |
WO2018194038A1 (ja) * | 2017-04-17 | 2018-10-25 | 株式会社ブリヂストン | ケーブルビードおよびこれを用いた航空機用タイヤ |
-
1991
- 1991-10-04 JP JP28412491A patent/JP3327567B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR100957989B1 (ko) * | 2007-12-21 | 2010-05-17 | 주식회사 포스코 | 세멘타이트 분해를 이용한 고강도 선재 |
KR20180110002A (ko) * | 2016-03-28 | 2018-10-08 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 내지연 파괴 특성이 뛰어난 강선 |
WO2018194038A1 (ja) * | 2017-04-17 | 2018-10-25 | 株式会社ブリヂストン | ケーブルビードおよびこれを用いた航空機用タイヤ |
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