JPH0597571A - シリコン単結晶引上げ用ルツボ - Google Patents

シリコン単結晶引上げ用ルツボ

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JPH0597571A
JPH0597571A JP16749491A JP16749491A JPH0597571A JP H0597571 A JPH0597571 A JP H0597571A JP 16749491 A JP16749491 A JP 16749491A JP 16749491 A JP16749491 A JP 16749491A JP H0597571 A JPH0597571 A JP H0597571A
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JP
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crucible
quartz glass
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single crystal
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JP16749491A
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Toyokazu Matsuyama
豊和 松山
Hajime Abe
一 阿部
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Coorstek KK
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Si3 4 層と石英ガラス層とからなり、S
3 4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部に設
け、かつSi3 4 層と石英ガラス層の厚さの比が1/
9以上4以下であることを特徴とするシリコン単結晶引
上げ用ルツボ。 【効果】 以上のように、本発明を実施することによ
り、ルツボの寿命を向上できるだけでなく、消費電力を
おさえ、均熱性を向上させることにより、歩留まり向上
をはかることができる。また、本発明によって、単結晶
の結晶成長速度を上げることもできる。さらに、Si3
4 層と石英ガラス層との間にSi、N、Oの3成分よ
りなる中間層が形成されることにより、加熱冷却時のS
3 4 層と石英ガラス層の間の応力を吸収することが
でき、ルツボの破損を防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はシリコン単結晶引上げ
用ルツボに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン単結晶引上げ用ルツボは
全体が石英ガラスで形成されたものが使用されていた。
しかし、石英ガラスは、シリコンを溶融する1420℃
近辺では軟化をはじめるため、形状保持性が十分でな
い。一方、近年はシリコン単結晶引上げ時に結晶の転位
を防ぐため、ルツボに非常に厳密な真円度が要求される
ようになっている。たとえば18インチルツボで長径と
短径の差は約1〜2mm以内ともいわれている。このよ
うな状況の中で、従来の石英ルツボを用いてシリコン単
結晶の引上げを行なえば、長時間使用しているうちにル
ツボ側壁が軟化し、真円度が保てなくなる。その結果、
単結晶引上げが途中でできなくなる事態も生じた。
【0003】また、石英ガラス以外の別の組成物を用い
るものとしては、昭和54年〜61年頃に石英ガラスル
ツボの内面にSi3 4 をCVD法でコーティングした
ものが出願公開されている。しかし、これらは石英ガラ
ス層のシリコン溶融液への溶融防止、ポリシリコン充填
時の石英ガラス層の剥離防止等を目的とするものであっ
た。
【0004】さらに、石英ルツボ外面にSi3 4 をコ
ーティングするものも提案されているが、Si3 4
膜厚が0.1〜20μmと薄く、カーボンルツボが、高
温時に石英に直接接して、浸食されるのを防ぐものに過
ぎなかった。
【0005】上記のようなルツボ、すなわち石英ガラス
ルツボ内面または外面の全体にSi3 4 をコーティン
グしたものは、無視できない欠点を有している。まず、
Si3 4 自体が熱伝導率に優れているため、引き上げ
られたシリコン単結晶に向かってルツボ側壁上部から放
熱しやすい。本来は、シリコン融液面以上の高さのルツ
ボ側壁からは、ルツボ内に向って放熱しないほうがよ
い。この放熱は、引き上げられたシリコン単結晶の冷却
を妨げ、その結果として結晶引上げ速度を低下させる。
【0006】さらに、比較的石英ガラス層と熱膨張係数
の近いSi3 4 層を形成しても、高温での使用時には
石英ガラスとSi3 4 との間に非常に大きな熱応力が
発生する。その結果、単結晶引上げ中にルツボが変形し
たり、昇温時に特にSi3 4 層の石英ガラス層と接す
る角部でクラックを発生させる原因となる。
【0007】また、石英ガラスルツボ中のシリコン融液
は全体が均一な温度に保てれば融液の対流が起こらず、
また、制御が非常に容易となるのであるが、現在はカー
ボンヒータが石英ガラスルツボ側壁方向のみから融液を
加熱する。そのため、壁面付近では高温となり、ルツボ
底部から逆に熱を奪われるため、底部付近は低温とな
る。その結果、たとえば8インチルツボでは壁面付近と
底部との間に7〜78℃程度の温度差がある。
【0008】
【発明が解決するための課題】本発明はこれらの従来技
術とは全く別の観点からなされたものであり、長時間使
用しても形状(特に真円度)の変化やクラックが生じに
くいシリコン単結晶引上げ用ルツボを提供することを課
題とする。
【0009】また、本発明はヒータからルツボへの熱伝
達を効率よく、しかも均一に行なうことができ、シリコ
ン融液自体の温度を均一にすることが可能な単結晶引上
げ用ルツボを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はSi3 4 層と
石英ガラス層とからなり、Si3 4 層を石英ガラス層
の外面の少なくとも一部に設け、かつSi3 4 層と石
英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下であるこ
とを特徴とするシリコン単結晶引上げ用ルツボである。
【0011】また、本発明は、前述の特徴に、Si3
4 層とSiO2 層の間にSi、N、Oの3成分よりなる
中間層が形成されているという特徴を付加したシリコン
単結晶引上げ用ルツボである。
【0012】さらに、本発明は、次のようなルツボを含
む。 (1)Si3 4 層と石英ガラス層とからなり、Si3
4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツ
ボ開口部付近を除いた位置に設け、かつSi3 4 層と
石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下である
ことを特徴とするシリコン単結晶引上げ用ルツボ。 (2)Si3 4 層と石英ガラス層とからなり、Si3
4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツ
ボ開口部付近を除いた位置に設け、かつSi3 4 層と
石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下で、か
つSi3 4 層と石英ガラス層の接する角部がR2mm
以上の丸みをおびていることを特徴とするシリコン単結
晶引上げ用ルツボ。 (3)Si3 4 層と石英ガラス層とからなり、Si3
4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツ
ボ開口部付近とルツボ底部及びルツボ底部付近とを除い
た位置に設け、かつSi3 4 層と石英ガラス層の厚さ
の比の値が1/9以上4以下であることを特徴とするシ
リコン単結晶引上げ用ルツボ。
【0013】
【実施例】形状保持および熱伝導の均一性の観点からS
3 4層と石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上
であることが望ましい。また、シリコン単結晶引上げ用
ルツボは通常8mm程度の肉厚であるため、石英ガラス
層の肉厚を少なくとも2mm以上とするためにSi3
4 層と石英ガラス層の厚さの比の値を4以下にすること
が好ましい。それ以上になると、単結晶引上げ時に多孔
質のSi3 4 層が露出してしまい、この露出部が突起
の役割を果たし、シリコン融液をかき回し、単結晶の歩
留まりが低下する。
【0014】Si3 4 層は気孔率15〜50%の多孔
質であることが望ましい。この気孔の中にまで石英ガラ
スを貫入させることにより強度を向上させ形状を保持す
ることができる。気孔率が15%以下では石英ガラスを
Si3 4 層の気孔中に貫入させにくい。50%以上で
は強度や熱伝導率が十分に出にくい。
【0015】Si3 4 層は気孔の量がルツボの外側か
ら内側、すなわち、石英ガラス層側に向かって大きくな
ることが望ましい。
【0016】Si3 4 層の石英ガラス層側の気孔率を
大きくすることによって、石英ガラスとSi3 4 の熱
膨張差による歪をできるだけ小さくすることができる。
また、Si3 4 層の気孔中への石英ガラスの貫入が促
進され、Si3 4 層と石英ガラス層との密着性、結合
力をより強くすることができる。
【0017】また、製造の最終工程でルツボ外表面にC
VDまたはプラズマ溶射によって緻密質のSi3 4
を設けることにより、使用中の不純物の混入を防ぐこと
も可能である。
【0018】多孔質のSi3 4 層は高純度であること
が必要であり、CVD法により生成することが望まし
い。また、純度が保てるならばウレタンフォームに泥し
ょうを塗布してSi3 4 層を生成することも好まし
い。泥しょうはSi3 4 粉を主体とするものでもよい
し、SiO2 粉とC粉よりなるものでもよい。後者の場
合にはN2 雰囲気中で焼成する必要がある。もちろん、
通常のSi3 4 粉末を通常のプレス成形後、焼成した
ものでもよい。
【0019】石英ガラス層は天然および合成石英粉をア
ーク溶融により形成したものが好ましい。天然石英粉
は、トータル不純物量30ppm以下程度の純度のもの
が好ましい。合成石英粉は、天然石英粉と同等またはそ
れ以上の純度のものが好ましい。一例として、特開平2
−80329号に示されている石英粉が挙げられる。溶
融時に減圧してやれば石英ガラスがSi3 4 層の気孔
の中に貫入する。
【0020】なお、ルツボ全体をSi3 4 により形成
した例もあるが、実際には全体を高純度に保つことは非
常に難しく、また、加工が困難で真円度を良好に保つに
はコストがかかりすぎ、実用的ではなかった。
【0021】本発明のシリコン単結晶引上げ用ルツボ
を、Si3 4 層と石英ガラス層とからなり、Si3
4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツボ
開口部付近を除いた位置に設け、かつSi3 4 層と石
英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下であるこ
とを特徴とするシリコン単結晶引上げ用ルツボにするこ
ともできる。その1例を図2に示す。
【0022】この場合、ルツボ側壁部の高さ、すなわち
底部から開口部への長さを100%とするとき、Si3
4 層の上端部が底部から70%以下の範囲に存在する
ことが好ましい。Si3 4 層の存在する範囲が70%
より小さくすると、ルツボ側壁の開口部付近から、熱伝
導率の良いSi3 4 層を通して、既に引き上げられた
シリコン単結晶に伝わる熱量が少なくなり、シリコン単
結晶の引上げ速度を早くすることができる。また、Si
3 4 層の上端部は底部から30%以上の範囲に存在す
ることが好ましい。底部から30%以下ではSi3 4
ルツボによる形状保持の効果が得にくいからである。
【0023】また、本発明のシリコン単結晶引上げ用ル
ツボは、Si3 4 層と石英ガラス層とからなり、Si
3 4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ル
ツボ開口部付近を除いた位置に設け、かつSi3 4
と石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下で、
かつSi3 4 層と石英ガラス層の接する角部がR2m
m以上の丸みをおびていることを特徴とするシリコン単
結晶引上げ用ルツボにすることもできる。その1例を図
3に示す。
【0024】この場合、ルツボ側壁部においてSi3
4 層の上端部の存在する範囲は、ルツボ底部から70%
以下、30%以上であることが好ましい。理由は前に記
した通りである。さらにこの場合、石英ガラス層と接す
るSi3 4 層の角部のRの大きさは、2mm以上であ
ることが望ましい。R2mm以上とすることで応力の集
中を緩和し、ルツボの強度を向上できる。
【0025】また、本発明のシリコン単結晶引上げ用ル
ツボを、Si3 4 層と石英ガラス層とからなり、Si
3 4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ル
ツボ開口部付近とルツボ底部及びルツボ底部付近とを除
いた位置に設け、かつSi3 4 層と石英ガラス層の厚
さの比の値が1/9以上4以下であることを特徴とする
シリコン単結晶引上げ用ルツボにすることもできる。そ
の1例を図4に示す。
【0026】この場合、ルツボ側壁部の高さ、すなわち
底部から開口部への長さを100%とするとき、Si3
4 層が底部から10%以上、60%以下の範囲に存在
することが好ましい。ルツボの底部、底部付近および開
口部付近にSi3 4 を設けずに、熱伝導率の低い石英
ガラスのみとすることにより、ルツボ底部から融液の熱
が吸収されるのを防ぐことができる。また、既に引き上
げられたシリコン単結晶に対して開口部付近からの放熱
が減少し、シリコン単結晶の引上げ速度を向上すること
ができる。このことによってSi3 4 層は側壁外側の
高さ方向の中央部付近に円筒状に設けられることにな
る。
【0027】このように側壁外側のほぼ中央部に、熱伝
導率が高く、赤外線を直接透過させない多孔質のSi3
4 層が円筒状に設けられているため、ヒータの熱を効
率良く、均等に伝えることができる。
【0028】なお、Si3 4 層は一体に設けられてい
なくともよい。図5に示すように高さ方向に複数の円筒
状の部分に分割して設けることも可能である。
【0029】さらに、本発明のシリコン単結晶引上げ用
ルツボを、Si3 4 層とSiO2 層の間にSi、N、
Oの3成分よりなる中間層が形成されていることを特徴
とするシリコン単結晶引上げ用ルツボにすることもでき
る。
【0030】例えば多孔質のSi3 4 層を先に形成
し、その内面等に石英粉層を形成し、その後石英粉をア
ーク溶融することによりアーク溶融時にSi3 4 層と
石英ガラス層との間に相互拡散が生じて、NとOが相互
固溶したSi、N、Oの三成分よりなる中間層が形成さ
れる。
【0031】その中間層の厚さは、溶融条件によって変
化する。中間層が20μmより薄いと、Si3 4 層と
石英ガラス層の密着力が弱く、界面から割れが発生しや
すい。また、中間層の厚さは、500μmより小さいこ
とが好ましい。中間層が厚くなると、石英ガラス側に結
晶相が形成され、失透して割れ発生の原因となりやす
い。そのような限界の厚さは200〜500μmであ
る。従って、中間層の厚さは、20〜100μmであれ
ばなお好ましい。
【0032】この中間層が形成されることにより、全体
としては傾斜材料となり、加熱冷却時の石英ガラス層と
Si3 4 層の間の応力を吸収することができ、ルツボ
の破損を防ぐことができる。
【0033】なお、従来のように石英ルツボを形成した
後にCVDによりSi3 4 層を形成した場合にはCV
D処理の温度自体が低いため、本発明のような厚い中間
層は形成されない。
【0034】実施例1 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布しルツボ状容器内に固定し、焼成したと
ころ、直径450mm、高さ350mm、厚さ5mm、
気孔率35%の多孔質のSi3 4 焼成体が得られた。
この焼成体の内面に石英粉の層を均一に形成し、アーク
溶融を行なったところ、内面は透明層を含む石英ガラス
層となり、全厚さは8mmとなった。
【0035】実施例2 ルツボ型のカーボン材の内面に、CVD法によりSi3
4層を形成した。冷却後、成形体となったSi3 4
層をとりだしたところ、直径450mm、高さ350m
m、厚さ2mm、気孔率20%であった。この成形体内
面に石英粉の層を均一に形成し、アーク溶融を行ったと
ころ、内面は透明層を含む石英ガラス層となり、全厚さ
は8mmとなった。
【0036】実施例3 ウレタンフォームに助剤5%以下を含むSiよりなる泥
しょうを塗布し、ルツボ状容器内に固定し、N2 雰囲気
中で焼成したところ、直径450mm、高さ350m
m、厚さ5mm、気孔率35%の多孔質のSi3 4
成体が得られた。この焼成体の内面に石英粉の層を均一
に形成し、アーク溶融を行なったところ、内面は透明層
を含む石英ガラス層となり、全厚さは8mmとなった。
【0037】比較例1 ルツボ状金型の内面に石英粉の層を均一に形成し、アー
ク溶融を行ったところ、内面は透明な石英ガラス層とな
り、直径450mm、高さ350mm、全厚さ8mmの
石英ガラスルツボとなった。
【0038】比較例2 比較例1で得た石英ガラスルツボと同様な石英ガラスル
ツボの内表面全体にCVD法により厚さ20μmのSi
3 4 層を形成した。
【0039】比較例3 比較例1で得た石英ガラスルツボと同様な石英ガラスル
ツボの外表面全体にCVD法により厚さ20μmのSi
3 4 層を形成した。
【0040】次に、実施例1〜3、比較例1〜3で得ら
れたルツボをカーボンルツボに装填し、ポリシリコンを
8分目充填し、1470℃まで加熱し、10時間から5
0時間保持し、内径の真円度を測った。結果は以下の通
りであった。
【0041】なお、真円度は(最大内径)−(最小内
径)mmであり、0であれば真円である。実験前の各ル
ツボの真円度は0.5mm以下であった。また、石英ガ
ラス層は各ルツボとも厚さ以外の特性は同一と認められ
る。
【0042】また、各ルツボで実際に単結晶を引き上げ
たところ、実施例1〜3のルツボでは延べ100時間引
上げを行っても真円度は、実施例1と3では2mm程
度、実施例2では4mm程度であったが、比較例1〜3
のルツボでは延べ50時間引上げを行ったところで真円
度が3mm以上に達し、単結晶に転位が生じた。
【0043】また比較例1で要した消費電力量を100
として、その他の実施例および比較例の消費電力を比較
したところ表2の通りとなり、実施例1〜3ではルツボ
の熱伝達率が従来に比べて優れているため消費電力が少
なくなっていることが確認できた。
【0044】表2の周方向の均熱度は、同一のカーボン
ヒータを用い、各ルツボを空の状態で加熱し、ルツボ内
底部から高さ170mmの位置に、等間隔に設定された
A、B、Cの3点の温度を放射温度計により確認した。
なお、測温した3点はカーボンヒータに対応した点と
し、A点が1200℃になったとき他の2点の温度を測
定し、3点のうち最大の値から最小の値を引いたもので
ある。表2に示すとおり、実施例1〜3ではヒータの熱
が直接融液に達しにくく、温度ムラを著しく低減できる
ことが確認された。
【0045】実施例4 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布したものをルツボ型で固定し焼成したと
ころ、直径450mm、高さ180mm、厚さ5mm、
気孔率35%の多孔質のSi3 4 焼成体が得られた。
この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層を均
一に形成し、アーク溶融を行なったところ、内面と、側
壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、高
さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0046】実施例5 ルツボ型のカーボン材の内面に、CVD法によりSi3
4層を形成した。冷却後、成形体となったSi3 4
層をとりだしたところ、直径450mm、高さ180m
m、厚さ2mm、気孔率20%であった。この成形体の
内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形成し、
アーク溶融を行ったところ、内面と、側壁の開口部付近
は透明層を含む石英ガラス層となり、高さは350m
m、全厚さは8mmとなった。
【0047】実施例6 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ180mm、厚さ5m
m、気孔率35%の多孔質のSi3 4 焼成体が得られ
た。この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層
を均一に形成し、アーク溶融を行なったところ、内面
と、側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層とな
り、高さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0048】実施例7 ルツボ型のウレタンフォームに助剤10%以下を含むS
3 4 の泥しょうを塗布したものを焼成したところ、
直径450mm、高さ120mm、厚さ5mm、気孔率
35%の多孔質のSi3 4 焼成体が得られた。この焼
成体の内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形
成し、アーク溶融を行なったところ、内面と、側壁の開
口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、高さは3
50mm、全厚さは8mmとなった。
【0049】実施例8 ルツボ型のウレタンフォームに助剤10%以下を含むS
3 4 の泥しょうを塗布したものを焼成したところ、
直径450mm、高さ220mm、厚さ5mm、気孔率
35%の多孔質のSi3 4 焼成体が得られた。この焼
成体の内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形
成し、アーク溶融を行なったところ、内面と、側壁の開
口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、高さは3
50mm、全厚さは8mmとなった。
【0050】比較例4 ルツボ状金型の内面に石英粉の層を均一に形成し、アー
ク溶融を行ったところ、内面は透明な石英ガラス層とな
り、直径450mm、高さ350mm、全厚さ8mmの
石英ガラスルツボを得た。
【0051】比較例5 比較例4で得たと同様な石英ガラスルツボの内表面全体
にCVD法により厚さ20μmのSi3 4 層を形成し
た。
【0052】比較例6 比較例4で得たと同様な石英ガラスルツボの外表面全体
にCVD法により厚さ20μmのSi3 4 層を形成し
た。
【0053】比較例7 比較例4で得た石英ガラスルツボの側壁の開口部付近の
開口部から下へ5cmまでを微小気泡を多数含む不透明
石英部とした。
【0054】比較例8 ルツボ型のウレタンフォームに助剤10%以下を含むS
3 4 の泥しょうを塗布した物を焼成したところ、直
径450mm、高さ80mm、厚さ5mm、気孔率35
%の多孔質のSi3 4 焼成体が得られた。この焼成体
の内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形成
し、アーク溶融を行なったところ、内面および側壁の開
口部付近は透明な石英ガラス層となり、高さは350m
m、全厚さは8mmとなった。
【0055】実施例4〜8、比較例4〜8で得られたル
ツボをカーボンルツボに挿填し、ポリシリコンを8分目
充填し、1470℃まで加熱し、10時間から50時間
保持し、内径の真円度を測った。結果は表3の通りであ
った。
【0056】なお、真円度は(最大内径)−(最小内
径)mmであり実験前の各ルツボの真円度は0.5mm
以下であった。また、石英ガラス層は各ルツボとも厚さ
以外の特性は同一と認められる。
【0057】各ルツボで実際に単結晶引き上げたとこ
ろ、実施例4〜8のルツボでは延べ50時間引上げを行
っても、真円度は3mm弱で全く問題はなかったが、比
較例4〜8のルツボでは、延べ50時間引上げを行った
ところで真円度が約4mm以上に達し、引上げができな
くなった。
【0058】また、比較例4で要した消費電力量を10
0として、その他の実施例および比較例の消費電力を比
較したところ、表4の通りとなり、実施例4〜8では、
ルツボの熱伝達能力が従来に比べて優れているため消費
電力が少なくなっていることが確認できた。
【0059】表4の周方向の均熱度については、同一の
カーボンヒータを用い、各ルツボを加熱し、ルツボ内の
A,B,Cの3点の温度を放射温度計により確認した。
なお、測温した3点はルツボ底部から高さ140mmの
位置のカーボンヒータに対応した点とし、A点が120
0℃になったときの他の2点の温度を測定し、3点のう
ち最大の値から最小の値を引いたものである。表4から
わかる通り、実施例4〜8ではヒータの熱が直接融液に
達しにくく、温度ムラを著しく低減できることが確認さ
れた。
【0060】表4の結晶成長速度は、実際にシリコン単
結晶を引き上げたとき、比較例4のルツボを用いる時の
結晶成長速度を1.0とした相対的な結晶成長速度であ
る。使用するルツボが異なる他は全て同一条件にして引
上げを行った。表4から明らかな通り、実施例4〜8は
いずれも比較例7以外の比較例に比して高速度で引き上
げることができた。
【0061】実施例9 ルツボ型のウレタンフォームに助剤10%以下を含むS
3 4 の泥しょうを塗布したものを焼成したところ、
直径450mm、高さ170mm、厚さ5mm、気孔率
35%で、石英ガラスと接する部分の全ての角部がR3
mmに加工された多孔質のSi3 4 焼成体が得られ
た。この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層
を均一に形成し、アーク溶融を行ったところ、内面と、
側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、
高さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0062】比較例9 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ170mm、厚さ5m
m、気孔率35%で、石英ガラスと接する部分の全ての
角部がR1mmに加工された多孔質のSi3 4 焼成体
が得られた。この焼成体の内面および側壁より上部に石
英粉の層を均一に形成し、アーク溶融を行なったとこ
ろ、内面および側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガ
ラス層となり、高さは350mm全厚さは8mmとなっ
た。
【0063】比較例10 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ170mm、厚さ5m
m、気孔率35%で、石英ガラスと接する全ての角部が
直角に加工された多孔質のSi3 4 焼成体が得られ
た。この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層
を均一に形成し、アーク溶融を行ったところ、内面およ
び側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層とな
り、高さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0064】実施例9および比較例9〜10で得られた
ルツボをカーボンルツボに挿填し、ポリシリコンを8分
目充填し、1470℃まで加熱し、10時間から50時
間保持し、内径の真円度を測った。結果は表5の通りで
あった。
【0065】なお、真円度は(最大内径)−(最小内
径)mmであり、実験前の各ルツボの真円度は0.5m
m以下であった。また、石英ガラス層は各ルツボとも厚
さ以外の特性は同一と認められる。
【0066】次に各ルツボを常温から1400℃まで1
時間で加熱し、1400℃から常温まで1時間で冷却す
る試験を繰返したところ、実施例9では10回繰返して
も異常はなかったが、比較例9では6回目で、比較例1
0では2回目でSi3 4 層上部でクラックおよび剥離
が認められた。
【0067】実施例10 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布し、円筒型で固定したものを焼成したと
ころ、直径450mm、高さ180mm、厚さ5mm、
気孔率35%の多孔質のSi3 4 円筒体が得られた。
この円筒体がルツボ側壁の外面の一部を構成するように
石英粉の層を均一に形成し、アーク溶融を行なったとこ
ろ、ルツボ側壁の外面がルツボ底部から10%以上61
%以下の範囲が多孔質のSi3 4 円筒体で囲まれた高
さ350mm、全厚さ8mmのシリコン単結晶引上げ用
ルツボが得られた。
【0068】比較例11 石英ガラスのみから形成された実施例10と同じ寸法の
ルツボを作成した。
【0069】比較例12 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布し、ルツボ型に固定したものを焼成した
ところ、直径450mm、高さ350mm、厚さ5m
m、気孔率35%の多孔質のSi3 4 焼成体が得られ
た。この焼成体がルツボ側壁の外面を構成するように、
石英粉の層を焼成体の内面に均一に形成し、アーク溶融
を行い、全厚さ8mmとした。
【0070】実施例10、比較例11,12で得られた
ルツボを用いてシリコン単結晶を引き上げた。結果は表
6の通りであった。
【0071】なお、実験前の真円度は(最大内径)−
(最小内径)mmであり、それが0.5mm以下であっ
た。また、石英ガラス層は各ルツボとも特性は同一と認
められる。
【0072】各ルツボで実際に単結晶を引き上げたとこ
ろ、実施例10のルツボでは延べ50時間引上げを行っ
ても真円度は2.3mm程度であったが、比較例11の
ルツボでは延べ50時間引上げを行ったところで真円度
が6mm程度にまで達し、引上げができなくなった。
【0073】また、比較例11で要した消費電力量を1
00として、その他の実施例および比較例の消費電力を
比較したところ、表7の通りとなり、実施例10および
比較例12ではルツボの熱伝達能力が従来に比べて優れ
ているため消費電力が少なくなっていることが確認でき
た。
【0074】表7の均熱度については同一のカーボンヒ
ータを用い、各ルツボを加熱し、ルツボ内のA,B,C
の3点の温度を放射温度計により確認した。なお、測温
した3点はルツボ側壁の鉛直線状に並びルツボ底部から
20mm(A)、ルツボ底部から150mm(B)、ル
ツボ底部から200mm(C)の高さのカーボンヒータ
に対応した点とし、C点が1460℃になったときの他
の2点の温度を測定し、3点のうち最大の値から最小の
値を引いたものである。表7からわかる通り、実施例1
0および比較例12ではヒータの熱が直接融液に達しに
くく、温度ムラを著しく低減できることが確認された。
【0075】表7の結晶成長速度は、実際にシリコン単
結晶を引き上げたとき、比較例11のルツボを用いた時
の結晶成長速度を1.0とした相対的な結晶成長速度で
ある。使用するルツボが異なる他は全て同一条件にして
引上げを行った。表7から明らかな通り、実施例10は
比較例11,12に比べて高速度で引き上げることがで
きた。
【0076】実施例11 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi3 4
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ180mm、厚さ2m
m、気孔率35%の多孔質のSi3 4 層が形成され
た。この内面に石英粉の層を均一に形成し、アーク溶融
を行ったところ、内面は厚さ6mmの透明層を含む石英
ガラス層となり、全厚さは8mmとなった。
【0077】さらにSi3 4 層と石英ガラス層との間
にはSi、N、Oの三成分よりなる厚さ約100μmの
中間層が形成されていた。
【0078】比較例13 ルツボ状金型の内面に石英粉の層を均一に形成し、アー
ク溶融によって、外径346mm、高さ350mm、厚
さ6mmの石英ガラスルツボを形成した。この外面に、
CVD法によって厚さ2mmのSi3 4 層を形成し
た。その結果、全厚さは8mmとなった。
【0079】なお、Si、N、Oの3成分よりなる10
μm以上の厚さの中間層は形成されなかった。
【0080】次に、実施例11および比較例13で得ら
れたルツボについて、熱サイクル試験を行った。まず、
常温から1400℃まで1時間で加熱し、1400℃か
ら400℃まで1時間で冷却し、その後は同様に140
0℃と400℃の間を往復する試験を行った。
【0081】その結果、実施例11では10回繰り返し
ても剥離や亀裂は認められなかったが、比較例13では
3回でSi3 4 層に亀裂が認められた。
【0082】
【発明の効果】以上のように、本発明を実施することに
より、ルツボの寿命を向上できるだけでなく、消費電力
をおさえ、均熱性を向上させることにより、歩留まり向
上をはかることができる。
【0083】また、本発明によって、単結晶の結晶成長
速度を上げることもできる。さらに、Si3 4 層と石
英ガラス層との間にSi、N、Oの3成分よりなる中間
層が形成されることにより、加熱冷却時のSi3 4
と石英ガラス層の間の応力を吸収することができ、ルツ
ボの破損を防ぐことができる。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【図2】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【図3】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【図4】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【符号の説明】 1 Si3 4 層 2 石英ガラス層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 シリコン単結晶引上げ用ルツボ
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はシリコン単結晶引上げ
用ルツボに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン単結晶引上げ用ルツボは
全体が石英ガラスで形成されたものが使用されていた。
しかし、石英ガラスは、シリコンを溶融する1420℃
近辺では軟化をはじめるため、形状保持性が十分でな
い。一方、近年はシリコン単結晶引上げ時に結晶の転位
を防ぐため、ルツボに非常に厳密な真円度が要求される
ようになっている。たとえば18インチルツボで長径と
短径の差は約1〜2mm以内ともいわれている。このよ
うな状況の中で、従来の石英ルツボを用いてシリコン単
結晶の引上げを行なえば、長時間使用しているうちにル
ツボ側壁が軟化し、真円度が保てなくなる。その結果、
単結晶引上げが途中でできなくなる事態も生じた。
【0003】また、石英ガラス以外の別の組成物を用い
るものとしては、昭和54年〜61年頃に石英ガラスル
ツボの内面にSiをCVD法でコーティングした
ものが出願公開されている。しかし、これらは石英ガラ
ス層のシリコン溶融液への溶融防止、ポリシリコン充填
時の石英ガラス層の剥離防止等を目的とするものであっ
た。
【0004】さらに、石英ルツボ外面にSiをコ
ーティングするものも提案されているが、Si
膜厚が0.1〜20μmと薄く、カーボンルツボが、高
温時に石英に直接接して、浸食されるのを防ぐものに過
ぎなかった。
【0005】上記のようなルツボ、すなわち石英ガラス
ルツボ内面または外面の全体にSiをコーティン
グしたものは、無視できない欠点を有している。まず、
Si自体が熱伝導率に優れているため、引き上げ
られたシリコン単結晶に向かってルツボ側壁上部から放
熱しやすい。本来は、シリコン融液面以上の高さのルツ
ボ側壁からは、ルツボ内に向って放熱しないほうがよ
い。この放熱は、引き上げられたシリコン単結晶の冷却
を妨げ、その結果として結晶引上げ速度を低下させる。
【0006】さらに、比較的石英ガラス層と熱膨張係数
の近いSi層を形成しても、高温での使用時には
石英ガラスとSiとの間に非常に大きな熱応力が
発生する。その結果、単結晶引上げ中にルツボが変形し
たり、昇温時に特にSi層の石英ガラス層と接す
る角部でクラックを発生させる原因となる。
【0007】また、石英ガラスルツボ中のシリコン融液
は全体が均一な温度に保てれば融液の対流が起こらず、
また、制御が非常に容易となるのであるが、現在はカー
ボンヒータが石英ガラスルツボ側壁方向のみから融液を
加熱する。そのため、壁面付近では高温となり、ルツボ
底部から逆に熱を奪われるため、底部付近は低温とな
る。その結果、たとえば8インチルツボでは壁面付近と
底部との間に7〜78℃程度の温度差がある。
【0008】
【発明が解決するための課題】本発明はこれらの従来技
術とは全く別の観点からなされたものであり、長時間使
用しても形状(特に真円度)の変化やクラックが生じに
くいシリコン単結晶引上げ用ルツボを提供することを課
題とする。
【0009】また、本発明はヒータからルツボへの熱伝
達を効率よく、しかも均一に行なうことができ、シリコ
ン融液自体の温度を均一にすることが可能な単結晶引上
げ用ルツボを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】本発明はSi
と石英ガラス層とからなり、Si層を石英ガラス
層の外面の少なくとも一部に設け、かつSi層と
石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下である
ことを特徴とするシリコン単結晶引上げ用ルツボであ
る。
【0011】また、本発明は、前述の特徴に、Si
層とSiO層の間にSi、N、Oの3成分よりなる
中間層が形成されているという特徴を付加したシリコン
単結晶引上げ用ルツボである。
【0012】さらに、本発明は、次のようなルツボを含
む。 (1)Si層と石英ガラス層とからなり、Si
層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツ
ボ開口部付近を除いた位置に設け、かつSi層と
石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下である
ことを特徴とするシリコン単結晶引上げ用ルツボ。 (2)Si層と石英ガラス層とからなり、Si
層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツ
ボ開口部付近を除いた位置に設け、かつSi層と
石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下で、か
つSi層と石英ガラス層の接する角部がR2mm
以上の丸みをおびていることを特徴とするシリコン単結
晶引上げ用ルツボ。 (3)Si層と石英ガラス層とからなり、Si
層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツ
ボ開口部付近とルツボ底部及びルツボ底部付近とを除い
た位置に設け、かつSi層と石英ガラス層の厚さ
の比の値が1/9以上4以下であることを特徴とするシ
リコン単結晶引上げ用ルツボ。
【0013】
【実施例】形状保持および熱伝導の均一性の観点からS
層と石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上
であることが望ましい。また、シリコン単結晶引上げ用
ルツボは通常8mm程度の肉厚であるため、石英ガラス
層の肉厚を少なくとも2mm以上とするためにSi
層と石英ガラス層の厚さの比の値を4以下にすること
が好ましい。それ以上になると、単結晶引上げ時に多孔
質のSi層が露出してしまい、この露出部が突起
の役割を果たし、シリコン融液をかき回し、単結晶の歩
留まりが低下する。
【0014】Si層は気孔率15〜50%の多孔
質であることが望ましい。この気孔の中にまで石英ガラ
スを貫入させることにより強度を向上させ形状を保持す
ることができる。気孔率が15%以下では石英ガラスを
Si層の気孔中に貫入させにくい。50%以上で
は強度や熱伝導率が十分に出にくい。
【0015】Si層は気孔の量がルツボの外側か
ら内側、すなわち、石英ガラス層側に向かって大きくな
ることが望ましい。
【0016】Si層の石英ガラス層側の気孔率を
大きくすることによって、石英ガラスとSiの熱
膨張差による歪をできるだけ小さくすることができる。
また、Si層の気孔中への石英ガラスの貫入が促
進され、Si層と石英ガラス層との密着性、結合
力をより強くすることができる。
【0017】また、製造の最終工程でルツボ外表面にC
VDまたはプラズマ溶射によって緻密質のSi
を設けることにより、使用中の不純物の混入を防ぐこと
も可能である。
【0018】多孔質のSi層は高純度であること
が必要であり、CVD法により生成することが望まし
い。また、純度が保てるならばウレタンフォームに泥し
ょうを塗布してSi層を生成することも好まし
い。泥しょうはSi粉を主体とするものでもよい
し、SiO粉とC粉よりなるものでもよい。後者の場
合にはN雰囲気中で焼成する必要がある。もちろん、
通常のSi粉末を通常のプレス成形後、焼成した
ものでもよい。
【0019】石英ガラス層は天然および合成石英粉をア
ーク溶融により形成したものが好ましい。天然石英粉
は、トータル不純物量30ppm以下程度の純度のもの
が好ましい。合成石英粉は、天然石英粉と同等またはそ
れ以上の純度のものが好ましい。一例として、特開平2
−80329号に示されている石英粉が挙げられる。溶
融時に減圧してやれば石英ガラスがSi層の気孔
の中に貫入する。
【0020】なお、ルツボ全体をSiにより形成
した例もあるが、実際には全体を高純度に保つことは非
常に難しく、また、加工が困難で真円度を良好に保つに
はコストがかかりすぎ、実用的ではなかった。
【0021】本発明のシリコン単結晶引上げ用ルツボ
を、Si層と石英ガラス層とからなり、Si
層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ルツボ
開口部付近を除いた位置に設け、かつSi層と石
英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下であるこ
とを特徴とするシリコン単結晶引上げ用ルツボにするこ
ともできる。その1例を図2に示す。
【0022】この場合、ルツボ側壁部の高さ、すなわち
底部から開口部への長さを100%とするとき、Si
層の上端部が底部から70%以下の範囲に存在する
ことが好ましい。Si層の存在する範囲が70%
より小さくすると、ルツボ側壁の開口部付近から、熱伝
導率の良いSi層を通して、既に引き上げられた
シリコン単結晶に伝わる熱量が少なくなり、シリコン単
結晶の引上げ速度を早くすることができる。また、Si
層の上端部は底部から30%以上の範囲に存在す
ることが好ましい。底部から30%以下ではSi
ルツボによる形状保持の効果が得にくいからである。
【0023】また、本発明のシリコン単結晶引上げ用ル
ツボは、Si層と石英ガラス層とからなり、Si
層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ル
ツボ開口部付近を除いた位置に設け、かつSi
と石英ガラス層の厚さの比の値が1/9以上4以下で、
かつSi層と石英ガラス層の接する角部がR2m
m以上の丸みをおびていることを特徴とするシリコン単
結晶引上げ用ルツボにすることもできる。その1例を図
3に示す。
【0024】この場合、ルツボ側壁部においてSi
層の上端部の存在する範囲は、ルツボ底部から70%
以下、30%以上であることが好ましい。理由は前に記
した通りである。さらにこの場合、石英ガラス層と接す
るSi層の角部のRの大きさは、2mm以上であ
ることが望ましい。R2mm以上とすることで応力の集
中を緩和し、ルツボの強度を向上できる。
【0025】また、本発明のシリコン単結晶引上げ用ル
ツボを、Si層と石英ガラス層とからなり、Si
層を石英ガラス層の外面の少なくとも一部の、ル
ツボ開口部付近とルツボ底部及びルツボ底部付近とを除
いた位置に設け、かつSi層と石英ガラス層の厚
さの比の値が1/9以上4以下であることを特徴とする
シリコン単結晶引上げ用ルツボにすることもできる。そ
の1例を図4に示す。
【0026】この場合、ルツボ側壁部の高さ、すなわち
底部から開口部への長さを100%とするとき、Si
層が底部から10%以上、60%以下の範囲に存在
することが好ましい。ルツボの底部、底部付近および開
口部付近にSiを設けずに、熱伝導率の低い石英
ガラスのみとすることにより、ルツボ底部から融液の熱
が吸収されるのを防ぐことができる。また、既に引き上
げられたシリコン単結晶に対して開口部付近からの放熱
が減少し、シリコン単結晶の引上げ速度を向上すること
ができる。このことによってSi層は側壁外側の
高さ方向の中央部付近に円筒状に設けられることにな
る。
【0027】このように側壁外側のほぼ中央部に、熱伝
導率が高く、赤外線を直接透過させない多孔質のSi
層が円筒状に設けられているため、ヒータの熱を効
率良く、均等に伝えることができる。
【0028】なお、Si層は一体に設けられてい
なくともよい。図5に示すように高さ方向に複数の円筒
状の部分に分割して設けることも可能である。
【0029】さらに、本発明のシリコン単結晶引上げ用
ルツボを、Si層とSiO層の間にSi、N、
Oの3成分よりなる中間層が形成されていることを特徴
とするシリコン単結晶引上げ用ルツボにすることもでき
る。
【0030】例えば多孔質のSi層を先に形成
し、その内面等に石英粉層を形成し、その後石英粉をア
ーク溶融することによりアーク溶融時にSi層と
石英ガラス層との間に相互拡散が生じて、NとOが相互
固溶したSi、N、Oの三成分よりなる中間層が形成さ
れる。
【0031】その中間層の厚さは、溶融条件によって変
化する。中間層が20μmより薄いと、Si層と
石英ガラス層の密着力が弱く、界面から割れが発生しや
すい。また、中間層の厚さは、500μmより小さいこ
とが好ましい。中間層が厚くなると、石英ガラス側に結
晶相が形成され、失透して割れ発生の原因となりやす
い。そのような限界の厚さは200〜500μmであ
る。従って、中間層の厚さは、20〜100μmであれ
ばなお好ましい。
【0032】この中間層が形成されることにより、全体
としては傾斜材料となり、加熱冷却時の石英ガラス層と
Si層の間の応力を吸収することができ、ルツボ
の破損を防ぐことができる。
【0033】なお、従来のように石英ルツボを形成した
後にCVDによりSi層を形成した場合にはCV
D処理の温度自体が低いため、本発明のような厚い中間
層は形成されない。
【0034】実施例1 ウレタンフオームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布しルツボ状容器内に固定し、焼成したと
ころ、直径450mm、高さ350mm、厚さ5mm、
気孔率35%の多孔質のSi焼成体が得られた。
この焼成体の内面に石英粉の層を均一に形成し、アーク
溶融を行なったところ、内面は透明層を含む石英ガラス
層となり、全厚さは8mmとなった。
【0035】実施例2 ルツボ型のカーボン材の内面に、CVD法によりSi
層を形成した。冷却後、成形体となったSi
層をとりだしたところ、直径450mm、高さ350m
m、厚さ2mm、気孔率20%であった。この成形体内
面に石英粉の層を均一に形成し、アーク溶融を行ったと
ころ、内面は透明層を含む石英ガラス層となり、全厚さ
は8mmとなった。
【0036】実施例3 ウレタンフォームに助剤5%以下を含むSiよりなる泥
しょうを塗布し、ルツボ状容器内に固定し、N雰囲気
中で焼成したところ、直径450mm、高さ350m
m、厚さ5mm、気孔率35%の多孔質のSi
成体が得られた。この焼成体の内面に石英粉の層を均一
に形成し、アーク溶融を行なったところ、内面は透明層
を含む石英ガラス層となり、全厚さは8mmとなった。
【0037】比較例1 ルツボ状金型の内面に石英粉の層を均一に形成し、アー
ク溶融を行ったところ、内面は透明な石英ガラス層とな
り、直径450mm、高さ350mm、全厚さ8mmの
石英ガラスルツボとなった。
【0038】比較例2 比較例1で得た石英ガラスルツボと同様な石英ガラスル
ツボの内表面全体にCVD法により厚さ20μmのSi
層を形成した。
【0039】比較例3 比較例1で得た石英ガラスルツボと同様な石英ガラスル
ツボの外表面全体にCVD法により厚さ20μmのSi
層を形成した。
【0040】次に、実施例1〜3、比較例1〜3で得ら
れたルツボをカーボンルツボに装填し、ポリシリコンを
8分目充填し、1470℃まで加熱し、10時間から5
0時間保持し、内径の真円度を測った。結果は以下の通
りであった。
【0041】なお、真円度は(最大内径)−(最小内
径)mmであり、0であれば真円である。実験前の各ル
ツボの真円度は0.5mm以下であった。また、石英ガ
ラス層は各ルツボとも厚さ以外の特性は同一と認められ
る。
【0042】また、各ルツボで実際に単結晶を引き上げ
たところ、実施例1〜3のルツボでは延べ100時間引
上げを行っても真円度は、実施例1と3では2mm程
度、実施例2では4mm程度であったが、比較例1〜3
のルツボでは延べ50時間引上げを行ったところで真円
度が3mm以上に達し、単結晶に転位が生じた。
【0043】また比較例1で要した消費電力量を100
として、その他の実施例および比較例の消費電力を比較
したところ表2の通りとなり、実施例1〜3ではルツボ
の熱伝達率が従来に比べて優れているため消費電力が少
なくなっていることが確認できた。
【0044】表2の周方向の均熱度は、同一のカーボン
ヒータを用い、各ルツボを空の状態で加熱し、ルツボ内
底部から高さ170mmの位置に、等間隔に設定された
A、B、Cの3点の温度を放射温度計により確認した。
なお、測温した3点はカーボンヒータに対応した点と
し、A点が1200℃になったとき他の2点の温度を測
定し、3点のうち最大の値から最小の値を引いたもので
ある。表2に示すとおり、実施例1〜3ではヒータの熱
が直接融液に達しにくく、温度ムラを著しく低減できる
ことが確認された。
【0045】実施例4 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布したものをルツボ型で固定し焼成したと
ころ、直径450mm、高さ180mm、厚さ5mm、
気孔率35%の多孔質のSi焼成体が得られた。
この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層を均
一に形成し、アーク溶融を行なったところ、内面と、側
壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、高
さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0046】実施例5 ルツボ型のカーボン材の内面に、CVD法によりSi
層を形成した。冷却後、成形体となったSi
層をとりだしたところ、直径450mm、高さ180m
m、厚さ2mm、気孔率20%であった。この成形体の
内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形成し、
アーク溶融を行ったところ、内面と、側壁の開口部付近
は透明層を含む石英ガラス層となり、高さは350m
m、全厚さは8mmとなった。
【0047】実施例6 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ180mm、厚さ5m
m、気孔率35%の多孔質のSi焼成体が得られ
た。この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層
を均一に形成し、アーク溶融を行なったところ、内面
と、側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層とな
り、高さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0048】実施例7 ルツボ型のウレタンフオームに助剤10%以下を含むS
の泥しょうを塗布したものを焼成したところ、
直径450mm、高さ120mm、厚さ5mm、気孔率
35%の多孔質のSi焼成体が得られた。この焼
成体の内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形
成し、アーク溶融を行なったところ、内面と、側壁の開
口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、高さは3
50mm、全厚さは8mmとなった。
【0049】実施例8 ルツボ型のウレタンフォームに助剤10%以下を含むS
の泥しょうを塗布したものを焼成したところ、
直径450mm、高さ220mm、厚さ5mm、気孔率
35%の多孔質のSi焼成体が得られた。この焼
成体の内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形
成し、アーク溶融を行なったところ、内面と、側壁の開
口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、高さは3
50mm、全厚さは8mmとなった。
【0050】比較例4 ルツボ状金型の内面に石英粉の層を均一に形成し、アー
ク溶融を行ったところ、内面は透明な石英ガラス層とな
り、直径450mm、高さ350mm、全厚さ8mmの
石英ガラスルツボを得た。
【0051】比較例5 比較例4で得たと同様な石英ガラスルツボの内表面全体
にCVD法により厚さ20μmのSi層を形成し
た。
【0052】比較例6 比較例4で得たと同様な石英ガラスルツボの外表面全体
にCVD法により厚さ20μmのSi層を形成し
た。
【0053】比較例7 比較例4で得た石英ガラスルツボの側壁の開口部付近の
開口部から下へ5cmまでを微小気泡を多数含む不透明
石英部とした。
【0054】比較例8 ルツボ型のウレタンフォームに助剤10%以下を含むS
の泥しょうを塗布した物を焼成したところ、直
径450mm、高さ80mm、厚さ5mm、気孔率35
%の多孔質のSi焼成体が得られた。この焼成体
の内面および側壁より上部に石英粉の層を均一に形成
し、アーク溶融を行なったところ、内面および側壁の開
口部付近は透明な石英ガラス層となり、高さは350m
m、全厚さは8mmとなった。
【0055】実施例4〜8、比較例4〜8で得られたル
ツボをカーボンルツボに挿填し、ポリシリコンを8分目
充填し、1470℃まで加熱し、10時間から50時間
保持し、内径の真円度を測った。結果は表3の通りであ
った。
【0056】なお、真円度は(最大内径)−(最小内
径)mmであり実験前の各ルツボの真円度は0.5mm
以下であった。また、石英ガラス層は各ルツボとも厚さ
以外の特性は同一と認められる。
【0057】各ルツボで実際に単結晶引き上げたとこ
ろ、実施例4〜8のルツボでは延べ50時間引上げを行
っても、真円度は3mm弱で全く問題はなかったが、比
較例4〜8のルツボでは、延べ50時間引上げを行った
ところで真円度が約4mm以上に達し、引上げができな
くなった。
【0058】また、比較例4で要した消費電力量を10
0として、その他の実施例および比較例の消費電力を比
較したところ、表4の通りとなり、実施例4〜8では、
ルツボの熱伝達能力が従来に比べて優れているため消費
電力が少なくなっていることが確認できた。
【0059】表4の周方向の均熱度については、同一の
カーボンヒータを用い、各ルツボを加熱し、ルツボ内の
A,B,Cの3点の温度を放射温度計により確認した。
なお、測温した3点はルツボ底部から高さ140mmの
位置のカーボンヒータに対応した点とし、A点が120
0℃になったときの他の2点の温度を測定し、3点のう
ち最大の値から最小の値を引いたものである。表4から
わかる通り、実施例4〜8ではヒータの熱が直接融液に
達しにくく、温度ムラを著しく低減できることが確認さ
れた。
【0060】表4の結晶成長速度は、実際にシリコン単
結晶を引き上げたとき、比較例4のルツボを用いる時の
結晶成長速度を1.0とした相対的な結晶成長速度であ
る。使用するルツボが異なる他は全て同一条件にして引
上げを行った。表4から明らかな通り、実施例4〜8は
いずれも比較例7以外の比較例に比して高速度で引き上
げることができた。
【0061】実施例9 ルツボ型のウレタンフォームに助剤10%以下を含むS
の泥しょうを塗布したものを焼成したところ、
直径450mm、高さ170mm、厚さ5mm、気孔率
35%で、石英ガラスと接する部分の全ての角部がR3
mmに加工された多孔質のSi焼成体が得られ
た。この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層
を均一に形成し、アーク溶融を行ったところ、内面と、
側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層となり、
高さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0062】比較例9 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ170mm、厚さ5m
m、気孔率35%で、石英ガラスと接する部分の全ての
角部がR1mmに加工された多孔質のSi焼成体
が得られた。この焼成体の内面および側壁より上部に石
英粉の層を均一に形成し、アーク溶融を行なったとこ
ろ、内面および側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガ
ラス層となり、高さは350mm全厚さは8mmとなっ
た。
【0063】比較例10 ウレタンフオームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ170mm、厚さ5m
m、気孔率35%で、石英ガラスと接する全ての角部が
直角に加工された多孔質のSi焼成体が得られ
た。この焼成体の内面および側壁より上部に石英粉の層
を均一に形成し、アーク溶融を行ったところ、内面およ
び側壁の開口部付近は透明層を含む石英ガラス層とな
り、高さは350mm、全厚さは8mmとなった。
【0064】実施例9および比較例9〜10で得られた
ルツボをカーボンルツボに挿填し、ポリシリコンを8分
目充填し、1470℃まで加熱し、10時間から50時
間保持し、内径の真円度を測った。結果は表5の通りで
あった。
【0065】なお、真円度は(最大内径)−(最小内
径)mmであり、実験前の各ルツボの真円度は0.5m
m以下であった。また、石英ガラス層は各ルツボとも厚
さ以外の特性は同一と認められる。
【0066】次に各ルツボを常温から1400℃まで1
時間で加熱し、1400℃から常温まで1時間で冷却す
る試験を繰返したところ、実施例9では10回繰返して
も異常はなかったが、比較例9では6回目で、比較例1
0では2回目でSi層上部でクラックおよび剥離
が認められた。
【0067】実施例10 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布し、円筒型で固定したものを焼成したと
ころ、直径450mm、高さ180mm、厚さ5mm、
気孔率35%の多孔質のSi円筒体が得られた。
この円筒体がルツボ側壁の外面の一部を構成するように
石英粉の層を均一に形成し、アーク溶融を行なったとこ
ろ、ルツボ側壁の外面がルツボ底部から10%以上61
%以下の範囲が多孔質のSi円筒体で囲まれた高
さ350mm、全厚さ8mmのシリコン単結晶引上げ用
ルツボが得られた。
【0068】比較例11 石英ガラスのみから形成された実施例10と同じ寸法の
ルツボを作成した。
【0069】比較例12 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布し、ルツボ型に固定したものを焼成した
ところ、直径450mm、高さ350mm、厚さ5m
m、気孔率35%の多孔質のSi焼成体が得られ
た。この焼成体がルツボ側壁の外面を構成するように、
石英粉の層を焼成体の内面に均一に形成し、アーク溶融
を行い、全厚さ8mmとした。
【0070】実施例10、比較例11,12で得られた
ルツボを用いてシリコン単結晶を引き上げた。結果は表
6の通りであった。
【0071】なお、実験前の真円度は(最大内径)−
(最小内径)mmであり、それが0.5mm以下であっ
た。また、石英ガラス層は各ルツボとも特性は同一と認
められる。
【0072】各ルツボで実際に単結晶を引き上げたとこ
ろ、実施例10のルツボでは延べ50時間引上げを行っ
ても真円度は2.3mm程度であったが、比較例11の
ルツボでは延べ50時間引上げを行ったところで真円度
が6mm程度にまで達し、引上げができなくなった。
【0073】また、比較例11で要した消費電力量を1
00として、その他の実施例および比較例の消費電力を
比較したところ、表7の通りとなり、実施例10および
比較例12ではルツボの熱伝達能力が従来に比べて優れ
ているため消費電力が少なくなっていることが確認でき
た。
【0074】表7の均熱度については同一のカーボンヒ
ータを用い、各ルツボを加熱し、ルツボ内のA,B,C
の3点の温度を放射温度計により確認した。なお、測温
した3点はルツボ側壁の鉛直線状に並びルツボ底部から
20mm(A)、ルツボ底部から150mm(B)、ル
ツボ底部から200mm(C)の高さのカーボンヒータ
に対応した点とし、C点が1460℃になったときの他
の2点の温度を測定し、3点のうち最大の値から最小の
値を引いたものである。表7からわかる通り、実施例1
0および比較例12ではヒータの熱が直接融液に達しに
くく、温度ムラを著しく低減できることが確認された。
【0075】表7の結晶成長速度は、実際にシリコン単
結晶を引き上げたとき、比較例11のルツボを用いた時
の結晶成長速度を1.0とした相対的な結晶成長速度で
ある。使用するルツボが異なる他は全て同一条件にして
引上げを行った。表7から明らかな通り、実施例10は
比較例11,12に比べて高速度で引き上げることがで
きた。
【0076】実施例11 ウレタンフォームに助剤10%以下を含むSi
泥しょうを塗布したものをルツボ型に固定して焼成した
ところ、直径450mm、高さ180mm、厚さ2m
m、気孔率35%の多孔質のSi層が形成され
た。この内面に石英粉の層を均一に形成し、アーク溶融
を行ったところ、内面は厚さ6mmの透明層を含む石英
ガラス層となり、全厚さは8mmとなった。
【0077】さらにSi層と石英ガラス層との間
にはSi、N、Oの三成分よりなる厚さ約100μmの
中間層が形成されていた。
【0078】比較例13 ルツボ状金型の内面に石英粉の層を均一に形成し、アー
ク溶融によって、外径346mm、高さ350mm、厚
さ6mmの石英ガラスルツボを形成した。この外面に、
CVD法によって厚さ2mmのSi層を形成し
た。その結果、全厚さは8mmとなった。
【0079】なお、Si、N、Oの3成分よりなる10
μm以上の厚さの中間層は形成されなかった。
【0080】次に、実施例11および比較例13で得ら
れたルツボについて、熱サイクル試験を行った。まず、
常温から1400℃まで1時間で加熱し、1400℃か
ら400℃まで1時間で冷却し、その後は同様に140
0℃と400℃の間を往復する試験を行った。
【0081】その結果、実施例11では10回繰り返し
ても剥離や亀裂は認められなかったが、比較例13では
3回でSi層に亀裂が認められた。
【0082】
【発明の効果】以上のように、本発明を実施することに
より、ルツボの寿命を向上できるだけでなく、消費電力
をおさえ、均熱性を向上させることにより、歩留まり向
上をはかることができる。
【0083】また、本発明によって、単結晶の結晶成長
速度を上げることもできる。さらに、Si層と石
英ガラス層との間にSi、N、Oの3成分よりなる中間
層が形成されることにより、加熱冷却時のSi
と石英ガラス層の間の応力を吸収することができ、ルツ
ボの破損を防ぐことができる。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【図2】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【図3】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【図4】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【図5】本発明の単結晶引上げ用ルツボの1例を示す断
面図。
【符号の説明】 1 Si層 2 石英ガラス層 ◆

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si3 4 層と石英ガラス層とからな
    り、Si3 4 層を石英ガラス層の外面の少なくとも一
    部に設け、かつSi3 4 層と石英ガラス層の厚さの比
    の値が1/9以上4以下であることを特徴とするシリコ
    ン単結晶引上げ用ルツボ。
  2. 【請求項2】 Si3 4 層とSiO2 層の間にSi、
    N、Oの3成分よりなる中間層が形成されていることを
    特徴とする請求項に記載のシリコン単結晶引上げ用ルツ
    ボ。
JP16749491A 1991-06-13 1991-06-13 シリコン単結晶引上げ用ルツボ Pending JPH0597571A (ja)

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