JPH059520Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、主として空調用及びカーエアコン・
コンデンサ用の熱交換器冷却フアン、さらには換
気フアン、ボイラ用フアン等に用いられる軸流フ
アンに関する。

〔従来の技術と考案が解決しようとする問題点〕

第５図は換気フアン、熱交換器冷却フアン、ボ
イラ用フアン等に用いられる従来の軸流フアンの
概略構成を示すもので、動翼１はフアンケーシン
グ２内において駆動用モータ３により回転駆動さ
れる。

そして、この軸流フアンの吐出側には熱交換器
４等の負荷が配置される。

なお、図中ａは気流を示している。

このような構成の軸流フアンでは、吐出側に熱
交換器４や風量調節弁等の負荷があるため、高負
荷（低流量、高圧）になり過ぎると、フアン吸込
み側における動翼先端部の流れが図中ｂの如く逆
流し、動翼先端部に激しい乱流ｃを生じながら再
流入するようになる。そしてさらに高負荷になる
と、その乱流が動翼１の内側まで波及し、失速状
態となり、吸込み風量、風圧等の性能が低下する
と同時に、騒音が大きくなり、消費電力も増大す
るという問題があつた。

また、負荷が小さくて失速状態にならない場合
には、フアンケーシング２の仕込み部において剥
離が生じ、その結果、乱流が生じることになる。
さらに、この剥離の影響でフアン吸込み面積が小
さくなり、風量が減少してやはりフアン性能の低
下を招くことになる。

そこで、この失速防止対策として、動翼１の外
径寸法とほぼ同径のサクシヨンリングを吸込み側
に設けることが考えられている。

しかしながら、このリングは、断面形状が単な
る長方形の環状体であつたため、大気から直接吸
気する換気フアン、ラジエタ冷却フアン、コンデ
ンサ冷却フアン等の用途では失速防止の効果が得
られないことが、実験により明らかにされた。

本考案の目的は、大気から直接吸気する用途の
場合でも、逆流がスムーズに行なわれるようにし
て、逆流が再流入するときに生ずる乱流を少なく
することができ、失速を防止し、かつ騒音の低下
を図るとともに、吸込み側の流れをスムーズにし
て風量を増加させることができる軸流フアンを提
供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決し目的を達成する為に、本考
案では次のような手段を講じた。

すなわち、フアンケーシング内に回転駆動され
る動翼を設け、この動翼の吐出側に負荷を配置し
てなる軸流フアンにおいて、前記フアンの吸込み
側に、前記動翼の外径と同径で、軸心線を含む平
面で切つた断面形状が、上流側を円弧状とし下流
側では径方向の幅を狭くした形状をなす円環状の
サクシヨンリングを設けると共に、前記動翼を囲
む前記フアンケーシングの吸込み部を、上記サク
シヨンリングの上流側の円弧状をなす部分の曲率
中心位置まで延在せしめた。

〔考案の効果〕

以上の構成では、フアンケーシングの吸込み部
がサクシヨンリングの上流側の円弧状をなす部分
の曲率中心位置まで延長され、しかもサクシヨン
リングの上流側には丸みがあるので、大気から直
接吸気する用途の場合でも、フアンケーシングと
サクシヨンリングとの間における逆流がスムーズ
になり、さらにサクシヨンリングの上流側曲面に
沿つて再流入するようになる。従つて、逆流が再
流入するときに生ずる乱流も少なくなり、乱流が
動翼の内側に波及することを防止でき、失速を防
止することができる。さらに、逆流がサクシヨン
リングの上流側曲面に沿つてスムーズに再流入す
ることにより、動翼の作動状態が安定になり、風
圧も上昇し、フアン騒音も低下することになる。
また、吸込み側の流れをスムーズになるので、吸
込み風量及び風圧を増加させることができ、その
結果、消費電力の節減も可能となる。

〔実施例〕

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す
ものである。

第１図及び第２図に示すように、動翼１はフア
ンケーシング２内において駆動用モータ３により
回転駆動される。図中４は、軸流フアンの吐出側
に配置される熱交換器等の負荷である。

また、動翼１の上流側には円環状のサクシヨン
リング５が設けられている。

このサクシヨンリング５の内径は動翼１の外径
とほぼ同径であり、その軸心線を含む平面で切つ
た断面形状は、第３図に示すように、上流側を半
円部５ａとし、下流側では径方向の幅を狭くした
（狭幅部５ｂ）流線形となつている。

さらに、動翼１を囲むフアンケーシング２の吸
込み部は、上記サクシヨンリング５の約半分を囲
む位置、例えばサクシヨンリング５の半円部５ａ
の曲率中心付近まで延長されており、そのサクシ
ヨンリング５を囲む部分は径を大きくし、大径部
と小径部を滑らかな曲面によつて連続させてい
る。

以上の構成では、気流ａが動翼１により吸込ま
れて熱交換器４へ送られる。このとき、吐出側に
おいて高負荷になると、フアン吸込み側における
動翼先端部の流れは図中ｂの如く逆流するように
なるが、フアンケーシング２の吸込み部がサクシ
ヨンリング５の約半分を囲む位置まで延長され、
しかもサクシヨンリング５の上流側は曲面になつ
ているので、フアンケーシング２をサクシヨンリ
ング５との間における逆流ｂがスムーズに行なわ
れるようになり、さらに、逆流ｂがサクシヨンリ
ング５の上流側曲面に沿つてスムーズに再流入す
るようになり、そのときに生ずる乱流が減少す
る。従つて風圧が上昇し、失速を防止することが
できるとともに、フアン騒音も低下する。試験結
果では、音圧レベルをSPLで1.0dB(A)まで低下さ
せることができた。また、吸込み側の流れをスム
ーズになるので、風量も増加し、性能が向上し、
消費電力の節減も図られることになる。

また、負荷が小さい状態では、サクシヨンリン
グ５の外周部の気流も剥離などを生じず、スムー
ズにフアンケーシング２内に流入するので、風量
を増加させることができる。

第４図はフアンケーシングの変形例を示すもの
で、軸心線を含む平面で切つた断面の形状を示し
ている。このフアンケーシング１２は、上流側を
前方に向つて拡開するテーパ状に形成しているも
のであり、このように形成されたフアンケーシン
グ１２を設けた場合にも、前記実施例と同様の効
果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す
もので、第１図は軸流フアンの縦断面図、第２図
は正面図、第３図はサクシヨンリングの断面図、
第４図はフアンケーシングの変形例を示す断面
図、第５図は従来例を示す縦断面図である。 １……動翼、２，１２……フアンケーシング、
５……サクシヨンリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フアンケーシング内に回転駆動される動翼を設
   け、この動翼の吐出側に負荷を配置してなる軸流
   フアンにおいて、 前記フアンの吸込み側に、前記動翼の外径と同
   径で、軸心線を含む平面で切つた断面形状が、上
   流側を円弧状とし下流側では径方向の幅を狭くし
   た形状をなす円環状のサクシヨンリングを設ける
   と共に、前記動翼を囲む前記フアンケーシングの
   吸込み部を、上記サクシヨンリングの上流側の円
   弧状をなす部分の曲率中心位置まで延在せしめた
   ことを特徴とする軸流フアン。