JPH0592572U - ピストンリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ２サイクルエンジンに使用されるピストンリ
ングの形状を改良することにより、エンジン出力の向上
を図る。 【構成】 ピストンリング１における互いに平行に切欠
した合口部２の端面１ｓの方向を、ピストンリング１の
軸線Ｓに対して、斜めに設定した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、２サイクルエンジンのピストンに装着されるピストンリングに関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ピストンリングは、ピストンに装着するために、エンドレスとせずに合口部を 設けている（たとえば、実開平２−２６７５０号公報参照）。この種のピストン リングの一例を図４に示す。

【０００３】 図４において、円環状のピストンリング１には、合口部２が形成されており、 ピストンリング１の端面１ｓは、互いに平行で、かつ、近接して対向している。 上記合口部２の端面１ｓは、一般に、ピストンリング１の軸線Ｓに対して平行に 設定されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、２サイクルエンジンでは、掃気ポート４を多数設け、この掃気ポー ト４の開口面積を可能な限り大きくして、出力の向上を図っているものがあり、 図示しないピストンの往復動に伴い、ピストンリング１がシリンダ５の複数の掃 気ポート４を横切る。そのため、合口部２の位置を隣接する２つの掃気ポート４ の中間に設定するとともに、ピストンリング１の端縁１ａから掃気ポート４まで の長さＤを十分に設けて、ピストンなどに製造上の誤差があっても、合口部２が 掃気ポート４を横切らないようにすることによって、ピストンリング１の端縁１ ａが掃気ポート４の上下端縁４ａに引っ掛からないようにしている。したがって 、図３（ｂ）のように、隣接する２つの掃気ポート４，４間の幅Ｗを、ピストン リング１の端縁１ａからの必要長さＤの２倍以上に設定しているので、図４の掃 気ポート４の幅Ｗｐを今１つ十分に大きくすることができない。その結果、掃気 ポート４の開口面積を十分に大きくすることができず、エンジンの出力を今一つ 向上できない原因となっている。

【０００５】 この考案は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、２サイクルエンジンに 使用されるピストンリングの形状を改良することにより、エンジンの出力の向上 を図ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案は、互いに平行で、かつ、近接して対向 する合口部の端面を、ピストンリングの軸線に対して、斜めに設定している。

【０００７】

【作用】

この考案の原理を、実施例を示す図３（ａ）を用いて説明する。 図３（ａ）に示すように、合口部２を斜めに切欠したような形状とすると、ピ ストンリング１の端縁１ａから掃気ポート４までの必要な長さＤにおいて、左端 部１Ｌと右端部１Ｒとでラップする部分が生じる。そのため、隣接する２つの掃 気ポート４間のシリンダ壁の幅Ｗを上記必要長さＤの２倍以下に設定することが でき、図３（ｂ）の従来の場合よりも小さくすることができる。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面にしたがって説明する。 図１において、ピストンリング１には、その端面１ｓが互いに平行で、かつ、 近接して対向する合口部２を設けている。この合口部２の端面１ｓは、ピストン リング１の軸線Ｓに対して、斜めに設定されており、たとえば、上記軸線Ｓに対 して、４５°傾いた方向に設定されている。この合口部２の位置は、図２のシリ ンダ５に形成した排気ポート６や掃気ポート４，４の間に設定される。上記掃気 ポート４は、エンジンの出力を向上させるために、可能な限り多く、かつ、開口 面積が広く形成されている。なお、合口部２と図示しないピストンには、回り止 めピン７が嵌まり込んでおり、ピストンリング１がピストンに対して回転しない ようになっている。なお、図１の斜視図では、上記回り止めピン７（図２）を省 略しており、図示していない。

【０００９】 上記構成においては、合口部２の端面１ｓをピストンリング１の軸線Ｓに対し て斜めに設定している。そのため、図３（ａ）のように、ピストンリング１の端 縁１ａから掃気ポート４までの必要長さＤにおいて、左端部１Ｌと右端部１Ｒと で、互いに重なる部分があるので、隣接する掃気ポート４，４間のシリンダ壁の 幅Ｗを２Ｄよりも小さくすることができる。つまり、掃気ポート４間のシリンダ 壁の幅Ｗを図３（ｂ）の従来の場合よりも小さくすることができる。したがって 、図１の掃気ポート４の幅Ｗｐを従来よりも大きくして、掃気ポート４の開口面 積を広くすることができるから、エンジンの出力を向上させることができる。

【００１０】 ところで、図３の合口部２における鈍角な端部１ｃは、従来よりも掃気ポート ４に近づく。しかし、図１のピストンリング１の径方向の幅Ｄ１が一般に２ｍｍ 〜２．５ｍｍ程度に設定されるので、十分な剛性があり、したがって、ピストン リング１が捩じれるおそれがないことから、図３の鋭角な端縁１ａがシリンダ５ の壁面に摺接していれば、上記鈍角な端部１ｃが掃気ポート４の上下端縁４ａに 引っ掛かるおそれはない。

【００１１】 ところで、合口部２に、図５のようなラビリンス２ａを形成して、合口部２を 重ねた場合にも、この考案と同様に、掃気ポート４（図１）を大きくすることが できる。しかし、このように合口部２にラビリンス２ａを形成すると、加工しに くい帯状の細い材料の端部に、３つの加工面２ｂが存在することになる。したが って、加工が困難となるうえ、加工工数が増加するので、コストアップを招く。 これに対し、図１のように、合口部２を斜めに形成した場合には、加工面が１つ であるから、加工が困難とならず、また、加工工数も増加しないので、殆どコス トアップしない。

【００１２】 なお、上記実施例では、図３のピストンリング１の２つの端面１ｓを互いに平 行に設定したが、この考案においては、両端面１ｓが互いにほぼ平行であればよ い。また、この実施例では合口部２の端面１ｓをピストンリング１の軸線Ｓ（図 １）に対して、４５°に設定したが、必ずしも４５°に設定する必要はない。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案によれば、ピストンリングにおける互いに平行 で、かつ、近接して対向する合口部の端面を、ピストンリングの軸線に対して斜 めに設定したので、掃気ポート間のシリンダ壁の幅を小さくして、掃気ポートの 開口面積を広くすることができるから、２サイクルエンジンの出力の向上を図る ことができる。また、合口部にラビリンスを形成する場合と異なり、加工が困難 となったりせず、また、ピストンリングが差程コストアップしない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示すピストンリングの概
略斜視図である。

【図２】シリンダの平面断面図である。

【図３】この考案の原理を説明するための、ピストンリ
ングの端部の一例を示す拡大正面図である。

【図４】従来の一般的なピストンリングの概略斜視図で
ある。

【図５】ラビリンスを設けたピストンリングの端部の拡
大正面図である。

【符号の説明】

１…ピストンリング、１ｓ…端面、２…合口部、Ｓ…軸
線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２サイクルエンジンのピストンに装着さ
   れるピストンリングにおいて、互いに平行で、かつ、近
   接して対向する合口部の端面を、ピストンリングの軸線
   に対して斜めに設定したことを特徴とするピストンリン
   グ。