JPH05911Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば電子写真複写機に用いられる
コロナ帯電器用の清掃具に関する。

（従来の技術） 例えば、電子写真複写機の感光体を一様に帯電
するために用いられるコロナ帯電器は、通常、タ
ングステンを用いたコロナワイヤが、箱状のシー
ルドケースに張設されている。コロナワイヤの一
端は引張りばねを介してシールドケースに係止さ
れており、コロナワイヤが所定の張力となるよう
にされている。該シールドケースは、コロナ放電
用の開口が、コロナワイヤに沿つて開設されてお
り、該開口が感光体に対向するように配設され、
コロナワイヤの高圧をかけてコロナ放電を行うこ
とにより、感光体を一様に帯電する。このよう
に、コロナ帯電器によりコロナ放電を行うと、周
囲の気層中に含まれるシラン（SiH₄）等のケイ
素（Si）系ガスが、コロナワイヤ表面に、酸化ケ
イ素（SiO₂）等のケイ素系化合物を生成する。
このケイ素系化合物は、コロナワイヤからのコロ
ナ放電能力を著しく低下させる。その結果、コロ
ナ帯電器による感光体の帯電が不均一になり、感
光体の表面電位にムラが生じ、鮮明な複写画像が
得られないおそれがある。このため、コロナワイ
ヤに付着するケイ素系化合物を定期的に取り除か
なければならない。ケイ素系化合物の除去は、例
えば特開昭60−90466号公報、特開昭60−143451
号公報に開示されているように、適当な清掃具
を、コロナワイヤに押圧し、コロナワイヤに沿つ
て摺動させることにより行われている。このよう
なコロナワイヤの清掃に用いられる清掃具はコロ
ナワイヤを平坦面にて挟持するようになつてい
る。このため、コロナワイヤを清掃するために、
清掃具をコロナワイヤに沿つて往復動させれば、
コロナワイヤには、清掃具の牽引方向とは反対方
向への摩擦抵抗が加わる。清掃具を等しい力にて
往復動させれば、引張りばねによりコロナワイヤ
が牽引されている方向へ清掃具を移動させる場合
と、その反対方向へ清掃具を移動させる場合に
は、コロナワイヤに等しい力が加わる。引張りば
ねによるコロナワイヤの牽引方向へ清掃具を移動
する場合には、引張りばねに負荷がかからない
が、反対方向へ清掃具を移動させる場合には、引
張りばねが牽引されるため、コロナワイヤの張力
が変化してしまう。コロナワイヤの張力が変化す
れば、コロナ放電量が変化し、感光体を一様に帯
電し得ない。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記従来の問題を解決するものであ
り、その目的は、コロナワイヤの張力を調整する
引つ張りばねが伸びることなく、該コロナワイヤ
をその全体にわたつて確実に清掃し得るコロナ帯
電器用清掃具を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案のコロナ帯電器用清掃具は、シールドケ
ース内にコロナワイヤが張設されており、該コロ
ナワイヤの一端が引張りばねに係止されたコロナ
帯電器用の清掃具であり、該コロナワイヤに沿つ
て延びるように該シールドケースに形成された長
孔と、該長孔に沿つて摺動可能にシールドケース
に取り付けられており、それぞれの摺動方向の各
端部が、コロナワイヤの一方の同じ側方にそれぞ
れ位置させるように屈曲された状態で中央部同士
が回動可能に連結されていて、しかも、前記引張
りばねの配置側とは反対側に位置する端部の一部
がコロナワイヤの各側方にそれぞれ位置された一
対の清掃部材挟持体と、前記長孔に沿つて摺動可
能にシールドケースに設けられており、摺動方向
の各端部に、それぞれの方向への摺動によつて各
清掃部材挟持体それぞれの端部間にそれぞれ進入
して各端部同士を離隔させる一対の係合操作部が
設けられた係合部材と、各清掃部材挟持体におけ
るコロナワイヤの各側方に位置された部分にそれ
ぞれ取り付けられており、各清掃部材挟持体の他
方の端部間に一方の係合操作部が進入することに
より、コロナワイヤを挟持する一対の清掃部材
と、各清掃部材挟持体がコロナワイヤに沿つて移
動し得るように、各清掃部材挟持体に連結され
て、前記長孔に沿つて移動可能に配置されたスラ
イド板と、を具備してなり、そのことにより上記
目的が達成される。

本考案のコロナ帯電器用清掃具では、コロナワ
イヤを清掃する場合には、スライド板が引張りば
ねによるコロナワイヤの引張り方向とは反対方向
へと移動されて、各清掃部材挟持体が引張りばね
から離れる方向へと移動される。これにより、各
清掃部材挟持体における引張りばねの配置側とは
反対側の端部間に係合部材の一方の係合操作部が
進入した状態になり、各清掃部材挟持体にて支持
された清掃部材がコロナワイヤを挟持しない状態
とする。このような状態で、さらにスライド板が
同方向へと移動されると、各清掃部材挟持体がコ
ロナワイヤに沿つて移動されて、引張りばねが係
止されたコロナワイヤの端部とは反対側の端部に
位置される。その後に、スライド板が反対方向へ
と移動されて、各清掃部材挟持体は、引張りばね
に接近する方向へと移動される。これにより、該
引張りばねの配置側に位置する各清掃部材挟持体
の端部間に他方の係合操作部が進入した状態にな
る。これにより、各清掃部材挟持体の引つ張りば
ね配置側とは反対側に位置する清掃部材同士が相
互に接近して、両清掃部材によつてコロナワイヤ
が挟持される。このような状態で、さらにスライ
ド板が引張りばねに接近する方向へ移動されるこ
とにより、各清掃部材がコロナワイヤを挟持した
状態で、該コロナワイヤに沿つて移動される。こ
れにより、コロナワイヤが清掃される。

（実施例） 以下に本考案を実施例について説明する。

本考案のコロナ帯電器用清掃具は、第１図〜第
３図に示すように、コロナ帯電器１０に取付けら
れる。

該コロナ帯電器１０は、例えば、下面が開放さ
れた長方体状のシールドケース１１と、該シール
ドケース１１内に張設されたコロナワイヤ１４と
を有する。

シールドケース１１の長手方向各端部には、中
空のエンドブロツク１２ａおよび１２ｂが嵌合さ
れている。一方のエンドブロツク１２ａ内には、
引張りばね１３の一端が係止されており、該引張
りばね１３の他端にコロナワイヤ１４の一端が係
止されている。コロナワイヤ１４は、該エンドブ
ロツク１２ａより延出して、シールドケース１１
内を長手方向に延び、他方のエンドブロツク１２
ｂ内に、例えばねじ等にて、伸縮することがない
ように係止されている。

シールドケース１１の上面には、コロナワイヤ
１４の上方域に沿つて、清掃用の長孔１１ａが開
設されている、該長孔１１ａは一方のエンドブロ
ツク１２ｂの上方を通つて、該シールドケース１
１の上面の側端縁に達している。

本考案の清掃具２０は、シールドケース１１に
摺動可能に取付けられる。該清掃具２０は、コロ
ナワイヤ１４に摺接し得る一対の清掃部材２１お
よび２１と、各清掃部材２１を支持する一対の清
掃部材挟持体２２および２２と、各挟持体２２を
コロナワイヤ１４に沿つて移動させるスライド板
２３と、各挟持体２２の端部間に係合し得る係合
部材２４とを有する。

シールドケース１１の上方に配設されたスライ
ド板２３は、先端に、下方へ突出する係合突部２
３ａと、長孔１１ａの各側縁上面に係止する係止
部２３ｂおよび２３ｂとが形成されており、係合
突部２３ａがシールドケース１１上面の長孔１１
ａに摺動可能に係合している。スライド板２３
は、先端の係合突部２３ａから所定長にわたつて
係合凹溝２３ｃが形成されている。

該係合突部２３ａの下面には、一対の清掃部材
挟持体２２および２２が取付けられている。各挟
持体２２は、コロナワイヤ１４に沿つて配設され
ており、各端部がコロナワイヤ１４の一方の側方
に位置すべく中央部が屈曲されている。そして、
各挟持体２２の中央部の屈曲部が係合突部２３ａ
に、上下に重ね合わされた状態で回動可能に取付
けられている。従つて、各挟持体２２の一方の端
部同士を相互に接近（または離隔）させると、他
方の端部同士は相互に離隔（または接近）する。
各挟持体２２の対向する側面は、相互に係合する
ように切削されている。

各挟持体２２の引張りばね１３配設側端部は、
下方に延出しており、その下端部はコロナワイヤ
１４の各側方に位置し、該下端部に清掃部材２１
および２１がそれぞれ取付けられている。各清掃
部材２１は、第４図に示すように、各挟持体２２
の引張りばね１３配設側の各端部が相互に離隔す
ることにより、コロナワイヤ１４に当接し、両清
掃部材２１および２１にてコロナワイヤ１４が挟
持される。

シールドケース１１内のコロナワイヤ１４の上
方には、係合部材２４が配設されている。該係合
部材２４は、コロナワイヤ１４の上方にて該コロ
ナワイヤ１４とは平行に配設された連結杆２４ａ
と、該連結杆２４ａの各端部にそれぞれ取付けら
れた係合操作部２４ｂおよび２４ｃと、各係合操
作部２４ｂおよび２４ｃからそれぞれ上方に延出
した係止部２４ｄおよび２４ｅとを有する。

各係止部２４ｄおよび２４ｅはシールドケース
１１上面に形成された長孔１１ａに摺動可能に係
止されており、係合操作部２４ｂおよび２４ｃ、
そして連結杆２４ａは、各係止部２４ｄおよび２
４ｅにて吊持されている。引張りばね１３配設側
に位置する係止部２４ｄは、スライド板２３の係
合凹溝２３ｂ内に位置している。

係合操作部２４ｂおよび２４ｃは、連結杆２４
ａ方向に向かつて、コロナワイヤ１４と直交する
方向の長さが短くなる、平面視台形状をしてい
る。係合操作部２４ｂは、挟持体２２の一方の端
部間に係合して、該端部の間隔を広げる。その結
果、挟持体２２の他方の端部間隔は縮小する。も
う一つの係合操作部２４ｃも同様の作用を有す
る。引張りばね１３配設側に位置する係合操作部
２４ｂが、挟持体２２の端部間に係合すれば、挟
持体２２の他方の端部に配設された各清掃部材２
１および２１が相互に接近して、コロナワイヤ１
４を挟持する。他方の係合操作部２４ｃが各挟持
体２２の端部間に係合すれば、清掃部材２１およ
び２１が相互に離隔し、コロナワイヤ１４から離
隔する。

このような構成のコロナ帯電器１０によりコロ
ナ放電を行う場合には、清掃具２０のスライド板
２３が引張りばね配設側とは反対方向に牽引され
る。スライド板２３の牽引により、各挟持体２２
は引張りばね２３の牽引方向とは反対方向へ移動
し、係合部材２４における引張りばね１３配設側
とは反対方向に配設された係合操作部２４ｃに各
挟持体２２の移動方向側端部が係合する。これに
より、各挟持体２２の端部は相互に離隔し、その
各端部に取付けられた清掃部材２１がコロナワイ
ヤ１４により離隔する。このような状態でスライ
ド板２３はさらに牽引され、各清掃部材２１は、
第３図に示すように、コロナワイヤ１４に当接す
ることなく、移動する。そして、各挟持体２２が
コロナワイヤ１４の引張りばね係止側の端部とは
反対側端部に位置される。このような状態でコロ
ナワイヤ１４に電圧が印加されたコロナ放電が行
われる。

これに対して、コロナワイヤを清掃する場合に
は、スライド板２３を引張りばね１３配設側に向
かつて押圧する。これにより、各挟持体２２が引
張りばね１３の牽引方向へ移動し、その移動方向
側端部間に、係合操作部２４ｂが係合する。該係
合操作部２４ｂの係合により挟持体２２の引張り
ばね１３配設側の端部が相互に離隔し、他方の端
部同士が相互に接近する。これにより、相互に接
近する端部に取付けられた清掃部材２１および２
１が、第４図に示すように、コロナワイヤ１４に
当接し、両清掃部材２１にてコロナワイヤ１４は
挟持される。

このような状態で、スライド板２３はさらに引
張りばね１３の牽引方向へ移動され、両清掃部材
２１および２１はコロナワイヤ１４を挟持しつ
つ、該コロナワイヤ１４に摺接し、コロナワイヤ
に付着するケイ素化合物等を除去する。

スライド板２３がコロナワイヤ１４の引張りば
ね配設側のエンドブロツク１２ａに当接するまで
移動されると、反対方向に牽引され、前述したよ
うに、清掃部材２１がコロナワイヤ１４に当接す
ることなく、清掃具２０が反対側にまで移動さ
れ、コロナ放電に備えられる。

（考案の効果） 本考案の清掃具は、このように、引張りばねに
牽引されたコロナワイヤを清掃するに際して、そ
の牽引方向への移動時にのみ清掃部材がコロナワ
イヤに摺接し、反対方向への移動時には清掃部材
がコロナワイヤに当接させないようにしているた
め、引張りばねによるコロナワイヤの牽引方向に
力が加わらず、コロナワイヤが延びるおそれ、お
よび切断されるおそれもない。コロナワイヤは、
清掃部材によつて挟持された状態で移動するため
に、コロナワイヤは確実に清掃される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の清掃具を装着したコロナ帯電
器の一例を示す斜視図、第２図はその縦断面図、
第３図は第２図の−線における断面図、第４
図はその動作説明図である。 １０……コロナ帯電器、１１……シールドケー
ス、１３……引張りばね、１４……コロナワイ
ヤ、２０……清掃具、２１……清掃部材、２２…
…挟持体、２３……スライド板、２４……係合部
材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シールドケース内にコロナワイヤが張設されて
   おり、該コロナワイヤの一端が引張りばねに係止
   されたコロナ帯電器用の清掃具であり、 該コロナワイヤに沿つて延びるように該シール
   ドケースに形成された長孔と、 該長孔に沿つて摺動可能にシールドケースに取
   り付けられており、それぞれの摺動方向の各端部
   が、コロナワイヤの一方の同じ側方にそれぞれ位
   置させるように屈曲された状態で中央部同士が回
   動可能に連結されていて、しかも、前記引張りば
   ねの配置側とは反対側に位置する端部の一部がコ
   ロナワイヤの各側方にそれぞれ位置された一対の
   清掃部材挟持体と、 前記長孔に沿つて摺動可能にシールドケースに
   設けられており、摺動方向の各端部に、それぞれ
   の方向への摺動によつて各清掃部材挟持体それぞ
   れの端部間にそれぞれ進入して各端部同士を離隔
   させる一対の係合操作部が設けられた係合部材
   と、 各清掃部材挟持体におけるコロナワイヤの各側
   方に位置された部分にそれぞれ取り付けられてお
   り、各清掃部材挟持体の他方の端部間に一方の係
   合操作部が進入することにより、コロナワイヤを
   挟持する一対の清掃部材と、 各清掃部材挟持体がコロナワイヤに沿つて移動
   し得るように、各清掃部材挟持体に連結されて、
   前記長孔に沿つて移動可能に配置されたスライド
   板と、 を具備するコロナ帯電器用清掃具。