JPH0589881U - オイルポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポンプ全体の低廉化及びコンパクト化並びに
軽量化を図り、その組立て・分解作業を容易にする。 【構成】 ポンプハウジング２１のカバー挿入穴３３内
にポンプカバー２２を挿入し、ポンプハウジング２１と
ポンプカバー２２との間にポンプ室２９を形成する。上
記カバー挿入穴３３の内周面にスナップリング４４を装
着し、このスナップリング４４とポンプカバー２２との
間に皿バネ４８を圧入して、その弾発力によりポンプカ
バー２２を上記カバー挿入穴３３の終端面３６に圧接さ
せる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両の変速機等に設けられるオイルポンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は、従来のオイルポンプ（図例ではトロコイドポンプ）の一例を示したも のである。

【０００３】 図示のオイルポンプ９０は、ポンプハウジング９１及びポンプカバー９２を備 えている。ポンプハウジング９１には、大径のカバー挿入穴１００と小径のロー タ収納穴１０１とが連続して形成されている。ロータ収納穴１０１内には、ポン プハウジング９１に回転可能に保持されたアウターロータ９４と、その内側に噛 合されるインナーロータ９３とが収容され、両ロータ９４，９３の間にポンプ室 １０２が形成されている。

【０００４】 ポンプカバー９２は、上記カバー挿入穴１００内に挿入されており、このカバ ー挿入穴１００と上記ロータ収納穴１０１との境界面であるカバー挿入穴１００ の終端面１００ａに圧接した状態で固定されている。具体的には、ポンプハウジ ング９１側に複数個のねじ穴９１ａが設けられ、ポンプカバー９２において各ね じ穴９１ａに対応する位置にボルト通し穴９２ａが貫設されており、各ボルト通 し穴９２ａにボルト９５を通して上記ねじ穴９１ａにねじ込むことにより、ポン プカバー９２がカバー挿入穴終端面１００ａ側に締め付け固定されている。

【０００５】 このオイルポンプ９０は、駆動軸９７をもつ機器（図例では変速機）９６に装 着されており、詳しくは、上記駆動軸９７が上記ポンプカバー９２を貫通して上 記インナーロータ９３に連結された状態で、ポンプハウジング９１が機器９６の 側面にボルト９８で固定されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記オイルポンプ９０では、ポンプカバー９２をポンプハウジング９１に固定 するのに複数本のボルト９５を要し、しかも、それぞれのボルト９５をねじ込む ためのねじ穴９１ａを形成する作業を要するため、その分コスト高となる。また 、複数本のボルト９５を用いるためにボルトの取付用スペースが必要であり、コ ンパクト化及び軽量化が難しい。さらに、ポンプ組立て時及び分解時において、 それぞれのボルト９５の締め付け作業及び取外し作業が面倒である。

【０００７】 本考案は、このような事情に鑑み、ポンプ全体の低廉化及びコンパクト化並び に軽量化が可能で、かつ組立・分解作業が容易なオイルポンプを提供することを 目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、一方向に開口するカバー挿入穴をもつポンプハウジングと、上記カ バー挿入穴内に挿入され、このカバー挿入穴の終端面と圧接した状態でこのポン プハウジングとの間にポンプ室を形成するポンプカバーとを備えたオイルポンプ において、上記カバー挿入穴の内周面にこのカバー挿入穴の内周面から内方に突 出する状態で取付けられたバネ係止部材と、このバネ係止部材と上記ポンプカバ ーとの間に圧入されるバネ部材とを備え、このバネ部材の弾発力により上記ポン プカバーをカバー挿入穴の終端面に圧接させたものである（請求項１）。

【０００９】 また本発明は、上記ポンプハウジングにおいて上記カバー挿入穴の開口をもつ 側の面がポンプ駆動軸をもつ駆動装置に固定されるオイルポンプにおいて、上記 駆動装置において上記ポンプカバーと対向する面と上記ポンプカバーとの間にバ ネ部材を圧入し、このバネ部材の弾発力により上記ポンプカバーをカバー挿入穴 の終端面に圧接させたものである（請求項２）。

【００１０】

【作用】

請求項１記載のオイルポンプによれば、例えば次の要領でポンプの組立て及び 分解を行うことができる。

【００１１】 まず組立てに際しては、ポンプハウジングのカバー挿入穴内にポンプカバーを 挿入し、カバー挿入穴の終端面に当てることにより、このポンプカバーとポンプ ハウジングとの間にポンプ室を形成する。次いで、カバー挿入穴内にバネ部材を 挿入し、さらに、このバネ部材をポンプカバー側に押付けるようにしながらバネ 係止部材を挿入し、このバネ係止部材をカバー挿入穴内周面の所定位置に固定す ればよい。これにより、上記バネ部材はポンプカバーとバネ係止部材との間に圧 入された状態となり、その弾発力によってポンプカバーが上記カバー挿入穴の終 端面に圧接する。分解に際しては、上記バネ係止部材をカバー挿入穴の内周面か ら外すだけで、上記バネ部材及びポンプポンプカバーをカバー挿入穴内から取り 出すことができる。

【００１２】 請求項２記載のオイルポンプでは、上記と同様にカバー挿入穴内にポンプカバ ー及びバネ部材を挿入した後、ポンプハウジングを駆動装置に装着するだけで、 この駆動装置において上記ポンプカバーに対向する面とポンプカバーとの間にバ ネ部材が圧入され、ポンプカバーを固定する状態になる。逆に、ポンプハウジン グを駆動装置から取り外せば、そのまま上記バネ部材及びポンプカバーをカバー 挿入穴から取出すことができる。

【００１３】

【実施例】

本考案の第１実施例を図１，２に基づいて説明する。

【００１４】 図１において、１０は車両の変速機（駆動装置）であり、この変速機１０に本 考案のオイルポンプ２０が装着されている。上記変速機１０の本体には、軸受１ ２を介して駆動軸（ポンプ駆動軸）１４が回転可能に支持され、この駆動軸１４ の中心部に異形断面をもつ駆動連結軸（ポンプ駆動軸）１６が固定されており、 この駆動連結軸１６が変速機本体の外側に突出している。

【００１５】 オイルポンプ２０は、ポンプハウジング２１と、ポンプカバー２２とを備えて いる。ポンプハウジング２１の周縁部には、図２に示すような吸入側接続口２４ 及び図略の吐出側接続口が設けられ、この吐出側接続口は、図略の油路を介して ポンプ中央の吐出ポート２８に、また前記吸入側接続口２４は吸入ポート２６に それぞれ連通されている。

【００１６】 ポンプハウジング２１の中央部には、上記変速機１０に装着される側の面（図 １では右側面）から順に、大径のカバー挿入穴３３及び小径のロータ収納穴３０ が設けられている。

【００１７】 ロータ収納穴３０内には、互いに噛合されるトロコイド状のインナーロータ３ １及びアウターロータ３２が挿入されている。インナーロータ３１の中央には、 上記駆動連結軸１６が嵌入される異形断面状の貫通穴３４が設けられ、アウター ロータ３２はロータ収納穴３０内に回転可能に収容されている。そして、両ロー タ３１，３２の間に、上記ポンプカバー２２とポンプハウジング２１とで挾まれ たポンプ室２９が形成されており、このポンプ室２９に上記吸入ポート２６及び 吐出ポート２８が臨んでいる。

【００１８】 図２に示すように、上記インナーロータ３１及び駆動連結軸１６の中心軸Ｘ１ と、上記アウターロータ３１及びロータ収納穴３０の中心軸Ｘ２は互いに偏心し ており、軸Ｘ１回りのインナーロータ３２の回転に伴ってアウターロータ３１が 同方向に軸Ｘ２を中心として回転するようになっている。

【００１９】 ポンプハウジング２１の周縁部には複数のボルト通し穴３８が貫設され、この ボルト通し穴３８にボルト４０を通した状態でこのボルト４０を変速機１０側面 に形成されたねじ穴に捩じ込むことにより、ポンプハウジング２１が変速機１０ に固定されている。

【００２０】 上記ポンプカバー２２は、その周縁部が上記ロータ収納穴３０とカバー挿入穴 ３３との境界面すなわちカバー挿入穴３３の終端面３６に当接する当接状態で、 次のような構造によりポンプハウジング２１に固定されている。

【００２１】 上記カバー挿入穴３３の内周面において、上記当接状態にあるポンプカバー２ ２の周縁部よりも開口側（図１では右側）の位置には、全周にわたって延びる取 付溝４２が形成されている。そして、この取付溝４２にＣ形のスナップリング（ バネ係止部材）４４が嵌着されており、このスナップリング４４がカバー挿入穴 ３３の内周面から内方に突出した状態となっている。

【００２２】 一方、ポンプカバー２２の中央部には上記カバー挿入穴３３の開口側に突出す るボス部４５が形成され、このボス部４５の中央に、上記駆動連結軸１６が相対 回転可能な状態で挿通される円形状の貫通穴３５が形成されており、上記ボス部 ４５の周囲にリング状のスペーサ４６が装着されている。そして、このスペーサ ４６と上記スナップリング４４との間に皿バネ４８が圧入され、この皿バネ４８ の弾発力により、ポンプカバー２２がカバー挿入穴終端面３６に圧接した状態で 固定されている。ここで、皿バネ４８のバネ定数は、その弾発力により、ポンプ 室２９の内圧に抗してポンプカバー２２とカバー挿入穴終端面３６との圧接状態 を保持できる程度に大きく設定されている。

【００２３】 また、上記カバー挿入穴終端面３６上の所定位置には、カバー挿入穴３３と同 方向に開口するピン挿入穴５１が設けられるとともに、ポンプカバー２２の周縁 部において上記ピン挿入穴５１と対応する位置にこれとほぼ同径のピン挿入穴５ ２が軸方向に貫設されており、両ピン挿入穴５１，５２内にピン５４が挿入され ることにより、ポンプハウジング２１に対するポンプカバー２２の相対回転が規 制されている。

【００２４】 このようなオイルポンプ２０によれば、次の要領でポンプ組立て及び分解を行 うことができる。

【００２５】 (a) ポンプハウジング２１のロータ収納穴３０内にインナーロータ３１及びア ウターロータ３２を収納した状態で、ポンプカバー２２をカバー挿入穴３３内に 挿入し、その終端面３６に当接させる。

【００２６】 (b) スペーサ４６をカバー挿入穴３３内に挿入してポンプカバー２２のボス部 ４５の周囲に嵌め、次いで、皿バネ４８を同様にボス部４５の周囲に嵌める。

【００２７】 (c) スナップリング４４を強制的に縮径させた状態でカバー挿入穴３３内に挿 入し、このスナップリング４４で皿バネ４８をポンプカバー２２側に押し込む。

【００２８】 (d) スナップリング４４が取付溝４２の形成位置に至った時点でスナップリン グ４４を解放し、拡径させることにより、このスナップリング４４の外周縁部を 取付溝４２内に嵌め込む。これにより、皿バネ４８はスペーサ４６とスナップリ ング４４との間に圧入され、その弾発力によってポンプカバー２２がポンプハウ ジング２１に固定された状態となる。

【００２９】 (e) ポンプハウジング２１及びポンプカバー２２のピン挿入穴５１，５２にピ ン５４を挿入する。

【００３０】 (f) 変速機１０の駆動連結軸１６をポンプカバー２２の貫通穴３５に挿通し、 かつ、インナーロータ３１の貫通穴３４に嵌入しながら、ポンプハウジング２１ の周縁部をボルト４０で変速機１０に固定する。この状態で駆動軸１４及び駆動 連結軸１６が回転することにより、駆動連結軸１６に連結されたインナーロータ ３１が図２矢印方向に回転し、このインナーロータ３１に噛合されたアウターロ ータ３２が同方向に回転する。これにより、吸入側接続口２４から吸入ポート２ ６を通じてポンプ室２９内に吸入されたオイルが、吐出ポート２８から吐出され る。

【００３１】 (g) オイルポンプ２０を分解する際には、ポンプハウジング２１を変速機１０ から取外し、スナップリング４４を縮径させて取付溝４２から抜き取ればよい。 この状態で、皿バネ４８、スペーサ４６、及びポンプカバー２２をカバー挿入穴 ３３から取り出すことができる。

【００３２】 以上のように、このオイルポンプ２０によれば、カバー挿入穴３３内に皿バネ ４８及びスナップリング４４を挿入し、このスナップリング４４を取付溝４２に 嵌めるだけの簡単な操作でポンプカバー２２を固定することができ、その逆の操 作でポンプを分解することができ、図４に示すようにボルトを用いてポンプカバ ーを固定するものに比べ、ポンプ組立て及び分解作業が容易になる。また、ボル トの取付スペースを設ける必要がなくなり、コンパクト化が可能となる。しかも 、比較的重量のある複数本のボルトを不要にし、これに代えて軽量の皿バネ４８ やスナップリング４４を用いることにより、ポンプ全体の軽量化を図るとともに 、上記ボルトがねじ込まれるねじ穴の形成作業を不要にすることにより、低コス ト化も果たすことができる。

【００３３】 次に、第２実施例を図３に示す。ここでは、上記スナップリング４４及び皿バ ネ４８に代え、ポンプカバー２２と、変速機１０に組み付けられた軸受１２にお いてポンプカバー２２に対向する面（図では左側面）との間にコイルバネ５６が 圧入されており、その弾発力によってポンプカバー２２がカバー挿入穴終端面３ ６に圧接している。

【００３４】 このようなオイルポンプ２０においても、ポンプカバー２２を固定するための ボルトを不要にすることにより、ポンプ全体の低廉化及びコンパクト化並びに軽 量化を図ることができる。しかも、カバー挿入穴３３内にポンプカバー２２及び コイルバネ５６を順に挿入してポンプハウジング２１を変速機１０に装着するだ けの作業で、ポンプカバー２２をポンプハウジング２１に固定し、逆に、ポンプ ハウジング２１を変速機１０から取り外すだけで、カバー挿入穴３３内から上記 コイルバネ５６及びポンプカバー２２を取出すことが可能になり、組立て・分解 作業が容易になる。

【００３５】 なお、本考案はこのような実施例に限定されるものでなく、例として次のよう な態様をとることも可能である。

【００３６】 (1) 上記各実施例では、内接型トロコイドポンプを示したが、本考案はこれに 限らず、ポンプハウジングとポンプカバーの間にポンプ室が形成される各種オイ ルポンプに適用することが可能である。

【００３７】 (2) 上記実施例では、オイルポンプが変速機１０に装着されているものを示し たが、本考案のオイルポンプは必ずしも機器に装着されていなくてもよく、また 、装着される場合にも機器の種類は問わない。

【００３８】 (3) 本考案において、ポンプカバーを固定するためのバネ部材は、その弾発力 によってポンプカバーをカバー挿入穴終端面に押付けるものであればよく、上記 皿バネ４８やコイルバネ５６の他、比較的バネ定数の高い種々のバネ部材を用い ることが可能である。

【００３９】

【考案の効果】

以上のように本考案は、カバー挿入穴に着脱可能に固定したバネ係止部材、あ るいはポンプハウジングを装着する駆動装置の側面と、ポンプカバーとの間にバ ネ部材を圧入することにより、その弾発力でポンプカバーをポンプハウジングに 固定するようにしたものであるので、従来のようにポンプカバーをボルトで固定 するものに比べ、ポンプ全体の低廉化及びコンパクト化並びに軽量化を図るとと もに、ポンプの組立て及び分解作業を容易にすることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図２】本考案の第１実施例におけるオイルポンプにお
いてポンプカバー等を取り除いた状態を示す正面図であ
る。

【図３】本考案の第２実施例におけるオイルポンプの断
面側面図である。

【図４】従来のオイルポンプの断面側面図である。

【符号の説明】

１０ 変速機（駆動装置） １４ 駆動軸 １６ 駆動連結軸（駆動軸） ２０ オイルポンプ ２１ ポンプハウジング ２２ ポンプカバー ３３ カバー挿入穴 ４４ スナップリング（バネ係止部材） ４８ 皿バネ（バネ部材） ５６ コイルバネ（バネ部材）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方向に開口するカバー挿入穴をもつポ
   ンプハウジングと、上記カバー挿入穴内に挿入され、こ
   のカバー挿入穴の終端面と圧接した状態でこのポンプハ
   ウジングとの間にポンプ室を形成するポンプカバーとを
   備えたオイルポンプにおいて、上記カバー挿入穴の内周
   面にこのカバー挿入穴の内周面から内方に突出する状態
   で取付けられたバネ係止部材と、このバネ係止部材と上
   記ポンプカバーとの間に圧入されるバネ部材とを備え、
   このバネ部材の弾発力により上記ポンプカバーをカバー
   挿入穴の終端面に圧接させたことを特徴とするオイルポ
   ンプ。
2. 【請求項２】 一方向に開口するカバー挿入穴をもつポ
   ンプハウジングと、上記カバー挿入穴内に挿入され、こ
   のカバー挿入穴の終端面と圧接した状態でこのポンプハ
   ウジングとの間にポンプ室を形成するポンプカバーとを
   備え、上記ポンプハウジングにおいて上記カバー挿入穴
   の開口をもつ側の面がポンプ駆動軸をもつ駆動装置に固
   定されるオイルポンプにおいて、上記駆動装置において
   上記ポンプカバーと対向する面と上記ポンプカバーとの
   間にバネ部材を圧入し、このバネ部材の弾発力により上
   記ポンプカバーをカバー挿入穴の終端面に圧接させたこ
   とを特徴とするオイルポンプ。