JPH058805Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、長いも等の根菜類掘取用の溝掘装置
についての改良に関する。

圃場に栽培されている長いも等の根菜類を収穫
するのに、走行する機体に無端鎖式の掘取機を装
架した溝掘装置を用いて、その根菜類の栽培条列
の側方の隣接位置に深い溝を掘削成形しておい
て、その溝内に根菜類を掘り出す手段が行なわれ
ている。

［従来の技術］ この根菜類の掘取用に用いられる溝掘装置は、
通常、第１図に示している如く、トラクタ等の駆
動走行する機体Ｔまたは、被牽引式の車体に、無
端鎖式の掘削装置ａを装架して構成するが、掘取
用の溝を出来るだけ根菜類の栽培条列に近接した
位置に掘削成形していくように機体Ｔを運転走行
させていく際に、根菜類の栽培条列の蛇行、また
は機体Ｔの蛇行により、掘削装置ａが収穫すべき
根菜類の根に干渉するようになるのを避けるた
め、掘削装置ａのフレームｆを、同第１図に示す
如く、機体Ｔの取付機枠ｔに対し左右に変位自在
に装架するとともに、その掘削装置ａを機体Ｔに
対し左右に変位作動せしめるための油圧シリンダ
などからなる左右変位作動装置ｂを連繋し、か
つ、その左右変位作動装置ｂの作動を制御する操
作レバーｃを掘削装置ａの後部上方に設けておい
て、溝を掘削する作業を行なうときに、機体Ｔを
運転するオペレーターの外に、別の作業員が掘削
装置ａの後方を走行追従していき、その作業員が
随時操作レバーｃを操作して、掘削装置ａを機体
Ｔに対し左右に変位させ、掘削装置ａが根菜類の
栽培条列に干渉することなくその栽培条列に極く
近接した位置に溝を掘削していくように掘削装置
ａの作用位置を修正する手段が装備されるように
なつてきている。

また、根菜類の掘取用の溝掘装置Ａは、それに
より掘削成形した溝の中に作業員が入り込んで、
根菜類を溝内に掘り出すようにすることから、こ
の溝の中に入つて掘削装置ａに追従していく作業
員に、掘削装置ａにより掘り出す土がかぶつてく
るのを防ぐためと、溝内に入つた作業員の歩行を
容易にするよう構底をきれいに浚うようにするた
め、掘削装置ａの掘削チエン１の後方に、同第１
図にて鎖線で示している如く、掘削装置ａで掘削
成形していく溝内の作業員の前面を遮閉するよ
う、その溝を左右に横切つて上下に長く連続する
板状で、下端縁がその溝の底面に摺接する安全カ
バーを兼ねた溝さらい器ｄを配位してフレームｆ
に支架せしめておく場合がある。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、このように掘削装置ａの後方に、安
全カバーを兼ねた溝さらい器ｄを配設する手段
を、前述の掘削装置ａのフレームｆを機体Ｔの取
付機枠ｔに左右に変位自在に支架し、左右変位作
動装置ｂにより機体Ｔに対する左右の変位作動が
自在に行なわれるようにする手段を施した溝掘装
置Ａに適用すると、左右変位作動装置ｂの作動に
よる掘削装置ａの変位作動が効かなくなる別の問
題がでてくる。

即ち、溝掘装置Ａの機体Ｔの進行蛇行、または
根菜類の栽培条列ｙの蛇行により、掘削装置ａで
掘削成形していく溝ｗが栽培条列ｙに近寄り過ぎ
てきたことに対応させて、掘削装置ａの掘削位置
を栽培条列ｙから引き離すよう、左右変位作動装
置ｂを作動させて掘削装置ａを機体Ｔに対し左右
方向に変位させたときに、掘削装置ａによつて既
に掘削されている溝ｗ内に位置している溝さらい
器ｄの一方の側縁がその溝ｗの壁面に当接した状
態で、左右変位作動装置ｂが作動するようになる
ことで、その溝Ｗの壁面に当接している溝さらい
器ｄの側縁を支点として左右変位作動装置ｂが機
体Ｔを、逆の方向に振り出すようになつて、掘削
装置ａの位置の修正が効かないようになつてく
る。

本考案は、この問題を解消するためになされた
ものであつて、機体Ｔに装架した掘削装置ａの後
方に安全カバーを兼ねる溝さらい器ｄを装設し
て、溝ｗ内に位置する作業員を、該掘削装置ａで
掘り出されて後方にはね出される掘削土から遮閉
するとともに、溝ｗの底を作業がし易いよう浚つ
ていくようにしておきながら、この安全カバーを
兼ねた溝さらい器ｄが、左右変位作動装置ｂによ
り掘削装置ａを機体Ｔに対し左右に変位せしめて
根菜類の条列に対する掘削装置ａの位置の修正を
行なうときに、機体Ｔを逆に左右に振るようにす
ることがないようにする新たな手段を提供するこ
とを目的とする。

［課題を解決するための手段］ そして、本考案においては、この目的を達成す
るための手段として、自在に走行する機体に、掘
削装置を装備せるフレームを、左右変位作動装置
を介して、左右に変位自在に支架せしめ、そのフ
レームには、前記掘削装置の掘削チエンの後方位
置に、該掘削チエンの略沿う上下に長い支持機枠
を装架し、その支持機枠の前面側に、前記掘削装
置により掘削成形する溝の底を浚う溝さらい器
を、前記溝内に入る作業員を前述掘削装置から遮
閉するついたて状に形成して配位し、そのついた
て状の溝さらい器を前記支持機枠に左右に移動自
在に支架し、その溝さらい器と支持機枠との間に
その溝さらい器を支持機枠に対する所定位置に復
元移動せしめるバネを介装したことを特徴とする
根菜類掘取用の溝掘装置を提起するものである。

［実施例］ 次に実施例を図面に従い詳述する。なお図面符
号は同効の構成部材については従来手段と同一の
符号を用いるものとする。

第３図は本発明を実施せる根菜類掘取用の溝掘
装置の使用状態における斜視図で、同図におい
て、Ｔは自在に走行する機体、ａは掘削装置、ｆ
は該掘削装置ａのフレーム、ｂは左右変位作動装
置、ｅはフレームｆに設けた支持機枠、ｄは安全
カバーを兼ねる溝さらい器を示す。

自在に走行する機体Ｔは、この例では通常のト
ラクタであり、後輪２０と車体の後部に設けたロ
アリンク２１，２１とそれに設けた取付機枠２２
だけを示している。

掘削装置ａは、第４図に示す如くフレームｆ
に、前記機体たるトラクタＴのPTO軸とユニバ
ーサルジヨイント軸を介して連繋する入力軸３０
およびそれに入力される回転動力により駆動され
る伝導機構を収蔵した伝導機筺３１ならびに前記
伝導機構に伝導して回転する駆動スプロケツト３
２により駆動される掘削チエン１等を装架して構
成される従来公知の無端鎖式の掘削装置である。

そして該掘削装置ａは、それのフレームｆの前
端側に設けたマスト３４の上端部を、トラクタＴ
の車体の後端側に設けたトツプリンク２３に連結
支持させ、フレームｆの前端側の下端部を、トラ
クタＴの車体の後端側に設けたロアリンク２１，
２１に装架せる取付機枠２２に、左右変位作動装
置ｂを介して支架せしめ、その左右変位作動装置
ｂの作動で機体たるトラクタＴに対し自在に左右
に変動するようにしてある。

前記左右変動作動装置ｂはこの実施例では油圧
シリンダ装置であり、トラクタＴの車体に設けら
れる油圧装置の油圧回路に接続していて、その油
圧回路の途中に設けられる制御弁装置３５を操作
レバーｃの操作により制御することで、左右方向
に伸縮作動し、その作動で掘削装置ａを左右に変
位さすよう作用する。

支持機枠ｅは、上下に長い骨枠状に形成され
て、掘削装置ａのフレームｆの後端側で、前述の
掘削チエン１の後面の後方に位置する部位に、そ
の掘削チエン１に略沿う姿勢として該フレームｆ
に一体的に止着してある。そして、該支持機枠ｅ
には、左右に透通するガイド穴４０…が、上下に
適宜の間隔をおいて複数個並設してある。

溝さらい器ｄは、第３図に示している如く、掘
削装置ａで掘削成形していく溝ｗの巾に対応する
巾をもつて上下に長く連続するついたて状に形成
し、それの左右の巾方向が前記溝ｗを巾方向に横
切る姿勢として前述の支持機枠ｅの前面側に配位
し、その支持機枠ｅに支架することで、溝ｗ内に
入る作業員の前面を、掘削装置ａから遮閉し、こ
れにより、掘削装置ａの掘削チエン１で掘り上げ
られてその掘削チエン１に追従して流動しその掘
削チエン１の戻り回動側により後方に放出される
掘削土から、作業員をガードする安全カバーの役
割を果すようにする。

そして、この溝さらい器ｄは、それの下縁が前
述の溝Ｗの底に摺接するように配設して、これに
より、前述の掘削チエン１の戻り回動側に追従し
て溝ｗの底に堆積してくる掘削土の戻り土を、溝
ｗの底面に沿い前方に浚い出して、この溝ｗの底
面を溝Ｗ内に位置する作業員の歩行に支障のない
状態とするようにする。

そしてまた、この溝さらい器ｄは、第５図に示
している如く、両側縁に後方に向けて屈曲する側
板５０，５０を具備する平面視においてチヤンネ
ル状をなすように形成して、前記骨枠状の支持機
枠ｅの前面側と左右の両側とを囲い込む状態にそ
の支持機枠ｅの前面側に配位し、それの左右の側
板５０，５０間に渡架したガイド杆５１…を、前
記支持機枠ｅに設けたガイド穴４０に、摺動自在
に嵌挿することで、その支持機枠ｅに左右に変位
自在に装架せしめてある。

そしてまた、それのガイド杆５１…の前記支持
機枠ｅの左右に突出している部位に、それぞれバ
ネ５２…をコイル状に巻き付けて、それらバネ５
２…の両遊端を、溝さらい器ｄの側板５０，５０
の内面と支持機枠ｅの左右の各側面とに圧接する
ことで、溝さらい器ｄが第６図の如くそれの左右
の中心部位を支持機枠ｅにラツプさせた状態位置
に保持され、かつ、そのバネ５２…の付勢に抗し
て溝さらい器ｄを第７図の如く支持機枠ｅに対し
左右方向に押圧して変位させたとき、その押圧の
解除で該バネ５２の付勢で前記第６図の状態位置
に復元していくようにしてある。また、該溝さら
い器ｄは、それの左右の巾が、掘削装置ａの掘削
チエン１の掘削作用巾よりも幾分狭く形成してあ
る。

［作用］ このように構成せる実施例装置は次のように作
用する。

自在に走行する機体Ｔであるトラクタ（以下ト
ラクタＴという）に装架せる掘削装置ａをトラク
タＴのPTO軸からの伝導で駆動せしめながら、
そのトラクタＴをオペレーターの運転で走行させ
て、長いもなどの根菜類の栽培条列の隣側位置に
堀取用の溝を堀削する作業を行なつている場合に
おいて、トラクタＴの蛇行または根菜類の栽培条
列の蛇行により、掘削装置ａで堀削していく作用
位置が根菜類の栽培条列ｙに対し近寄りすぎて、
第８図の如く根菜類の根まで掘削するようになつ
てきたとき、追従していく作業者が操作レバーｃ
を操作して左右変位作動装置ｂを作動せしめ、掘
削装置ａを根菜類の栽培条列ｙから引き離す方向
に変位させるようにすると、掘削装置ａはそれの
フレームｆとともにトラクタＴに対し前記方向に
変位し、それに伴ない掘削チエン１の掘削作用位
置を変更させていく。

このとき、掘削装置ａの掘削チエン１の後方に
位置している溝さらい器ｄは、掘削装置ａで既に
掘削成形してきた溝ｗ内に嵌挿された状態にあ
り、左右方向への動きが、該溝さらい器ｄの左右
の側板５０，５０が溝の壁面に当接するまでの僅
かの距離に制約されることで、掘削装置ａの変位
量に対応して動くことはなく、前記僅かの距離を
動くだけとなるが、この溝さらい器ｄを支持する
支持機枠ｅは、溝さらい器ｄに対して自由に左右
方向に変位するようになつていることで、溝壁に
当接して動かない状態となつた溝さらい器ｄをそ
の位置に残して、バネ５２の付勢に抗し掘削装置
ａのフレームｆと一緒に変位作動を行なうように
なる。

これにより、掘削装置ａは、その後方に位置し
て溝内に嵌合した状態にある溝さらい器ｄの抵抗
を受けることなく左右方向の所定の変位作動を終
了し、その変位した位置において溝をトラクタＴ
の進行方向に掘削していくようになつて、第８図
に示している如く、変位させた位置から側方に平
行移動した状態の溝ｗを掘削成形していくように
なる。

そして、溝さらい器ｄは、トラクタＴの進行に
より、該溝さらい器ｄと掘削チエン１の掘削作用
位置との間に形成される距離を進んで、変位した
掘削チエン１で掘削した個所に達し、溝壁との接
触による圧力が解放されると、バネ５２の付勢で
それの中心部位が支持機枠ｅにラツプする当初の
状態位置に戻り、変位して掘削された溝の底を浚
うようになる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案による根菜類掘取
用の溝掘装置は、自在に走行する機体Ｔに、掘削
装置ａを装備せるフレームｆを、左右変位作動装
置ｂを介して左右に変位自在に支架せしめてお
き、そのフレームｆには、掘削装置ａの掘削チエ
ン１の後方位置に、該掘削チエン１に略沿う骨枠
状の支持機枠ｅを装架し、その支持機枠ｅの前面
側に、前記掘削装置ａにより掘削成形する溝ｗの
底を浚う溝さらい器ｄを、前記溝ｗ内に入る作業
員を前述掘削装置ａから遮閉するついたて状に形
成して配位し、その溝さらい器ｄを前記支持機枠
ｅに左右に移動自在に支架し、この溝さらい器ｄ
と支持機枠ｅとの間にその溝さらい器ｄを支持機
枠ｅに対する所定位置に復元移動せしめるバネ５
２を介装して構成してあるのだから、機体Ｔに装
架した掘削装置ａの後方に溝さらい器ｄを装設し
て、該掘削装置ａで掘削していく溝ｗ内に入る作
業員を掘削装置ａで掘削されて後方に戻される戻
り土から安全にガードするとともに、その戻り土
が溝ｗの底に堆積するのを防止するようにしなが
ら、該掘削装置ａを左右変位作動装置ｂにより機
体Ｔに対し左右に変位せしめて根菜類の条列に対
する掘削装置ａの位置の修正を行なうときに、機
体Ｔが逆に左右に振られることがなくなつて、掘
削する溝の位置の修正が適確に行なえるようにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従前手段の斜視図、第２図は同上の作
用の説明図、第３図は本考案の実施例装置の斜視
図、第４図は同上装置の要部の斜視図、第５図は
同上装置のクランバーの斜視図、第６図は同上ク
ランバーの後面図、第７図は同上クランバーの作
用の説明図、第８図は本考案の実施例装置の作用
の説明図である。 図面符号の説明、Ａ……溝掘装置、Ｔ……機体
（トラクタ）、ａ……掘削装置、ｂ左右変位作動装
置、ｃ……操作レバー、ｄ……溝さらい器、ｅ…
…支持機枠、ｆ……フレーム、ｔ……取付機枠、
ｗ……溝、ｙ……栽培条列、１……掘削チエン、
２０……後輪、２１……ロアリンク、２２……取
付機枠、２３……トツプリンク、３０……入力
軸、３１……伝導機筺、３２……スプロケツト、
３４……マスト、３５……制御弁装置、４０……
ガイド穴、５０……側板、５１……ガイド杆、５
２……バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自在に走行する機体Ｔに、掘削装置ａを装備せ
   るフレームｆを、左右変位作動装置ｂを介して、
   左右に変位自在に支架せしめ、そのフレームｆに
   は、前記掘削装置ａの掘削チエン１の後方位置
   に、該掘削チエン１に略沿う上下に長い支持機枠
   ｅを装架し、その支持機枠ｅの前面側に、前記掘
   削装置ａにより掘削成形する溝ｗの底を浚う溝さ
   らい器ｄを、前記溝Ｗ内に入る作業員を前述掘削
   装置ａから遮閉するついたて状に形成して配位
   し、そのついたて状の溝さらい器ｄを前記支持機
   枠ｅに左右に移動自在に支架し、その溝さらい器
   ｄと支持機枠ｅとの間にその溝さらい器ｄを支持
   機枠ｅに対する所定位置に復元移動せしめるバネ
   ５２を介装したことを特徴とする根菜類掘取用の
   溝掘装置。