JPH0587974A - インターナルポンプ検査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】インペラ及びシャフトを吊持して低速回転させ
ると共に、このインペラ及びシャフトの外周を、操作架
台に固定して設けたカメラを接近させて精度良く観察し
て、インペラ及びシャフトの外周部に生じた微細な傷痕
をも発見することができる検査精度の高いインターナル
ポンプ検査装置を提供する。 【構成】ベース上に向い合せて門型に設置した操作架台
と、この操作架台に垂直移動が可能に設けられたカメラ
の光軸及び位置調整が可能なカメラ架台と、前記操作架
台上において平行移動が可能に搭載されてインターナル
ポンプのインペラ及びシャフトが着脱可能でしかも回転
可能に吊持する回転駆動部を具備する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原子炉内蔵再循環ポン
プ等のインターナルポンプのインペラ及びシャフトにお
ける傷痕の有無を検査するに好適なインターナルポンプ
検査装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年の改良型沸騰水型原子炉では、原子
炉圧力容器にポンプと駆動モータを一体化したインター
ナルポンプによる原子炉内蔵再循環ポンプが採用されて
いる。この原子炉内蔵再循環ポンプは、原子炉圧力容器
内の炉水を炉心へ強制循環させて蒸気を有効に発生させ
ると共に、炉心へ供給される炉水流量を変化させること
により炉熱出力（発生蒸気量）を制御している。図７は
ウエットモータ型の原子炉内蔵再循環ポンプの断面図
で、この原子炉内蔵再循環ポンプ１は、原子炉圧力容器
２内に配設されたポンプ部３と、原子炉圧力容器２外に
設けられたモータ部４とから構成されている。ここでモ
ータ部４は、原子炉圧力容器２の下底部に垂設されたポ
ンプケーシング５内に、ロータ６及びステータ７が収納
されて構成され、ポンプケーシング５の下端にメインフ
ランジ８が取付けられて密閉に設けられる。またポンプ
部３については、原子炉圧力容器２内に固定されたディ
フューザ９と、このディフューザ９に囲まれて配設され
たインペラ10とから構成される。ディフューザ９のイン
ペラ10側周囲にはディフューザウェアリング11が固着さ
れる。また、インペラ10とシャフト12は一体的に連結さ
れ、このシャフト12はモータ部４まで延在してロータ６
に結合されている。従って、モータ部４の運転時には、
ロータ６の回転力がシャフト12に伝達されてインペラ10
が回転する。このインペラ10の回転により、原子炉圧力
容器２内の炉水がディフューザ９から炉心の下方に向か
って吐出される。なお、シャフト12の上部には、外径が
一段大きなカラー部13が設けられている。このカラー部
13は、モータ部４の定期点検時にポンプケーシング５内
へ炉水が流入しないようにするバックシートの機能を果
たす。

【０００３】回転するインペラ10と固定されたディフュ
ーザ９のディフューザウェアリング11との間には間隙14
が設けられているが、インペラ10はシャフト12がロータ
６に連結固定されることによって位置決めされるが、シ
ャフト12がロータ６の上方に突出しているためロータ６
に僅かなアンバランスがあると、インペラ10は首振り回
転を起こして間隙14が無くなることがある。そのため、
インペラ10外周部とディフューザウェアリング11とが接
触するおそれが生ずる。この間隙14はポンプの性能に影
響を及ぼすもののであるため、予め大きく設定すること
ができない。そこで従来は、原子炉内蔵再循環ポンプ１
を一定期間運転した後にインペラ10の外周部を点検し、
万一インペラ10の外周部に傷痕があった場合にはこれを
補修し、さらにインペラ10の回転バランス調整を実施し
ている。なお、この点検は原子力発電プラントの定期点
検中に行われる。この点検手順は、先ず原子炉の運転を
停止して原子炉圧力容器２内に水を満たして放射線を遮
蔽する。そして、原子炉圧力容器２の図示しない蓋を取
外し、同じく図示しない原子炉ウェル内にも水を満たし
て炉内遮蔽物を取り外す。次に、インペラ吊り上げ用治
具を用いて水中でインペラ10の上端のボス10ａを掴み、
ホイストによってインペラ10及びシャフト12とを一体に
して吊上げ、原子炉圧力容器２内から取出して、原子炉
ウェルに連通した原子炉建屋内のプールに運ぶ。その
後、このプール水中でインペラ10に付着した放射性物質
の遮蔽をしながら、水中テレビカメラを用いてインペラ
10及びシャフト12外周部のテレビ画像を観察し、接触痕
等の傷痕の有無を検査する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】水中テレビカメラを用
いてインペラ10及びシャフト12の外周部を検査するため
には、このインペラ10及びシャフト12を水中で吊下げた
状態にし、このインペラ10及びシャフト12の周囲に水中
テレビカメラを移動させる必要がある。しかしながら、
遠隔操作によって水中で水中テレビカメラを移動する場
合には、水中テレビカメラとインペラ10及びシャフト12
との距離を一定に保つのが困難であるため、水中テレビ
カメラの焦点を正しく合わせることが難しい。従って、
鮮明な画像情報を得ることができず、インペラ10等の外
周部に生じた接触痕等の傷痕を見逃すおそれがあった。

【０００５】本発明の目的とするところは、インペラ及
びシャフトを吊持して低速回転させると共に、このイン
ペラ及びシャフトの外周を、操作架台に固定して設けた
カメラを接近させて精度良く観察して、インペラ及びシ
ャフトの外周部に生じた微細な傷痕をも発見することが
できる検査精度の高いインターナルポンプ検査装置を提
供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】ベース上に向い合せて門
型に設置した操作架台と、この操作架台に垂直移動が可
能に設けられたカメラの光軸及び位置調整が可能なカメ
ラ架台と、前記操作架台上において平行移動が可能に搭
載されてインターナルポンプのインペラ及びシャフトが
着脱可能でしかも回転可能に吊持する回転駆動部を具備
する。

【０００７】

【作用】インターナルポンプのインペラ及びシャフトを
一体として操作架台のシャフト保持台に乗せ、上下ガイ
ドで支持した後に回転駆動部の掴み部にて吊持する。次
に回転ガイドで振れ止め保持した上、上下ガイドを外し
て前記回転駆動部により低速回転させる。別途操作架台
に設けたカメラ架台を移動してインペラ及びシャフトの
検査目標位置に停止しさせ、カメラ架台における伸縮ロ
ッドの前後進と俯仰機構の角度調節によりカメラを検査
目標に近付けてインペラ及びシャフト外周部の点検を行
う。この際に、インペラ及びシャフトの回転停止あるい
は、テレビカメラの前後進と角度調節及びカメラ架台の
垂直移動操作については検査目標の形状、内容等により
適宜実施することにより焦点の合致した鮮明な画像によ
る確実な検査ができる。

【０００８】

【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明す
る。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については
同一符号を付して詳細な説明を省略する。図１はインタ
ーナルポンプ検査装置の縦断面図、図２は図１の側面図
で、図３は図１の平面図を示す。図示しない原子炉建家
には原子炉ウェルに連通するプールが設けられ、充満さ
れたプール水によってプール内部に収容された機器類か
らの放射線は遮蔽される。このプール内にはインターナ
ルポンプ検査装置20のべース21上に操作架台22が向い合
せで門型に設置され、アンカーボルトによってプール底
部15に締付固定されている。この操作架台22の一方には
カメラ架台23が、移動モータ24の正逆転によるスクリュ
ウ25の回転で垂直移動自在に設置されている。また移動
モータ24に連結してカメラ架台23位置検出用のレベルエ
ンコーダ26が設けてある。さらに、中央底部には前記シ
ャフト12の下部を保持するためのシャフト保持台27が、
また中間部の上段及び下段部には夫々中心部に向かって
前後動して前記シャフト12の外周を保持する上下ガイド
28と回転ガイド29が設けてある。さらに、操作架台22の
上方には原子炉内蔵再循環ポンプ１のインペラ10及びシ
ャフト12を把持し、吊持した状態で回転させるための、
回転駆動部30がレール31上においてロープとシリンダ32
及び重錘33により連結され移動可能に搭載して構成され
ている。

【０００９】前記した回転駆動部30の詳細は、図４の縦
断面図に示すように、前記操作架台22の上部に搭載され
ていて、中央下部に設けた掴み部34で前記原子炉内蔵再
循環ポンプ１のインペラ10上端のボス10ａを掴んで、イ
ンペラ10及びシャフト12を一体として把持すると共に回
転させる機構である。この掴み部34は上部に設けたシリ
ンダ35に供給口より空気圧を供給、排出することによ
り、ロッド36が上下移動して掴み部34外側のカバー37の
上下動により掴み部34の開閉動作を行う。また掴み部34
機構は大型シリンダ38の供給口より空気圧あるいは水圧
を供給することにより前記掴み部34の機構全体を上下で
きる。この時、掴み部34にてボス10ａを掴んでいれば、
掴み部34の機構全体を吊上げ下げすることにより前記イ
ンペラ10及びシャフト12も同時に吊上げ下げできる。な
お、この吊上げ下げの状態は近接スイッチ39により確認
することができる。また掴み部34の大型シリンダ38に並
んで、把持モータ40と継手41及びギヤ42が設けてあり、
このギヤ42の回転はテーブル43に伝達される。テーブル
43の外周下方には複数個のロッド44が配設され、スプリ
ング45によって下方に押下げられていて、インペラ10及
びシャフト12を把持した際にはインペラ10の羽根の間に
突出、係止して、インペラ10及びシャフト12に回転を伝
える。また前記テーブル43の回転は別のギヤ46に伝えら
れ、エンコーダ47によって回転数をカウントできるよう
構成されている。従って前記原子炉内蔵再循環ポンプ１
のインペラ10及びシャフト12のボス10ａを掴み部34で掴
んで吊上げたまま、把持モータ40を駆動することにより
インペラ10及びシャフト12を容易に回転させることがで
きる。なお、上記の把持モータ40及びエンコーダ47等は
常時水中で使用されるため全体を水密容器48で覆って水
の浸入を防止している。

【００１０】次に水中テレビ機構について説明する。図
５はカメラ架台の詳細を示す縦断面図で、図６は平面図
である。カメラ架台23は、水密容器内に組込まれた水中
テレビカメラ50と、この上部に配設した水中照明具51が
伸縮ロッド52の先端に一体に装着してあり、水中テレビ
カメラ50の光軸は原則としてインペラ10及びシャフト12
の中心に向けてある。前記伸縮ロッド52の上側には直線
歯車が加工されていて、この直線歯車はギヤ53と噛合っ
ている。このギヤ53は連結された水圧モータ54により駆
動され、伸縮ロッド52を前後動させて水中テレビカメラ
50をインペラ10及びシャフト12に対して接近、離隔させ
る。また伸縮ロッド52の下側には、別の水圧モータ55の
運転により伸縮ロッド52と共に、水中テレビカメラ50等
を傾斜させ、かつ、自由な角度に調節できる俯仰機構56
が組込まれて構成されている。なお、このように構成さ
れた水中テレビカメラ50等全体は、保持架台57によって
前記スクリュウ25のナット部58に取付けられている。

【００１１】次に上記のように構成されたインターナル
ポンプ検査装置20の作用について説明する。なお、イン
ターナルポンプ検査装置20は予めアンカーボルトによっ
てプール底部22に締付固定しておく。先ず、図１乃至図
３で示すように、従来と同様に原子炉の運転を停止して
原子炉圧力容器２内に水を満して放射線の遮蔽をする。
そして、原子炉圧力容器２の蓋を取外し、原子炉ウェル
内にも水を満して炉内構造物を取り外す。その後、図示
しないインペラ吊上げ用治具を用いて水中でインペラ10
上端のボス10ａを掴み、ホイストによってインペラ10と
シャフト12を一体で吊上げ、原子炉圧力容器２内から取
出してプールへ運び込み、インターナルポンプ検査装置
20内のシャフト保持台27上に乗せる。この時、ホイスト
の吊りロープ等が通過できるように、図３で示すように
回転駆動部30を予めレール31上で側端部に移動させ、シ
ャフト保持台27の上部を開放した状態にしておく。この
状態でホイストを下降させ、インペラ10及びシャフト12
をシャフト保持台27に当接させて、インペラ10及びシャ
フト12の荷重をシャフト支持台27に支持させる。次にシ
ャフト10を保持するために上下ガイド28及び回転ガイド
29を前進させ、シャフト10の外周面に当接して転倒を防
止した後にインペラ吊下げ用治具を切り離す。この後に
シリンダ32を作動させて回転駆動部30をインペラ10の上
部に移動させ、図４で示すシリンダ35に空気圧を供給し
てインペラ10上端のボス10ａを掴み部34で把持する。こ
の状態で回転ガイド29を後退させ、大型シリンダ38を作
動させてインペラ10とシャフト12を一体に吊上げる。こ
こで上下ガイド28はインペラ10及びシャフト12の振れ止
め保持をする。

【００１２】次に前記回転ガイド29を前進、当接させて
シャフト12の振れ止め保持をさせ、上下ガイド28を後退
させる。この回転自由の状態を維持しておき把持モータ
40を駆動させて、ギヤ42と噛合ったテーブル43を回転さ
せるとロッド44がインペラ10の羽根の間に降下し、イン
ペラ10を係止してインペラ10を低速回転させる。ここで
水中テレビカメラ50及び水中照明具51を作動させると、
インペラ10及びシャフト12の外周部の画像情報が得られ
る。この際、操作架台22の移動モータ24を正逆転するこ
とにより、スクリュウ25が回転してカメラ架台23が上下
方向に移動できるので、先ずカメラ架台23をインペラ10
の例えば上端部に配置し、さらに、インペラ10外周上端
の目標位置に図５及び図６で示すように、水圧モータ54
を運転して伸縮ロッド52を前後動させて水中テレビカメ
ラ50を接近、離隔させると共に、検査場所の形状に対応
して別の水圧モータ55を操作して俯仰機構56により、水
中テレビカメラ50を傾斜させて、最適の点検場所に位置
させる。なお、この位置決めは水中照明具51を点灯して
水中テレビカメラ50からの画像情報を見ながら操作して
も良いし、予め目標近くへの移動には操作架台22の移動
モータ24及びカメラ架台23に結合したレベルエンコーダ
26等の位置検出器から得た位置情報により自動的に移動
させることも容易である。

【００１３】本発明では、回転駆動部30で吊持し、回転
ガイド29で保持したインペラ10及びシャフト12を停止あ
るいは、低速で回転させ、操作架台22にカメラ架台23を
介して固定された水中テレビカメラ50の焦点を正確に合
わせることができるので、焦点の合致した鮮明で、かつ
安定した画像情報を容易に得ることができる。またイン
ペラ10の羽根部下面やシャフト12の下面等の複雑な形状
部分を点検する時には、俯仰機構56を用いて傾斜させる
ことにより水中テレビカメラ50を最適な位置に配して明
瞭な画像情報が得られる。このためインペラ10及びシャ
フト12の正確な外観検査が可能となり、インペラ10等に
微細な接触痕が生じても容易に発見することができ、検
査精度とその信頼性を向上させることができる。上記検
査により、インペラ10及びシャフト12の回転のバランス
の狂い等も初期に発見することができて、原子炉内蔵再
循環ポンプを安定した流動特性状態で使用することがで
き原子炉炉熱出力を安定的に制御できる。なお、上記一
実施例では操作架台22の片方にカメラ架台23を備えた場
合について説明したが、両側の操作架台22にカメラ架台
23を設けて、夫々別個の目標に対する検査を行うこと、
及び互いに検査範囲を分担することにより、作業効率が
向上できる。また画像情報を水中テレビカメラ50にて得
ることで、説明したがファイバースコープカメラ等、他
の装置によっても同様な作用、効果が得られる。

【００１４】

【発明の効果】以上本発明によれば、操作架台上の回転
駆動部に着脱可能に取付けたインターナルポンプのイン
ペラ及びシャフトを操作架台に吊持した状態で保持し、
そのまま軸廻りに回転させると共に、操作架台に垂直移
動と俯仰可能に設けたカメラ架台に備えたカメラにより
インペラ及びシャフトとの距離を適切に調整して点検す
ることができるので、カメラの焦点を常に正確に維持す
ることができ、鮮明でかつ安定した画像が得られる。そ
の結果、インペラ及びシャフト外周部に生じた微細な傷
痕等の発見が容易に行われ、検査精度が向上する他、イ
ンターナルポンプ及び原子炉の運転と保全の信頼性が向
上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るインターナルポンプ検査装置の一
実施例の縦断面図。

【図２】図１の側面図。

【図３】図１の平面図。

【図４】本発明の回転駆動部の縦断面図。

【図５】本発明のカメラ架台の縦断面図。

【図６】図５の平面図。

【図７】原子炉内蔵再循環ポンプの縦断面図。

【符号の説明】

１…原子炉内蔵再循環ポンプ、10…インペラ、10ａ…ボ
ス、12…シャフト、20…インターナルポンプ検査装置、
21…ベース、22…操作架台、23…カメラ架台、24…移動
モータ、25…スクリュウ、27…シャフト保持台、28…上
下ガイド、29…回転ガイド、30…回転駆動部、31…レー
ル、34…掴み部、40…把持モータ、44…ロッド、50…水
中テレビカメラ、51…水中照明具、52…伸縮ロッド、56
…俯仰機構、57…保持架台。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベース上に向い合せて門型に設置した操
   作架台と、この操作架台に垂直移動が可能に設けられた
   カメラの光軸及び位置調整が可能なカメラ架台と、前記
   操作架台上において平行移動が可能に搭載されてインタ
   ーナルポンプのインペラ及びシャフトが着脱可能でしか
   も回転可能に吊持する回転駆動部からなることを特徴と
   するインターナルポンプ検査装置。