JPH0586403A - 粉末冶金用混合粉末及び結合剤 - Google Patents
粉末冶金用混合粉末及び結合剤Info
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Abstract
鉛、りんなどの物性改善成分粉末およびステアリン酸亜
鉛などの潤滑剤を混合して粉末冶金用混合粉末を製造す
る際において、上記物性改善成分や潤滑剤の偏析を抑え
ると共に、粉末取り扱い時における発塵を効果的に抑え
ることのできる結合剤及び該結合剤の含有された粉末冶
金用混合粉末を提供しようとするものである。 【構成】 金属粉末をベースとする粉末冶金用原料粉末
に、結合剤としてスチレン5〜75重量部とブタジエン
および/またはイソプレン95〜25重量部をモノマー
成分とする共重合体を配合する。
Description
末をベースとし、これに合金元素、黒鉛等の物性改善成
分粉末および潤滑剤粉末を配合した粉末冶金用原料粉末
に対し、特定組成比の共重合体成分を結合剤として含有
させることにより、ベースとなる金属粉末の物性を阻害
することなく上記物性改善成分粉末や潤滑剤粉末の偏析
を抑え、また粉末取扱い時の発塵を抑えたものである。
粉末冶金においては、焼結体の物性(強度特性や加工性
等)を改善するために、銅、ニッケル、クロム、モリブ
デン等の合金元素や黒鉛、りん、硫黄等の物性改善成分
粉末やステアリン酸亜鉛等の潤滑剤粉末を配合すること
がある。これら物性改善成分粉末や潤滑剤粉末の粒子サ
イズや比重等はかなり違っているのが普通であり、たと
えばベース金属粉末が鉄粉や鋼粉(以下、鉄・鋼粉末と
いう)で、物性改善成分粉末が黒鉛やりん等である場合
の比重差は極端に大きくなるため、混合後成形までの取
扱い過程でこれらが偏析を起こし易く、焼結体の特性及
び均質性を悪くする。また金型寿命を伸ばすために使用
される潤滑剤粉末が偏析を起すと、成形体を金型から取
り出す際の抜き出し圧力が増加したり粉体特性に変動を
来すことがある。
特開昭56−136901号や特開昭63−10300
1号.に開示されている如く、有機結合剤を用いて鉄・
鋼粉末等に黒鉛粉末等を付着させる方法が提案された。
に開示された有機結合剤は親水性であるため、保存時に
吸湿して流動性を低下させたりベース金属粉末の発錆を
促すという問題があり、粉末冶金製品の品質をかえって
悪化させることもあった。またこの有機結合剤は、鉄・
鋼粉末と物性改善成分粉末や潤滑剤粉末との結合力を高
めるよりも鉄・鋼粉末同士の結合力を高める作用の方が
強いので、黒鉛等に対する偏析防止効果が不十分であ
り、より優れた効果を得ようとすれば大量の結合剤を配
合しなければならない。その結果、鉄・鋼粉末同士の結
合(塊状化)が著しくなるため、混合・乾燥後の再粉砕
や篩い工程が不可欠となる。
ものであって、その目的は、ベース金属粉末の変質や流
動性低下或はベース金属粉末同士の凝集といった問題を
生ずることなく、物性改善成分粉末や潤滑剤粉末の分散
不良、即ち偏析を防止することができ、更には取扱い時
の粉塵発生についてもこれを抑制し得る様な粉末冶金用
混合粉末を提供しようとするものである。
のできた本発明の構成は、金属粉末と物性改善成分粉末
および潤滑剤粉末を含む粉末冶金用原料粉末に対し、結
合剤として、 スチレン :5〜75重量部 ブタジエンおよび/またはイソプレン:95〜25重量
部 をモノマー成分とするスチレン系合成ゴム共重合体もし
くはその水素化物を配合してなるところに要旨を有する
ものであり、また上記共重合体もしくはその水素化物
は、それ自体で粉末冶金用原料粉末の結合剤として商品
価値を有するものである。
問題点を解決すべく種々研究を進めた結果、先に示した
特定の共重合体を使用すれば前述の問題点が一挙に解消
され、ベース金属粉末の変質や凝集、流動性低下といっ
た問題を生じることなく物性改善成分粉末や潤滑剤粉末
の偏析を効果的に防止することができ、併せて混合粉末
取扱い時の粉塵発生も抑制し得ることが確認された。以
下、結合剤となる共重合体におけるモノマー組成を定め
た理由について実験経緯を追って説明する。
て鉄粉(神戸製鋼所製商品名「アトメル300M」:粒
径180μm以下)と黒鉛粉末(サウスウェスタン社製
商品名「1651J:平均粒径2μm)」を使用し、こ
れらを前者99重量部に対し後者1重量部の比率で混合
したものを用いた。これらの粉末原料を、図1(フロー
図)に示す如く、羽根付きミキサーによって高速撹拌し
つつ、後述する有機結合剤溶液を滴下もしくは噴霧し、
約5分間強撹拌した後緩やかな撹拌に切り替えて所定時
間乾燥し溶媒を除去する。そして該乾燥粉末の一部を抜
き出して黒鉛飛散率測定用の試料とする。残りの乾燥粉
末には潤滑剤として0.75重量%のステアリン酸亜鉛粉末
を加えて撹拌し、流動度測定用の試料とする。尚、潤滑
剤を使用する場合は、黒鉛粉末と潤滑剤を結合剤によっ
て同時にベース金属粉末に付着させることもできる。
ュークリポアフィルタ1(網目12μm)を付した濾斗
状のガラス管2(内径:16mm、高さ106mm)を使用
し、上記で得た試料粉末P(25g)を入れて下方より
N2 ガスを0.8 リットル/分の速度で20分間流し、次式に
より黒鉛飛散率を求めた。 黒鉛飛散率(%)=[1−N2 ガス流通後炭素量/N2 ガス流
通前炭素量]×100 また流動度はJIS−Z−2502により求めた。一例
として、結合剤を構成するモノマー成分としてスチレン
とブタジエンを使用した場合における共重合比が混合粉
末の黒鉛飛散率及び流動度にどの様な影響を与えるかを
調べたので、その結果を表1に示す。
共重合比が5部(重量部:以下同じ)未満になると、黒
鉛飛散率は抑制されるが、混合粉末の流動性が悪くなっ
て圧粉成形性に問題を生ずる。一方、スチレンの共重合
比が75部を超える場合は黒鉛飛散率を十分に下げるこ
とができず、結合剤としての機能が満足に発揮されなく
なる。従って黒鉛飛散率と流動度を同時に満足させるに
は、スチレンとブタジエンの共重合比を前者5〜75
部:後者95〜25部の範囲に設定しなければならな
い。またこうした傾向は、スチレンと共重合されるモノ
マー成分としてイソプレンを使用し、或はブタジエンと
イソプレンを併用した場合、更にはこれらの水素化物を
使用した場合にもほぼ同様の結果が得られる。
てアクリル酸ブチル:メタクリル酸メチル:アクリル酸
=57:38:5(重量比)の3元共重合体(比較剤:
重量平均分子量約5万)を選択し、本発明に係る結合剤
(スチレン:ブタジエン=35:65重量比の共重合
体:重量平均分子量約10万)との性能を対比して示し
たもの(実験法は上記と同じ)であり、この表からも明
らかである様に本発明に係る結合剤は、他の有機結合剤
に比べても黒鉛飛散率及び流動性の両方に優れたもので
あることがわかる。
合組成は上記の通りであるが、その使用に当たっては、
混合工程で粉末混合系に万遍無く行き渡り、ベース金属
粉末の表面を過不足なく均一に被覆して物性改善成分粉
末や潤滑剤粉末とうまく結合させなければならず、その
ためには、原料粉末に対する結合剤の濃度や添加量等も
重要になると思われる。そこで、スチレン:ブタジエン
=35:65の2元系共重合体(重量平均分子量:約1
0万)を使用し、そのトルエン溶液中の結合剤濃度や添
加量等が黒鉛飛散率に与える影響を明確にすべく実験を
進めた。尚この実験では生産性に影響を及ぼす乾燥時間
比(トルエン溶液中の結合剤濃度が5%、原料粉末に対
する結合剤の配合量が固形分換算で0.1 %であるものの
乾燥時間を1.00としたときの時間比率)も調べた。結果
を表3に示す。
系共重合体)の添加に当たっては、結合剤の溶液濃度や
原料粉末に対する固形分としての添加量もさることなが
ら、原料粉末に対する結合剤溶液としての添加量も考慮
すべきであり、この値が低過ぎると、鉄粉表面全体に結
合剤溶液が行き渡り難くなって結合不足となり、偏析及
び黒鉛飛散を十分に抑え難くなる。一方この値が高過ぎ
ると混合系内で結合剤溶液自体の偏析が生じて混合むら
を起こし、部分的に結合力の不足部が生じて所期の目的
が達せられにくくなる。
しての添加量を原料粉末に対し1.0〜3.0 %の範囲に調
整するのがよい。但し、結合剤の固形分としての絶対量
が不足する場合は乾燥後の結合力が不十分となり、一
方、多過ぎると混合粉末が部分的に塊状化して再粉砕が
必要となるので、固形分としての添加量は0.1 〜0.3
%、より好ましくは0.1 〜0.2 %の範囲に収めるのがよ
い。
体の分子量(重合度)及びそれに伴なう溶液粘度によっ
ても変わってくるので一律に規定することはできない
が、通常は5〜15%、より好ましくは5〜10%の範
囲のものが使用される。尚、本発明に係るスチレン系合
成ゴム共重合体の好ましい分子量は、重量平均分子量で
1万〜100万、より好ましくは3万〜50万の範囲で
あり、分子量が小さ過ぎる場合は、結合剤としての作用
が全体的に不足気味となり、一方分子量が大き過ぎる場
合は混合むらを起こし、偏析防止効果が満足に発揮され
難くなる。
してスチレン:ブタジエン=35:65共重合体(重量
平均分子量:約10万)を用い、該結合剤の溶液濃度や
添加量を種々変えた場合の黒鉛飛散率及び凝集性(篩い
目250μm上の残存率)、並びにこれに0.75%のステ
アリン酸亜鉛粉末を追加混合したときの流動度及び圧縮
性(試料片寸法:直径11.3mm×10高さmm、成形圧力:
5トン/cm2 )を調べた結果を示したものである。尚こ
の表には比較のため結合剤無添加の例も併記した。
加の場合の黒鉛飛散率は非常に大きいのに対し、本発明
に係る結合剤を適量添加すると、黒鉛飛散率は著しく抑
えられる。また上記実験例では鉄粉に黒鉛粉および潤滑
剤を混合した場合を例にとって説明したが、鉄粉や鋼粉
に他の合金元素やマンガンサルファイド、りん、硫黄等
を加えて改質する場合にも同様に適用することができ
る。
(神戸製鋼所製商品名「アトメル300M」:粒径18
0μm以下)を使用し、黒鉛粉末(天然黒鉛:平均粒径
3μm)0.8 重量%と銅粉末(アトマイズ銅粉:平均粒
径30μm)2.0 重量%およびステアリン酸亜鉛粉末0.
75重量%を配合してなる混合粉末を使用し、以下は前記
表1で採用したのと同様の方法で黒鉛飛散率及び流動性
を調べた結果を示したものである。ただし、結合剤とし
ては、スチレン:ブタジエン=35:65重量比の共重
合体(重量平均分子量:約10万)を、結合剤濃度が1
0%であるトルエン溶液として原料粉末に固形分換算で
0.2 重量%加えて均一に混合した。
によれば粉末冶金用としての流動性(成形性)を阻害す
ることなく、極めて軽量で偏析し易い物性改善成分粉末
(黒鉛など)や潤滑剤粉末の偏析や飛散を効果的に防止
し得ることが分かる。上記の様に本発明では、スチレン
とブタジエンおよび/またはイソプレンを特定比率で共
重合してなるスチレン系合成ゴム共重合体もしくはその
水素化物を結合剤をして使用することによって、鉄・鋼
粉末などの金属粉末ベース中における物性改善成分粉末
や潤滑剤粉末の偏析や取扱い時における発塵を防止する
ものであり、ベースとなる金属粉末としては、最も一般
的な鉄・鋼粉末のほか銅粉、青銅粉、Ti粉、Al粉、
Ni粉、Co粉、などの様々の金属あるいはそれらの各
種合金粉末が挙げられる。
としては、粉末冶金製品の強度、耐摩耗性、切削性など
各種の物性を改善するために使用される種々の成分を挙
げることができ、例えば鉄・鋼粉末冶金製品における物
性改善用の無機質粉末としては、銅、Ni、Cr、M
o、黒鉛、MnS、P、Sなどの無機質粉末が例示さ
れ、その一般的な配合量は無機質粉末の種類によって変
わってくるので一律に規定することはできないが、一般
的な配合量として示すならば原料粉末全量中に占める比
率で0.1 〜3重量%の範囲である。
速やかに固相拡散もしくは液相拡散してベース金属中に
拡散し或は合金化し得る様、通常平均粒径50μm以
下、より好ましくは30μm以下の微粉末を使用するの
が良い。特に黒鉛粉を使用する場合は、粗粒物を使用す
ると製品中に巣欠陥ができ易くなるので、10μm以
下、より好ましくは5μm以下の微粉末を使用すること
が望まれる。
型と混合粉末あるいは混合粉末同士の摩擦を低減して圧
密度を高めると共に金型寿命を伸ばす目的で配合される
ものであり、例えばステアリン酸亜鉛などの金属石け
ん、エチレンビスアマイドなどのアマイドワックス、あ
るいはそれらの複合物などが用いられ、その添加量は、
原料粉末全量中に占める比率で通常0.1 〜3重量%、よ
り一般的には0.3 〜1重量%程度である。
の方が金型から成形体を取り出す時の抵抗は小さくなる
が、反面混合粉末全体としての圧縮性や均一混合性が悪
くなる傾向があるので、好ましくは平均粒径が50μm
程度以下、より好ましくは30μm程度以下のものを使
用するのがよい。
合剤として特定の共重合体を使用することにより、ベー
ス金属粉末に悪影響を及ぼすことなく物性改善成分粉末
や潤滑剤粉末の均一分散性及び耐発塵性を改善すると共
に、混合粉末としての流動性や成形性を改善することが
でき、優れた性能の粉末冶金用混合粉末を提供し得るこ
とになった。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 金属粉末と物性改善成分粉末および潤滑
剤を含む粉末冶金用原料粉末に対し、結合剤として、 スチレン :5〜75重量部 ブタジエンおよび/またはイソプレン:95〜25重量
部 をモノマー成分とするスチレン系合成ゴム共重合体もし
くはその水素化物を配合してなることを特徴とする粉末
冶金用混合粉末。 - 【請求項2】 金属粉末と物性改善成分粉末および潤滑
剤を含む粉末冶金用原料粉末に配合される結合剤であっ
て、 スチレン :5〜75重量部 ブタジエンおよび/またはイソプレン:95〜25重量
部 をモノマー成分とするスチレン系合成ゴム共重合体もし
くはその水素化物からなることを特徴とする粉末冶金用
結合剤。
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