JPH0584927A - インクジエツト記録装置 - Google Patents

インクジエツト記録装置

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JPH0584927A
JPH0584927A JP25188691A JP25188691A JPH0584927A JP H0584927 A JPH0584927 A JP H0584927A JP 25188691 A JP25188691 A JP 25188691A JP 25188691 A JP25188691 A JP 25188691A JP H0584927 A JPH0584927 A JP H0584927A
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temperature
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energization
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吐出回復処理後もインク温度をすばやく常温
に昇温させることで、適正な記録濃度を得ること。 【構成】 吐出回復処理がある場合は、ステップS7に
て通常よりもエネルギーの高い通電デューティーで保温
ヒーターにパルス通電を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録装
置に係り、特に記録ヘッドの温度補正を行なうインクジ
ェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、紙、OHP用シートなどの記録媒
体(以下、記録用紙または単に紙ともいう)に対して記
録を行う記録装置は、種々の記録方式による記録ヘッド
を搭載した形態で提案されている。この記録ヘッドに
は、ワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方式、イン
クジェット方式によるものなどがある。
【0003】特にインクジェット方式は、記録用紙に直
接インクを噴射するものであるので、ランニングコスト
が安く、静かな記録方法として注目されている。このイ
ンクジェット記録方式の記録濃度は、温度依存性を有
し、記録濃度と環境温度との関係は、一般に図1に示す
ように、記録濃度は温度の低下にともなって低くなって
いく。これは、低温になるとインクの粘性が大きくなっ
て、インクの吐出量が減少してしまうためである。通常
の記録装置は、常温(例えば、20℃)において適正濃
度になるように設定しているため、低温環境では記録濃
度が適正よりも薄くなってしまう。
【0004】そこで、低温環境でも適正な記録濃度が得
られるように記録濃度の温度補正が行なわれている。そ
の一方法として、低温時にはインクを暖めることでイン
クの粘性増大を防ぐという方法がある。
【0005】図2(A)は、記録ヘッドとインクタンク
を一体化したヘッドカートリッジの模式的断面図であ
る。21は、その詳細を同図(B)に示すヒーターボー
ドであり、Si基板上に吐出ヒーター21gが形成され
ている。この吐出ヒーター21gに電圧を印加すること
により、ヒーターボード21と天板22とにより形成さ
れた共通液室23内のインクが熱エネルギーを得て吐出
口24より液滴となって吐出し、記録が行なわれる。イ
ンクタンク25から共通液室23へは、インク供給管2
6を通してインクが供給される。
【0006】このとき、ヒーターボード21上に吐出ヒ
ーター21gとともに保温ヒーター21dを形成し、保
温ヒーター21dを適宜加熱制御することにより、共通
液室内のインクを加熱昇温することが可能になる。な
お、21eは温度検出用のセンサーであり、斜線部は共
通液室23を形成するために搭載される天板の位置を示
す。
【0007】図3は、保温ヒーターに一定の時間間隔で
パルス通電をくり返したときの、経過時間とインク温度
の昇温量との関係の一例を示すグラフである。図で曲線
A、B、C、D、Eはそれぞれ通電デューティーが2
%、3%、4%、5%、6%の場合である。ただし、通
電デューティーとはパルス通電時間とパルス通電周期と
の比とする。同図のように、通電デューティーを選択す
ることにより、インク温度を適当な温度まで昇温し、保
持することができる。
【0008】よって、環境温度を検出して、常温(目標
温度)との温度差分だけインクを昇温させる通電デュー
ティーを図3から決定して保温ヒーターを通電制御する
ことにより、インクを常温まで昇温して保持することが
できる。このときインクの粘度は常温時と同等になって
いるため、記録を行なうと常温時と同等の適正な記録濃
度を得ることができる。
【0009】例えば、適正記録濃度となる温度が20℃
に設定されている場合、図3より、環境温度10℃なら
ば約3.3%デューティー、15℃ならば約1.7%デ
ューティーで保温ヒーターを通電制御すればよい。
【0010】このようにして環境温度10℃から20℃
までの各温度での保温ヒーターへの通電デューティーは
図4のように決めることができる。
【0011】ここで、図3の温度変化はマクロ的(この
場合、分のオーダー)に見た場合の温度変化であり、ミ
クロ的(この場合、秒のオーダー)に見た場合は、通電
中に昇温し、通電終了から次の通電開始までは降温する
という変化をくり返す。つまりこの昇温と降温の平均と
して図3のような変化となる。
【0012】温度によって通電デューティーを変化させ
るには、パルス間隔(又は周期)を常に一定にしておい
て、通電パルス幅を変えていく方法と、通電パルス幅を
常に一定にしておいて、パルス間隔(又は周期)を変え
ていく方法とがある。例えば、パルス間隔を6secに
固定した場合の温度と通電パルス幅の関係は図5のよう
になり、通電パルス幅を20msecに固定した場合の
温度とパルス間隔の関係は図6のようになる。
【0013】なお、上記制御方式の場合は、制御開始か
らインクが常温に昇温するまでにやや時間がかかる。よ
って、少しでも早くインクを昇温させるため保温ヒータ
ーへの通電制御は、記録装置の電源ON直後に開始さ
れ、電源がOFFするまで継続されるのが普通である。
ただし、記録制御中は、吐出ヒーターの発熱によりイン
ク温度の低下が小さく押さえられるため、制御が複雑に
なるのをさける目的で、上記制御を中断してしまうこと
が多い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】一般にインクジェット
記録方式は、ヘッドカートリッジ内の気泡や塵埃、増粘
して記録に適さなくなったインク等の吐出不良要因を、
インクを強制的に排出させることによって除去する吐出
回復処理を適宜行なう必要がある。吐出回復処理は、例
えば吐出口をキャップで覆って、ポンプで吐出口からイ
ンクを吸引することにより行なわれる。このとき図2の
共通液室23内のインクが吐出口24より吸い出される
ため、共通液室23内にはインク供給管26を通ってイ
ンクタンク25から新しいインクが供給される。ここ
で、保温ヒーターの通電制御により暖められるインクの
温度は、共通液室からインク供給管、インクタンクと進
むに従ってだんだん低下している。
【0015】よって、吐出回復処理を行なうと、共通液
室内の適温のインクが排出され、共通液室内のインクは
適温より温度の低いものになっている。その後、共通液
室内の新しいインクは、保温ヒーターによりやがて適温
まで昇温する。
【0016】しかし、吐出回復処理の直後に記録を行な
った場合は、インクが適温に満たないため、目標として
いた適正記録濃度より、記録濃度が低いものとなってし
まうという欠点があった。
【0017】そこで、本発明は上述の問題点を解決する
ためになされたもので、吐出回復処理後も適正な記録濃
度が得られるインクジェット記録装置を提供することを
目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、吐出回復処理による共通液室内のインク
の流出後に、保温ヒーターへの通電エネルギーをそれ以
前と変化させることによって、適温より低い温度の新し
いインクをすばやく適温まで昇温させるものである。
【0019】
【作用】上記構成によれば、吐出回復処理後にインクを
すばやく適温まで昇温させることができるので、記録濃
度を適正にすることが可能となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0021】(実施例1)吐出回復処理によるインクの
温度低下は、保温ヒーターによる昇温量にほぼ比例し、
昇温量のおよそ10%程度になる。例えば、10℃環境
で適温の20℃までインクを10度昇温している場合
は、約1度温度が低下して、インク温度は約19℃にな
ることになる。
【0022】ここで、保温ヒーターへの通電デューティ
ーを図3の場合よりももっと大きくした場合のインクの
昇温の様子は、図7のようになる。同図で曲線Aは通電
デューティー10%の場合、曲線Bは20%の場合、曲
線Cは30%の場合である。実際のインク温度の変化
は、パルス通電時に昇温し、次のパルス通電までは降温
するが、同図では、記録濃度に相関のある温度変化の平
均値を表わしている。このように、保温ヒーターへの通
電デューティーを大きくすると、数秒程度でインクを数
度昇温させることができる。
【0023】よって、環境12℃で20℃まで昇温して
いる場合は、吐出回復処理による温度低下が約0.8度
なので、図7より例えば通電デューティー20%で3.
5秒間通電制御すれば、インク温度は20℃まで昇温さ
れる。その後、通電デューティーを通常の約2.7%に
もどせば、インク温度は吐出回復処理前の20℃に保た
れる。同様に、環境16℃で20℃まで昇温している場
合は、インクの温度低下は約0.4度なので、図7より
例えば通電デューティー10%で4秒間通電制御すれ
ば、インク温度を20°に戻すことができる。
【0024】このようにして、通電デューティーと通電
制御時間を適当に選んで通電制御することによって、各
環境温度とも、インクを適温まですばやく昇温すること
ができる。ただし、パルス通電で制御する場合は、制御
時間をあまり短く設定すると通電パルス数が少なくなる
ため、図7の曲線どうりには昇温せずに誤差が大きくな
るので、制御時間はなるべく長めの方が好ましい。例え
ば、通電時間を5秒で一定として通電制御する場合、各
環境温度に対する保温ヒーターの通電デューティーは、
図8のように決めることができる。
【0025】なお、パルス間隔がt0 msで一定の場合、
通電デューティーをD%にするパルス幅(パルス通電時
間)Pmsは、 P=t0・D(100−D) により求められ、図8の場合パルス間隔を1秒(=10
00ms)に設定すれば、パルス幅は図9のように決定さ
れる。また、パルス幅をP0 msで一定にした場合、通電
デューティーをD%にするパルス間隔tmsは t=P0・(100−D)/D で同様に求めることができる。
【0026】よって、吐出回復処理終了後に図8の通電
デューティーで通電制御することにより、各環境温度に
おいて、インク温度の低下分を数秒で昇温し、インク温
度を適温に戻すことができる。
【0027】なお、本実施例で用いる記録ヘッドは先に
図2を用いて説明したものと同様、吐出用ヒーターから
の熱エネルギーを利用してインクを吐出させる構成であ
り、インク保温用の保温ヒーター21dの抵抗を144
Ω±20Ω、ヒート用の駆動電圧を24Vとしているの
で、約4Wの電力を出力できる。
【0028】保温ヒーターの通電制御を行なうための構
成について図10のブロック図を参照して説明する。同
図において、10はCPUで、ROM11に格納された
プログラムに基づいて通電制御等の処理を実行する。R
OM11にはCPU10のプログラムの他、図3、図8
に示すテーブル等が格納されている。12は通電経過時
間を計測するタイマーで、13は上述した保温ヒーター
21dや環境温度を検出する温度センサー14を制御す
るための制御回路である。
【0029】次に、保温ヒーターの通電制御について、
図11に示すフローチャートを参照して説明する。ステ
ップS1で温度センサー14によって環境温度を検出
し、ステップS2で吐出回復処理の有無を検出する。吐
出回復処理がなければステップS3で、検出した環境温
度に基づいてROM11内に格納した図3のテーブルを
参照して通電デューティーを決定する。決定した通電デ
ューティーに対応したパルス幅またはパルス間隔で、ス
テップS4にて保温ヒーター21dに通電する。そし
て、上記ステップS1〜S4はステップS5で記録開始
が検出されるまで繰返される。
【0030】一方、吐出回復処理があれば、ステップS
6で経過時間を計測するタイマー12をリセットし、ス
テップS7で環境温度に基づいてROM11内に格納し
た図8のテーブルを参照して、通常よりもエネルギーの
高い通電デューティーを決定する。決定した通電デュー
ティーに対応したパルス幅またはパルス間隔で、ステッ
プS8にて保温ヒーター21dに通電する。そして、上
記ステップS7,S8は、ステップS9でタイマー12
が5秒経過するまで繰返される。
【0031】なお、本実施例では吐出回復処理をユーザ
から指示された場合と、3日間以上記録が行なわれなか
ったときの最初の記録時に行なっている。
【0032】上記実施例では保温ヒーター21dに通電
するデューティーを制御して単位時間当りのエネルギー
を制御したが、通電デューティーをエネルギー換算する
ことにより、一定周期、一定パルス幅のもとで通電電圧
を変化させて上述制御を実現することも可能である。ま
た、パルス通電でなく、連続通電において電圧をアナロ
グ的に変化させることもできる。
【0033】(実施例2)実施例1では、吐出回復処理
後、インク温度を適温に戻すまでに5秒ほどの時間を要
するため、吐出回復処理後すぐに記録を行なう場合は、
5秒間記録開始を中断して、その後記録を行なわねばな
らず、記録時間が5秒長くなってしまう。そこで、本実
施例は、吐出回復処理によるインク温度低下を補う保温
ヒーターの通電制御を、吐出回復処理の一連のシーケン
スの中で行なうことにより、吐出回復処理後すぐに記録
を行なっても適正記録濃度を得ることを可能とするもの
である。
【0034】図12に吐出回復処理のフローチャートの
一例を示す。
【0035】図12において、ステップS100はポン
ピング工程であり、ヘッドの吐出口形成面を被覆したキ
ャップにポンプによる吸引力を作用させて、吐出口から
インクを吸引する。ステップS200はキャップをヘッ
ドからはなした状態でキャップに吸引力を作用させて、
キャップに残留したインクを吸引する空吸引工程であ
り、S300はキャップに向かってインクを吐出させる
予備吐出工程である。ステップS401〜S406は空
吸引工程であり、S500はブレードによってヘッドの
吐出口形成面を拭くワイピング工程である。これを見て
もわかるとおり、吐出回復処理は時間管理を含めた制御
が複雑なため、これと平行して、別途保温ヒーターの通
電制御を行なうことはむずかしい。
【0036】そこで、本実施例では吐出回復処理の一連
の動作のなかでのタイミングを利用して、それに同期し
て保温ヒーターにパルス通電している。
【0037】ステップS401、S403、S405で
駆動されるポンプモーターは400PPSで駆動されて
いるため、図12で〜の4度のポンプモーターの正
転開始時の時間間隔はそれぞれ、767.5ms(18
7/400+0.3(s))、725ms(170/4
+0.3(s))、725msとなり、ほぼ平均して7
39ms周期と考えてさしつかえない。
【0038】よって、上記739ms周期で4回パルス
通電することでうまくインク温度の低下を補う通電パル
ス幅を設定している。全体の制御時間は約3秒間となる
ので、図7より必要となる通電デューティーを図13の
ように決定することができる。これを739ms周期と
して通電パルス幅に換算すると、図14のようになる。
よって、各環境温度について、吐出回復処理フローチャ
ート中の〜の4つのタイミングにつてい、図14の
パルス幅で保温ヒーターを通電することにより、目的を
達することができる。
【0039】なお、図14のパルス幅を、図5の6秒間
隔での通常の保温ヒーター通電制御時のパルス幅と比較
すると、ほぼ等しい値となっている。よって、回復処理
中の補正パルス幅をそのまま通常時と同じ図4の値とし
ても、ほとんど問題がない。こうすると、環境温度とパ
ルス幅とのテーブルを共通化できるので、テーブルを1
つに減らすことができる利点がある。
【0040】この保温ヒーターの通電制御について、図
15のフローチャートを参照して説明する。ステップS
11で環境温度を検出し、ステップS12で通電パルス
幅を決定する。このパルス幅は上述のように吐出回復処
理の有無にかかわらず共通に用いられる。ステップS1
3〜S15で吐出回復処理がない場合のパルス通電がな
される。ステップS16では、吐出回復処理中に図12
で示したタイミング〜で、保温ヒーターにパルス通
電を行なう。
【0041】なお、回復処理中のパルス巾を決定した
後、それに合わせて通常のパルス間隔を決定すれば、ど
んな場合でも図15のフローチャートを利用できる。ま
た、回復処理中のパルス通電回数や通電タイミングは、
図12の〜に限らなくともよい。さらに、保温ヒー
ターの通電デューティーとインクの昇温量との関係さえ
わかれば、保温ヒーターはどんなものでもかまわない。
【0042】(実施例3)実施例1、2は、制御対象と
するインク温度を直接検出するのではなく、環境温度を
検出してオープンループ制御を行なっていた。これに対
し、本実施例は、インク温度検出用の温度センサ21e
(図2(B))を用いて、クローズドループ制御を行う
ものである。この場合は、実施例1と同様に例えば図8
のようなテーブルを用いて制御することで、時間のカウ
ントが不要となる。
【0043】図17に本実施例のブロック図を示すよう
に、環境温度を検出する温度センサー14のかわりに、
インク(ヘッド)の温度を検出する温度センサー21e
を有する。この温度センサー21eは図2(B)に示す
ように、吐出用ヒーター21gの近傍に左右に位置して
おり、ダイオードまたはアルミ配線等で形成されてい
る。また、ROM11には図16に示すテーブルが格納
されている。
【0044】本実施例の通電制御は、図17のフローチ
ャートに示すように、ステップS21〜S25までは図
11に示す制御と同様である。ステップS22で吐出回
復処理があれば、ステップS26で温度センサー21e
によってインクの温度を検出し、ステップS27でイン
ク温度が20℃以上か否かを判断する。20℃未満であ
れば、ステップS28でインク温度に基づいてROM1
1内に格納した図8のテーブルを参照して、通常よりも
エネルギーの高い通電デューティーを決定する。決定し
た通電デューティーに対応したパルス幅またはパルス間
隔で、ステップS29にて保温ヒーター21dに通電す
る。以上より、インク温度が20℃に達するまでステッ
プS26〜S29が繰返され、すみやかにインク温度を
常温まで上昇させることができる。
【0045】またその他のクローズドループ制御の方法
として、インクの温度制御目標温度(本実施例の場合2
0℃)と、インク温度センサにて測定されたインクの温
度との温度差に応じて前記保温ヒーターに保温エネルギ
ーを印加することで制御することも可能である。またこ
の制御方法では保温ヒータへの印加エネルギーは、定常
印加ではなく、前記温度差に応じて連続的に変化させ目
標温度に近づくに従い印加エネルギーを小さくし目標温
度に達すると定常印加とする。
【0046】なお、従来方式の制御において、インク温
度が低下して問題となる場合は、本実施例のポンプによ
る吐出回復処理のほかに次のような場合があり、その場
合においても本発明は有効である。第1は、インクに吐
出口以外から圧力を加えて、インクを吐出口から強制的
に押し出す吐出回復処理、第2は、インク吐出口を下方
に向けることにより、重力を利用してインクを吐出口か
ら自然に流出させる吐出回復処理、第3は、発熱を伴わ
ない記録方式における、通常のインク吐出と同様にイン
クを吐出廃棄する予備吐出による吐出回復処理などがあ
る。
【0047】なお、いずれの実施例とも、記録媒体の吐
出量が温度依存性をもつものすべてに適用可能であり、
熱エネルギーを利用したり、電圧素子等による機械的エ
ネルギーを利用するオンデマンド方式、コンティニュア
ス方式などのインクジェット方式のみならず、記録ヘッ
ド部で記録時に固体インクを溶融吐出させる方式でもよ
い。
【0048】また、保温ヒーターは、インクを直接加熱
しても、間接的に加熱してもかまわないし、その種類や
設置部位も特定されるものではない。
【0049】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用する方式の記録ヘッド、記録
装置に於いて優れた効果をもたらすものである。
【0050】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、
結果的にこの駆動信号に一対一対応し液体(インク)内
の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長、
収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行な
われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出
が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号
としては、米国特許第4463359号明細書、同第4
345262号明細書に記載されているようなものが適
している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明
の米国特許第4313124号明細書に記載されている
条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができ
る。
【0051】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応せる構成を開
示する特開昭59年第138461号公報に基づいた構
成としても本発明は有効である。
【0052】
【発明の効果】吐出回復処理によるインク流出後に、保
温ヒーターへの通電エネルギーをそれ以前と変化させる
ことにより、インク流出により低下したインク温度をす
ばやく適温にもどすことで、吐出回復処理後でも適正記
録濃度で記録できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】環境温度と記録濃度の関係を示すグラフであ
る。
【図2】ヘッドカートリッジの詳細を説明するための図
である。
【図3】保温ヒーターにパルス通電制御したときの経過
時間とインク昇温量の関係を示すグラフである。
【図4】従来例の環境温度と通電デューティーとの対応
テーブルである。
【図5】従来例の環境温度と通電パルス幅との対応テー
ブルである。
【図6】従来例の環境温度と通電パルス間隔との対応テ
ーブルである。
【図7】保温ヒーターにパルス通電制御したときの制御
時間とインク昇温量の関係を示すグラフである。
【図8】実施例1の環境温度と通電デューティーとの対
応テーブルである。
【図9】実施例1の環境温度と通電パルス幅との対応テ
ーブルである。
【図10】実施例1の制御ブロック図である。
【図11】実施例1の制御フローチャートである。
【図12】実施例2の保温ヒーター通電タイミングを示
す吐出回復処理のフローチャートである。
【図13】実施例2の環境温度と通電デューティーとの
対応テーブルである。
【図14】実施例2の環境温度と通電パルス幅との対応
テーブルである。
【図15】実施例2の制御フローチャートである。
【図16】実施例3の制御ブロック図である。
【図17】実施例3の制御フローチャートである。
【符号の説明】
10 CPU 11 ROM 12 タイマー 14 温度センサー 15 カウンター 21d 保温ヒーター 21e 温度センサー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出口からインクを吐出する記録ヘッド
    を用いて記録を行なうインクジェット記録装置におい
    て、 非記録時に前記記録ヘッドからインクを流出させて吐出
    回復処理を行なう吐出回復手段と、 前記記録ヘッド内のインクを供給される駆動信号のエネ
    ルギーによって加熱する加熱手段と、 この加熱手段に供給する駆動信号の単位時間当りのエネ
    ルギーを、前記吐出回復手段により吐出回復処理が行な
    われる場合に増加させる加熱制御手段と、を具備したこ
    とを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記吐出回復手段は、吸引手段により前
    記記録ヘッドからインクを吸引することを特徴とする請
    求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記吐出回復手段は、加圧手段により前
    記記録ヘッドからインクを押出すことを特徴とする請求
    項1記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記吐出回復手段は、吐出手段により前
    記記録ヘッドからインクを吐出することを特徴とする請
    求項1記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記記録ヘッドは、インクを吐出する複
    数の吐出口と、対応する吐出口毎に設けられ、インクに
    熱による状態変化を生起させ該状態変化に基づいてイン
    クを前記吐出口から吐出させて飛翔的液滴を形成する熱
    エネルギー発生手段とを有したことを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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