JPH0584181B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ビル等の建物に備える避難用降下具
に関する。

〔従来の技術〕

ビル等の建物では、火災等の危険発生時に、緊
急避難できるよう室内、ベランダあるいは廊下等
に避難梯子やロープ等の避難具を備え付けている
所が多い。

しかし、この避難具は必ずしも各室毎全部に備
えられるものではなく、所定の室やあるいは廊下
に面した避難口の近くなど、各階につきわずか１
〜２個所の限定された場所に設置されるにすぎな
い。

また、この避難具は地上まで安全に到達できる
よう、地上から各階までの高さ分に等しい長さを
有するものがほとんどである。

〔発明が解決しようとする課題〕

このため、火災等の危険が発生した時、避難具
が設置されている場所が火元であるなど、限定さ
れた設置場所が危険状態にある場合には、避難具
の使用が不可能となつて無事に避難できないおそ
れがあり、安全面で問題がある。

また、避難具は、地上から各階までの高さ分の
長さを有するため、上層階になるにしたがい非常
に長尺なものとなつて保管場所に大きなスペース
を必要とし、居住空間を狭くするなどの不都合が
ある。

本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、
避難可能な場所から脱出できて避難時の安全性を
確保でき、避難具の保管スペースもわずかなもの
ですみ、また、鎖の連結が外れないように工夫を
して安全性が高く、さらに、連結した鎖およびこ
れにつかまつている人間の重量が規定の安全圏を
越えると報知して、これ以上重量が増えると危険
であることを次に降りる予定の人に認識させられ
る避難用降下具を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は前記目的を達成するため、両端に開口
を塞ぐ係止片を有するフツク部を形成した降下用
の長尺部材としての鎖と、ビルの壁面などに設け
た、前記鎖とこれに吊下がる人間の総重量を検知
する重量検知器とからなり、該重量検知器の下面
に前記鎖を吊下げる吊下具を取付け、上面には報
知器を設け、重量検知器からの検知信号を該報知
器に導入することを要旨とするものである。

〔作用〕

本発明によれば、可搬性のある長尺部材として
の鎖を例えば各室毎に備えておき、一方、建物内
の各室の窓際の壁などに適宜１〜２個所重要検知
器と報知器とを設置してあるので、危険発生時に
は脱出可能な安全な室を選んで、前記長尺部材と
しての鎖をその両端の連結手段を介して順次連結
して地上にまで達するようなさらに長尺なものと
する。

この鎖の連結は、鎖のフツク部の係止片を開い
て該フツク部を重要検知器の吊下具に掛止し、係
止片を閉じて吊下具からフツク部が外れないよう
にしておく。

そして、持ち寄つた多数本の鎖を順次下方に連
結して地上まで達する長さとしたならば、これを
伝つて降下し建物の外に脱出する。

この際、連結された多数本の鎖及びこれに吊下
がつた人間の総重量は重量検知器で検出され、安
全圏外の重量が検知されると該重量検知器から報
知器に出力され、これが作動して光または音など
で危険を報知する。よつて、この場合は、地上に
人が到達するのを待つてから次の人間が吊下る
か、または、体重の軽い人間が吊下るなどして総
重量を調整する。

〔実施例〕

以下、図面について本発明の実施例を詳細に説
明する。

第１図は本発明の避難用降下具の実施例を示す
正面図で、図中１は降下用の長尺部材としての鎖
を示し、この鎖１の一端に連結手段としてのフツ
ク部２を形成し、該フツク部２にはその開口を塞
ぐ係止片２ａが開閉自在に設けてある。また、鎖
１の他端は同じく連結手段としてフツク部２′を
形成した。なお、鎖１の１本分の長さは任意に決
定できるが、一例として室内等の壁面に吊下げて
おいても邪魔にならない長さとして２ｍ程度のも
のが考えられる。

そして、室５の窓６の上方の壁７面などに、鎖
１とこれに吊下がつた人間の総重量を検知する重
量検知器４を設け、該重量検知器４の下面に鎖１
を吊下げる吊下具４ａを取付け、上面には報知器
８を設け、重量検知器４からの検知信号を該報知
器８に導入した。

このようにして、建物内の各室５の窓６際の壁
７などに適宜１〜２個所重量検知器４と報知器８
とを設置し、鎖１のフツク部２の係止片２ａを開
いて該フツク部２を吊下具４ａに掛止し、係止片
２ａを閉じて吊下具４ａからフツク部２が外れな
いようにして鎖１を重量検知器４から吊下してお
く。なお、この吊下個所としては、前記したよう
な窓６際であれば、例えばカーテンレールに引掛
けて吊れば、鎖１はカーテンの陰に隠れるから体
裁がよい。

そして、火災等の危険発生時には、各室５に備
えてある鎖１を各人が避難口に持ち寄る旨を予め
取決めておき、例えば火元から１番遠い安全な室
５以外の室５に備えてある鎖１は、フツク部２を
吊下具４ａから外して安全な室５へ持ち寄り、こ
の室５に備えてある鎖１の下端のフツク部２′に
他の室５からの別の鎖１の上端のフツク部２を連
結する。

このようにして、持ち寄つた多数本の鎖１を順
次下方に連結して地上まで達する長さとしたなら
ば、これを伝つて降下し建物の外に脱出する。

この際、連結された多数本の鎖１及びこれに吊
下がつた人間の総重量は重量検知器４で検出さ
れ、安全圏外の重量が検知されると該重量検知器
４から報知器８に出力され、これが作動して光ま
たは音などで危険を報知する。よつて、この場合
は、地上に人が到達するのを待つてから次の人間
が吊下るか、または、体重の軽い人間が吊下るな
どして総重量を調整する。

なお、前記実施例は降下具として鎖を用いる場
合を例にとつて説明したが、これに限定されるも
のではなく、梯子やロープ等、長尺で上下に連続
して連結可能な部材であればどのようなものでも
用いることができる。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明の避難用降下具は、避
難具の設置場所が限定されず、しかも分割状態で
設置されるから、危険発生時に避難具の全部が消
失して脱出不能となるおそれがなく、しかも避難
するのに最も安全な場所を適宜選定できるので、
避難時の安全性、確実性を確保できる。

また、各階から地上まで達するような長い避難
具を１個所にまとめて設置する必要がないから、
保管場所に大きなスペースを必要とせず、居住空
間が狭くなるおそれもないものである。

そして、連結された多数本の鎖及びこれに吊下
がつた人間の総重量は重量検知器で検出され、規
定の安全圏を越える重量が検知されると該重量検
知器から報知器に出力され、これが作動して光ま
たは音などで危険を報知する。

よつて、この場合は、地上に人が到達するのを
待つてから次の人間が吊下るか、または、体重の
軽い人間が吊下るなどして総重量を調整するため
の判断材料となり、安全性が高いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の避難用降下具の実施例を示す
正面図、第２図は同上設置状態を示す斜視図であ
る。 １……鎖、２，２′……フツク部、２ａ……係
止片、４……重量検知器、４ａ……吊下具、５…
…室、６……窓、７……壁、８……報知器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 両端に開口を塞ぐ係止片を有するフツク部を
   形成した降下用の長尺部材としての鎖と、ビルの
   壁面などに設けた、前記鎖とこれに吊下がる人間
   の総重量を検知する重量検知器とからなり、該重
   量検知器の下面に前記鎖を吊下げる吊下具を取付
   け、上面には報知器を設け、重量検知器からの検
   知信号を該報知器に導入することを特徴とした避
   難用降下具。