JPH058373Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、自動変速機の潤滑装置に関するもの
である。

(ロ) 従来の技術 従来の自動変速機の潤滑装置としては、例えば
「ニツサンオートマチツクトランスミツシヨン
1982整備要領書」（日産自動車株式会社発行）の
第７頁に示されるようなものがある。この自動変
速機のケーシングを構成するリヤエクステンシヨ
ンの内壁天井にはリブが設けられている。このリ
ブは、スリーブヨークを支持するための軸受であ
るリヤエクステンシヨンブツシユまでほぼリヤエ
クステンシヨン天井の全長にわたつて軸方向に伸
びている。このリブはガバナバルブから飛散して
くる油を補集してリヤエクステンシヨンブツシユ
に送り込むためのものである。すなわち、ガバナ
バルブの調圧作用により排出された油は遠心力に
よつて半径方向外方に飛散し、その一部はリブに
接触し油滴となつて傾斜したリブに沿つて流れ、
リヤエクステンシヨンブツシユに達する。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかしながら電子制御式の自動変速機の場合、
車速センサーを用いて車速を検出するためガバナ
バルブが設けられておらず、上記のような方法で
は十分な潤滑油量を確保することができない。こ
の問題を解決するため、コントロールバルブから
パイプを通してリヤエクステンシヨンブツシユま
で潤滑油を強制的に供給する方法もあるが、この
場合にはパイプを設ける必要があるため価格が上
昇することになり、パイプの取付作業も面倒であ
り、また振動によつてパイプが破損したりするこ
とがないように十分な配慮が必要となる。本考案
は、このような問題点を解決することを目的とし
ている。

(ニ) 問題点を解決するための手段 本考案は、アウトプツトシヤフトから噴出させ
た油をいつたんパーキングギヤの斜面部に衝突さ
せて飛散させるようにすることにより、上記問題
点を解決する。すなわち、本考案による自動変速
機の潤滑装置は、アウトプツトシヤフトの中心部
から半径方向に潤滑用の油を送り出すようにアウ
トプツトシヤフトに設けられた油穴と、上記油穴
から噴出する油が衝突して斜め後方に向きを変え
るようにパーキングギヤに設けられた斜面部とを
有している。

(ホ) 作用 アウトプツトシヤフトの油穴から半径方向に噴
出する油はパーキングギヤに設けた斜面部に衝突
する。このため、油は斜面部の傾斜によつて方向
を変えられ、斜め外周方向へ飛散することにな
る。油穴から噴水状になつて噴出した油は斜面部
との衝突によつて砕けて散り、油滴となつて飛散
する。これによりリヤエクステンシヨン内壁天井
に設けられたリブによつて補集される油の量が増
大する。すなわち、油が上述のように小さな油滴
となつて飛散するため、リヤエクステンシヨンの
長手方向の広範囲にわたつて油滴が散布される状
態になる。従つて、リブの全長において油滴が補
集されるためリブを伝わつて流れる油の量が増大
する。また、パーキングギヤの斜面部に衝突した
油の一部はパーキングギヤに付着して状態で外周
方向に流れ、パーキングギヤ外周から遠心力によ
つて半径方向に飛散させられる。この油もリブに
よつて補集される。こうすることによつて効率良
くリブによつて油が補集され、十分な量の潤滑油
が軸受に供給される。

(ヘ) 実施例 第１図に示すように、自動変速機のケーシング
を構成するリヤエクステンシヨン１０は内壁天井
に潤滑用のリブ１２を有している。リブ１２はリ
ヤエクステンシヨン１０の内壁に沿つて軸方向に
ほぼ全長にわたつて伸びており、その一端部はリ
ヤエクステンシヨンブツシユ１４（軸受）に設け
た穴１４ａの上部に達している。リヤエクステン
シヨンブツシユ１４はアウトプツトシヤフト１６
の後端のスプライン１８とかみ合うスリーブヨー
ク（図示されてない）の外周を支持するためのも
のである。アウトプツトシヤフト１６にはパーキ
ング機構を構成するパーキングギヤ２０が一体に
取り付けられている。パーキングギヤ２０は後端
側内周部に斜面部２２を有している。この斜面部
２２に面するようにアウトプツトシヤフト１６に
半径方向の油穴２４が設けられている。油穴２４
はアウトプツトシヤフト１６の中心部に軸方向に
設けられた潤滑用穴２６と連通している。潤滑用
穴２６には図示してない油圧制御装置から所定の
圧力の油圧が供給される。

次にこの実施例の作用について説明する。自動
変速機の運転中は潤滑用穴２６に所定圧力の潤滑
油が供給されており、これにより油穴２４から油
が噴出する。油穴２４から噴出する油はパーキン
グギヤ２０の斜面部２２に衝突する。この斜面部
２２への衝突によつて油は飛び散つて油滴状にな
ると共に斜面部２２の傾斜に沿つて斜め後方に飛
散する。こうして飛散した油はリヤエクステンシ
ヨン１０の長手方向に広い範囲にわたつて分布す
るため相当量の油滴がリブ１２に接触して補集さ
れ、比較的大きな油滴となつてリブ１２に沿つて
重力により後方に流れる。また、斜面部２２に吹
き付けられた油の一部は斜面部２２に付着し、パ
ーキングギヤ２０の後端面に沿つて流れ、遠心力
によつてパーキングギヤ２０の外周部から吹き飛
ばされる。この油もリブ１２によつて補集され
る。こうしてリブ１２に沿つて流れてくる油滴に
よりリヤエクステンシヨンブツシユ１４の潤滑が
行われる。これにより常に十分な量の潤滑油が確
保される。なお、油穴２４から噴出する油をその
まま直接リヤエクステンシヨン１０の内壁に衝突
させた場合には、リブ１２の油穴２４に面してい
る部分にのみ油が飛来してくることになるため、
十分な量の油をリブ１２によつて補集することが
できない。この実施例の場合には、油を斜面部２
２に衝突させることにより、幅広い範囲に油を飛
散させることができ、より効率的に油を補集する
ことができる。

(ト) 考案の効果 以上説明してきたように、本考案によると、ア
ウトプツトシヤフトに設けた油穴から噴出する油
をパーキングギヤの斜面部に衝突させて飛散させ
るようにしたので、リヤエクステンシヨンの潤滑
用のリブによつてより効率的に油を補集すること
ができ、十分な量の潤滑油量を確保することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す図である。 １０……リヤエクステンシヨン、１２……リ
ブ、１４……リヤエクステンシヨンブツシユ（軸
受）、１６……アウトプツトシヤフト、２０……
パーキングギヤ、２２……斜面部、２４……油
穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動変速機のケーシングを構成するリヤエクス
   テンシヨンの内壁天井に設けられたリブを伝わつ
   て流れる油を用いてスリーブヨーク支持用の軸受
   を潤滑する自動変速機の潤滑装置において、 アウトプツトシヤフトの中心部から半径方向に
   潤滑用の油を送り出すようにアウトプツトシヤフ
   トに設けられた油穴と、上記油穴から噴出する油
   が衝突して斜め後方に向きを変えるようにパーキ
   ングギヤに設けられた斜面部と、を有することを
   特徴とする自動変速機の潤滑装置。