JPH05812Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は装置を構成する部材等の一部に穿つた
深孔の位置を知るための工具に関し、特に丸深孔
の軸線位置を測定するための用具に関する。

従来の技術 従来、機械や装置等を構成する部材に、孔径に
比較して深さの大きい孔を穿つたとき、孔の位置
およびその中心軸が設計した通りに形成されたか
否かを検知するための適当な方法がなく、直線を
検出するための定規の如きものを孔の中に差込ん
で孔壁に添わせて、壁面の方向と基準面とのなす
角度を測定することを孔壁の数個所で行つて、そ
の平均値を求めるなど、面倒で多くの時間を掛け
ても不正確な値しか得られなかつた。また特に、
孔がテーパ状に先細又は先広になつているときな
ど測定誤差が大きくなり、簡単で正確な孔位置測
定法が望まれていた。

解決しようとする問題点 以上のような事情の下において、本考案は、丸
深孔の位置を簡単迅速に測定する方法を提案しよ
うとするものであり、そのために丸深孔の中心軸
の位置を測定するための工具を提供することを目
的とするものである。

問題点解決のための手段 上述のような本考案の目的は、断面円形で径が
テーパ状に徐々に増大するように形成された軸の
周にそつて同一径のボールを３個以上ほぼ等間隔
に配置し、丸孔の内面とテーパ軸の外面との間に
ボールを挟むようにすることにより丸孔の中心を
検出することが可能であることを利用して、中心
軸位置を測定することにより達成される。

すなわち、本考案の深孔の軸線位置測定用具
は、中央部位にストツパを設けた円柱形状の主軸
と、該主軸を囲みかつ一端を該ストツパに接して
設けられた主ばねと、端面で該主ばねを圧縮する
ように該主軸に摺動自在に嵌合した端部と該主ば
ねから遠い方に延長された筒部であつてその周り
に設けたボール保持孔内にほぼ等間隔に配置した
３個以上の同一径のボールならびに該ボールの脱
出を制限するボール保持ばねを備えたものとを有
する第１外スリーブと、該第１外スリーブの該筒
部内に設けられた第１副ばねと、外面が両端部に
近いほど小径となつていて、該主軸に摺動自在に
嵌合しかつその一端が該第１副ばねを圧縮するよ
うに該第１外スリーブの該筒部内に半ばが収容さ
れたテーパスリーブと、該テーパスリーブの他端
にその一端が接し該主軸を囲むように設けられた
第２副ばねと、圧縮された該第２副ばねと該テー
パスリーブの残りの半ばとを収容している個所で
あつてその周りに設けたボール保持孔内にほぼ等
間隔に配置した３個以上の同一径のボールならび
に該ボールの脱出を制限するボール保持ばねを備
えたものと内端面を該第２副ばねの他端に接して
該主軸に嵌合した端部とを有する第２外スーリー
ブと、該主軸の先端に固着されたスリーブストツ
パと、からなるものである。

このような本考案の深孔の軸線位置測定用具の
例を第１図により説明する。

１は主軸で、１ａはフランジ状のストツパであ
る。

２はテーパスリーブ、３は第１外スリーブ、
４，４′はボール、５，５′はボール保持ばね、６
は主ばね、７は第１副ばね、７′は第２副ばね、
８は第２外スリーブ、９は座金、１０はナツトで
ある。

第１外スリーブ３の端部３ａは、主軸１に摺動
自在に嵌合していて、筒部３ｂとフランジ部３ｃ
とに続いている。筒部３ｂの中程には周に沿つて
ボール保持孔３ｄがほぼ等間隔に少なくとも３個
設けられている。フランジ部３ｃと主軸１の中程
に設けられたストツパ１ａの間に設けられた主ば
ね６は、第１外スリーブ３を左方に押圧してお
り、それによつて第１および第２副ばね７，７′
は共に圧縮され、テーパスリーブ２および第１外
スリーブ３も左方に寄せられている。

テーパスリーブ２は、その両端部ともに外面が
円錐状に径が絞られているが、一方のみが端程小
径となつている片テーパ状の管を２個背中合せに
設けてもよい。テーパスリーブ２は主軸１に対し
てガタつかずかつ摺動自在であるように挿嵌され
ている。

第２外スリーブ８は、第１外スリーブ２と同様
な構造を持つているがフランジを有せず、主軸１
の先端に座金９およびナツト１０によつて第１外
スリーブ３と向い合うように挿嵌固定されてい
る。

第１外スリーブ３のボール保持孔３ｄの中には
同一径のボール４がガタつきのないように収容し
てあり、ボール保持孔３ｄの外側にはボール４が
脱出するのを制限するボール保持ばね５が設けら
れている。従つてボール４は、ボール保持ばね５
によつて内方に押されており、常時テーパスリー
ブ２の外面に接して転勤できるようになつてい
る。このような構造は、第２外側スリーブ８につ
いても全く同様である。

作 用 このような構造を有する本考案の軸線位置測定
用具を使用して測定を行なうに当たつては、先
ず、主軸１のストツパ１ａとフランジ３ｃとを近
付けて主ばね６を全圧縮する。このとき第１副ば
ね７および第２副ばね７′が伸張し、ボール４，
４′はテーパスリーブ２の径が小さい部分に移動
して釣合うので、それぞれ外スリーブ３および８
の外側にはボール４，４′が頭を出さない状態と
なる（第１図）。この状態のまま、第２図の如く、
測定しようとする円孔Ｘ（ここでは先広の孔の例
を示す）に挿入するが、ボールと孔壁は接触しな
い。測定用具が所定位置まで挿入されたのち、主
ばね６の抑止を開放すると、第１外スリーブ３お
よびテーパスリーブ２は左方に移動して、第３図
の如くボール４，４′が押出され、孔壁に押付け
られて停止する。このときテーパスリーブ２は、
従つて主軸１も、円孔の中心軸と同心の位置をと
る。ここで、主軸１の直円柱部分についてその傾
きや位置を精密に測定することによつて、孔の軸
線位置を知ることができる。

考案の効果 本考案に係る深孔の軸線位置測定用具は、前述
のように簡単な構造を有していて、迅速かつ簡単
に正確な孔の軸線位置を知ることができるもので
あつて、取扱いが容易であるばかりでなく、孔径
が深さ位置によつて変化しても測定可能なもので
ある。従つて深孔を設けた機械や装置の製作等に
当つて検査の精度が向上すると共に測定工数を著
しく削減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る深孔の軸線位置測定用具
の一部を切欠いた正面図およびそのＡ−Ａ線に沿
つた断面図である。第２図および第３図は、本考
案の測定用具を使用して深孔の軸線位置を測定す
るときの状態を示す図である。 １……主軸、２……テーパスリーブ、３……第
１外スリーブ、４，４′……ボール、５，５′ボー
ル保持ばね、６……主ばね、７，７′……副ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中央部位にストツパを設けた円柱形状の主軸
   と、該主軸を囲みかつ一端を該ストツパに接して
   設けられた主ばねと、端面で該主ばねを圧縮する
   ように該主軸に摺動自在に嵌合した端部と該主ば
   ねから遠い方に延長された筒部であつてその周り
   に設けたボール保持孔内にほぼ等間隔に配置した
   ３個以上の同一径のボールならびに該ボールの脱
   出を制限するボール保持ばねを備えたものとを有
   する第１外スリーブと、該第１外スリーブの該筒
   部内に設けられた第１副ばねと、外面が両端部に
   近いほど小径となつていて該主軸に摺動自在に嵌
   合しかつその一端が該第１副ばねを圧縮するよう
   に該第１外スリーブの該筒部内に半ばが収容され
   たテーパスリーブと、該テーパスリーブの他端に
   その一端が接し該主軸を囲むように設けられた第
   ２副ばねと、圧縮された該第２副ばねと該テーパ
   スリーブの残りの半ばとを収容している筒部であ
   つてその周りに設けたボール保持孔内にほぼ等間
   隔に配置した３個以上の同一径のボールならびに
   該ボールの脱出を制限するボール保持ばねを備え
   たものと内端面を該第２副ばねの他端に接して該
   主軸に嵌合した端部とを有する第２外スリーブ
   と、該主軸の先端に固着されたスリーブストツパ
   とからなる深孔の軸線位置測定用具。