JPH058016A - 溶湯搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 溶湯保持炉２内の溶湯３を吸入するシリンダ
ー吸込口５と、吸入した溶湯３を吐出するシリンダー吐
出口６とを備えたセラミック製シリンダー７を設け、こ
れに摺動自在に内嵌するセラミック製ピストン８を設
け、シリンダー吐出口６に連通接続して前記溶湯保持炉
２の溶湯液面よりも高い位置を経由するセラミック製溶
湯輸送管９を設け、この他端に溶湯供給口１０を形成す
ると共に、溶湯保持炉２内の溶湯３の液面を検出するフ
ロートＤを設け、この検出結果に基づいてシリンダー吸
込口５の液面からの深さを一定に保持するべく保持炉２
を昇降させる油圧昇降装置Ｐを設けて溶湯搬送装置を構
成してある。 【効果】保持炉の溶湯の浮上のろ等の不純物を混入させ
ずに、容易に定量供給ができる。この溶湯搬送装置によ
って、不純物の少ない優れた品質の鋳造製品を能率よく
製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶湯保持炉から溶湯を
取り出して搬送する溶湯搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の溶湯搬送装置としては、
ラドルと呼ばれる容器で溶湯を汲み上げて鋳型等に供給
する装置が広く用いられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
搬送装置では、ラドルで溶湯を汲み上げる際、浮上のろ
が混入しやすく、又溶湯が大気に触れて酸化物を生成し
やすいため、これらの不純物が製品の品質を損なう虞が
あった。又、例えば鋳型の大きさが異なると、これに対
応した溶湯量を供給するために、ラドルを傾けて溶湯を
汲み上げる等、操作に熟練を要し、特定の鋳型に応じて
適切な量の溶湯を定量供給することがむつかしいという
欠点があった。又、給湯中に溶湯温度が低下しやすいた
め、保持炉の温度をそれだけ高く設定しなければなら
ず、従って保持炉が消耗しやすく、エネルギーロスも大
きくなる欠点があった。更に又、ラドルが鋳鉄製で、耐
熱性を補うコーティングを施して使用するため手間がか
かり、それでも寿命が短いため、頻繁にラドルを取り替
えなければならず、そのため作業能率が落ちるという欠
点があった。そこで、本発明の目的は、浮上のろ等の不
純物が混入せず、定量供給が容易な、しかも作業性のよ
い溶湯搬送装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の溶湯搬送装置の特徴構成は、溶湯保持炉内
の溶湯を吸入するシリンダー吸込口と、吸入した溶湯を
吐出するシリンダー吐出口とを備えたセラミック製シリ
ンダーを設け、前記シリンダーに摺動自在に内嵌するセ
ラミック製ピストンを設け、前記シリンダー吐出口に連
通接続して前記溶湯保持炉の溶湯液面よりも高い位置を
経由する溶湯輸送管を設け、前記溶湯輸送管の他端に溶
湯供給口を形成すると共に、前記溶湯保持炉内の溶湯の
液面を検出する液面検出手段を設け、前記液面検出手段
の検出結果に基づいて前記シリンダー吸込口の前記液面
からの深さを一定に保持するために前記保持炉又は前記
シリンダーの少なくとも一方を他方に対し相対的に昇降
させる位置変更装置を設けてあることにあり、その作用
効果は次の通りである。

【０００５】

【作用】前記シリンダー吸込口とシリンダー吐出口とを
備えたシリンダーに摺動自在に内嵌するセラミック製ピ
ストンを設け、前記シリンダー吐出口に連通接続して前
記溶湯保持炉の溶湯液面よりも高い位置を経由する溶湯
輸送管を設け、前記溶湯輸送管の他端に溶湯供給口を形
成してあるので、シリンダー吸込口を溶湯保持炉の溶湯
中に浸漬した状態で、シリンダーを例えば垂直に配し、
前記ピストンをシリンダーに内嵌して上下に往復摺動さ
せると、ピストンを引き上げるときに内部に生ずる負圧
によって、浮上のろを含まない行程体積分の溶湯がシリ
ンダー吸込口から吸入され、ピストンを押し込むときに
内部に生ずる正圧によって定量の溶湯をシリンダー吐出
口から押し出すことができる。押し出された溶湯は溶湯
輸送管を介して搬送され、ピストンを引き上げて押し込
みを開始する時点乃至は前記シリンダー吐出口から溶湯
が押し出され始める時点で、前記溶湯輸送管内の溶湯の
レベルが前記溶湯保持炉の液面と同じ高さに保たれる。
一方、前記液面検出手段の検出結果に基づいてシリンダ
ー吸込口の溶湯保持炉液面からの深さを一定に保持する
位置変更装置を設けてあるので、これによって、溶湯保
持炉の液面はシリンダーに対して一定のレベルに保持さ
れ、従ってピストンの押し込みを開始する時点乃至は前
記シリンダー吐出口から溶湯が押し出され始める時点
で、前記溶湯輸送管内の溶湯の液面がシリンダーに対し
て１ストローク毎に同じレベルに戻る。つまり、各スト
ローク毎に同じ状態で溶湯を搬送できるので、溶湯は前
記溶湯供給口から精度よく定量供給される。又、溶湯は
搬送途中に大気中に開放されることがないので酸化物を
生成することが少なく、温度降下も小さい。又、接液
部、即ちシリンダー、溶湯輸送管、逆止弁は何れもセラ
ミック製にしてあるので、金属の溶出による不純物混入
の虞もなく、装置の耐久製も優れている。尚、前記シリ
ンダー吸込口をシリンダー側壁の前記ピストンストロー
ク範囲内で、且つ、シリンダー吐出口よりも高い位置に
配置すると、シリンダー吸込口に逆止弁を設けなくて
も、ピストン下降時に、ピストンの下端面がシリンダー
吸込口を過ぎると、シリンダー吸込口がピストンによっ
て閉じられて、ピストンの最下限位置に至るまで吐出口
から溶湯を押し出すことができる。又、シリンダー吸込
口をシリンダーの底部又は側面部分でピストンの最下限
位置より低い位置に設けると共に、シリンダー外部から
内部への前記溶湯の浸入を許容し、且つ、シリンダー内
部から外部への前記溶湯の逆流を阻止するセラミック製
逆止弁をこのシリンダー吸込口に設けると、ピストンを
引き上げ始める瞬間から溶湯がシリンダー内部に取り入
れられるので、ピストン駆動のための動力が小さくて済
むと共に、ピストンが下降し始めたところから前記最下
限位置に至るまで吐出口から溶湯を押し出すことができ
る。

【０００６】

【発明の効果】シリンダー吸込口を溶湯内に浸漬したま
まで溶湯をシリンダー内に取り込むことができるので、
従来のラドルで溶湯を液面より上に汲み上げる場合のよ
うに搬送される溶湯中に浮上のろが混入することがな
く、搬送途上において溶湯が開放された大気中に晒され
ることがないから酸化物の生成も防止できる。又、例え
ば鋳型の大きさが異なっても、これに対応した溶湯量を
供給するために、ラドルを傾けて溶湯を汲み上げる等、
操作に熟練を要することなく、特定の鋳型に応じて適切
な量の溶湯を定量供給することが容易に行えるようにな
った。又、搬送中の溶湯温度低下を小さく抑えることが
できるので、給湯温度の管理が容易であるばかりでな
く、保持炉の温度を必要以上に高く設定しなくても済
み、従って保持炉の消耗も少なく、エネルギーロスも小
さくなる。更に又、接液部がセラミック製であるため、
鋳鉄製のラドルのようにコーティングを施す必要もな
く、頻繁にラドルを取り替える必要もないので作業能率
が改善された。つまり、鋳型等に供給する溶湯中に浮上
のろ等の不純物が混入せず、定量供給が容易で、維持管
理の容易な、作業性のよい、溶湯搬送装置を提供するこ
とができ、その結果不純物の少ない優れた品質の鋳造製
品を能率よく製造することができるようになった。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は本発明による溶湯搬送装置の原理と使用状
況の概要を示す説明図である。溶湯保持炉２からアルミ
ニウムや亜鉛等非鉄金属の溶湯３をダイキャストマシン
４に給湯するように溶湯搬送装置１を配してある。前記
ダイキャストマシン４は、溶湯受入口１２からプランジ
ャースリーブ１３内に受け入れた溶湯３をプランジャー
１４で金型１５内に圧入するようにしてある。図１と図
２に要部縦断面図を示すように、前記溶湯搬送装置１
は、溶湯３を吸入するシリンダー吸込口５と、吸入した
溶湯３を吐出するシリンダー吐出口６とを備えたセラミ
ック製シリンダー７を、シリンダー吐出口６が溶湯中に
浸漬される状態で垂直に設け、前記シリンダー７に摺動
自在に内嵌するセラミック製ピストン８を設け、前記シ
リンダー吐出口６に連通接続してそのシリンダー吐出口
６近くから立ち上がると共に、前記溶湯保持炉２の溶湯
液面よりも高い位置を緩傾斜の下り勾配で前記ダイキャ
ストマシンに向い、且つ、前記前記プランジャー１４の
受け入れ口１２の真上からこれに向かって垂直に下がり
その下端にダイキャストマシンへの溶湯供給口１０を形
成したセラミック製溶湯輸送管９を設け、前記溶湯保持
炉２内の溶湯３の液面を検出する液面検出手段たるセラ
ミック製フロートＤを設け、前記フロートＤの検出結果
に基づいて前記シリンダー吸込口５の前記液面からの深
さを一定に保持するために前記保持炉２を昇降させる位
置変更装置たる油圧昇降装置Ｐを設けてある。尚、シリ
ンダー吸込口５は前記シリンダー７側壁のピストンスト
ローク範囲内に配置し、前記シリンダー吐出口６はピス
トンストローク範囲よりも低い位置に配置してある。前
記シリンダー７に内嵌するピストン８は、鉄製のピスト
ンロッド１６を介して、ピストン駆動装置１８により上
下に摺動するようにしてある。セラミック部分は何れも
窒化珪素である。

【０００８】〔別実施例〕前記シリンダー吸込口５を、
ピストン８の最下限位置より低い位置、例えば図３に示
すように、シリンダー７の底部に設けると共に、シリン
ダー外部から内部への溶湯３の浸入を許容し、且つ、シ
リンダー内部から外部への溶湯３の逆流を阻止するセラ
ミック製逆止弁１１を前記シリンダー吸込口５に設けて
溶湯搬送装置１を構成してもよい。図３における部品の
符号は図１及び図２における対応部品の符号と同じであ
る。セラミック部分は例えばサイアロン等、窒化珪素以
外の耐熱素材を用いてもよい。前記フロートＤの代わり
に、例えば超音波による液面検出計を用いる等、他の液
面検出手段Ｄを用いてもよいし、前記溶湯保持炉７の重
量変化によって、又は、ピストン８のストローク数に比
例した量として溶湯保持炉７の液面の変化を間接的に知
る液面検出手段Ｄ等であってもよい。又、前記吸込口５
の溶湯保持炉７内の液面からの深さを一定に保持する位
置変更装置Ｐは、前記溶湯保持炉７は固定したままで、
溶湯保持炉内の湯面に追従してシリンダー７を溶湯輸送
管９と共に昇降する構成にしてもよい。この場合は、前
記溶湯輸送管９の溶湯供給口１０付近の垂直部分の管を
近接して内挿する受入管、又は濾斗形受け口等を前記プ
ランジャースリーブの溶湯受入口１２側に設ける構成に
すればよい。

【０００９】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による実施例の原理と使用状況の概要を
示す説明図

【図２】実施例における要部縦断面図

【図３】別実施例における要部縦断面図

【符号の説明】

２ 溶湯保持炉 ３ 溶湯 ５ シリンダー吸込口 ６ シリンダー吐出口 ７ シリンダー ８ ピストン ９ 溶湯輸送管 １０ 溶湯供給口 Ｄ 液面検出手段 Ｐ 位置変更装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶湯保持炉（２）から溶湯（３）を取り
   出して搬送する溶湯搬送装置であって、前記溶湯保持炉
   （２）内の溶湯（３）を吸入するシリンダー吸込口
   （５）と、吸入した前記溶湯（３）を吐出するシリンダ
   ー吐出口（６）とを備えたセラミック製シリンダー
   （７）を設け、前記シリンダー（７）に摺動自在に内嵌
   するセラミック製ピストン（８）を設け、前記シリンダ
   ー吐出口（６）に連通接続して前記溶湯保持炉（２）の
   溶湯液面よりも高い位置を経由するセラミック製溶湯輸
   送管（９）を設け、前記溶湯輸送管（９）の他端に溶湯
   供給口（１０）を形成すると共に、前記溶湯保持炉
   （２）内の溶湯（３）の液面を検出する液面検出手段
   （Ｄ）を設け、前記液面検出手段（Ｄ）の検出結果に基
   づいて前記シリンダー吸込口（５）の前記液面からの深
   さを一定に保持するために前記保持炉（２）又は前記シ
   リンダー（７）の少なくとも一方を他方に対して相対的
   に昇降させる位置変更装置（Ｐ）を設けてある溶湯搬送
   装置。
2. 【請求項２】 前記シリンダー吸込口（５）を前記シリ
   ンダー（７）側壁の前記ピストン（８）ストローク範囲
   内で、且つ、前記シリンダー吐出口（６）よりも高い位
   置に配置してある請求項１記載の溶湯搬送装置。
3. 【請求項３】 前記シリンダー吸込口（５）を前記シリ
   ンダーの底部又は側面部分でピストンの最下限位置より
   低い位置に設けると共に、シリンダー外部から内部への
   前記溶湯（３）の浸入を許容し、且つ、シリンダー内部
   から外部への前記溶湯（３）の逆流を阻止するセラミッ
   ク製逆止弁（１１）を前記シリンダー吸込口（５）に設
   けてある請求項１記載の溶湯搬送装置。