JPH0579075U - 鉄道車両用空気ばねの異常上昇止め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄道車両用空気ばねの改良された異常上昇止
め装置を提供する。 【構成】 ダイヤフラム形空気ばね３において、外筒４
と内筒５に相対向して１個ないし数個の球面座穴を設
け、該球面座穴に見合う球面頭部８と球面ナット７を有
する上昇止めボルト６を上記球面座穴に対し摺動自在に
嵌めて取り付け、空気ばねの異常上昇を防止するように
構成した鉄道車両用空気ばねの異常上昇止め装置であ
る。 【効果】 空気ばねの異常上昇抑制時に曲げモーメント
が生じない。そのため、空気ばね以外の装置の強度を増
強する必要がなく、台車の重量増加を抑制できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、鉄道車両用空気ばねの異常上昇を防止するための異常上昇止め装 置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

鉄道車両用空気ばねにおいては、空気系統の故障などによって異常に空気が入 って膨らみ過ぎを防止するため、異常上昇止めが用いられている。 その異常上昇止めは、図４に示すように、空気ばね３の内側位置において、Ｌ 形断面の係合金具を車体１の床面下に取着し、これに対向して台車２に門形の係 止金具１１を取着し、この係止金具１１に係合金具９の係止片１０が引っ掛かか るように組合わせてなる。

【０００３】 上記異常上昇止めは、図４、図６に示すように、通常は係止金具１１と係止片 １０の間に隙間δが存在するが、異常上昇が起こると、この隙間はなくなり、異 常上昇止めの作用により空気ばねの上昇は止まる。しかし空気ばねの荷重作用線 Ｗ上に押上げ力が働くと、図５に示すように、空気ばね３の中心から距離Ｌの所 にある異常上昇止め中心線Ｏを支点として上向きの曲げモーメントが作用する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のごとく、従来の異常上昇止めは、空気ばねから離れた位置に設置されて おり、空気ばねの異常上昇時には、台車に曲げモーメントが作用するから、これ に耐え得るように台車には十分な強度を持たせる必要がある。そのため、台車の 重量が増大する この考案は、上記の欠点を除き、空気ばねに異常な空気が供給され、異常上昇 止め装置が働いているとき曲げモーメントが生じない空気ばねの異常上昇止め装 置を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、この考案は、ダイヤフラム形空気ばねにおいて、外 筒と内筒に相対向して１個ないし数個の球面座穴を設け、該球面座穴に見合う球 面頭部と球面ナットを有する上昇止めボルトを上記球面座穴に対し摺動自在に嵌 めて取付け、空気ばねの異常上昇を防止するように構成した鉄道車両用空気ばね の異常上昇止め装置である。

【０００６】

【作用】

空気ばねの荷重作用線と異常上昇止め装置の作用中心線とが一致しているため 、空気ばねの異常上昇が起きても、曲げモーメントは生じない。 また、空気ばねは、通常の使用において外筒と内筒は上下、左右および前後方 向に自在に相対変位をする。この相対変位は異常時においても拘束されることな く自在に動き得る必要があるが、この考案では球面座によりその相対変位を吸収 することができる。

【０００７】

【実施例】

この考案の実施例を図１〜図３に基づいて説明する。 ダイヤフラム形空気ばね３の外筒４と内筒５に、直径線上で中心に対し相対向 した位置に球面座穴を設け、該球面座穴に見合う球面頭部８を有する上昇止めボ ルト６を貫通して球面ナット７を螺着し摺動自在に嵌め、外筒４と内筒５の相対 動きを許容して組立てる。

【０００８】 なお、球面ナット７は図３に示すように、通常は外筒４の上昇を許容するよう に球面座穴から離れた下方の位置にあり、外筒４の上昇が限界に達したとき球面 座穴に当接するように構成する。 また、この実施例においては、外筒４、内筒５と上昇止めボルト６との間の相 対動きを球面座により行っているが、球面座の代わりにゴムブッシュを介在して 行うこともできる。

【０００９】 この考案の実施によれば、図２に示すように、異常上昇止め作用中心線Ｏと荷 重作用中心線Ｗが一致しているため、台車には曲げモーメントは生じない。

【００１０】

【考案の効果】

この考案の異常上昇止め装置は、空気ばね内にあって空気ばねの異常上昇抑制 時に曲げモーメントが生じないから、空気ばね以外の装置の強度を増強する必要 がなく、台車の重量増加を抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施による空気ばねの概略を示す説
明図である。

【図２】この考案の実施による装置の異常時の空気ばね
の荷重作用と異常上昇止めとの力関係を示す説明図であ
る。

【図３】この考案の異常上昇止め装置を有する空気ばね
の詳細を示す断面図である。

【図４】従来の異常上昇止め装置を示す説明図である。

【図５】従来装置の異常時における空気ばねの荷重作用
と異常上昇止めとの力関係を示す説明図である。

【図６】図４の異常上昇止め装置の拡大斜視図である。

【符号の説明】

１ 車体 ２ 台車 ３ 空気ばね ４ 外筒 ５ 内筒 ６ 上昇止めボルト ７ 球面ナット ８ 球面頭部 ９ 係合金具 １０ 係止片 １１ 係止金具 Ｌ 距離 Ｏ 異常上昇止め作用線 Ｗ 空気ばねの荷重作用線 δ 隙間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイヤフラム形空気ばねにおいて、外筒
   と内筒に相対向して１個ないし数個の球面座穴を設け、
   該球面座穴に見合う球面頭部と球面ナットを有する上昇
   止めボルトを上記球面座穴に対し摺動自在に嵌めて取付
   け、空気ばねの異常上昇を防止するように構成した鉄道
   車両用空気ばねの異常上昇止め装置。