JPH0579043B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は植物体、果実、食品の表面に被覆させ
ることによつて果実の糖度向上促進、艶出し、病
害虫防除、植物体の病害虫防除、葉の艶出し、食
品の鮮度保持等の効果を有する果実の糖度向上
剤、植物病予防剤、食品鮮度保持剤及び防虫剤に
関する。 〔従来の技術〕 従来、果実を含めた植物体の病害虫の防除には
各種の農薬の散布が行なわれて来ている。これに
より病害虫の防除には一応目的を達しているが、
この農薬が人体にも有害である事は広く知れわた
つており、農業従事者の健康と共に、果実、野菜
に付着した農薬の除去が完全には困難なことから
消費者の健康が、これらの蓄積によつて害される
事が憂慮されている。このため農業従事者、研究
者、各農薬メーカー等の関係者は今日の農業と農
薬の在り方に深い危惧の念を表明している。また
各種食品にはその生産から消費までの間の防腐、
鮮度保持の目的で各種の食品添加物が添加されて
いるが、これが人体にも有害である事から、食品
添加物のない食品が望まれている。 このように近年、薬剤の人体への蓄積、発がん
性等が問題となつて来ており、農薬、食品添加物
に対する対策を真剣に考えようとする世論の動き
も急速にたかまつて来ている。 従つて、単に量的に微量とするとか、散布時期
を収穫時期とずらすなどという短期間の見かけ上
の無害という事ではなく、本質的に人畜に無害な
病害虫防除液、成育促進液、鮮度保持液が求めら
れている。 天然の植物、微生物は、夫々自己防御機構をも
つており、微生物間の拮抗作用はその一つである
が、そこで最近植物起源の抗菌性物質の研究が盛
んになつている。一方、海藻は緑藻、褐藻、紅藻
に分類されている。緑藻は生育時緑色を呈し、暖
海に多く見られ、アオサ、シオグサ等がこの類に
含まれる。クロロフイルを多く含み、アオサ、シ
オグサ等は飼料、肥料として用いられる。 褐藻は黄褐色又は黒褐色をしており、寒海に多
い、コンブ、ワカメ、ヒジキ、カシメ、ホンダワ
ラ等がこの類に属する。多糖類としてアルギン
酸、フコイジン、ラミラナンなどを多く含む。沃
素、カリウム等無機物含量が多いことで知られて
いる。コンブ、ワカメ、ヒジキ等は食用に、カジ
メ、ホンダワラ等はカリウム、沃素、アウギン酸
原料として使用されている。 紅藻は、海中生育時紅色を呈し、暖海、寒海に
生育する。 フイコエリトリン、フイコシアンなどの水溶性
蛋白質を含むが、主成分の炭水化物としては寒
天、フノリ質等のガラクタンの硫酸エステルであ
る。その他ズルシツト、ソルビツト等のエキス分
を含む。アマノリ、トサカノリは食用に、テング
サ、オゴノリは寒天原料、フノリ、ツノマタは織
物用の糊料として使用され、カイニンソウは駆蛔
虫剤として使用されて来た。 自然界では、動物、植物、微生物が相互にかか
わり合いながら、それぞれの生活圏を形成してい
る。そのからみ合いの中から淘汰と進化がくり返
されて、それぞれの合目的な自己防御機構が形成
されてきたと考えられる。微生物相互間の拮抗作
用はその１つであるが、海藻成分中の抗菌、抗カ
ビ、抗ウイルス、殺虫性もその一環と考えること
ができる。 前記の農薬々害問題とも関連し、又微生物の抗
生物質の研究に対応して最近植物起源の抗菌性物
質の研究が盛んになつて来ている。1950年以来、
海藻についても、細菌、カビ、ウイルスに対する
抗生物質の検索が広範囲にわたつて行われた結
果、かなりの海藻に抗微生物性や昆虫に対する毒
性が認められている。海藻中の抗菌性の主な成分
は脂肪酸、アクリル酸、ブロモフエノール類、タ
ンニン類、テルペル類であろうとされている。例
えばタンニン物質はホンダワラに付着生物が着く
ことを防ぎ、付着しても、その成長を阻止する作
用をもちこの作用は海藻を付着生物から守る重量
な機構であるとされている。 しかし、どの海藻中にどのような成分が多く、
それがどのような抗菌性、抗カビ性、抗ウイルス
性、殺虫性を示すかは未だ明らかにされていな
い。即ち海藻がその生存のために抗菌性物質をあ
る程度もつているであろう事は知られ、研究され
てはいるが、その実体は未だ明らかでない状態で
ある。 〔発明が解決しようとする問題点〕 発明者は前記の農薬、食品添加物の毒性に関す
る問題点を解決せんとし、海藻のもつ抗菌性、虫
害防除性の活用について種々検討を試みた。即ち
発明者は奄美諸島で昔、海藻のホンダワラを焼い
て虫よけに使用していた事を思い出し、又ボルネ
オ在住中、現地の人々が海藻を植物の艶出しに使
つていた事にヒントを得て、ホンダワラをアルカ
リ液で抽出した液について病害虫防除性、植物の
鮮度保持、艶出しについて調べた結果、ある程度
の効果は認められたが、不充分である事を知つ
た。 海藻はその多くの種類が食用とされ、従つて食
用とされるものについては、人畜に対する無害性
が長年にわたる食用により実証されているもので
ある。しかし食用となるすべての海藻が強い抗菌
性、病害虫防除性を有するわけではない。 本発明は従来農薬、食品添加物に使用されて来
た化学物質を使用することなく、天然の海藻の有
する抗菌性、病害虫防除性を活した植物・食品添
加物を提供することを目的とする。 更に海藻中で特に、これらの特性が優れた海藻
を見出すと共に、陸上のどの様な用途にどの様な
形体で、どのような使い方をすれば効果を発揮す
ることができるかを見出すことを目的とする。 陸上の植物、特に鑑賞用植物、野菜、果実、そ
の他食品保存等の目的に使用するには、散布によ
つて被覆するとして無色である事が必要である。
又無臭であることが求められる。海藻は陸上で腐
敗した時、強い臭気を放つことが知られている。
従つて海藻から誘導して無色・無臭の植物・食品
添加物を提供する事を目的とする。 更に製造直後に無色・無臭で効果のある物で
も、使用までに変質し、色や臭気を出し、効果の
なくなるものであつてはならない。即ち保存性の
良好な植物・食品添加物を提供する事を目的とす
る。 海藻から誘導しても、余りに多くの化学的処理
を経たのでは、当初の海藻が食用にし得る故に人
畜に無害であるという特性が失われてしまう危険
性がある。即ち原料の海藻から、その人畜無害性
が温存される程度の加工により得る植物・食品添
加物を提供することを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 発明者は前記のような問題点を解決するため研
究を行い、後記の如き海藻がその目的に合致する
事を見出し、又それよりその海藻の有する人畜無
害性をそこなう事なく、実質的に無色、無臭でし
かも保存性の良好な植物・食品添加物とすること
により目的を達することを見出し、本発明を完成
した。 即ち本発明は次の通りである。 (1) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻の熱水による抽出物を含有する果実糖
度向上剤、 (2) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻の熱水により抽出した液に植物油１〜
10重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを
２〜５となるように食用有機酸を添加してなる
果実糖度向上剤、 (3) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻の熱水による抽出物を含有する植物病
予防剤、 (4) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻を熱水により抽出した絵に植物油１〜
10重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを
２〜５となるように食用有機酸を添加してなる
植物病予防剤、 (5) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻の熱水による抽出物を含有する食品鮮
度保持剤、 (6) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻を熱水により抽出した液に植物油１〜
10重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを
２〜５となるように食用有機酸を添加してなる
食品鮮度保持剤、 (7) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻の熱水による抽出物を含有する防虫
剤、 (8) 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
する海藻を熱水により抽出した液に植物油１〜
10重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを
２〜５となるように食用有機酸を添加してなる
防虫剤。 紅藻類中のきりんさい属の海藻は、日本におい
てあまのり類おごのり、とさかのり、おきつのり
等と共に古来食用とされて来た海藻の１種であ
る。この中で特にとげきりんさい（学名
Eucheuma J.Agandh）、きりんさい（学名
Eucheuma Denticufatum Collins et Hervey）
が好ましい。とげきりんさいは、藻体は偏平でか
たい。両側または各方面から刺状の小枝を羽状に
出す。小枝は直角に近い角度ででることが多い。
全体は岩上に伏せるように生育することが多い。
高さ５〜10cm、マレー諸島、南西諸島、インド洋
に分布する。スギノリ目、ミリン科である。 きりんさいは、藻体は円柱状で、枝を各方面に
不規則に出す。枝は互いにからまつて全体はかな
り大きいかたまりとなる。枝の全表面に円錐状の
刺状の小枝が密生する。寒天や糊料の原藻とな
る。潮間帯の岩上、サンゴ礁上に生育する。高さ
10〜25cm、太さ２〜３mm、南西諸島、マレー諸
島、オーストラリヤに分布し、スギノリ目、ミリ
ン科である。いぎす属の海藻は平安時代より食用
にされて来た紅藻の１種であり、海髪とも云われ
学名をCeramiumと称する。この中でけいぎす、
はりいぎす、いねいぎすが好ましい。 前記の如く、海藻中には抗菌、抗カビ、抗ウイ
ルス、抗原虫、殺虫成分を含むものがある事は知
られ、その成分ではないかという成分も想定され
てはいるが、未だ確定的な成分は分つていない、
従つて本発明でも海藻名と抽出法とにより、有効
成分を特定せざるを得ない。これらの有効成分は
まだ医薬品としてはほとんど実用化されていな
い。しかし、これらの成分は海藻の生存に必要で
あり、海の生態系を保つための抗生物質である。 しかし判明している有効な性質は次の通りであ
る。紅藻類には細胞間物質としてガラクトースで
構成される粘質多糖類（ガラクタン）を多く含
む。これは熱水で藻体から抽出できる。この抽出
液は粘性を帯びており、放置すると凝固する。寒
天のようにゲル化する力の強いものと、フノリや
カラゲーニンのように弱いものがあり、後者は糊
料として用いられる。ゲル化能力は、多糖類中に
含まれる硫酸エステルによる硫酸含量の多少によ
るものである。硫酸含量が10％を超えるともはや
凝固しなくなる。寒天原料のテングサ類は３％以
下であり、スギノリ類は20％前後、本発明のイギ
ス類は４〜６％である。 本発明におけるきりんさい属及び／又はいぎす
属の海藻を熱水で抽出した液も、粘性を有し、糊
のような性質で物体の表面によく粘着する。これ
が植物食品添加物として用いた時、物体の表面に
うすく広く粘着し、空気や水分の流通をある程度
抑制したり、前記抗菌、抗カビ等の有効成分を長
く表面に保持するのに役立つているものである。
この抽出液は溶液の安定剤、乳化剤としての性質
を有している。これが植物油を分散乳化するのに
重要な働きをする。 原料海藻は採取した生のものでも差支えない
が、運搬等の便宜のためには、又採取時期と使用
時期のずれを調整するためには、乾燥させる事が
好ましい。この海藻は水で洗浄後、太陽光のもと
で乾燥すると色素が退色し、白くなり、無臭とな
る。これは本発明で無色・無臭の添加物とするの
に好ましいものである。 通常、水100重量部に対し、この乾燥海藻10〜
30重量部、好ましくは15〜25重量部を加え、温度
80〜95℃程度に加熱して、どろどろにする。80℃
以下では、抽出に長時間を必要とし、95℃を超え
て、沸騰させると粘性が低下して来て好ましくな
い。この液を濾過して抽出液を得る。この抽出液
は前記の如く界面活性作用があり、乳化性に富ん
でいる。そこで植物油１〜10重量％、好ましくは
３〜８重量％添加して分散乳化させる。この植物
油は液の植物体、食品への粘着力を高め、水によ
り洗い落されにくくなり、又表面光沢を増し、海
藻成分の艶出し効果をさらに高める働きをする。
海藻成分の人畜無害性を保持するためには、植物
油としても、それ自体食用とされるものであれば
何でもよいが、価格等から大豆油、オリーブ油、
サラダ油等が好ましい。色や臭気の少い植物油が
好ましい事は云うまでもない。 次に有機酸を添加してPHを２〜５、好ましくは
３〜４に調整する。これは、抽出乳化液の安定保
存性を高める効果があると共に、有機酸自体濃度
が高いものは、例えば食酢等で知られるように抗
菌、抗カビ、抗ウイルス性を有している。しかし
本願はこの有機酸によつて、この性質を発揮させ
るには余りにうすい濃度であることは明らかであ
る。有機酸としては、これもまた人畜無害性を保
持するため、食用とされている有機酸を使用す
る。クエン酸、醸造酢、リンゴ酸、米酢、酒石酸
等が好ましい。 植物油が１重量％未満であると、植物・食品に
被覆した時の光沢も不充分であり、又揆水性も不
充分であつて、粘着力も劣ることになる。10重量
％以上では、その効果も飽和し、また抽出液によ
る分散乳化も充分にできない。食用植物油である
から当然コスト高となる。 有機酸により、PH２未満にすれば、有機酸を大
量に使用しなければならずコスト高となる。また
有機酸によつては酸による臭気がきつくなり食品
添加物として不適となる。 PH５を超えると、有機酸による抗菌、抗カビ、
抗ウイルス性が不充分となり、植物・食品添加物
としての原液の保存性が保たれず、腐敗のおそれ
があり、これは着色や臭気発生につながる。 以上の使用原料を夫々殺菌使用すれば、その必
要は必ずしもないが、製造工程中に混入する細菌
等のため、この原液を瞬間高温殺菌して無菌の容
器に収納することが保存性保持のために好まし
い。又抽出液を凍結乾燥して、粉体として使用す
ることもできる。 このような処理を経て、製造した添加物は、一
切の合成着色料、合成保存料、合成酸化防止剤な
どの化学薬品を使用しなくても、腐敗、着色、酸
化等をすることはないし、又何等添加する必要は
ない。 使用方法としては、前記の原液を10〜15倍に希
釈して、植物体、果実、食品に直接噴霧、塗布、
浸漬等の手段により表面被覆を行うものであり、
食品保存などの目的によつては紙に含浸させ、樹
脂フイルムでラミネートして包装してもよい。し
かし植物、果実、害虫等には直接散布して被膜を
形成しないと効果を認められない。 効果としては、植物体に対する病害虫の防除、
果実の糖度向上、食品の鮮度保持が主なものであ
る。その他、果樹、農作物、観葉植物の艶出し、
光沢の増加、鮮度保持があげられる。病害虫の防
除としては、斑点、細菌病の抑制、予防がある。
本液体が対象物体を被覆する事により、粘着し、
水に洗い流される事なく長期間にわたり効果を持
続する。その効果も海藻の含有する抗菌、抗カ
ビ、抗ウイルス性と共に、食酢中の酢酸等の有機
酸が病原菌の胞子発芽を抑制、殺菌、消毒の効果
をもつものと考えられる。又植物の細胞組織を強
化し、耐病性を高めるものと考えられる。害虫の
卵のフ化、蛹の羽化をさまたげる、又液体が付着
した害虫は死滅する。例えば菊に散布した所、菊
の葉裏、表面に付いていた無数のアブラ虫の動き
が30秒で止まり、拡大鏡で見ると完全に死滅して
いるのが認められた、葉ダニ、蚊、蛾、ビニルハ
ウス粉ジラミ、蟻、カイガラ虫、シロアリ、ホシ
ケムシ、ツマグロヨコバイ、家ダニ、土中のヨト
ウ虫等に散布して見ると短時間で死滅した。 本発明の粘着性の液が虫体に粘着し、気孔、気
門を塞いだり、その界面活性により虫体に浸透
し、海藻、有機酸の殺虫力が強力に働くものと考
えられる。又柑橘類の黒点病や、ビワの紫斑病の
予防に効果が見られた。苺、ビワ、柑橘類、メロ
ン、りんご等の果実に対し、結実後、中間期、収
穫前と３回に分け散布した所、通常糖度を0.5度
上げるにも技術的に困難である所、糖度の１度な
いし２度の上昇が見られた。また、バナナに対
し、果皮に本発明液を散布又は塗布するだけで、
自然の光沢を保ち、且つ熟成を抑制して、長もち
させる。これは果実表面を粘着液が被覆すること
により、水分の蒸散をコントロールする事が関係
するものと考えられる。しかしその機能は明らか
ではない。又果実の艶出しに効果あり、ワツクス
処理を必要としない。植物・食品の鮮度保持につ
いては、鮮魚、貝類、野菜類、食肉を本発明液を
浸漬するか、これに散布した所、長期間にわたり
鮮度を保持した。観葉植物の葉の艶出し、光沢に
効果がある。畳表にするイ草の発色と鮮度保持に
効果がある。又干ぴようの着色を防ぎ光沢と鮮度
の保持に効果が認められる。 特異なケースとして、ハウス栽培の苺につい
て、毎年ハツカネズミに苺の種を食い荒されて困
つていた所、散布後は、ハツカネズミが忌避して
近づかなくなり、害が全くなくなつた。 苺については、この他苗の植付けから収穫迄、
本発明の植物添加物散布により病虫害の発生が極
めて少く、果肉が一廻り大きく成育し、糖度が、
散布しない従来のものにくらべて２度上昇する事
が確認された。 本発明の添加物は、このような効果を奏しなが
ら、原料はすべて食用にし得る人畜無害なもので
あり、しかもこの無害性をそこなうような激しい
化学処理を経ることなく製造し得るので、人畜に
全く害がないものである。 〔実施例〕 本発明の具体的な実施例を以下に述べるが、本
発明は実施例によつて何等限定されるものではな
い。 実施例 １ 乾燥きりんさい20重量部に水100重量部を加え
90℃に加熱してどろどろの状態とし、濾過して抽
出液を得た。この液に大豆油５重量％を添加し、
激しく攪拌し、分散乳化させた。この乳化液にPH
が４となる量だけクエン酸を添加し、この液を
120℃３秒間の瞬間殺菌して無菌の容器の保存し
て原液とした。 こん原液を10倍に希釈した液をビワの果実に散
布した所、次のような結果を得た。

【表】 実施例 ２ 実施例１の原液を10倍に希釈した液を柑橘類の
タンカンに結実後、中間期、収穫前の３回に分け
散布した。次のような結果を得た。

【表】 黒点病の発病度は、無処理の場合の2/3以下で
あり、着色の少ないものの個数が多い。糖度は
0.6の上昇が見られた。 実施例 ３ 実施例１，２と同じ液をメロンに対し、定植
時、開花前、ネツト発生時、収穫２週間前の４
回、10倍希釈液を散布した。

〔発明の効果〕

本発明の散布液を植物体に散布して、被膜を形
成すると、植物体の成育促進、病虫害の防除、葉
の艶出し、光沢の向上、鮮度保持の効果が認めら
れ、あらゆる花類の発色を鮮かにし、鮮度を長期
間保つ。果実は糖度が１度〜２度という通常考え
られない程の上昇が認められた。 畳表用のイ草の発色と鮮度保持、干ぴようの白
さと保持と光沢向上と鮮度保持に卓効があつた。 食品については、鮮魚、貝類、食肉、野菜類、
その他の加工食品についても、散布又は含浸ラミ
ネートフイルムによる被覆により、長期間の鮮度
保持が見られた。その他ハツカネズミなどの害動
物が忌避する効果も認められた。 原料は人間に長期間食用とされて来たもので、
製造もこれに変質的加工を行つていないので、人
畜に無害である事は明白である。 農薬、食品添加物の薬害問題の解決に大きな寄
与をなす優れた発明である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻の熱水による抽出物を含有する果実糖度
   向上剤。 ２ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻を熱水により抽出した液に植物油１〜10
   重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを２〜
   ５となるように食用有機酸を添加してなる果実糖
   度向上剤。 ３ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻の熱水による抽出物を含有する植物病予
   防剤。 ４ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻を熱水により抽出した液にに植物油１〜
   10重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを２
   〜５となるように食用有機酸を添加してなる植物
   病予防剤。 ５ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻の熱水による抽出物を含有する食品鮮度
   保持剤。 ６ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻を熱水により抽出した液に植物油１〜10
   重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを２〜
   ５となるように食用有機酸を添加してなる食品鮮
   度保持剤。 ７ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻の熱水による抽出物を含有する防虫剤。 ８ 紅藻類きりんさい属及び／又はいぎす属に属
   する海藻を熱水により抽出した液に植物油１〜10
   重量％を分散乳化させ、該分散乳化液のPHを２〜
   ５となるように食用有機酸を添加してなる防虫
   剤。