JPH0578099U - スピーカ用磁気回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単で手軽なショートリング付きの磁気回路
を使用して、電流歪みや高域インピーダンスの増大を抑
えた高性能スピーカを、安価に提供すること。 【構成】 多数本の導電体細線を伸縮可能に筒状に網組
した構造のショートリングを、センターポールに嵌合し
た構造の磁気回路。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、スピーカ用の磁気回路に関し、生産性が良好で、スピーカの歪を改 善する効果が顕著なショートリングを備えたスピーカ用磁気回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】

スピーカの電流歪のレベルを低下させ、且つ高域のインピーダンス上昇を押さ えることを目的として、磁路を構成する部材に電気良導体からなるショートリン グを設けた磁気回路が使用されているが、従来から周知の構成としては、センタ ーポールに銅製のショートリングを嵌合させた構造、或いは図４に断面を示すよ うに、上記の電流歪やインピーダンス上昇の軽減と共に、振幅歪を減少させるた めに振動方向の磁束分布を対称形とすることを目的として、センターポール11が フロントプレート12の上面より突出すると共に、センターポール11の磁気空隙以 外の部分11b は磁気空隙部11a より小径に形成され、当該小径部11b にショート リング15が嵌合された構造のスピーカ用磁気回路が存在する。なお、同図におい て、13はマグネットである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この様な構造を有する従来の磁気回路のショートリングは、いずれも銅をリン グ状又はキャップ状に切削又はプレス成形したものを使用しているので、高価で あると共に、寸法を個々のセンターポールに合わせて加工する必要があり、部品 種別が多数になって部品管理が困難になるという欠点があった。

【０００４】 又、図４に示す構造では、センターポール11の付根の方の小径の部分11b にシ ョートリング15を嵌合するためには、センターポール11とバックプレート14とを 、例えば同図のセンターポールに一点鎖線で示した部位等で分離した構造とする 必要があり、生産性を阻害する原因となるという解決すべき課題があった。

【０００５】 そこで本考案は、上記従来例に付する欠点を解消し、ショートリング部材とし てシールドスリーブ類似の構造の筒状銅網を使用することで、部品種別を増すこ と無く、生産性を向上させることが出来るスピーカ用磁気回路を提供することを 目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案に係るスピーカ用磁気回路を、実施例を示す 図１〜図３を用いて説明すると、本第１考案は、中心に円柱状のセンターポール １を突設したバックプレート４と、前記センターポール１と共にショートリング 状の磁気空隙を形成するフロントプレート２と、バックプレート４とフロントプ レート２とに挟持されたマグネット３と空なる磁気回路に於て、前記センターポ ール１の空隙部分を除く側面に電気良導体の網ショートリング５が嵌合されてい る構造のスピーカ用磁気回路であり、第２考案は、前記センターポール１がフロ ントプレート２の上面より突出すると共に、センターポール１の磁気空隙以外の 部分は磁気空隙部より小直径に形成され、当該小径部1bに電気良導体の網ショー トリング５が嵌合されている構造のスピーカ用磁気回路であり、いずれも、前記 網ショートリング５は多数本の導電体細線を伸縮可能に筒状に網組した構造を有 する事を特徴とする。

【０００７】

【作用】

そして、この様な構成の磁気回路では、網ショートリング５はシールドスリー ブ類似の構造であって、長さ方向並びに直径方法に伸縮性を有するので、１種類 の網ショートリング５によって、直径が異なる数種のセンターポールに対応する ことができる。

【０００８】 又、予め長尺となるように導電体細線5a，5bを網組しておき、必要の都度所定 の長さに裁断することにより、安価に、手早く生産に対応することができる。

【０００９】 更に、図３（又は図４）に示す形状の磁気回路であっても、センターポール１ の大径となった空隙部1aを、直径を拡大させて通過させ、小径部1bに嵌合させる ことが可能であり、センターポール１とバックプレート４とを一体構造として製 造費を低減させ、且つ組立費を節減することができる。

【００１０】

【実施例】

図１〜図３により、本考案の実施例を詳述すると、図１は本考案の網ショート リングの未切断状態の斜視図で、２系統の多数本の導電体（銅）細線5a，5bを、 相互に斜交させて円筒状に網組して、ケーブルのシールドスリーブ類似の筒状構 造体5cに形成されている。この筒状構造体5cは導電体細線の斜交角度が変化する ことにより、直径方向及び長さ方向に伸縮することが出来る。

【００１１】 図２、図５は第１考案の実施例（実施例１）で、図５は軸方向断面図、図２は センターポール部分の斜視図であって、中心に円柱状のセンターポール１を突設 したバックプレート４と、前記センターポール１と共にリング状の磁気空隙を形 成するフロントプレート２と、バックプレート４とフロントプレート２とに挟持 されたマグネット３とからなる周知の構造の外磁型磁気回路に於て、前記センタ ーポール１の空隙部分（詳しくは、空隙部分を含んでスピーカのボイスコイルの 振動領域全体）を除く側面に、上記筒状構造体5cを所定長さに切断した網ショー トリング５が嵌合されている。網ショートリング５は単に嵌合しただけでも良い が、下端部をセンターポール１付根に接着しても良い。

【００１２】 図３は第２考案の実施例（実施例２）で、振幅歪を減少させるために振動方向 の磁束分布を対称形とすることを目的として、センターポール１がフロントプレ ート２の上面より突出すると共に、センターポール１の磁気空隙以外の部分は磁 気空隙部1aより小径に形成され、磁気空隙部1aを挟んで上下の小径部1bに網ショ ートリング５が嵌合されている。センターポール１とバックプレート４とは一体 に構成され、センターポール１の付根部の網ショートリング５は、センターポー ル１の先端から挿入し、直径を拡大させながら空隙部1aを通過させ、所定の位置 で周囲から軽く押さえて小径部1bに嵌合させる。空隙部1aより上部の網ショート リング５は実施例１と同じ方法で嵌合させる。いずれの場合も必要に応じて夫々 の下端部をセンターポール１に接着することが望ましい。

【００１３】 図示しないが、この第２実施例に於て、網ショートリング５は空隙部1aより上 部か、或いは下部かいずれか一方だけとしても良い。

【００１４】 この実施例２は、磁気空隙部の磁束分布が振動方向に対称形となっているので 、駆動系の直線性が良好で、網ショートリング５の作用と相俟ってスピーカの非 直線歪や電流歪レベルを低下させることが出来る。

【００１５】 以上、本考案に係るスピーカ用磁気回路について代表的と思われる実施例を基 に詳述したが、本考案による磁気回路のショートリングの実施態様は、構成する 線材、編み方（例えば、１系統の線材をメリヤス編みにする）などに於て、上記 実施例の構造に限定されるものではなく、前記した実用新案登録請求の範囲に記 載の構成要件を具備し、本考案にいう作用を呈し、以下に述べる効果を有する限 りにおいて、適宜改変して実施しうるものである。

【００１６】

【効果】

本考案に係るスピーカ用磁気回路は以下に述べる効果を有する。 (1) そし本考案の網ショートリングは、シールドスリーブ類似の構造であって 、長さ方向並びに直径方法に伸縮性を有するので、１種類の網ショートリングに よって、直径が異なる数種のセンターポールに適合することができる。従って、 部品の管理が容易である。 (2) 予め長尺となるように導電体細線を網組しておき、必要の都度所定の長さに 裁断することにより、安価に、手早く生産に対応することができる。 (3) 図３に示す形状の磁気回路であっても、センターポールの大径となった空隙 部を、直径を拡大させて通過させ、小径部に嵌合させることが可能であり、セン ターポールとバックプレートとを一体構造として製造費を低減させ、且つ組立費 を節減することができる。 (4) ショートリングを有するスピーカとして、電流歪のレベルを低下させ、且つ 高域のインピーダンス上昇を押さえて周波数特性を改善することが出来る。

【００１７】 更に、第２考案実施例では、振動方向の磁束分布を対称形とすることにより、 振幅歪を減少させ得る事が出来る。

【００１８】 以上の利点によって、品質が優れた、高性能のスピーカを安価に提供し得ると いう効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】網ショートリングの未切断状態を示す筒状構造
体の斜視図。

【図２】本考案第１実施例の要部斜視図。

【図３】本考案第２実施例の要部斜視図。

【図４】従来例の磁気回路の断面図。

【図５】前記第１実施例の軸方向断面図。

【符号の説明】

１ センターポール ２ フロントプレート ３ マグネット ４ バックプレート ５ 網ショートリング

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心に円柱状のセンターポール（１）を
   突設したバックプレート（４）と、前記センターポール
   （１）と共にリング状の磁気空隙を形成するフロントプ
   レート（２）と、バックプレート（４）とフロントプレ
   ート（２）とに挟持されたマグネット（３）と空なる磁
   気回路に於て、前記センターポール（１）の空隙部分を
   除く側面に電気良導体の網ショートリング（５）が嵌合
   されていることを特徴とするスピーカ用磁気回路。
2. 【請求項２】 前記センターポール（１）がフロントプ
   レート（２）の上面より突出すると共に、センターポー
   ル（１）の磁気空隙以外の部分は磁気空隙部より小直径
   に形成され、当該小径部に電気良導体の網ショートリン
   グ（５）が嵌合されていることを特徴とするスピーカ用
   磁気回路。
3. 【請求項３】 前記網ショートリング（５）は、多数本
   の導電体細線を伸縮可能に円柱状に網組した筒状構造体
   であることを特徴とする請求項１、請求項２記載のスピ
   ーカ用磁気回路。