JPH0574769U - 変圧器タップ切り替え工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部よりワンタッチでナットを保持し、タッ
プ切り替え金具を所定の位置に移動できる変圧器タップ
切り替え工具を提供すること。 【構成】 把持部（柄）の先端部に設けられたヘッド３
の先端部に六角柱状の凹部４を有する変圧器タップ切り
替え工具であり、凹部４の外周を形成する側壁部５の壁
厚方向に貫通孔を設け、この貫通孔に球状体７を嵌挿
し、この球状体７の一部が凹部４内に露出し、かつ、球
状体７の一部が側壁部５の外側に露出するようにし、側
壁部５から露出した球状体７をスプリングリング８によ
って凹部４側に付勢させるようにした。これにより工具
の凹部４に嵌合されたナットは、球状体７を介して凹部
４内に強固に保持される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は変圧器タップ切り替え工具に係り、特に変圧器のタップを切り替える 作業時に、緩めたタップ切り替え金具固定用のナットをワンタッチで保持し、タ ップ切り替え金具の切り替え作業を簡単化するのに好適な変圧器タップ切り替え 工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般の変圧器は、定格電圧に対する一次電圧のずれを調整するため、巻線に中 間タップを複数設け、それらのタップの１つと外部引込線又は引出線とをタップ 切り替え金具により選択的に接続して、巻き数比を切り替えするようにしている 。例えば、図４に示す絶縁部材からなるタップ台１１に、ボルト状のタップ端子 １２を複数配列して絶縁油中に設け、各タップ端子を中間タップにそれぞれ接続 し、所定の一対のタップ端子１２をタップ切り替え金具１４により短絡固定して タップを切り替えるようになっている。このタップ切り替え金具１４は図５に示 すように両端に前記タップ端子１２に挿通する穴を有し、この穴の位置に前記タ ップ端子に螺合する固定用のナット１５を、支持金具１６により回転自由に取り 付けたものとされている。また、タップ端子１２とタップ切り替え金具１４等は 、巻線とともに絶縁油中に浸漬された構造となっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような構造からなる変圧器においては、タップの調整作業を行う場合、 ナット１５をペンチやスパナで緩め、手でタップ切り替え金具１４を取り外して 他の組合せのタップ端子１２に挿着した後、スパナ等で再度締め付けているため に、手や作業衣が油で汚れ、またタップ切り替え金具１４を絶縁油の中に落して しまうおそれがあった。

【０００４】 本考案の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、変圧器のタップ切り替え 作業時において、取外したタップ切り替え金具とナットをワンタッチで保持でき 、絶縁油に手を触れずにタップ切り替え作業ができ、またナットやタップ切り替 え金具を絶縁油の中に落してしまうのを防止できる変圧器タップ切り替え工具を 提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記した目的を達成するために、本考案は、把持部の先端部に設けられたヘッ ドの先端部に多角柱状の凹部を有する変圧器タップ切り替え工具において、前記 凹部の外周を形成する側壁部の壁厚方向に貫通孔を設け、該貫通孔に球状体を嵌 挿し、該球状体の一部が前記凹部内に露出し、かつ、球状体の一部が前記側壁部 外方に露出するようにし、該側壁部から露出した球状体をスプリングリングによ って前記凹部側に付勢させるようにしたものである。

【０００６】

【作用】

変圧器の絶縁油中に浸漬されたタップ切り替え金具を固定しているナットに、 工具のヘッド先端部の凹部を嵌合する。このとき、ヘッド先端部及びその付近の 軸が絶縁油中に浸漬するが、工具の把持部は絶縁油中に浸漬されることはない。

【０００７】 ヘッド先端部の凹部に嵌合されたナットは貫通孔に嵌挿されスプリングリング により付勢された球状体よりヘッド先端部の凹部内で強固に保持される。したが って、工具の把持部を持ち、工具を軸中心に回動させるワッタッチ操作でナット の取り外しができ、手や作業衣が油で汚れることがなく、また、工具よりナット が落下する不具合が解消されるので絶縁油中に手を入れてナットを取り外す等の 作業を必要としない。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１は本考案の変圧器タッ プ切り替え工具の一実施例を示す要部斜視図、図２に本考案の変圧器タップ切り 替え工具の一実施例を示す正面図、図３は本考案の変圧器タップ切り替え工具に よりナットを保持した状態を示す断面図である。

【０００９】 この変圧器タップ切り替え工具は、軸１の一端部に把持部（柄）２が設けられ ており、軸１の他端部（先端部）にはヘッド３が設けられている。ヘッド３は図 ２に示すように円柱状に形成されており、その先端部には六角柱状の凹部４が形 成されており、この六角柱状の凹部４の外周側は外周面が円形状の側壁部５を形 成している。この側壁部５の壁厚方向に貫通孔６が形成されている。

【００１０】 この貫通孔６にベアリング（球状体）７が嵌挿されている。この貫通孔６とベ アリング７との位置関係は、図３に示すように貫通孔６からベアリング７の一部 が凹部４に露出するようになっており、また貫通孔６よりベアリング７の一部が 側壁部５の外側に露出するようになっている。

【００１１】 また側壁部５の円周方向に沿ってスプリングリング８が側壁部５より露出する ベアリング７の一部を覆う状態で設置されている。スプリングリング８の周方向 の中央部には側壁部６から外側に露出するベアリング７の形状にほぼ対応する凹 部８ａが形成されている。なお、このスプリングリング８は周方向両端部で側壁 部５に固着されている。

【００１２】 次に上記のような構成からなる変圧器タップ切り替え工具の作用について説明 する。タップ切り替え作業時においては、軸１の先端部に設けられたヘッド３を 変圧器の絶縁油中に挿入し、タップ切り替え金具のナットを凹部４内に嵌合した 状態で把持部１を回動させタップ切り替え金具からナットを取り外す。この時の 状態を図３に示す。

【００１３】 図３においては、凹部４内にナット９が嵌合されており、このナット９の１側 面はベアリングリング７に圧接している。このベアリング７はスプリングリング ８により軸中心部側に付勢されているため、ナット９は凹部４内においてベアリ ングリング７により強固に保持される。

【００１４】 このようにして工具に保持されたナット９を他の所定位置に移動したタップ切 り替え金具に締め付けることによって、変圧器タップ切替えを行うことができる 。このように従来行われていたタップ切り替え用のナットをスパナで緩め、手で タップを切り替え、かつスパナで再度締め付ける作業はこの変圧器タップ切り替 え工具によりワンタッチで行うことができ、変圧器の絶縁油中にタップ切り替え 金具やナットを落とすおそれがなく、これらの絶縁油中に手を入れてタップ切り 替え金具やナットを捜し出す作業が解消される。

【００１５】 上記した実施例においては、特にヘッド部に形成される凹部の例として六角柱 状を示したが、本考案は六角柱状以外の多角柱状の凹部でも同様な作用効果を発 揮することができる。また、凹部に保持される部品は、ナットに限定されるもの でなく、ヘッド部に形成される多角柱状の凹部に対応する形状の部品であれば、 これを保持することができる。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、変圧器の絶縁油の外部よりワンタッチでナット を保持しタップ切り替え金具を所定の位置に移動でき絶縁油中に手を入れたり、 絶縁油中に落下したタップ切り替え金具やナットを捜し出す等の作業がなくなる ため、作業の効率化を図ることができると共に、作業員の衛生上及び作業環境改 善に効果を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の変圧器タップ切り替え工具の一実施例
を示す要部斜視図である。

【図２】本考案の変圧器タップ切り替え工具の一実施例
を示す正面図である。

【図３】本考案の変圧器タップ切り替え工具によりナッ
トを保持した状態を示す断面図である。

【図４】変圧器のタップ台の一例を示す平面図である。

【図５】タップ切り替え金具の一例を示す正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 軸 ２ 把持部（柄） ３ ヘッド ４ 凹部 ５ 側壁部 ６ 貫通孔 ７ ベアリング（球状体） ８ スプリングリング ９ ナット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 佐々木 誠 岩手県遠野市松崎町白岩第９地割36−19 株式会社ユアテック遠野営業所工事課内 (72)考案者 菅野 伸一 岩手県遠野市松崎町白岩第９地割36−19 株式会社ユアテック遠野営業所工事課内 (72)考案者 小島 冨男 岩手県遠野市松崎町白岩第９地割36−19 株式会社ユアテック遠野営業所工事課内 (72)考案者 菊池 茂 岩手県遠野市松崎町白岩第９地割36−19 株式会社ユアテック遠野営業所工事課内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 把持部の先端部に設けられたヘッドの先
   端部に多角柱状の凹部を有する変圧器タップ切り替え工
   具において、前記凹部の外周を形成する側壁部の壁厚方
   向に貫通孔を設け、該貫通孔に球状体を嵌挿し、該球状
   体の一部が前記凹部内に露出し、かつ、球状体の一部が
   前記側壁部外側に露出するようにし、該側壁部から露出
   した球状体をスプリングリングによって前記凹部側に付
   勢させるようにしたことを特徴とする変圧器タップ切り
   替え工具。
2. 【請求項２】 前記凹部が、六角柱状であることを特徴
   とする請求項１の変圧器タップ切り替え工具。