JPH0570016B2 - - Google Patents

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JPH0570016B2
JPH0570016B2 JP86147980A JP14798086A JPH0570016B2 JP H0570016 B2 JPH0570016 B2 JP H0570016B2 JP 86147980 A JP86147980 A JP 86147980A JP 14798086 A JP14798086 A JP 14798086A JP H0570016 B2 JPH0570016 B2 JP H0570016B2
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gear
sun gear
transmission
continuously variable
speed
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Saizo Ko
Saizo Ra
Shugi Tei
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Industrial Technology Research Institute ITRI
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は変速装置に関する。さらに詳しくは、
無段変速伝動手段と差動歯車機構とを組合せて、
ゼロ速度から最高速度間において、大きな変速比
を取りだすようにした自動二輪車(モータバイ
ク)用の変速装置に関する。
[従来の技術] 一般に自動二輪車の動力伝動装置においては、
(1)発進時の円滑性、安定性および走行性の良さ、
(2)加速性の良さ、(3)登坂力の良さ、(4)燃費の良さ
などが要求されている。これらの項目は、デイラ
ーまたはユーザーが車輛性能を評価するうえでの
重要なポイントとなつているものであるが、これ
らの項目に対して大きな影響力を有しているのが
変速装置の性能である。
従来より自動二輪車において用いられる変速装
置としては、Vベルト無段変速伝動機構を利用し
たものがある。これはエンドレスのVベルトが巻
回されるプーリのV字状の溝の溝幅に応じて、V
ベルトが作用半径を変化させることで、回転速度
を変速させるものである。しかしながら、一般的
にこの作用半径の変化幅はきわめて狭い範囲に限
られており、もし作用半径を拡大して変速範囲を
広げようとすれば、プーリ半径を拡大するか、出
力軸側に別の歯車変速機を付設するかしかなく、
そのようにすれば装置全体が複雑かつ大きなもの
となつてしまい、そのため車輌に搭載できないと
いう問題がある。
また従来のエンドレスのVベルトを用いた無段
変速機構では、遠心摩擦クラツチなどのクラツチ
手段が使用されており、第5図に示したように、
出力軸の回転速度は、直線aから直線bの範囲に
おいて変速させることができるが、アイドル速度
範囲では発進または加速のための変速はできず、
かりに変速してもエンジンをストツプさせるだけ
である。また、回転速度0点を中心として縦軸
(エンジン回転速度線)と直線aとで囲まれるク
ラツチ接合区域は、エンジンなどの動力軸と接合
するための緩衡区域であり、クラツチは普通半ク
ラツチ状態となつているので、有効変速区域は、
直線a、直線b線とで囲まれる区域に限られてい
る。
また、アイドリング速度においては充分な発進
力がえられないので、変速装置をニユートラル状
態にしてから、エンジン回転速度を増大した後、
半クラツチ状態にして、出力軸に有効な回転トル
クが伝動されるように、ローギヤーに接続しなけ
ればならない。
以上のような従来技術において、第5図に示し
たように変速区域が狭いとともに、従来の変速装
置においては、高トルクでのゼロ速度変速(発
進)を行なうことが極めて困難であるので、一般
にニユートラル状態でエンジン回転数を増大させ
た後、半クラツチ状態にして、徐々に出力軸に回
転トルクを与えながらローギヤーに接続して、車
輛を発進させなければならないので、相当面倒で
あるとともに、半クラツチ時にクラツチギアの損
傷を発生させやすいという問題がある。
また、従来のエンドレス状のVボルトなどによ
る自動変速装置においては、変速比を大きくする
のが困難であるので、加速性においても劣るもの
がある。
また従来の変速装置では、坂道発進が特に困難
で、ある程度の慣れとテクニツクとを必要とす
る。
さらに従来よりVベルト式無段変速機構と遊星
歯車機構を用いて、外部より無段変速機の変速比
を変えるようにした変速装置が知られている(特
公昭46−42245号公報、特公昭47−28038号公報)。
しかしそれらは遊星歯車機構が嵩張るので装置が
大きくなり、さらにシリンダや変速レバーなどの
無段変速機の変速比を変える手段が大がかりとな
り、しかも外部からの操作が煩雑であるという問
題がある。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は叙上の実情に鑑みてなされたもので、
コンパクトで簡単な構造でありながら、逆転方
向、高トルク状態での発進を含めた広範囲にわた
るスムーズな変速を可能にし、さらに耐久性を向
上させた自動二輪車用の変速装置を提供すること
を目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、差動歯車機構と定速伝動手段と無段
変速伝動手段とを備えており、前記差動歯車機構
が、ケーシング内面に回転自在に設けられた副軸
と、該副軸の後半部分に遊嵌されたベベルギアか
らなる第1の太陽歯車と、前記副軸の前半部分に
遊嵌されたベベルギアからなる第2の太陽歯車
と、支承キヤリアに支持されるとともに第1の太
陽歯車と第2の太陽歯車とに咬合せられたベベル
ギアからなる遊星歯車とからなり、前記支承キヤ
リアの最大外周部分に前記定速伝動手段と咬合す
るリング状の伝動歯車が設けられており、 第1の太陽歯車に無段変速伝動手段を連結し、
遊星歯車に定速伝動手段を連結するとともに、ケ
ーシングに軸支された出力軸を遊星歯車と咬合つ
ている第2の太陽歯車に連結し、第1の太陽歯車
と支承キヤリアの差動回転数を第2の太陽歯車よ
り取り出すようにしており、かつ前記無段変速伝
動手段がVベルト式無段変速伝動機構であり、該
Vベルト式無段変速伝動機構の被動側の可動プー
リが、入力軸の回転速度が大きくなつたときにV
溝幅が狭くなるように、ボール式遠心クラツチの
可動要素と連結されており、 前記出力軸と副軸との間が無端撓み要素で連結
されると共に等速咬合いクラツチを設けて、ニユ
ートラル状態に手動操作できるようにされてなる
変速装置であつて、 前記無段変速伝動手段と副軸との間に爪車手段
を設けることで、反転方向の伝動を防止してなる
構成を特徴としている。
[作 用] 本発明の装置は無段変速機の入力軸および定速
伝動手段の入力軸がエンジン側に連続され、出力
軸が負荷に連結されて用いられる。
それによりエンジンの回転力は無段変速機の入
力軸および定速伝動手段の入力軸に分けられ、そ
れらが差動歯車機構において合成され、最終的に
両者の速度差に応じた回転数で出力される。
本発明の装置では、エンジンの回転は歯車など
を介して差動歯車機構の遊星歯車に一定の速度比
で伝達され、支承キヤリアはエンジンの回転数に
比例した回転数で回転する。
他方、エンジンより変速側に伝えられる駆動力
はVベルト式無段変速機構で増速または減速され
る。そのときボール式遠心クラツチの可動要素が
従動側の可動プーリと連結されているので、速度
が速くなつたときは無段変速機構の変速比を減少
させ、速度が遅くなつたときは変速比を増大させ
る。したがつて最終的な出力はエンジンの回転数
の変化に比して緩やかに追随し、スムーズな変速
が可能となる。
本発明の自動二輪車用変速装置においては、無
段変速伝動手段と第1の太陽歯車との間に、正転
時には無段変速伝動手段側から第1の太陽ギヤへ
トルクを伝えるが、逆方向にはトルク伝達しない
爪車手段が設けられている。
そのため第2の太陽歯車が接地などにより停止
(速度0)されているときは、支承キヤリアと第
1の太陽歯車との回転数の比が1:2となる。す
なわち無段変速装置の回転数がその比率より上が
つても、爪車手段305によつて第1の太陽歯車
がいわゆる空廻りの状態となり、前記比率が維持
される。
他方、支承キヤリアの回転数が上昇してきて、
第1の太陽歯車の回転数の1/2を超えると、は
じめて爪車手段を介して無段変速機から差動歯車
列へのトルク伝達が行われるようになる。それに
よりゼロ速度から高いトルクの出力が実現され、
車両がスムーズに発進しうる利点がある。
なお爪車手段が設けられていることに伴ない、
車輌を前進させるときはエンジンが負荷にならな
いが、後退させるときは負荷になる。本発明の変
速装置では、差動歯車と出力軸の間に等速度咬み
合いクラツチを設けているので、かかるばあいに
クラツチを切るだけでスムーズに車輌を後退させ
うる利点がある。
本発明の変速装置で用いられる差動歯車機構
は、一組のベベルギアからなる太陽歯車と、それ
らと噛み合うベベルギアからなる遊星歯車とから
構成されるものであり、外径は太陽歯車の大きさ
により定まる。したがつて太陽歯車の外側に遊星
歯車および内歯歯車が設けられる遊星歯車に比し
てコンパクトに構成される。
[実施例] つぎに添付の図面に基づいて本発明に係る好ま
しい実施例を詳細に説明するが、本発明はかかる
実施例のみに限定されるものではない。
第1図は本発明の変速装置にかかわる実施例1
の要部断面図、第2図は実施例1の伝動系を示し
た線図、第3図は本発明の変速装置にかかわる実
施例2の断面図、第4図は本発明の変速装置の変
速特性を示す説明図、第5図は従来の変速装置の
変速特性を示す説明図である。
実施例 1 まず第1〜2図に基づいて、本発明に係る変速
装置の好ましい実施例を説明する。
第1図は本実施例の要部断面図で、本変速装置
は、主として定速伝動手段313,333、無段
変速伝動手段(Vベルト式無段変速機構)30
2、差動歯車機構303から構成されるととも
に、本変速装置のケーシング304に、入力軸
A、伝動軸B、副軸D、出力軸Eをそれぞれ軸支
している。なお、縦軸Cは遊星歯車機構303中
の小ケーシング状の支承キヤリア332に軸支さ
れている。
無段変速伝動手段302と遊星歯車機構303
との間には、逆転防止用の爪車手段305が介設
され、副軸Dと出力軸Eとの間には、等速咬合い
クラツチ手段306が介設されている。
動力手段301は、公知のガソリンエンジンな
どによりなるもので、ピストン311とコネクテ
イングロツド312と入力軸A上の入力歯車31
3とからなる。
エンドレス状のVベルトを利用した無段変速伝
動手段302は、公知の可動プーリを用いるもの
で、入力軸Aの一端に取付けられた主動プーリ3
22と、伝動軸Bの一端に取付けられた従動プー
リ323間に無端可撓材よりなるVベルト321
を巻回させている。
主動プーリ322は、入力軸にストレートスプ
ライン係合されて摺動自在となつた可動プーリ板
421と、入力軸Aの一端にボルトにより締着さ
れた固定プーリ板422とからなるが、可動プー
リ板421には、もどしばね423とストツパと
を付設して、可動プーリ板421が常時固定プー
リ板422の方向へ摺動するように付勢してい
る。
従動プーリ323は、ケーシング304にベア
リングにより軸支された伝動軸Bの一端に取付け
られているが、この伝動軸Bは、外軸B1と内軸
B2との2重構造となつており、中空円筒状の外
軸B1内に円柱状の内軸B2が摺動自在に遊嵌さ
れているが、外軸B1と内軸B2とは互いにスト
レートスプライン係合されていて回動しないよう
になつている。
従動プーリ323の固定プーリ板431は伝動
軸Bの外軸B1の一端寄りの外周上に固着され、
可動プーリ板432は内軸B2の一端に取りつけ
られている。なお本図より明らかなように、内軸
B2は外軸B1より少しだけ長くなつている。
伝動軸Bの他端側には、複数個のボール状の遠
心重錘324を内部に挾持する椀状の固定椀板3
25と可動皿板326とが設けられていて、一つ
の変速調整手段(ボール式遠心クラツチ)となつ
ている。固定椀板325は外軸B1にスプライン
係合されるとともに、可動皿板326は、伝動軸
Bを貫通し、かつ内軸B2と一体的に固定された
連動ピン328の上端に連結されているが、この
連動ピン328が外軸B1を貫通する部分は、水
平方向に細長く開口された摺動口329となつて
いる。
したがつて、前記動力手段301および入力軸
Aからの回転駆動力が、主動プーリ322と従動
プーリ323とに巻回されたVベルト321によ
り伝動されるとき、伝動軸B他端上の遠心重錘3
24に遠心力が作動して、可動皿板326を固定
椀板325から引き離し、連動ピン328によつ
て連結固定された内軸B2を伝動軸Bの他端(図
面上で左側)方向へ引き寄せるので、従動プーリ
323における溝幅を狭くしてVベルトの掛つて
いる部分の作用半径を拡大すると同時に、Vベル
ト321を介して、主動プーリ322のもどしば
ね423を押し縮めて作用半径を縮小し、変速比
をいくらか小さくする。したがつていわばフイー
ドバツク式のスムーズな自動速度制御を行ないな
がら、全体として大きな変速比による伝動を実現
する。
さて、無段変速伝動手段302を経過すること
によつてえられる、このような大きな変速比とな
つた回転駆動力は伝動軸Bの外軸B1上にスプラ
イン係合された伝動歯車327により、差動歯車
機構303へ伝動される。
差動歯車機構303は、ケーシング304内面
に副軸Dを介して回転自在に軸支された第1の太
陽歯車335と、前記副軸Dと一体的に回転する
第2の太陽歯車336と、小ケーシング状の形状
を有する支承キヤリヤ332に支持されるととも
に、第1の太陽歯車335と第2の太陽歯車33
6にそれぞれ咬合せられた遊星歯車334,33
4とからなつている。
副軸Dはケーシング304にベアリングを介し
て軸支され、第1の太陽歯車335は、一般的な
遊星歯車機構中の内歯車に相当するもので、ここ
ではベベルギア状をなしていて、副軸Dの前半部
分上に回転自在に遊嵌されてなるとともに、中心
側において、同じくベベルギア状となつた前記遊
星歯車334,334と咬合されている。また、
第2の太陽歯車336は、同様にベベルギア状を
なすとともに、副軸Dの後半部分上に回転自在に
遊嵌されて、副軸Dのほぼ中央部位において、前
記遊星歯車334,334と咬合されている。
遊星歯車334,334は、副軸Dのほぼ中央
部位で、この副軸Dを直交方向に貫通する縦軸C
の両端付近に軸支されているが、小ケーシング状
の支承キヤリア332が縦軸Cの両端を支持して
いると共に、第1と第2の太陽歯車335,33
6のかさ歯部分をカバーしている。縦軸Cは副軸
Dと一体的に固着されているので遊星歯車33
4,334は縦軸C上に回転自在に取付けられる
とともに、副軸Dと支承キヤリア332、遊星歯
車334,334とは一体的に回転する。
支承キヤリア332は、その小ケーシング状の
第1の太陽歯車335寄りの最大外径部分に伝動
歯車333をリング状に配設して、入力軸Aに取
付けられた主動ギア313と咬合されて、定速伝
動手段を構成している。すなわち副軸Dおよび支
持キヤリア332は入力軸Aに対して一定比率の
回転数となる。
なお、第1の太陽歯車335の前端寄りの外周
部分には、内リング351と爪車352とリング
ギア353からなる逆転防止用の爪車手段305
をスプライン係合して、前記無段変速伝動手段3
02からの正回転(自動二輪車を前進させる方向
の回転)の回転駆動力を第1の太陽歯車335に
伝動し、逆方向の回転を伝動しないようになつて
いる。
ここで差動歯車機構303の機能を第2図に基
づいて説明する。
第2図において、差動歯車機構303における
回転速度は、 支承キヤリア332の回転数 =1/2(第1の太陽歯車335の回転数 +第2の太陽歯車336の転数) … となるので、次の4つの機能を備えている。
第1太陽歯車335と支承キヤリア332と
の回転速度が互いに等しいとき、第2の太陽歯
車336も等しい回転速度となり、支承キヤリ
ア332と第2の太陽歯車336とは同一方向
へ回転する。
第1の太陽歯車335の回転速度が支承キヤ
リア332の回転速度の2倍より大きくなつた
とき、第2の太陽歯車336は反対方向へ回転
する(以下、反転という)。
第1の太陽歯車335の回転速度が支承キヤ
リア332の回転速度の2倍であるとき、第2
の太陽歯車336の回転速度はゼロとなる。
したがつて、前記〜より、もし支承キヤ
リア332のある回転数(または回転速度)を
1とすると、第1の太陽歯車335の回転速度
が1よりも小さい値から2よりも大きい値にま
で変化していくとき、支承キヤリア332と第
2の太陽歯車336との回転数(または速度)
の比は、前記式により、1=1/2(a+
b)、(aは第1の太陽歯車335の回転数、b
は第2の太陽歯車336の回転数)となるの
で、少なくとも、1:1から1:0の範囲で変
化されることになる。
これら〜に基づいて、いま支承キヤリア3
32を定速伝動手段313,333によつて定速
回転させ、第1の太陽歯車335を無段変速伝動
手段302によつて変速回転させるとき、第1の
太陽歯車335の回転速度が支承キヤリア332
の回転速度の2倍となつた状態から、少しずつ互
いに同一回転速度に変化させていくと、第2の太
陽歯車336はゼロ速度状態から、次第に支承キ
ヤリア332と同一回転速度に変化していくの
で、第2の太陽歯車336により回転駆動力が出
力するとき、大きい速度比で出力することができ
る。
さて前述したように、第1太陽歯車335の回
転速度(または回転数、以下同じ)が支承キヤリ
ア332の回転速度の2倍より大きくなつたと
き、第2の太陽歯車336は反転し始めるが、前
記爪車手段305によつて、遊星歯車334,3
34を介して第1の太陽歯車335が反作用を受
け始めたとき、インナーリング351はリングギ
ア353より遅れて回転し始めて、インナーリン
グ351は相対的に逆転する形となるので、この
ときには前記爪車手段305により、脱伝動状態
とされる。この結果、無段変速伝動手段302
は、支承キヤリア332の2倍以上の回転数での
伝動はできないようになつている。
また、第2の太陽歯車336の後端寄り外周面
には伝動歯車337がストレートスプライン係合
されて、次の出力軸Eへの伝動を行なうようにな
つている。
出力軸Eには、ケーシング304内にベアリン
グにより、前記副軸Dと平行に軸支されるととも
に、軸周上に等速咬合いクラツチ306を設けて
いる。この等速咬合いクラツチ306は、クラツ
チギア361、クラツチリング362、戻しばね
363、クラツチレバー364より構成されてい
る。クラツチギア361は、出力軸Eの前端寄り
に固着されるとともに、ギア側面に複数個の凹陥
口が開設されている。クラツチリング362は中
空円筒状をしているとともに、前端に前記凹陥口
内に嵌挿される複数個の嵌合歯を突設し、かつ中
央部位にフランジを突設して、戻しばね363を
挟持している。このような構造により、出力軸E
と等速咬合いクラツチ306とは、常時は係合状
態となつており、必要に応じて、クラツチレバー
364により脱係合される。なお、符号365は
出力軸Eの後端に係着された出力歯車である。
さて、つぎに本実施例1の作用について説明す
る。
差動歯車機構303において、支承キヤリア3
32が動力手段301より、主動歯車313と伝
動歯車333とを介して、定速伝動入力を受ける
と同時に、第1の太陽歯車335が、動力手段3
01より、無段変速伝動手段302と爪車手段3
05とを介して、変速正転伝動入力を受けること
によつて、第1の太陽歯車335を、支承キヤリ
ア332の回転速度に対して1倍から2倍間の変
速比により変速回転させるとき、第2の太陽歯車
336において、ゼロ速度状態からいきなり支承
キヤリア332と等しい回転速度で、高トルクを
出力することができる。
前記爪車手段305は、またVベルトなどによ
る無段変速伝動手段のゼロ速度設定のずれを防止
する上でも有効で、さらには車輛の発進時に第1
の太陽歯車335の回転数が支承キヤリア332
の回転数の2倍以上となつても、この爪車手段3
05により第2の太陽歯車336の反転を防止で
きるので、全体として非常にスムーズな無段変速
を行なうことができる。
たとえば車輛のエンジンがアイドル速度にあ
り、車輛がまだ発進しないときは、車輛と地面と
の接触によつて、充分な制止力が第2の太陽歯車
336に作用して、これを静止させている。つぎ
に、支承キヤリア332が動力手段301により
高速回転され、かつ第1の太陽歯車335が無段
変速伝動手段302により支承キヤリア332の
2倍以上の速さで高速回転しているとき、上述し
たように、爪車手段305中のインナーリング3
51とリング353とが脱伝動状態となると同時
に、動力手段301からの回転速度がさらに増大
し、かつ無段変速伝動手段302の変速比の変化
により、インナーリング351とリングギア35
3との回転速度がほぼ等しくなつて(実際はイン
ナーリング351の回転数のほうが少し大きくな
るとき)、インナーリング351とリングギア3
53とは一種の等速咬合いを形成して、ゼロ速度
からの高トルクの出力を実現する。
また、本実施例の変速装置が車輛に取付けられ
て、動力手段301が起動されるとき、無段変速
伝動手段302による伝動が、大きな変速比によ
る高トルク出力に保持されており、しかも前述の
爪車手段305が設けられているので、車輌はバ
ツク方向に自由に牽引したりできない。したがつ
て、出力軸Eに前記等速咬合いクラツチ306を
併設することにより、車輛を牽引するときに、自
由にバツクできるようにしている。また最高回転
速度時に、第1の太陽歯車の回転速度を、支承キ
ヤリア332と第2の太陽歯車との回転速度と、
それぞれ等しくなるように設定すると、見かけ
上、支承キヤリア332だけが回転している状態
となるので、各ギアの摩耗を減少させることがで
きる。
実施例 2 第3図は本発明にかかわる実施例2の変速装置
であつて、実施例1と同一作用をする部分には同
一符号を使用している。
この実施例2は、無段変速伝動手段302中の
従動プーリと遠心重錘324利用の遠心クラツチ
とを一体的に構成するとともに、チエーンホイー
ル337とチエーン365とを、副軸Dと出力軸
Eとの間に介設することによつて、出力軸Eをケ
ーシング304の最下端付近に軸支し、車輛(図
示せず)を直接この出力軸E上に取付けうるよう
にしたものである。
[発明の効果] 以上のように本発明の変速装置は、無段変速伝
動手段と差動歯車機構との組合わせを利用して、
発進などにおいて、大きな変速比による回転駆動
力を出力できるので、発進性、加速性、登坂性に
おいて優れた性能を発揮できる。
また、車輛発進時に、きわめてスムーズに回転
駆動力を出力軸に伝動できるので、従来のギア式
変速機のように半クラツチ状態とする必要がな
く、すべり嵌合時に生ずる摩耗損傷などが解消で
きる。
また、定速側出力と変速側出力とを結合する機
構として差動歯車機構を採用しているので、装置
全体が極めてコンパクトにでき、とくに2輪車に
使用すると有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の変速装置にかかわる実施例1
の要部断面図、第2図は実施例1の伝動系を示し
た線図、第3図は本発明の変速装置にかかわる実
施例2の断面図、第4図は本発明の変速装置の変
速特性を示す説明図、第5図は従来の変速装置の
変速特性を示す説明図である。 (図面の主要符号)、302:無段変速伝動手
段、303:差動歯車機構、304:ケーシン
グ、305:爪車手段、321:Vベルト、32
2:主動プーリ、323:従動プーリ、332:
支承キヤリア、333:伝動歯車、334:遊星
歯車、335:第1の太陽歯車、336:第2の
太陽歯車、351:インナーリング、A:入力
軸、B:伝動軸、B1:外軸、B2:内軸、D:
副軸、C:縦軸、E:出力軸。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 差動歯車機構と定速伝動手段と無段変速伝動
    手段とを備えており、 前記差動歯車機構が、ケーシング内面に回転自
    在に設けられた副軸と、該副軸の後半部分に遊嵌
    されたベベルギアからなる第1の太陽歯車と、前
    記副軸の前半部分に遊嵌されたベベルギアからな
    る第2の太陽歯車と、支承キヤリアに支持される
    とともに第1の太陽歯車と第2の太陽歯車とに咬
    合せられたベベルギアからなる遊星歯車とからな
    り、 前記支承キヤリアの最大外周部分に前記定速伝
    動手段と咬合するリング状の伝動歯車が設けられ
    ており、 第1の太陽歯車に無段変速伝動手段を連結し、
    遊星歯車に定速伝動手段を連結するとともに、ケ
    ーシシングに軸支された出力軸を遊星歯車と咬合
    つている第2の太陽歯車に連結し、第1の太陽歯
    車と支承キヤリアの差動回転数を第2の太陽歯車
    より取り出すようにしており、かつ前記無段変速
    伝動手段がVベルト式無段変速伝動機構であり、
    該Vベルト式無段変速伝動機構の被動側の可動プ
    ーリが、入力軸の回転速度が大きくなつたときに
    V溝幅が狭くなるように、ボール式遠心クラツチ
    の可動要素と連結されており、 前記出力軸と副軸との間に等速咬合いクラツチ
    を設けて、手動操作でニユートラル状態にできる
    ようにされてなる変速装置であつて、前記無段変
    速伝動手段と副軸との間に爪車手段を設けること
    で、反転方向の伝動を防止してなるモータバイク
    用の変速装置。 2 前記出力軸と副軸との間を前記等速咬合いク
    ラツチと直列にチエーンまたはベルトで連結する
    と共に、出力軸を、車輪を直接取り付けうるよう
    にケーシングの最下端に配置してなる特許請求の
    範囲第1項記載の変速装置。
JP61147980A 1985-09-30 1986-06-24 変速装置 Granted JPS62177338A (ja)

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JP61147980A JPS62177338A (ja) 1985-09-30 1986-06-24 変速装置

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JP60-218815 1985-09-30
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JPS62177338A JPS62177338A (ja) 1987-08-04
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