JPH0569894A - 航空機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高迎角飛行においても、尾翼の機能を確保
し、安定性・操縦性の大きい航空機を提供する。 【構成】 機体１ａの左右方向に中心線を有する回転軸
Ａのまわりに回転可能な垂直尾翼２、及び垂直尾翼２に
取付けられた水平尾翼３を備え、高迎角飛行時に垂直尾
翼２を回転軸Ａまわりに回転させて、垂直尾翼２の大き
い面積と水平尾翼３を機体より下方へ位置させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高迎角飛行時において
も安定性と操縦性を維持することができる尾翼を備えた
航空機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の高機動性航空機の例を、図３に示
す。高迎角飛行時、気流が航空機０１０の主翼０３上面
から剥離して乱れが生じて尾翼の機能が失われ、航空機
の安定性・操縦性が低下するので、これを防止するため
に、下記のような手段を用いている。

【０００３】即ち、 （１）気流の乱れが強い機体周辺から尾翼を遠ざけるた
めに垂直尾翼０１を高くする。 （２）乱れた気流中でも必要な空気力を得られるよう、
垂直尾翼０１及び水平尾翼０２の面積を増す。 （３）航空機機首側面の張り出し０３（以下、ストレー
クという）により発生させた渦０４を利用して、垂直尾
翼０１及び水平尾翼０２周辺の気流を安定させ、安定性
・操縦性を確保する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の高機動性航空機
では、主翼失速後も安定性・操縦性を確保するために
は、きわめて大型の垂直尾翼と水平尾翼が必要となり、
これら尾翼の抵抗のため、巡航性能が犠牲にされてい
た。また、ストレークから発生する渦を利用して尾翼の
効果を改善しようとすると、主翼と渦の干渉によって揚
力の向上が必ずしも十分に行うことができない場合があ
る。

【０００５】本発明は、以上の点に鑑みてなされたもの
であって、航空機の巡航効率を下げることなく、また、
ストレークが発生する渦に頼ることなく高迎角でも機体
に十分な安定性・操縦性を与える尾翼をもった航空機を
提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の航空機は、機体
の左右方向に中心線を有する回転軸のまわりに回転可能
な垂直尾翼、及び前記垂直尾翼に取付けられた水平尾翼
を備えている。

【０００７】

【作用】高迎角飛行中の航空機の上面は、気流が乱れて
いるために尾翼の効果が低下するが、航空機の下面側の
気流は比較的安定している。

【０００８】本発明では、高迎角飛行時に垂直尾翼を機
体の左右方向に中心線を有する回転軸のまわりに回転さ
せることによって、垂直尾翼の機体の下方に露出する面
積を増すとともに、垂直尾翼に取付けられた水平尾翼を
機体の下方へ移動させる。従って、垂直尾翼と水平尾翼
は、高迎角飛行中においても、安定した気流の中で使用
されることとなり、高迎角飛行時にも十分な安定性・操
縦性が確保される。

【０００９】また、以上のように高迎角飛行時において
安定性・操縦性が確保されることによって、垂直尾翼と
水平尾翼を大型化する必要がなく、これに伴って、巡航
飛行時の空気抵抗の増加による巡航効率が低下を避ける
ことができる。

【００１０】

【実施例】本発明の一実施例を、図１及び図２によって
説明する。

【００１１】本図実施例の全体の構成を図１の斜視図に
示す。航空機１の機体１ａの左右方向に中心線を有する
回転軸Ａのまわりに回転させることができるように航空
機１の機体１ａの後部の左右に２個の垂直尾翼２を取付
ける。この各垂直尾翼２に固定され、機体の左右方向に
中心線を有すると共に前記回転軸Ａより後方に位置する
回転軸Ｂのまわりに回転させることができるように水平
尾翼３を垂直尾翼２に取付ける。図２（ａ）に示される
通常の飛行時において、前記垂直尾翼２は、機体１ａよ
りその大半が上方へ突出すると共にその一部が機体１よ
り下方へ突出するように構成されており、また、水平尾
翼３は横方向から見て機軸とほヾ同じ位置にあるように
配置される。

【００１２】前記垂直尾翼２の前端に設けられた連結部
２ａは、機体１ａに上下方向に配置されたアクチュエー
タ５に連結され、アクチュエータ５の作動によって、前
記回転軸Ａのまわりに垂直尾翼２を回転できるようにな
っている。

【００１３】前記水平尾翼３より上方へ突出する連結部
３ａは、リンク８を介して前記回転軸Ａのまわりに回転
できる中空の軸１０に連結され、同軸１０は、機体内に
航空機１の機軸方向配置されたアクチュエータ６に連結
されており、同アクチュエータ６の作動によって前記軸
１０が回転軸Ａまわりに回転し、リンク８を介して水平
尾翼３を前記回転軸Ｂまわりに回転できるようになって
いる。

【００１４】垂直尾翼２の後端には、同垂直尾翼２の翼
長方向（上下方向）の回転軸Ｃまわりに回転できるよう
に方向舵４の先端が取付けられている。同方向舵４よ
り、側方へ突出する連結部４ａは、リンク９の一端に連
結されている。機体内に航空機１の機軸方向に配置され
たアクチュエータ７には、前記中空の軸１０内を同軸に
貫通する回転可能な軸１１が連結され、同軸１１に前記
リンク９の他端が連結されている。従って、アクチュエ
ータ７の作動によって軸１１が回転軸Ａまわりに回転
し、同軸１１の回転によって、リンク９を介して方向舵
４を前記回転軸Ｃまわりに回転できるようになってい
る。なお、図１中の矢印は、各翼と各部材の移動方向と
回転方向を示す。

【００１５】以上のように構成された本実施例におい
て、航空機１が巡航飛行中は、図２（ａ）に示すよう
に、通常の航空機と同様に、垂直尾翼２の大半が機体上
面側へ位置する形態で飛行が行われる。

【００１６】水平尾翼３の操舵（回転）は、アクチュエ
ータ６を作動し、軸１０を回転させ、リンク８を介して
水平尾翼３を回転軸Ｂまわりに回転させることによって
行われる。

【００１７】方向舵４の操舵（回転）は、アクチュエー
タ７を作動し、軸１１を回転させ、リンク９を介して方
向舵を回転軸Ｃまわりに回転させることによって行われ
る。

【００１８】航空機１の高迎角飛行時には、アクチュエ
ータ５を作動し、図２（ｂ）に示すように、垂直尾翼２
の上端が後方へ移動するように、垂直尾翼２を回転軸Ａ
まわりに回転する。これによって、垂直尾翼２の機体１
ａより下方へ突出する面積を大きくすると共に、水平尾
翼３を機体１ａの下方へ移動する。従って、垂直尾翼２
の大きい面積と水平尾翼３が機体１ａの下方の安定した
気流内に配置され、機体上方の気流の乱れを避けて、航
空機１の安定性と操縦性を確保することができる。

【００１９】なお、航空機１の高迎角飛行時において
も、前記巡航飛行時におけると同様に、アクチュエータ
６，７によって、それぞれ水平尾翼３と方向舵４を操舵
することができる。また、更に、水平尾翼３と方向舵４
は、それぞれリンク８とリンク９を介してアクチュエー
タ６，７に連結されており、垂直尾翼２の回転運動時
に、水平尾翼３と方向舵の舵角が変化することが防止さ
れる。

【００２０】以上の通り、本実施例では、高迎角飛行時
に、垂直尾翼２の大きい面積と水平尾翼３を、機体１ａ
の下方の安定した気流内に配置することによって、尾翼
の機能が確保され、航空機の安定性と操縦性を確保する
ことができる。

【００２１】また、本実施例では、高迎角飛行時の尾翼
の機能を確保することによって、以上のように垂直尾翼
と水平尾翼を大型化する必要がなく空気抵抗増加による
巡航効率を低下を避けることができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、航空機が高迎角飛行を行う際
に、垂直尾翼及び水平尾翼を、気流の安定している胴体
下面に移動させることにより、気流の乱れに伴う安定性
・操縦性の低下を防止することができる。

【００２３】また、これに伴って、従来の航空機のよう
に、尾翼を大型化する必要がないため、抵抗の増加によ
る巡航効率の低下を来することがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実施例の斜視図である。

【図２】同実施例の機能説明図で、図２（ａ）は巡航飛
行時、図２（ｂ）は高迎角飛行時の状態をそれぞれ示
す。

【図３】従来の高機動性航空機の全体図である。

【符号の説明】

１ 航空機 １ａ 機体 ２ 垂直尾翼 ３ 水平尾翼 ４ 方向舵 ５，６，７ アクチュエータ ８，９ リンク Ａ，Ｂ，Ｃ 回転軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体の左右方向に中心線を有する回転軸
   のまわりに回転可能な垂直尾翼、及び前記垂直尾翼に取
   付けられた水平尾翼を備えたことを特徴とする航空機。