JPH0569520A

JPH0569520A - 積層体、蓋材および容器

Info

Publication number: JPH0569520A
Application number: JP26308691A
Authority: JP
Inventors: Shigeyuki Harita; 滋行榛田; Junichi Matsumoto; 淳一松本
Original assignee: Kuraray Co Ltd
Current assignee: Kuraray Co Ltd
Priority date: 1991-09-12
Filing date: 1991-09-12
Publication date: 1993-03-23
Anticipated expiration: 2016-07-03
Also published as: JP3182178B2

Abstract

(57)【要約】【構成】ポリエステル溶媒溶液（Ａ）を固形分で１００
重量部と、反応性イソシアネート系化合物（Ｂ）を０．
５〜２０重量部よりなる組成物（Ｃ）層と、ＥＶＯＨ
（Ｄ）層とよりなる積層体、および紙、セルロース系フ
ィルム、熱可塑性樹脂、金属蒸着熱可塑性樹脂、金属蒸
着セルロース系フィルム、金属蒸着紙および金属箔より
選ばれた少なくとも１種よりなる基材（Ｅ）と前記積層
体とよりなり、（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）の構成を有する
積層体。【効果】本発明の積層体は、易開封性、内容物の保存
性、透視性を兼備え、安価な蓋材および容器に有効であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、易開封性、内容物の保
存性および透視性に優れ、かつ安価な積層体、蓋材およ
び容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、易開封性を有する蓋剤は多数紹介
されているが、例えばポリプロピレンより成る容器とヒ
ートシールされる蓋材の最内層には、ポリプロピレンを
主成分とし、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル
共重合体等をブレンドし、シーラントの凝集力を低下さ
せる方法やポリプロピレンにタルク等の無機フィラーを
充填させる方法が採用されている。しかしこれ等の方法
では、移送中には十分な接着力を有し、かつ開封時には
容易に開封できるという相反する特性を兼備えた易開封
性は未だ十分なものでない。

【０００３】特開昭６０−２３９２３３号公報には、塩
化ビニル成分を６０〜９９モル％および酢酸ビニルおよ
び／または（メタ）アクリル酸エステルを４０〜１モル
％含む塩化ビニル系共重合体層（Ａ）と、イソシアネー
ト基を含む反応型ポリウレタン系高分子層（Ｂ）とから
成り、該混合割合（重量）がＡ／Ｂ＝２／３〜６である
接着剤層で被覆された、エチレン含有量２０〜６０モル
％、酢酸ビニル成分のけん化度９５％以上のエチレン−
酢酸ビニル共重合体けん化物からなる、熱ラミネーショ
ン用フィルムについて述べられている。また特開昭６０
−２４２０５３号公報には、エチレン含有量２０〜６０
モル％、酢酸ビニル成分のけん化度９５％以上のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体けん化物（Ａ）、イソシアネー
ト基を含む反応型ポリウレタン系高分子層（Ｂ）および
塩化ビニル成分を６０〜９９モル％および酢酸ビニルお
よび／または（メタ）アクリル酸エステルを４０〜１モ
ル％含む塩化ビニル系共重合体層（Ｃ）を有し、かつＡ
／Ｂ／Ｃの構成からなる、熱ラミネーション用複合フィ
ルムについて述べられている。しかしこれ等公報にはポ
リエステル系重合体に関する記述が無い。

【０００４】実開平２−３９９７３公報には、内面がハ
イバリアー性プラスチック層１Ａであり、その内側にポ
リオレフィン層１Ｂを有する積層材１を、フランジ部３
を有するカップ状に成形したものを容器本体３とし、こ
れに蓋体４をヒートシールしてなる容器であって、蓋体
４を上記ハイバリアー性プラスチック層１Ａを貫いてポ
リオレフィン層１Ｂに到達するヒートシールにより密封
したことを特徴とするハイバリアー性イージーオープニ
ング容器について述べられている。しかし該公報にもポ
リエステル系重合体に関する記述が無く、ハイバリアー
性プラスチックは、ポリアクリロニトリルであり、エチ
レン−ビニルエステル共重合体けん化物に関する物では
ない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、移
送中には十分な接着力を有し、かつ開封時には容易に開
封できるという相反する特性を兼備えた易開封性蓋材は
未だ十分なものがなく、かかる特性を兼備えかつ、透視
性に優れた易開封性蓋材の開発が長年望まれていた。ま
た易開封性とガスバリアー性の両方を満足させるために
は易開封性を有する樹脂とガスバリアー性を有する樹脂
ないし金属箔を積層する必要があり、したがってコスト
的に不利でありそのコスト低下が望まれていた。なお易
開封性とは、ＪＩＳＺ０２３８では０．３〜０．６
ｋｇｆ／１５ｍｍと規定されているが、ここでは業界で
多用されている圧力２ｋｇ／ｃｍ↑２、時間１秒の条件
で熱封緘し、１８０度剥離で、剥離速度３００ｍｍ／分
の条件で測定した値が、６００〜１５００ｇ／１５ｍｍ
幅をいう。

【０００６】本発明は上記のような従来技術の欠点を解
消するために創案されたものであり、易開封性、内容物
の保存性、透視性を兼備え、安価な積層体、特に蓋材お
よび容器を得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決する為の手段】上記目的は、ポリエステル
の溶媒溶液（Ａ）を固形分で１００重量部と、反応性イ
ソシアネート系化合物（Ｂ）を０．５〜２０重量部より
なる組成物（Ｃ）層と、エチレン含有量２０〜６５モル
％、ビニルエステル成分のけん化度９０モル％以上のエ
チレン−ビニルエステル共重合体けん化物（以下ＥＶＯ
Ｈと略称する）（Ｄ）層との積層体、さらにはこの積層
体と、紙、セルロース系フィルム、熱可塑性樹脂、金属
蒸着熱可塑性樹脂、セルロース系フィルムおよび紙、お
よび金属箔より選ばれた少なくとも１種よりなる基材
（Ｅ）とよりなり、（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）の構成を有
する積層体を提供することによって達成される。

【０００８】以下、本発明を更に詳しく説明する。本発
明において、ポリエステルの溶媒溶液（Ａ）とは、加熱
された溶媒にポリエステルを溶解の後２０℃に冷却する
ことにより得られる固形分濃度１０重量％以上、好まし
くは１５重量％以上の溶液である。なお溶媒としては、
メチルエチルケトン、酢酸エチルエステル、テトラヒド
ロフラン、トルエンより選ばれた単一溶媒または２種以
上の混合溶媒が好適に使用されるが、本発明を阻害しな
い範囲で、これらの溶剤にアセトン、メチルブチルケト
ン、酢酸メチルエステル、酢酸ブチルエステル、ベンゼ
ン、シクロヘキサン、ｎ−ヘプタン、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の溶剤を添
加して使用しても良い。

【０００９】この様なポリエステルの溶媒溶液（Ａ）の
固形分としては、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリメチレングリコール、プロピレングリコー
ル、１，４−ブタンジオール、２−メチル−１，３−プ
ロパンジオール、ネオペンチルグリコール、１，６−ヘ
キサンジオール、３−メチル−１，５−ペンタンジオー
ル、１，４−シクロヘキサンジメタノール、２−メチル
−１，８−オクタンジオール、１，９−ノナンジオー
ル、１，１０−デカンジオール、１，１２−ドデカンジ
オール、４，４´−ジヒドロキシジフェニル−２，２−
プロパン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペン
タエリスリトール等の多価アルコール成分と、パラヒド
ロキシ安息香酸、δ−バレロラクトン、ε−カプロラク
トン等のヒドロキシカルボン酸成分と、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ピメ
リン酸、テレフタール酸、イソフタール酸、フタール
酸、１，５−ナフタリンジカルボン酸、２，５−ナフタ
リンジカルボン酸等の多価カルボン酸およびそのエステ
ル成分を原料として得られるポリエステル等があげられ
るが、多価アルコール成分としては、１，６−ヘキサン
ジオール、１，９−ノナンジオール、１，１０−デカン
ジオール、１，１２−ドデカンジオール等の長鎖脂肪族
ジオールが好ましく、多価カルボン酸成分としては、ア
ジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタール
酸、イソフタール酸等が好ましく、２種以上の当該ポリ
エステルの組成物であっても良い。

【００１０】これ等のポリエステルの溶媒溶液（Ａ）の
固形分には、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テ
トラメチレンジアミン、エチレンジアミン、メタキシリ
レンジアミン等のジアミン成分や、δ−バレロラクタ
ム、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−ア
ミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸等のアミノカ
ルボン酸成分や、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポ
リアルキレングリコール成分や、トルイレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、４，
４´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ｐ−フェニ
レンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、
１，５−ナフチレンジイソシアネート、４，４´−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート成分等を共重合さ
せていてもよい。

【００１１】また、該ポリエステルの溶媒溶液（Ａ）の
固形分には粘着付与剤やワックス類を配合していても良
い。粘着付与剤としては、ガムロジン、ウッドロジン、
トール油等のロジン類、およびそれらを水素添加、不均
化、二量化、エステル化等により変性した変性ロジン
類、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン
重合体、テルペン−フェノール共重合体、α−ピネン−
フェノール共重合体等のピネン樹脂類、１−ブテン、イ
ソブチレン、ブタジエン、１，３−ペンタジエン、イソ
プレン、ピペリレン等のＣ４〜Ｃ５のモノおよびジオレ
フィンを主成分とする重合体等の脂肪族系樹脂類、スペ
ントＣ４〜Ｃ５蒸分中のジエン成分を環化二量体化後重
合させた樹脂、芳香族炭化水素樹脂を核内水添した樹脂
等の脂環族系樹脂類、ビニルトルエン、インデン、α−
メチルスチレン等のＣ９〜Ｃ１０のビニル芳香族炭化水
素を主成分とした重合体である芳香族系樹脂類、スチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペ
ニルトルエン等の重合体であるスチレン系樹脂類、クロ
マン−インデン系等の石油樹脂類等があげられ、必要に
応じ（メタ）アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸
等の不飽和カルボン酸や、マレイン酸エステル等でグラ
フト重合変性されていても良い。

【００１２】ワックス類としては、パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、低分子量ポリエチ
レンワックス等があげられる。

【００１３】本発明において、反応性イソシアネート系
化合物（Ｂ）とは、分子中に３個以上のイソシアネート
基を有する化合物のことであり、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール等に代表される
３個以上の水酸基を有する化合物の水酸基のすべてをト
リレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、４，４´−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ｐ−フェニレンジイソシアネート、トルイレン
ジイソシアネート、１，５−ナフチレンジイソシアネー
ト、４，４´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト等でウレタン化させた化合物があげられる。

【００１４】本発明において、組成物（Ｃ）の配合割合
は、ポリエステルの溶媒溶液（Ａ）を固形分で１００重
量部に対し、反応性イソシアネート系化合物（Ｂ）を
０．５〜２０重量部、好ましくは１〜１０重量部が、本
発明に好適に用いられる。反応性イソシアネート系化合
物（Ｂ）が０．５重量部未満では、ＥＶＯＨ（Ｄ）層と
組成物（Ｃ）との接着力が十分でなく、満足なヒートシ
ール強度が得られない。一方、２０重量部を越えるとＥ
ＶＯＨ（Ｄ）層に組成物（Ｃ）をコーティングし、エー
ジングした時にブロッキングが起こり易く、しかも満足
なヒートシール強度も得られない。

【００１５】本発明において、ＥＶＯＨ（Ｄ）層に組成
物（Ｃ）の溶液をコーティングする事が重要である。ポ
リエステルの溶媒溶液（Ａ）の固形分と反応性イソシア
ネート系化合物（Ｂ）を加熱溶融混合した物を、ＥＶＯ
Ｈ（Ｄ）層に溶融押出コーティングした積層体では、満
足なヒートシール強度が得られない。またＥＶＯＨ
（Ｄ）層に組成物（Ｃ）の溶液をコーティングする場
合、ポリエステルの溶媒溶液（Ａ）と反応性イソシアネ
ート系化合物（Ｂ）を混合して１日以内に使用すること
が好適である。混合後日数が経過した組成物では、組成
物（Ｃ）とＥＶＯＨ（Ｄ）層との接着力は十分でなく、
満足なヒートシール強度が得られない事がある。またコ
ーティング後は、速やかに乾燥し、更に４０℃で１日以
上、好ましくは３日以上放置し、ＥＶＯＨ（Ｄ）やポリ
エステルの溶媒溶液（Ａ）の固形分に含まれる水酸基
と、反応性イソシアネート系化合物（Ｂ）とを反応させ
る事が望ましい。

【００１６】また、組成物（Ｃ）には、本発明を阻害し
ない範囲で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリッ
プ剤、帯電防止剤、可塑剤、架橋剤、無機充填剤、無機
乾燥剤等の各種添加剤を配合してもよい。

【００１７】本発明において、ＥＶＯＨ（Ｄ）とは、エ
チレンとビニルエステルを、メタノールやｔ−ブタノー
ルやジメチルスルホキシド等の溶剤中で、加圧下で過酸
化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等の重合開
始剤を用い公知の方法で重合させ、続いて酸、またはア
ルカリ触媒でけん化して得られる物である。ビニルエス
テルとしては、酢酸ビニルエステル、プロピオン酸ビニ
ルエステル、バーサチック酸ビニルエステル、ピバリン
酸ビニルエステルの脂肪酸ビニルエステル等があげら
れ、また芳香族カルボン酸ビニルエステル等も使用可能
であるが、価格の点から酢酸ビニルエステルが、またガ
スバリアー性の点からピバリン酸ビニルエステルが好ま
しい。ＥＶＯＨ（Ｄ）のエチレン含有量は２０〜６５モ
ル％、好ましくは２０〜５０モル％、ビニルエステル成
分のけん化度は９０モル％以上、好ましくは９５モル％
以上である。ＥＶＯＨ（Ｄ）層は二軸延伸されていても
良いし、無延伸であっても良い。エチレン含有量が２０
モル％未満では、高湿度時のガスバリアー性が低下し、
６５モル％を越えると十分なガスバリアー性が得られな
い。一方、けん化度が９０モル％未満は、高湿度時のガ
スバリアー性が低下するだけでなく、ＥＶＯＨ（Ｄ）の
熱安定性が悪化し、得られる膜面にゲルが発生しやす
い。

【００１８】また、ＥＶＯＨ（Ｄ）には更に少量のプロ
ピレン、イソブテン、４−メチルペンテン−１、ヘキセ
ン、オクテン等のα−オレフィン、イタコン酸、メタク
リル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボ
ン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニト
リル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシ
ラン等のビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、そ
の塩、アルキルチオール類等の共重合成分を含んでいて
も差支えない。

【００１９】また、ＥＶＯＨ（Ｄ）はエチレン含有量の
異なる２種類以上のＥＶＯＨの混合物であってもよく、
また、重合度やけん化度の異なる２種類以上のＥＶＯＨ
の混合物であってもよい。さらに、エチレン含有量と重
合度やけん化度が共に異なっていてもよい。

【００２０】さらにまた、ＥＶＯＨ（Ｄ）層が、エチレ
ン含有量が異なる２種以上のＥＶＯＨの複数層であって
も良い。このような場合には、内容物の水分活性値を１
００倍した値と保存環境の相対湿度値を比べ、値の小さ
い方にエチレン含有量の小さいＥＶＯＨを配置した方
が、包材のガスバリアー性は良好となる。ＥＶＯＨの多
層体は、すべての層が二軸延伸されていても良いし、特
定の層だけが二軸延伸されていても良いし、さらにすべ
ての層が無延伸であっても良い。

【００２１】また、ＥＶＯＨには、本発明を阻害しない
範囲で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ
剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、無機充填
剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、ポリアミド、ポリオレ
フィン、高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。

【００２２】本発明において、組成物（Ｃ）と、ＥＶＯ
Ｈ（Ｄ）層とよりなる積層体のそれぞれの厚みは、コス
トや目標とする易開封性のヒートシール強度により種々
選択可能であるが、組成物（Ｃ）は０．１〜３０μｍ、
ＥＶＯＨ（Ｄ）層は１〜１００μｍが好適である。

【００２３】本発明において、基材（Ｅ）に用いられる
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等
のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン−１、ポリ４−メチルペンテン−１等のポリオレ
フィン、ナイロン６、ナイロン６６、ＭＸＤ６（メタキ
シリレンジアミンとアジピン酸よりなるポリアミド）等
のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリア
クリロニトリル、ポリカーボネート、ポリ（メタ）アク
リレート、ポリスルホン、ポリジエン化合物（ポリブタ
ジエン、ポリイソプレン等）等があげられる。蓋材とし
て用いる場合には、ポリエチレンテレフタレート、ナイ
ロン６、ナイロン６６、ＭＸＤ６、ポリプロピレンの二
軸延伸フィルムが、良好な易開封性、印刷性、美観の点
で好適であり、二軸延伸フィルムには、塩化ビニリデン
共重合体をコーティングしていても良い。シートおよび
フィルムからの熱成形および射出成形により得られるカ
ップ、トレー、ボトル等や、ダイレクトブローボトル、
ストレッチブローボトル等のブロー成形容器等の成形容
器として用いる場合には、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニト
リルが、良好な易開封性、成形容器の強度、美観の点で
好適であり、基材（Ｅ）は複数層であっても良い。

【００２４】本発明において、基材（Ｅ）に用いられる
金属蒸着熱可塑性樹脂としては上記の熱可塑性樹脂に金
属蒸着したものであり、金属蒸着したセルロース系フィ
ルムおよび紙も採用可能である。金属蒸着としては、ア
ルミニウム蒸着、金蒸着、銀蒸着、酸化アルミニウム蒸
着、酸化珪素蒸着、酸化マグネシウム、インジウム−亜
鉛酸化物蒸着等があげられが、価格、ガスバリアー性の
点でアルミニウム蒸着、酸化アルミニウム蒸着、酸化珪
素蒸着が好適である。

【００２５】金属蒸着層は、基材（Ｅ）のＥＶＯＨ
（Ｄ）側にあっても良く、反対側（外側）にあっても良
いが、外側に配置する場合は、金属蒸着層を保護するた
めに最外層を一層以上積層することが望ましい。

【００２６】本発明において、基材（Ｅ）に用いられる
金属箔としては、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレスス
チール箔、金箔、銅箔等があげられが、価格、美観、成
形性の点でアルミニウム箔、鉄箔が好適である。

【００２７】本発明において、基材（Ｅ）に用いられる
セルロース系フィルムとしては、セロハン、防湿セロハ
ン、塩化ビニリデン系共重合体をコートしたセロハン、
セルロースアセテート等があげられが、セロハン、塩化
ビニリデン系共重合体をコートしたセロハンが好適であ
る。

【００２８】本発明では、紙、セルロース系フィルム、
熱可塑性樹脂、金属蒸着熱可塑性樹脂、金属蒸着セルロ
ース系フィルム、金属蒸着紙および金属箔より選ばれた
少なくとも１種よりなる基材（Ｅ）と組成物（Ｃ）層お
よびＥＶＯＨ（Ｄ）層よりなる（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）
の構成の積層体を蓋材、成形容器等に用いる物である
が、基材（Ｅ）とＥＶＯＨ（Ｄ）層を積層するには、公
知の積層方法、例えばドライラミネート法、押出しラミ
ネート法、共押出しラミネート法、共押出しコーティン
グ法等が採用可能である。また特公昭４６−２３９１１
号公報や特開昭６０−１２４６６１号公報等に述べられ
ているように、ＥＶＯＨ（Ｄ）の水−アルコール混合溶
媒よりなる溶液を基材（Ｅ）にコーティングする方法も
採用可能である。

【００２９】ドライラミネート法や押出しラミネート法
を採用する場合には、ポリエステル、ポリエーテル、ポ
リウレタン等を主鎖に持つ多価アルコールを主剤とし、
イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型の接着剤やア
ンカーコート剤の使用が好ましく、共押出しラミネート
法を採用する場合には、（Ｅ）と（Ｄ）の間に十分な接
着力が得られれば直接積層して良いが、十分な接着力が
得られない場合には、接着性樹脂を用いる必要がある。
共押出しコーティング法を採用する場合には、各層の接
着性に応じ、適宜前記アンカーコート剤や接着性樹脂を
用いる必要がある。

【００３０】また、ＥＶＯＨ（Ｄ）層と組成物（Ｃ）層
を積層するにも、公知の積層方法、例えばグラビアコー
ター、リバースロールコーター、スピンコーター、ナイ
フコーター、スプレーコーター、ディッピング等の方法
が採用可能である。

【００３１】また、（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）の構成の積
層体を積層する手順は、先ず（Ｅ）と（Ｄ）を積層し、
次いで（Ｃ）を積層しても良いし、先ず（Ｄ）と（Ｃ）
を積層し、次いで（Ｅ）を積層しても良い。また基材
（Ｅ）の表面または裏面には印刷を施す事も、美観およ
び商品価値を高めるうえで有用である。

【００３２】本発明により得られる積層体は、ガスバリ
アー性に優れており、容器の開口部周縁部分にてシール
してなる密封容器の優れたガスバリアー性を確保する点
からも、被着体となる成形容器または蓋材もガスバリア
ー性に優れている樹脂、金属箔、金属蒸着等が構成要素
に含まれている事が望ましい。

【００３３】被着体としては、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ナイロン
６、ナイロン６６、ＭＸＤ６等のポリアミド、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカ
ーボネート、ポリ（メタ）アクリレート、ポリブテン−
１、ポリスルホン、ポリジエン化合物（ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン等）等があげられる。被着体がシー
トおよびフィルムからの熱成形および射出成形により得
られるカップ、トレー、ボトル等や、ダイレクトブロー
ボトル、ストレッチブローボトル等のブロー成形容器等
の成形容器の場合には、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニト
リルが、良好な易開封性、成形容器の強度、美観の点で
好適であり、該成形容器は多層体であっても良い。被着
体が蓋材の場合には、ポリエチレンテレフタレート、ナ
イロン６、ナイロン６６、ＭＸＤ６、ポリプロピレンの
二軸延伸フィルム、紙、セルロース系フィルム、金属箔
が、良好な易開封性、印刷性、美観の点で好適であり、
二軸延伸フィルム、紙およびセルロース系フィルムは、
塩化ビニリデン共重合体をコーティングしていたり、金
属蒸着されていても良く、もちろん多層体であっても良
い。

【００３４】本発明により得られる易開封性容器は、さ
くらんぼ、ミニトマト、シメジ、カット野菜、サラダ、
アサリ、刺身、モズク等の生鮮食品類、八宝菜、焼売、
餃子、寿司、割子そば等の惣菜類、昆布、海苔、小魚等
の佃煮類、大根、野沢菜、茄子、赤蕪、生姜、梅干し、
らっきょう、キムチ等の漬物類、赤出し、白味噌、金山
時味噌、もろみ等の味噌類、スライスハム、ベーコン、
ウィンナソーセージ等の畜肉加工品類、笹蒲鉾、竹輪、
ハンペン等の水産練製品類、苺ジャム、マーマレード等
のジャム類類、豆腐、卵豆腐等の豆腐類、イクラ、鱈
子、からし明太子等の魚卵加工品類、ところてん、プリ
ン、フルーツゼリー、ケーキ、キャンディー、チョコレ
ート、ビスケット等のデザート類、白米、無洗米等の穀
物類、縮緬雑魚、白子乾、鰹節削り節等の乾物類、海老
フライ、焼売、餃子等の冷凍食品類等を初めとする食品
類、オーディオ部品、文具等の非食品類、医薬品類等に
好適に用いられる。

【００３５】以下実施例により、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれによってなんら限定を受ける
ものではない。なお部、％とあるのは、特に断りのない
限りいずれも重量基準である。

【００３６】なお評価方法は下記の通りであり、評価基
準は次の通りである。 ◎：極めて良好 ○：良好 △：やや不良
×：不良

【００３７】（１）内容物の保存性密封に味噌を充填し、密封後、直射日光は当たらない
が、反射光は十分当たる室内南側窓際に９０日間静置。
次いで開封し、味噌の色調、味について１０名のパネラ
ーにて判定、平均値をとった。

【００３８】（２）透明性味噌を充填し、包装体の（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）層を透
視し、その透視性を１０名のパネラーにて判定、平均値
をとった。

【００３９】

【実施例】

実施例１ＥＶＯＨ（Ｄ）層としてエチレン、酢酸ビニルエステル
の共重合体をけん化して得た、エチレン含有量３２モル
％、酢酸ビニルエステル成分のけん化度９９．５モル％
の樹脂を、２３０℃で溶融押出しして、１５μｍの厚み
の無延伸フィルムを得た。

【００４０】基材（Ｅ）として東レ（株）製のルミラー
の５０μｍの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを選び、これにドライラミネート用接着剤として武
田薬品工業（株）製のＡ−３８５／Ａ−５０を固形分と
して３ｇ／ｍ↑２塗布し、８０℃で溶剤を蒸発させた後
に、前記ＥＶＯＨフィルムを貼合わせ、４０℃で３日エ
ージングを行い、複合フィルムを得た。

【００４１】ポリエステル溶媒溶液（Ａ）として、大日
本インキ化学工業（株）製のポリエステル系ラッカーで
あるデイックシールＡ−９３０を、反応性イソシアネー
ト系化合物（Ｂ）として大日本インキ化学工業（株）製
のＫＰ−９０を選び、（Ａ）の固形分１００重量部と
（Ｂ）の固形分５重量部を、メチルエチルケトン／トル
エン＝１／１（重量比）の混合溶媒を用い、１８重量％
の溶液を調整し、直ちに該複合フィルムのＥＶＯＨ面に
固形分として２ｇ／ｍ↑２塗布し、８０℃で溶剤を蒸発
させた後に、４０℃で３日エージングを行い、組成物
（Ｃ）層を形成させ、（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）の構成を
有する積層体を得た。

【００４２】被着体として（株）クラレ製のポリエチレ
ンテレフタレート樹脂を用いたクラペットシートＫＳ７
５０Ｒの５００μｍのシートを用い、（株）安田精機製
作所製のヒートシーラーを用い、圧力２ｋｇ／ｃｍ↑
２、時間１秒、温度１４０℃で該積層体の（Ｃ）面と熱
封緘した。（株）島津製作所製のオートグラフを用い熱
封緘強度を測定したところ０．７ｋｇ／１５ｍｍと良好
な易開封性を示した。

【００４３】別途クラペットシートＫＳ７５０Ｒの１ｍ
ｍ厚さのシートより真空成形で容器を成形した。味噌を
充填した後、上記積層体（蓋剤）と該容器の開口部周縁
部をヒートシールして密封した。結果を表１に示す。

【００４４】比較例１実施例１において、ポリエステル溶媒溶液（Ａ）を、無
水マレイン酸グラフト変性のエチレン−酢酸ビニル共重
合体である三井石油化学工業（株）製のアドマーＶＦ６
００（ＥＶＯＨとＰＥＴやＰＳ用の接着性樹脂）のトル
エン溶液に変更した以外は、実施例１に準じて行い同様
な積層体を得た。熱封緘強度は０．２ｋｇ／１５ｍｍし
かなく、実施例１に比べ非常に劣っていた。結果を表１
に示す。

【００４５】比較例２実施例１において、反応性イソシアネート系化合物
（Ｂ）の固形分を０．１重量部に変更した以外は、実施
例１に準じて行い同様な積層体を得た。熱封緘強度は
０．１ｋｇ／１５ｍｍ未満しかなく、実施例１に比べ非
常に劣っていた。結果を表１に示す。

【００４６】比較例３実施例１において、反応性イソシアネート系化合物
（Ｂ）の固形分を５０重量部に変更した以外は、実施例
１に準じて行い同様な積層体を得た。積層体のブロッキ
ングが激しいだけでなく、熱封緘強度も０．３ｋｇ／１
５ｍｍしかなく、実施例１に比べ非常に劣っていた。結
果を表２に示す。

【００４７】比較例４実施例１において、ＥＶＯＨ（Ｄ）層としてエチレン含
有量８９モル％、酢酸ビニルエステル成分のけん化度９
２モル％の樹脂を、２００℃で溶融押出しした以外は、
実施例１に準じて行い同様な積層体を得た。味噌の保存
性は実施例１に比べ非常に劣っていた。結果を表２に示
す。

【００４８】実施例２ＥＶＯＨ（Ｄ）層としてエチレン、酢酸ビニルエステル
の共重合体をけん化して得た、エチレン含有量４４モル
％、酢酸ビニルエステル成分のけん化度９９．５モル％
の樹脂を、２２０℃で溶融押出しして、２５μｍの厚み
の無延伸フィルムを得た。

【００４９】基材（Ｅ）として東レ（株）製のルミラー
の２５μｍの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを選び、これにドライラミネート用接着剤として武
田薬品工業（株）製のＡ−３８５／Ａ−５０を固形分と
して３ｇ／ｍ↑２塗布し、８０℃で溶剤を蒸発させた後
に、前記ＥＶＯＨフィルムを貼合わせ、４０℃で３日エ
ージングを行い、複合フィルムを得た。

【００５０】ポリエステル溶媒溶液（Ａ）として、大日
本インキ化学工業（株）製のポリエステル系ラッカーで
あるデイックシールＡＸ−５６を、反応性イソシアネー
ト系化合物（Ｂ）として大日本インキ化学工業（株）製
のＫＰ−９０を選び、溶媒としてメチルエチルケトン／
トルエン＝１／１（重量比）の混合溶媒を用い、（Ａ）
の固形分１００重量部と（Ｂ）の固形分４重量部に変更
した以外は実施例１に準じて行い、同様な積層体を得
た。熱封緘強度を測定したところ、１．５ｋｇ／１５ｍ
ｍと良好な易開封性を示した。結果を表２に示す。

【００５１】比較例５実施例２において、組成物（Ｃ）層を、該溶媒に不溶の
（株）クラレ製のクラペットシートＫＳ７５０Ｒの２０
０μｍのシートに変更し、（Ｅ）／（Ｄ）構成の複合フ
ィルムにドライラミネート用接着剤として武田薬品工業
（株）製のＡ−３８５／Ａ−５０を固形分として３ｇ／
ｍ↑２塗布し、８０℃で溶剤を蒸発させた後に、複合フ
ィルムをを貼合わせ、４０℃で３日エージングを行い、
実施例２に準じて同様な積層体を得た。熱封緘強度は
３．２ｋｇ／１５ｍｍと大きく、易開封性は実施例２に
比べ非常に劣っていた。結果を表３に示す。

【００５２】実施例３ＥＶＯＨ（Ｄ）層としてエチレン、酢酸ビニルエステル
の共重合体をけん化して得た、エチレン含有量４４モル
％、酢酸ビニルエステル成分のけん化度９９．５モル％
の樹脂を、基材（Ｅ）として三菱油化（株）製のポリプ
ロピレン樹脂ＭＡ−６を、三井石油化学工業（株）製の
接着性ポリプロピレン樹脂アドマーＱＦ５５０を介し、
２３０℃で共押出しして、ＥＶＯＨ（Ｄ）層の厚み７０
μｍ、アドマー層の厚み７０μｍ、基材（Ｅ）の厚み３
６０μｍの３層共押出し複合シートを得た。

【００５３】ポリエステル溶媒溶液（Ａ）として、大日
本インキ化学工業（株）製のポリエステル系ラッカーで
あるデイックシールＡＸ−５６を、反応性イソシアネー
ト系化合物（Ｂ）として大日本インキ化学工業（株）製
のＫＰ−９０を選び、（Ａ）の固形分１００重量部と
（Ｂ）の固形分５重量部を、メチルエチルケトン／トル
エン＝１／１（重量比）の混合溶媒を用い、２５重量％
の溶液を調整し、直ちに該複合シートのＥＶＯＨ面に固
形分として５ｇ／ｍ↑２塗布し、８０℃で溶剤を蒸発さ
せた後に、４０℃で３日エージングを行い、組成物
（Ｃ）層を形成させ、（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）の構成を
有する積層体を得た。

【００５４】被着体として、ユニチカ（株）製のエンブ
レットＫＰＷの１２μｍのポリ塩化ビニリデンコート二
軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを選び、こ
れにドライラミネート用接着剤として武田薬品工業
（株）製のＡ−３８５／Ａ−５０を固形分として３ｇ／
ｍ↑２塗布し、８０℃で溶剤を蒸発させた後に、（株）
クラレ製のクラペットシートＫＳ７５０Ｒの２００μｍ
のシートを貼合わせ、４０℃で３日エージングを行い、
複合フィルムを得た。（株）安田精機製作所製のヒート
シーラーを用い、圧力２ｋｇ／ｃｍ↑２、時間１秒、温
度１４０℃で該積層体の（Ｃ）面と熱封緘した。（株）
島津製作所製のオートグラフを用い熱封緘強度を測定し
たところ１．５ｋｇ／１５ｍｍと良好な易開封性を示し
た。結果を表３に示す。

【００５５】実施例４ＥＶＯＨ（Ｄ）層としてエチレン、酢酸ビニルエステル
の共重合体をけん化して得た、エチレン含有量２７モル
％、酢酸ビニルエステル成分のけん化度９９．５モル％
の樹脂と、エチレン、酢酸ビニルエステルの共重合体を
けん化して得た、エチレン含有量４４モル％、酢酸ビニ
ルエステル成分のけん化度９９．５モル％の樹脂とを、
２４０℃で溶融共押出しして、それぞれの厚み１５μ
ｍ、合計３０μｍの厚みの２種２層の共押出し無延伸フ
ィルムを得た。

【００５６】基材（Ｅ）として東レ（株）製のルミラー
の２５μｍの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを選び、これにドライラミネート用接着剤として武
田薬品工業（株）製のＡ−３８５／Ａ−５０を固形分と
して３ｇ／ｍ↑２塗布し、８０℃で溶剤を蒸発させた後
に、前記ＥＶＯＨフィルムのエチレン含有量２７モル％
側に貼合わせ、４０℃で３日エージングを行い、複合フ
ィルムを得た以外は、実施例１に準じて行い同様な積層
体を得た。熱封緘強度を測定したところ１．２ｋｇ／１
５ｍｍと良好な易開封性を示した。結果を表３に示す。

【００５７】

【表１】

【００５８】

【表２】

【００５９】

【表３】

【００６０】

【発明の効果】以上説明したように本発明の積層体を用
いた蓋材および容器は、易開封性、内容物の保存性およ
び透視性に優れ、かつ安価であり、各種食品、医薬品、
非食品に好適に適用できる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｂ３２Ｂ 27/10 7258−4Ｆ 27/36 Ｂ６５Ｄ 1/09 1/02 Ｃ 7445−3Ｅ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリエステルの溶媒溶液（Ａ）を固形分
で１００重量部と、反応性イソシアネート系化合物
（Ｂ）を０．５〜２０重量部よりなる組成物（Ｃ）層
と、エチレン含有量２０〜６５モル％、ビニルエステル
成分のけん化度９０モル％以上のエチレン−ビニルエス
テル共重合体けん化物（Ｄ）層とよりなる積層体。
【請求項２】エチレン−ビニルエステル共重合体けん
化物（Ｄ）層が、エチレン含有量が異なる２種以上のエ
チレン−ビニルエステル共重合体けん化物であり、かつ
各々がエチレン含有量２０〜６５モル％、ビニルエステ
ル成分のけん化度９０モル％以上のエチレン−ビニルエ
ステル共重合体けん化物の複数層である請求項１記載の
積層体。
【請求項３】紙、セルロース系フィルム、熱可塑性樹
脂、金属蒸着熱可塑性樹脂、金属蒸着セルロース系フィ
ルム、金属蒸着紙および金属箔より選ばれた少なくとも
１種よりなる基材（Ｅ）と、請求項１または２記載の積
層体とよりなり、（Ｅ）／（Ｄ）／（Ｃ）の構成を有す
る積層体。
【請求項４】請求項３記載の積層体よりなる蓋材。
【請求項５】熱可塑性樹脂、金属およびガラスより選
ばれた少なくとも１種よりなる容器と、請求項４記載の
蓋材とよりなり、該蓋材の（Ｃ）層と該容器を該容器の
開口部周縁部分にてシールしてなる密封容器。
【請求項６】請求項３記載の積層体よりなる成形容
器。
【請求項７】紙、セルロース系フィルム、熱可塑性樹
脂、金属蒸着熱可塑性樹脂、金属蒸着セルロース系フィ
ルム、金属蒸着紙および金属箔より選ばれた少なくとも
１種よりなる蓋材と、請求項６記載の成形容器とよりな
り、該蓋材と該成形容器の開口部周縁部分にてシールし
てなる密封容器。