JPH0568884B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、衛星放送の受信等のマイクロ波通信
に使用される円偏波用パラボラアンテナ装置に関
する。

（発明の概要） 本発明は、衛星放送の受信等のマイクロ波通信
に使用される円偏波用パラボラアンテナ装置にお
いて、一次放射器として単線式の円筒端部にフレ
ア形状を有するバツクフアイヤー・ヘリカルアン
テナを用いたものである。

（従来の技術） 従来、この種のSHF円偏波用パラボラアンテ
ナ装置は、反射鏡の焦点に円錐ホーンを配置し、
該円錐ホーンにポーラライザを介し導波管で給電
するとともに、風雨、積雪対策として合成樹脂シ
ートを反射鏡に被せる構成が一般的であつた。

第３図はこのような従来のパラボラアンテナ装
置の１例であつて、反射鏡１の焦点に位置する円
錐ホーン１１とこれにポーラライザ、導波管を介
して接続されたBSコンバータ（衛星放送受信用
周波数変換器であつて12GHzを1GHz程度の周波
数に変換するもの）１２とを反射鏡前方に支持構
造体１３にて支え、さらに風雨、積雪対策のため
に合成樹脂シート１４を被せたものである。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、上記従来の構成であると、一次放射
器としての円錐ホーン１１やBSコンバータ１２
が反射鏡１の前方に配置され、かつBSコンバー
タ１２の出力ケーブル１５も反射鏡前方から引き
出されるため、それらによるプロツキングが生
じ、損失も大きくなる。また、風雨、積雪対策を
考慮した場合、円錐ホーン１１やBSコンバータ
１２が反射鏡１の前方に突出しているため、合成
樹脂シート１４で保護したとしても、風、積雪等
により被害を受けやすく、またBSコンバータ１
２の出力ケーブル１５も反射鏡前方より引き出さ
れるため、反射鏡前面を完全に密閉してしまうこ
とが困難で防水性にも難点があつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上記の点に鑑み、一次放射器として
バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナを用いて給
電のための同軸線路を反射鏡背面側に引き出すこ
とを可能にして、電力損失及びブロツキングを少
なくでき、しかも風雨、積雪対策が容易なパラボ
ラアンテナ装置を提供しようとするものである。

本発明は、反射鏡の焦点の存在する側に、単線
式の円筒形状端部にフレア形状を有するバツクフ
アイヤー・ヘリカルアンテナを配置し、該バツク
フアイヤー・ヘリカルアンテナに同軸線路を接続
してなるパラボラアンテナ装置であつて、前記バ
ツクフアイヤー・ヘリカルアンテナは、前記同軸
線路の外側導体に接続される整合円板と中心導体
に接続される１本の螺旋状導体とからなり、前記
螺旋状導体の円周長（螺旋全体を円筒と見なした
場合、その円筒の円周長）をＳ、ピツチ角をα、
前記フレアの角度をβ、前記整合円板の円周長を
ｃ、電磁波の波長をλとしたとき、 0.7λ≦Ｓ≦1.1λ ６度≦α≦20度 ０＜β＜45度 0.7S≦ｃ≦0.9S とする構成により、上記問題点を解決している。

（作用） 本発明で用いるバツクフアイヤー・ヘリカルア
ンテナは、給電点側に指向性を有し、すなわちメ
インローブは給電点側に向いているので、反射鏡
に近い端部を給電点とすることができる。従つ
て、反射鏡焦点にバツクフアイヤー・ヘリカルア
ンテナを配置したときには、給電用同軸線路は反
射鏡中心軸上を最短距離で反射鏡背面側に引き出
すことができる。このため、同軸線路によるブロ
ツキングは殆どなく、また電力損失も小さくする
ことができる。

また、前記給電用同軸線路を反射鏡背面側に引
き出すことができると共にBSコンバータも反射
鏡背面側に配置できるため、反射鏡前面をレドー
ムで完全密閉することが容易な構造であり、防水
対策が容易である。さらに、反射鏡の先端縁を通
る平面の内側に当該反射鏡の焦点が位置するよう
に設計し、バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナ
をその焦点に配置すれば、レドームを平面形状に
することができ、風雨、積雪の影響を最も受けに
くい構造とすることも可能である。

（実施例） 以下、本発明に係るパラボラアンテナ装置の実
施例を図面に従つて説明する。

第１図において、１は放物面反射鏡であり、こ
の焦点は放物面反射鏡１の先端縁ｅを結ぶ平面の
内側に位置するように設計されている。そして、
前記焦点上にバツクフアイヤー・ヘリカルアンテ
ナ５が配置され、このバツクフアイヤー・ヘリカ
ルアンテナ５の反射鏡側の給電点に同軸線路（例
えばセミリジツドケーブル、リジツドケーブル
等）６の一端が接続され、同軸線路他端は反射鏡
背面側のBSコンバータ１２に接続される。前記
反射鏡１の前面は平面状レドーム２０により覆わ
れ、水密の密閉されている。該レドーム２０は電
磁波を透過する材質、例えば合成樹脂板、合成樹
脂シート等で構成されている。

ここで、第２図イはバツクフアイヤー・ヘリカ
ルアンテナ５の基本構成を示す参考例であり、前
記同軸線路６の外側導体６Ａに接続される整合円
板７と中心導体６Ｂに接続される１本の螺旋状導
体８とからなつている。第２図ロは本実施例に係
る構成であつて単線式の円筒形状端部（非給電
側）にフレア形状に有するものである。すなわ
ち、螺旋状導体８の先端部にフレア８Ｆが形成さ
れている。その他は第２図イと同様である。さら
に第２図ハは単線式の円筒形状端部（給電側）に
テーパーを有するものである。すなわち螺旋状導
体８の給電側端部にテーパー８Ｔが形成されてい
る。その他は第２図イと同様である。

原理上、ヘリカルアンテナの線上を流れる電流
は、ヘリカルアンテナの螺旋上をスムースに進行
する。通常は、螺旋の円周長｛つまり、螺旋全体
を円筒と見なした場合、その円筒の円周長（以
下、螺旋円周長と呼ぶ）｝より大きな反射板があ
るためにヘリカルアンテナの先端から電磁波が放
射されるが（エンドフアイヤー・ヘリカルアンテ
ナ）、反射板の円周長が螺旋の円周長より若干大
きい寸法から、同じ大きさをへて、徐々に小さく
なるに従つて、後方（給電端側）へ電磁波が放射
されるようになる。つまり、バツクローブが生じ
る。バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナはこの
バツクローブを積極的に利用する考えかたで各寸
法を選んでいる。ここでは、前記反射板を整合円
板と称している。

第２図イ，ロ，ハにおいて、Ｓは螺旋状導体８
の円周長、αは螺旋のピツチ角、ｃは整合円板７
の円周長、βはフレアの開き角、８Ｔはテーパ
ー、８Ｆはフレアである。

第４図乃至第７図はバツクフアイヤー・ヘリカ
ルアンテナの螺旋円周長Ｓと、バツクフアイヤ
ー・ヘリカルアンテナの放射量の前後比｛log
（Ｆ／Ｂ）｝のdB表示との関係であり（但し、ピ
ツチ角α＝６，10，20度、フレア８Ｆ部分の開き
角β＝０，20度、整合円板の円周長ｃ＝0.7S，
0.9S，λは電磁波の波長とした）、Ｓは0.7λ乃至
1.1λで数dB乃至10dB以上の前後比が得られてい
ることがわかる。

第８図乃至第１１図はバツクフアイヤー・ヘリ
カルアンテナの螺旋のピツチ角αと、バツクフア
イヤー・ヘリカルアンテナの放射量の前後比との
関係であり（但し、Ｓ＝0.7λ、1λ、1.1λ、β＝
０，20度、ｃ＝0.7S、0.9Sとした）、αは６乃至
20度で数dB乃至10dB以上の前後比が得られてい
ることがわかる。

第１２図乃至第１６図はバツクフアイヤー・ヘ
リカルアンテナのフレア８Ｆ部分の開き角βと、
バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナの放射量の
前後比との関係であり（但し、Ｓ＝0.7λ、1λ、
1.1λ、α＝６，10，20度、ｃ＝0.7S、0.9Sとし
た）、第２図ロの如く、フレア８Ｆ有りで、０＜
β＝45度のとき数dB乃至20dB以上の前後比が得
られ、フレア８Ｆを適切に形成することによつて
β＝０（フレア無しを意味する）の場合よりもさ
らに前後比を向上させ得ることが判る。

第１７図乃至第２１図はバツクフアイヤー・ヘ
リカルアンテナの整合円板の円周長ｃと、バツク
フアイヤー・ヘリカルアンテナの放射量の前後比
との関係であり（但し、Ｓ＝0.7λ、1λ、1.1λ、α
＝６，10，20度、β＝０，20度とした）、ｃは
0.7S乃至0.9Sで数dB乃至10dB以上の前後比が得
られていることがわかる。

なお、第４図乃至第７図の螺旋円周長Ｓと前後
比との関係においてβ＝45度の場合に言及してい
ないが、第１２図乃至第１６図の８Ｆ部分の開き
角βと前後比との関係においてβ＝０度とβ＝45
度は同じ値になるため省略した。第８図乃至第１
１図のピツチ角αと前後比との関係及び第１７図
乃至第２１図の整合円板の円周長ｃと前後比との
関係においても同様の理由でβ＝45度の場合を省
略した。

以上の結果から、バツクフアイヤー・ヘリカル
アンテナ５として第２図ロのフレア８Ｆ付きのも
のを用い、 0.7λ≦Ｓ≦1.1λ ６度≦α≦20度 ０＜β＜45度 0.7S≦ｃ≦0.9S のように設定することにより、良好な前後比のバ
ツクフアイヤー・ヘリカルアンテナを実現するこ
とができる。

なお、同軸線路６と螺旋状導体８との間の反射
を少なくし、アンテナとしてのV.S.W.Rが良好と
なるように、同軸線路６と螺旋状導体８との間で
の整合をとる必要がある。整合をとる方法は、整
合円板７と整合円板７に対向する螺旋状導体の直
線部９との間隔ａを適当に調整する方法と、螺旋
状導体８と同軸線路６との結合部（バツクフアイ
ヤー・ヘリカルアンテナの給電端部）から螺旋状
導体の形状をテーパー形状（円錐状）に広げて然
るべき螺旋状導体の円周長Ｓとなし整合をとる方
法の２つの方法がある。勿論、これらの組み合わ
せによる改善工夫も考えられる。

前記バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナ５及
び同軸線路６の配電で最も好ましいのは、バツク
フアイヤー・ヘリカルアンテナ５の螺旋の軸方向
と同軸線路６の引き出し方向とが反射鏡１の中心
軸上に位置する場合であり、このときのバツクフ
アイヤー・ヘリカルアンテナ５の指向性、すなわ
ちメインローブMBは例えば第１図点線で示され
る。

次に、上記実施例の動作を受信の場合で説明す
る。第１図の矢印Ｗの方向に入射してきた電磁波
は、放物面反射鏡１で反射されてその焦点の位置
に収束し、バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナ
５の給電点側より入射する。このとき、バツクフ
アイヤー・ヘリカルアンテナ５はメインローブ
MBを給電点側に持つているので、反射鏡１で反
射されてきた電磁波は効率的にバツクフアイヤ
ー・ヘリカルアンテナ５で受信され、同軸線路６
を介して反射鏡背面のBSコンバータ１２に導か
れる。この場合、バツクフアイヤー・ヘリカルア
ンテナ５は、通常のエンドフアイヤー・ヘリカル
アンテナと同様に受信電磁波が円偏波のときに良
い特性を示す。

上記実施例に示したパラボラアンテナ装置は、
反射鏡１と組み合わせて用いる一次放射器として
バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナ５を用いて
いるので、給電点を反射鏡１に近い端部とするこ
とができ、給電のための同軸線路６を最短距離で
反射鏡背面側に引き出すことができる。このた
め、反射鏡１の前面をレドーム２０で確実に水密
に覆うことが出来、防水性を充分確保することが
できる。また、反射鏡１の焦点を反射鏡先端縁ｅ
の内側に位置させることにより、バツクフアイヤ
ー・ヘリカルアンテナ５も先端縁ｅの内側に配置
することができ、レドーム２０を平面形状とする
こができる。このため、風雨や積雪の影響を受け
にくくし、耐候性の改善を図ることが可能とな
る。さらに、同軸線路６が短いので電力損失を少
なくでき、また同軸線路６が反射鏡１の前面を横
断する必要がなく、ブロツキングも生じないし、
バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナの端部にフ
レア形状を形成して放射量の前後比を改善したこ
とで高感度受信が可能である。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明のパラボラアンテ
ナ装置によれば、前後比が良好となるように設定
したバツクフアイヤー・ヘリカルアンテナを反射
鏡の焦点の存在する側に配置し、該バツクフアイ
ヤー・ヘリカルアンテナに同軸線路を接続して、
そのバツクフアイヤー・ヘリカルアンテナを一次
放射器として用いたので、利得の向上、電力損失
及びブロツキングの低減が可能で、しかも構造が
簡単であつて、量産にも適する。また、前記同軸
線路は反射鏡背面側から引き出すことができ、風
雨、積雪等による被害を受けないように反射鏡前
面をレドームで覆うのが容易な構造となつてお
り、耐候性の改善が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るパラボラアンテナ装置の
実施例を示す側断面図、第２図イはバツクフアイ
ヤー・ヘリカルアンテナの基本構成である参考例
の側断面図、第２図ロは実施例で用いるバツクフ
アイヤー・ヘリカルアンテナの側断面図、第２図
ハはバツクフアイヤー・ヘリカルアンテナの変形
例を示す側断面図、第３図は従来のパラボラアン
テナ装置の側断面図、第４図乃至第７図はバツク
フアイヤー・ヘリカルアンテナの円周長Ｓとバツ
クフアイヤー・ヘリカルアンテナの前後比との関
係を示すグラフ、第８図乃至第１１図はバツクフ
アイヤー・ヘリカルアンテナのピツチ角αとバツ
クフアイヤー・ヘリカルアンテナの前後比との関
係を示すグラフ、第１２図乃至第１６図はバツク
フアイヤー・ヘリカルアンテナのフレア部の開き
角βとバツクフアイヤー・ヘリカルアンテナの前
後比との関係を示すグラフ、第１７図乃至第２１
図は整合円板の円周長ｃとバツクフアイヤー・ヘ
リカルアンテナの前後比との関係を示すグラフで
ある。 １……放物面反射鏡、５……バツクフアイヤ
ー・ヘリカルアンテナ、６……同軸線路、７……
整合円板、８……螺旋状導体、２０……レドー
ム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 反射鏡の焦点の存在する側に、単線式の円筒
   形状端部にフレア形状を有するバツクフアイヤ
   ー・ヘリカルアンテナを配置し、該バツクフアイ
   ヤー・ヘリカルアンテナに同軸線路を接続してな
   るパラボラアンテナ装置であつて、前記バツクフ
   アイヤー・ヘリカルアンテナは、前記同軸線路の
   外側導体に接続される整合円板と中心導体に接続
   される１本の螺旋状導体とからなり、前記螺旋状
   導体の円周長（螺旋全体を円筒と見なした場合、
   その円筒の円周長）をＳ、ピツチ角をα、前記フ
   レアの角度をβ、前記整合円板の円周長をｃ、電
   磁波の波長をλとしたとき、 0.7λ≦Ｓ≦1.1λ ６度≦α≦20度 ０＜β＜45度 0.7S≦ｃ≦0.9S であることを特徴とするパラボラアンテナ装置。 ２ 前記バツクフアイヤー・ヘリカルアンテナは
   前記反射鏡の焦点あるいは焦点近傍に位置し、前
   記同軸線路は前記反射鏡の中心軸上に設置されて
   いる特許請求の範囲第１項記載のパラボラアンテ
   ナ装置。 ３ 前記反射鏡の先端縁を結ぶ平面の内側に位置
   する焦点あるいは焦点近傍に前記バツクフアイヤ
   ー・ヘリカルアンテナが配置され、前記反射鏡前
   面が平面板状で合成樹脂製のレドームで覆われて
   いる特許請求の範囲第１項記載のパラボラアンテ
   ナ装置。