JPH0567818U - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents
固体潤滑転がり軸受Info
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- JPH0567818U JPH0567818U JP706892U JP706892U JPH0567818U JP H0567818 U JPH0567818 U JP H0567818U JP 706892 U JP706892 U JP 706892U JP 706892 U JP706892 U JP 706892U JP H0567818 U JPH0567818 U JP H0567818U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高荷重下においても十分な耐久性を備え、し
かも生産性に優れた固体潤滑転がり軸受を提供する 【構成】 転がり軸受(1)の内輪(2)及び外輪
(3)の転走面と、ボール(4)の表面にTiN又はT
iCNをコーティングして硬質層(7)を形成し、この
硬質層(7)の上に鉛からなる固体潤滑被膜(8)を形
成する。
かも生産性に優れた固体潤滑転がり軸受を提供する 【構成】 転がり軸受(1)の内輪(2)及び外輪
(3)の転走面と、ボール(4)の表面にTiN又はT
iCNをコーティングして硬質層(7)を形成し、この
硬質層(7)の上に鉛からなる固体潤滑被膜(8)を形
成する。
Description
【0001】
本考案は、真空中、高荷重下等の苛酷な条件下で使用される固体潤滑転がり軸 受に関するものである。
【0002】
真空中で使用される転がり軸受では、軸受部品の転がり摩擦又は滑り摩擦を生 ずる表面、例えば、内・外輪の転走面や転動体の表面等に、金・銀・鉛等の軟質 金属や二硫化モリブデン等の層状物質からなる固体潤滑被膜を形成し、軸受の潤 滑を行なっている。
【0003】
しかし、上述の固体潤滑転がり軸受では、軸受の負荷荷重、特にスラスト負荷 荷重が増大した場合に、固体潤滑被膜の下地材が接触圧で変形するため、固体潤 滑被膜に局部的な剥離・摩耗が生じ、固体潤滑被膜の耐久性が低下するという問 題点があった。
【0004】 このような問題点の解決手段として、軸受部品の表面にTiCをコーティング して硬質層を形成し、この硬質層の上に固体潤滑被膜を形成するという提案がな されている(実開平2−221714号参照)。この提案によれば、高剛性を有 するTiCの硬質層が負荷荷重を支持して下地材の変形を抑止するため、固体潤 滑被膜の局部的な剥離・摩耗が防止され、高荷重下での固体潤滑被膜の耐久性向 上が図れる。
【0005】 ところで、一般にTi系材料のコーティングは、高い密着性を有する層を低温 下で効率的に形成し得るイオンプレーティング法で行なうのが望ましい。しかし 、この方法でTiCのコーティング作業を行なうには、引火性が高く、ガス圧の 制御が困難なセチレンガス或いはメタンガスを使用しなければならない。このた め、上述したTiCの硬質層を形成した軸受は、生産性の点において若干の問題 があった。
【0006】 そこで、本考案は、高荷重下においても十分な耐久性を備え、しかも生産性に 優れた固体潤滑転がり軸受を提供することを目的とする。
【0007】
本考案の固体潤滑転がり軸受は、転がり軸受を構成する軸受構成部品のうち、 少なくとも転がり摩擦又は滑り摩擦を生ずる表面に、TiN或いはTiCNをコ ーティングして硬質層を形成し、この硬質層の上に鉛からなる固体潤滑被膜を形 成した。
【0008】
TiN、TiCNは、TiCと同程度の高い剛性を有する。従って、転がり軸 受を構成する軸受部品のうち、少なくとも転がり摩擦又は滑り摩擦を生ずる表面 にTiN或いはTiCNをコーティングして形成した硬質層は、高荷重下でも容 易に変形せず、確実に荷重を支持する。これにより、硬質層の上に形成された固 体潤滑被膜の局部的な剥離・摩耗が抑止され、固体潤滑被膜の耐久性が向上する 。また、イオンプレーティング法によるTiN、TiCNのコーティング作業で は、取扱いが安全で且つガス圧の制御も容易な不活性窒素ガスが使用されため、 硬質層の形成時の作業性も高い。一方、鉛からなる固体潤滑被膜は、金・銀等の 他の軟質金属或いは二硫化モリブデン等の層状物質からなる固体潤滑被膜よりも 流動性が高い。このため、固体潤滑被膜に局部的な剥離・摩耗が生じた場合にも 、剥離・摩耗した部分に鉛の潤滑粉が速やかに転着して被膜を形成するので、潤 滑作用が長期にわたって維持される。
【0009】
以下、本考案の実施例を図1に基づいて説明する。
【0010】 図1は、本考案を深溝玉軸受に適用した固体潤滑転がり軸受(1)の断面図で ある。この軸受(1)は、内輪(2)、外輪(3)、内・外輪(2)(3)間に 介在する複数のボール(4)、ボール(4)を所定位置で保持する保持器(5) といった軸受部品で構成される。また、内・外輪(2)(3)の転走面、及びボ ール(4)の表面には、TiCと同程度の高い剛性を有するTiN又はTiCN からなる硬質層(7)が形成され、さらにこの硬質層(7)の上に鉛からなる固 体潤滑被膜(8)が形成されている。なお、硬質層(7)は、イオンプレーティ ング法で厚さ3〜5 m程度に形成される。
【0011】 このような構成により、内・外輪(2)(3)の転走面に形成された固体潤滑 被膜(8)とボール(4)の表面に形成された固体潤滑被膜(8)とが相互に接 触し、内輪(2)とボール(4)、ボール(4)と外輪(3)間の潤滑作用がな される。また、TiN等からなる硬質層(7)は、高荷重下でも容易に変形する ことなく荷重を確実に支持する。これにより、硬質層(7)の上に形成された固 体潤滑被膜(8)の局部的な剥離・摩耗が抑止され、固体潤滑被膜(8)の耐久 性が向上する。さらに、固体潤滑被膜(8)が流動性に富む鉛で形成されている ことから、固体潤滑被膜(8)に局部的な剥離・摩耗が生じても鉛の潤滑粉が剥 離・摩耗した部分に速やかに転着して潤滑作用が長期にわたって維持され、固体 潤滑被膜(8)のより一層の耐久性向上が図れる。一方、イオンプレーティング 法による硬質層(7)のコーティング作業では、取扱いが安全でしかもガス圧の 制御が容易な不活性窒素ガスを使用するので、TiCの硬質層を形成する場合に 比べて作業性が高い。
【0012】 以下、TiN等からなる硬質層(7)の有効性を確認するために行なった試験 の結果について説明する。この試験は、ピンオンディスク試験機を用い、鉛の固 体潤滑被膜のみからなるものと[Pb膜]、TiNからなる硬質層(7)の上に鉛 の固体潤滑被膜(8)を形成したもの[(TiN+Pb)膜]との間で滑り摩擦に対す る耐久性を比較したものである。また、参考のため、銅からなる硬質層の上に鉛 の潤滑被膜を形成したもの[(Cu+Pb)膜]についても同様に試験を行なってい る。試料及び試験条件は以下の通りである。
【0013】 ピン : 5/16''ボール(無処理、SUS44OC製) ディスク: φ50円板(Pb処理、TiN+Pb処理、Cu+Pb処理、材質M50) 滑り速度: 0.2m/sec 被膜寿命: 滑り摩擦係数が0.55に達した時点(Pb膜が摩減した時点)
【0014】
【表1】
【0015】 表1から明らかなように、50、150、500gfの何れの荷重下においても(TiN+Pb )膜の方が、Pb膜或いは(Cu+Pb)膜よりも高い耐久性を示している。この効果 は、特に高荷重下において顕著に現われており、500gfの荷重下では、(TiN+Pb )膜はPb膜に比べて略100倍の耐久性を示している。滑り摩擦試験における固体 潤滑被膜の耐久性と実際の転がり軸受の耐久性については、Pb膜と(Pb+Cu)膜 との間で既に対応性が確認されているので、上記試験結果より、(TiN+Pb)膜を 備えた固体潤滑転がり軸受(1)は、鉛の固体潤滑被膜のみを備えた従来品より 、特に高荷重下で高い耐久性を有すると推測される。
【0016】 なお、上述した硬質層(7)及び固体潤滑被膜(8)は、少なくとも、ボール (4)の表面に形成すればよい。また、本考案は、図示のような玉軸受に限らず 、ころ軸受等あらゆる形式の転がり軸受に適用可能である。
【0017】
上述のように、本考案では、高荷重下における固体潤滑被膜の局部的な剥離・ 摩耗が抑止され、固体潤滑被膜の耐久性の向上が達成される。また、固体潤滑被 膜を流動性に富む鉛で形成したことから、剥離・摩耗した固体潤滑被膜が速やか に修復されるので、固体潤滑被膜のより一層の耐久性向上が達成される。このよ うな点から、本考案によれば、真空中、高荷重下等の苛酷な条件下で使用される 固体潤滑転がり軸受の耐久性を向上させることができる。
【0018】 また、イオンプレーティング法によるTiN或いはTiCNからなる硬質層の コーティング作業性も高いので、固体潤滑転がり軸受の生産性も向上する。
【図1】本考案の実施例を示す断面図である。
1 固体潤滑転がり軸受 2 内輪 3 外輪 4 ボール 7 硬質層 8 固体潤滑被膜
Claims (1)
- 【請求項1】 転がり軸受を構成する軸受部品のうち、
少なくとも転がり摩擦又は滑り摩擦を生ずる表面に、T
iN又はTiCNをコーティングして硬質層を形成し、
この硬質層の上に鉛からなる固体潤滑被膜を形成したこ
とを特徴とする固体潤滑転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP706892U JPH0567818U (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 固体潤滑転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP706892U JPH0567818U (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 固体潤滑転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0567818U true JPH0567818U (ja) | 1993-09-10 |
Family
ID=11655764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP706892U Pending JPH0567818U (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 固体潤滑転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0567818U (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62258224A (ja) * | 1986-05-02 | 1987-11-10 | Hitachi Medical Corp | 軸受 |
-
1992
- 1992-02-20 JP JP706892U patent/JPH0567818U/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62258224A (ja) * | 1986-05-02 | 1987-11-10 | Hitachi Medical Corp | 軸受 |
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