JPH0567296A - バスの運行管理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バスの運行状況を正確に把握することのでき
る運行管理方法を提供する。 【構成】 バスの車載装置１に、バスの走行距離を検出
する距離計１５を付加し、その距離計１５が検出した距
離値を、位置の実績データとして基地局の中央装置２０
へ無線伝送させる。これにより、伝送時におけるバスの
位置の正確な実績データが得られる。更に、伝送された
系統番号と位置との実績データを、中央装置２０に記憶
させた基本ダイヤ上の計画値と照合させることにより、
伝送時における両者間の距離的な差異が正確にわかり、
よって伝送時におけるバスの運行状況を正確に把握する
ことができる。それとともに、運行状況の推移をより正
確に予測することも可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、系統ごとの基本ダイヤ
に基づいて運行するバス、いわゆる路線バスの車載装置
から、そのバスの系統番号と位置といった、バスの運行
状況を示す実績データを基地局の中央装置へ無線伝送さ
せることにより、その基地局の中央装置でバスの運行を
管理する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年の道路事情の悪化から、路線バスを
基本ダイヤ通りに運行させることは非常に困難になって
いる。このような状況において、バスと営業所とを無線
で結ぶことにより、営業所でバスの運行を管理する方法
が広く取り入れられるようになってきた（例えば、「無
線方式都市新バスシステムの開発」住電技報，昭和６２
・９・１０１号，Ｐ．４２〜４６参照）。この無線を利
用した運行管理方法によれば、バスの運行状況をより正
確につかむとともに、停留所でバスを待つ人に対して、
バスの運行状況や予想待ち時間等の情報を提供すること
も可能になる。

【０００３】図６は、従来のこの種の運行管理方法にお
ける運行管理用設備の構成を示すブロック図である。

【０００４】図のように、この運行管理用設備は、各バ
スに搭載される車載装置１０と、営業所に置かれる基地
局の中央装置２０とから構成されている。その車載装置
１０は、テープレコーダ１１と制御機１２と無線機１３
とアンテナ１４とから構成され、一方の中央装置２０
は、アンテナ２１と無線機２２と伝送制御装置２３と中
央処理装置２４とから構成されている。

【０００５】この運行管理方法では、バスの車内で流す
停留所名やその周辺案内等を音声で録音した案内用テー
プの別チャンネルに、そのバスの系統番号と地点番号、
および車両番号のデータを予め記録しておく。上記地点
番号は、隣り合う二つの停留所の区間を示すものであ
る。

【０００６】そして、図７の流れ図に示すように、バス
の乗務員が、各停留所間で車載装置１０のテープレコー
ダ１１を起動させて、案内用テープの音声録音を再生さ
せるたびに、テープレコーダ１１と制御機１２とが、案
内用テープ内のデータを読み取り（Ｓ−２１）、それに
よりこのバスの系統番号と車両番号を決定するとともに
（Ｓ−２２）、現在の地点番号を決定する（Ｓ−２
３）。次いで無線機１３が、これらの決定番号を、この
バスの実績データとして、アンテナ１４から基地局の中
央装置２０へ無線伝送する（Ｓ−２４）。

【０００７】基地局では、このようにして多数のバスか
ら伝送された各バスの実績データを、中央装置２０の無
線機２２がアンテナ２１で受信した後、伝送制御装置２
３がバスごとに整理して中央処理装置２４へ渡す。その
中央処理装置２４は、得られた各バスの実績データを用
いてバスの運行を管理する（Ｓ−２５）。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来の運行
管理方法では、案内用テープに、バスの系統ごとに予め
記録された地点番号を、音声録音の再生のたびに順次読
取らせ、位置の実績データとして基地局の中央装置２０
へ無線伝送させるため、バスが停留所をノンストップで
通過した際などに、乗務員がテープレコーダ１１を起動
させなかった場合には、伝送される位置の実績データ
が、実際のバスの位置とずれることになる。また上記地
点番号は、隣り合う二つの停留所の区間を示すものであ
るため、その地点番号からは、バスの正確な位置を知る
ことはできない。

【０００９】即ち、従来の運行管理方法では、正確な位
置の実績データが得られず、その結果、バスの運行状況
を正確に把握することができないという問題があった。

【００１０】本発明は、この問題を解決するためになさ
れたもので、バスの運行における正確な位置の実績デー
タを得て、運行状況を正確に把握することのできる運行
管理方法を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るバスの運行管理方法では、車載装置
に、バスの走行距離を検出する距離計を付加し、その距
離計が検出した距離値を、位置の実績データとして基地
局の中央装置へ伝送させるとともに、伝送された系統番
号と位置との実績データを、中央装置に記憶させた基本
ダイヤ上の計画値と照合させる。

【００１２】

【作用】上記運行管理方法によれば、距離計が検出した
距離値を位置の実績データとして伝送するため、その伝
送時におけるバスの位置の正確な実績データが得られ
る。更に、伝送された系統番号と位置との実績データ
を、中央装置に記憶させた基本ダイヤ上の計画値と照合
させることにより、伝送時における両者間の距離的な差
異が正確にわかり、よって伝送時におけるバスの運行状
況を正確に把握することができる。それとともに、運行
状況の推移をより正確に予測することも可能になる。

【００１３】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の一実施例を説
明する。

【００１４】図１は、本発明の運行管理方法における運
行管理用設備の構成を示すブロック図である。尚、図１
において、図６に示した従来の運行管理用設備と相違な
い構成要素については、同一の符号を付して説明を省略
する。

【００１５】図のように、この運行管理用設備では、各
バスに搭載される車載装置１に、バスの走行距離を検出
する距離計１５が付加されている。この距離計１５は、
検出した距離値を距離パルスとして出力するもので、制
御機１２に接続されている。この運行管理用設備の他の
構成は、従来のものと同様である。

【００１６】図２は、上記車載装置１中の制御機１２の
具体的な構成を示すブロック図である。図のようにこの
制御機１２は、ＣＰＵ１２ａを中心として、そのＣＰＵ
１２ａと無線機１３とを結ぶ通信バッファ１２ｂ、ＣＰ
Ｕ１２ａとテープレコーダ１１とを結ぶ通信インターフ
ェイス１２ｃ、ＣＰＵ１２ａと距離計１５とを結ぶイン
ターバルタイマ１２ｄを備えるとともに、ＣＰＵ１２ａ
の動作プログラムを記憶させたＲＯＭ１２ｅと、各種中
間データを一時保管するＲＡＭ１２ｆとを備えている。

【００１７】また図３は、基地局に設けられる中央装置
２０中の中央処理装置２４の具体的な構成を示すブロッ
ク図である。図のようにこの中央処理装置２４は、処理
装置２４ａを中心としてミニコンピュータシステムを構
成したもので、その処理装置２４ａは、ＤＭＡ（直接メ
モリアクセス）チャネル２４ｂを介し、ＣＲＴ２５，キ
ーボード（Ｋ／Ｂ）２６，プリンタ２７を制御するシリ
アル入出力制御装置２４ｃと、伝送制御装置２３からの
バスの実績データを入力させる通信制御装置２４ｄとに
結ばれている。更に、上記処理装置２４ａには、記憶装
置である、固定ディスク，磁気テープ（ＭＴ），フロッ
ピーディスク（ＦＤ）の各ドライブ装置２４ｅ，２４
ｆ，２４ｇが接続されている。これらの固定ディスク，
磁気テープ，フロッピーディスクには、処理装置２４ａ
の動作プログラムと共に、バスの運行管理に必要な、基
本ダイヤ上の計画値、つまり各系統における各停留所の
起点からの距離値とバスの発着時刻等が記憶されてい
る。

【００１８】次に、上記構成の運行管理用設備を用いた
本発明に係る運行管理方法を、図４の流れ図を参照しつ
つ説明する。

【００１９】この運行管理方法においても、バスの系統
番号の決定には、従来例の場合と同様に、案内用テープ
を利用することができる。つまり案内用テープの別チャ
ンネルに、そのバスの系統番号と系統距離（この系統の
起点から終点までの走行距離）と車両番号とのデータ、
および起点発を示す信号を予め記録しておく。但し、位
置に関するデータは記録しない。

【００２０】先ず、このバスの起点において、乗務員が
案内用テープで発車前の案内放送を行うためにテープレ
コーダ１１を起動させて音声録音を再生させた際、テー
プレコーダ１１と制御機１２とが、案内用テープ内の起
点発の信号を読み取ることにより（Ｓ−１）、起点発を
決定する（Ｓ−２）。そしてバスが走行を開始すると、
距離計１５が制御機１２へ距離パルスを出力する（Ｓ−
３）。

【００２１】制御機１２は、上記起点発の決定によっ
て、記憶していた距離値をリセットし、その後、新たに
距離計１５からの距離パルスに基づいて距離値を計数す
る（Ｓ−４）。また制御機１２は、その計数した距離値
を、案内用テープ内のデータから得たこのバスの系統距
離と常に比較し、その距離値が、［系統距離＋所定値
α］を超えた場合には（Ｓ−５）、テープレコーダ１１
が起動されずに上記起点発の信号が得られなかったもの
と判断し、その時点で、起点発を決定することにより、
記憶していた距離値を上記所定値αへプリセットする。
上記所定値αは、実際の走行距離と計画上の走行距離と
の誤差を考慮して設定されるものである。これにより、
乗務員が起点においてテープレコーダ１１の起動を忘れ
たとしても、制御機１２は、確実に起点からの距離値を
計数する。その結果中央処理装置においては伝送されて
きた距離値の時系列データから前回値との大小関係が大
巾に逆転したことにより従来の系統が終り新たな系統の
開始を判定することができる。

【００２２】一方、乗務員が各停留所間で車載装置１の
テープレコーダ１１を起動させて案内用テープの音声録
音を再生させるたびに、そのテープレコーダ１１と制御
機１２とが、案内用テープ内のデータを読み取ることに
より（Ｓ−１）、このバスの系統番号と系統距離をくり
返し決定する（Ｓ−６）。

【００２３】次いで、車載装置１の無線機１３が、上述
のように計数された起点からの距離値、および上述のよ
うに決定された系統番号と別途設定された車両番号と
を、このバスの実績データとして、ポーリング周期に応
じて所定時間ごとに、アンテナ１４から基地局の中央装
置２０へ次々と無線伝送する（Ｓ−７）。

【００２４】基地局では、このようにして多数のバスか
ら次々と無線伝送されてくる各バスの実績データを、中
央装置２０の無線機２２がアンテナ２１で受信した後、
伝送制御装置２３がバスごとに整理して中央処理装置２
４へ渡す。そしてその中央処理装置２４は、得られた各
バスの実績データを、装置２４内に記憶している基本ダ
イヤ上の計画値と順次照合していく（Ｓ−８）。

【００２５】上記新たな系統の始まり判定時、上記照合
の結果、実績データ中の系統番号が、そのバスの基本ダ
イヤ上の系統番号と一致しない場合には（Ｓ−９）、中
央処理装置２４は、案内用テープに記録されている系統
番号のデータが誤りであるとして、系統修正信号を発信
し、車載装置１の制御機１２が記憶している実績データ
中の系統番号を基本ダイヤ上の系統番号に、系統距離と
共に修正する（Ｓ−１０）。これにより、各バスの動き
を確実に追尾して、それぞれの運行を間違いなく管理す
ることができる（Ｓ−１１）。

【００２６】上述のように、本発明に係る運行管理方法
では、距離計１５が検出した距離値を位置の実績データ
として伝送するため、その伝送時におけるバスの位置の
正確な実績データが得られる。また、その位置の実績デ
ータを、ポーリング方式等により一定時間ごとに、車載
装置１から中央装置２０へ無線伝送させるようにすれ
ば、各バスの、より多くの正確な位置の実績データが確
実に得られる。

【００２７】図５は、上述のようにして得られる実績デ
ータの中央処理装置２４による処理結果から、ある系統
の路線における一台のバス３０の運行状況を表した図で
ある。

【００２８】この系統の起点から終点までの系統距離は
Ｒで、その間のｎ箇所に停留所ＢＳ−１〜ｎが設けられ
ている。そして横軸をバス３０の位置、縦軸を起点から
の距離値としてＣＲＴ２５の画面等に設定した座標に、
バス３０から伝送された位置の実績データを受信と同時
に記入させていくと、伝送のタイミングが案内用テープ
の起動タイミングＴ−０〜ｎと同じであれば△印のよう
に、一定時間ごとであれば×印のように、バス３０の位
置が表されていく。また、各停留所ＢＳ−１〜ｎにおい
てバス３０がドアを開いた時のドア開信号を伝送させる
ようにすれば、座標上に○印で示した各停留所ＢＳ−１
〜ｎの位置ごとに、バス３０の位置を追跡していくこと
ができる。

【００２９】更に、上記座標上の位置の実績データを、
時刻と対応させるとともに、基本ダイヤ上の計画値と照
合させることにより、伝送時における両者間の距離的な
差異が正確にわかり、よって伝送時におけるバス３０の
運行状況を正確に把握することができる。それととも
に、運行状況の推移をより正確に予測することも可能に
なる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明に係る運行
管理方法によれば、バスの運行状況を正確に把握するこ
とができ、それにより、停留所でバスを待つ人に対し
て、より正確なバスの運行状況や予想待ち時間等の情報
を提供することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における運行管理用設備の構成
を示すブロック図である。

【図２】実施例における車載装置中の制御機の具体的な
構成を示すブロック図である。

【図３】実施例における中央装置中の中央処理装置の具
体的な構成を示すブロック図である。

【図４】実施例における運行管理方法を説明する流れ図
である。

【図５】実施例において、ある系統の路線における一台
のバスの運行状況を表した図である。

【図６】従来例における運行管理用設備の構成を示すブ
ロック図である。

【図７】従来例における運行管理方法を説明する流れ図
である。

【符号の説明】

１ 車載装置 １５ 距離計 ２０ 中央装置 ３０ バス

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成４年２月６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２５

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２５】上記新たな系統の始まり判定時、上記照合
の結果、実績データ中の系統番号が、そのバスの基本ダ
イヤ上の系統番号と一致しない場合または回送などテー
プが準備されていない系統を走行している場合には（Ｓ
−９）、中央処理装置２４は、案内用テープに記録され
ている系統番号のデータが誤りであるとして、系統修正
信号を発信し、車載装置１の制御機１２が記憶している
実績データ中の系統番号を基本ダイヤ上の系統番号に、
系統距離と共に修正する（Ｓ−１０）。これにより、各
バスの動きを確実に追尾して、それぞれの運行を間違い
なく管理することができる（Ｓ−１１）。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 系統ごとの基本ダイヤに基づいて運行す
   るバスの車載装置から、そのバスの系統番号と位置との
   実績データを、基地局の中央装置へ無線で伝送させるこ
   とによりバスの運行を管理する方法において、 上記車載装置に、バスの走行距離を検出する距離計を付
   加し、その距離計が検出した距離値を、位置の実績デー
   タとして上記基地局の中央装置へ伝送させるとともに、
   伝送された系統番号と位置との実績データを、上記中央
   装置に記憶させた基本ダイヤ上の計画値と照合させるこ
   とにより所定ルート上の現在位置を表すことを特徴とす
   るバスの運行管理方法。
2. 【請求項２】 上記距離計による距離値を上記基地局の
   中央装置へ、一定時間ごとに伝送させることを特徴とす
   る請求項１記載のバスの運行管理方法。
3. 【請求項３】 上記距離計による距離値が、バスの系統
   距離に所定値を加えた値を超えた場合には、その距離値
   を上記所定値にプリセットし、その後に距離値の検出を
   再開し、中央装置において今回伝送された距離値が前回
   の伝送された距離値と比べて所定の値以上に減少してい
   れば従来の系統が完了し新たな系統が開始されたことを
   判定することを特徴とする請求項１記載のバスの運行管
   理方法。
4. 【請求項４】 上記新たな系統開始判定時、上記バスの
   車載装置から伝送された実績データ中の系統番号が、そ
   のバスの基本ダイヤ上の系統番号と異なる場合には、上
   記中央装置から系統修正信号を発信させることにより、
   上記車載装置が記憶している実績データ中の系統番号を
   基本ダイヤ上の系統番号に修正することを特徴とする請
   求項１記載のバスの運行管理方法。