JPH0566164B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は蒸気や圧縮空気等の気体配管に取り付
けて、気体中の水（例えば、凝縮水）を分離して
系外に排除する分離器に関し、特に流体を旋回せ
しめて遠心力の作用で気水を分離する気水分離器
の旋回羽根の構造に係わる。

この種の気水分離器は、ケーシング内の上部に
て流体を旋回せしめて、遠心力の作用で気体中の
水滴を外側に振り出して分離するもので、気体は
出口側に通過させ、分離された水滴はケーシング
内の下部に配した排水弁でケーシングの外に排出
するものである。

従来技術 従来の気水分離器の構造は、ケーシング内の上
部に円筒形状の隔壁部材を配置して隔壁部材とそ
の外側のケーシングとの間に環状空間を形成し、
環状空間に斜下向きに傾斜させた旋回羽根を放射
状に多数配置し、環状空間の上部を入口に、下部
を排水弁部に、隔壁部材の内側の孔を出口側に連
結せしめたものである。従つて、入口からの流体
は環状空間で旋回羽根により旋回せしめられるの
で、遠心力の作用で水滴は外側に振り出される。

分離された水滴は流下し排水弁で系外に排出さ
れる。旋回流の中央部の気体は隔壁部材の内側の
孔を通つ出口側に向かう。

本発明が解決しようとする問題点 上記のものでは、旋回流を強くしても水滴の一
部が出口側に運び出されてしまい、気水の分離効
率をある程度以上高めることができなかつた。

これは、流体を旋回せしめると、遠心力の作用
で質量の大きい物程外側に振り出されるという自
然法則を単に利用しているだけであるから、微小
な水滴は中央寄りを旋回しているために、また隔
壁部材に付着した水滴は表面に沿つて外側から内
側に回り込むために、気体で出口側に運ばれてし
まうからである。

この問題点を解決するためには、水滴を捕えて
積極的に外側に振り出す手段を付加しなければな
らない。

問題点を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本発
明の技術的手段は、ケーシングと隔壁部材で形成
する環状空間に旋回羽根を配置して旋回による遠
心力で気水を分離し、分離した水滴をその下方空
間に配置した排水弁で系外に排出する気水分離器
に於て、円筒状の隔壁部材の外周壁に、斜下向き
に傾いた傾斜壁を複数形成し、傾斜壁の上端から
下端に向つて次第に外側に張出し、下端にて円筒
状隔壁部材の半径方向の端壁に段状に連結した螺
旋壁を形成し、傾斜壁と、螺旋壁を含む隔壁部材
の少なくとも外周壁面を梨肌の様な粗い肌に形成
したものである。

作 用 上記の技術的手段の作用を説明する。

円筒状の隔壁部材の外周には環状空間が形成さ
れ、その環状空間に斜下向きに傾いた傾斜壁が位
置するので、流体は環状空間を通過する際に傾斜
壁で斜下向きに方向を変えられる。従つて、流体
はその連続性のために環状空間で旋回し、その旋
回は傾斜壁の上下にも及ぶ。即ち、流体は旋回し
ながら環状空間に入り、旋回しながら出る。

螺旋壁は傾斜壁の上端から下端に向つて次第に
外側に張出しているから、流体は環状空間の接線
方向よりも外側に進み、外側のケーシング内壁に
より良く吹き付けられる。また、環状空間の幅は
傾斜壁の上端から下端に進むにつれて狭くなつて
いるので、旋回流の速度は徐々に増し、下端部に
て最高になる。

螺旋壁は傾斜壁の下端にて半径方向の端壁に段
状に連結しているので、その端壁部で環状空間の
幅が急に拡大する。このために、流体が旋回する
と端壁の付近の圧力が低下し、付近の壁面に付着
している水滴が、螺旋壁との端壁の接合稜線に集
つて来て、上記の様にこの接合稜線部で最高速度
に達した強い旋回流によつて稜線から吹き払わ
れ、外側のケーシング内壁に吹き付けられる。

傾斜壁や螺旋壁を含む隔壁部材の外周壁面は梨
肌の様な粗い肌に仕上げてあるので、壁面に水膜
が付着しやすく、また旋回流に対して壁面近くの
表面速度が適度に減速されるので、壁面で水滴を
捕えることができる。こうして壁面に捕えられた
水は上記の様に、接合稜線部に集められ、外側の
ケーシング内壁に吹き付けられ、排水弁部に導び
かれる。

傾斜壁上端から上方に縦壁を形成すれば、旋回
しながら環状空間に進入する流体は縦壁に衝突す
るから、水滴の一部が縦壁に当たつて付着して気
体から分離される作用効果も得られる。

発明の効果 本発明は下記の特有の効果を生じる。

流体を旋回せしめて遠心力の作用で気水を分離
するというだけでなく、螺旋壁と端壁の接合稜線
に水滴を積極的に集め、かつ旋回流の速度をその
稜線部で最高にして、水滴を稜線部から吹き払
い、外側のケーシング内壁に吹きつける様にした
ので、気水の分離効率が極めて良い。

この際に壁面は、粗い肌に形成したから、水滴
を積極的に付着せしめて気体から分離する作用効
果を発揮し、気水の分離効率が更に向上する。

旋回流の速度を単に大きくしたのではなく、環
状空間の幅を傾斜面の下端部で最も狭くすること
により、要所、即ち傾斜壁の下端部で旋回流の速
度を最高にしたので、また壁面を粗い肌に仕上げ
て減速作用を働らかせたので、その前後では旋回
流は緩かであり、水滴が気体に乗つて出口側に運
ばれたり、排水弁部の水面が乱れて排水弁が誤差
動する様なことがない。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明
する（第１図ないし第４図参照）。

第１図の実施例は本発明による気水分離器２
を、蒸気用の減圧弁１に一体的に組み合わせたも
のである。

減圧弁１の主弁３の周囲に、二重のほぼ円筒形
状の隔壁部材４を配置する。外側の円筒は真直ぐ
な形状で内側の円筒よりも低く形成する。内側の
円筒は上部と下部が緩かに拡がつた形状である。

尚、外側の円筒は省略して下記のケーシング１
４で兼用できる。

テーパー状のスクリーン５を隔壁部材４の外側
に配置する。隔壁部材４の内側にはリブを介して
中心軸上に連結棒６が一体に形成されて主弁３の
下部を案内する。入口７はスクリーン５を通して
隔壁部材４の二重の円筒形状の間の環状空間８に
連結し、隔壁部材４の内側は主弁３の弁口を通し
て出口９に連結する。

環状空間８に隔壁部材４と一体に旋回羽根１０
形成する。旋回羽根１０を含む隔壁部材はロスト
ワツクス法により鋳造し、その壁面は梨肌の様に
粗い肌に仕上げる。勿論、他の鋳造方法、あるい
は切削その他の加工方法を用いても良いが、少な
くとも隔壁部材の外周壁面は粗い肌に仕上げる。

本実施例のロストワツクス法による場合、壁面
の表面粗さは、JIS規格（Ｂ 0601）で表現すれ
ば、最大高さRmaxが15〜60マイクロ・メータで
ある。壁面を表面粗さが10Rmaxマイクロ・メー
タ以上の粗い肌に仕上げれば本発明の効果が得ら
れる。

旋回羽根１０は第２図ないし第４図に拡大して
示すように、隔壁部材４の内側の円筒の上端から
外側の円筒の上端まで径方向に突出させて形成し
た縦壁１１と、外側と内側の円筒の間に縦壁１１
の下端から斜下向きに傾斜させて形成した傾斜壁
１２と、傾斜壁１２の上面で内側の円筒から螺旋
状に外側の円筒方向に形成した螺旋壁１３とから
なり、環状空間８に５個形成する。螺旋壁１３の
終端は径方向の端壁３０に段状に連結している。

梨肌のような粗い肌に形成すべき壁面は参照記
号Ａで示してある。

第１図に戻つて、気水分離器のケーシング１４
の下端に、下蓋１５をボルトで取り付けて、内部
に排水弁室１６を形成する。排水弁室１６内に球
形のフロート１７を収容する。

下蓋１５には排水弁座１８が排水口１９の内端
に取り付けてある。フロート１７を覆つてフロー
トカバー２０を取り付ける。フロートカバー２０
の下部に連結開口２１を開ける。参照番号22はフ
ロートカバー２０の上部に設けた通気孔である。

入口７から入つた流体は旋回羽根１０の傾斜壁
１２で旋回せしめられる。流体中の水滴は遠心力
の作用で外側に振り出され分離する。縦壁１１は
流入流体を垂直に落下させて傾斜壁１２で旋回せ
しめられる旋回流を相殺して、旋回流の流速を遅
くすると共に、より下向きの旋回流にする。この
とき水滴の一部は縦壁１１等の壁面に当たり表面
に付着する。

螺旋壁１３は旋回流を環状空間８の接線方向よ
りも外側に向かわせるようにする。また、傾斜壁
１２の下端に於て環状空間８の幅が最小となり、
流速が最大となる。螺旋壁１３の終端は径方向の
端壁に段状に連結しているから、螺旋壁と端壁の
接合稜線部を境にして環状空間の幅が急に拡大す
る。このために、流体が旋回すると端壁の付近が
低圧域となり、壁面に付着した水滴が接合稜線に
集つてくる。そして、この様にして集つてきた水
滴は強い旋回流で接合稜線部から吹き払われ、ケ
ーシング内壁（隔壁部材４の外側の円筒の内壁を
も含む）に吹き付けられる。

こうして分離された水滴は外側の隔壁部材４と
ケーシング１４の内周壁に沿つて流れ下だる。隔
壁部材４の下端を通過した気体はその内側を通つ
て減圧弁１の主弁３に向かい、出口９に流れ出
る。分離された水はフロートカバー２０の連結開
口２１を通して内部に入る。このときフロートカ
バー２０の内部の気体は通気孔２２を通して外部
に出る。フロート１７は水位に応じて浮上降下し
て、排水弁座１８の排水弁口を開閉し、排水口１
９から水だけを系外に排出する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による気水分離器を減圧弁に組
み合わせたものの部分断面図、第２図は隔壁部材
に一体に形成した旋回羽根の、第３図の−線
に沿う横断面図、第３図は第２図の縦断面図、第
４図は隔壁部材に一体に形成した旋回羽根の外形
図である。 １……減圧弁、２……気水分離器、４……隔壁
部材、８……環状空間、１０……旋回羽根、１１
……縦壁、１２……傾斜壁、１３……螺旋壁、１
７……フロート、１９……排水口、３０……端
壁、Ａ……粗い肌の壁面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ケーシングと隔壁部材で形成する環状空間に
   旋回羽根を配置して旋回による遠心力で気水を分
   離し、分離した水滴をその下方空間に配置した排
   水弁で系外に排出する気水分離器に於て、円筒状
   の隔壁部材の外周壁に、斜下向きに傾いた傾斜壁
   を複数形成し、傾斜壁の上端から下端に向つて次
   第に外側に張出し、下端にて円筒状隔壁部材の半
   径方向の端壁に段状に連結した螺旋壁を形成し、
   傾斜壁と螺旋壁を含む隔壁部材の少なくとも外周
   壁面を梨肌の様な粗い肌に形成した気水分離器の
   旋回羽根の構造。