JPH0565585A - アルミニウム基合金集成固化材並びにその製造方法 - Google Patents

アルミニウム基合金集成固化材並びにその製造方法

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JPH0565585A
JPH0565585A JP3225975A JP22597591A JPH0565585A JP H0565585 A JPH0565585 A JP H0565585A JP 3225975 A JP3225975 A JP 3225975A JP 22597591 A JP22597591 A JP 22597591A JP H0565585 A JPH0565585 A JP H0565585A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高強度で、しかも実用の加工に耐えうる伸び
を有するアルミニウム基合金集成固化材並びにその製造
方法に関する。 【構成】 AlaNibXc(X:Zr、Tiの1種又
は2種、a、b、cは原子%で87.5≦a≦92.
5、5≦b≦10、0.5≦c≦5)で示される急冷凝
固材を集成固化してなるもの、及び上記組成の材料を溶
融して急冷凝固させ、得られた粉末又は薄片を集成して
通常の塑性加工手段により加圧成形固化する製造方法で
ある。 【効果】 二次加工を施す場合に加工に耐えうる伸び
(靭性)の優れたもので、その二次加工が容易に行える
とともに、原材料のもつ優れた特性をそのまま維持でき
るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度で、しかも実用
の加工に耐えうる伸びを有するアルミニウム基合金集成
固化材並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高強度、高耐熱性を有するアルミ
ニウム基合金が液体急冷法等によって製造されている。
特に特開平1−275732号公報に開示されている。
液体急冷法によって得られるアルミニウム合金は非晶質
又は微細結晶質であり、高強度、高耐熱性、高耐食性を
有する優れた合金である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のアルミニウ
ム基合金は、高強度、高耐熱性、高耐食性を示す優れた
合金であり、これを液体急冷法によって粉末又は薄片と
して得、これらを原料として種々加工して最終製品を得
る場合、すなわち一次加工のみで製品とする場合につい
ては加工性においても優れているが、該粉末又は薄片を
原料として固化材を形成し、さらにこれを加工する場
合、すなわち二次加工する場合には、その加工性および
加工後の材料の優れた特性の維持の点において改善の余
地を残している。
【0004】そこで、本発明は、二次加工(押出、切
削、鍛造等)を施すに際し、その加工が容易に行え、か
つ加工後においても原料が有している優れた特性を維持
できる特定の組成によりなるアルミニウム基合金集成固
化材を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式:Al
aNibXc{ただし、X:Zr、Tiから選ばれる1
種もしくは2種の元素であり、a、b、cは原子パーセ
ントで、87.5≦a≦92.5、5≦b≦10、0.
5≦c≦5}で示される組成の急冷凝固材を集成固化し
てなることを特徴とするアルミニウム基合金集成固化材
である。
【0006】又、上記固化材は平均結晶粒径40〜10
00nmのアルミニウムまたはアルミニウムの過飽和固
溶体のマトリックスであり、かつマトリックス元素とそ
の他の合金元素とが生成する種々の金属間化合物及び/
又はその他の合金元素同士が生成する種々の金属間化合
物の安定相又は準安定相からなる粒子が前記マトリック
ス中に均一に分布し、その金属間化合物の平均粒子の大
きさが10〜800nmである。
【0007】本発明は、又、前記一般式で示される組成
の材料を溶融して急冷凝固させ、得られた粉末又は薄片
を集成して通常の塑性加工手段により加圧成形固化する
ことを特徴とする方法である。この場合、原材料となる
粉末又は薄片は、非晶質、過飽和固溶体又は上記に示す
ような平均結晶粒径1000nm以下で金属間化合物の
平均粒子の大きさが1〜800nmの微細結晶質又はこ
れらの混相であることが必要である。非晶質材の場合は
集成時に50℃〜400℃に加熱することによって上記
条件の微細結晶質又は混相とすることができる。
【0008】上記通常の塑性加工技術とは広義のもの
で、加圧成形や粉末冶金技術も包含する。
【0009】前記一般式において、原子パーセントでa
を87.5〜92.5%、bを5〜10%、cを0.5
〜5%の範囲にそれぞれ限定したのは、その範囲内であ
ると従来(市販)の高強度アルミニウム合金より室温か
ら200℃までの強度が高いとともに実用の加工に耐え
得るだけの延性を備えているためである。
【0010】本発明の合金固化材において、Ni元素は
Alマトリックス中の拡散能が比較的小さい元素であ
り、Alマトリックス中に微細に金属間化合物として分
散することにより、マトリックスを強化するとともに結
晶粒の成長を抑制する効果がある。すなわち合金の硬度
と強度と剛性を著しく向上させ、常温をもとより高温に
おける微細結晶質相を安定化させ、耐熱性を付与する。
【0011】また、X元素はZr、Tiから選ばれる1
種もしくは2種の元素であり、X元素はAlマトリック
ス中の拡散能が小さい元素であり、種々の準安定または
安定な金属間化合物を形成し、微細結晶組織の安定化に
貢献する。
【0012】本発明のアルミニウム基合金固化材におい
て、平均結晶粒径を40〜1000nmの範囲に限定し
たのは、40nm未満の場合強度は強いが延性の点で不
十分であり、既存の加工に必要な延性を得るためには、
40nm以上が必要であり、また1000nmを越える
場合強度が急激に低下し、高強度のものが得られなくな
るためであり、高強度のものを得るためには1000n
m以下が必要であるためである。また、金属間化合物の
平均粒子の大きさを10〜800nmの範囲に限定した
のは、Alマトリックスの強化要素として働かないため
である。すなわち、10nm未満の場合、Alマトリッ
クス強化に寄与せず、必要以上にマトリックスに固溶さ
せると脆化の危険を生じる。また、800nmを越えた
場合、分散粒子が大きくなり過ぎて、強度の維持ができ
なくなるとともに強化要素として働かなくなる。したが
って、上記範囲にすることによりヤング率、高温強度、
疲労強度を向上させることができる。
【0013】本発明のアルミニウム基合金固化材は、適
当な製造条件を選ぶことにより、結晶粒径と金属間化合
物の分散状態を制御できるが、強度を重視する場合、平
均結晶粒径および金属間化合物の平均粒子径を小さく制
御し、延性を重視する場合、平均粒径および金属間化合
物の平均粒子径を大きくすることによって、種々の目的
にあったものを得ることができる。
【0014】また、平均結晶粒径を40〜1000の範
囲に制御することにより、優れた超塑性加工材としての
性質も付与できる。
【0015】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。
【0016】実施例1 ガスアトマイズ装置により所定の成分組成を有するアル
ミニウム基合金粉末(Al92-XNi8ZrX)、(Al
97.5-XNiXZr2.5)を作製する。作製されたアルミニ
ウム基合金粉末を金属カプセルに充填後、脱ガスを行い
押出し用のビレットを作製する。このビレットを押出し
機にて200〜550℃の温度で押出を行った。上記の
製造条件により得られた押出し材(固化材)の室温にお
ける機械的性質(引張り強度、伸び)を図1および図2
に示す。
【0017】図1に示すように、室温における固化材の
引張り強度はNiの量が5at%以上で高くなり、10
at%を越えると急激に低下していることが分かる。ま
た、Niの量が10at%を越えると伸びが低下してい
ることが分かり、一般的な加工に最低限必要な伸び(2
%)はNi量が10at%以下で得られていることが分
かる。
【0018】図2に示すように、室温における固化材の
引張り強度はZrの量が0.5at%以上で高くなり、
5at%を越えると急激に低下していることが分かる。
また、Zrの量が5at%を越えると伸びが低下してい
ることが分かり、一般的な加工に最低限必要な伸び(2
%)はZrが5at%以下で得られていることが分か
る。なお、比較のため従来の高強度アルミニウム基合金
固化材(ジュラルミンの押出材)について、室温におけ
る引張り強度を測定した結果、約650(MPa)であ
った。これからも上記本発明の固化材は上記範囲内で強
度的に優れたものであることが分かる。
【0019】また、上記の製造条件により得られた押出
材(固化材)について、200℃で100時間保持後に
おける機械的性質(引張強度、伸び)を200℃以下で
調べた。この結果を図3および図4に示す。
【0020】図3に示すように200℃の環境下におけ
る引張強度はNiの量が5at%未満で、急激に低下し
ていることが分かるとともに、10at%を超えると徐
々に低下していることが分かる。これとは逆に伸びは全
体的に大きな値を示している。
【0021】図4に示すように200℃の環境下におけ
る引張強度はZrの量が0.5at%未満で急激に低下
していることが分かるとともに、5at%を超えると徐
々に低下していることが分かる。これとは逆に伸びは全
体的に大きな値を示している。
【0022】なお、比較のため従来の高強度アルミニウ
ム基合金固化材(ジュラルミンの押出材)について、2
00℃環境下における引張強度を測定した。その結果約
200MPaであった。これからも本発明の固化材は2
00℃の環境下で強度的に優れたものであることが分か
る。
【0023】実施例2 上記実施例1と同様にして表1に示す各種成分組成を有
する押出材(固化材)を作製し、これについて室温にお
ける機械的性質(引張強度、ヤング率、硬度)を調べ
た。この結果を表1に示す。ただし、表中に示される固
化材の伸びは全て一般的な加工に最低限必要な(2%)
は得られていた。
【0024】表1より本発明の合金は、引張強度、ヤン
グ率、硬度において、すぐれた特性を有することが分か
る。
【0025】なお、比較のため従来の高強度アルミニウ
ム基合金固化材(ジュラルミン押出材)のヤング率は、
約70(GPa)である。このことより同一荷重がかか
るとたわみ量および変形量が小さくて済むといった効果
を奏する。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明のアルミニウム基合金固化材は、
二次加工を施す場合に加工に耐えうる伸び(靭性)の優
れたものであって、その二次加工が容易に行えるととも
に、原材料のもつ優れた特性をそのまま維持できるもの
である。又、本発明のアルミニウム基合金固化材は、X
元素がZr、Tiの少なくとも1種であることにより、
比強度が大きくなり、高比強度材料としても有用であ
る。又、かかる固化材は急冷凝固によって得た粉末又は
薄片を集成して塑性加工するだけの簡単な手段によって
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の固化材の室温における伸びと引張強度
のNiの変化量に応じたグラフである。
【図2】実施例の固化材の室温における伸びと引張強度
のZrの変化量に応じたグラフである。
【図3】実施例の押出し材の200℃で100時間保持
後における伸びと引張強度のNiの変化量に応じたグラ
フである。
【図4】実施例の押出材の200℃で100時間保持後
における伸びと引張強度のZrの変化量に応じたグラフ
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:AlaNibXc{ただし、
    X:Zr、Tiから選ばれる1種もしくは2種の元素で
    あり、a、b、cは原子パーセントで、87.5≦a≦
    92.5、5≦b≦10、0.5≦c≦5}で示される
    組成の急冷凝固材を集成固化してなることを特徴とする
    アルミニウム基合金集成固化材。
  2. 【請求項2】 平均結晶粒径40〜1000nmのアル
    ミニウムまたはアルミニウムの過飽和固溶体のマトリッ
    クスであり、かつマトリックス元素とその他の合金元素
    とが生成する種々の金属間化合物及び/又はその他の合
    金元素同士が生成する種々の金属間化合物の安定相又は
    準安定相からなる粒子が前記マトリックス中に均一に分
    布し、その金属間化合物の平均粒子の大きさが10〜8
    00nmである請求項1記載のアルミニウム基合金集成
    固化材。
  3. 【請求項3】 一般式:AlaNibXc{ただし、
    X:Zr、Tiから選ばれる1種もしくは2種の元素で
    あり、a、b、cは原子パーセントで、87.5≦a≦
    92.5、5≦b≦10、0.5≦c≦5}で示される
    組成の材料を溶融して急冷凝固させ、得られた粉末又は
    薄片を集成して通常の塑性加工手段により加圧成形固化
    することを特徴とするアルミニウム基合金集成固化材の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 固化材は平均結晶粒径40〜1000n
    mのアルミニウムまたはアルミニウムの過飽和固溶体の
    マトリックスであり、かつマトリックス元素とその他の
    合金元素とが生成する種々の金属間化合物及び/又はそ
    の他の合金元素同士が生成する種々の金属間化合物の安
    定相又は準安定相からなる粒子が前記マトリックス中に
    均一に分布し、その金属間化合物の平均粒子の大きさが
    10〜800nmである請求項3記載のアルミニウム基
    合金固化材の製造方法。
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