JPH0563634U - 攪拌装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 容器内面に粉粒体を付着させることなく、粉
粒体を均一に混合あるいは乾燥することができる攪拌装
置を提供する。 【構成】 逆円錐状容器１外上に公転用モータ６および
自転用モータ８を配し、該容器１の内周壁面に沿って配
設した螺旋翼３を有する回転軸２をその上端部で容器１
の中心部上部から半径方向に延びる中空公転軸４ｂの先
端部に枢支して上記モータにより公転および自転可能に
構成した攪拌装置において、上記螺旋翼３の外周部に容
器１内壁に摺接可能な遊動リング５を配設した攪拌装置
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は液相分散媒中に分散した物質が反応して固液相を形成する場合、固液 混合相を原料とする場合、あるいは溶解液相を蒸発すれば固相を析出する溶液を 原料とする場合、または固相を原料とする場合において、最終的に乾燥した粉体 を得ることを目的とする攪拌装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術および考案が解決しようとする課題】

この種の攪拌装置としては、例えば図２に示すように、逆円錐状容器２１内壁 に沿って配設した螺旋翼２２を有する回転軸２３を自転用モータ２４および公転 用モータ２５により、自転・公転を同時に行わせつつ粉粒体の攪拌を行うミキサ ー（実開昭６３−９８７２４号参照）が知られている。この場合、容器２１内周 面と回転する螺旋翼２２との間の機械的な接触を避けるため、一般的に５〜１５ mm程度の間隙が設けられる。そのため、粉粒体攪拌時にはこの間隙に粉粒体が付 着しやすく、さらに粉粒体の中には付着性のものも多く、この場合、上記間隙に こびりつき、攪拌後の粉粒体を容器内から払い出した後においても容器内に残留 する。この残留した粉粒体は容器内周面に付着し容易に剥離しないので、人手に より棒等の道具を用いて掻き落とすなどの物理的な力を加えないと排除できない ことが多い。

【０００３】 一方、図３に示すように、逆円錐状容器３１の内壁に接近した位置に自転しつ つ公転する螺旋翼を有する回転軸３２を配設し、容器内壁に接する掻取板３３を 有する混合機（実開昭５０−１５８５９号参照）が知られている。この混合機は 上記ミキサーの構成に掻取板を付加したものであり、攪拌混合時に掻取板３３の 作用により容器３１内面に付着した粉粒体を掻き取る効果は期待できるが、同時 に、掻取板３３の平板部に内容物との不要な抗力が働き、過大なトルクや横荷重 が発生するので、攪拌所要動力が増大するとともに設備に損傷を与える恐れがあ る。

【０００４】 本考案は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって 、その目的は、容器内面に粉粒体を付着させることなく、粉粒体を均一に混合あ るいは乾燥することができる攪拌装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案の要旨は、逆円錐状容器外上に公転用モータ および自転用モータを配し、該容器の内周壁面に沿って配設した螺旋翼を有する 回転軸をその上端部で容器の中心部上部から半径方向に延びる中空公転軸の先端 部に枢支して上記モータにより公転および自転可能に構成した攪拌装置において 、上記螺旋翼の外周部に容器内壁に摺接可能な遊動リングを配設したことを特徴 とする攪拌装置にある。

【０００６】

【作用】

攪拌装置内の粉粒体は螺旋翼を有する回転軸の自転によりサイクロイド状に、 しかも遊動リングの掻き取り作用により装置内壁に付着することはなく容器内壁 に沿って上部に運ばれ、そこに螺旋翼が通過していない部分の粉粒体が落下する ので上下方向の循環流が生じ、さらに回転軸の公転により装置内粉粒体は水平方 向に円運動を行うので、装置内壁に粉粒体が付着することなく３次元の対流混合 を主体とした効率のよい混合が行われる。

【０００７】

【実施例】

以下に本考案の実施例について図面を参照しながら説明する。 図１は本考案に係る攪拌装置の部分縦断側面図である。同図において、１は逆 円錐状の密閉容器で、容器内の液体材料あるいは粉体材料を均一に攪拌・混合す るように構成されている。 ２は容器内壁に沿って下部から上部にかけて配備された螺旋翼３を有する回転 軸で、該回転軸２は容器内中心部上部の縦方向の中空公転軸４ａから半径方向に 水平に延びる中空公転軸４ｂ先端部で回転自在に支承されている。各螺旋翼３の 外周部には複数のリング５が遊動可能に配設され、各リング５は回転軸２が一回 自転するごとに該リング外周の一部が容器１内壁に接することが可能であり、リ ング５外周の一部が容器内壁に摺接することにより、内壁に付着した粉粒体の掻 取りが行われる。

【０００８】 回転軸２の公転は、容器外上の公転用モータ６、減速機７により公転軸４ｂを 容器中心のまわりに旋回させることにより行われる。また、回転軸２の自転は、 容器外上の自転用モータ８、減速機９をベベルギヤ方式で回転軸２に連結するこ とにより行われる。 １０は容器内に材料を装入するためのマンホール、１１は容器内の製品を排出 するための排出口、１２は矢印方向に温水が通入されるジャケットである。 係る構成の攪拌装置を用いて、水分を含む炭酸カルシウムから真空加熱乾燥に より乾燥した炭酸カルシウム粉末を得る目的の試験を行ったので、以下にその内 容について説明する。 原料として水を含んだ炭酸カルシウムは３５ｋｇ（内訳＝炭酸カルシウム２７ ｋｇ、水８ｋｇ）とし、攪拌装置の運転条件としては、自転回転数＝約１００ｒ ｐｍ、公転回転数＝約３ｒｐｍ、ジャケット水温＝約８０℃、容器内真空度＝約 ２５Ｔｏｒｒとし、２５時間運転した。そして、運転終了後に排出口１１より２ ６．２ｋｇの乾燥した炭酸カルシウム粉末を取り出した。また、マンホール１０ から容器１内を覗くと、容器１内壁には、装置運転上ならびに歩留り管理上の点 からも全く問題ない程度の極僅かの粉体の付着しか認められなかった。

【０００９】 次に、遊動リング５を有しない点を除いて他の構成は図１と同様である攪拌装 置を用いて、同上“炭酸カルシウム真空加熱乾燥試験”を行った。そして、運転 終了後に排出口１１より２１．４ｋｇの乾燥した炭酸カルシウム粉末を取り出し た。また、マンホール１０から容器１内を覗くと、容器内壁に多量の粉体が付着 しているのが認められたので、マンホール１０から装入した掻取棒（図示せず） により掻落として排出口１１から３．１ｋｇの乾燥炭酸カルシウム粉末を回収し た。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は上記のように構成されているので、以下の効果を奏する。 (1) 本考案に係る攪拌装置では、螺旋翼に配設した遊動リングにより容器内面に 粉粒体が付着することなく粉粒体の攪拌・混合が行えるので、付着・残留した粉 粒体を排出するために人手をかける必要がなく、しかも容器内の残留粉粒体の量 が極軽微であるから歩留りの向上が期待できる。また、容器内面に粉粒体が付着 しないので、本考案の装置を内容物の乾燥に用いる場合、伝熱効率の向上が図れ る。

【００１１】 (2) 螺旋翼に配設されたリングは自在に遊動するため、固定した粉粒体掻取板と 異なり、粉粒体の攪拌・混合時に過大なトルクが発生することがない。

【００１２】 (3) 螺旋翼に配設されたリングは自在に遊動するため、固定した粉粒体掻取板と 異なり、リング自身に自浄作用が期待でき、リングへの粉粒体の付着による歩留 りの低下がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a) は本考案の攪拌装置の部分縦断側面図、
(b) は遊動リングの配設された螺旋翼の拡大図である。

【図２】従来の攪拌装置の概略構成を示す図である。

【図３】従来の別の攪拌装置の縦断側面図である。 １…容器 ２…回転軸 ３…螺旋翼 ４ａ、４ｂ…公転軸 ５…リング ６…公転用モータ ８…自転用モータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 逆円錐状容器外上に公転用モータおよび
   自転用モータを配し、該容器の内周壁面に沿って配設し
   た螺旋翼を有する回転軸をその上端部で容器の中心部上
   部から半径方向に延びる中空公転軸の先端部に枢支して
   上記モータにより公転および自転可能に構成した攪拌装
   置において、上記螺旋翼の外周部に容器内壁に摺接可能
   な遊動リングを配設したことを特徴とする攪拌装置。