JPH0562434U - 飲料用壜 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 飲料用壜の開口部に被せる薄膜キャップをナ
イフ等で簡単に切断して、薄膜キャップを簡単に外せる
ようにすることを目的とする。 【構成】 壜本体１０の開口部付近の外面に鍔部１４を
設け、その鍔部１４と直ぐ隣合う本体の外面の周囲に溝
２０を形成する。或は、鍔部１４の外周表面に溝２０を
形成する。開口部と鍔部１４と溝２０を覆うように薄膜
キャップを本体１０に取付ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ワインの壜等のような開口部に薄膜キャップを取付けた飲料用壜に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えばワインの壜のような飲料用壜においては、内蔵する飲料と外気とを遮断 する目的や衛生上の目的から、その開口部と栓との全域を覆うように金属製の薄 膜キャップが被せられている。この薄膜キャップの金属材料としては、薄く伸ば せる柔らかな性質と、コイル状のワインオープナーの先端やナイフ等で比較的容 易に切断できる性質とを有することから、従来から鉛が一般に使用されている。

【０００３】 この鉛製の薄膜キャップは、最終的には壜から取外されてゴミとして廃棄され る。しかし、鉛は自然界に放置すると周囲に害を及ぼすものであるので、最近の 世界的な自然環境保護の観点から、鉛を飲料用壜等の薄膜キャップに使用しない ようにする運動が徐々に高まりつつある。 現在の処、薄く伸ばせてかつ比較的容易に切断できる性質を有すると共にコス ト的に見合う金属としては鉛しか見当たらないので、もし飲料用壜等の薄膜キャ ップに鉛を使用出来なくなると、コスト的に見合う薄膜キャップの新たな素材（ 主に金属）としては、薄く伸ばせる点か比較的容易に切断できる点かのいずれか の点が鉛より劣ることになる。ここで、薄く伸ばしにくい素材を採用するとなる と、壜に薄膜キャップを取付ける生産性が落ち、しかも肉厚が厚ければそれだけ 材料費がかかる。このため、薄膜キャップの素材としては、鉛と比べて切断しに くいものであっても、薄く伸ばせる性質の素材が採用されるようになる。

【考案が解決しようとする課題】

【０００４】 自然界に害を及ぼさずしかも薄く伸ばせる種々の金属で作った薄膜キャップで は、その裾部からキャップを外そうとした場合、鉛と比べてその取外しが難しく 、しかもその切断部が固く鋭くなるので人が傷つくおそれがある。

【０００５】 本考案はこの点に鑑みてなされたもので、開口部に被せるキャップを簡単に外 せるようにした飲料用壜を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、開口部付近の本体表面の周囲に鍔部を有 し、一端を閉鎖した筒状の薄膜キャップで開口部と鍔部とを覆うようにした飲料 用壜において、鍔部または鍔部近傍の本体表面の周囲にわたって溝を設けるよう にしたものである。

【０００７】

【作用】

鍔部または鍔部に隣接した本体表面の周囲に溝を設けたので、ナイフの刃をそ の溝に沿って入れることにより薄膜キャップを切断できる。鍔部または鍔部に隣 接する本体表面に溝を設けたことにより、その表面に薄膜キャップが被っていて もナイフを入れる箇所が特定できる。

【０００８】

【実施例】

次に、本考案を図面に基いて説明する。 図１は本考案に係る飲料用壜の製造前の形状を示す部分正面図である。壜本体 １０の外面には、開口部１２から胴の太い位置側に約４ミリ乃至５ミリ程度離れ た位置に、径大の鍔部１４が設けられている。この開口部１２より鍔部１４まで を頭部１６とし、鍔部１４を挟んで頭部１６と反対側を首部１８とする。頭部１ ６と鍔部１４との境目は、直角またはエッジに形成する。一方、頭部１６と鍔部 １４との境目は、図２のようなＲ（円弧）や図３のようなＣ（直線状の斜面）の ものを用いない。但し、図３のようなＣ（直線状の斜面）のものでは、Ｃ＝０． ５ミリ以下のものについては使用することができる。即ち、後述する溝２０を設 ける箇所においては、鍔部１４との境目はほぼ角張ったものにする。

【０００９】 図１の状態から、頭部１６における鍔部１４との隣接箇所の周囲に溝２０を形 成する（図４）。この溝２０の断面形状は、Ｖ字形状が望ましい。溝２０の断面 形状は、断面Ｖ字形状に代えて、図５に示すような断面Ｕ字形状であってもよい し、図６に示すような断面矩形形状であってもよい。

【００１０】 図４の状態の壜本体１０に、一端を閉鎖した筒状の薄膜キャップ２２が取付け られる（図７）。この薄膜キャップ２２は開口部１２の全域並びに鍔部１４の全 域を覆い、その先端縁は首部１８に至るものである。この図７の状態より薄膜キ ャップ２２を外す場合は、溝２０の位置における薄膜キャップ２２の外側からナ イフ２４を入れ、そのナイフ２４を壜の囲りに一周させることにより、薄膜キャ ップ２２を切断する。即ち、溝２０があることによって、ナイフ２４がその溝２ ０まで達し、それによって薄膜キャップ２２の外周が切断される。また、溝２０ は薄膜キャップ２２で覆われていて外部からは見えないが、頭部１６のうち鍔部 １４に隣接する位置に設定しておくことにより、溝２０が外部から見えなくても 溝２０にナイフ２４を入れることができる。この薄膜キャップ２２の切断の結果 、頭部１６側の切断されたキャップ部分は一端を閉鎖した筒状であり、この切断 されたキャップ部分において筒部の引抜きには何ら障害が無いので、この切断さ れたキャップ部分は簡単に手で壜から外すことができる。

【００１１】 前記溝２０の深さＤは、０ミリ＜Ｄ＜０．６ミリに設定される。最良の溝２０ の深さＤは、０．３ミリ≦Ｄ≦０．５ミリである。溝２０の深さが０．６ミリ以 上になると、薄膜キャップ２２を切った時に切断先端縁が溝２０の壁面に張り付 いて折り込まれた状態になり、頭部１６側の切断されたキャップ部分２６を簡単 に外せなくなる。更に、溝２０の深さが深くなりすぎると、その溝２０の位置の 強度が弱くなるという問題が生じる。

【００１２】 この溝２０の幅Ｂは、０．３ミリ≦Ｂ≦０．６ミリに設定される。溝２０の幅 が０．３ミリ未満になると、ナイフ２４を溝２０に合致しにくい（溝２０を見つ けにくい）。一方、溝２０の幅が０．６ミリを越える幅になると、薄膜キャップ ２２を切った時に切断先端縁が溝２０の壁面に張り付いて折り込まれた状態にな り、頭部１６側の切断されたキャップ部分２６を簡単に外せなくなる。

【００１３】 以上のように、鍔部１４との境目の頭部１６に溝２０を設けることにより、ナ イフ２４をその溝２０に入れて薄膜キャップ２２を切断することが可能になる。 また、その切断したキャップ部分を簡単に手で外すことができる。その上、切断 縁はギザギザになることはないので、薄膜キャップ２２の素材が鉛よりも固いも のであっても何ら問題はない。 更に、従来の壜の構造では、ワイン等を注いだ後に液垂れが鍔部から首部を通 って壜の胴部に流れ落ちることがあるが、本考案に係る壜では液垂れが溝２０に 溜り、壜の胴部にまでは至ることがない。

【００１４】 次に、本考案に係る別の実施例を説明する。 図８は、飲料用壜の開口部を示す部分正面図である。壜本体１０の鍔部１４の 外周表面の周囲に溝２０が形成されている。この鍔部１４は頭部１６や首部１８ より肉厚があって強度が大きいので、薄膜キャップを切る際にこの溝２０にナイ フを入れたとしても、この鍔部１４に溝を形成する方がひび割れを起こすおそれ が少なくなり、製造上の歩留を向上させることができる。この実施例においても 、溝２０の深さＤや溝２０の幅Ｂは、０ミリ＜Ｄ＜０．６ミリ、０．３ミリ≦Ｂ ≦０．６ミリとするのが望ましい。

【００１５】 本考案のような壜本体１０の表面に溝２０を形成することに代えて、図９のよ うに従来の壜を用いてナイフ２４が入る空間２６を設けることも考えられる。即 ち、頭部１６と鍔部１４との境目に薄膜キャップ２２をぴったりくっつけないで 、頭部１６と鍔部１４との境目と薄膜キャップ２２とで空間２６を設けるように する。そして、ナイフ２４をこの空間２６に入れるようにすれば薄膜キャップ２ ２を切断できると考えられる。しかし、この空間２６が潰れて確実に薄膜キャッ プ２２を切断できなくなるおそれや、その切断縁がギザギザになるので、採用す ることができない。

【００１６】 なお、前記実施例においては、溝２０を鍔部１４、或は鍔部１４との境目の頭 部１６側に設けていたが、溝２０を鍔部１４との境目の首部１８側に設けるよう にしても良い。この場合においても、溝２０の深さＤや溝２０の幅Ｂは、頭部１ ６側と同じである。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案に係る飲料用壜によれば、その薄膜キャップの開封 が簡単で、開封後の薄膜キャップによって人に損傷を及ぼすおそれがない。この 結果、薄膜キャップの素材に鉛と異なる素材でそれより固いものであっても適用 することができる。 更に、本考案では開口部から壜の表面を伝う液は溝に吸収されるので、液垂れ が生じることはなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る飲料用壜の製造前の形状を示す部
分正面図である。

【図２】鍔部を有する飲料用壜の部分正面図である。

【図３】鍔部を有する飲料用壜の部分正面図である。

【図４】本考案に係る飲料用壜の一実施例を示す部分正
面図である。

【図５】本考案の飲料用壜に設ける溝の形状を示す部分
拡大断面図である。

【図６】本考案の飲料用壜に設ける溝の形状を示す部分
拡大断面図である。

【図７】図４の飲料用壜に薄膜キャップを被せた状態の
部分正面図である。

【図８】本考案に係る別の実施例を示す飲料用壜の部分
正面図である。

【図９】従来の飲料用壜に薄膜キャップを被せた状態の
部分正面図である。 １０ 壜本体 １２ 開口部 １４ 鍔部 １６ 頭部 ２０ 溝 ２２ 薄膜キャップ

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 開口部付近の本体表面の周囲に鍔部を有
   し、一端を閉鎖した筒状の薄膜キャップで開口部と鍔部
   とを覆うようにした飲料用壜において、前記鍔部または
   鍔部近傍の本体表面の周囲にわたって溝を設けたことを
   特徴とする飲料用壜。
2. 【請求項２】 前記溝を前記鍔部の直ぐ隣合う本体表面
   の周囲に設けたことを特徴とする請求項１記載の飲料用
   壜。
3. 【請求項３】 前記溝の深さＤを０ミリ＜Ｄ＜０．６ミ
   リとしたことを特徴とする請求項１記載の飲料用壜。
4. 【請求項４】 前記溝の幅Ｂを０．３ミリ≦Ｂ≦０．６
   ミリとしたことを特徴とする請求項１記載の飲料用壜。
5. 【請求項５】 前記溝を前記鍔部の外周表面の周囲に設
   けたことを特徴とする請求項１記載の飲料用壜。
6. 【請求項６】 前記溝の深さＤを０ミリ＜Ｄ＜０．６ミ
   リとしたことを特徴とする請求項５記載の飲料用壜。
7. 【請求項７】 前記溝の幅Ｂを０．３ミリ≦Ｂ≦０．６
   ミリとしたことを特徴とする請求項５記載の飲料用壜。