JPH0562215B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、圧力波過給機を備えた過給機付エン
ジンに関し、特にエンジン停止時に高温の排気が
過給機を介しても大気吸入側へ逆流しないように
改良を図つたものに関する。

（従来の技術） 従来より、エンジンに対して吸気を過給する過
給機の一つとして圧力波過給機が知られている
（特公昭38−1153号公報参照）。この圧力波過給機
は、ケース内に回転可能に支持されたロータを有
し、このロータを外周面にはロータの材軸方向に
延びる多数の隔壁が放射状に配設され、これらの
多数の隔壁によつて、ケース内壁とロータとの間
にロータの材軸方向に延びる多数の小室が形成さ
れている。また、ロータの材軸方向の一端側のケ
ースには、吸気導入口および吸気吐出口が形成さ
れ、上記ロータの材軸方向の他端側のケースに
は、排気導入口および排気吐出口とが形成されて
おり、上記ロータの回転に伴い、吸気導入口から
ロータの小室に吸入した吸気に対して排気導入口
から該小室に排気を流入させ、両者の圧力差によ
り吸気を圧縮、加速して吸気吐出口から吐出す
る、つまり排気の圧力波エネルギーを吸気に伝達
するようになし、これによつて、吸気の過給を行
う一方で、上記小室内に残る排気を排気吐出口か
ら排出させるとともに、吸気導入口から該小室内
に吸気を導入することにより掃気を行うことを繰
返し行うようにしている。

（発明が解決しようとする問題点） ところが、このような圧力波過給機を備えたエ
ンジンにおいて、エンジンの停止に連動して過給
機のロータの回転が止まると、上述のような過給
動作が行われなくなるので、多数の小室内におい
て吸気と排気との間に形成されていた境界面が消
失し、吸気側と排気側とはこれらの小室を介して
連通可能な状態になる。この結果、排気通路内あ
るひは過給機内に残存していた排気の多くは、管
路抵抗の最も小さい大気に連通した吸気通路側へ
逆流する。ここに、この大気側の吸気通路には吸
入空気を清浄化するためのエアクリーナが取り付
けられており、このような高温の排気が吸気通路
を逆流してエアクリーナに流入すると、エアクリ
ーナはこの高温の排気によつて過熱されて性能の
劣化を生じ、その信頼性および耐久性が損なわれ
てしまう。

そこで、本発明の目的は、かかる点に鑑みて、
エンジン停止時に高温の排気が過給機を介して大
気吸入側へ逆流してエアクリーナを過熱すること
のないようにした過給機付エンジンを提供するこ
とにある。

（問題点を解決するための手段） そのために本発明の圧力波過給機を備えた過給
機付エンジンにおいて、過給機の吸気導入口の上
流側に配置されたエアクリーナとこの吸気導入口
とを連通する吸気通路内にシヤツターバルブを配
置し、エンジン停止時にはこのシヤツターバルブ
により吸気通路をしや断するようにしている。か
かるシヤツターバルブの駆動手段としては、イグ
ニツシヨンスイツチによつて電力の供給制御が行
われるソレノイドを用いることができ、この場
合、ソレノイドは、その付勢状態においてはシヤ
ツターバルブを開状態となし、その消勢状態にお
いてはシヤツターバルブの閉状態となすように、
シヤンターバルブに連結される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図において、１は４気筒エンジン、２は上流端
が大気に開口し下流端が分岐通路２ａ〜２ｄを介
してエンジン１の各気筒に開口して該エンジン１
の各気筒に吸気を供給する吸気通路、３は上流端
が分岐通路３ａ〜３ｄを介してエンジン１の各気
筒に開口し下流端が大気に開口してエンジン１の
各気筒からの排気を排出する排気通路である。

４は上記吸気通路２および排気通路３に跨つて
配設され、エンジン１によつてベルト伝動機構５
を介して回転駆動される圧力波過給機である。該
圧力波過給機４は、耕知の如くケース内に回転可
能に支持されたロータを有している。該ロータの
外周には、ロータの材軸方向に延びる多数の隔壁
が放射状に配設され、該隔壁によつてロータ外周
とケース内周との間にはロータの材軸方向に延び
る多数の小室が形成されている。上記ケースにお
けるロータの材軸方向の一端側の部分には、多数
の小室に連通した吸気導入口６および吸気吐出口
７が形成されており、該吸気導入口６は吸気通路
２における圧力波過給機４の上流側の通路２ｅに
連通し、吸気吐出口７は吸気通路２における圧力
波過給機４の下流側の通路２ｆに連通している。
また、上記ケースにおけるロータの材軸方向の他
端側の部分には、同じく多数の小室に連通した排
気導入口８および排気吐出口９が形成されてお
り、それぞれ排気通路３における圧力波過給機４
の上流側通路３ｅおよび下流側通路３ｆに連通し
ている。しかして、ロータの回転に伴い、低圧の
吸気が閉じ込められた小室内に高圧の排気が排気
導入口８から流入すると、その圧力差により圧力
波（圧縮衝撃波）が発生して小室内を伝播し、吸
気に排気の圧力波エネルギーが伝達されることに
より、吸気を圧縮、加速して吸気吐出口７から吐
出し、吸気の過給を行い、次いで上記小室内に流
入した排気を排気吐出口９から排出するととも
に、吸気導入口６から該小室内に吸気を導入して
排気の掃気を行うことを繰返すように構成されで
いる。

また、１０は圧力波過給機４の下流側の吸気通
路２ｆに介設された空冷式のインタークーラであ
つて、圧力波過給機４から過給された高温の吸気
を外気（走行風）との熱交換により冷却するもの
である。また、１１は圧力波過給機４の上流側の
吸気通路２ｅに介設された目の粗い第１エアクリ
ーナであつて、圧力波過給機４の吸気導入口６を
該第１エアクリーナ１１を介して大気と連通する
ようにしている。１２は圧力波過給機４の下流側
の吸気通路２ｆにおいて、インタークーラ１０の
上流側に介設された、上記第１エアクリーナ１１
よりも目の細かい第２エアクリーナであり、圧力
波過給機４の吸気吐出口７を該第２エアクリーナ
１２を介してエンジン１と連通するようにしてい
る。さらに、１３は排気通路３における各分岐通
路３ａ〜３ｄの集合部に設けられた排気サージタ
ンク、１４は圧力波過給機４の下流側の排気通路
３ｆに介設されたサイレンサである。しかして、
大気から吸気通路２に吸入された吸入空気を目の
粗い第１エアクリーナ１１で濾過し、圧力波過給
機４に損傷を与えないように例えば60〜80μ以上
のダストを除去したのち、吸気導入口６から圧力
波過給機４内に吸入させ、該圧力波過給機４にお
いて吸気（吸入空気）への排気の圧力波エネルギ
ーの伝達により吸気を加圧して吸気吐出口７から
吐出する。次いで、この加圧された吸入空気を目
の細かい第２エアクリーナ１２で濾過し、エンジ
ン性能に支障を与えないように例えば20μ以下の
ダストまでもを除去したのち、インタークーラ１
０で適温に冷却してエンジン１の各気筒に吸入さ
せる。その後、エンジン１の各気筒から排出され
た排気を、排気サージタンク１３で各気筒の排気
脈動を抑制緩和したのち排気導入口８から圧力波
過給機４内に流入させ、該圧力波過給機４におい
て吸気に対して圧力波エネルギーを伝達したのち
排気吐出口９から流出させ、サイレンサ１４で排
気音を減じたのち大気へ放出するようにしてい
る。

ここで、上記の圧力波過給機４の上流側の吸気
通路２ｅにおいて、第１エアクリーナ１１とこの
圧力波過給機４との間にはシヤツタバルブ１５が
配置されており、このシヤツタバルブ１５により
吸気通路２ｅが開閉可能となつている。１６はこ
のシヤツタバルブ１５を駆動するためのソレノイ
ドであり、その付勢時にはシヤツタバルブ１５を
図の破線で示す開位置となし、その消勢時にはシ
ヤツタバルブ１５を図の実線で示す閉位置とな
す。１７はこのソレノイド１６を駆動するための
電源であり、また、１８はイグニスシヨンスイツ
チであり、このイグニツシヨンスイツチ１８を閉
じると、電源１７からソレノイド１６を介してこ
のイグニツシヨンスイツチ１８へ至る回路が形成
される。

したがつて、このようにシヤツタバルブ１５を
備えた本実施例においては、エンジン１の駆動時
にはイグニツシヨンスイツチ１８が入つているの
で、ソレノイド１６には電源１７から電力が供給
されて付勢されており、従つて、シヤツタバルブ
１５は図の破線で示す開位置にある。従つて、上
述したように圧力波過給機４には第１エアクリー
ナ１１および吸気通路２ｆを介して吸気導入口６
から吸気が供給され、過給動作が行われる。しか
るに、エンジン１を停止させるためにイグニツシ
ヨンスイツチ１８をしや断すると、エンジン１が
停止すると同時に、ソレノイド１６への電力供給
回路がしや断される。この結果、ソレノイド１６
は消勢されて、シヤツタバルブ１５は図の実線で
示す閉位置に位置決めされる。すなわち、圧力波
過給機４と第１エアクリーナ１１との間はしや断
される。従つて、エンジン１の停止時に排気通路
３あるいは圧力波過給機４内に残存していた高温
の排気が、その吸気導入口６から吸気通路２ｅ内
に逆流して第１エアクリーナ１１に至ることはな
い。

（発明の効果） 以上説明したように本発明によれば、圧力波過
給機の吸気導入口の上流側のエアクリーナとこの
吸気導入口とを連通する吸気通路を、エンジン停
止時にしや断するようにしたので、エンジンの停
止時に排気通路あるいは圧力波過給機内に残存し
ていた高温の排気が吸気通路内を逆流することが
防止される。従つて、高温の排気によつてエアク
リーナが過熱され、その性能が劣下してしまうこ
とを回避することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示す全体構成図であ
る。 １……エンジン、２ｅ……吸気通路、４……圧
力波過給機、１１……エアクリーナ、１５……シ
ヤツタバルブ、１６……ソレノイド、１７……電
源、１８……イグニツシヨンスイツチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケース内に回転可能に支持され、外周壁には
   材軸方向に延びる多数の隔壁が放射状に形成さ
   れ、該多数の隔壁によりケース内周壁との間に材
   軸方向に延びる多数の小室を区画形成するロータ
   を有し、前記多数の小室の材軸方向の端部は、そ
   の一端側が前記ケースに形成した吸気導入口およ
   び吸気吐出口に連通され、その他端側が前記ケー
   スに形成した排気導入口および排気吐出口に連通
   され、前記ロータの回転に伴つて前記多数の小室
   内において排気の圧力波エネルギーを吸気に伝達
   して吸気の過給を行う圧力波過給機を備えた過給
   機付エンジンにおいて、前記吸気導入口の上流側
   に配置されたエアクリーナと当該吸気導入口とを
   連通する吸気通路内に配置され、当該吸気通路を
   開閉可能なシヤツターバルブと、エンジンが駆動
   状態から停止状態になつたときに前記吸気通路を
   閉鎖するように前記シヤツターバルブを駆動する
   バルブ制御手段とを備えたことを特徴とする過給
   機付エンジン。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載のエンジンにお
   いて、前記バルブ駆動手段は、イグニツシヨンス
   イツチによつて電力の供給が制御されるソレノイ
   ドを有することを特徴とする過給機付エンジン。