JPH0559278A - ポリフエニレンスルフイド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフエニレンスルフイド樹脂組成物

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JPH0559278A
JPH0559278A JP21761491A JP21761491A JPH0559278A JP H0559278 A JPH0559278 A JP H0559278A JP 21761491 A JP21761491 A JP 21761491A JP 21761491 A JP21761491 A JP 21761491A JP H0559278 A JPH0559278 A JP H0559278A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に
亜リン酸金属塩0.05〜10重量部を添加配合した樹
脂組成物。 【効果】上記組成物は塗装密着性、色調が良好であり、
表面処理加工の必要な部品用に適した樹脂組成物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗装・金属蒸着などの表
面後加工に際して、良好な表面平滑性、プライマー等と
の密着性を有し、且つ、成形加工性のすぐれたポリフェ
ニレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、
PPSと略す)はすぐれた強度、耐熱性、難燃性、耐薬
品性を有するエンジニアリングプラスチックとして射出
成形用を中心に電気・電子部品、自動車部品、精密機械
部品などの用途に用いられている。
【0003】しかしながらPPS樹脂の用途が拡大し、
種々の他材料との組み合わせや表面後加工の必要のある
機能部品への適用が検討されるに至り、PPS樹脂が金
属やエポキシ樹脂に対して密着性が低いこと或いは成形
加工品を塗装・金属蒸着などにより修飾しようとした場
合プライマーとの密着性が低いことが問題として顕在化
してきた。このようなPPS樹脂の金属やエポキシ樹脂
等との密着性を改良する目的でこれまでにPPS樹脂に
モノエポキシ化合物を添加する方法(たとえば特開昭6
4−65171号公報)、特定のシラン化合物を添加す
る方法(たとえば特開平1−101366号公報)、P
PS樹脂に特定のワックスを添加する方法(特開平2−
272063号公報)などが提案されている。しかしこ
れら特定の有機化合物を添加する方法は、PPS樹脂の
溶融成形加工工程において、添加剤の一部揮散或いは分
解などが起こり易く、接着性改良効果が不安定であった
り、また成形品にヤケ・着色など好ましくない影響が現
われたりするなど必ずしも、十分満足できるものではな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、PP
S樹脂の本来有するすぐれた特性を損なうことなく、ま
た、成形品のヤケ・着色等の問題もなく、表面平滑性に
すぐれ、安定して、プライマー等との良好な密着力を発
揮するPPS樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ポリ
フェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し亜リン酸
金属塩0.05〜10重量部を添加配合してなるポリフ
ェニレンスルフィド樹脂組成物を提供するものである。
【0006】本発明で使用する(A)ポリフェニレンス
ルフィド樹脂とは、構造式(I)で示される繰り返し単
位を
【0007】
【化1】
【0008】70モル%以上、より好ましくは90モル
%以上を含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モ
ル%未満では、耐熱性が損なわれるので好ましくない。
またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満
を、下記の構造式を有する繰り返し単位等で構成するこ
とが可能である。
【0009】
【化2】
【0010】本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度
は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常5
0〜20,000ポアズ(320℃、剪断速度10se
-1)のものが使用される。
【0011】かかるPPS樹脂は通常公知の方法即ち、
特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量
の小さな重合体を得る方法或いは特公昭52−1224
0号公報や、特開昭61−7332号公報に記載される
比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製
造できる。本発明においては上記のようにして得られた
PPS樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、有機
溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、イソ
シアネートなどの官能基含有化合物による活性化など種
々の処理を施した上で使用することももちろん可能であ
る。
【0012】本発明で用いられる亜リン酸金属塩の具体
例としては、亜リン酸リチウム、亜リン酸ナトリウム、
亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カ
ルシウム、亜リン酸亜鉛などを挙げることができるが、
これらの中でも亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウ
ムが特に好ましい。亜リン酸金属塩添加によるPPS樹
脂の塗装または金属蒸着用プライマーに対する接着性向
上の機構については必ずしも明らかでないが、亜リン酸
金属塩の添加により、PPS樹脂成形品表面の結晶化特
性、配向挙動などに、微妙な変化を与えている可能性が
ある。また亜リン酸金属塩の添加により、PPS樹脂の
溶融成形工程における“ヤケ”や着色の発生が大幅に抑
制されるという効果も同時に得られることも本発明の特
徴である。
【0013】本発明において亜リン酸金属塩の配合量は
PPS樹脂100重量部に対して0.05〜10重量
部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。亜リン
酸金属塩の添加量が0.05重量部に満たないと、接着
性向上や劣化抑制の効果が不十分なので好ましくなく、
一方添加量が10重量部を越えると、PPS樹脂組成物
の機械的強度が損なわれるので好ましくない。
【0014】本発明において、繊維状および/または粒
状の強化材は必須成分ではないが、必要に応じてPPS
樹脂100重量部に対して400重量部を越えない範囲
で配合することが可能であり、通常10〜200重量部
の範囲で配合することにより強度、剛性、耐熱性および
寸法安定性などの向上を図ることが可能である。
【0015】かかる繊維状強化材としては、ガラス繊
維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、ア
スベスト繊維、石膏繊維、金属繊維および炭素繊維など
が挙げられる。
【0016】また粒状の強化材としては、ワラステナイ
ト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナ
イト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの
珪酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化
ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、
硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・
ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどが挙げ
られ、これらは中空であってもよい。これら強化材は2
種以上を併用することが可能であり、必要によりシラン
系およびチタン系などのカップリング剤で予備処理して
使用することができる。
【0017】本発明で用いられる樹脂組成物の調製方法
は特に制限なく、PPS樹脂、亜リン酸金属塩の粉末、
ペレット、結晶および必要に応じて強化材をリボンブレ
ンター、ヘンシェルミキサー、Vブレンターなどを用い
てドライブレンドした後、バンバリーミキサー、ミキシ
ングロール、単軸または2軸の押出機およびニーダーな
どを用いて溶融混練する方法などが挙げられる。なかで
も十分な混練力を有する単軸または2軸の押出機を用い
て溶融混練する方法が代表的である。
【0018】また、本発明で用いるPPS樹脂と亜リン
酸金属塩を配合してなる樹脂組成物には、本発明の効果
を損わない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結晶
核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの通常の添加
剤を添加することができ、さらにPPS樹脂の架橋度を
制御する目的で、通常の過酸化剤および特開昭59−1
31650号公報に記載されているチオホスフィン酸金
属塩などの架橋促進剤または特開昭58−204045
号公報や特開昭58−204046号公報などに記載さ
れているジアルキル錫ジカルボオキシレート、アミノト
リアゾールなどの架橋防止剤を配合することも可能であ
る。
【0019】更に本発明のPPS樹脂組成物は、本発明
の効果を損わない範囲で、ポリアミド、ポリフェニレン
オキシド、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、ポリ
エーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリ
カーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケ
トン、ポリエーテルエーテルケトン、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロ
ピレン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリアミドエラス
トマー、ポリエステルエラストマー等の樹脂を含んでも
良い。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。実施例および比較例の中で述べられる引張り強
度、曲げ強度、熱変形温度、塗膜密着性、成形品色調は
各々、次の方法で測定した。
【0021】引張り強度 :ASTM D638 曲げ強度 :ASTM D790 熱変形温度 :ASTM D648 塗膜密着性 :射出成形機を用いてシリンダー温
度300〜320℃、金型温度130℃の条件下で80
×80×3mmの角板を成形し、この角板に脱脂処理後
二液硬化型ウレタン塗料(日本ビーケミカル社製 Pr
imer RB−291/TOP R−263)を順次
吹付け塗布/80℃、40分間の焼付けを行って塗膜を
形成した。この塗膜に1mm間隔でタテ、ヨコに切れ目
を入れ、計100個のゴバン目を作った。このゴバン目
の上からセロテープを貼り付けた後、セロテープをはが
し、成形片上に残った目の数を数え塗膜密着性の目安と
した。
【0022】成形片色調 :上記角板の色調(L
値)をスガ試験機(株)製 SM−3型カラーコンピュ
ーターを用いて測定した。
【0023】実施例1 PPS粉末(東レ・フィリップス・ベトローリアム社製
M2588)100重量部および亜リン酸ナトリウム
0.5重量部をドライブレンドし、30mmφ2軸押出
機を用いてシリンダー温度300℃、スクリュー回転数
100rpmの条件で溶融混練してペレット化した。こ
のペレットを130℃/4時間熱風乾燥した後、射出成
形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度13
0℃の条件で各種試験片および角板を成形した。これら
の成形品を用いて測定した諸特性は表1に示す通りであ
り、ここで得られた樹脂組成物は塗膜密着性が良好で極
めて実用価値の高いものであることが判明した。
【0024】比較例1 亜リン酸ナトリウムを使用しなかった以外は実施例1と
全く同様にPPSの押出しペレタイズ成形を行い、得ら
れた成形品の諸特性を測定したところ、このものは、塗
膜密着性が著しく低く、また色調の点でも劣るものであ
った。
【0025】実施例2 実施例1で用いたPPS粉末100重量部および亜リン
酸マグネシウム1.0部をドライブレンドし、以下実施
例1と同様の手順で押し出し混練、射出成形を行い各種
成形片を得た。ここで得られた成形片の特性は表1に示
す通りであり、塗膜密着性、色調共にすぐれたものであ
った。
【0026】
【表1】
【0027】実施例3 実施例1で用いたPPS粉末100重量部、繊維径約9
μmのガラス繊維65重量部および亜リン酸ナトリウム
2重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした
後、40mmφ単軸押出機のフィーダーに供給し、シリ
ンダー温度320℃、スクリュー回転数80rpmの条
件で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを14
0℃、3時間熱風乾燥した後、射出成形機を用い、シリ
ンダー温度320℃、金型温度150℃の条件で各種成
形片を成形した。これら成形片の諸特性は表2に示す通
りであり、ここで得られた強化PPS樹脂組成物も、塗
膜密着性および色調のすぐれた実用価値の高いものであ
ることが判明した。
【0028】実施例4〜6 PPS粉末、亜リン酸塩および充填材の種類と配合量を
種々変え、押出し混練、射出成形を実施例3と同様の手
順で行い、表2に示す諸特性を有する組成物を得た。こ
こで得られた樹脂組成物もいずれも密着性、機械特性な
どがすぐれたものであった。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明のPPS樹脂、亜リン酸塩および
必要に応じて強化充填材からなる樹脂組成物はすぐれた
塗膜密着性、表面平滑性を有し、塗装や金属蒸着などの
表面処理加工の必要な諸部品に有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量
    部に対し、亜リン酸金属塩0.05〜10重量部を添加
    配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリフェニレンスルフィド
    樹脂組成物に対し、さらに繊維状および/または粒状の
    強化材をポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に
    対し400重量部以下添加配合してなるポリフェニレン
    スルフィド樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016147987A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 帝人株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JP2016166300A (ja) * 2015-03-10 2016-09-15 帝人株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JP2016147987A (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 帝人株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
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