JPH055924Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、下水汚泥等の被脱水処理液を加圧濾
過、圧搾脱水しながら直流通電して電気浸透作用
により脱水度の向上を図る装置、特にフイルター
プレス形式の電気浸透脱水機における電極板の取
付構造に関する。

（従来の技術） 第３図イ，ロおよびハは、この種フイルタープ
レス形式の電気浸透脱水機の基本構成と操作段階
の概要を示す。

フイルタープレスは圧搾ダイヤフラムａを取付
けた圧搾濾板ｂと普通濾板ｃとが列説され、両濾
板間に２枚の濾布ｄ，ｄを重ねて挟み込む構成で
ある。電気浸透脱水機では、さらに、両濾板の対
向する前面に電極板ｅ，ｅが取付けられる。そし
て第３図イの段階では、両濾板ｂ，ｃを閉合して
周縁部でシールして締付けたのち、汚泥水を汚泥
ポンプにより原液入口ｆから濾布間の濾過室に打
込み加圧し、その圧力により濾布を透過した濾水
を濾水出口ｇから排出して、１次脱水を行う。第
３図ロの段階では、圧搾ダイヤフラムａの背後側
に圧搾空気を導入し、その圧力により前面濾布側
に膨張させてさらに汚泥ケーキを強加圧して水分
を搾出し、２次脱水を行う。その後期に圧搾を継
続しながら電極板ｅ，ｅ間に直流通電して電気浸
透作用によりさらに３次脱水を行い、汚泥ケーキ
含水率50％程度にする。その後、第３図ハのよう
に濾板ｂ，ｃを開き濾布ｄ，ｄを引下げ脱水ケー
キｈを取出す。以上のバツチ操作を反覆実施す
る。脱水ケーキは重量、容積が小さくなり、通電
による90℃に近い温度を経由して殺菌、殺種、殺
卵されているので、運搬、客土処分の取扱が格段
に容易となる。

この電気浸透脱水機の電極板ｅは、従来技術で
は、通常カーボン材製であり、第４図に示すよう
に、背面の導電性の給電板ｉに金属ビスｊにより
締付けて取付け電源接続路としている。ｋは締付
力を緩和するワツシヤで、金属ビスｊを沈頭させ
るための電極板前面の凹座ｌにはめ込まれる。

（考案が解決しようとする課題） 電気浸透脱水機用の電気的特性、電気化学性を
重視した特殊カーボン製の電極板は、概して脆硬
質であるので、強加圧による応力集中、過大曲げ
力を受けて機械的に損傷することのないような構
造にする他、通電電解反応に伴う溶出劣化の影響
を受けることの少ない構造にする必要がある。電
極板は非常に高価である。

前記従来技術の電極板取付構造は、その電極が
直流通電の＋側として使用された場合、金属ビス
ｊが電解反応に伴いカーボン電極より速やかに溶
出してしまう。また取付部の電極板の凹座形成に
より薄肉厚ｔにされた取付部ではワツシヤｋ下で
も接液し電極板の溶出劣化が進行するのでビスｊ
の増締めを行つてもこの取付部が早く破損し、電
極板の脱落が起こつたりする。そしてある期間使
用して劣化した電極は交換する必要があるが、そ
の取外し、取付けに手数と時間とがかかり、電気
浸透脱水機の脱水操作の中断時間が長くなる。

（課題を解決するための手段） 従来技術の前記問題点は、電極板をプラスチツ
ク等の絶縁材料製の弾発性のある取付ビスを取付
部に挿込んで給電板に結合するうよにすることに
より解決される。このビスは通電されないので電
解反応によつて溶出しない。電極板の取付けは、
このビスを順次に差込んでゆくだけでよいので殆
どワンタツチでなされ、ビスの弾発性により確実
な取付けがなされる。電極板の取外しはビスをニ
ツパー等で切断することにより、これも殆どワン
タツチでできる。ビスは安価であり、取外し後使
い捨ててよい。

これとともに電極板取付部の凹座では底面に絶
縁性材料のシートを密着状態に被覆する。シート
からは通電が行われないので、電極板の取付部の
薄肉化取付部の電解溶出が起こらず、電解に伴う
一層の薄肉化が起こらないようになる。

これらを総合して、本考案の電気浸透脱水機の
電極板取付構造は、構成上、電気浸透脱水機にお
いて、濾板の最前部に設けられる電極板とその背
面に接合する通電径路の導電性材料製の給電板と
をそれらに貫通する取付孔に絶縁性材料製の取付
ビスを挿入し取付ビスの弾発力により結合するよ
うにしたことを特徴とする。

（作用） 本考案によると、電極板は概して脆弱な取付部
の個所で電解反応により消耗するということがな
くなり、電極板の寿命が延長され、確実な取付状
態が恒久的に保持されるので、取付部で破損して
脱落する事故は起こらないようになる。

（実施例） 以下、本考案の電極取付構造を実施例により第
１および２図を参照して一層具体的に説明する。
第１図は圧搾濾板ｂについての実施例で、その前
面側からみた斜視図を示し、第２図は本考案取付
部の１つについての縦断側面図を示す。

この圧搾濾板の基盤１の前面側にはゴム等の可
撓性材料製の圧搾ダイヤフラム２が周囲の取付部
でシールを保つて取付けられている。その前面の
中央領域にはカーボン材等の電極板３が加圧力に
対する曲げ強度を大にするためこの例では４分割
した分割電極板として設けられる。

この電極板３の領域の背後では鉄芯４が圧搾ダ
イヤフラム２中に埋設され、分割電極板の平面性
の維持と補強の役割を果たすようになつている。
また電極板３への通電のため、各分割電極の背面
にその４辺位置で接合するステンレス綱等の導電
性材料製の給電板５を設け、これらを沈頭ビス
（図示せず）により鉄芯４に直接取付し、圧搾ダ
イヤフラム２の前面から露出させる。鉄芯４は背
後で電源線（図示せず）に接続され、これらは通
電径路となる。

各電極板は４つの給電板に対し列設ビスにより
取付ける。そのため電極板３にはその前面から凹
入した凹座６を列設形成する。凹座中心の取付孔
７は給電板５の取付孔８と一致し、それぞれ貫通
孔となる。これらの貫通取付孔に対し２つ割溝９
により弾発性を付与した絶縁性材料製の取付ビス
１０を電極板３の前面から差込み、取付ビスの弾
発性により各電極板３を給電板５に確実に取付け
る。取付ビス１０の頭部は電極板３の前面から沈
頭している。

この実施例では凹座６の底壁面上に絶縁性材料
製のシート１１が焼付、接着その他の施工法で密
接状態に取付けられている。これは取付ビス１０
の頭部に密接し、電極板の薄肉化された凹座の底
壁を非通電の絶縁構造にする。

電極板３には濾水の通過のための通水孔１２が
列設され、圧搾ダイヤフラム２にはこれにつづく
濾水出口ｇに向かう通水路１３，１４，１５が形
成されている。

（考案の効果） 以上のように、本考案の電気浸透脱水機の電極
板取付構造によると、直流通電の電解作用に伴う
電極板の消耗が電極板取付部、取付ビスの個所で
起こらず、確実な取付が恒久的に保持され、取付
部の損傷による電極板の脱落等が防止され、高価
な電極の耐用命数が延長される。また電極板の交
換のための取付け、取外しは容易に短時間で行う
ことができ、電気浸透脱水機の脱水操作中断時間
を短縮することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例の電気浸透脱水機の
電極板取付構造を持つ濾板の正面側斜視図、第２
図はその本考案取付部の１つについての縦断側面
図、第３図イはフイルタープレス形式電気浸透脱
水機の基本構成をその１操作段階で示す縦断側面
図、第３図ロはその異なる操作段階の縦断側面
図、第３図ハはそのさらに異なる操作段階の縦断
側面図、第４図は従来技術の電極板取付構造の説
明用の取付部断面図である。 １……濾板基盤、２……圧搾ダイヤフラム、３
……電極板、４……鉄芯、５……給電板、６……
凹座、７，８……取付孔、９……２つ割溝、１０
……取付ビス、１１……シート、１２……通水
孔、１３，１４，１５……通水路、ａ……圧搾ダ
イヤフラム、ｂ……圧搾濾板、ｃ……普通濾板、
ｄ……濾布、ｅ……電極板、ｆ……原液入口、ｇ
……濾水出口、ｈ……脱水ケーキ、ｉ……給電
板、ｊ……金属ビス、ｋ……ワツシヤ、ｌ……凹
座、ｔ……薄肉厚。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 電気浸透脱水機において、濾板の最前部に設
   けられる電極板とその背面に接合する通電径路
   の導電性材料製の給電板とをそれらに貫通する
   取付孔に絶縁性材料製の取付ビスを挿入し取付
   ビスの弾発力により結合させるようにしたこと
   を特徴とする電気浸透脱水機の電極板取付構
   造。 (2) 前記取付ビスの頭部を電極板の前面から沈頭
   させるための凹座を電極板の前面に取付孔のま
   わりに形成するとともに、凹座底壁面を絶縁材
   料のシートで被覆した実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の電気浸透脱水機の電極板取付構
   造。