JP3738651B2 - 金属ろ材を用いたダイアフラムろ板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、上水汚泥、下水汚泥及び産業排水汚泥等の処理に適したフイルタープレスのダイアフラムろ板に関し、特に、ろ材としてろ布を用いずに、剥離性の良い金属ろ材をダイアフラムに直接張設したダイアフラムろ板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ろ過性の悪い汚泥に対して、高圧搾が可能なダイアフラムろ板を用いたフイルタープレスが多く利用されている。フイルタープレスのろ材としては、加圧、圧搾圧力に耐えられる1.0〜2.0mmの厚手のろ布が使用されている。ろ材としてろ布を用いるフイルタープレスとしては、例えば、この発明の出願人が、特許第2947061号公報に提案しているように公知である。そして、ダイアフラムろ板のろ材として、弾力性のある金属ろ材をダイアフラムのろ過床に張設したフイルタープレスも、例えば、実用新案登録第2516432号公報において、この発明の出願人が提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のフイルタープレスにろ布を用いるものにあっては、ケーキの排出ごとにろ布を洗浄しても、ろ布の目に微細粒子の固着や結晶の析出等が繰返し行なわれ、目詰りによるろ過能力の低下でろ布の使用が不可能となり、2ヶ月から6ヶ月でろ布を取替える必要があった。また、弾力性のある金属ろ材をダイアフラムに張設した装置にあっては、ケーキの剥離性がよく目詰まりの問題は解消できるものであるが、ダイアフラムの伸縮に応じて金属ろ材を凹凸状に反転させるため、耐久性に問題があった。この発明は、ウエッジワイヤーをうまく利用することにより、ケーキの剥離性の良い、強度のあるろ材を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨は、凹面状に形成した芯板の中央部にダイアフラムを張設してその表面にろ過床を形成し、このダイアフラムのろ過床に連通する原液供給路とろ液の排出孔を芯板に設けたダイアフラムろ板において、上記ダイアフラムのろ過床にウエッジワイヤーを張設し、ウエッジワイヤーのスリット側をろ過面としてそのスリットを上下方向に配設すると共に、ウエッジワイヤーの拡開された楔状の先端部をダイアフラムのろ過床に当設したもので、剥離性のよい金属ろ材であるウエッジワイヤーのスリットを上下方向に配設したので、ケーキがその自重でスリットに沿って剥離されるものである。そして、ウエッジワイヤーが楔状に裏面に向って拡開されるので、ろ液の分離が行われやすいものである。そして、ウエッジワイヤーの補強として、ダイアフラムのろ過床にパンチングメタルを敷設して、このパンチングメタルの表面にウエッジワイヤーを張設したもので、ウエッジワイヤーの変形が防止され、耐久性のあるろ材となるものである。また、ダイアフラムのろ過床にその縦方向に複数のろ液排出用のろ過溝を設ければ、ろ液の排出がよくなり脱水時間が短縮されるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
この発明に係る装置は上記のように構成してあり、この発明の金属ろ材を用いたダイアフラムろ板を並列したろ板に組込んで、ろ板間に形成したろ過室に原液を圧入すれば、ウエッジワイヤーのスリット面に固形物が捕捉されてケーキ層を形成し、ろ液はウエッジワイヤーのスリットから拡開された楔状の裏面に排出されてろ板のろ過床を流下してろ液の排出孔から抜出され、ろ過室に圧入された汚泥は固液分離が行なわれる。次に、ダイアフラムを膨張させれば、パンチングメタルに支持されたウエッジワイヤーは前進してケーキ層が平板状に圧搾され、均一な厚みのケーキが得られるものである。そして、金属ろ材であるウエッジワイヤーは剥離性が良く、スリット面に沿って剥離され、容易に自重でケーキを取出すことができる。
【0006】
【実施例】
この発明に係る金属ろ材を用いたダイアフラムろ板について、図面に基づき詳述すると、先ず、図1及び図2において、符号1はダイアフラムろ板であって、凹面状に形成した芯板2の表面にダイアフラム3が張設してあり、周部に額縁状のシール面3aとその中央部にろ過床3bが形成してある。ダイアフラムろ板1の上部には原液供給路4が、その下部にろ液の排出孔5が芯板2とダイアフラム3を貫通して設けてある。符号6は芯板2に設けた高圧水の供給口であって、ダイアフラム3の裏面に高圧水を供給してダイアフラム3を膨張させるようにしてある。ダイアフラム3のろ過床3bには多数の細孔を有するパンチングメタル7が敷設してあり、パンチングメタル7の上面にウエッジワイヤー8が張設してある。図3に示すように、ウエッジワイヤー8はウエッジワイヤー8のスリット8a側をろ過面としてそのスリット8aを上下方向に配設してあり、脱水ケーキがその自重でスリット8aに沿って剥離しやすくしてある。そして、ウエッジワイヤー8の拡開された楔状の先端部8bをパンチングメタル7に当設させてろ液の排出路を広くしてある。なお、図4に示すように、ダイアフラム3のろ過床3bに複数のろ液排出用の縦溝3cを設ければ、ウエッジワイヤー8で分離されたろ液の排出が速く行われ、汚泥の固液分離の時間が短縮されるものである。なお、符号9はダイアフラム3の裏当板であって、この裏当板9と固定ネジ10でウエッジワイヤー8の周部をダイアフラム3に固定するようにしてもよいものである。
【0007】
図5は、上記のダイアフラムろ板1に平板状のろ板11を対設して、ろ過室12を形成する状態を示すものであって、ダイアフラムろ板1に対設したろ板11には補強用のパンチングメタル13を敷設し、その上部にウエッジワイヤー14を張設してある。そして、ダイアフラムろ板1と平板状のろ板11の間のろ過室12に原液供給路4から汚泥を圧入すると、ウエッジワイヤー8、14で固液分離が行なわれ、ろ液はダイアフラム3のろ過床3bとろ板11のろ過床11bを伝って流下し、排出孔5、15から排出される。ろ過室12に固液分離したケーキをダイアフラムろ板1の供給口6から圧力水を供給してダイアフラム3を膨張させパンチングメタル7で保持されたウエッジワイヤー8を移動してケーキを圧搾脱水するようにしてある。
【0008】
【発明の効果】
以上のように、この発明の金属ろ材を用いたダイアフラムろ板は、ダイアフラムろ板にウエッジワイヤーを張設し、ウエッジワイヤーのスリット面をろ過面として、そのスリットを上下方向に配設したので、ケーキの剥離性と耐久性のあるろ材とすることができる。即ち、従来のろ材としてろ布を用いるものにあっては、目詰りによるろ布の使用が不可能となる欠点があった。また、金属ろ材をダイアフラムのろ過床に張設したフイルタープレスにあっては、ダイアフラムの伸縮に応じて金属ろ材を凹凸状に反転させるため、耐久性に問題があったものであるが、この発明にあっては、ダイアフラムの圧搾が平板状に行われ、しかも、ウエッジワイヤーが楔状に裏面に向って拡開されるので、ろ液の分離が行われやすく、ケーキはその自重で上下方向のスリット面に沿って容易にろ過面から剥離できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るウエッジワイヤーを張設したダイアフラムろ板の縦断側面図である。
【図2】 同じく、ダイアフラムろ板の平面図である。
【図3】 図1のA−A線に沿って見たダイアフラムろ板の横断面図である。
【図4】 同じく、他の実施例を示すダイアフラムろ板の横断面図である。
【図5】 この発明に係るダイアフラムろ板とウエッジワイヤーを張設したろ板を並列してろ過室を形成した時の概念図である。
【符号の説明】
1 ダイアフラムろ板
2 芯板
3 ダイアフラム
3b ろ過床
3c 縦溝
4 原液供給路
5 排出孔
7 パンチングメタル
8 ウエッジワイヤー
8a スリット
8b 先端部
Claims (3)
- 凹面状に形成した芯板(2)の中央部にダイアフラム(3)を張設してその表面にろ過床(3b)を形成し、このダイアフラム(3)のろ過床(3b)に連通する原液供給路(4)とろ液の排出孔(5)を芯板(2)に設け、水平方向に開閉自在なダイアフラムろ板(1)において、上記ダイアフラム(3)のろ過床(3b)にウエッジワイヤー(8)を張設し、ウエッジワイヤー(8)のスリット(8a)側をろ過面としてそのスリット(8a)を上下方向に配設すると共に、ウエッジワイヤー(8)の拡開された楔状の先端部(8b)をダイアフラム(3)のろ過床(3b)に当設したことを特徴とする金属ろ材を用いたダイアフラムろ板。
- 上記ダイアフラム(3)のろ過床(3b)にパンチングメタル(7)を敷設して、このパンチングメタル(7)の表面にウエッジワイヤー(8)を張設したことを特徴とする請求項1記載の金属ろ材を用いたダイアフラムろ板。
- 上記ダイアフラム(3)のろ過床(3b)にその縦方向に複数のろ液排出用の縦溝(3c)を設けたことを特徴とする請求項2記載の金属ろ材を用いたダイアフラムろ板。
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