JPH0559044A - ラセミ体ピロシニン誘導体の調製法 - Google Patents

ラセミ体ピロシニン誘導体の調製法

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JPH0559044A
JPH0559044A JP3273817A JP27381791A JPH0559044A JP H0559044 A JPH0559044 A JP H0559044A JP 3273817 A JP3273817 A JP 3273817A JP 27381791 A JP27381791 A JP 27381791A JP H0559044 A JPH0559044 A JP H0559044A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ピロカルピンの前駆体となるピロシニン誘導
体の製造法を提供する。 【構成】 一般式Iの5−ホルミル−1−アルキルイミ
ダゾールを一般式IIのチオアセタールに変換し、ついで
塩基の存在下で脱プロトン化し、γ−クロトノラクトン
と反応させて一般式IIIの化合物を得、IIIの化合物
を複合金属水素化合物(たとえばLiAlH、NaB
)、ラネーニッケルあるいは水素化スズ化合物
(たとえば水素化トリブチルスズ)の存在下に還元して
一般式IVのピロシュン誘導体とする。 〔式中、RはC1〜6アルキル基、RおよびR
夫々C1〜5アルキル基、(置換)フェニル基または
(置換)ベンジル基である〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般式Iの5−ホルミ
ル−1−アルキルイミダゾールからのラセミ体ピロシニ
ン誘導体の調製法に関する。
【0002】
【化5】 式中、R1は、1〜6個のC原子を有する低分子量の直
鎖のまたは枝分かれしたアルキル鎖である。
【0003】R1がメチル基である誘導体はとくに注目
され、これはピロカルピンの前駆体を表し、既知の方法
で後者に変換され得る。他のピロシニン誘導体は、他の
目的化合物を調製するための重要な中間体である。
【0004】
【従来の技術】イミダゾールアルカロイドのピロカルピ
ンは、その多様な薬理学的性質のために、多くの研究の
課題となっている。そのすぐれた薬理学的作用は、発汗
作用、副交感神経系の刺激、縮瞳作用および、とくに、
眼科学における使用である。
【0005】ラセミ体および光学活性ピロカルピンの調
製法は知られている。しかし、これら調製法のすべて
は、比較的多数の合成工程を有し、その結果、低い総収
率しか得られない。
【0006】H. Link および K. Bernauer (Helv. Che
m. Acta 55, 1053, 1972)による合成は、ピロカルピン
の前駆体としてラセミ体ピロシニンを用いる。用いられ
る出発材料は、サルコシンから二、三の工程で容易に得
ることができる5−ホルミル−1−メチルイミダゾール
であった。Link および Bernauerの方法は、マレイン酸
モノエステルを得るためのイミダソール誘導体のクエン
酸ジエステルとのStobbe縮合、それを領域選択的(regi
oselective)に還元してブテノリドを形成する工程、お
よびそのブテノリドから触媒的還元によってピロシニン
を誘導する最後の工程からなる。
【0007】この方法の欠点は、Stobbe縮合がうまく行
われないことおよび20%の最高収量しか達成できない
ことである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、容易
に入手できる出発物質からピロカルピン合成のためのピ
ロシニン誘導体を、副産物を生ずることなく高収率で得
る調製法を見出すことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的は、驚くべきこ
とに、5−ホルミル1−1−アルキルイミダゾールへの
アルデヒド保護基の導入、それに続くγ−ラクテノンの
添加による本発明の方法によって達成された。
【0010】本発明は、したがって、以下のように特徴
づけられる、ピロカルピン前駆体のピロシニンの調製法
に関する。
【0011】a)一般式Iの5−ホルミル−1−アルキ
ルイミダゾール
【0012】
【化6】 (式中、R1は、1〜6個のC原子を有する低分子量の
直鎖または枝分かれしたアルキル鎖である。)を一般式
IIのチオアセタールに変換し、
【0013】
【化7】 (式中、R1は、既述の意味を有し、R2およびR3は、
それぞれ、同一にまたは互いに独立して、1〜5個のC
原子を有する低分子量のアルキル基、置換されたまたは
置換されないフェニルまたはベンジル基であるかまたは
その双方が共同して1〜5個のC原子を有する1個のア
ルキレン基である。) b)このようにして得られる一般式IIのチオアセター
ルを、塩基の存在下で脱プロトン化し、γ−クロトノラ
クトンと反応させて一般式IIIの化合物を得て、
【0014】
【化8】 (式中、R1、R2およびR3は、既述の意味を有す
る。) c)このようにして得られる化合物IIIを、一般式I
Vのピロシニン誘導体に還元する。
【0015】
【化9】 (式中、R1は既述の意味を有する。)一般式IIおよ
びIIIの化合物は新規であり、したがって、本発明は
同様にこれらにも関する。
【0016】R1、R2およびR3がアルキル基である場
合には、これは直鎖のまたは側鎖を有するものであり得
る。
【0017】側鎖基は、通常二つ以上の鎖(branging
s)を含まない。好ましい側鎖基は、イソプロピル、2
−ブチル(=1−メチルプロピル)、イソブチル(=2
−メチルプロピル)、2−メチルブチル、イソペンチル
(=3−メチルブチル)、2−メチルペンチルまたは3
−メチルペンチルである。
【0018】R2およびR3は、好ましくは、1、2、
3、4または5個のC原子を有する直鎖、したがって、
好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペン
チルまたはヘキシルである。
【0019】R1は、好ましくはメチルまたはエチルで
ある。
【0020】R2およびR3が置換されたフェニレンまた
はベンジレン基である場合は、次いでこれらは好ましく
はフッ素、塩素、臭素、アルキルまたは1〜3個までの
C原子を有するアルコキシで置換される。単一置換の場
合には、置換は好ましくはSに対してo−またはp−位
置である。
【0021】対応するメチルアルキルイミダゾール−5
−カルボキシレートからリチウムアルミニウム水素化物
を用いる還元およびそれに続く活性二酸化マンガンを用
いる酸化によって容易に得られる5−ホルミル−1−ア
ルキルイミダゾールから始めて(EP 0 336 250)、ま
ず、アルデヒド機能の保護基を導入する。
【0022】適切な保護基は、強塩基に不活性である
が、容易にかつ選択的に複合還元剤によって除去され得
るものである。保護基は、文献に充分に開示されている
ように、一般式Iの5−ホルミル−1−アルキルイミダ
ゾールを置換されたまたは置換されないチオフェノー
ル、アルカンチオールまたはアルケンチオールと還流下
で反応させることによって導入される。反応物は、好ま
しくは、一当量以上のp−トルエンスルホン酸を添加し
た適当な溶媒中で反応させる。適当な溶媒の例として
は、ベンゼン、キシレンおよびトルエンなどの芳香族炭
化水素があげられる。
【0023】次の工程におけるチオアセタールの脱プロ
トン化は、塩基の存在下で行われる。メチルリチウム、
n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムおよびフェニ
ルリチウムなどの有機アルカリ金属化合物、およびナト
リウムアミドおよびリチウムジイソプロピルアミドなど
のアミドが適当である。用いられる溶媒は、好ましく
は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水
素またはテトラヒドロフラン、ジオキサン、第三ブチル
メチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテルまた
は適当な溶媒の混合物である。反応温度は、用いる塩基
の反応性に便宜的に適した温度で、−90℃と−50℃
の間である。γ−ラクテノンへのミカエル添加を、その
場で脱プロトン反応と同じ溶媒または溶媒混合物中にお
いて行う。
【0024】続いての合成工程における保護基の除去の
方法は、R2およびR3基の性質による。
【0025】複合金属水素化物は、好ましくは、アゾイ
ソブチロニトリルなどの遊離基イニシエーターの存在下
で、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリ
ウム、ラネーニッケルまたは水素化スズ、とくに水素化
トリブチルスズなどを用いる。適当な溶媒は、還元剤の
性質により、水、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、t−ブタノールおよびn−ブタノールなどのア
ルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジエ
チルエーテルなどのエーテル、およびペンタン、シクロ
ヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレ
ンなどの炭化水素、または該溶媒の混合物である。反応
温度は、用いられる金属水素化物および溶媒の双方に依
存する。しかし、反応はほとんどは、溶媒の沸騰域で行
われる。
【0026】一般式IVのピロシニン誘導体は、既知の
方法で、通常はピロシニン誘導体を酢酸エチルおよびt
−ブチルカリウム(potassinm t-buiylate)でピロシニ
ン誘導体を処理することによって、ピロカルピン誘導体
に変換される。アルコールへの水素添加およびその酢酸
塩への変換に続いて、オレフィンへの熱分解が行われ、
オレフィンは、最後の工程でプラチナ触媒上で水素添加
される。
【0027】以下の実施例は、本発明による方法を説明
することを意図とし、本発明を限定するものではない。
【0028】
【実施例】
[実施例1] 5−ジチオフェニルメチル−1−メチルイミダゾール 33.0g(300mmol)の5−ホルミル−1−メチル
イミダゾールを480mlのトルエンに溶解して、6
8.5g(360mmol)の4−トルエンスルホン酸一水
化物を加える。66.1g(600mmol)のチオフェノ
ールを添加後、このようにして得られる懸濁液を水トラ
ップを付した還流下で煮沸する。このようにして得られ
る二相混合物を4N水酸化ナトリウム溶液で数回洗浄す
る。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥して、次いで真空
中で濃縮する。得られる残滓は、淡黄色の粉末で融点が
78.5〜80℃の86.8g(278mmol、93%)
の5−ジチオフェニルメチル−1−メチルイミダゾール
である。 [実施例2] 5−(1、3−ジチアン−2−イル)−1−メチルイミ
ダゾール 8.3g(75.4mmol)の5−ホルミル−1−メチル
イミダゾールを120mlのトルエンに溶解して、1
7.1g(89.9mmol)の4−トルエンスルホン酸一
水化物を加える。8.12g(75.0mmol)の1、3
−プロパンジチオールを添加後、このようにして得られ
る懸濁液を水トラップを付した還流下で煮沸する。次い
でこれを4N水酸化ナトリウム溶液で洗浄して、有機相
を硫酸ナトリウム上で乾燥して、真空中で結晶が始まる
まで濃縮する。冷蔵庫で一晩貯蔵した後、融点が11
1.5〜112.5℃の白色固体として9.6g(4
7.9mmol、64%)の5−(1、3−ジチアン−2−
イル)−1−メチルイミダゾールが得られる。 [実施例3] 3−(1−メチルイミダゾール−5−イル−(ジチオフ
ェニル)メチル)ブチロラクトン 16.4g(52.5mmol)の5−ジチオフェニルメチ
ル−1−メチルイミダゾールを240mlのテトラヒド
ロフランに溶解して、−78℃に冷却する。32mlの
ヘキサンに溶かした52.5mmolのn−BuLiをこれ
に滴下して加える。−78℃で30分間保持した後、
4.9ml(69.8mmol)のγ−クロトノラクトンを
加えて、さらに1.5時間の後、250mlの水をドラ
イアイス中で冷却しながら滴下して加え、混合物を室温
にまで温める。次いでこれを酢酸エチルで洗浄し、氷酢
酸で酸性にして、再び酢酸エチルで抽出する。有機相を
硫酸マグネシウム上で乾燥して、真空中で濃縮する。こ
のようにして得られる残滓(13.8g)を、シリカゲ
ル上でジクロロメタン/メタノール(9:1)を用いて
クロマトグラフする。6.6g(16.6mmol、32
%)の3−(1−メチルイミダゾール−5−イル−(ジ
チオフェニル)メチルブチロラクトンが融点80℃の白
色粉末として得られる。 [実施例4] 3−(2−(1−メチルイミダゾール−5−イル)−
1、3−ジチアン−2−イル)ブチロラクトン 6.9g(40mmol)の5−(1、3−ジチアン−2−
イル)−1−メチルイミダゾールを190mlのテトラ
ヒドロフランに溶解して、−78℃に冷却する。24m
lのヘキサンに溶かした40mmolのn−BuLiをこれ
に滴下して加え、−78℃で30分間保持した後、3.
8ml(54mmol)のγ−クロトノラクトンを加える。
さらに−78℃で1.5時間保持した後、190mlの
水を滴下して加え、混合物を室温にまで加温する。次い
でこれを氷酢酸で酸性にして、有機層を分離して、水相
を酢酸エチルで数回洗浄する。合わせた有機抽出物を硫
酸マグネシウム上で乾燥して、次いで真空中で濃縮す
る。残滓を、シリカゲル上でジクロロメタン/メタノー
ル(9:1)を用いてクロマトグラフする。3.1g
(10.9mmol、27%)の3−(2−(1−メチルイ
ミダゾール−5−イル)−1、3−ジチアン−2−イ
ル)ブチロラクトンがこのようにして黄色油状で得られ
る。 [実施例5] ピロシニン 3.5g(9mmol)の3−(1−メチルイミダゾール−
5−イルジチオフェニルメチル)ブチロラクトンを50
0mlのエタノールに取り入れ、15gの新たに調製し
たラネーニッケルを加えて、混合物を還流下で3.5時
間煮沸する。得られる懸濁液をケイ藻土の層を通して吸
引濾過して、濾液を真空中で濃縮する。残滓は0.8g
(4.4mmol、49%)のピロシニンである。
【0029】
【発明の効果】本発明による方法は、このように、ピロ
カルピンおよびその誘導体を、ピロシニン誘導体から、
容易に得られる出発物質から簡単な方法で高収率で、そ
のいくつかは元の場所で行い得る二、三の合成工程にお
いて調製することを可能にし、したがって、ピロカルピ
ン合成の分野における大いなる発展を意味する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウルリヒ ヘイヴアング ドイツ連邦共和国 デー−6100 ダルムシ ユタツトフランクフルター シユトラーセ 250 (72)発明者 ミヒアエル カスツト ドイツ連邦共和国 デー−6100 ダルムシ ユタツトフランクフルター シユトラーセ 250 (72)発明者 ミヒアエル シユヴアルツ ドイツ連邦共和国 デー−6100 ダルムシ ユタツトフランクフルター シユトラーセ 250

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のように特徴づけられる、ラセミ体
    ピロシニン誘導体の調製法。 a)一般式Iの5−ホルミル−1−アルキルイミダゾー
    ル 【化1】 (式中、R1は、1〜6個のC原子を有する低分子量の
    直鎖または枝分かれしたアルキル鎖である。)を一般式
    IIのチオアセタールに変換し、 【化2】 (式中、R1は、既述の意味を有し、R2およびR3は、
    それぞれ、同一にまたは互いに独立して、1〜5個のC
    原子を有する低分子量のアルキル基、置換されたまたは
    置換されていないフェニルまたはベンジル基であるか、
    またはその双方が共同して1〜5個のC原子を有する1
    個のアルキレン基である。) b)このようにして得られる一般式IIのチオアセター
    ルを、塩基の存在下で脱プロトン化し、γ−クロトノラ
    クトンと反応させて一般式IIIの化合物を得て、 【化3】 (式中、R1、R2およびR3は、既述の意味を有す
    る。) c)このようにして得られる化合物IIIを、一般式I
    Vのピロシニン誘導体に還元する。 【化4】 (式中、R1は既述の意味を有する。)
  2. 【請求項2】 一般式IIの化合物を、有機アルカリ金
    属化合物を塩基として用いて脱プロトン化することを特
    徴とする、請求項1に記載の調製法。
  3. 【請求項3】 一般式IIIの化合物のピロシニン誘導
    体への還元を複合金属水素化物またはラネーニッケルを
    用いて行うことを特徴とする、請求項1に記載の調製
    法。
  4. 【請求項4】 一般式IIの化合物。
  5. 【請求項5】 一般式IIIの化合物。
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DE59107283D1 (de) 1996-02-29
EP0486806A1 (de) 1992-05-27
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