JPH0558154B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術の分野） 本発明は、原子力プラントの全体構造に関し、
特に液体金属を冷却材とする高速増殖炉の構造に
関する。

（従来の技術） 現在、我国を含め各国において開発されつつあ
る高速増殖炉は、原子炉炉心内で核燃料（核分裂
性物質）を使用すると同時に、核燃料として使用
可能の核分裂性物質を生産するものであるが、冷
却材として代表的には液体金属ナトリウムが使用
される。

高速増殖炉においても、発電用として用いられ
る場合には、高温の冷却材（以下ナトリウムと称
する。）を用いて給水を加熱沸騰せしめてタービ
ン駆動用の蒸気を発生する。

しかして、ナトリウムは炉心内において中性子
を浴び若干の放射性同位体が生じ放射化するが、
放射化したナトリウムを蒸気発生用の加熱に直接
用いるのは若干問題がある。このため原子炉の発
生熱を蒸気発生器へ伝えるには、一般的には、炉
心を通る１次ナトリウムと炉心を通らずに１次ナ
トリウムと熱交換関係にある２次ナトリウムとが
用いられる。両ナトリウムを熱交換関係に保持
し、１次ナトリウムの熱を２次ナトリウムに伝え
る機器は、一般に中間熱交換器と称され、２次ナ
トリウムが蒸気発生器において給水を加熱、沸騰
せしめる。

１次ナトリウム循環系は、主として１次循環ポ
ンプと中間熱交換器とこれらを連絡する管及び原
子炉容器に接続した管よりなるが、これらは原子
炉格納容器内に配置される。

これに対し、蒸気発生器では、高温の２次ナト
リウムが伝熱管の薄い管壁を介して給水又は水蒸
気と接しているため、安全性を考慮し原子格納容
器外の建屋内に設置することが一般的提案であつ
た。

これに伴い、中間熱交換器と蒸気発生器をつな
ぐ２次ナトリウム循環系の管が設けられ、蒸気発
生器を中間交換器に対し平面的に配置していた
が、これらの管は肉厚が小さいため、配管構造が
複雑であり、かつ設置のための建屋に広大なスペ
ースを要していた。これらは、ナトリウムの温度
が非常に高いため、これに基因する管の熱応力を
許容値以下に保持することを目的とするものであ
る。

又、原子炉プラントにおいては、地震発生時の
耐震機能を確保するため、地中の岩盤上に直接コ
ンクリートマツトを介して原子炉格納容器と隣接
する建屋とを設置するのが一般的であるが、前述
のように配管のスペースが大きかつたり蒸気発生
器を平面的に配置すると、厖大な掘削面積、土量
を要することとなる。

（技術的問題） 本発明は、前述した従来の開発現状に鑑みなさ
れたものである。すなわち長大複雑な、２次ナト
リウム循環系の管やその広大な配管スペースを必
要とせず、かつ建屋の平面積を小さいコンパクト
な原子炉プラントを提供することを目的とするも
のである。

（発明の構成と作用） 本発明は、１次ナトリウム循環系の１部を構成
する中間熱交換器の上部に接続して蒸気発生器を
一体的に構成し、この一体構造の合体熱交換器の
内部に２次ナトリウムの循環系を形成し、更に合
体熱交換器の蒸気発生部を格納容器の部分天井部
を貫設して気密に支持することを要旨とするもの
である。

このような構成において、合体熱交換器内の２
次ナトリウム循環系を流れる２次ナトリウムは、
下方の中間熱交換器において１次ナトリウムによ
り加熱され、高温となつて上昇し、上部の蒸気発
生器部において、給水を加熱して自身は低温にな
つて下方に流下する。

蒸気発生器部は、格納容器の部分天井部の開口
部を通つて封着され、かつ上方に突出しており、
起りえない事だが万一２次ナトリウムと給水もし
くは蒸気が接触反応を起しても、それによる圧力
波や蒸気等は、格納容器外へ出て、格納容器内へ
は入らない。

（実施例） 以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明す
る。第１図において、高速増殖炉プラントの格納
容器１０は、上方のドーム部１１と下方の主要部
１３よりなる。

主要部１３の内部には、コンクリート壁１４ａ
〜１４ｈ、コンクリート床１６ａ，１６ｂ，１６
ｃ、コンクリート中間床１７ａ，１７ｂ，１７
cb、天井１９ａ，１９ｂ，１９ｃ等が設けられ、
大小様々の区画室２１ａ〜２１ｆが画成されてい
る。

実際の発電プラントに用いられる格納容器１０
の内部構造は更に複雑であるが、本発明の説明に
便ならしめるため簡略化して示した。

原子炉容器３０は、中間床（ペデストル）１７
ｂの開口内に垂下支持され、１次ナトリウム循環
系３３の管３５は、壁１４ｃの貫通孔を通つて区
画室２１ｃの中にのび、合体熱交換器４０に連絡
している。

合体熱交換器４０は、下部に中間熱交換器部４
１、上部に蒸気発生器部４３を有し、区画室２１
ｆを上下方向に貫ぬいて設置されている。

合体熱交換器４０の連続した一体胴４５は、
ほゞ中間部をスカート４７を介して中間床１７ｃ
に支持されている。

合体熱交換器４０の蒸気発生器部４３が、天井
１９ｃの開口を貫ぬく部分には、ベローズ状部材
４９が介装され、区画室２１ｆすなわち格納容器
１０の内部と外部が隔離されている。そして、合
体熱交換器４０の熱膨張により相対変位が生じて
も、ベローズ状部材４９の変形により吸収され
る。

ドーム部１１の内部には、諸種の作業に供する
ためクレーン２３等が設けられている。

次に、第２図は、本実施例のうち、原子炉容器
３０、１次ナトリウム循環系３３等の構造の理解
を助けるための斜視図である。

１次循環ポンプ３７は、管３８を介して合体熱
交換器４０の中間熱交換器部４１に連絡し、又管
３９を介して原子炉容器３０に接続している。１
次循環ポンプ３７と中間熱交換器部４１は、これ
らを連絡すると管と共に１次ナトリウム循環系３
３を構成している。

そして、原子炉容器３０内で炉心を冷却し高温
になつた１次ナトリウムは、中間熱交換器部４１
に入り、後述する２次ナトリウムに授熱し、これ
により温度が低下し１次ナトリウムは、原子炉容
器３０に戻る。１次ナトリウムの循環力は、循環
ポンプ３７によつて与えられ、原子炉の運転中循
環が行なわれる。

２次ナトリウムの２次循環ポンプ５１は、管５
３，５５を介して蒸気発生器部４３に連絡してい
る。

前述した１次ナトリウムから受熱した２次ナト
リウムは、蒸気発生器部４３に流入し、図示しな
い蒸気−水循環系から供給された給水を加熱し、
蒸発せしめる。そして低温になつた２次ナトリウ
ムは、ポンプ５１によつて中間熱交換器部４１に
戻される。

ベローズ状部材４９は、合体熱交換器４０の熱
膨張を許容し、更に格納容器１０内の空気の外気
との流通を遮断する。

万一、蒸気発生器部４３内で、２次ナトリウム
と水（H₂O）の接触反応が生じ、気体又は液体
の流出が生じる場合は、ベローズ部材４９の外方
で行なわれ、天井１９ｃの下側には流入しない。

（発明の効果） 本発明によれば、中間熱交換器部４１と蒸気発
生器部４３を合体熱交換器４０として一体的に形
成してあるので、２次ナトリウム用の長大な循環
パイプを配管する必要がなく、そのための広大な
スペースを必要としない。

又、蒸気発生器部４３が中間熱交換器部４１の
直上方にあり、設置のための平面的スペースを節
約でき、プラント全体をコンパクトにすることが
できる。

これらの効果は、循環系の数すなわちループ数
の多い大容量のプラントにおいて甚大であり、加
えて、万一の事故の場合にも格納容器内を安全に
保持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の実施例の全体を示す立断面
図、第２図は、前記実施例の主要部を示す斜視図
である。 １０……格納容器、３０……原子炉容器、３３
……１次ナトリウム循環系、４０……合体熱交換
器、４１……中間熱交換器部、４３……蒸気発生
器部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 原子炉容器、該容器に接続し循環ポンプと中
   間熱交換器とを含む１次冷却材循環系、該容器と
   該１次冷却材循環系とを取り囲んで外部から隔離
   する格納容器、該中間熱交換器に２次冷却材循環
   系を介して連絡した蒸気発生器及び該蒸気発生器
   に水を供給すると共に発生蒸気を受け入れる蒸気
   −水循環系を有するものにおいて、該中間熱交換
   器の上部に連続して一体的に蒸気発生器を形成
   し、該蒸気発生器の上部のみを該格納容器外に位
   置せしめて支持してなることを特徴とする高速増
   殖炉。