JPH0557368U - ホットチャンバーダイカストマシン射出用セラミックポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホットチャンバーダイカストマシン射出用セ
ラミックポンプを耐用性に優れ且つ低コストで、しかも
メタル洩れや射出時の圧力損失のないものとして提供す
る。 【構成】 水平面に対し１３〜２５°の上向傾斜を採っ
た直線状射出筒部体と加圧部が同材質で別体形成された
ホットチャンバーダイカストマシン射出用セラミックポ
ンプ。 【効果】 耐用性に優れ、圧力損失が少なくてメタル洩
れのないホットチャンバーダイカストマシン射出セラミ
ックポンプを低コスト且つ簡易に提供し得る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えばAl溶湯等のホットチャンバーダイカストマシン射出用セラミッ クポンプに係り、耐用性に優れた前記セラミックポンプを低コストに得しめ、し かもメタル洩れや射出時の圧力損失のないセラミックポンプを提供しようとする ものである。

【０００２】

【従来の技術】

アルミ用ホットチャンバーダイカストマシン射出用セラミックポンプについて は例えば実開昭６３−１８４６５６号公報で提案されているような技術がある。 即ちスリーブとグースネックとが別個且つ異質の材質で製造されたものを機械的 手段によって接続されたものであって、グースネックにおいてはセラミックスを 鋳鉄で鋳包む構造とされている。

【０００３】 又上記公報においては、保持炉は鉄製フレームの複数層のセラミック部材によ って内張りされた構成をなし、その内部にアルミ溶湯が貯えられヒータにより保 温され、前記保持炉の底面ほぼ中央位置にあけた孔に対し内面に耐溶融アルミ材 をライニングしたグースネックの先端を挿入し、且つグースネックのフランジに 挿入したボルトによりグースネックの先端がフレームに接続され、グースネック の基礎外周とセラミックス部材との間およびフランジとフレームとの間にはそれ ぞれシール材を介装することが提案され、又グースネック基端の端面にはパッキ ングを介して耐溶融アルミ材セラミックス製のスリーブを配置することが提案さ れている。

【０００４】 なお、前記スリーブは保持炉にマシン本体付属ブラケットにより垂直に固定さ れ、スリーブ内にはプランジャーが挿入され、カップリングを介して油圧ピスト ンロッドに連結されている。即ちプランジャーが降下し、メタル流入孔を通過す ると、スリーブ内のメタルは加圧され、グースネックの溶湯通路を通ってノズル により金型へ射出され、鋳造される。

【０００５】 なおグースネック鋳鉄内部に使用されるセラミックスは機械的強度は乏しいが アルミ溶湯に耐え且つ加工性の良い材質として例えば実開昭６３−１８４６５６ に示されるようなチタン酸アルミニウムなどを用いることが提案されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

前記した公報などのものはスリーブとグースネックが完全に別個な異材質で構 成され、機械的手段により接続され、且つグースネックにおいてはセラミックス を鋳鉄で鋳包むような複雑な構造となっているのは、グースネックは溶湯を通す 湯道であると共に金型によるしめつけ圧を装着圧力として受け、該装着圧力をグ ースネック自体を通してフレーム本体に伝えるという重要な構造物の１つとなっ ており、材質的には高温での高強度、高靭性が要求されているためセラミック単 体では靭性上大きな問題があることによるもので複雑な構造を採用せざるを得な い。

【０００７】 又前記のような従来のものではスリーブ内でのプランジャストロークを有効に 利用するためグースネックは保持炉の下から装着するような複雑な形状となり、 アルミ溶湯に最も安定とみられる例えば窒化珪素などで製作する場合には加工不 能となり、あるいは加工可能であっても加工費が著しく嵩み、また複雑な形状で あるから強度的に充分な信頼性がない。

【０００８】 前記した実開昭６３−１８４６５６に示されたものにおいても次のような問題 点がある。 １） グースネック鋳包み時のセラミックス破損による製造の不安定性。 ２） グースネック鋳込み工程追加によるコストの増加。 ３） グースネックおよびスリーブ、保持炉が全く異質な材質であることによる それら接続部からのメタル洩れ。 ４） グースネックが少くとも２つ以上直角部を有することによる圧力損失。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記したような従来のものにおける技術的課題を解決することについ て検討を重ねた結果、射出筒部の形状構成および材質を特定のものとすることに よって好ましい解決を得しめたものであって、以下の如くである。

【００１０】 （１） 水平面に対し１３〜２５°の上向き傾斜を採った直線状射出筒部を有し 、しかも本体加圧部と該直線状射出筒部とが一体成形されたことを特徴とするホ ットチャンバーダイカストマシン射出用セラミックポンプ。

【００１１】 （２） 水平面に対し１３〜２５°の上向き傾斜を採って設定される直線状射出 筒部体と本体加圧部とが同様材質により別体成形され、前記直線状射出筒部体が 本体加圧部に対しパッキングを介して接続されたことを特徴とするホットチャン バーダイカストマシン射出用セラミックポンプ。

【００１２】 前記（１）項または（２）項に記載のセラミックポンプにおいて、直線状射出 筒部体および本体加圧部の材質が窒化珪素、サイアロンもしくは窒化硼素複合窒 化珪素の何れかであることを特徴とするホットチャンバーダイカストマシン射出 用セラミックポンプ。

【００１３】

【作用】

水平面に対し１３〜２５°の上向き傾斜を採った直線状射出筒部を有すること により保持炉の溶湯面との関係において充分な射出能力が得られる。また射出筒 の形状を単純化し金型との装着圧力に十分耐えると共に圧力損失の少い安定した ポンプを得る。更に比較的コンパクトで金型に対する好ましい鋳込みができる。

【００１４】 前記したような構成を有する本体加圧部と該直線状射出筒部とが一体成形され たことにより洩れ発生の可能性をなからしめ、又強度的にも好ましいポンプを低 コスト且つ簡易に得しめる。

【００１５】 水平面に対し１３〜２５°の上向き傾斜を採って設定される直線状射出筒部体 と本体加圧部とが同様の材質により別体成形され、前記直線状射出筒部体が本体 加圧部に対しパッキングを介して接続されたことにより上記したような特性を有 するポンプが簡易に製造され、又射出筒部の損傷などに対して適宜に部分交換し 得る製品が得られる。

【００１６】 前記構成のものにおいて直線状射出筒部体および本体加圧部の材質が窒化珪素 、サイアロンもしくは窒化硼素複合窒化珪素の何れかであることにより特にアル ミ溶湯に対する耐食性を適切に確保し、耐用性に優れたポンプを提供する。

【００１７】

【実施例】

上記したような本考案によるものの具体的な実施例について説明すると、図１ には本考案によるポンプを保持炉内に設定したホットチャンバー射出部の全般的 な関係が示されている。即ちアミル合金を溶解し且つ一定温度に保持するための 溶解兼保持炉１が架台２に設置され、該架台２には電熱ヒータ３が備えられ、金 型４はダイプレート５に取付けられ、射出筒１０ａのノズル１１と接しており、 金型４とノズル１１との圧着は架台２とダイプレート５をクランプ６で締付け圧 着することにより得しめている。

【００１８】 前記したような締付け圧着力はノズル１１を介して所謂グースネックである射 出筒１０ａを経て、所謂スリーブである主筒１０に伝達され、更に溶解炉兼保持 炉１を介して最終的には架台２によって受けられている。この図１に示すものに おいて主筒１０および射出筒１０ａは一体に成形され、溶解炉１に貯えられた溶 湯アルミ１５の中に設定され、架台２に連結している固定台１３によりボルト１ ４をもって的確に溶解炉１の底部に対し上方から固定されている。

【００１９】 主筒１０内にはプランジャー９が挿入され、カップリング８を介して油圧ピス トン７と連結しており、油圧ピストン７が降下するとプランジャー９が降下し、 主筒１０内の溶湯１５を加圧して射出筒１０ａおよびノズル１１より金型４内に 射出され鋳造が行われる。なおノズル１１と射出筒１０ａとの接続はパッキング １２を介して密に行われ、又主筒１０の側面に形成された孔１７は溶湯１５の主 筒１０内流入および排出を図る。

【００２０】 本考案ポンプを構成する前記主筒１０および射出筒１０ａについての仔細は別 に図２において示されている。即ち図２におけるこれら主筒１０および射出筒１ ０ａはすべて同一セラミックス（例えば窒化珪素）から成り、且つ一体に成形さ れている。また射出筒１０ａの角度は主筒１０の底面に対し１３〜２５°の範囲 内とされている。

【００２１】 更に射出筒１０ａは主筒１０の側面から直線状に突出しているもので、このよ うに形成されたポンプは形状的に単純であり、最も望ましい形態であるが実際の 製造に当っては該ポンプが設置される溶解保持炉内の溶湯面の高さは射出筒１０ ａのノズル孔端部より高くできない（溶湯がノズル孔より金型に流れ出し鋳造不 能となる）ので射出筒１０ａの長さおよび角度によって溶湯面の高さレベルが決 定され、また溶湯面の高さが決まることにより主筒１０の高さが決定されて鋳造 時に主筒１０内溶湯を射出し且つ溶湯を一定時間加圧保持するために必要なプラ ンジャーの下降ストローク長さが決定される。

【００２２】 従ってプランジャーストロークを充分に採るためには射出筒１０ａの長さを大 にするか、あるいは角度を大にしなければならないが、射出筒１０ａの長さを大 にすると溶解保持炉の大きさが必要以上に大となり、又その角度を大きくすると 射出筒１０ａと主筒１０との連結部におけるセラミックス粉の搗き固めが充分に 行われなくなって成形加工が困難となり、焼成時に割れなどが多発し安定したセ ラミックスポンプの製造が困難となる。

【００２３】 これらの関係を考慮し前記したような角度範囲の直線状射出筒１０ａとするこ とが製造上および利用ないし取扱い上、好ましい構成関係であることが多くの実 地的検討結果をも含めて推考を重ね、即ち溶湯へのプランジャ加圧保持時におけ るプランジャ速度は前記のような本考案の場合において５０mm／sec 以下とすべ きことが確認され、これに基いてプランジャーの必要ストロークを求め、射出筒 の長さと角度を決定した。

【００２４】 つまり、上記のようにすることによって溶解保持炉の効率的な大きさ、射出 筒の成形性、主筒と射出筒接続部の強度なども有効にバランスして満足され、 成形を容易とすると共に加工費を大幅に削減できる。またプランジャーストロー クが適切に得られ、加圧中における溶湯洩れなども皆無となって安定操業が可能 となり、更に射出筒１０ａでの圧力損失低減により製品の品質向上も充分に達成 される。

【００２５】 本考案によるものは図２に示したように主筒１０と射出筒１０ａを一体成形す ることに代え、図３のようにこれらを分離して成形したものをパッキングを用い て連結することができる。即ちこのようにすることによって主筒１０と射出筒１ ０ａとの接続部における応力をより緩和し、その強度を向上させると共に製造を 容易化することができる。接続部には段部１０ｂを形成すると共にパッキング１ ０ｃを介装することにより充分なシール性を確保した有効な接続を得しめ、又何 れかが損傷したようなときに適宜に交換することも可能となる。

【００２６】 本考案はアルミニウム溶湯用としてばかりでなく、その他の金属溶湯たとえば 亜鉛、マグネシウム等のホットチャンバーダイカストマシンの射出用セラミック ポンプにも使用できるものである。

【００２７】

【考案の効果】

以上説明したような本考案によるときは耐用性に優れ、金型との締付け圧着力 に十分耐える等の機械的強度が大きく、しかも圧力損失が少くてメタル洩れなど のない有利なホットチャンバーダイカストマシン射出用セラミックポンプを低コ スト且つ簡易に提供し好ましいホットチャンバーダイカストマシンの操業をなし 得るものであるから工業的にその効果の大きい考案である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるセラミックポンプおよびこれを用
いたホットチャンバーダイカストマシンの断面図であ
る。

【図２】図１におけるセラミックポンプ要部の断面図で
ある。

【図３】その別の実施態様の断面図である。

【符号の説明】

１ 溶解兼保持炉 ２ 架台 ３ 電熱ヒータ ４ 金型 ５ ダイプレート ６ クランプ ７ 油圧ピストン ８ カップリング １０ 主筒 １０ａ 射出筒 １１ ノズル １２ パッキング １３ 固定台 １４ ボルト １５ 溶湯 １７ 孔

フロントページの続き (72)考案者 磯貝 久雄 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内 (72)考案者 斉藤 真佐旺 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内 (72)考案者 山梨 亨 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内 (72)考案者 河合 俊之 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内 (72)考案者 斉藤 昭南実 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内 (72)考案者 石川 定宣 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内 (72)考案者 紺野 雅彦 埼玉県鶴ケ島市富士見６丁目１番１号 パ イオニア株式会社総合研究所内 (72)考案者 岡田 圭一 埼玉県鶴ケ島市富士見６丁目１番１号 パ イオニア株式会社総合研究所内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平面に対し１３〜２５°の上向き傾斜
   を採った直線状射出筒部を有し、しかも本体加圧部と該
   直線状射出筒部とが一体成形されたことを特徴とするホ
   ットチャンバーダイカストマシン射出用セラミックポン
   プ。
2. 【請求項２】 水平面に対し１３〜２５°の上向き傾斜
   を採って設定される直線状射出筒部体と本体加圧部とが
   同様の材質により別体成形され、前記直線状射出筒部体
   が本体加圧部に対しパッキングを介して接続されたこと
   を特徴とするホットチャンバーダイカストマシン射出用
   セラミックポンプ。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２に記載のセラミ
   ックポンプにおいて、直線状射出筒部体および本体加圧
   部の材質が窒化珪素、サイアロンもしくは窒化硼素複合
   窒化珪素の何れかであることを特徴とするホットチャン
   バーダイカストマシン射出用セラミックポンプ。