JPH0557029A - 定位的放射線治療装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 定位法治療は、患部に対してスポット状Ｘ線
を、患部の周囲の広い空間から集中的に照射して、治療
効果を高める方法である。この治療を実現する定位的放
射線治療装置にあって、円筒状コリメータを使うことな
く、全身用の治療を可能にするようにしたい。 【構成】 円筒状コリメータの代わりに、リニアコリメ
ータを設け、このリニアコリメータとガントリとを同期
をはかって回転させ、その回転中にＸ線を照射する。 【効果】 リニアコリメータの回転させたことにより、
実質的に円筒コリメータと同等の機能を果し、全身治療
に役立つ装置を提供できた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、定位法治療を行う定位
的放射線治療装置、特に頭部を含めた全身の治療を行う
定位的放射線治療装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】定位法治療とは、頭部等の微小患部に対
して、スポット状Ｘ線を、空間上のあらゆる角度から照
射して患部治療を行う治療を云う。Ｘ線スポット化され
ているため微小患部への照射が集中して行えること、及
び患部以外の正常部位への悪影響を少なくできること、
空間上のあらゆる角度（全空間ではないが、それに近い
広い角度）からの患部への集中照射を行うことにより患
部の治療効果を高めることができること、等の多くの利
点を持つ。

【０００３】かかる定位法治療を実現する装置が定位的
放射線治療装置であり、その従来例には、特許出願公表
平２ー５０３５２１号がある。この従来例は、スポット
状Ｘ線を放射するガントリと、被検体を搭載したベッド
とより成り、ガントリの先端にはＸ線をスポット化する
コリメータを設けている。ガントリは被検体の頭部の周
囲を３６０°回転可能であり、ベッドは、水平方向に規
定ピッチ単位に移動可能である。治療にあたっては、ベ
ッドを水平方向のある位置に固定しておき、この状態で
ガントリを回転させてスポットＸ線を集束点の位置の患
部へ照射する。これを規定ピッチ単位の停止位置毎に実
行する。かくして、患部には、空間上の広い角度からス
ポット状Ｘ線が照射されて定位法治療が実現できた。ピ
ッチ単位を狭くすれば、更に治療効果は高まる。

【０００４】一方、Ｘ線の代りにγ線による定位法治療
も存在する。この治療法を実現する治療装置（ガンマー
ユニット）は、ベッド側に設置された半球状コリメータ
と、複数の密封コバルト線源を持つγ線源装置とより成
る。半球状コリメータは、均等に配置された多数のコリ
メート孔を持つ。治療時には、半球状コリメータの内部
に頭部を挿入し、γ線源装置を半球状コリメータの周囲
に配置する。かくして、頭部患部にγ線が集中して照射
される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記各従来例
は、治療部位が頭部であり、全身までの拡張は容易でな
い。更に、前者は、被検体の回転を伴うため被検体に不
快感を与える恐れがある。更に後者は半球状コリメータ
が大規模で且つ多数のγ線源を必要とするとの問題があ
る。

【０００６】更に、出願人は、全身用として円筒状コリ
メータを持った定位的放射線治療装置の出願を行った
（特願平３ー１１６７８５号）。この出願になる治療装
置を図１２に示す。ガントリ１は、電子線発生源からの
電子線を通過させるための経路と、該電子線をＸ線ター
ゲット設置方向に偏向させるための偏向部とを少なくと
も持つ。ガントリ１の先端には照射ヘッド５が取り付け
られ、照射ヘッド５内には、上記偏向部からの電子線の
衝突によりＸ線を放出するＸ線ターゲット、及び該Ｘ線
ターゲットからの放出Ｘ線をコリメートするコリメータ
群が設けられている。ガントリ１は、照射ヘッド５と共
に、ベッド１２上の被検体（図示せず）の周囲を３６０
°回転できるようになっている。

【０００７】ベッド１２には、その周囲にかけて円筒状
コリメータ１０が一体化して取り付けられており、ベッ
ド１２と共に、矢印方向に移動可能な構成となってい
る。コリメータ１０は、縦横規則的に配列された多数の
コリメート孔１０Ａを有する。これらの各コリメート孔
１０Ａは、円筒中空部内の一点にＸ線が集中するような
相互の傾きを有し、且つ各孔は放出Ｘ線がスポット状に
なるように先端程細く形成されている。

【０００８】定位治療は、患部が上記Ｘ線の集束点にな
るようにベッド上で被検体の位置決めをし、円筒コリメ
ータ１０の周囲にガントリ１を回転させながら、Ｘ線を
放出し、これを円筒コリメータ１０を介してスポット状
Ｘ線として被検体患部に集中照射する。

【０００９】以上の定位治療でのＸ線スキャン法は、種
々存在する。ここで、Ｘ線スキャン法とは、照射ヘッド
からのＸ線とコリメータのコリメート孔とを対向させて
Ｘ線を照射することであり、照射ヘッド５からの放出Ｘ
線の形状と方向、コリメート孔の選択法、ベッドの移動
の有無等によって定まる、定位治療のための全体制御法
を云う。しかし、この先願は、円筒状コリメータを必要
とし、且つそのコリメータには多数のコリメート孔を設
けなければならず規模が複雑である。

【００１０】本発明の目的は、簡便に、全身用にも適用
可能な定位的放射線治療装置を提供するものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、被検体の搭載
されるベッドと、該ベッドの長手方向に沿って配列され
た複数のスポット状コリメート孔を持ち、該複数のコリ
メート孔は同一焦点を形成するように構成されたリニア
コリメータと、照射ヘッドを持つガントリと、該照射ヘ
ッドのＸ線照射出口と上記リニアコリメータの対応コリ
メート孔入口とを対向させた状態でガントリとリニアコ
リメータとを同期をはかって回転させる機構と、該回転
中に照射ヘッドからＸ線を放出するＸ線発生制御手段
と、より成る（請求項１）。

【００１２】更に本発明は、被検体の搭載されるベッド
と、該ベッドの周囲に設けられたリニアコリメータ群
と、照射ヘッドを持つガントリと、該照射ヘッドのＸ線
照射出口と上記リニアコリメータ群の対応コリメート孔
入口とを対向させた状態でガントリとリニアコリメータ
群とを同期をはかって回転させる機構と、該回転中に照
射ヘッドからＸ線を放出するＸ線発生制御手段と、より
成ると共に、上記リニアコリメータ群は、ベッドの周囲
に円筒状に配列した複数のリニアコリメータより成り、
且つ各リニアコリメータは、ベッドの長手方向に沿って
配列された複数のコリメート孔を持ち、該コリメート孔
は同一焦点を形成するように構成され、更にコリメート
孔は所属するリニアコリメータ毎に異なる大きさとし、
上記リニアコリメータ群の中のリニアコリメータを患部
部位の大きさに応じて選択せしめることとした（請求項
２）。

【００１３】更に本発明は、被検体の搭載されるベッド
と、該ベッドの周囲の複数点に移動可能で且つ単一スポ
ット状コリメート孔を持つ、単一コリメータと、照射ヘ
ッドを持つガントリと、該照射ヘッドのＸ線照射出口と
単一コリメータのコリメート孔を対向させた状態でガン
トリと単一コリメータとを同期をはかって回転させる機
構と、該回転中に照射ヘッドからＸ線を放出するＸ線発
生制御手段と、より成る（請求項３）。

【００１４】更に本発明は、被検体の搭載されるベッド
と、該ベッドの周囲の複数点に移動可能な単一コリメー
タ群と、照射ヘッドを持つガントリと、該照射ヘッドの
Ｘ線照射出口と単一コリメータ群のコリメート孔を対向
させた状態でガントリと単一コリメータ群とを同期をは
かって回転させる機構と、該回転中に照射ヘッドからＸ
線を放出するＸ線発生制御手段と、より成ると共に、上
記単一コリメータ群は、互いに異なる口径のスポット状
コリメート孔を持ち、該単一コリメータ群の中の単一コ
リメータを患部部位の大きさに応じて選択せしめること
とした（請求項４）。

【００１５】更に本発明は、上記照射ヘッドの一部であ
るＸ線ターゲットを、コリメート孔の入口側に設け、照
射ヘッドは、該Ｘ線ターゲットの電子線放出口を有する
（請求項５）。

【００１６】更に本発明は、上記回転させる機構は、ガ
ントリ又は照射ヘッドと、ベッドに連結した回転軸との
機械的連結機構とする（請求項６）。

【００１７】

【作用】本発明によれば、円筒状コリメータを使わず
に、コリメータをガントリと共に同期回転させるだけで
円周方向に対して放射線を連続的に照射できる（請求項
１〜４）。 更に本発明によれば、患部の大きさのコリメート孔を持
つコリメータのもとで、患部の大きさに応じてのコリメ
ート孔を選択できる（請求項２、４）。 更に本発明によれば、コリメータを単一コリメータで構
成して円周方向に対して放射線を連続的に照射できる
（請求項３）。 更に本発明によれば、コリメート孔にＸ線ターゲットを
設けてる故に、Ｘ線の照射量を減衰することなく、与え
ることができる（請求項５）。 更に本発明によれば、ガントリとコリメータとの回転同
期を機械的に達成する（請求項６）。

【００１８】

【実施例】図１は本発明の定位的放射線治療装置に利用
するベッド及びコリメータの実施例図である。ベッド１
２の周囲に、円筒状コリメータ１０の代りに、リニアコ
リメータ１１を設けた。このリニアコリメータ１１はベ
ッド１２と一体化して矢印方向に前後動すると共に、ベ
ッド１２の周囲を、ベッドとは独立して３６０°回転で
きるように回転部４１、４１Ａに取り付けられている。
前後動は、被検体の位置決め、及びＸ線スキャンのため
に使う。３６０°回転及びベッドから独立しての回転
は、円筒状コリメータと同じく円周方向にわたってＸ線
を照射するためである。この回転は、ベアリング部４
２、４２Ａによるものである。回転部４１と４１Ａと
は、コリメータ１１の他に１８０°異なる位置に設けた
支持部４３でも連結されている。

【００１９】リニアコリメータ１１は、５個のコリメー
ト孔１１Ａ（ａ、ｂ、ｃ、ｄ、ｅ）をベッドの軸方向に
むけて直線状に配列したものである。この５個のコリメ
ート孔１１Ａは、ベッド１２上の一点Ｐ1上に各孔の延
長線がぶつかるように孔毎に異なる傾斜が施され、且つ
この孔を通ったＸ線がスポット状となるように先端程小
さい口径となるスポット状の孔形状をなす。この考え方
は、円筒状コリメータと変わりない。

【００２０】リニアコリメータ１１は、円筒状コリメー
タの一種の改良であり、長手方向の一列のコリメート孔
を取り出して独立させたものと考えてよい。従って、前
述したように、ベッド１２と一体化して長手方向に移動
できるようになっていると共に、円筒状コリメータと同
様の多数の孔からのＸ線の照射を実現するために、ベッ
ドの囲りをベッドとは独立に３６０゜回転できるように
構成されているのである。

【００２１】以上の実施例で定位治療を実現する手順を
以下述べる。 （１）、照射ヘッドからの放出Ｘ線が図２（イ）、
（ロ）に示すように、１つのコリメート孔ａの入口口径
よりも若干大きい場合。但し、図２（イ）は円形状、図
２（ロ）は矩形（正方形）状のＸ線例を示す。図３は、
Ｘ線のスキャン例を示す。ガントリ１は固定し、コリメ
ータ１１をコリメータ間隔で１ピッチ分ずらし、各ピッ
チ位置で３６０°ガントリ１を回転させるやり方をと
る。このコリメータの移動と共に被検体も一体化して移
動する故に、照射患部は移動せず、同一患部が照射患部
として維持される。即ち、先ず、図３（イ）に示すよう
に、照射ヘッド５の放出Ｘ線方向を、コリメート孔ａの
入口孔にＸ線が入射するようにコリメート孔ａとガント
リ１との位置決めを行い、この位置関係のままでガント
リ１とコリメータ１１とを同期をとって３６０°回転さ
せ、Ｘ線を照射する。次に、コリメータ１１をコリメー
タ間隔１ピッチ分Ｌだけ右に移動させて、ガントリ１と
コリメート孔ｂとの対向位置関係にする。これが図
（ロ）である。この状態でガントリ１とコリメータ１１
とを同期をとって３６０°回転させ、Ｘ線を照射する。
次に、図３（ハ）に示すように、１ピッチ分Ｌだけ移動
し、ガントリ１とコリメート孔ｃとの対向位置関係にす
る。以下、同様の手順をとり、最終的にはコリメート孔
ｅまで移動してＸ線照射を行う。かくして定位法治療を
実現できる。この時のシーケンスを図４に示す。

【００２２】（２）、図２（ハ）の如き、照射ヘッド５
が１回で５つのコリメート孔ａ〜ｅに入射できる幅のＸ
線を放出した場合。この場合は、ガントリ１とコリメー
タ１１との位置合わせを、図２（ハ）のＸ線照射関係に
なるようにし、この位置関係を維持したままでコリメー
タ１１とガントリ１との同期をとって３６０°１回転を
行う。この１回転期間中にＸ線を照射すれば、３６０°
１回転のみで（１）と同様な定位法治療が実現できる。

【００２３】（３）、図２（ニ）の如きＸ線放出の場
合。これは（１）と（２）との中間であり、２個のコリ
メート孔用のＸ線を放出する例である。この場合は、２
個単位に右移動をするか、１単位に右移動するかいずれ
でもよい。

【００２４】図５は、１個のコリメート孔３０Ａを有す
る単一コリメータ３０による実施例である。この単一コ
リメータ３０によって図１の実施例と同一の目的を達成
するために、本実施例では、ガントリ１からの放出Ｘ線
ビームは図２（イ）又は（ロ）の形式であり、且つ回転
部４１、４１Ａに、固定した２つの支持部４３、４３Ａ
を設け、この支持部４３、４３Ａに矢印θ方向に回動自
在なアーム部４５を設け、更に、アーム部４５の中央部
分に上記単一コリメータ３０を設置した。アーム部４５
は、支持部４３とネジ４８で係合している。支持部４３
Ａも同様である。アーム部４５の倒し角度θを種々変更
させることによって、単一コリメータ３０は、図１のリ
ニアコリメータ１１と同様な構造となる。従って、ａ→
ｂ→ｃ→ｄ→ｅの手順でのコリメート孔を選んだ如く、
角度θを種々変更させることによって、図２と同一シー
ケンスで定位法治療を実現できる。

【００２５】図６は、ガントリとリニアコリメータとの
回転同期を機械的にはかった実施例図である。この実施
例でのリニアコリメータは、図１に示したものであり、
５個のコリメート孔を有する例である。図６（イ）は被
検体の体軸方向に直角な方向での断面図、図６（ロ）は
被検体の体軸方向での断面図を示す。リニアコリメータ
１１が図１と異なる点は、図１では高さが回転部４１、
４１Ａと同じとしたが、図６では回転部４１、４１Ａよ
りも高くしている点である。この高くしたのは、ガント
リの照射ヘッド５とリニアコリメータ１１との機械的連
結をはかり回転同期をとるためである。このために、リ
ニアコリメータ１１の側面に軸（車輪）４４を設け、こ
の軸４４に照射ヘッド５からの連結軸４５を取り付ける
こととした。この軸４４は、コリメータの前後動が必要
不可欠のため、回転方向のみ同期させ、コリメータ前後
動方向の移動をフリーにするために設けたものであり、
車輪そのものである。かくして、ガントリの回転がある
と、照射ヘッド５は一体化されているためにそのまま回
転してゆき、この照射ヘッド５の回転と共に軸４５、車
輪４４を介してコリメータ１１が、回転部４１、４１Ａ
によって回転する。これによってガントリの回転と機械
的に連結して回転するコリメータ１１を得ることができ
る。

【００２６】図６（イ）、（ロ）には照射ヘッド５内の
コリメート機構についても開示する。コリメータ機構
は、Ｘ線ターゲット４から放出されるＸ線を図２（イ）
の円形又は図２（ロ）の矩形状にコリメートするもので
あり、そのためにコリメータ８と９とが照射ヘッド５内
に設置してある。コリメータ９は、図６（イ）に示すよ
うに、コリメート孔を体軸に直角な面で見た場合の、そ
のコリメート孔の幅よりも若干大きな幅になるようにＸ
線をコリメートするものである。コリメータ８は、図６
（ロ）に示すように、コリメート孔を体軸方向に沿って
見た場合のコリメート孔の幅よりも若干大きく、且つ隣
り合うコリメート孔への入射がないような幅のＸ線を得
るためのものである。５つのコリメート孔へＸ線を入射
するためには、図６（ロ）に示すように、コリメータ８
の放出Ｘ線の中心角度αを各コリメート孔対応に変更さ
せればよい。尚、図６（ロ）で、２点鎖線Ｄで示した位
置は、図４のシーケンスに従って移動した位置を示す。

【００２７】図７は、図５に対応する機械的連結による
実施例図を示す。２個の回転部４１、４１Ａを連結する
フレーム４３に、回転部４１、４１Ａの回転中心軸に直
交する中心を有する軸４６が設置されている。軸４６に
はリンクアーム４７が取り付けられ、軸４６を中心とし
て回転する。リンクアーム４７には、１個の照射孔を有
する単独コリメータ３０がコリメータホルダー４８を介
して設置される。ここで回転部４１、４１Ａの回転中心
軸と軸４６の中心軸との交点は、コリメータ３０の焦点
に正確に一致しているものとする。従ってコリメータ３
０は、回転部４１、４１Ａと軸４６により直交する２方
向について、コリメータ焦点を中心として回転可能であ
る。また照射ヘッド５側とコリメータ３０側との連結
は、照射ヘッド５に取り付けられた軸４９とリンクアー
ム４７によってなされる。軸４９の中心軸はＸ線ターゲ
ット４の焦点を通り、コリメータ側の回転軸４６と平行
であるとする。リンクアーム４７には軸４９に対するガ
イド溝が設けられ、ベッド１２Ａが前後動しても、コリ
メータ３０の照射孔中心軸は常にＸ線ターゲット４の焦
点を通るものとする。また照射ヘッドのコリメータ８、
９は、ベッド１２Ａの前後動に連動し、常にコリメータ
３０の照射孔近傍にのみ照射野を制限するものとする。
ガントリの回転力は、軸４９、リンクアーム４７、フレ
ーム４３を介して回転部４１、４１Ａに伝達される。照
射手順は図５の場合と同様であるが、治療台前後動方向
にコリメータの照射角度が連続的に可変であることか
ら、ガントリ１回転毎の治療台移動量を連続的に可変な
ものとすることができる。

【００２８】図８（イ）（ロ）、図９（イ）、（ロ）
は、それぞれ図６（イ）、（ロ）、図７（イ）、（ロ）
に対応する他の実施例図であり、特徴点は、照射ヘッド
５内に存在したＸ線ターゲット４をコリメータ１１及び
３０のコリメート孔の入口側に設置（４Ａ、４Ｂ）した
ことにある。この設置目的は、照射ヘッド内でのＸ線の
走行をなくしてヘッド内でのＸ線の減衰をなくし、更
に、コリメート孔に連結することによって、放出Ｘ線を
全く減衰させることなく入射せしめるようにすることに
ある。即ち、図８、図９のいずれもコリメート孔１１、
または３０の照射孔入口側にＸ線ターゲット４Ａが設置
され、照射ヘッド５から、真空窓１３を介して電子線が
Ｘ線ターゲットに照射されてＸ線に変換される。尚、図
９において、Ｘ線ターゲット４Ｂはコリメータ３０の側
にあるが、Ｘ線ターゲット４Ｂは常に真空窓の直下にな
ければならない。従って照射ヘッド５の側に固定された
リンクアーム５１とコリメータ３０側に固定された軸４
９とにより、Ｘ線ターゲット４Ｂは、ベッド１２Ａの前
後動に伴って、真空窓１３の直下において傾斜角度を変
えながら上下運動するものとする。照射手順はいずれも
前述の場合と同様である。

【００２９】図１０は、図６（イ）、（ロ）の実施例の
対応するものであり、図６（イ）、（ロ）ではリニアコ
リメータの例としたが、本実施例では、このリニアコリ
メータを５列配置し、コリメータ群６０を形成した点に
特徴を持つ。５列の各列の軸方向（紙面と直角方向）は
図６（イ）、（ロ）と変わりない。他の特徴は、５列の
リニアコリメータ６０は、左から右にかけて示してある
ように、小さいコリメート孔から大きいコリメート孔へ
と変化させている点である。この実施例では、５列のリ
ニアコリメータを、患部の大きさに応じて使い分ける。
例えば大きい患部の場合、右端部の一番大きい口径のリ
ニアコリメータを使用する如くである。このために、コ
リメータ６０はコリメータホルダ５５に対して円周方向
にスライド可能であるとする。コリメータホルダ５５は
軸受４１の回転側に固定され、ガントリの回転に同期し
て回転する。従って所用の照射孔径を選択してコリメー
タ６０を固定すれば、図６の場合と同様の手順で治療が
行える。

【００３０】図１１は、図７（イ）、（ロ）に対応する
もので、図１０と同じく、５つの口径の異なる単一コリ
メータを持つコリメータ群３０Ａを、単一コリメータ毎
にその口径に応じて選択的に使おうとするものである。
即ち、図１１は、コリメータ３０の代りに３０Ａを用
い、コリメータ群３０Ａがコリメータホルダ５６に対し
て直線状にスライド可能としたもので、コリメータ群３
０Ａは径の配列方向に直径の大きさの異なる照射孔が配
置されている。この場合も所定の照射孔径を選択してコ
リメータ３０Ａを固定すれば図７の場合と同様の手順で
治療が行える。

【００３１】本発明は、種々の態様を持つ。 （１）、回転同期をはかるために、機械的連結による例
を述べたが、電気的制御だけで回転同期をはかることも
可能である。 （２）、Ｘ線の焦点に患部位置を完全に一致させるため
には、被検体の水平移動の他に垂直移動が必要である。
患部位置決め時に、こうした垂直移動機構を用いて位置
決めし、位置決め後は、本実施例で述べた如き構成のも
とで定位治療を実現できる。 （３）、図１０、図１１は、患部の大きさによってコリ
メート孔を選択する例としたが、図１〜図９の本実施例
においても、コリメート孔を交換可能なようにしておけ
ば、図１０、図１１の如き機能を実現できる。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、円周方向に対して放射
線を連続的に照射でき、円筒状のコリメータを使用する
場合よりも重量を大幅に軽減でき、コリメータの加工も
容易になる。（請求項１〜４）。 更に本発明によれば、患部の大きさに応じたコリメータ
を選ぶことができ、治療作業が容易となる（請求項２、
４）。 更に本発明によれば、円周方向のみならず、円周方向と
直交する方向についても連続的な照射が可能となる。更
に、コリメータの照射孔が１個のみとなることから、コ
リメータがより小型化され、加工し易くなる（請求項
３）。 更に本発明によれば、ガントリの照射ヘッドは電子線を
照射するのみとなるため、照射ヘッドの可変絞り装置な
どが不要となるため、照射ヘッドを簡略化することがで
き、装置の小型化、又はコリメータ側を大きくして、被
検者の設定範囲を広くすることができる（請求項５）。 更にガントリとコリメータとの回転同期も機械的連結の
故に、簡単に達成できる（請求項６）。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のベッドとコリメータとの実施例図であ
る。

【図２】コリメート孔とＸ線照射幅との大小関係を示す
図である。

【図３】コリメータへのＸ線スキャンの実施例を示す図
である。

【図４】図３のＸ線スキャンのタイムチャートである。

【図５】本発明のベッドとコリメータとの他の実施例図
である。

【図６】図１の実施例に対する更に具体化した実施例図
である。

【図７】図５の実施例に対する更に具体化した実施例図
である。

【図８】図１の実施例に対応し、Ｘ線ターゲットの設置
位置に特徴のある実施例図である。

【図９】図５の実施例に対応し、Ｘ線ターゲットの設置
位置に特徴のある実施例図である。

【図１０】本発明のコリメータ選択をはかった実施例図
である。

【図１１】本発明のコリメータ選択をはかった他の実施
例図である。

【図１２】本発明の先願の構成例図である。

【符号の説明】

１１ リニアコリメータ １１Ａ（ａ、ｂ、ｃ、ｄ、ｅ） コリメート孔 １２ ベッド ３０ 単一コリメータ ４１、４１Ａ 回転部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被検体の搭載されるベッドと、該ベッド
   の長手方向に沿って配列された複数のスポット状コリメ
   ート孔を持ち、該複数のコリメート孔は同一焦点を形成
   するように構成されたリニアコリメータと、照射ヘッド
   を持つガントリと、該照射ヘッドのＸ線照射出口と上記
   リニアコリメータの対応コリメート孔入口とを対向させ
   た状態でガントリとリニアコリメータとを同期をはかっ
   て回転させる機構と、該回転中に照射ヘッドからＸ線を
   放出するＸ線発生制御手段と、より成る定位的放射線治
   療装置。
2. 【請求項２】 被検体の搭載されるベッドと、該ベッド
   の周囲に設けられたリニアコリメータ群と、照射ヘッド
   を持つガントリと、該照射ヘッドのＸ線照射出口と上記
   リニアコリメータ群の対応コリメート孔入口とを対向さ
   せた状態でガントリとリニアコリメータ群とを同期をは
   かって回転させる機構と、該回転中に照射ヘッドからＸ
   線を放出するＸ線発生制御手段と、より成ると共に、上
   記リニアコリメータ群は、ベッドの周囲に円筒状に配列
   した複数のリニアコリメータより成り、且つ各リニアコ
   リメータは、ベッドの長手方向に沿って配列された複数
   のコリメート孔を持ち、該コリメート孔は同一焦点を形
   成するように構成され、コリメート孔は所属するリニア
   コリメータ毎に異なる大きさとし、上記リニアコリメー
   タ群の中のリニアコリメータを患部部位の大きさに応じ
   て選択せしめることとした定位的放射線治療装置。
3. 【請求項３】 被検体の搭載されるベッドと、該ベッド
   の周囲の複数点に移動可能で且つ単一スポット状コリメ
   ート孔を持つ、単一コリメータと、照射ヘッドを持つガ
   ントリと、該照射ヘッドのＸ線照射出口と単一コリメー
   ト孔を対向させた状態でガントリと単一コリメータとを
   同期をはかって回転させる機構と、該回転中に照射ヘッ
   ドからＸ線を放出するＸ線発生制御手段と、より成る定
   位的放射線治療装置。
4. 【請求項４】 被検体の搭載されるベッドと、該ベッド
   の周囲の複数点に移動可能な単一コリメータ群と、照射
   ヘッドを持つガントリと、該照射ヘッドのＸ線照射出口
   と単一コリメータ群のコリメート孔を対向させた状態で
   ガントリと単一コリメータ群とを同期をはかって回転さ
   せる機構と、該回転中に照射ヘッドからＸ線を放出する
   Ｘ線発生制御手段と、より成ると共に、上記単一コリメ
   ータ群は、互いに異なる口径のスポット状コリメート孔
   を持ち、該単一コリメータ群の中の単一コリメータを患
   部部位の大きさに応じて選択せしめることとした定位的
   放射線治療装置。
5. 【請求項５】 上記照射ヘッドの一部であるＸ線ターゲ
   ットを、コリメート孔の入口側に設け、照射ヘッドは、
   該Ｘ線ターゲットの電子線放出口を有してなる請求項１
   〜４の中のいずれか１つの定位的放射線治療装置。
6. 【請求項６】 上記回転させる機構は、ガントリ又は照
   射ヘッドと、ベッドに連結した回転軸との機械的連結機
   構とする請求項１〜５のいずれか１つの定位的放射線治
   療装置。